JP2005022897A - 異元素含有シリカゲル - Google Patents

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Hiroshi Mori
寛 森
Hanako Katou
波奈子 加藤
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Abstract

【課題】細孔容積及び比表面積が大きいだけでなく、細孔分布が狭く、有用なドープ元素を所望量含有できると共に、耐熱性や耐水性等にも優れるようにする。
【解決手段】(a)細孔容積が0.3〜1.6ml/g、(b)比表面積が200〜900m/g、(c)細孔の最頻直径(Dmax)が20nm未満、(d)直径がDmax±20%の範囲内にある細孔の総容積が、全細孔の総容積の30%以上、(e)周期表の13族,14族及び15族並びに遷移金属からなる群に属する元素のうち、少なくとも一種類の元素の含有率が0.1%以上となるようにする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性や耐水性等に優れた、新規な異元素含有シリカゲルに関する。
【0002】
【従来の技術】
シリカゲルは、古くから乾燥剤として広く用いられてきたが、最近ではその用途が触媒担体,分離剤,吸着剤等へと広がっており、こうした用途の広がりに応じて、シリカゲルの性能に対する要求も多様化している。シリカゲルの性能は、シリカゲルの表面積、細孔径、細孔容積、細孔径分布等の物性によって決定されるが、これらの物性はシリカゲルの製造条件によって大きく影響される。
【0003】
シリカゲルの製造方法として、最も一般的には、ケイ酸ソーダ等のケイ酸アルカリ塩を鉱酸で加水分解し、得られるシリカヒドロゾルをゲル化して乾燥する方法が用いられているが、シリカゲルの性能を改良するために、この製造方法の詳細につき多くの提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1では、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸との反応により生成したシリカヒドロゾルをゲル化し、これをpH2.5以下の酸溶液で処理し、水洗後、緩衝作用を有する水溶液中でpH4−9に調整して水熱処理することにより、細孔分布の狭いシリカゲルを製造する方法が提案されている。また、特許文献2では、シリカヒドロゲルの乾燥を回分式流動乾燥、次いで水熱処理する方法が提案されている。
【0005】
これらの製造方法によれば、得られるシリカゲルの性能には確かに変化が認められ、よりシャープな細孔分布を有するシリカゲルが製造できる。しかし、得られるシリカゲルの細孔容積、比表面積及び平均細孔径を十分に変化させるまでには至らず、耐熱性や耐水性も充分ではないため、所望の物性範囲のシリカゲルを得る方法としては不十分である。
【0006】
また、前者の方法でケイ酸アルカリ塩を原料として得られるシリカゲルには、通常、原料に由来するナトリウム,カルシウム,マグネシウム等の不純物が相当量含まれている。シリカゲル中の不純物の存在は、その総含有率がたとえ数百ppm程度の微量であっても、シリカゲルの性能に大きな影響を与える。例えば、1)これらの不純物の存在が、高温下ではシリカゲルの結晶化を促進する、2)これらの不純物の存在が、水存在下ではシリカゲルの水熱反応を促進して、細孔径や細孔容積の拡大,比表面積の低下,細孔分布の拡大をもたらす、3)これらの不純物は焼結温度を低下させるので、これらの不純物を含むシリカゲルを加熱すると、比表面積の低下が促進される、等の影響が挙げられる。そして、かかる影響は、アルカリ金属やアルカリ土類金属に属する元素を含む不純物において、特にその傾向が強い。
【0007】
これに対して、不純物の極めて少ない高純度のシリカゲルを製造する方法としては、珪酸アルカリ塩を中和して得されたゲルを精製する方法や、シリコンアルコキシドを加水分解する方法が知られており、特に後者の方法は、シリコンアルコキシドを蒸留等により精製することができるため、比較的容易に高純度のシリカゲルを得ることが可能である。しかしながら、シリコンアルコキシドからゾル−ゲル法により得られるシリカゲルは、一般に平均細孔径が小さく、かつ細孔分布も広い。また、このシリカゲルに水熱処理を施しても、目立った性能の改良は殆ど報告されていない。
【0008】
一方、非特許文献1には、電気的に中性のgemini界面活性剤とシリカの前駆体との水素結合からなる超分子構造を形成した後、gemini界面活性剤を除去することによって、耐熱性(1000℃)及び耐水性(100℃で150時間以上)を備えたメソポーラスのモレキュラーシーブを製造することが記載されている。これは、有機テンプレートを用いて細孔を形成する、いわゆるミセルテンプレートシリカの一種であって、上述の各従来技術と比較しても、非常にシャープな細孔分布を持つシリカゲルを製造することができる。しかしながら、この製造方法では、得られるシリカゲルの耐水性が充分なものでなく、且つ製造工程が複雑で生産性が悪い、という課題があった。
【0009】
ところで、特定の異元素を含有させることによって各種機能を付与したシリカゲルは、各種触媒、抗菌剤、高機能吸着剤、分離剤等として有用である。こうした異元素含有シリカゲルの製造に係る従来技術は幾つか知られているが、シリカゲル製造時に各種元素をドープし、その後に細孔の制御を行なった例として、▲1▼チタニアやジルコニアをドープして、硬度や耐水性・耐アルカリ性の向上を図る技術(例:特許文献3等)や、▲2▼有機テンプレートを用いて細孔制御を行なう、いわゆるミセルテンプレートシリカ等の技術(例:非特許文献2,特許文献4等)がある。また、細孔制御後のシリカゲルに各種元素を担持させた例として、▲3▼従来の水ガラス系シリカゲルに各種金属や触媒活性物質を担持させる技術(特許文献5(抗菌剤)、特許文献6(オレフィン水和触媒)、特許文献7(オレフィン重合触媒)等)や、▲4▼テンプレートを使用し、細孔制御したミセルテンプレートシリカに各種元素を後担持させ、機能性を付与する技術(特許文献8、特許文献9)等が挙げられる。
【0010】
しかしながら、上述の従来技術のうち、▲1▼及び▲2▼の技術においては、異元素を予めドープするので細孔制御がし難くなるという課題がある。また、▲3▼の技術においては、製造コストが安価で済むものの、得られるシリカゲル中に存在する不純物が概して多くなってしまう上に、細孔径20nm以下の充分に細孔制御されたシリカゲル担体が現在のところ存在しない、という課題を有する。さらに、▲2▼及び▲4▼の技術においては、得られるシリカゲルの細孔分布がシャープであるが、有機テンプレートが高価であるために製造コストが高く、製造工程が複雑なために不要な不純物金属が混入しやすい、という課題がある。加えて、細孔壁が非常に薄いので、構造的な強度が弱く、物性変化を起こし易い上に、生産性の悪さも課題となっている。
