JP2007311455A - 半導体受光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部量子効率、暗電流特性、応答速度、雑音特性に優れたAPDを提供する。
【解決手段】不純物ドープ光吸収層と、光吸収層よりも屈折率が低く、光吸収層を挾む二つの光ガイド層と、光ガイド層よりも屈折率が低いアンドープ増倍層とを少なくとも含む多層構造を有する端面入射導波路型APDであって、光吸収層を挾んで形成された二つの光ガイド層のうち、一方の光ガイド層は、光吸収層と同じ導電型に不純物がドープされ、他方の光ガイド層は、アンドープの半導体層で構成されている。増倍層はアンドープ光ガイド層側に形成される。多層構造を構成する半導体層のうち、光吸収層を除く半導体層の屈折率が光吸収層の屈折率よりも低くなっている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体受光素子に関し、特に、素子内部に利得構造を有するアバランシェフォトダイオード(Avalanche Photo Diode、以下、APDと記す)に関する。
インターネット等の広帯域マルチメディア通信サービスの爆発的な需要増加に伴って、より高速、大容量、かつ、高機能な光ファイバ通信システムの開発が求められている。さらに、情報の多様化に伴い、秘匿性がより一層強く求められ、暗号化技術が発展してきたが、同時に暗号解読技術も進展し、暗号化技術と暗号解読技術のせめぎ合いが続いている。
このような暗号解読技術の著しい進展に伴い、秘匿性が高く解読不可能な暗号の生成技術が強く求められている。この要請を満たす技術の一つとして、光ファイバ通信システムにおいては量子暗号通信システムが開発され、原理的に盗聴者が解読不可能なシステムが構築された。この量子暗号通信システムでは光子1個に情報を持たせて通信することを特徴としているため、受光側では暗電流が小さく感度の高い受光素子が要求される。この要求を満たす受光素子として、内部に利得を有するAPDが用いられている。
図7は、従来の吸収層・増倍層分離タイプ(Separated absorption and multiplication layer:SAM構造)のAPDの層構造を示す模式図である。この層構造は、InP基板701上にn型InPバッファ層702、アンドープInAlAs増倍層703、p型InAlAs電界緩和層704、アンドープInGaAs光吸収層705、p型InPキャップ層706を順次積層した多層構造になっている。この様な多層構造のAPDは、逆バイアスが印加された動作状態において、不純物濃度の低いアンドープInAlAs増倍層703からアンドープInGaAs光吸収層705までが空乏化し、アンドープInGaAs光吸収層705にも電界が印加される。このように、上記構造のAPDでは、多層構造を構成する半導体層の中でもエネルギーバンドギャップの狭い、所謂ナローギャップ材料であるアンドープInGaAs光吸収層705に電界が印加されるため、暗電流発生の原因となっていた。このInGaAs光吸収層での暗電流を抑制するのに効果的な構造のAPDが特許文献1(特開2005−86192)に記載されている。
図8(a)は、特許文献1に開示された、光吸収層に起因した暗電流を抑制するAPDの層構造を示す模式図である。このAPDは、n型又は半絶縁性のInP基板801上にn型InGaAsP光ガイド層802、アンドープInAlAs増倍層803、p型InAlAs電界緩和層804、アンドープInPドリフト層805、p型InGaAs光吸収層806、InGaAsP電子隔離層807、p型InGaAsP光ガイド層808が順次積層された多層構造になっており、外部量子効率向上に有利な端面入射導波路型層構造が採用されている。光吸収層にはアンドープのInGaAs光吸収層ではなく、不純物をドーピングしたp型のInGaAs光吸収層806が採用され、APDに逆バイアスが印加された動作時にp型InGaAs光吸収層806が空乏化しない構造、即ち、動作時にp型InGaAs光吸収層806に電界が印加されない構造になっている。このように、特許文献1に開示されたAPDでは、ナローギャップ材料で構成されたp型InGaAs光吸収層806に電界が印加されない構造なので、p型InGaAs光吸収層806におけるトンネル電流に起因した暗電流の抑制が期待できる。
特開2005−86192号公報(段落〔0010〕〔0013〕〔0017〕、図2、図6)
しかしながら、特許文献1に記載されたAPDは、以下の点で改善の余地がある。
図8(a)に示すように、特許文献1に開示されたAPDでは、光ガイド層802、808と電子隔離層807がInGaAsPで構成され、ドリフト層805が光ガイド層よりも屈折率が低いInPで構成されている。さらに、n型光ガイド層802とp型光吸収層806がアンドープInAlAs増倍層803を挟んで設けられている。増倍層803は、高電界の印加によりキャリアの雪崩増倍を引き起こし、大量のキャリアを発生させる機能を持つ層である。このため、増倍層803には、高電界が印加された状態においてもトンネル電流が抑制できるように、光吸収層や光ガイド層等の半導体層に比べてエネルギーバンドギャップの広い材料が用いられる。このエネルギーバンドギャップの広い材料として図8(a)のAPDでは増倍層にInAlAsが採用されている。
