JP2006281022A - 分離膜モジュールの洗浄方法および洗浄装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】分離膜モジュールの薬液洗浄に際して、薬液やリンス水の使用量を減少させるとともに、膜の二次側から該膜の一次側へ薬液を通液、循環させても膜の二次側が懸濁性の不純物に汚染されず、薬洗工程において懸濁性の不純物の除去効果が高く、薬洗工程に続くリンス工程の効率を高めることができる分離膜モジュールの薬液洗浄装置および薬液洗浄方法を提供することにある。
【解決手段】薬液貯槽に貯留した薬液を、薬洗ポンプによって薬液貯槽と分離膜モジュールとの間を循環させる薬洗工程中に、薬液を前記分離膜モジュールを構成する膜の二次側から膜の一次側に向かって通液させる工程において、前記薬液貯槽と前記分離膜モジュールを結ぶ配管の途中に設置したフィルタで薬液をろ過した後、薬液を前記分離膜モジュールに供給することを特徴とする分離膜モジュールの洗浄方法。
【選択図】 図1
【解決手段】薬液貯槽に貯留した薬液を、薬洗ポンプによって薬液貯槽と分離膜モジュールとの間を循環させる薬洗工程中に、薬液を前記分離膜モジュールを構成する膜の二次側から膜の一次側に向かって通液させる工程において、前記薬液貯槽と前記分離膜モジュールを結ぶ配管の途中に設置したフィルタで薬液をろ過した後、薬液を前記分離膜モジュールに供給することを特徴とする分離膜モジュールの洗浄方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、分離膜モジュール洗浄方法、ならびに洗浄装置に関するものである。さらに詳しくは、上水道における浄水処理分野、工業用水や食品、医療プロセス用水といった産業用水製造分野、下水や工業廃水といった下排水処理分野などに使用される分離膜モジュールを薬液洗浄する薬洗工程を有する分離膜モジュールの洗浄方法、ならびに洗浄装置に関するものである。
分離膜を用いた膜分離技術は、上水道における浄水製造分野、工業用水や、工業用超純水、食品、医療といった産業用水製造分野、都市下水の浄化および工業廃水処理といった下排水処理分野などの幅広い分野に利用されている。これらの膜分離ろ過手段においては、原水を膜分離するにあたって、原水中の水分は分離膜を介して膜ろ過水として取り出され、不純物は分離膜の多孔質部内や分離膜表面上に残されるために、分離膜の目詰まりや分離膜間の流路閉塞が進行して所定の膜ろ過水量を得られなくなる場合がある。
そこで、定期的に分離膜の膜ろ過水側から原水側へ膜ろ過水を逆流させることによって分離膜表面に蓄積した不純物層を剥離、除去したり(以下、逆洗と称す)、分離膜モジュール下部から連続的、あるいは間欠的に空気を散気させることによって分離膜を揺動させたり、気泡によるせん断力により分離膜表面や分離膜間の流路に蓄積した不純物を剥離、除去したり(以下、空洗と称す)する物理洗浄を実施している。
これらの物理洗浄によっても除去できない不純物が徐々に蓄積するために、薬液によってこれらの不純物を溶解、除去する薬液洗浄が必要となる。薬液洗浄は、蓄積した不純物を薬液によって溶解、除去する薬洗工程と、分離膜モジュール内の薬液を洗い流すリンス工程から構成される。薬洗工程としては、一般的には塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、シュウ酸等の酸を用いた酸洗浄と、苛性ソーダや次亜塩素酸ナトリウム等のアルカリを用いたアルカリ洗浄とを組合わせて実施している。通常、薬洗工程においては、分離膜表面や分離膜間の流路や多孔質部内に蓄積していた不純物が溶解したり、物理洗浄では除去できなかった固着していた懸濁性の不純物が剥離したりするために、薬洗工程における薬液中、あるいはリンス工程におけるリンス水中には溶解性、あるいは懸濁性の不純物が多く含まれているという問題点がある。
また、薬洗工程において薬液は一般的に、膜の一次側を膜と平行方向に通液する方法や、膜の一次側から膜の二次側へ通液する方法や、これらを組合わせる方法を用いて、一過的に通液したり、循環させて通液したりしている。これらの工程によって、分離膜表面や分離膜間の流路や多孔質部内に蓄積していた不純物を溶解させ、さらに、これらの通液方法に空洗を組合せて、膜の一次側、すなわち分離膜表面や分離膜間の流路に蓄積、固着していた懸濁性の不純物を剥離、除去したりしている。しかしながら、これらの方法では懸濁性の不純物を膜の一次側から効果的に剥離、除去することは困難であることが多い。
そこで、膜の二次側から膜の一次側に向かって薬液を通液したり、これに空洗を組合わせる方法を用いると、膜の一次側に蓄積、固着した懸濁性の不純物を効果的に剥離、除去することができる。しかしながら、この薬液を循環させて通液させると、膜の一次側から剥離、除去された懸濁性の不純物が、循環する薬液とともに膜の二次側へ供給されて膜の二次側に蓄積してしまい、かえって分離膜の目詰まりや膜の二次側流路の閉塞が進ませて膜の二次側を汚染してしまう問題点が生じる。膜の二次側を汚染してしまった懸濁性の不純物は、膜の一次側から膜の二次側へ通液しても膜の二次側から除去しにくいことが多い。また、膜の二次側の汚染を防止するために、膜の二次側から膜の一次側に向かって薬液を一過的に通液させようとする方法があるが、膜の一次側に蓄積、固着した懸濁性の不純物を効果的に剥離、除去しようとすると一定の薬液量を通液させなければならないために、必要とされる薬液量が多くなる問題点を有する。