【0011】
【非特許文献1】
Kim et al., Ultrastable Mesostructured Silica Vesicles Science, 282, p1302 (1998)
【非特許文献2】
Nature 359, p710−712 (1992)
【特許文献1】
特開昭62−113713号公報
【特許文献2】
特開平9−30809号公報
【特許文献3】
特開2000−154017号公報
【特許文献4】
特開平8−59223号公報
【特許文献5】
特開平5−155725号公報
【特許文献6】
特開平7−330642号公報
【特許文献7】
特開平11−269213号公報
【特許文献8】
特開平5−254827号公報
【特許文献9】
特開平10−296088号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上の背景から、目的とする異元素の純度が高く、生産性に優れ、細孔径が制御されており、シャープな細孔分布を示し、且つ物性安定性にも優れた、すなわち各種特性をバランスよく満たした異元素含有シリカゲルが望まれていた。
【0013】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、細孔容積及び比表面積が大きいだけでなく、細孔分布が狭く、有用なドープ元素を所望量含有できるとともに、耐熱性、耐水性等、物性安定性(熱安定性等)などにも優れた、新規な異元素含有シリカゲルを提供することに存する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の方法によって製造された異元素含有シリカゲルが、各種特性をバランスよく満たしており、上記課題を効果的に解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、本発明の要旨は、(a)細孔容積が0.3〜1.6ml/gであり、(b)比表面積が200〜900m/gであり、(c)細孔の最頻直径(Dmax)が20nm未満であり、(d)直径がDmax±20%の範囲内にある細孔の総容積が、全細孔の総容積の30%以上であり、且つ、(e)周期表の13族,14族及び15族並びに遷移金属からなる群に属する元素のうち、少なくとも一種類の元素の含有量が0.1%以上であることを特徴とする、異元素含有シリカゲルに関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明の異元素含有シリカゲルは、細孔容積及び比表面積が通常のものより大きい範囲にあることを、特徴の一つとする。具体的に、細孔容積の値は、通常0.3〜1.6ml/gの範囲、好ましくは0.4〜1.5ml/gの範囲、更に好ましくは0.5〜1.3ml/gの範囲に、また、比表面積の値は、通常200〜900m/gの範囲、好ましくは200〜800m/gの範囲、更に好ましくは200〜700m/gの範囲に存在する。これらの細孔容積及び比表面積の値は、窒素ガス吸脱着によるBET法で測定される。
【0017】
また、本発明の異元素含有シリカゲルは、窒素ガス吸脱着法で測定した等温脱着曲線から、E. P. Barrett, L. G. Joyner, P. H. Haklenda, J. Amer. Chem. Soc., vol. 73, 373(1951) に記載のBJH法により算出される細孔分布曲線、即ち、細孔直径d(nm)に対して微分窒素ガス吸着量(ΔV/Δ(logd);Vは窒素ガス吸着容積)をプロットした図上での最頻直径(Dmax)が20nm未満であり、下限は特に制限はないが、好ましくは2nm以上である。このことは、本発明の異元素含有シリカゲルが有する細孔の最頻直径(Dmax)が、通常のシリカゲルに比べてより小さい範囲に存在することを意味する。
【0018】
更に、本発明の異元素含有シリカゲルは、上記の最頻直径(Dmax)の値の±20%の範囲にある細孔の総容積が、全細孔の総容積の通常30%以上、好ましくは35%以上、特に好ましくは40%以上である点においても特徴づけられる。また、上記の最頻直径(Dmax)の値を中心として±20%の範囲にある細孔の総容積は、全細孔容積の通常90%以下である。このことは、本発明の異元素含有シリカゲルが有する細孔の直径が、最頻直径(Dmax)付近の細孔で揃っていることを意味する。
【0019】
かかる特徴に関連して、本発明の異元素含有シリカゲルは、上記のBJH法により算出された最頻直径(Dmax)における微分細孔容積ΔV/Δ(logd)が、通常2〜20ml/g、特に3〜12ml/gであることが好ましい(なお、上式において、dは細孔直径(nm)であり、Vは窒素ガス吸着容積である)。微分細孔容積ΔV/Δ(logd)が前記範囲に含まれるものは、最頻直径(Dmax)の付近に揃っている細孔の絶対量が極めて多いものと言える。
【0020】
また、本発明の異元素含有シリカゲルは、以上の細孔構造の特徴に加えて、その三次元構造を見るに、非結晶質であること、即ち、結晶性構造が認められないことが好ましい。このことは、本発明の異元素含有シリカゲルをX線回折で分析した場合に、結晶性ピークが実質的に認められないことを意味する。なお、本明細書において非結晶質ではないシリカゲルとは、X線回折パターンで6オングストローム(Å Units d−spacing)を越えた位置に、少なくとも一つの結晶構造のピークを示すものを指す。非結晶質のシリカゲルは、結晶性のシリカゲルに較べて、極めて生産性に優れている。
【0021】
本発明の異元素含有シリカゲルは、更に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属に属する元素(不純物元素)の合計の含有率の値が、特に限定されるものではないが、低く抑えられ、高純度であることが好ましい。具体的には、通常300ppm以下、好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、最も好ましくは30ppm以下の範囲が好適である。このように、金属不純物の含有率を低く抑え、その影響を少なくすることによって、本発明の異元素含有シリカゲルは高い耐熱性や耐水性などの優れた性質をより一層発現できるようになる。
【0022】
