JP2007308371A - シリカゲルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 極めて制御された均一な形状を有するとともに、不純物量が少なく、シャープな細孔分布を示し、耐水性、耐熱性、物性安定性に優れ、且つ製造コストが低くて生産性にも優れるシリカゲルを提供する。
【解決手段】 (a)細孔容積が0.3〜3.0ml/g、(b)比表面積が200〜1000m2/g、(c)細孔の最頻直径(Dmax)が20nm未満、(d)直径がDmax±20%の範囲内にある細孔の総容積が、全細孔の総容積の50%以上、(e)非晶質、(f)金属不純物の総含有率が500ppm以下、
(g)短径/長径の値が0.90〜1であり、且つ、(h)固体Si−NMR測定におけるQ4ピークのケミカルシフトδ(ppm)が下記式(I)
−0.0705×(Dmax)−110.36>δ ・・・式(I)
を満足するようにする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐熱性や耐水性等に優れた、新規な球状シリカゲルに関する。
シリカゲルは、古くから乾燥剤として広く用いられてきたが、最近ではその用途が触媒担体,分離剤,吸着剤等へと広がっており、こうした用途の広がりに応じて、シリカゲルの性能に対する要求も多様化している。シリカゲルの性能は、シリカゲルの表面積、細孔径、細孔容積、細孔径分布等の物性によって決定されるが、これらの物性はシリカゲルの製造条件によって大きく影響される。
シリカゲルの製造方法として、最も一般的には、ケイ酸ソーダ等のケイ酸アルカリ塩を鉱酸で加水分解し、得られるシリカヒドロゾルをゲル化して乾燥する方法が用いられているが、シリカゲルの性能を改良するために、この製造方法の詳細につき多くの提案がなされている。
例えば、特開昭62−113713号公報では、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸との反応により生成したシリカヒドロゾルをゲル化し、これをpH2.5以下の酸溶液で処理し、水洗後、緩衝作用を有する水溶液中でpH4−9に調整して水熱処理することにより、細孔分布の狭いシリカゲルを製造する方法が提案されている。また、特開平9−30809号公報では、シリカヒドロゲルの乾燥を回分式流動乾燥、次いで水熱処理する方法が提案されている。
これらの製造方法によれば、得られるシリカゲルの性能には確かに変化が認められ、よりシャープな細孔分布を有するシリカゲルが製造できる。しかし、得られるシリカゲルの細孔容積、比表面積及び平均細孔径を十分に変化させるまでには至らず、耐熱性や耐水性も充分ではないため、所望の物性範囲のシリカゲルを得る方法としては不十分である。
また、前者の方法でケイ酸アルカリ塩を原料として得られるシリカゲルには、通常、原料に由来するナトリウム,カルシウム,マグネシウム等の不純物が相当量含まれている。シリカゲル中の不純物の存在は、その総含有量がたとえ数百ppm程度の微量であっても、シリカゲルの性能に大きな影響を与える。例えば、1)これらの不純物の存在が、高温下ではシリカゲルの結晶化を促進する、2)これらの不純物の存在が、水存在下ではシリカゲルの水熱反応を促進して、細孔径や細孔容積の拡大,比表面積の低下,細孔分布の拡大をもたらす、3)これらの不純物は焼結温度を低下させるので、これらの不純物を含むシリカゲルを加熱すると、比表面積の低下が促進される、等の影響が挙げられる。そして、かかる影響は、アルカリ金属やアルカリ土類金属に属する元素を含む不純物において、特にその傾向が強い。
これに対して、不純物の極めて少ない高純度のシリカゲルを製造する方法としては、珪酸アルカリ塩を中和して得されたゲルを精製する方法や、シリコンアルコキシドを加水分解する方法が知られており、特に後者の方法は、シリコンアルコキシドを蒸留等により精製することができるため、比較的容易に高純度のシリカゲルを得ることが可能である。しかしながら、シリコンアルコキシドからゾル−ゲル法により得られるシリカゲルは、一般に平均細孔径が小さく、かつ細孔分布も広い。また、このシリカゲルに水熱処理を施しても、目立った性能の改良は殆ど報告されていない。
一方、Kim et al. 文献(Ultrastable Mesostructured Silica Vesicles Science, 282, 1302 (1998))には、電気的に中性のgemini界面活性剤とシリカの前駆体との水素結合からなる超分子構造を形成した後、gemini界面活性剤を除去することによって、耐熱性(1000℃)及び耐水性(100℃で150時間以上)を備えたメソポーラスのモレキュラーシーブを製造することが記載されている。これは、有機テンプレートを使用して細孔を形成する、いわゆるミセルテンプレートシリカの一種であって、上述の各従来技術と比較しても、非常にシャープな細孔分布を持つシリカゲルを製造することができる。しかしながら、この製造方法では、得られるシリカゲルの耐水性が充分なものでなく、且つ製造工程が複雑で生産性が悪い、という課題があった。