特許文献1では、浸漬型分離膜モジュールの薬液洗浄中の薬洗工程において、膜の二次側から膜の一次側に向かって薬液を一過的に通液させて少量の薬液で薬洗工程を実施する方法を用いており、薬液による不純物を溶解して除去する効果と、薬液の通液による膜一次側に蓄積した懸濁性の不純物を剥離、除去する効果の両方を見込んでいる。しかしながら、上述したように、通液させる薬液量が少ないことや、薬液の通液時に浸漬槽内の水を引抜いてしまうために空洗などを併用できないことから、膜の一次側に蓄積した懸濁性の不純物を効果的に剥離、除去できない問題点がある。さらに、薬洗工程後の使用済み薬液は排出されてしまい、再利用ができない問題点を有している。
また、特許文献2では、薬液を第1の分離膜モジュールの膜の一次側から膜の二次側へ通液し、次いで、第2の分離膜モジュールの膜の二次側から膜の一次側に通液する方法や、この薬液の流れを逆方向に切り替えることを繰り返す方法を用いている。しかしながら、この方法では膜の一次側から剥離、除去された懸濁性の不純物が膜の二次側を汚染することはないが、せっかく剥離、除去された懸濁性の不純物は、次の段の分離膜モジュールの膜の一次側に再度捕捉されてしまい、結局のところ懸濁性の不純物はいずれかの分離膜モジュールの表面上に残留してしまい、懸濁性の不純物の除去が不十分であるという問題点を有している。
一方、リンス工程においては、薬洗工程後に膜モジュール内や付帯配管等に残留した薬液を洗い流すとともに、薬洗工程において除去できずに残留してしまった膜の一次側の懸濁性の不純物を除去する必要がある。そのために、リンス水を膜の一次側を膜と平行方向に通液する方法や、膜の一次側から膜の二次側へ通液する方法や、膜の一次側を膜と平行方向に通液しながら一部を膜の一次側から膜の二次側へ通液する方法で、一過的あるいは循環させて通液したり、膜の二次側から膜の一次側へ一過的に通液したりしている。また、これらの方法に空洗を組合わせたりする方法を用いたりしている。しかしながら、この方法を用いた場合でも、薬洗工程において残留した薬液を洗い流せた後も、膜の一次側に残留してしまった懸濁性の不純物を剥離、除去するためにリンス水の通液を継続しなければならないことが多く、リンス工程に多くのリンス水と長時間を要する問題点がある。
特許文献3では、逆洗配管途中にフィルタを設置して、逆洗水をフィルタでろ過した後に分離膜モジュールに供給する方法を用いている。しかしながら、この方法は薬液洗浄ではない通常の膜ろ過運転時における逆洗工程において、基本的に懸濁性の不純物を含まない逆洗水(膜ろ過水と同等)を一過的に通液することを前提としており、薬洗工程において溶解性や懸濁性の不純物を多く含む薬液を膜の二次側から膜の一次側へ通液、循環させるような状況には、薬液が通液する設備や配管から通常の膜ろ過運転時における設備や配管を隔離できずに薬液によって汚染してしまう問題点や、薬液を循環させる設備や配管を有していない問題点がある。
また、薬洗工程後の使用済み薬液は、これまでは中和処理をして廃水とした後、廃水水質が排水水質基準に適合すれば放流し、適合しなければ産業廃棄物処理をしてきた。しかしながら、薬洗工程洗浄の度に新品の薬液を準備して使用していては、薬液の使用量が多量になるとともに、中和処理や産業廃棄物処理にかかるコストが高くなる問題点がある。そのため、特許文献4では、薬液を繰返し使用するために、薬洗工程洗浄後の薬液をフィルタでろ過することによって薬液中に存在する懸濁性の不純物を除去する方法を取っている。しかしながらこの方法では、薬液を再利用することが目的となり、薬洗工程において懸濁性の不純物の除去効果を高める効果や、リンス工程においてリンスの効率を高める効果は期待できない問題点がある。
特開平9−075689号公報([0014]〜[0017]段落)
特開2004−008868号公報(特許請求の範囲)
特開2003−135936号公報([特許請求の範囲)
特開2004−025045号公報([0015]〜[0028]段落)
本発明の課題は、分離膜モジュールの薬液洗浄に際して、薬液やリンス水の使用量を減少させるとともに、膜の二次側から膜の一次側へ薬液を通液、循環させても膜の二次側が懸濁性の不純物に汚染されず、薬洗工程において懸濁性の不純物の除去効果が高く、薬洗工程に続くリンス工程の効率を高めることができる分離膜モジュールの薬液洗浄装置および薬液洗浄方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜(7)を特徴とするものである。
(1)薬液貯槽に貯留した薬液を薬洗ポンプによって薬液貯槽と分離膜モジュールとの間を循環させて分離膜モジュールを薬液洗浄する薬洗工程中に、薬液を前記分離膜モジュールを構成する膜の二次側から該膜の一次側に向かって通液する工程を有する分離膜モジュールの洗浄方法であって、前記薬液貯槽と前記分離膜モジュールを結ぶ配管の途中に設置したフィルタで薬液をろ過した後、前記フィルタでろ過した後の薬液を前記分離膜モジュールに供給して薬液洗浄することを特徴とする分離膜モジュールの洗浄方法。