上述してきた各種特徴に加えて、本発明の異元素含有シリカゲルは、有用な元素群である周期表の13族,14族及び15族並びに遷移金属からなる群(有用異元素群)に属する元素のうち、少なくとも一種の元素(目的異元素)の含有率が通常0.1%以上、好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.5%以上、特に好ましくは1%以上であることを特徴とする。これらの目的異元素の存在状態は任意であり、例えばシリカゲル中に原子状、分子状、クラスター状、粒子状、その他何れかの状態で均一に分散していても、若しくはそれらがシリカゲル表面に添着、付着していてもよい。また、これらの目的異元素の少なくとも一部が、直接又は酸素を介して珪素原子と結合していてもよい。更に、これらの目的異元素の原子価は何れの値をとっても良く、他の元素又は化合物と結びついた形で存在していても良い。
【0023】
具体的に、目的異元素とは、本発明の異元素含有シリカゲルに含有される、有用異元素群に属する元素種のうち、含有率の多いものから順に、通常4種、好ましくは3種、更に好ましくは2種、特に好ましくは1種を指すこととする。ここで、目的異元素が2種以上の場合には、そのうち少なくとも1種の目的異元素の含有率が、通常0.1%以上、好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.5%以上、特に好ましくは1%以上であることが好ましい。
【0024】
以上説明してきた物性を有する本発明の異元素含有シリカゲルは、細孔制御のための水熱処理の前にシリカヒドロゲルを熟成しないという点を除けば、その製造方法は実質的に制限されるべきではない。
例えば、目的異元素を水熱処理前にドープした異元素含有シリカゲルを製造する場合には、珪酸アルカリ塩又はシリコンアルコキシドを加水分解した後、これをゲル化する前に、有用異元素群(13族,14族及び15族並びに遷移金属からなる群)より選ばれる少なくとも1種の目的異元素について、その元素単体及び/又はその元素を含む化合物を添加し、得られたシリカヒドロゲルを用いて、水熱処理による方法を応用して製造することができる。水熱処理による方法の応用例として、好ましくは、シリコンアルコキシドと最低1種類の目的異元素の単体及び/又はその目的異元素を含む化合物とを加水分解する方法が挙げられる。
【0025】
目的異元素の単体及び/又はその化合物は、シリコンアルコキシドを加水分解しシリカヒドロゲルを得る工程において、1種又は2種以上系内に添加される。その形態、化合物の種類、化合物の量などについては、均質なシリカヒドロゲルの形成を妨げない範囲であれば特に限定されず、これらの目的異元素の単体、水溶性の塩、溶媒可溶性の塩、錯体化合物、加水分解性の化合物等の何れであってもよいが、シリコンアルコキシドの加水分解に対して強い触媒活性を発現しない化合物形態が好ましい。また、高純度なシリカゲルを得る観点から、目的異元素の単体及び/又はその化合物も、高純度なものを用いることが好ましい。さらに、これらの目的異元素の単体及び/又はその化合物は、シリカヒドロゲルに固体として均一に分散可能であるならば、系に不溶であってもよい。この場合、粒径10μm以下の微粒子状が、均一分散の点から好ましい。
【0026】
目的異元素の単体及び/又はその化合物の添加方法は、均質なシリカヒドロゲルの形成を妨げない方法であれば特に限定されず、目的異元素及び/又はその化合物をシリコンアルコキシド加水分解のための水に添加しても、シリコンアルコキシドに添加しても、加水分解直後に均一溶液となったヒドロゾルに添加してもよく、操作性に応じ適宜選択される。また、必要であれば、目的異元素及び/又はその化合物を前もって加水分解した後に上記の系に添加したり、逆に、シリコンアルコキシドの部分加水分解を行なった後に目的異元素及び/又はその化合物を添加したりしてもよい。
【0027】
また、本発明の異元素含有シリカゲルは、細孔制御後の高純度シリカゲルに目的異元素を後担持させる方法でも製造できる。この場合、まず、シリカゲル細孔中に目的異元素の単体及び/又はその化合物を導入する。その方法としては、例えば、触媒調整法としてよく知られている含浸法<吸着(absorption)法,ポアフィリング(pore−filling)法,“incipient wetness”法,蒸発乾固(evaporation to dryness)法,スプレー(spray)法等>、沈殿法<共沈(coprecipitation)法、沈着(precipitation)法,混練(kneading)法等>、イオン交換(ion exchange)法などの公知の方法の何れを用いても良い。この他、機械的混合(メカノケミカル)法や、蒸着法(化学蒸着法、スパッタリング法)等の方法により目的異元素を導入しても良い。
【0028】
目的異元素は、シリコンアルコキシドを加水分解し、熟成すること無しに水熱処理して得られたシリカゲルに、上記の方法で担持させることができるが、その形態、化合物の種類、化合物の量は、目的異元素が機能性を発現する範囲であれば特に限定されず、これらの目的異元素の単体、水溶性の塩、溶媒可溶性の塩、錯体化合物、加水分解性の化合物等の何れであってもよい。また、高純度な異元素含有シリカゲルを得る観点から、目的異元素の化合物も高純度なものを用いることが好ましい。目的異元素を後担持させる場合には、担体となる高純度シリカゲルに対して前処理を行なってもよい。なお、担体となるシリカゲルの原料であるシリコンアルコキシド等に由来する炭素分が含まれている場合には、必要に応じて、通常400〜600℃で焼成除去してもよい。さらに、表面状態をコントロールするために、最高900℃の温度で焼成してもよい。
【0029】
なお、本発明の目的異元素の選択対象となる、周期表の13族,14族及び15族並びに遷移金属からなる元素群(有用異元素群)に属する元素の例として、具体的には、13族はB,Al,Ga,In,Tl、14族はC,Si,Ge,Sn,Pb、15族はN,P,As,Sb,Bi、そして遷移金属はSc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Nb,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,ランタノイド類,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Hg,アクチノイド類,Rf,DB,Sg、Bh,Hs,Mt等が挙げられる。中でも、B,Al,Ga,In,Tl,Ge,Sn,Pb,P,As,Sb,Bi,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Y,Zr,Nb,Mo,Tc,Ru,Rh,Pd,Ag,Cd,ランタノイド類,Hf,Ta,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Hg,アクチノイド類などが、各種用途において活性が高く有用である点から好ましい。