ところで、球状又は略球状の形状を有するシリカゲル(以下、球状シリカゲルと呼ぶ)は、各種触媒、液体クロマトグラフィー用担体、その他の様々な分野において有用である。こうした球状シリカゲルの製造に係る従来技術の例として、以下の3つが挙げられる。
≪1≫水ガラスを硫酸等の酸により中和してからゲル化する方法。中和直後のゾル液を空気中に放出するか、又はゾル液と親和性の無い溶媒中に分散・攪拌して、表面張力によりこれを球状化し、続いてゲル化する。具体的には、例えば、特開平11−292529号公報に記載の方法が挙げられる。
≪2≫アルコキシシランを加水分解してからゲル化する方法。アルコキシシランを加水分解して生成したゾル液を、ゾル液と親和性の無い溶媒中に分散・攪拌して表面張力により球状化し、続いてゲル化する。具体的には、例えば Journal of Chromatography, 83, 5 (1973) 記載の方法や、特開平2−22121号公報に記載の方法がある)。
≪3≫アルコキシシラン又は水ガラスをシリカ源とし、界面活性剤を有機テンプレートとして細孔形成を行なう方法(所謂、ミセルテンプレートシリカ)。生成したゾル液をゾル液と親和性の無い溶媒中に分散・攪拌して、表面張力によりこれを球状化し、続いてゲル化する。具体的には、例えば、特開2001−2409号公報に記載の方法が挙げられる。
≪1≫及び≪2≫の方法では、ゲル化により得られた球状のシリカヒドロゲルを水熱処理することにより、細孔特性を様々に制御することが可能である。また、≪3≫の方法では、用いた界面活性剤を良溶媒により洗浄又は焼成除去することにより、均一な細孔径を有するミセルテンプレートシリカを得ることができる。
しかしながら、≪1≫の技術においては、水ガラスに由来する金属不純物、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が多く含まれてしまい、物的安定性が低いという課題がある。また、急速にゲル化反応が起こるので反応制御が難しく、Lot内又はLot間の品質むらが大きくなったり、球状シリカヒドロゲルの構造が不均質になったりしがちなため、水熱処理後も充分にシャープな細孔分布の球状シリカゲルが得られないという課題がある。
これに対して、≪2≫の技術においては、不純物の少ないアルコキシシランをシリカ源として用いるため、高純度な球状シリカゲルを得ることができる。しかしながら、上述した Journal of Chromatography, 83, 5 (1973) 記載の方法では、細孔径が大きく細孔分布がシャープな球状シリカゲルを得ることは困難であり、同じく上述した特開平2−22121号公報に記載の方法では、シャープな細孔分布は得られるものの、1000℃以上の焼成が必須であり、且つ細孔径を任意に制御することはできないという課題がある。また、アルコキシシランの加水分解によって得られた球状シリカヒドロゲルに水熱処理を施して細孔制御する方法も適応可能ではあるが、十分にシャープな細孔分布を有する球状シリカゲルの製造に成功した例は未だに報告されていない。
さらに、≪3≫の技術においては、非常にシャープな細孔分布の球状シリカゲルを得ることができるが、高価な有機テンプレートを使用するためにコストが高く、また、製造工程が複雑であるために生産性が悪いという課題がある。
以上の背景から、均一な球状又は略球状の形状を有するシリカゲルであって、不純物量が少なく、シャープな細孔分布を示し、物性安定性に優れ、且つ製造コストが低くて生産性にも優れた、すなわち各種特性をバランスよく満たしたシリカゲルが望まれていた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、制御された均一な形状を有し、不純物量が少なく、シャープな細孔分布を示し、耐熱性,耐熱性,物性安定性(熱安定性等)に優れ、且つ製造コストが低くて生産性にも優れた、新規なシリカゲルを提供することに存する。
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の方法によって製造されたシリカゲルが、各種特性をバランスよく満たしており、上記課題を効果的に解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、(a)細孔容積が0.3〜3.0ml/gであり、(b)比表面積が200〜1000m2/gであり、(c)細孔の最頻直径(Dmax)が20nm未満であり、(d)直径がDmax±20%の範囲内にある細孔の総容積が、全細孔の総容積の50%以上であり、(e)非晶質であり、