一般にエネルギーバンドギャップの広い材料は、エネルギーバンドギャップの狭い材料よりも屈折率が低いから、図8(a)の層構造における積層方向の屈折率分布は図8(b)に示すようになる。なお、図8(b)の横軸は屈折率、縦軸は積層方向であり、図8(a)の各層に対応して屈折率が示してある。また、InPドリフト層805とInAlAs電界緩和層804の屈折率はほぼ同じなので同じ値として描いてある。図8(b)から分かるように、各層の屈折率は、p型InGaAs光吸収層806が最も高く、次いで、InGaAsP光ガイド層802、808とInGaAsP電子隔離層807が中間的な高さで、アンドープInAlAs増倍層803、p型InAlAs電界緩和層804、アンドープInPドリフト層805、InP基板301は最も低い。このように、図8(a)の層構造を有するAPDでは、図8(b)に示すように、アンドープInAlAs増倍層803、p型InAlAs電界緩和層804およびアンドープInPドリフト層805から成る屈折率の低い低屈折率領域Lを挾んで、p型InGaAs光吸収層806、InGaAsP電子隔離層807、p型InGaAsP光ガイド層808を含む屈折率の高い第1の高屈折率領域H1と、n型InGaAsP光ガイド層802から成る屈折率の高い第2の高屈折率領域H2とに、屈折率の高い領域が分かれている。
図9は、上記屈折率分布を有する層構造を備えた端面入射導波路型APDにおける、導波方向での入射光の導波状態を示す模式図である。図中、矢印はそれぞれ入射光、導波光、放射モード光を示している。また、矢印に重畳した曲線は入射光強度分布と導波光強度分布を示している。図9に示すように、入射光は光強度が積層方向に広く分布する。また、APDは光を導波する屈折率の高い領域が第1の高屈折率領域H1と第2の高屈折率領域H2の二つに分かれている。このため、入射光が、入射端面においてp型InGaAs光吸収層806を含む第1の高屈折率領域H1を中心に結合した場合でも、入射光は、第1の高屈折率領域H1と第2の高屈折率領域H2に分かれて導波する。第2の高屈折率領域H2には光吸収層が存在しないので、第2の高屈折率領域H2を導波する光はキャリア発生に寄与しない。このため、光の利用効率が劣化する。一方、第1の高屈折率領域H1にはp型InGaAs光吸収層806が存在するので、第1の高屈折率領域H1を導波する光はp型InGaAs光吸収層806で吸収されてキャリア発生に寄与する。しかし、低屈折率領域Lを介して第2の高屈折率領域H2が第1の高屈折率領域H1に近接して存在するので、第1の高屈折率領域H1を導波する光は、低屈折率領域Lを介して近接する第2の高屈折率領域H2にエバネッセント結合し、導波するに伴い一その部が第2の高屈折率領域H2に移行し、放射モードとなる(図9中の光を示す矢印及び光強度分布を示す曲線参照)。このため、第1の高屈折率領域H1で導波損失が生じ、p型InGaAs光吸収層806での吸収効率の低下をひきおこす。
以上説明したように、従来構造のAPDでは内部量子効率の点で課題があった。本発明は、上記の問題点を解決し、内部量子効率はもとより、暗電流特性、応答速度、雑音特性にも優れたAPDを提供することを目的としている。
本発明の半導体受光素子は、光吸収層、光ガイド層、増倍層を少なくとも含む多層構造を有し、多層構造の端面から光を入射し、多層構造の積層面に平行な方向に光を導波する端面入射導波路型の半導体受光素子である。光吸収層は、二つの光ガイド層の間に挾まれて形成されており、動作電圧で空乏化しない程度の濃度に不純物がドープされている。二つの光ガイド層は、光吸収層の屈折率よりも低い屈折率を有し、光吸収層を挾んで形成された二つの光ガイド層のうち、一方の光ガイド層(第1の光ガイド層)は、光吸収層と同じ導電型に不純物がドープされている。他方の光ガイド層(第2の光ガイド層)はアンドープ或いは低濃度にドープされた半導体層で構成されて、動作電圧で空乏化する層である。増倍層は、屈折率が光ガイド層の屈折率よりも低い半導体層で構成され、第2の光ガイド層側に形成されている。光吸収層、二つの光ガイド層、増倍層を少なくとも含む多層構造を構成する半導体層のうち、光吸収層を除く半導体層の屈折率が前記何れの光吸収層の屈折率よりも低い屈折率分布になっている。
本発明の半導体受光素子は、上記構成において、光吸収層の不純物濃度が、当該光吸収層と第2の光ガイド層の界面から、当該光吸収層と不純物がドープされた第1の光ガイド層の界面に向けて、連続的または階段型に増加する濃度勾配を有する構成にしてもよい。この場合、濃度勾配に応じた内部電界が光吸収層内に形成され、この内部電界によりキャリアが加速されるので応答速度が向上する利点がある。
光吸収層に不純物濃度勾配を設ける具体的な構成の一例を挙げると、光吸収層を、不純物濃度が異なる複数の半導体層で構成し、且つ、第2の光ガイド層側の前記半導体層の不純物濃度が、不純物がドープされた第1の光ガイド層側の前記半導体層の不純物濃度よりも低くなるように半導体層を形成すればよい。光吸収層を多層にしないで、単層で構成する場合は、イオン注入や拡散により不純物をドープすれば、濃度が連続的に変化する濃度分布を形成することが可能である。
さらに、本発明の半導体受光素子は、上記構成に加えて、第1の光ガイド層の屈折率及び第2の光ガイド層の屈折率が、光吸収層から遠いほど低くなっている構成としてもよい。この場合、上記のような屈折率分布は凸レンズ効果を有し、光を発散しないように導波するので、入射光は光ガイド層と光吸収層で構成された屈折率の高い領域に強く閉じ込められ、この屈折率の高い領域から外部に漏れるのが抑制される。このため、入射光が光吸収層で吸収される効率が向上し、内部量子効率が向上する。
光ガイド層に屈折率分布を設ける具体的な構成は、一例として、第1の光ガイド層及び第2の光ガイド層を、それぞれ屈折率が異なる複数の半導体層で構成し、且つ、光吸収層から遠い前記半導体層ほど屈折率が低い構成にすればよい。
尚、上記構成では、二つの光ガイド層にそれぞれ屈折率分布を設ける構成としたが、どちらか一方の光ガイド層のみに屈折率分布を設ける構成としてもよい。