【0030】
これらのうち、特に固体酸触媒・固体塩基触媒用途としてはB,Al,Ga,In,Tl,Fe,Ti,P,W,Mo,Zn等が、水素化触媒・脱水素触媒用途としては、W,Mo,Tc,Re,Ru,Os,Rh,Ir,Pd,Pt,Ag,Au、Ni,Cu等が、酸化還元触媒用途としてはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Sn,Ge,Pb等が、光触媒用途としてはTi,Zn,W,Sn,Cd等が、重合触媒用途としてはTi,Zr,Cr,Fe,Ge,Sb,Bi,V,Mo,W,Mn,Co,Cu,Sc,Nb等が好ましい。
【0031】
これらの触媒(特に固体酸触媒・固体塩基触媒)用途に異元素含有シリカゲルを使用する場合、細孔径が制御されておらず細孔分布が広いものや、不純物元素(特にアルカリ金属やアルカリ土類金属)の含有量が高いものを使用すると、触媒活性が悪く、寿命も短い。これに対して、本発明の異元素含有シリカゲルは、細孔径が制御されていて細孔分布が狭く、さらに不純物元素の含有量も低いので、これらの触媒用途に使用した場合に優れた触媒活性を得ることができ、且つ長寿命であるので、好適に使用することができる。
【0032】
勿論、13族,14族及び15族並びに遷移金属に属する元素の用途は、上述したものに限定されるわけではなく、その他にも抗菌剤用途(Ti,Ag,Cu,Zn等)、耐水性向上(安定性付与)用途(Zr,Ti等)、蛍光体用途(希土類、ランタノイド類)など、各種の用途が挙げられるのは言うまでも無い。
【0033】
酸強度を高めるために、例えば異元素としてAl等の金属を用いる際には、Alをシリカの骨格中にどの程度導入できるかが、重要な要件となる。酸強度を高めるための方法としては、例えば以下の4つの方法が挙げられる。
(a)シリカゲル表面を親水化処理する。
(b)(後述するシリカヒドロゲルの水熱処理中に)Alを導入する。
(c)加水分解・ゲル化反応時にAlを導入する。
(d)Al含有量を上げる。
【0034】
(a)の親水化処理を行なうことで、Al塩とシリカ骨格との架橋に必要な、シリカ表面のシラノール基の数が増えるので、Alがシリカ骨格に取り込まれ易くなる。この(a)の具体的な方法としては、酸やアルカリによる処理が挙げられるが、中でも酸処理が好ましい。
【0035】
また、(b)、(c)の方法では、シリカ骨格が形成される際(つまりシリカ骨格の縮合が生じる際)、この縮合が生ずる周辺にAlが存在することで、Alが骨格に取り込まれ易くなる。
【0036】
(d)の方法は、ポアフィリング法等によって、例えばAl塩水溶液等をシリカゲルに噴霧する際、溶液濃度や回数をコントロールすることで、シリカゲル中のAl含有量を向上させ、シリカ骨格に取り込まれるAlの量を調整することが可能となる。
【0037】
このような酸強度の高いアルミナ修飾シリカは、固体酸又は触媒担体として広く用いられる。例えば、流動接触分解触媒、フィッシャートロプシュ反応の触媒担体、水素化処理触媒、脱硫触媒などが挙げられる。
【0038】
本発明の異元素含有シリカゲルの原料として使用されるシリコンアルコキシドとしては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の炭素数1〜4の低級アルキル基を有するトリまたはテトラアルコキシシラン或いはそれらのオリゴマーが挙げられるが、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びそれらのオリゴマーである。以上のシリコンアルコキシドは蒸留により容易に精製し得るので、高純度の異元素含有シリカゲルの原料として好適である。シリコンアルコキシド中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属に属する不純物元素(金属不純物)の総含有量は、通常好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。これらのいわば金属不純物の含有率は、一般的なシリカゲル中の不純物含有率の測定法と同じ方法で測定できる。
【0039】
シリコンアルコキシドの加水分解は、シリコンアルコキシド1モルに対して、通常2〜50モル、好ましくは3〜20モル、特に好ましくは4〜10モルの水を用いて行なう。この工程の途中において、任意の方法により目的異元素の単体又は化合物を添加することによって、シリコンアルコキシドの加水分解により、目的異元素をドープしたシリカのヒドロゲルとアルコールとが生成する。目的異元素を後担持させる場合には、シリコンアルコキシドのみを同様に加水分解して、シリカヒドロゲルを得る。この加水分解反応は、通常、室温から100℃程度であるが、加圧下で液相を維持することで、より高い温度で行なうことも可能である。また、加水分解時には必要に応じて、水と相溶性のあるアルコール類等の溶媒を添加してもよい。具体的には、炭素数1〜3の低級アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルセロルブ、エチルセロルブ、メチルエチルケトン、その他の水と任意に混合できる有機溶媒を任意に用いることができるが、中でも強い酸性や塩基性を示さないものが、均一なシリカヒドロゲルを生成できる理由から好ましい。
【0040】
結晶構造を有するシリカゲルは、水中熱安定性に乏しくなる傾向にあり、ゲル中に細孔を形成するのに用いられる界面活性剤等のテンプレートの存在下でシリコンアルコキシドを加水分解すると、ゲルは容易に結晶構造を含むものとなる。従って、本発明においては、界面活性剤等のテンプレートの非存在下で、すなわち、これらがテンプレートとしての機能を発揮するほどの量は存在しない条件下で加水分解するのが好ましい。
【0041】
反応時間は、反応液組成(シリコンアルコキシドの種類や、水とのモル比)並びに反応温度やドープする元素化合物の種類及び量に依存し、ゲル化するまでの時間が異なるので、一概には規定されない。なお、反応系に触媒として、酸、アルカリ、塩類などを添加することで加水分解を促進させることができる。しかしながら、かかる添加物の使用は、後述するように、生成したヒドロゲルの熟成を引き起こすことになるので、本発明の異元素含有シリカゲルの製造においてはあまり好ましくない。
【0042】