(f)金属不純物の総含有率が500ppm以下であり、(g)短径/長径の値が0.90〜1であり、且つ、(h)固体Si−NMR測定におけるQ4ピークのケミカルシフトをδ(ppm)とした場合に、δが下記式(I)
−0.0705×(Dmax)−110.36>δ ・・・式(I)
を満足することを特徴とする、シリカゲルに関する。
本発明の新規なシリカゲルは、極めて制御された均一な形状を有するとともに、不純物量が少なく、シャープな細孔分布を示し、耐熱性,耐熱性,物性安定性(熱安定性等)などに優れ、且つ製造コストが低くて生産性にも優れている。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明のシリカゲルは、細孔容積及び比表面積が通常のものより大きい範囲にあることを、特徴の一つとする。具体的に、細孔容積の値は、通常0.3〜3.0ml/gの範囲、好ましくは0.4〜2.5ml/gの範囲、更に好ましくは0.5〜2.0ml/gの範囲に、また、比表面積の値は、通常200〜1000m2/gの範囲、好ましくは400〜1000m2/gの範囲、更に好ましくは500〜800m2/gの範囲に存在する。これらの細孔容積及び比表面積の値は、窒素ガス吸脱着によるBET法で測定される。
また、本発明のシリカゲルは、窒素ガス吸脱着法で測定した等温脱着曲線から、E. P. Barrett, L. G. Joyner, P. H. Haklenda, J. Amer. Chem. Soc., vol.73, 373(1951)に記載のBJH法により算出される細孔分布曲線、即ち、細孔直径d(nm)に対して微分窒素ガス吸着量(ΔV/Δ(logd);Vは窒素ガス吸着容積)をプロットした図上での最頻直径(Dmax)が20nm未満であることを特徴の一つとする。中でも、17nm以下が好ましく、15nm以下が更に好ましい。下限は特に制限はないが、好ましくは2nm以上である。このことは、本発明のシリカゲルが有する細孔の最頻直径(Dmax)が、通常のシリカゲルに比べてより小さい範囲内に存在することを意味する。
更に、本発明のシリカゲルは、上記の最頻直径(Dmax)の値を中心として±20%の範囲にある細孔の総容積が、全細孔の総容積の通常50%以上である点においても特徴づけられる。中でも、この比が60%以上であることが好ましく、70%以上であることが特に好ましい。また、通常は90%以下である。このことは、本発明のシリカゲルが有する細孔の直径が、最頻直径(Dmax)付近の直径で揃っていることを意味する。
かかる特徴に関連して、本発明のシリカゲルは、上記のBJH法により算出された最頻直径(Dmax)における微分細孔容積ΔV/Δ(logd)が、通常2〜20ml/g、特に2〜12ml/gであることが好ましい(なお、上式において、dは細孔直径(nm)であり、Vは窒素ガス吸着容積である)。微分細孔容積ΔV/Δ(logd)が前記範囲に含まれるものは、最頻直径(Dmax)の付近に揃っている細孔の絶対量が極めて多いものと言える。
また、本発明のシリカゲルは、以上の細孔構造の特徴に加えて、その三次元構造を見るに、非晶質である、即ち、結晶性構造が認められないことを特徴とする。このことは、本発明の製造方法で得られるシリカゲルをX線回折で分析した場合に、結晶性ピークが実質的に認められないことを意味する。本発明において非晶質ではないシリカゲルとは、X線回折パターンで6オングストローム(Å Units d-spacing)を越えた位置に、少なくとも一つの結晶構造のピークを示すものを指す。非晶質のシリカゲルは、結晶性のシリカゲルに較べて、極めて生産性に優れている。
本発明のシリカゲルの更なる特徴は、シリカゲル中に存在することでその物性に影響を与えることが知られている、アルカリ金属,アルカリ土類金属,周期表の3A族,4A族及び5A族並びに遷移金属からなる群に属する金属元素(不純物元素)の合計の含有率が、通常500ppm以下、好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、最も好ましくは30ppm以下と非常に低く、極めて高純度であることである。中でも、特にシリカゲルの物性に与える影響が大きい、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群に属する元素の総含有率が、通常100ppm以下、中でも50ppm以下、更には30ppm以下、特に10ppm以下であることが好ましい。このように不純物の影響が少ないことが、本発明のシリカゲルが高い耐熱性や耐水性などの優れた性質を発現できる大きな要因の一つである。