(2)前記膜の一次側に空気を供給する空気洗浄を前記薬液洗浄と同時に行う工程を有することを特徴とする(1)に記載の分離膜モジュールの洗浄方法。
(3)薬液貯槽に貯留した薬液を薬洗ポンプによって薬液貯槽と分離膜モジュールとの間を循環させる薬液洗浄手段を有する分離膜モジュールの洗浄装置であって、前記薬液洗浄手段には前記薬液貯槽と前記分離膜モジュールとを結ぶ配管が設置され、該配管の途中にはフィルタが設置されていることを特徴とする分離膜モジュールの洗浄装置。
(4)前記薬液貯槽から前記分離膜モジュールに向かう配管の途中にフィルタを設置されていることを特徴とする(3)に記載の分離膜モジュールの洗浄装置。
(5)前記分離膜モジュールが加圧型分離膜モジュールであることを特徴とする(3)または(4)に記載の分離膜モジュールの洗浄装置。
(6)前記フィルタが、精密ろ過膜モジュールあるいは限外ろ過膜モジュールであることを特徴とする(3)〜(5)のいずれかに記載の分離膜モジュールの洗浄装置。
(7)前記フィルタの除去性能が、前記分離膜モジュールの除去性能以上であることを特徴とする(3)〜(6)のいずれかに記載の分離膜モジュールの洗浄装置。
本発明によれば、以下に説明するとおり、分離膜モジュールの薬液洗浄に際して、薬洗工程において膜の二次側から膜の一次側へ薬液を通液、循環させても膜の二次側が懸濁性の不純物に汚染されず、懸濁性の不純物を効率よく除去できるため、薬洗工程に続くリンス工程において従来より短時間であり、かつ少ないリンス水量でも充分なリンス効果を得ることができ、効率のよい薬液洗浄が可能となる。
以下、本発明の望ましい実施の形態を図面を用いて説明する。ただし本発明の範囲が、これらに限られるものではない。
図1は、本発明の好ましい一実施態様を示す模式図である。
薬液洗浄における薬洗工程は、薬液貯槽11に貯留された薬液を、薬洗ポンプ13によって、薬液弁12、薬液供給配管14、フィルタ入口弁15、フィルタ16、膜二次側薬洗配管17、膜二次側薬洗弁18を介して、分離膜モジュール1の膜の二次側に供給する。薬液は分離膜モジュール1の膜の二次側から膜の一次側へ通液されて分離膜モジュール1から排出され、膜一次側薬洗配管19、薬液返送弁20を介して薬液貯槽11に返送される。この薬液には、膜の多孔質部内に目詰まりした不純物や膜の一次側に蓄積、固着した不純物が溶解した状態で存在したり、膜の一次側に蓄積、固着した不純物が剥離、除去された状態で存在したりしている。そして、かかる状態で存在した不純物を含んだ薬液が、再び薬洗ポンプ13によって、薬液弁12、薬液供給配管14、フィルタ入口弁15、フィルタ16、膜二次側薬洗配管17、膜二次側薬洗弁18を介して、分離膜モジュール1の膜の二次側に供給されるが、フィルタ16によって懸濁性の不純物が除去されるために分離膜モジュール1の膜の二次側が汚染されることはない。
さらにこの状態において、ブロワ21から供給される空気を空洗配管22、空洗弁23を介して、分離膜モジュール1の下部から供給して空気洗浄を行うと、膜の一次側に蓄積した懸濁性の不純物をより効果的に剥離、除去できる。
前記薬液洗浄(薬洗工程)と空気洗浄(空洗工程)とを組合わせて分離膜モジュールの洗浄を行うと、薬液によって膜の多孔質部内に蓄積していた不純物が溶解されて膜から除去できるうえに、膜の一次側に蓄積していた懸濁性の不純物も効果的に剥離、除去できる。さらに、剥離、除去した懸濁性の不純物は、薬液を循環する際にフィルタ15で除去されて保持されるために、前記薬液洗浄と空気洗浄を組合わせた洗浄を所定の時間にわたって行うと、膜の一次側に蓄積、固着していた懸濁性の不純物で物理的に剥離、除去できる分が除去されて、分離膜モジュールから排出される薬液には懸濁性の不純物がほとんど含まれなくなり好ましい。
薬洗工程を所定の時間にわたって行った後に、分離膜モジュール1や配管内の薬液を重力、薬液引抜き配管、薬液引抜きポンプ等のいずれかの手段を用いて薬液貯槽11へと回収する。
次に、リンス工程は、リンス水槽31に貯留されたリンス水を、薬洗ポンプ13によって、リンス水槽弁32、薬液供給配管14、膜一次側リンス弁33を介して、分離膜モジュール1の膜の一次側に供給する。リンス水は膜の一次側を膜と平行に通液された後、分離膜モジュール1からリンス排水として排出され、膜一次側薬洗配管19、膜一次側リンス排水弁34、リンス排水配管36を介して系外に排出される。また、リンス水の一部を、分離膜モジュール1の膜の一次側から膜の二次側へ通液して、分離膜モジュール1から排出されたリンス排水を、膜二次側薬洗配管17、膜二次側リンス排水弁35、リンス排水配管36を介して系外に排出してもよい。
あるいは、リンス水槽31に貯留されたリンス水を、薬洗ポンプ13によって、リンス水槽弁32、薬液供給配管14、フィルタ入口弁15、フィルタ16、膜二次側薬洗配管17、膜二次側薬洗弁18を介して、分離膜モジュール1の膜の二次側に供給してもよい。リンス水は分離膜モジュール1の膜の二次側から膜の一次側へ通液されて分離膜モジュール1からリンス排水として排出され、膜一次側薬洗配管19、膜一次側リンス排水弁34、リンス排水配管36を介して系外に排出される。このとき、分離膜モジュール1とフィルタ16を同時にリンスできるので好ましい。また、分離膜モジュール1とフィルタ16を同時にリンスする手段として、図2に示すように、リンス水槽31に貯留されたリンス水を、薬洗ポンプ13によって、リンス水槽弁32、薬液供給配管14、フィルタ入口弁15、フィルタ16、膜一次側リンス弁33bを介して、分離膜モジュール1の膜の一次側に供給してもよい。