上記のシリコンアルコキシドの加水分解反応では、シリコンアルコキシドが加水分解してシリケートが生成するが、引き続いて該シリケートの縮合反応が起こり、反応液の粘度が上昇し、最終的にゲル化してシリカヒドロゲルとなる。本発明の異元素含有シリカゲルを製造するためには、シリカヒドロゲルを実質的に熟成することなく、直ちに水熱処理を行なうことが重要である。
【0043】
この水熱処理の条件としては、水の状態が液体、気体のいずれでもよく、溶媒や他の気体によって希釈されていてもよいが、好ましくは液体の水が使われる。シリカのヒドロゲルに対して、通常0.1〜10重量倍、好ましくは0.5〜5重量倍、特に好ましくは1〜3重量倍の水を加えてスラリー状とし、通常40〜250℃、好ましくは50〜200℃の温度で、通常0.1〜100時間、好ましくは1〜10時間実施される。水熱処理に使用される水には低級アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノールや、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルスルホキシド(DMSO)、その他の有機溶媒などが含まれてもよい。また、メンブランリアクターなどを作る目的で、シリカゲルを膜状あるいは層状に粒子、基板、あるいは管などの基体上に形成させた材料の場合にも、この水熱処理方法は適用される。なお、加水分解反応の反応器を用い、続けて温度条件変更により水熱処理を行なうことも可能であるが、加水分解反応とその後の水熱処理では最適条件が通常は異なっているため、この方法で本発明の異元素含有シリカゲルを得ることは一般的には難しい。
【0044】
以上の水熱処理条件において温度を高くすると、得られるシリカゲルの細孔径、細孔容積が大きくなる傾向がある。水熱処理温度としては、100〜200℃の範囲であることが好ましい。また、処理時間とともに、得られるシリカゲルの比表面積は、一度極大に達した後、緩やかに減少する傾向がある。以上の傾向を踏まえて、所望の物性値に応じて条件を適宜選択する必要があるが、水熱処理は、シリカゲルの物性を変化させる目的なので、通常、前記の加水分解の反応条件より高温条件とすることが好ましい。
【0045】
水熱処理の温度、時間を上記範囲外に設定すると本発明の異元素含有シリカゲルを得ることが困難となる。例えば、水熱処理の温度が高すぎると、シリカゲルの細孔径、細孔容積が大きくなりすぎ、また、細孔分布も広がる。逆に、水熱処理の温度が低過ぎると、生成するシリカゲルは、架橋度が低く、熱安定性に乏しくなり、細孔分布にピークが発現しなくなる傾向がある。
【0046】
なお、水熱処理をアンモニア水中で行なうと、純水中で行なう場合よりも低温で同様の効果が得られる。また、アンモニア水中で水熱処理すると、純水中で処理する場合と比較して、最終的に得られるシリカゲルは一般に疎水性となるが、通常30〜250℃、好ましくは40〜200℃という比較的高温で水熱処理すると、特に疎水性が高くなる。ここでのアンモニア水のアンモニア濃度としては、好ましくは0.001〜10%、特に好ましくは0.005〜5%である。
【0047】
水熱処理されたシリカヒドロゲルは、通常40〜200℃、好ましくは60〜180℃で乾燥する。乾燥方法は特に限定されるものではなく、バッチ式でも連続式でもよく、且つ、常圧下でも減圧下でも乾燥することができる。目的異元素を予めドープした場合には、この状態で本発明の異元素含有シリカゲルとなる。目的異元素を後担持させる場合には、この後に前述の担持方法を実施して目的異元素を導入することにより、本発明の異元素含有シリカゲルを得る。
【0048】
なお、以上の操作により細孔内に目的異元素を導入した後、必要に応じて200〜1200℃で焼成することにより、目的異元素とシリカゲルとの間の架橋反応を促進させることができる。必要であれば、目的異元素を担持させた後に酸化や還元等の化学処理を行ない、目的異元素の化学状態を変化させても良い。更に、必要に応じて粉砕、分級することで、最終的に目的としていた本発明の異元素含有シリカゲルを得る。
【0049】
例えば、チタニア(酸化チタン)等のチタン化合物やチタンを担持させ、光触媒作用を発現させるためには、アナターゼ型の酸化チタンを担持させればよい。一般的には、四塩化チタンを水溶液として用い、これとシリカゲルとを接触させた後、300〜1200℃、中でも好ましくは400〜1000℃、特に好ましくは600〜1000℃の温度で焼成すれば良い。
【0050】
また、この際、チタンの含有量は任意であり、且つ焼成温度を変化させて、含有したチタン(酸化チタン)の結晶構造を調節してもよい。
【0051】
さらに、チタン源として、先述のような四塩化チタンの水溶液などを用いる際には、この水溶液をシリコンアルコキシドの加水分解時に用いてもよい。この際、最終的に得られる異元素含有シリカゲル粒子内におけるチタン等の異元素の分布を操作する目的で、加水分解に用いる水の量を調節を行なったり、加水分解後に得られたシリカヒドロゲルの、水等による洗浄を行なったりしてもよい。
【0052】
また、このチタン含有シリカゲルにおいては、焼成温度を650℃以下程度の低温に設定することで、シリカゲルに含まれる酸化チタンの一部を酸素欠損状態にして、光触媒活性を変化させることが出来る。
【0053】
更には、酸化チタン中の酸素原子の一部をN、S、P、B、C、Cl、As、Se、Br、Sb、Te、I等の原子に置換してもよい。またV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Mo、Nbを含む化合物を添加し、紫外領域の光のみならず、可視光領域の光に対しても光触媒活性機能を発現する、可視光応答型の光触媒としてもよい。
【0054】
本発明の異元素含有シリカゲルは、従来からのシリカゲルの用途の他、いかなる用途においても利用することができる。このうち従来の用途としては、以下のようなものが挙げられる。
【0055】