上述してきた各種特徴に加えて、本発明のシリカゲルは、その短径/長径の値が、通常0.90〜1の範囲、好ましくは0.95〜1の範囲に存在し、好ましくは球状又は略球状という、極めて制御された形状を有することを特徴としている。このように制御された形状を有することで、各種触媒担体、液体クロマトグラフィー用担体、半導体封止材料用充填剤、各種吸着剤、分離剤、薬剤担体、その他の様々な分野に好適に用いることができる。
更に、本発明のシリカゲルの特徴として、固体Si−NMR測定に関する特徴があげられる。本発明のシリカゲルは、SiO2・nH2Oの示性式で表される非晶質ケイ酸の水和物であり、構造的には、Siの四面体の各頂点にOが結合され、これらのOに更にSiが結合してネット状に広がった構造を有する。ここで、ネットを構成するSi−O−Si−O−の繰り返し単位の中には、Oの一部が他の成員(例えば−H、−CH3など)で置換されているものも存在するので、個々のSiに注目した場合、下の式(A)に示す様に、4個の−OSiを有するSi(Q4)や、下の式(B)に示す様に、3個の−OSiを有するSi(Q3)等が存在する(なお、下の式(A)及び式(B)は、上述の立体的な四面体構造を無視し、Si−Oのネット構造のみを平面的に表したものである。また、式(B)は、−OHによって置換されている例を示している)。こうしたシリカゲルについて固体Si−NMR測定を行なった場合に、上記の各種のSiに基づくピークは、順にQ4ピーク、Q3ピーク、・・と呼ばれる。
Figure 2007308371
本発明のシリカゲルの最大の特徴は、上記のQ4ピークのケミカルシフトをδ(ppm)とした場合に、δが下記式(I)
−0.0705×(Dmax)−110.36>δ ・・・式(I)
を満足する点にある。この事実は、Siに対して2個の−OSiで表される結合角にひずみが少ないことを意味する。
上記のQ4ピークのケミカルシフトは、上記式(I)の左辺に基づき算出される値よりも、通常は大きい値となる。よって、本発明のシリカゲルは、従来のシリカゲルに比べて、Q4ピークのケミカルシフトがより小さな値を有することになる。これは、本発明のシリカゲルにおいて、Q4ピークのケミカルシフトがより高磁場に存在するということに他ならず、上記の結合角がより均質であり、ひずみが少ないことを意味する。本発明において、シリカゲルのQ4ピークのケミカルシフトδは、好ましくは、前記式(I)の左辺に基づき算出される値(−0.0705×(Dmax)−110.36)よりも、0.05%以上小さい値であり、更に好ましくは0.1%、特に好ましくは0.15%以上小さい値である。通常、シリカゲルのQ4ピークの最小値は、−113ppmである。
本発明のシリカゲルが有する、優れた耐熱性や耐水性と、上記の様な構造的ひずみの関係については、必ずしも明らかではないが、次の様に推定される。すなわち、シリカゲルは大きさの異なる球状粒子の集合体で構成されているが、上記の様な構造的にひずみの少ない状態においては、球状粒子全体のミクロ構造的な高度の均質性が維持されるので、その結果、優れた耐熱性や耐水性が発現されるものと考えられる。なお、Q3以下のピークは、Si−Oのネット構造の広がりに制限があるため、シリカゲルの構造的なひずみが現れにくい。
更に、本発明のシリカゲルは、固体Si−NMR測定によるQ4/Q3の値が、通常1.3以上、好ましくは1.5以上である。ここで、Q4/Q3の値とは、上述したシリカゲルの繰り返し単位の中で、−OSiが3個結合したSi(Q3)に対する−OSiが4個結合したSi(Q4)のモル比を意味する。一般にこの値が高い程、シリカゲルの熱安定性が高いことが知られており、ここから本発明のシリカゲルは、熱安定性に極めて優れていることが判る。
なお、Q4ピークのケミカルシフト及びQ4/Q3の値は、実施例の説明において後述する方法を用いて固体Si−NMR測定を行ない、その結果に基づいて算出することができる。また、測定データの解析(ピーク位置の決定)は、例えば、ガウス関数を使用した波形分離解析等により、各ピークを分割して抽出する方法で行なう。
以上説明してきた物性を有する本発明のシリカゲルは、細孔制御のための水熱処理の前にシリカヒドロゲルを熟成しないという点を除けば、その製造方法は実質的に制限されるべきではない。
例えば、珪酸アルカリ塩又はシリコンアルコキシドを加水分解した後、これをゲル化して得られたシリカヒドロゲルを用いて、水熱処理による方法を応用して製造することができる。水熱処理による方法の応用例として、好ましくは、シリコンアルコキシドを含む化合物とを加水分解する方法が挙げられる。なお、原料のシリコンアルコキシド等に由来する炭素分が含まれている場合には、必要に応じて、通常400〜600℃で焼成除去してもよい。さらに、表面状態をコントロールするために、最高900℃の温度で焼成してもよい。