所定の水量のリンス水を通液した後、あるいは、リンス排水の水質が所定の基準を満たした後、リンスを終了する。薬洗工程において膜の一次側に蓄積、固着していた懸濁性の不純物が効果的に除去されているために、リンス工程においては懸濁性の不純物の除去に労力を要する必要がなく、分離膜モジュール内や付帯配管に残留している薬液がリンスできた時点でリンス工程を終了できる。このため、従来の技術と比べるとリンス工程において要するリンス水量を少量にすることができ、リンスに要する時間を短くすることができる。
なお、複数の種類の薬液を用いて薬液洗浄を行う場合、同様にして薬洗工程とリンス工程の操作を繰り返せばよい。
ここで、膜の一次側とは、原水を膜ろ過する際の分離膜モジュールを構成する分離膜の原水側をいい、膜の二次側とは、原水を膜ろ過した際に得られる前記分離膜の膜ろ過水側をいう。
本発明者らは、薬洗工程において薬液を、膜の一次側を膜と平行方向に通液する方法や、膜の一次側から膜の二次側へ通液する方法や、これらを組合わせる方法を用いて、一過的に通液したり、循環させて通液したりしても、こういった方法による薬液の通液と同時に空洗を行っても、薬液によって溶解、除去されなかった膜の一次側に蓄積、固着した懸濁性の不純物が分離膜モジュール内から容易に排出されないことと、リンス工程においてリンス水を一過的に膜の二次側から膜の一次側に通液する逆洗や、空洗をすることによって、薬洗工程において排出されなかった膜の一次側に蓄積、固着した懸濁性の不純物が分離膜モジュール外へ排出されることに着目した。また、薬液によって溶解、除去されずに残存してしまった膜の一次側に蓄積、固着した懸濁性の不純物でも、その一部が溶解することによって、物理的に剥離、除去されやすくなることを確認したうえで、薬液を膜の二次側から膜の一次側へ通液させるとこれらの懸濁性の不純物が効果的に剥離、除去され、さらに薬液を膜の二次側から膜の一次側へ通液させると同時に空洗を行うことでこれらの懸濁性の不純物がより効果的に剥離、除去されることを確認したことから着想を得て、本発明に至った。
すなわち、薬液貯槽に貯留した薬液を薬洗ポンプによって薬液貯槽と分離膜モジュールとの間を循環させて分離膜モジュールを薬液洗浄する薬洗工程中に、薬液を前記分離膜モジュールを構成する膜の二次側から該膜の一次側に向かって通液する工程を有する分離膜モジュールの洗浄方法であって、前記薬液貯槽と前記分離膜モジュールを結ぶ配管の途中に設置したフィルタで薬液をろ過した後、前記フィルタでろ過した後の薬液を前記分離膜モジュールに供給して薬液洗浄することを特徴とする分離膜モジュールの洗浄方法である。
ここで、薬洗工程において膜の二次側から膜の一次側へ通液する薬液は、一過的に通液しても構わないが、この場合、薬液通液時間を一定時間確保しようとしたり、通液する薬液量を一定量確保しようとしたりすると多量の薬液が必要となるために、薬液を循環して通液することによって膜の二次側から膜の一次側へ通液されるのべ薬液量が充分に確保できるうえに、必要とする薬液量が抑制できるので好ましい。
薬液を循環して通液するとき、膜の一次側から剥離、除去された懸濁性の不純物が膜の二次側に到達して汚染するのを防ぐためにフィルタで除去する必要がある。このフィルタとしては、無機多孔質フィルタ、有機多孔質フィルタ、金属製メッシュフィルタ、糸巻きフィルタ等があるが、本発明の主旨から言って、懸濁性の不純物が除去できるものであればどのようなものでも構わない。この中でも無機多孔質フィルタや有機多孔質フィルタが懸濁性の不純物の分離精度が高いため好ましく、フィルタが精密ろ過膜モジュールあるいは限外ろ過膜モジュールであると懸濁性の不純物の分離の確実性が高いためにさらに好ましい。ここで、精密ろ過膜モジュールあるいは限外ろ過膜モジュールとは、例えば、膜分離技術振興協会が定義しているAMST規格に準ずるものである。さらに、分離膜モジュールの除去性能以上の除去性能を有するフィルタを用いると分離膜モジュールの膜の二次側を汚染する懸濁性の不純物がフィルタを通過しないのでさらに好ましい。ここで、除去性能とは、標準粒子の阻止性能あるいは標準物質の阻止性能によるものとし、当業者にとって公知のものを用いればよい。標準粒子の阻止性能は、一般に精密ろ過膜モジュールに適用し、一般的に既知の粒径の粒子、例えばポリスチレン・ラテックス粒子を用いて求める。標準物質の阻止性能は、一般に限外ろ過膜モジュールに適用し、一般に既知の分子量の物質、例えばポリエチレングリコールを用いて求める。
また、フィルタの材質としては、薬液中の不純物をろ過しなければならないことから、薬液洗浄で使用される薬液に耐久性を持つ材質であればどのようなものでも構わないが、フッ素を含む有機素材やセラミックを素材から構成されるものが耐薬品性の面から好ましい。また、経済性の面から逆洗等の洗浄によりろ過性能が回復して繰返し使用ができる無機多孔質フィルタ、有機多孔質フィルタ、金属性メッシュフィルタ等が好ましい。