本発明の半導体受光素子の多層構造は、具体的には、半導体基板上に、下から順にバッファ層、アンドープ増倍層、第1導電型電界緩和層、アンドープ光ガイド層、第1導電型光吸収層、第1導電型光ガイド層、第1導電型キャップ層が積層された構造になっている。或いは、この層構造とは逆に、半導体基板上に、下から順にバッファ層、第2導電型光ガイド層、第2導電型光吸収層、アンドープ光ガイド層、第2導電型電界緩和層、アンドープ増倍層、第1導電型キャップ層が積層された構造としてもよい。また、導電型を上記と逆にしてもよい。
上記構成の本発明の半導体受光素子は、何れも入射端面において、入射光の中心が光吸収層に結合するように構成された半導体受光素子であったが、第1の光ガイド層の層厚を第2の光ガイド層の層厚よりも極端に厚くし、入射端面において、不純物がドープされた第1の光ガイド層に入射光の中心が結合するように構成してもよい。この場合、入射光の中心が光吸収層ではなく不純物がドープされた第1の光ガイド層に結合するので、入射光は入射端面ですぐに吸収されずに、不純物がドープされた第1の光ガイド層内を長い距離導波する。このとき、光は屈折率が大きい層を導波する性質を有するため、不純物がドープされた第1の光ガイド層を導波する光は、光ガイド層を導波するにしたがい隣の屈折率の高い光吸収層に漏れ出て結合し、吸収される。この結果、入射光は導波路方向に広く分散されて吸収される。このように、入射光が導波路方向に分散されて吸収されると、光電流が入射端面近傍に集中せずに、導波路方向に広く分布し、光電流密度が低くなるので、高光入射耐性と高量子効率特性を併せ持つ半導体受光素子が実現できる。
第1の光ガイド層の層厚を第2の光ガイド層の層厚よりも極端に厚くし、光ガイド層の厚さを非対称にした上記の層構造において、不純物がドープされた第1の光ガイド層の屈折率を、光吸収層から遠いほど低くなるように構成してもよい。この場合、不純物がドープされた第1の光ガイド層を導波する光は光吸収層側に集束するように導波するので、光吸収層に結合し、吸収される効率がさらに向上する。この、上記の屈折率分布を有する、不純物がドープされた第1の光ガイド層は、屈折率が異なる複数の半導体層を、光吸収層から遠い半導体層ほど屈折率が低くなるように積層・形成することで実現できる。
尚、光吸収層に入射光の中心が結合する構成の半導体受光素子では、入射光の中心が光吸収層に結合されるので、入射光は入射端面及びその近傍で殆ど吸収され、光導波路構造部内を導波する距離が、光ガイド層に入射光の中心を結合した構成の半導体受光素子よりも遙かに短い。このため、光吸収層に入射光の中心が結合する構成の半導体受光素子では、光電流の導波路方向の分布は、第1の光ガイド層に入射光の中心が結合するように構成した半導体受光素子ほど広くはない。
本発明の半導体受光素子の層構造を構成する半導体層は、波長が1.3μm〜1.55μmの長波長帯光通信で用いられる光に対して最も効率よく動作する半導体材料を用いている。具体的には、光吸収層はInGaAs又はInGaAsP又はInAlGaAsのいずれかで構成され、増倍層および電界緩和層はInAlAs又はInP又はInGaAsP又はInAlGaAsのいずれかで構成され、第1の光ガイド層および第2の光ガイド層はInAlGaAsまたはInGaAsPのいずれかで構成されている。さらに、第1の光ガイド層および第2の光ガイド層の組成波長が、光吸収層の組成波長よりも短く、増倍層、電界緩和層の組成波長よりも長い組成波長になっている。このような半導体材料を用いることで、入射光を導波する屈折率が高い光導波領域が、光吸収層と光ガイド層で構成される領域のみである屈折率分布を有する多層構造を実現している。
本発明によれば、光吸収層はもとより、多層構造を構成する各半導体層の不純物濃度や屈折率等に工夫を施したので、内部量子効率はもとより、暗電流特性、応答速度、雑音特性にも優れた半導体受光素子が実現できた。
本実施形態の半導体受光素子は、半導体基板上に、n型バッファ層、アンドープ増倍層、p型電界緩和層、アンドープ光ガイド層(第2の光ガイド層)、p型光吸収層、p型光ガイド層(第1の光ガイド層)、p型キャップ層を順次積層した多層構造を備え、多層構造の端面から光を入射する端面入射導波路型のAPDである。多層構造を構成する半導体層のうち、p型光吸収層を挾む二つの光ガイド層は、p型光吸収層よりも屈折率が低い半導体層で構成され、p型光吸収層をコア、光ガイド層をクラッドとする光導波路構造になっている。また、多層構造は、p型キャップ層、p型電界緩和層、アンドープ増倍層、n型バッファ層の何れもが光ガイド層よりも屈折率が低い半導体層で構成され、p型光吸収層と光ガイド層で構成された領域をコア、p型キャップ層、p型電界緩和層、アンドープ増倍層、n型バッファ層をクラッドとした光導波路構造になっていて、多層構造中に光を導波する屈折率の高い領域が光吸収層と光ガイド層で構成された領域の他に存在しない屈折率分布になっている。
光吸収層は、光を吸収して電子・正孔対を発生する層であるので、受光すべき光を吸収可能なエネルギーバンドギャップを有する材料で構成する。用いる材料は受光波長に応じて適宜選択すればよい。例えば、長波長帯光通信で用いられる波長1.3μm〜1.55μmの光を受光するには、InGaAs、InGaAsP、InAlGaAs等が利用できる。さらに、光吸収層は、光吸収層での暗電流を抑制するために動作時に光吸収層に電界が印加されないように、不純物をドープした層とする。ドープする不純物の濃度は、動作電圧で光吸収層が空乏化しない程度の濃度とすれば動作時に光吸収層に電界が印加されない。屈折率は、多層構造を構成する半導体層のうちで最も高い屈折率とすることで、光吸収層に効率よく光を閉じ込めることができて、吸収効率が向上する。光吸収層の厚みは任意に定めればよいが、光吸収層内でのキャリア走行時間を短くし、応答速度向上を図る上で、薄い方が好ましい。しかし、薄すぎると光吸収効率が低下するので、厚みは0.1μm〜0.5μm程度とするのがよい。