例えば、産業用設備で製品の製造及び処理に用いられる用途分野においては、各種触媒及び触媒担体(酸塩基触媒、酸化チタン等の含有による光触媒、貴金属触媒等)、廃水・廃油処理剤、臭気処理剤、ガス分離剤、工業用乾燥剤、バイオリアクター、バイオセパレーター、メンブランリアクター等の用途が挙げられる。建材用途では、調湿剤、防音・吸音材、耐火物、断熱材等の用途が挙げられる。また、空調分野の用途では、デシカント空調機用調湿剤、ヒートポンプ用蓄熱剤等が挙げられる。塗料・インク用途分野においては、艶消し剤、粘度調整剤、色度調整剤、沈降防止剤、消泡剤、インク裏抜け防止剤、スタンピングホイル用、壁紙用等の用途が挙げられる。樹脂用添加剤用途分野においては、フィルム用アンチブロッキング剤(ポリオレフィンフィルム等)、プレートアウト防止剤、シリコーン樹脂用補強剤、ゴム用補強剤(タイヤ用・一般ゴム用等)、流動性改良材、パウダー状樹脂の固結防止剤、印刷適性改良剤、合成皮革やコーティングフィルム用の艶消し剤、接着剤・粘着テープ用充填剤、透光性調整剤、防眩性調整剤、多孔性ポリマーシート用フィラー等の用途が挙げられる。また、製紙用途分野においては、感熱紙用フィラー(カス付着防止剤等)、インクジェット紙画像向上用フィラー(インク吸収剤等)、ジアゾ感光紙用フィラー(感光濃度向上剤等)、トレーシングペーパー用筆記性改良剤、コート紙用フィラー(筆記性、インク吸収性、アンチブロッキング性改良剤等)、静電記録用フィラー等の用途が挙げられる。食品用途分野においては、ビール用濾過助剤、醤油・清酒・ワイン等発酵製品のおり下げ剤、各種発酵飲料の安定化剤(混濁因子タンパクや酵母の除去等)、食品添加剤、粉末食品の固結防止剤等の用途が挙げられる。医農薬分野においては、薬品等の打錠助剤、粉砕助剤、分散・医薬用担体(分散・徐放・デリバリー性改善等)、農薬用担体(油状農薬キャリア・水和分散性改善、徐放・デリバリー性改善等)、医薬用添加剤(固結防止剤・粉粒性改良剤等)・農薬用添加剤(固結防止剤・沈降防止剤等)等が挙げられる。分離材料分野では、クロマトグラフィー用充填剤、分離剤、フラーレン分離剤、吸着剤(タンパク質・色素・臭等)、脱湿剤等の用途が挙げられる。農業用分野では、飼料用添加剤、肥料用添加剤が挙げられる。さらにその他の用途として、生活関連分野では、調湿剤、乾燥剤、化粧品添加剤、抗菌剤、消臭・脱臭・芳香剤、洗剤用添加剤(界面活性剤粉末化等)、研磨剤(歯磨き用等)、粉末消火剤(粉粒性改良剤・固結防止剤等)、消泡剤、バッテリーセパレーター等が挙げられる。
【0056】
これらの中でも、特に制御された細孔特性が要求されるとともに、長期にわたって物性変化の少ないことが要求され、且つ、特定の有用異元素の含有による機能付与が要求される分野において、具体的には、例えば各種触媒、抗菌剤、高機能吸着剤、分離剤、充填剤等として、本発明の異元素含有シリカゲルは好適に用いることができる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。なお、特段の断りのない限り、「%」は「重量%」を示す。
【0058】
(1)異元素含有シリカゲルの分析方法
1−1)細孔容積、比表面積:
カンタクローム社製AS−1にてBET窒素吸着等温線を測定し、細孔容積、比表面積を求めた。具体的には細孔容積は相対圧P/P=0.98のときの値を採用し、比表面積はP/P=0.1,0.2,0.3の3点の窒素吸着量よりBET多点法を用いて算出した。また、BJH法で細孔分布曲線及び最頻直径(Dmax)における微分細孔容積を求めた。測定する相対圧の各点の間隔は0.025とした。
1−2)粉末X線回折による結晶構造の解析:
理学電機社製RAD−RB装置を用い、CuKαを線源として測定を行なった。発散スリット1deg、散乱スリット1deg、受光スリット0.15mmとした。
1−3)目的異元素及び金属不純物の含有量:
試料2.5gにフッ酸を加えて加熱し、乾涸させたのち、水を加えて50mlとした。この水溶液を用いてICP発光分析を行なった。なお、ナトリウム及びカリウムはフレーム炎光法で分析した。
【0059】
1−4)ラマン分光による結晶構造の解析:
セキテクノトロン社製のマイクロレーザーラマン分光装置を用いて解析を行なった。レーザーは、He−Neレーザーで、波長532nm、50mWのものを使用し、検出器は冷却CCDを使用した。測定時間は10sec×1回、走査範囲は0〜3914.2[cm−1]であり、分解能は6.85cm−1、対物レンズは10倍のものを使用した。
【0060】
1−5)シリカゲル表面における異元素の分布測定:
SEM−EDXにて分析を行なった。SEMは、JEOL社のJSM−6340Fを使用し、前処理は無蒸着、加速電圧は20kV、倍率を500倍とした。また、EDX(エネルギー分散型X線分光器)はJEOL社のLINK ISIS−IAを使用し、使用電流は0.8mAとした。
【0061】
1−6)シリカゲル粒子内部における異元素の分布測定:
JOEL社製のEPMA(JXA8100)を用いて元素分布分析を行なった。前処理は熱硬化樹脂包埋し、断面をミクロトーム切削し、Au蒸着を行なう順序で処理した。マッピング条件はビーム電圧を15KV、ビーム電流を20nA、ビーム径を1μmφ以下、シーケンス回数を1回、信号取込は100msec/pointとした。
ZAF補正定量分析は、ビーム電圧を15KV、ビーム電流を20nA、ビーム径を1μmφ以下、信号取込は10sec at peak;5sec at ±backgroundにて実施した。
【0062】
1−7)異元素含有シリカゲルの光透過性の測定:
島津製作所社製UV−3100PCを用いて吸光度を測定した。測定に用いたセルは石英製で、試料の光路長は1mm、測定波長を200〜800nm、スキャン速度は中速、スリット幅は3.0、サンプリングピッチを0.5として測定を行った。尚、試料は四塩化炭素スラリーとして測定に供した。
【0063】
1−8)ハメット指示薬による固体酸強度測定:
異元素含有シリカ、ミクロスパーテル1杯にシクロヘキサン3gを添加した後、ハメット指示薬を滴下した。試料の変色の様子を目視し、酸強度の高い方より5、4、3、2、1の5段階評価をした。ハメット指示薬は、pK=+1.5の4−フェニルアゾジフェニルアミンと、pK=−3.0のジシンナマルアセトンを用いた。
【0064】
1−9)Alの定量:
元素分析法によるAlの定量と、蛍光X線測定によるAlの定量を行ない、Alの含有量が(アルミナ換算で)2%以下の際には、元素分析法による値を採用し、それ以外の場合は、蛍光X線測定による値を採用した。
元素分析法は次の通りに行なった。まず異元素含有シリカ試料0.5gにフッ酸、硫酸を加えて、加熱溶解させた。その後、硝酸を加えて残さを加熱溶解し、水を加えて50mlとした。この水溶液を用いてICP発光分析を行ない、Al定量を行った。
蛍光X線測定はXRFにより測定し、装置はSEA−2010L(セイコーインスツルメンツ社製)を用いた。
【0065】
(2) 異元素含有シリカゲルの製造、評価
・参考例1:
ガラス製で、上部に大気開放の水冷コンデンサが取り付けてある5Lセパラブルフラスコ(ジャケット付き)に、純水1000gを仕込んだ。攪拌速度は、攪拌翼先端速度が2.5m/sとなる様な速度とし、これにテトラメトキシシラン1400gを3分間かけて仕込んだ。水/テトラメトキシシランのモル比は約6である。セパラブルフラスコのジャケットには50℃の温水を通水した。引き続き撹拌を継続し、内容物が沸点に到達した時点で、撹拌を停止した。引き続き約0.5時間、ジャケットに50℃の温水を通水して生成したゾルをゲル化させた。その後、速やかにゲルを取り出し、目開き600ミクロンのナイロン製網を通してゲルを粉砕し、粉体状のウェットゲル(シリカヒドロゲル)を得た。このヒドロゲル450gと純水450gを1Lのガラス製オートクレーブに仕込み、150℃、3時間の条件で水熱処理を実施した。所定時間水熱処理した後、No.5A濾紙で濾過し、濾滓を水洗することなく100℃で恒量となるまで減圧乾燥した。得られたシリカゲル(参考例1の担体シリカゲル)の諸物性を下の表1に示す。