また、フィルタの設置位置としては、薬液が膜の二次側から膜の一次側へ通液されて分離膜モジュールから排出される位置から、薬液貯槽を介して、薬洗ポンプによって分離膜モジュールへ供給されるまでの位置のいずれの位置でも構わない。フィルタを、薬液が分離膜モジュールから薬液貯槽へ返送される配管途中に設置した場合、薬液を膜の二次側から膜の一次側へ通液すると同時に空洗を行ったときに、薬液が分離膜モジュールから薬液貯槽へ返送される配管中では薬液と空気が混合している気液混合状態であるために、フィルタがエアロックしたり、フィルタのろ過効率が悪化したりすることを防止するために気液混合状態の薬液から空気を取り除くエア抜き弁等の手段を新たに設置すると好ましい。フィルタを、薬液が薬液貯槽から分離膜モジュールへ供給する配管途中に設置した場合、気液混合状態は解消されており、エア抜き弁等の手段を設置する必要なく、薬液をフィルタで好適にろ過できるのでより好ましい。
また、薬液洗浄を継続するとフィルタに懸濁性の不純物が蓄積してろ過性能が低下するために、定期的にフィルタのろ過性能を回復させる操作が必要となる。このとき、フィルタを新品に交換してもよいし、逆洗や空洗といった物理洗浄によってろ過性能を回復させてもよい。特に、フィルタに蓄積する懸濁性の不純物は、いったんは分離膜によって原水から分離、除去されたものが剥離、除去されたものであるので、逆洗や空洗によって好適に除去できる。この場合、リンス工程においてリンス水をフィルタに通液させるような配管を設置していると、分離膜モジュールとフィルタに残留した薬液を同時にリンスでき、リンス工程終了後にフィルタを逆洗や空洗によって物理洗浄したフィルタ洗浄排水に薬液が残留していないことからフィルタ洗浄排水が取り扱いやすいので好ましい。
ここで、薬液洗浄に用いられる薬液は、不純物を溶解あるいは酸化分解するものであればどのようなものでも構わないが、一般的には塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸やクエン酸、シュウ酸等の有機酸を用いる酸洗浄と、苛性ソーダや次亜塩素酸ナトリウム等のアルカリを用いたアルカリ洗浄とを組合わせて行うことが多い。この他に過酸化水素水や界面活性剤等を用いることもある。なお、酸洗浄においては、薬液洗浄排水の有機物濃度が高くなるのを防ぐために無機酸を用いることが好ましく、薬液洗浄排水中の窒素濃度が高くなるのを防ぐために塩酸、硫酸を用いると薬液洗浄排水処理が容易となってさらに好ましい。アルカリ洗浄においては、取り扱いや入手が容易で酸化作用を有する次亜塩素酸ナトリウムを用いると有機物の除去効果が高く好ましい。
複数の薬液を組合わせて薬洗工程を行う場合は、図3に示す模式図のように、薬液貯槽を並列に複数個設置すると、それぞれの薬液を個別に調整、貯留できるので好ましい。このとき、個別に貯留した複数の薬液をそれぞれ複数回の薬液洗浄にわたって使用することができる。
薬液は、薬洗工程前に調整するようにすると、所定の濃度への調整が容易になることから好ましい。薬液を通液、循環する配管や分離膜モジュール内に原水やろ過水の残液があると、薬液通液時に濃度が低下してしまい不純物の溶解あるいは酸化分解といった薬液洗浄の効果が低下するとともに、薬液の濃度管理が困難となるために、薬液通液前に薬液を通液させる配管や分離膜モジュール内、膜の一次側および二次側から残液をドレンしておくことが好ましい。逆に、これらの残液を考慮して薬洗工程前に薬液を調整しても構わない。
薬洗工程前に残液をドレンしたとき、膜の二次側や分離膜モジュールの二次側配管から薬液を供給すると、膜の二次側がエアロックして薬液が分離膜モジュール内に適切にいきわたらないおそれがある。そこで、薬液を通液、循環させる当初は膜の一次側に薬液を供給して、薬液を全量あるいは一部を膜の一次側から膜の二次側へ通液させてろ過させることで、膜の二次側を薬液で満たしてから、薬液の通液方向を変えて、膜の二次側から膜の一次側へ薬液を通液させると、膜の二次側のエアロックの恐れがなくなり、分離膜モジュール内に適切に薬液をいきわたらせることができるために好ましいが、膜の二次側のエアロックを防ぐ手段であればどのような手段を用いても構わない。また、リンス工程においても同様にしてエアロックを防ぐ手段を用いればよい。
また、薬洗工程中に、膜の一次側から膜の二次側へ薬液を通液させたり、膜の二次側から膜の一次側へ薬液を通液させたりと、通液方向を適宜切換えても構わない。通液方向を適宜切換えることにより、不純物が除去されやすくなる。また、リンス工程においても同様にして通液方向を切換えても構わない。
リンス工程において、リンス水を通液、循環する配管や分離膜モジュール内に薬液の残液があるとリンスの効率が悪化するため、薬液通液、循環後の配管や分離膜モジュール内から薬液をドレンしておくことが好ましい。このとき、これらの配管や分離膜モジュール内の薬液を重力、薬液引抜き配管、薬液引抜きポンプ等のいずれかの手段を用いて薬液貯槽へ回収すると同時に、配管等の滞留部分にドレン配管を設けて薬液を抜き出し、これを回収して薬液貯槽へ返送する手段を有すると、使用後の薬液を再使用でき、薬液の使用量や薬液の排出量を抑制することができるので好ましい。