光ガイド層は、光吸収層を挾んで形成されて、入射光を導波し、光吸収層に光を閉じ込めるための層であるので、光吸収層よりも屈折率が低く、入射光に対して透明となるように光吸収層よりもエネルギーバンドギャップが広い材料で構成する。用いる材料は光吸収層の材料に応じて適宜選択すればよい。例えば、光吸収層がInGaAs、InGaAsP、InAlGaAs等で構成された場合、InAlGaAsやInGaAsP等が利用できる。このとき、これら材料の組成波長を光吸収層の組成波長よりも短くするのが好ましい。また、光が、光ガイド層に隣接するキャップ層や電界緩和層、増倍層側に漏れないように、光吸収層と反対側で光ガイド層に隣接する半導体層(キャップ層や電界緩和層、増倍層等)との屈折率差も大きくなるよう考慮して材料・組成を選択するのがよい。材料の選択に当たっては、光ガイド層は、その組成波長が光吸収層の組成波長よりも短く、増倍層の組成波長よりも長くなるように材料・組成を選択する。この場合、光ガイド層と光吸収層との屈折率差を大きくするよりも、光吸収層と反対側で光ガイド層に隣接する半導体層(キャップ層や電界緩和層、増倍層等)と光ガイド層との屈折率差を大きくした方が光ガイド層での導波損失が小さくなるので、光ガイド層は、入射光に対して透明な組成波長の中でなるべく長波長側の組成波長の材料・組成で構成するのがよい。
光吸収層を挾んで形成されている二つの光ガイド層のうち、増倍層に近い方の光ガイド層(第2の光ガイド層)は、アンドープ半導体層或いは低濃度半導体層で構成して動作電圧で空乏化するように構成するのが望ましい。第2の光ガイド層が空乏化すると、空乏化領域が増倍層のみならず第2の光ガイド層まで広がるので、素子容量が低減して高速動作に有利である。また、第2の光ガイド層に電界が印加されるので、キャリアはこの電界により加速されて、光ガイド層を速やかに通過して増倍層に移動できるから高速動作に有利である。動作電圧で第2の光ガイド層が空乏化しない構成にしてもよいが、第2の光ガイド層が空乏化しない場合、空乏化領域が増倍層だけになるから素子容量が大きくなり、高速動作には不利となる。増倍層から遠い方の光ガイド層(第1の光ガイド層)が空乏化した場合は光ガイド層に挾まれた光吸収層も空乏化して光吸収層にも電界が印加され、暗電流が増加する。これを防ぐため、増倍層から遠い方の光ガイド層(第1の光ガイド層)は、光吸収層と同じように動作電圧で空乏化しない程度の濃度に不純物をドープして、光吸収層と同じ導電型にしておく。
光ガイド層の厚みは特に定めはないが、光が光ガイド層からキャップ層や増倍層に漏れるのが抑制できる厚さにするのが望ましい。このとき、二つの光ガイド層の厚さを同じにする必要はない。増倍層に近い方の光ガイド層(第2の光ガイド層)の厚みを薄くすれば、光ガイド層を通過して増倍層に移動するキャリア走行時間が短くなり、高速応答に有利である。
増倍層は、雪崩増倍によりキャリアを多数発生させる層であるので、高電界が印加されるようキャリア濃度の低い層で構成する。キャリア濃度は、増倍層内の電界強度が高く一定になるよう、可能な限り低くする。キャリア濃度の低い層としては、アンドープ半導体層が好ましいが、必ずしもアンドープ半導体層にする必要ない。高電界が印加されれば低濃度(例えば、10の17乗代)の不純物を含有していてもよい。
増倍層を構成する材料は、光を光ガイド層に閉じ込める必要があるため、光ガイド層よりも屈折率が低い材料を用いるのが望ましい。また、増倍層で入射光を吸収しないようにすると共に、高電界印加によりリーク電流が発生しないように相対的にエネルギーバンドギャップの広い材料・組成を用いる。具体的には、光吸収層の材料・組成に応じて定めればよい。例えば、光吸収層がInGaAs、InGaAsP、InAlGaAs等で構成された場合、InAlAs、InP、InGaAsP又はInAlGaAs等が利用できる。このとき、これら材料の組成波長を光吸収層の組成波長よりも短くするのが好ましい。また、増倍層は単層で構成するほか、2種類の層を交互に積層した超格子、例えば、InAlAs/InGaAlAs超格子等、で構成してもよい。増倍層を超格子で構成すると、イオン化率比を改善するのに有利である。なお、光を導波する観点からは、増倍層の屈折率を光ガイド層の屈折率と同じとしてもよいが、光ガイド層と同じ屈折率とした場合、増倍層のエネルギーバンドギャップが狭くなり、高電界印加時に暗電流が増加するので好ましくない。
電界緩和層は、増倍層と光ガイド層に挾まれて形成されて、増倍層に印加された高電界を緩和し、光ガイド層に高電界が印加されないようにする層であるので、電界緩和層での電圧降下を大きくするために高濃度(例えば、10の18乗代以上)にドープした半導体層で構成する。電界緩和層に使用する材料は、通常は増倍層と同一材料を用いる。具体的には、上記増倍層と同様に、InAlAs、InP、InGaAsP又はInAlGaAs等が利用できる。なお、電界緩和層は必ずしも設けなければならない層ではないので、設けなくてもよい。
半導体層の界面において格子不整合が生じると、転位などの結晶欠陥が導入され、APDの特性が劣化するので、上記各層を含め、多層構造を構成する半導体層の材料・組成は、欠陥発生等結晶性が劣化しないよう、基板と格子整合するように選択するのが好ましい。
上記実施形態のAPDは、入射光が端面から入射して半導体層面に平行に導波する導波路型であり、小さいpn接合面積で、高い量子効率が得られるため、pn接合部に起因した暗電流を抑制でき、雑音特性が向上する。また、光吸収層は、動作電圧が印加されても空乏化しない程度の濃度に不純物がドーピングされているので、光吸収層には外部印加電圧に起因する電界が印加されない。このため、光吸収層での暗電流の発生が抑制される。