本発明のシリカゲルの原料として使用されるシリコンアルコキシドとしては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の炭素数1〜4の低級アルキル基を有するトリまたはテトラアルコキシシラン或いはそれらのオリゴマーが挙げられるが、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びそれらのオリゴマーである。以上のシリコンアルコキシドは蒸留により容易に精製し得るので、高純度の球状シリカゲルの原料として好適である。シリコンアルコキシド中の不純物元素の総含有量は、通常好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。これらの不純物元素の含有率は、一般的なシリカゲル中の金属元素等(不純物元素)の含有率の測定法と同じ方法で測定できる。
シリコンアルコキシドの加水分解は、シリコンアルコキシド1モルに対して、通常2〜20モル、好ましくは3〜10モル、特に好ましくは4〜8モルの水を用いて行なう。この加水分解反応は、通常、室温から100℃程度であるが、加圧下で液相を維持することで、より高い温度で行なうことも可能である。また、加水分解時には必要に応じて、水と相溶性のあるアルコール類等の溶媒を添加してもよい。具体的には、炭素数1〜3の低級アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルセロルブ、エチルセロルブ、メチルエチルケトン、その他の水と任意に混合できる有機溶媒を任意に用いることができるが、中でも強い酸性や塩基性を示さないものが、均一なシリカヒドロゲルを生成できる理由から好ましい。また、後の工程にて他の溶媒にシリコンアルコキシドの加水分解液を分散することにより球状化する場合には、分散する溶媒と親和性の少ない有機溶媒を選択することが好ましい。
結晶構造を有するシリカゲルは、水中熱安定性に乏しくなる傾向にあり、ゲル中に細孔を形成するのに用いられる界面活性剤等のテンプレートの存在下でシリコンアルコキシドを加水分解すると、ゲルは容易に結晶構造を含むものとなる。従って、本発明においては、界面活性剤等のテンプレートの非存在下で、すなわち、これらがテンプレートとしての機能を発揮するほどの量は存在しない条件下で加水分解するのが好ましい。
反応時間は、反応液組成(シリコンアルコキシドの種類や、水とのモル比)並びに反応温度に依存し、ゲル化するまでの時間が異なるので、一概には規定されない。なお、反応系に触媒として、酸、アルカリ、塩類などを添加することで加水分解を促進させることができる。しかしながら、かかる添加物の使用は、後述するように、生成したヒドロゲルの熟成を引き起こすことになるので、本発明のシリカゲルの製造においてはあまり好ましくない。
上記のシリコンアルコキシドの加水分解反応では、シリコンアルコキシドが加水分解してシリカヒドロゾルが生成するが、引き続いて該シリカヒドロゾルの縮合反応が起こり、反応液の粘度が上昇し、最終的にゲル化してシリカヒドロゲルとなる。本発明においては、まず、このシリカヒドロゲルを公知の何れかの手法により球状又は略球状の液滴とし、この形状を保ったままゲル化させることによって、球状又は略球状のシリカヒドロゲルを得る。
さらに、本発明のシリカゲルを製造するためには、得られた球状又は略球状のシリカヒドロゲルを実質的に熟成することなく、直ちに水熱処理を行なうことが重要である。ここで、シリカヒドロゲルを球状又は略球状の液滴とする従来の方法には、大別して、ゲル化直前のヒドロゾルを空気中に放出する方法と、ゾル液と親和性の無い溶媒中にヒドロゾルを分散・攪拌して、表面張力によりこれを球状化する方法という、2種の方法がある。このうち前者の方法は、ヒドロゾル液滴の急速なゲル化を促すために、ヒドロゾルに比較的強い触媒が添加されたり、或いは触媒を添加した有機溶媒中に液滴を落下させたり、液滴が高温・減圧条件で放出されることが多く、何れも生成した球状ヒドロゲルの熟成や乾燥を促進することとなるため、本発明のシリカゲルの製造条件として好ましくない。一方、後者の方法は、シリカヒドロゲルに不要な熟成をさせることの無いままゆっくりとゲル化させることが可能であり、本発明のシリカゲルの製造条件として好ましい。
後者の方法をとる場合、ゲル化にいたる過程で溶媒中に分散された液滴は粘稠なゾル状態を経由するため、生成した球状ヒドロゲルが合一して塊状となりやすく、これを防ぐために系内に界面活性剤成分を添加することがあるが、この際に必要な界面活性剤の量は、前述のミセルテンプレートシリカが生成するために必要な量より遥かに少ない。この様にして得られた球状のシリカヒドロゲルは、熟成や乾燥が進まないよう配慮して分散溶媒から取り出され、必要に応じてシリカヒドロゲルの含液組成を変えない条件で表面に付着した界面活性剤や分散溶媒を概略洗浄し、次工程の水熱処理に供される。なお、シリカヒドロゲルを球状化する方法は、勿論上記の方法に限定されることは無く、シリカヒドロゲルの熟成を実質的に進めない方法であれば、各種方法を用いることが可能である。