なお、薬液は使用回数が増えるにつれて、薬液濃度が低くなったり、不純物濃度が高くなったりして性能が劣化したり、薬液貯留量が減ったりするので、これらを防止するために、適宜、薬液を補充すればよい。薬液の補充は、薬液貯槽中の薬液の濃度、pH、酸化還元電位等のいずれの水質指標をもとに所定の値になるように薬液を補充してもよいし、画一的に所定濃度の薬液を補充してもよい。また、薬液貯槽に貯留された薬液のうちの所定量を薬液補充前に引抜いてから、上記補充方法により薬液を補充してもよい。
リンス工程において用いるリンス水は、図1、図3に示すように薬液洗浄用にリンス水槽31を設けて、そこに貯留したリンス水を用いても構わないし、図4に示すように原水を原水ポンプ2によって原水供給配管3、原水弁4を介して分離膜モジュール1に供給し、得られた膜ろ過水をろ過水配管5、ろ過弁6を介してろ過水槽7に送水する通常の膜ろ過運転で用いられるろ過水槽7に貯留された膜ろ過水をリンス水として用いても構わない。
本発明における薬洗工程時間は、原水の水質や、薬液洗浄までの運転時間、分離膜モジュールへの不純物の蓄積度合い等によって適宜定めればよいが、一般的には30〜180分程度の範囲にすると、薬液による溶解、酸化、還元といった反応による洗浄効果と、膜の一次側に蓄積、固着した懸濁性の不純物を物理的に剥離、除去する洗浄効果を確保しつつ、薬液洗浄に要する時間を短縮できるので好ましい。また、薬液の通液中に同時に空洗を行うと、膜の一次側に蓄積、固着した懸濁性の不純物をより効果的に剥離、除去できるが、薬液を通液している間、連続的に空洗を行ってもよいし、間欠的に空洗を行ってもよく、適宜定めればよい。
また、上記の通り適宜定めた薬洗工程時間のあいだ、薬液を通液し続けてもよいし、間欠的に薬液の通液を停止して分離膜モジュールを薬液に浸漬した状態で保持してもよい。また、上記の通り適宜定めた通液時間とは別に、不純物を効果高く溶解、酸化、還元といった反応による洗浄効果によって除去するために、薬液の通液を停止して分離膜モジュール薬液に浸漬する時間を0.5〜48時間程度の範囲で確保してもよい。
また、本発明におけるリンスに要する時間、あるいはリンスに要するリンス水量は、あらかじめ定めておいた時間あるいは量とするか、リンス中にリンス排水水質を連続的あるいは断続的に測定して所定の値になった時点まで行うか適宜定めればよい。なお、測定すべきリンス排水水質としては、例えばpH、酸化還元電位、残留塩素濃度等が挙げられる。
本発明における薬液の通液時間すなわち薬洗工程時間は、従来の技術において薬液による不純物の溶解、除去のための薬洗工程時間と同じとすればよく、従来の技術と同様に薬液による不純物の溶解、酸化、還元といった反応による洗浄効果を確保しつつ、付加的に懸濁性の不純物の剥離、除去ができる利点がある。さらに、従来の技術においては、薬洗工程でも除去されずに残留した膜の一次側に蓄積、固着した懸濁性の不純物を、リンス工程において多量のリンス水と長時間を要して除去していたのに対し、本発明においては、薬洗工程において膜の一次側に蓄積、固着した懸濁性の不純物を効果的に除去できるために、リンス工程において懸濁性の不純物を剥離、除去するのに要するリンス水量と時間を削減することができる。これらのことから、本発明は従来の技術と比べて薬洗工程とリンス工程から構成される薬液洗浄において、リンス工程に要するリンス水量と時間を削減でき、効率的な薬液洗浄が行うことができる。
ここで、分離膜モジュールは大きく加圧型と浸漬型とに分類されるが、いずれの分類のものでも構わないが、加圧型の分離膜モジュールの方が一般的に分離膜モジュール、付帯配管、さらには浸漬水槽等を合わせた容積が小さく、使用する薬液量やリンス水量をより少量に出来るので好ましい。
分離膜モジュールの形状としては、中空糸膜、チューブラー膜、平膜等がある。ここで、中空糸膜とは直径2mm未満の円管状の分離膜、チューブラー膜とは直径2mm以上の円管状の分離膜をいう。本発明においては、いずれの形状の分離膜モジュールを用いても構わないが、一般的に高い膜ろ過流束での逆洗ができない構造であることが多い平膜形状の分離膜モジュールよりも、充分に高い膜ろ過流束での逆洗ができる構造である中空糸膜やチューブラー膜形状の分離膜モジュールを用いた方が、薬液を膜の二次側から膜の一次側へ通液した際に懸濁性の不純物を剥離、除去しやすいので好ましい。
また、分離膜としては、本発明の主旨からどのようなものでも構わないが、一般的に除濁用途として用いられる精密ろ過膜および限外ろ過膜が好ましい。
分離膜の素材としては、本発明の主旨から特に限定されるものではないが、有機素材を使用する場合、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、およびクロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース等が使用でき、無機素材を使用する場合はセラミック等が使用利用できる。この中でも膜強度や耐薬液性の観点からフッ素を含む有機素材やセラミックを素材とするものが好ましい。また、薬液洗浄回復性の観点から一般的に親水性素材とされるポリアクリロニトリルや酢酸セルロースを含む有機素材が好ましい。
本発明における原水としては、特に限定されるものではなく、河川水、湖沼水、地下水、工業用水、都市下水、工業廃水等のいずれの水でも構わなく、またこれらの水に凝集、沈殿、ろ過、吸着、生物処理等の処理を施した水でも構わない。