さらに、上記構成のAPDは、光ガイド層は光吸収層よりも屈折率が低いから、入射光は、屈折率が最も高い光吸収層に閉じ込められで導波する。このため、入射光は光吸収層で効率よく吸収されるので内部量子効率が向上する。また、APDを構成する多層構造は、光を導波する屈折率の高い領域が光吸収層と二つの光ガイド層から構成された領域以外に存在しない屈折率分布になっているから、光吸収層と二つの光ガイド層から構成された高屈折率領域内を進行する光が、高屈折率領域から漏れ出て他の高屈折率領域に結合する放射モードになることもなく、導波損失が抑制されて内部量子効率が向上する。
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した長波長帯APDの構造を示す斜視図である。本実施例1のAPDは、図1に示すように、n型又は半絶縁性のInP基板101上に下から順にInP基板に格子整合させて、層厚1.0μm、不純物濃度5.00×1018cm−3のSiドープn型InPバッファ層102、層厚0.4μmのアンドープIn0.52Al0.48As増倍層(以下、組成値を省略してInAlAsと記す)103、層厚0.1μm、不純物濃度5.00×1018cm−3のBeドープp型In0.52Al0.48As電界緩和層(以下、組成値を省略してInAlAsと記す)104、層厚0.5μm、組成波長1.2μmのアンドープInAlGaAs光ガイド層(第2の光ガイド層)105、層厚0.5μm、不純物濃度1.00×1018cm−3のBeドープp型In0.53Ga0.47As光吸収層(以下、組成値を省略してInGaAsと記す)106、層厚0.5μm、不純物濃度5.00×1018cm−3、組成波長1.2μmのBeドープp型InAlGaAs光ガイド層(第1の光ガイド層)107、層厚0.7μm、不純物濃度5.00×1018cm−3のBeドープp型InPキャップ層108を積層した多層構造を有している。さらに、このAPDは、p型InPキャップ層108からn型InPバッファ層102の途中までエッチングされたメサストライプ導波構造が形成されて、端面から光を入射する端面入射導波路型の構成になっている。メサストライプ導波構造の側壁及びn型InPバッファ層102の露出面にSiNx等のパッシベーション膜110が形成され、メサストライプ導波構造頂部に露出したp型InPキャップ層108にp側電極112、n型InPバッファ層102上のSiNxパッシベーション膜110を一部エッチングして露出したn型InPバッファ層102上にn側電極111が形成されている。なお、本実施例では、受光すべき光の波長を1.55μmとして各層の組成、膜厚、不純物濃度等のパラメータを設定した。波長1.55μmの光に対する各層の屈折率は、n型InPバッファ層102及びp型InPキャップ層108が3.17、アンドープInAlAs増倍層103及びp型InAlAs電界緩和層104が3.2、アンドープInAlGaAs光ガイド層105及びp型InAlGaAs光ガイド層107が3.32、p型InGaAs光吸収層106が3.59である。
図2は図1に示したAPDの層構造と、積層方向の屈折率分布を示す模式図である。図中の左側は層構造を表し、右側は層構造の各層に対応した屈折率を表していて、横軸は屈折率、縦軸は積層方向である。また、n型InPバッファ層102とアンドープInAlAs増倍層103の屈折率差は微少なので同じ値として描いてある。図2から分るように、p型InGaAs光吸収層106の屈折率が最も高い。次いで、組成波長1.2μmのInAlGaAs光ガイド層105、107の屈折率が高い。InAlGaAs光ガイド層105、107とp型InGaAs光吸収層106で構成された領域を挾んで配置された半導体層の屈折率が最も低い。屈折率が最も高いp型InGaAs光吸収層106の両側に、組成波長1.2μmのInAlGaAs光ガイド層が配置されて、p型InGaAs光吸収層106をコア、組成波長1.2μmのInAlGaAs光ガイド層105、107をクラッドとした、光閉じ込め可能な屈折率分布の光導波路が形成されている。また、多層構造は、p型InGaAs光吸収層106と組成波長1.2μmのInAlGaAs光ガイド層105、107で構成された屈折率の高い領域(光導波路)Hをコア、その周囲の屈折率の低い半導体層から成る低屈折率領域L1、L2をクラッドとした光導波路構造になっていて、屈折率の高い領域Hの他に光を導波する屈折率の高い領域が存在しない屈折率分布になっている。
光は屈折率の高い媒質中を導波する性質があるので、入射光は、多層構造中で屈折率の高い領域Hを導波し、屈折率が最も高いp型InGaAs光吸収層106に閉じ込められ、p型InGaAs光吸収層106で効率よく吸収される。さらに、本実施例のAPDは、図8(b)に示した従来の屈折率分布と異なり、多層構造中に光を導波する屈折率の高い領域がp型InGaAs光吸収層106と組成波長1.2μmのInAlGaAs光ガイド層105、107で構成された屈折率の高い領域Hの他に存在しない屈折率分布になっている。このため、入射光は、図3に示すように、屈折率の高い領域Hを導波し、図9に示す従来例と異なり、屈折率の高い領域Hから漏れて他の高屈折率領域に結合する放射モードになることもなく、導波損失が抑制される。なお、図3は、本実施例におけるAPDの導波方向での入射光の導波状態を示す模式図である。図中、矢印は入射光を示す。矢印に重畳して描かれた曲線は入射光の光強度分布を示している。
本実施例のAPDにおける、動作状態での内部電界強度分布を図4に示す。ここで、図4の縦軸は電界強度、横軸は多層構造の積層方向である。横軸の直下には、電界強度分布に対応させて多層構造を模式的に示してある。多層構造は、外部電圧印加により、アンドープInAlGaAs光ガイド層105からアンドープInAlAs増倍層103までが空乏化して、この部分に電界が印加される。InGaAs光吸収層106は不純物が高濃度に一様にドープされたp型層で形成されているため、外部電圧による電界が印加されない。同様に、不純物がドープされた、p型InAlGaAs光ガイド層107、p型InPキャップ層108、n型InPバッファ層102も電界が印加されない。電界強度は、図示の如く増倍層内が最も高い。アンドープInAlGaAs光ガイド層105は動作状態で電界が印加されるが、アンドープInAlGaAs光ガイド層105とアンドープInAlAs増倍層103との間にあるp型InAlAs電界緩和層104により、アンドープInAlAs増倍層103の高電界が緩和されるので、アンドープInAlGaAs光ガイド層105に印加される電界強度は低い。