水熱処理の条件としては、水の状態が液体、気体のいずれでもよく、溶媒や他の気体によって希釈されていてもよいが、好ましくは液体の水が使われる。シリカのヒドロゲルに対して、通常0.1〜10重量倍、好ましくは0.5〜5重量倍、特に好ましくは1〜3重量倍の水を加えてスラリー状とし、通常40〜250℃、好ましくは50〜200℃の温度で、通常0.1〜100時間、好ましくは1〜10時間実施される。水熱処理に使用される水には低級アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノールや、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルスルホキシド(DMSO)、その他の有機溶媒などが含まれてもよい。
以上の水熱処理条件において温度を高くすると、得られるシリカゲルの細孔径、細孔容積が大きくなる傾向がある。水熱処理温度としては、100〜200℃の範囲であることが好ましい。また、処理時間とともに、得られるシリカゲルの比表面積は、一度極大に達した後、緩やかに減少する傾向がある。以上の傾向を踏まえて、所望の物性値に応じて条件を適宜選択する必要があるが、水熱処理は、シリカゲルの物性を変化させる目的なので、通常、前記の加水分解の反応条件より高温条件とすることが好ましい。
水熱処理の温度、時間を上記範囲外に設定すると本発明のシリカゲルを得ることが困難となる。例えば、水熱処理の温度が高すぎると、シリカゲルの細孔径、細孔容積が大きくなりすぎ、また、細孔分布も広がる。逆に、水熱処理の温度が低過ぎると、生成するシリカゲルは、架橋度が低く、熱安定性に乏しくなり、細孔分布にピークが発現しなくなる傾向がある。
なお、水熱処理をアンモニア水中で行なうと、純水中で行なう場合よりも低温で同様の効果が得られる。また、アンモニア水中で水熱処理すると、純水中で処理する場合と比較して、最終的に得られるシリカゲルは一般に疎水性となるが、通常30〜250℃、好ましくは40〜200℃という比較的高温で水熱処理すると、特に疎水性が高くなる。ここでのアンモニア水のアンモニア濃度としては、好ましくは0.001〜10%、特に好ましくは0.005〜5%である。
水熱処理されたシリカヒドロゲルは、通常40〜200℃、好ましくは60〜120℃で乾燥する。乾燥方法は特に限定されるものではなく、バッチ式でも連続式でもよく、且つ、常圧下でも減圧下でも乾燥することができる。なお、それまでの工程に由来する炭素成分が含まれている場合には、通常400〜600℃で焼成除去することができる。また、表面状態をコントロールするために、最高900℃の温度で焼成することもある。更に、必要に応じて分級することで、最終的に目的としていた本発明のシリカゲルを得る。
本発明のシリカゲルは、長径/短径の比が0.90〜1であり球状又は略球状に制御された均一な形状を有するが、このような球状又は略球状の形状を有するシリカゲルは、以下に挙げる特性を有するので、各種触媒担体や液体クロマトグラフィー用担体、半導体封止材料用充填剤、各種吸着剤、分離剤、薬剤担体として有用である。
・耐水性が向上するため、割れ難くなるので、上記用途での使用時に割裂に伴う微粉が発生せず、連続通液時に圧損が生じない。
・各種触媒に使用する場合には、反応中にシリカゲル粒子が自由に動き易いので、耐磨耗性が向上する。
・カラムや反応槽への充填密度が上昇する。
・給水や温度変化による局所的な体積膨張が抑えられ、長期使用時でもシリカゲル粒子が割れ難い。
加えて、上記の各種用途には、特に制御された細孔特性が要求されるとともに、長期にわたって物性変化の少ないことが要求されるので、これらの特性を全て備えた本発明のシリカゲルは、上記の各種用途において特に好適に用いることができる。
勿論、本発明のシリカゲルは、上記の各種用途に限らず、従来からのシリカゲルの用途他、いかなる用途においても利用することができる。このうち、従来の用途としては、以下のようなものが挙げられる。