公称孔径0.05μmのポリフッ化ビニリデン製中空糸MF膜からなる加圧型分離膜モジュール(東レ株式会社製HFS−2008)を3本並列に、琵琶湖水の膜ろ過を1ヶ月間にわたって行った。1ヵ月後に、それぞれの透水性能が初期値比で21.3%、21.2%、21.6%となったところで、表1に示す条件で、以下に示す実施例1、2、比較例1の薬液洗浄を実施した。
リンス工程は、リンス排水のpHが6〜8の範囲内になって、かつ、リンス排水の濁度が5度未満になるまで実施した。
(実施例1)
透水性能が初期値比で21.3%になった分離膜モジュールを、図3に示したフローの薬液洗浄装置を用いて、薬液洗浄を行った。なお、図3におけるフィルタ16には、公称孔径0.2μmのPTFE製カートリッジフィルターを用いた。
透水性能が初期値比で21.3%になった分離膜モジュールを、図3に示したフローの薬液洗浄装置を用いて、薬液洗浄を行った。なお、図3におけるフィルタ16には、公称孔径0.2μmのPTFE製カートリッジフィルターを用いた。
薬洗工程は、薬液貯槽11a,11bに貯留された薬液(塩酸(1N)、次亜塩素酸ソーダ(3,000mg/L))を、薬洗ポンプ13によって、薬液弁12a,12b、薬液供給配管14、フィルタ入口弁15、フィルタ16、膜二次側薬洗配管17、膜二次側薬洗弁18を介して、分離膜モジュール1の膜の二次側に供給し、膜の二次側から膜の一次側へ通液されて分離膜モジュール1から排出された薬液を、膜一次側薬洗配管19、薬液返送弁20a,20b介して薬液貯槽11a,11bに返送した。また、薬洗工程中に、空洗ブロワ21から供給される空気を空洗配管22、空洗弁23を介して、分離膜モジュール1の下部から供給して空気洗浄を行う工程を設けた。
リンス工程は、リンス水槽31に貯留されたリンス水を、薬洗ポンプ13によって、リンス水槽弁32、薬液供給配管14、フィルタ入口弁15、フィルタ16、膜一次側リンス弁B33bを介して、分離膜モジュール1の膜の一次側に供給し、膜の一次側を膜と平行に通液して分離膜モジュール1から排出されたリンス排水を、膜一次側薬洗配管19、膜一次側リンス排水弁34、リンス排水配管36を介して系外に排出した。また、リンス水の一部(リンス水量[総量]に対し50%)を、分離膜モジュール1の膜の一次側から膜の二次側へ通液し、分離膜モジュール1から排出されたリンス排水を、膜二次側薬洗配管17、膜二次側リンス排水弁35、リンス排水配管36を介して系外に排出した。また、リンス工程中に、空洗ブロワ21から供給される空気を空洗配管22、空洗弁23を介して、分離膜モジュール1の下部から供給して空気洗浄を行う工程を設けた。
薬液洗浄結果を表2に示す。薬液洗浄終了後の透水性能は初期値比で95.4%であり、良好に回復した。リンス工程に要したリンス水量は、合計230Lであった。
(実施例2)
透水性能が初期値比で21.2%になった分離膜モジュールを、図3に示したフローの薬液洗浄装置を用いて、薬液洗浄を行った。なお、図3におけるフィルタ16には、公称孔径0.05μmのポリフッ化ビニリデン製中空糸MF膜からなる加圧型分離膜モジュール(東レ株式会社製HFS−1010)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして薬液洗浄を行った。
透水性能が初期値比で21.2%になった分離膜モジュールを、図3に示したフローの薬液洗浄装置を用いて、薬液洗浄を行った。なお、図3におけるフィルタ16には、公称孔径0.05μmのポリフッ化ビニリデン製中空糸MF膜からなる加圧型分離膜モジュール(東レ株式会社製HFS−1010)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして薬液洗浄を行った。
薬液洗浄結果を表2に示す。薬液洗浄終了後の透水性能は初期値比で95.8%であり、良好に回復した。リンス工程に要したリンス水量は、合計230Lであった。
(比較例1)
透水性能が初期値比で21.6%になった分離膜モジュールを、図5に示したフローの薬液洗浄装置を用いて、薬液洗浄を行った。
透水性能が初期値比で21.6%になった分離膜モジュールを、図5に示したフローの薬液洗浄装置を用いて、薬液洗浄を行った。
薬洗工程は、薬液貯槽11a,11bに貯留された薬液(塩酸(1N)、次亜塩素酸ソーダ(3,000mg/L))を、薬洗ポンプ13によって、薬液弁12a,12b、薬液供給配管14、膜一次側リンス弁33を介して、分離膜モジュール1の膜の一次側に供給し、膜の一次側を膜と平行に通液して分離膜モジュール1から排出された薬液を、膜一次側薬洗配管19、薬液返送弁20a,20bを介して薬液貯槽11a,11bに返送した。また、薬液の一部を、分離膜モジュール1の膜の一次側から膜の二次側へ通液し、分離膜モジュール1から排出された薬液を、膜二次側薬洗配管17、膜二次側薬液返送弁38a,38bを介して薬液貯槽11a,11bに返送した。また、薬洗工程中に、空洗ブロワ21から供給される空気を空洗配管22、空洗弁23を介して、分離膜モジュール1の下部から供給して空気洗浄を行う工程を設けた。