上記のように、本実施例のAPDは、ナローギャップ材料で構成されたp型InGaAs光吸収層106に電界が印加されないので、p型InGaAs光吸収層106におけるトンネル電流に起因した暗電流が抑制できる。また、アンドープInAlGaAs光ガイド層105は動作状態で弱電界強度の電界が印加されるが、組成波長1.2μmのアンドープInAlGaAs光ガイド層105のエネルギーバンドギャップはInGaAs光吸収層に比べて広いから、アンドープInAlGaAs光ガイド層105での暗電流の発生も抑制できる。
本発明における第2の実施例について説明する。
実施例2のAPDは、実施例1のAPDと異なり、p型InGaAs光吸収層106の不純物濃度に勾配を設けた不純物濃度分布になっている。この濃度勾配のある不純物濃度分布を除いたその他の多層構造部分については実施例1のAPDと同じ構成である。具体的には、p型InGaAs光吸収層106の不純物濃度は、アンドープInAlGaAs光ガイド層105とp型InGaAs光吸収層106の界面から、p型InAlGaAs光ガイド層107とp型InGaAs光吸収層106の界面に向けて、連続的にまたは階段状に増加する濃度分布になっている。p型InGaAs光吸収層106に上記のような不純物濃度分布があると、p型InGaAs光吸収層106内には不純物濃度の差による内部電界が生じる。例えば、p型InGaAs光吸収層106の膜厚が0.4μmで不純物キャリア濃度が5×1018cm−3から2×1017cm−3まで一様に連続的に変化した場合、内部には、ビルトインポテンシャルに起因した約2KV/cmの電界が生じる。ここで、上記の濃度分布を有するp型InGaAs光吸収層106に光が入射すると、入射光はp型InGaAs光吸収層106で吸収され、p型InGaAs光吸収層106内で電子・正孔対が発生する。この電子・正孔対発生で生じた正孔はp型InGaAs光吸収層106では多数キャリアであるため、応答速度の早い誘電緩和を経て電流に寄与する。一方、電子・正孔対発生で生じた電子はp型InGaAs光吸収層106内の内部電界により加速されてアンドープInAlGaAs光ガイド層105側に速やかにドリフトし、アンドープInAlGaAs光ガイド層105、p型InAlAs電界緩和層104を経てアンドープInAlAs増倍層103に至る。このとき、p型InGaAs光吸収層106内の電界強度は2KV/cmであり、p型InGaAs光吸収層106で電子速度がオーバシュートするのに充分な電界強度であるので、高速応答が可能となる。
尚、p型InGaAs光吸収層106に不純物濃度勾配を設けるには、熱拡散やイオン注入により不純物をドープして濃度が連続的に変化する濃度分布を形成すればよい。或いは、光吸収層を、不純物濃度が異なる複数の半導体層で構成し、アンドープInAlGaAs光ガイド層側からp型InAlGaAs光ガイド層側にむけて不純物濃度が段階的に高くなるように、不純物濃度の低い半導体層から、順次、不純物濃度の高い半導体層を積層した構成にしてもよい。
図5は、実施例3のAPDの層構造と、積層方向の屈折率分布を示す図である。図中の左側は多層構造を表し、右側は多層構造の各層の屈折率を表しており、横軸は屈折率、縦軸は積層方向である。また、InPバッファ層102とInAlAs増倍層103の屈折率差は微少なので同じ値として描いてある。この実施例3のAPDは、p型及びアンドープInAlGaAs光ガイド層の屈折率がp型InGaAs光吸収層から遠くなるにつれて徐々に低くなるように、InAlGaAs光ガイド層の屈折率に勾配を設けた層構造になっている。このInAlGaAs光ガイド層の屈折率に勾配のある屈折率分布を除いたその他の多層構造部分については実施例2のAPDと同じ構成である。また、APD素子外観構造も、図1に示す実施例1と同様の導波構造である。具体的な層構造は、図5の左図に示すように、n型又は半絶縁性InP基板101上に、下から順にn型InPバッファ層102、アンドープInAlAs増倍層103、p型InAlAs電界緩和層104、組成波長1.1μmのアンドープInAlGaAs光ガイド層105a、組成波長1.2μmのアンドープInAlGaAs光ガイド層105b、組成波長1.3μmのアンドープInAlGaAs光ガイド層105c、濃度勾配を有するp型InGaAs光吸収層106、組成波長1.3μmのp型InAlGaAs光ガイド層107a、組成波長1.2μmのp型InAlGaAs光ガイド層107b、組成波長1.1μmのp型InAlGaAs光ガイド層107c、p型InPキャップ層108が積層された多層構造である。なお、p型InGaAs光吸収層106は、濃度勾配を設けた層、或いは、一様な濃度の層の何れでもよいが、この実施例では実施例2と同様の濃度勾配を有する層とした。
図5に示すように、実施例3においては、p型InGaAs光吸収層106の両側のp型InAlGaAs光ガイド層及びアンドープInAlGaAs光ガイド層はそれぞれ組成の異なる3層で構成され、その屈折率は、p型InGaAs光吸収層106から遠い層ほど低く、屈折率が最も高いp型InGaAs光吸収層106を中心に対称な階段状に分布した凸形状の屈折率分布をしている。凸形状の屈折率分布は凸レンズ効果を有し、光を屈折率が高いp型InGaAs光吸収層側に集束して、発散しないように導波するので、実施例3は、p型InGaAs光吸収層106とInAlGaAs光ガイド層で構成された屈折率の高い領域Hに入射光を閉じ込める効果が実施例1、2よりも優れている。さらに、実施例3は、p型InGaAs光吸収層106から、p型InAlAs電界緩和層104に向けてエネルギーバンド構造が階段状に徐々に変化するため、伝導帯不連続による電子のパイルアップが抑制され、高速応答が可能となる。