例えば、産業用設備で製品の製造及び処理に用いられる用途分野においては、各種触媒及び触媒担体(酸塩基触媒、光触媒、貴金属触媒等)、廃水・廃油処理剤、臭気処理剤、ガス分離剤、工業用乾燥剤、バイオリアクター、バイオセパレーター、メンブランリアクター等の用途が挙げられる。建材用途では、調湿剤、防音・吸音材、耐火物、断熱材等の用途が挙げられる。また、空調分野の用途では、デシカント空調機用調湿剤、ヒートポンプ用蓄熱剤等が挙げられる。塗料・インク用途分野においては、艶消し剤、粘度調整剤、色度調整剤、沈降防止剤、消泡剤、インク裏抜け防止剤、スタンピングホイル用、壁紙用等の用途が挙げられる。樹脂用添加剤用途分野においては、フィルム用アンチブロッキング剤(ポリオレフィンフィルム等)、プレートアウト防止剤、シリコーン樹脂用補強剤、ゴム用補強剤(タイヤ用・一般ゴム用等)、流動性改良材、パウダー状樹脂の固結防止剤、印刷適性改良剤、合成皮革やコーティングフィルム用の艶消し剤、接着剤・粘着テープ用充填剤、透光性調整剤、防眩性調整剤、多孔性ポリマーシート用フィラー等の用途が挙げられる。また、製紙用途分野においては、感熱紙用フィラー(カス付着防止剤等)、インクジェット紙画像向上用フィラー(インク吸収剤等)、ジアゾ感光紙用フィラー(感光濃度向上剤等)、トレーシングペーパー用筆記性改良剤、コート紙用フィラー(筆記性、インク吸収性、アンチブロッキング性改良剤等)、静電記録用フィラー等の用途が挙げられる。食品用途分野においては、ビール用濾過助剤、醤油・清酒・ワイン等発酵製品のおり下げ剤、各種発酵飲料の安定化剤(混濁因子タンパクや酵母の除去等)、食品添加剤、粉末食品の固結防止剤等の用途が挙げられる。医農薬分野においては、薬品等の打錠助剤、粉砕助剤、分散・医薬用担体(分散・徐放・デリバリー性改善等)、農薬用担体(油状農薬キャリア・水和分散性改善、徐放・デリバリー性改善等)、医薬用添加剤(固結防止剤・粉粒性改良剤等)・農薬用添加剤(固結防止剤・沈降防止剤等)等が挙げられる。分離材料分野では、クロマトグラフィー用充填剤、分離剤、フラーレン分離剤、吸着剤(タンパク質・色素・臭等)、脱湿剤等の用途が挙げられる。農業用分野では、飼料用添加剤、肥料用添加剤が挙げられる。さらにその他の用途として、生活関連分野では、調湿剤、乾燥剤、化粧品添加剤、抗菌剤、消臭・脱臭・芳香剤、洗剤用添加剤(界面活性剤粉末化等)、研磨剤(歯磨き用等)、粉末消火剤(粉粒性改良剤・固結防止剤等)、消泡剤、バッテリーセパレーター等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
(1)シリカゲルの分析方法
1−1)細孔容積、比表面積
カンタクローム社製AS−1にてBET窒素吸着等温線を測定し、細孔容積、比表面積を求めた。具体的には、細孔容積は相対圧P/P0=0.98のときの値を採用し、比表面積はP/P0=0.1,0.2,0.3の3点の窒素吸着量よりBET多点法を用いて算出した。また、BJH法で細孔分布曲線及び最頻直径(Dmax)における微分細孔容積を求めた。測定する相対圧の各点の間隔は0.025とした。
1−2)粉末X線回折
めのう乳鉢を用いて試料をすり潰し、理学電機社製RAD-RB装置を用いて、CuKαを線源として測定を行なった。発散スリット1/2deg、散乱スリット1/2deg、受光スリット0.15mmとした。
1−3)不純物元素の含有量
試料2.5gにフッ酸を加えて加熱し、乾涸させたのち、水を加えて50mlとした。この水溶液を用いてICP発光分析を行なった。なお、ナトリウム及びカリウムはフレーム炎光法で分析した。
1−4)固体Si−NMR測定
Bruker社製固体NMR装置(「MSL300」)を使用するとともに、共鳴周波数59.2MHz(7.05テスラ)、7mmのサンプルチューブを使用し、CP/MAS(Cross Polarization / Magic Angle Spinning)プローブの条件で測定した。具体的な測定条件を下の表1に示す。
Figure 2007308371
測定データの解析(Q4ピーク位置の決定)は、ピーク分割によって各ピークを抽出する方法で行なう。具体的には、ガウス関数を使用した波形分離解析を行なう。この解析には、サーモガラテック(Thermogalatic)社製の波形処理ソフト「GRAMS386」を使用することが出来る。
1−5)短径/長径比の測定
実体顕微鏡を用いて、視野中に20個のシリカゲル粒子が入るように視野を調整して写真を撮影し、各々の粒子について最小径を短径、最大径を長径として短径/長径比を算出し、20個の粒子についての平均値を求めてこれをデータとした。
(2) 球状シリカゲルの製造、評価
・実施例1
ガラス製で、上部に大気開放の水冷コンデンサが取り付けてある0.3Lセパラブルフラスコ(ジャケット付き)に、純水104gを仕込んだ。80rpmで攪拌しながら、これにテトラメトキシシラン146gを仕込んだ。水/テトラメトキシシランのモル比は約6である。セパラブルフラスコのジャケットには50℃の温水を通水した。引き続き攪拌を継続し、内容物が沸点に到達した時点で攪拌を停止した。この時点で反応液は均一溶液となっている。急激な発熱が収まったことを確認した後、得られたゾル液を直ちにセパラブルフラスコより抜き出した。得られたゾル液は直ちに以降の反応に供した。