【0066】
上記のシリカゲル50gに、1%硫酸アルミニウム水溶液500ccを加えて室温で30分間攪拌した。濾過によって粉体を分離した後、これを200℃で乾燥した。得られた粉体を100gの5%アンモニア水で3回処理した後に200℃で乾燥し、更に550℃で5時間焼成して、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを得た。得られた異元素含有シリカゲル(実施例1の異元素含有シリカゲル)の諸物性を下の表2に示す。粉末X線回折図によれば、2θ≦5degの範囲において、周期的構造によるピークは認められなかった。金属含有率を分析すると、目的異元素であるアルミニウムが3.3%であったのに対して、不純物元素であるナトリウムが2.0ppm、カリウムが0.1ppm、カルシウムが0.2ppmで、その他の金属元素は検出されなかった。
【0067】
・比較例1:
富士シリシア化学製触媒担体用シリカゲル CARIACT G−6 を担体とした他は、実施例1と同様の条件により実験を行なって、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを得た。使用した上述の担体用シリカゲル(比較例1の担体シリカゲル)の諸物性を下の表1に、得られた異元素含有シリカゲル(比較例1の異元素含有シリカゲル)の諸物性を下の表2に示す。粉末X線回折図によれば、2θ≦5degの範囲において、周期的構造によるピークは認められなかった。金属含有率を分析すると、目的異元素であるアルミニウムが3.0%であったのに対して、不純物元素であるナトリウムが162ppm、カリウムが18ppm、カルシウムが160ppm、マグネシウムが30ppm、チタンが265ppm、ジルコニウム42ppm、鉄20ppm、クロム4ppmと、目的異元素以外の不純物元素を多く含んでいた。
【0068】
・シリカゲルの酸性度試験(イオン交換法):
実施例1及び比較例1の異元素含有シリカゲル試料各々1gに、飽和塩化ナトリウム水溶液5ccを各々添加して均一なスラリーとなるように軽く攪拌した後、濾過によって固形物を取り除き、万能pH指示薬にて濾液の液性を確認したところ、実施例1の異元素含有シリカゲルは比較例1の異元素含有シリカゲルと比較して強い酸性を示した。よって実施例1の異元素含有シリカゲルは酸性触媒として有用であると判断される。
【0069】
・シリカゲルの水中熱安定性試験:
実施例1及び比較例1の異元素含有シリカゲル試料各々20gに、純水を加えて40重量%のスラリーを各々調製した。容積60mlのステンレススチール製のミクロボンベに、上記で調製したスラリー約40mlを各々入れて密封し、200±1℃のオイルバス中に3時間浸漬した。ミクロボンベからスラリーの一部を抜出し、濾過により粉体を回収した。濾滓は100℃で5時間真空乾燥した。この試料について比表面積を測定した結果を下の表2に示す。実施例1の異元素含有シリカゲルは比較例1の異元素含有シリカゲルと比較して比表面積の減少が少なく、より安定していると判断される。
【0070】
【表1】
Figure 2005022897
【0071】
【表2】
Figure 2005022897
【0072】
・参考例2:
水熱処理の温度を200℃とした以外は、参考例1の担体シリカゲルの製造方法と同様にして、担体シリカゲル(参考例2の担体シリカゲル)を得た。このシリカゲルの諸物性を表1に示す。
【0073】
・実施例2−1:
参考例2の担体シリカゲル10.60gを、5mmHg(6.67hPa)、150℃の条件下で2時間、減圧乾燥をおこなった。得られた乾燥ゲル10.07gに、テイカ株式会社製のアナターゼ型中性TiOゾル(19.9重量%水懸濁液、ゾルの平均凝集粒子径:約50nm)8.24gに、水3.47gを添加したものを加え、10分間転動して均一に混ぜ合わせた。得られた粉末を再度、5mmHg(6.67hPa)、150℃の条件下で2時間、減圧乾燥を行った。
【0074】
この様にして、目的異元素としてチタンを含有させたシリカゲルを得た。得られた白色の異元素含有シリカゲルの諸物性を表2に示す。粉末X線回折図によれば、2θ≦5degの範囲において、周期的構造によるピークは認められなかった。また、含有されているTiOがアナターゼ型構造であるということも確認出来た。
【0075】
この異元素含有シリカゲルにおける金属含有率を分析すると、目的異元素であるチタンが8.4%であったのに対して、不純物元素であるナトリウムが63.2ppm、カリウムが9.4ppm、カルシウムが54.5ppmで、その他の金属元素は検出されなかった。
【0076】
・実施例2−2:
参考例2の担体シリカゲル5.69gを5mmHg(6.67hPa)、150℃の条件下で2時間、減圧乾燥を行った。得られた乾燥ゲル5.38gに乾燥空気雰囲気下で和光純薬社製のTi(iPrO) 3.37gをiPrOH 1.86gに溶解したものを加え、3分間転動し混合した。
【0077】
得られた粉末に、窒素下にてiPrOH 3.59gと水 0.54gを混合したものを滴下し、一定温度下(20℃の水浴中)にて10分間攪拌し、加水分解を実施した。
【0078】
その後、この水浴をシリコンオイル浴に変え、150℃に昇温し、iPrOHおよび過剰の水を留去した。iPrOH、および過剰の水が重量にして約93%留去出来た時点で降温した。
【0079】
得られた粉末を窒素雰囲気下、400℃にて2時間焼成した。次いで、この窒素焼成で得られた灰色粉末を4分割し、空気雰囲気下にて2時間焼成した。その際、4分割した灰色粉末各々について焼成温度を異なる条件とし、その際の温度は400℃、500℃、600℃、700℃とした。
【0080】
この様にして、目的異元素としてチタンを含有したシリカゲル(白色)を得た。この異元素含有シリカゲルのうち、700℃焼成したものの諸物性を下の表2に示す。
【0081】
粉末X線回折図によれば2θ≦5degの範囲において、いずれも周期的構造によるピークは認められなかった。また粉末X線回折図とラマン分光分析から、600℃以上の温度で焼成して得たチタン含有シリカゲルのみが、アナターゼ型結晶構造を示すということが判明した。ルチル型構造はいずれにおいても認められなかった。