尚、実施例3では、p型及びアンドープInAlGaAs光ガイド層を3層で構成し、その組成を層毎に異ならせて階段状に組成変化させ、光ガイド層の屈折率を階段状に変化させたが、光ガイド層を単層で構成し、その組成を結晶成長過程で連続に変化させ、屈折率を連続的に変化させた構造としても上記構成の場合と同様の効果が得られる。
図6は、本発明における第4の実施例を模式断面図である。図中、矢印は入射光と導波光を示しており、最左側の大きい矢印が入射光、その他の矢印が導波光である。素子外観構造は実施例1と同様の導波構造である。層構造は、図6に示すように、n型InP基板側101上に、下から順にn型InPバッファ層102、アンドープInAlAs増倍層103、p型InAlAs電界緩和層104、組成波長1.2μmのアンドープInAlGaAs光ガイド層105、p型InGaAs光吸収層106、組成波長1.2μmのp型InAlGaAs光ガイド層107、p型InPキャップ層108が積層された多層構造である。この層構造において、p型InAlGaAs光ガイド層107の膜厚を、アンドープInAlGaAs光ガイド層105の膜厚よりも厚くして、入射光の中心がp型InAlGaAs光ガイド層107に結合するように構成した。具体的には、アンドープInAlAs増倍層103の膜厚を0.3μm、p型InAlAs電界緩和層104の膜厚を0.1μm、組成波長1.2μmのアンドープInAlGaAs光ガイド層105の膜厚を0.2μm、p型InGaAs光吸収層106の膜厚を0.2μm、組成波長1.2μmのp型InAlGaAs光ガイド層907の膜厚を1.4μmに設定した。素子長は100μmとした。層厚をのぞく各層の組成、屈折率、不純物濃度等は実施例1と同じである。
この実施例4のAPDでは、入射光は、素子端面において入射光中心がp型InAlGaAs光ガイド層107に結合し、導波する。この場合、入射光の中心がp型InGaAs光吸収層106ではなくp型InAlGaAs光ガイド層107に結合するので、入射光は入射端面ですぐに吸収されずにp型InAlGaAs光ガイド層内を長い距離導波する。実施例1〜実施例3では、入射光の中心がp型InGaAs光吸収層106に結合されるので、入射光は入射端面及びその近傍で殆ど吸収され、p型InGaAs光吸収層106とInAlGaAs光ガイド層で構成された屈折率の高い領域を導波する距離がこの実施例4よりも遙かに短い。
光は屈折率が大きい層を導波する性質を有するため、図6に示すように、p型InAlGaAs光ガイド層107に結合した入射光はp型InAlGaAs光ガイド層107を導波するにしたがい、隣の屈折率の高いp型InGaAs光吸収層106に漏れ出て結合し、吸収される。このため、入射光は導波路方向に広く分散されて吸収される。このように、入射光が導波路方向に分散されて吸収されると、光電流が入射端面近傍に集中せずに、導波路方向に広く分布し、光電流密度が低くなる。このため、本実施例4によれば高光入射耐性と高量子効率特性を併せ持つAPDが実現できる。
実施例4では、p型InAlGaAs光ガイド層107を単一組成にしたが、実施例3のように、p型InAlGaAs光ガイド層107とp型InPキャップ層108の界面から、p型InAlGaAs光ガイド層107とp型InGaAs光吸収層106の界面に向けて、連続的または階段状に組成波長が長波長に変化する構造にし、p型InGaAs光吸収層106に近いほど屈折率が高くなるようにp型InAlGaAs光ガイド層107の屈折率に勾配を設けた構造としてもよい。この場合、p型InAlGaAs光ガイド層107を導波する光はp型InGaAs光吸収層106側に集束するように導波するので、導波光がp型InGaAs光吸収層106に結合し、吸収される効率がさらに向上する。
上記何れの実施例においても、半導体基板上に下から順にn型バッファ層、アンドープ増倍層、p型電界緩和層、アンドープ光ガイド層、p型光吸収層、p型光ガイド層、p型キャップ層が積層された構造を有するAPDについて説明したが、この積層順序を逆、或いは、導電型を逆にした構造のAPDでも同様の効果がある。例えば、半導体基板上に下から順にn型バッファ層、n型光ガイド層、n型光吸収層、アンドープ光ガイド層、n型電界緩和層、アンドープ増倍層、p型キャップ層が積層された構造を有するAPDとしても上記実施例と同様の効果がある。この場合の各層の屈折率も、上記実施形態と同様に、n型光吸収層が最も大きく、次いで、n型光ガイド層とアンドープ光ガイド層が中間の大きさで、屈折率が最も小さい部類に属する層がn型バッファ層、n型電界緩和層、アンドープ増倍層、p型キャップ層である。また、光吸収層と光ガイド層で構成される部分が高屈折率の光導波路部になり、その他の層が低屈折率領域を構成するのも実施例1〜4と同じである。
本発明のAPDは、APD単体、或いは、APDを組み込んだ受光モジュールや送受信モジュールとして光ファイバ通信等に用いることで、量子暗号通信の高性能化が可能となる。
本発明の実施例1の積層構造を示す斜視図。 実施例1の積層構造及び積層方向における屈折率分布を示す図。 実施例1の導波方向における光の導波状態を示す図。 実施例1の動作状態における電界強度分布を示す図。 実施例3の積層構造及び積層方向における屈折率分布を示す図。 実施例4の積層構造及び導波方向における光の導波状態を示す図。 従来のSAM型APDの積層構造を示す図。 特許文献1に記載のAPDの積層層構造および積層方向における屈折率分布を示す図。 特許文献1に記載のAPDにおける、導波方向における光の導波状態を示す図。