ガラス製で、上部に大気開放の水冷コンデンサが取り付けてある5Lセパラブルフラスコ(ジャケット付き)に、シクロヘキサン3000ml及びエチルセルロース(Hercules 社製 EC−T100)7.0g(0.3wt%)よりなる溶液を仕込んだ。セパラブルフラスコのジャケットには50℃の温水を通水した。シクロヘキサン溶液を50℃で保持し、200rpmで攪拌しながら、これに上記ゾル液250gを仕込み、エマルジョン粒子(液滴)を形成させた。引き続き攪拌を継続しながら50℃で1時間保持し、エマルジョン粒子をゲル化させ、球状シリカヒドロゲルとした。
攪拌を停止し、得られた球状シリカヒドロゲルを濾過により固液分離して取り出した。これを、まず50℃の熱シクロヘキサン、続いて室温のメタノール/水=60/40重量比の混合液で洗浄し、粒子表面に付着したシクロヘキサン及びエチルセルロースを概略除いた後、濾過によって固液分離することにより、凝集のない真球状のシリカヒドロゲル粒子を得た。
この球状シリカヒドロゲル粒子250gと純水250gを1Lのガラス製オートクレーブに仕込み、150℃で3時間水熱処理を実施した。所定時間水熱処理した後、濾過により固液分離し、100℃で恒量となるまで減圧乾燥した。乾燥したシリカゲル粒子を500℃で5時間焼成し、粒径50〜300μmの球状シリカゲル粒子を得た。これを実施例1のシリカゲルとする。
実施例1のシリカゲルの諸物性を下の表2に示す。粉末X線回折図には結晶性のピークは出現しておらず、また、周期的構造による低角度側のピークも認められない。なお、実施例1の球状シリカゲルの不純物濃度は、ナトリウム0.2ppm、カリウム0.1ppm、カルシウム0.2ppmで、その他の金属不純物は検出されなかった。また、固体Si−NMRのQ4ピークのケミカルシフトの値δは、前述した式(I)の左辺で計算される値よりも小さな値となった。
・実施例2
水熱処理温度を200℃にした他は実施例1と同様に実験を行なった。得られた球状シリカゲル粒子を実施例2のシリカゲルとする。実施例2のシリカゲルの諸物性を下の表2に示す。粉末X線回折図には結晶性のピークは出現しておらず、また、周期的構造による低角度側のピークも認められない。なお、実施例2のシリカゲルの不純物濃度は、ナトリウム0.2ppm、カリウム0.1ppm、カルシウム0.2ppmで、その他の金属不純物は検出されなかった。また、固体Si−NMRのQ4ピークのケミカルシフトの値δは、前述した式(I)の左辺で計算される値より小さな値となった。
・比較例1
富士シリシア化学(株)製の触媒担体用シリカゲルCARIACT Q−15(球状品、粒径75〜500μm)を、比較例1のシリカゲルとして用いた。その諸物性を下の表2に示す。粉末X線回折図には結晶性のピークは出現しておらず、また、周期的構造による低角度側のピークも認められない。また、比較例1の球状シリカゲルの不純物濃度を測定したところ、ナトリウム35ppm、マグネシウム0.83ppm、アルミニウム17ppm、カリウム2ppm、カルシウム3.3ppm、チタン110ppm、鉄10.3ppm、ジルコニウム11ppmで、金属不純物の含有量が多かった。固体Si−NMRのQ4ピークのケミカルシフトの値δは、実施例1、実施例2のいずれのシリカゲルよりも大きく、且つ前述した式(I)の左辺より計算される値よりも大きな領域に存在した。すなわち、比較例1のシリカゲルは、実施例1及び実施例2のシリカゲルと比べてその構造にひずみが多く、物性変化を受け易いものと判断される。
シリカゲルの水中熱安定性試験
実施例1,実施例2及び比較例1のシリカゲル試料各々20gに、純水を加えて40重量%のスラリーを各々調製した。容積60mlのステンレススチール製のミクロボンベに、上記で調製したスラリー約40mlを各々入れて密封し、280±1℃のオイルバス中に3日間浸漬した。ミクロボンベからスラリーの一部を抜出し、濾過によりシリカゲルを回収した。得られたシリカゲルを100℃で5時間真空乾燥した。これらの試料について比表面積を測定した結果を下の表2に示す。実施例1及び実施例2のシリカゲルは、比較例1のシリカゲルと比較して、比表面積の減少が少なく、より安定していると判断される。
Figure 2007308371

Claims (3)

  1. 不純物元素の総含有量が100ppm以下のシリコンアルコキシドを加水分解して精製するヒドロゾルが縮合してなるシリカヒドロゲルを水熱処理する工程を有する
    ことを特徴とする、シリカゲルの製造方法。
  2. 前記加水分解を、シリコンアルコキシド1モルに対して、4モル以上8モル以下の水を用いて行なう
    ことを特徴とする、請求項1に記載のシリカゲルの製造方法。
  3. 前記ヒドロゾルを、界面活性剤を含有する前記ヒドロゾルと親和性の無い溶媒中で、球状化する工程を有する
    ことを特徴とする、シリカゲルの製造方法。
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