リンス工程は、リンス水槽31に貯留されたリンス水を、薬洗ポンプ13によって、リンス水槽弁32、薬液供給配管14、膜一次側リンス弁33を介して、分離膜モジュール1の膜の一次側に供給し、膜の一次側を膜と平行に通液して分離膜モジュール1から排出されたリンス排水を、膜一次側薬洗配管19、膜一次側リンス排水弁34、リンス排水配管36を介して系外に排出した。また、リンス水の一部(リンス水量[総量]に対し50%)を、分離膜モジュール1の膜の一次側から膜の二次側へ通液し、分離膜モジュール1から排出されたリンス排水を、膜二次側薬洗配管17、膜二次側リンス排水弁35、リンス排水配管36を介して系外に排出した。また、リンス工程中に、空洗ブロワ21から供給される空気を空洗配管22、空洗弁23を介して、分離膜モジュール1の下部から供給して空気洗浄を行う工程を設けた。
薬液洗浄結果を表2に示す。薬液洗浄終了後の透水性能は初期値比で95.1%であり、実施例1、2と同様に良好に回復した。一方、リンス工程に要したリンス水量は、合計600Lであり、実施例1、2の約2.6倍の水量を要した。多くのリンス水量を要した理由としては、リンス排水のpHが6〜8になった後も、リンス排水濁度がなかなか5度未満にならなかったためである。
本発明は、分離膜モジュールの薬液洗浄装置および薬液洗浄方法に関するものである。さらに詳しくは、上水道における浄水処理分野、工業用水や食品、医療プロセス用水といった産業用水製造分野、下水や工業廃水といった下排水処理分野などに使用される分離膜モジュールの薬液洗浄装置および薬液洗浄方法に関するものであるが、本発明はこれらに限られるものではない。
1:分離膜モジュール
2:原水ポンプ
3:原水供給配管
4:原水弁
5:ろ過水配管
6:ろ過弁
7:ろ過水槽
8:逆洗ポンプ
9:逆洗配管
10:逆洗弁
11:薬液貯槽
11a:薬液貯槽A
11b:薬液貯槽B
12:薬液弁
12a:薬液弁A
12b:薬液弁B
13:薬洗ポンプ
14:薬液供給配管
15:フィルタ入口弁
16:フィルタ
17:膜二次側薬洗配管
18:膜二次側薬洗弁
19:膜一次側薬洗配管
20:薬液返送弁
20a:薬液返送弁A
20b:薬液返送弁B
21:空洗ブロワ
22:空洗配管
23:空洗弁
31:リンス水槽
32:リンス水槽弁
33:膜一次側リンス弁
33a:膜一次側リンス弁A
33b:膜一次側リンス弁B
34:膜一次側リンス排水弁
35:膜二次側リンス排水弁
36:リンス排水配管
37:リンス水弁
38:膜二次側薬液返送弁
38a:膜二次側薬液返送弁A
38b:膜二次側薬液返送弁B
2:原水ポンプ
3:原水供給配管
4:原水弁
5:ろ過水配管
6:ろ過弁
7:ろ過水槽
8:逆洗ポンプ
9:逆洗配管
10:逆洗弁
11:薬液貯槽
11a:薬液貯槽A
11b:薬液貯槽B
12:薬液弁
12a:薬液弁A
12b:薬液弁B
13:薬洗ポンプ
14:薬液供給配管
15:フィルタ入口弁
16:フィルタ
17:膜二次側薬洗配管
18:膜二次側薬洗弁
19:膜一次側薬洗配管
20:薬液返送弁
20a:薬液返送弁A
20b:薬液返送弁B
21:空洗ブロワ
22:空洗配管
23:空洗弁
31:リンス水槽
32:リンス水槽弁
33:膜一次側リンス弁
33a:膜一次側リンス弁A
33b:膜一次側リンス弁B
34:膜一次側リンス排水弁
35:膜二次側リンス排水弁
36:リンス排水配管
37:リンス水弁
38:膜二次側薬液返送弁
38a:膜二次側薬液返送弁A
38b:膜二次側薬液返送弁B
Claims (7)
- 薬液貯槽に貯留した薬液を薬洗ポンプによって薬液貯槽と分離膜モジュールとの間を循環させて分離膜モジュールを薬液洗浄する薬洗工程中に、薬液を前記分離膜モジュールを構成する膜の二次側から該膜の一次側に向かって通液する工程を有する分離膜モジュールの洗浄方法であって、前記薬液貯槽と前記分離膜モジュールを結ぶ配管の途中に設置したフィルタで薬液をろ過した後、前記フィルタでろ過した後の薬液を前記分離膜モジュールに供給して薬液洗浄することを特徴とする分離膜モジュールの洗浄方法。
- 前記膜の一次側に空気を供給する空気洗浄を前記薬液洗浄と同時に行う工程を有することを特徴とする請求項1に記載の分離膜モジュールの洗浄方法。
- 薬液貯槽に貯留した薬液を薬洗ポンプによって薬液貯槽と分離膜モジュールとの間を循環させる薬液洗浄手段を有する分離膜モジュールの洗浄装置であって、前記薬液洗浄手段には前記薬液貯槽と前記分離膜モジュールとを結ぶ配管が設置され、該配管の途中にはフィルタが設置されていることを特徴とする分離膜モジュールの洗浄装置。
- 前記薬液貯槽から前記分離膜モジュールに向かう配管の途中にフィルタを設置されていることを特徴とする請求項3に記載の分離膜モジュールの洗浄装置。
- 前記分離膜モジュールが加圧型分離膜モジュールであることを特徴とする請求項3または4に記載の分離膜モジュールの洗浄装置。
- 前記フィルタが、精密ろ過膜モジュールあるいは限外ろ過膜モジュールであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の分離膜モジュールの洗浄装置。
- 前記フィルタの除去性能が、前記分離膜モジュールの除去性能以上であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の分離膜モジュールの洗浄装置。
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-
2005
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