符号の説明
101 InP基板
102 n型InPバッファ層
103 アンドープInAlAs増倍層
104 p型InAlAs電界緩和層
105 アンドープInAlGaAs光ガイド層
105a アンドープInAlGaAs光ガイド層(組成波長1.1μm)
105b アンドープInAlGaAs光ガイド層(組成波長1.2μm)
105c アンドープInAlGaAs光ガイド層(組成波長1.3μm)
106 p型InGaAs光吸収層
107 p型InAlGaAs光ガイド層
107a p型InAlGaAs光ガイド層(組成波長1.3μm)
107b p型InAlGaAs光ガイド層(組成波長1.2μm)
107c p型InAlGaAs光ガイド層(組成波長1.1μm)
108 p型InPキャップ層
110 パッシベーション膜
111 n側電極
112 p側電極
701 InP基板
702 n型InP
703 アンドープInAlAs増倍層
704 p型InAlAs電界緩和層
705 アンドープInGaAs光吸収層
706 p型InPキャップ層
801 InP基板
802 n型InGaAsP光ガイド層
803 アンドープInAlAs増倍層
804 p型InAlAs電界緩和層
805 アンドープInPドリフト層
806 p型InGaAs光吸収層
807 p型InGaAsP電子隔離層
808 p型InGaAsP光ガイド層

Claims (13)

  1. 動作電圧で空乏化しない程度の濃度に不純物がドープされた光吸収層と、前記光吸収層よりも屈折率が低く、前記光吸収層と同じ導電型に不純物がドープされて、前記光吸収層の一方の面に接して形成された第1の光ガイド層と、前記光吸収層よりも屈折率が低く、前記光吸収層の他方の面に接して形成されて、動作電圧で空乏化する第2の光ガイド層と、前記何れの光ガイド層よりも屈折率が低く、前記二つの光ガイド層のうちの、前記第2の光ガイド層側に形成された増倍層とを少なくとも含む多層構造を有し、前記多層構造を構成する半導体層のうち、前記光吸収層を除く半導体層の屈折率が前記何れの光ガイド層の屈折率よりも低いことを特徴とする半導体受光素子。
  2. 光吸収層の不純物濃度が、当該光吸収層と第2の光ガイド層の界面から、当該光吸収層と不純物がドープされた第1の光ガイド層の界面に向けて、連続的または階段型に増加する濃度勾配を有することを特徴とする請求項1記載の半導体受光素子。
  3. 光吸収層を、不純物濃度が異なる複数の半導体層で構成し、且つ、第2の光ガイド層側の前記半導体層の不純物濃度が、不純物がドープされた第1の光ガイド層側の前記半導体層の不純物濃度よりも低いことを特徴とする請求項2記載の半導体受光素子。
  4. 第1の光ガイド層の屈折率及び第2の光ガイド層の屈折率が、光吸収層から遠いほど低くなっていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の半導体受光素子。
  5. 第1の光ガイド層及び第2の光ガイド層を、それぞれ屈折率が異なる複数の半導体層で構成し、且つ、光吸収層から遠い前記半導体層ほど屈折率が低いことを特徴とする請求項4記載の半導体受光素子。
  6. 第1の光ガイド層と第2の光ガイド層のうちのどちらか一方の光ガイド層の屈折率が、光吸収層から遠いほど低くなっていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の半導体受光素子。
  7. 第1の光ガイド層と第2の光ガイド層のうちのどちらか一方の光ガイド層を、屈折率が異なる複数の半導体層で構成し、且つ、光吸収層から遠い前記半導体層ほど屈折率が低いことを特徴とする請求項6記載の半導体受光素子。
  8. 半導体基板上に、バッファ層、アンドープ増倍層、第1導電型電界緩和層、アンドープ光ガイド層、第1導電型光吸収層、第1導電型光ガイド層、第1導電型半導体キャップ層が順に積層された構造を有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の半導体受光素子。
  9. 半導体基板上に、バッファ層、第2導電型光ガイド層、第2導電型光吸収層、アンドープ光ガイド層、第2導電型電界緩和層、アンドープ増倍層、第1導電型半導体キャップ層が順に積層された構造を有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の半導体受光素子。
  10. 第1の光ガイド層の層厚が第2の光ガイド層の層厚よりも厚く、前記第1の光ガイド層の端面に入射光の中心が結合することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の半導体受光素子。
  11. 第1の光ガイド層の屈折率が、光吸収層から遠いほど低くなっていることを特徴とする請求項10記載の半導体受光素子。
  12. 第1の光ガイド層を、屈折率が異なる複数の半導体層で構成し、且つ、光吸収層から遠い前記半導体層ほど屈折率が低いことを特徴とする請求項11記載の半導体受光素子。
  13. 不純物がドープされた光吸収層がInGaAs又はInGaAsP又はInAlGaAsのいずれかで構成され、増倍層がInAlAs又はInP又はInGaAsP又はInAlGaAsのいずれかで構成され、第1の光ガイド層および第2の光ガイド層がInAlGaAsまたはInGaAsPのいずれかで構成され、第1の光ガイド層および第2の光ガイド層の組成波長が、光吸収層の組成波長よりも短く、増倍層および電界緩和層の組成波長よりも長い組成波長であることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の半導体受光素子。
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