【0082】
これらの異元素(チタン)含有シリカゲルにおける金属含有率を分析すると、目的異元素であるチタンが9.2%であったのに対し、不純物元素であるナトリウムが4.0ppm、カリウムが0.2ppm、カルシウムが3.8ppmで、その他の金属元素は検出されなかった。
【0083】
そしてSEM−EDX分析により、このシリカの表面上に均一にチタンが分布していることがわかり、EPMA分析からシリカ内部にもチタンが分布していることがわかった。表層付近に対してシリカ内部は約半分の濃度分布を示した。
【0084】
・実施例2−3:
参考例2の担体シリカゲル5.49gを5mmHg(6.67hPa)、150℃の条件下で2時間、減圧乾燥を行った。得られた乾燥ゲル5.19gに乾燥空気雰囲気下で和光純薬社製のTiCl 2.07gをトルエン4.21gに溶解したものを加え、3分間転動し、混合した。
【0085】
得られた粉末に窒素下にてMeOH 4.67gと水 0.26gを混合したものを滴下し、一定温度下(20℃の水浴中)にて10分間攪拌し加水分解を行なった。
その後、水浴をシリコンオイル浴に変え、150℃に昇温し、トルエン、MeOH及び過剰の水を留去し、トルエン、MeOH及び過剰の水が、総重量にして90%留去出来た時点で降温した。
【0086】
得られた粉末を窒素雰囲気下、400℃にて2時間焼成した。次いで、この窒素焼成で得られた灰色粉末を5分割し、空気雰囲気下にて2時間焼成した。その際、5分割した灰色粉末各々について焼成温度を異なる条件とし、その際の温度は400℃、500℃、600℃、700℃、900℃とした。この様にして、目的異元素としてチタンを含有したシリカゲル(白色)を得た。この異元素含有シリカゲルのうち、700℃焼成したものの諸物性を下の表2に示す。
【0087】
粉末X線回折図によれば2θ≦5degの範囲において、いずれも周期的構造によるピークは認められなかった。また粉末X線回折図とラマン分光分析から、600℃以上の温度で焼成して得た、チタン含有シリカゲルのみが、アナターゼ型結晶構造を示すということが判明した。ルチル型構造はいずれにおいても認められなかった。
【0088】
これらの異元素(チタン)含有シリカゲルにおける金属含有率を分析すると、目的異元素であるチタンが8.6%であったのに対し、不純物元素であるナトリウムが4.3ppm、カリウムが0.2ppm、カルシウムが3.9ppmで、その他の金属元素は検出されなかった。
【0089】
そして、SEM−EDX分析により、このシリカの表面上に均一にチタンが分布していることが判り、また、EPMA分析により、シリカ内部にもチタンが分布していることが判った。表層付近もシリカ内部も、ほぼ均一のチタン濃度分布を示していた。
【0090】
また700℃焼成にて得られた異元素含有シリカゲルの四塩化炭素スラリーを調製し、その吸光スペクトルを測定したところ、得られたスペクトルのピークトップは260nmであった。
【0091】
・比較例2:
富士シリシア化学製触媒担体用シリカゲルCARIACT G−10を担体として使用した他は、実施例2−1と同様にして行ない、目的異元素としてチタンを含有したシリカゲルを得た。
【0092】
使用した上述の担体用シリカゲル(比較例2の担体シリカゲル)の諸物性を表1に、得られた白色の異元素含有シリカゲルの諸物性を表2に示す。
粉末X線回折図によれば2θ≦5degの範囲において、周期的構造によるピークは認められなかった。また、含有されているTiOがアナターゼ型構造であるということも確認出来た。
【0093】
この異元素(チタン)含有シリカゲルにおける金属含有率を分析すると、目的異元素であるチタンが8.3%であったのに対し、不純物元素であるナトリウムが238ppm、カリウムが20ppm、カルシウムが231ppm、マグネシウムが25ppm、ジルコニウムが44ppm、鉄が15ppm、クロムが4ppmと、目的異元素以外の不純物元素を多く含んでいた。
【0094】
・光触媒活性試験1:
実施例2−1〜2−3及び比較例2で作成した試料(チタン含有シリカゲル)を各々分級し、両面テープを張り付けた2cmのガラスプレート上に、粒径が106〜250μmのものを約10mg保持させた。この試料保持後のガラスプレート(サンプル)を、石英製上蓋を有するパイレックス(登録商標)製円柱形の反応容器(内径130mm、内部高さ37.7mm、容積500ml)内に設置した。この反応容器を湿度28%の合成空気(住友精化製)で満たし、セトアルデヒド:窒素=1%:99%の標準ガス(住友精化製)を更に5ml注入し、上蓋を閉じて1時間、暗所静置した。その後、東芝ライテック製ブラックライト(10W、365nm)6本を使用し、上記サンプル部位付近でのエネルギーが1mW/cmとなるように調節し、上記反応容器の上部から光を照射した。
【0095】
光照射開始から10分毎に、反応容器内のガスを1mlずつサンプリングし、ガスクロマトグラフにてアセトアルデヒド濃度をモニターした。ガスクロマトグラフにて得られた濃度変化をプロットし、反応初期のグラフの傾きから光触媒としての初期活性を比較した。結果を下記表3に示す。
【0096】
【表3】
Figure 2005022897
【0097】
表3の結果から明らかな通り、実施例2−1と比較例2とを比較すると、本発明のチタン含有シリカゲルは比較例に対し、光触媒として活性が高いことが判る。この実施例2−1と比較例2におけるチタン含有シリカは、シリカ表層に多くのチタンを有するために、実施例2−2や2−3に比べて高い数値を示したと考えられる。但し、これらの実施例2−2や2−3におけるチタン含有シリカは、その内部にまでチタンが分布しているので、粒度調整のための粉砕等を行なっても内部のチタンが表面に出てくるので、活性が変化し難いという特徴が期待できる。
【0098】
・光触媒活性試験2:
参考例2の担体シリカゲル、及び、実施例2−1で作成した試料(チタン含有シリカゲル)を各々分級し、両面テープを張り付けた108cmのガラスプレート上に、粒径が106〜250μmのものを約600mg保持させた。この試料保持後のガラスプレート(サンプル)を、パイレックス(登録商標)製上蓋を有するアクリル樹脂製反応容器(10cm×20cm×高さ1.5cm)内に設置した。
【0099】
この反応容器に、湿度50%、温度25℃の、NOを1ppm含有する合成空気(住友精化製)を3リットル/分の流速で流通しながら、上蓋を閉じた状態で0.5時間、暗所静置し、次いで光触媒活性試験1の時と同様にして上記反応容器の上部から光を照射し、反応容器出口におけるNO及びNOの濃度変化を、NOx計(島津製作所社製:CLAD―1000A型)により測定した。
【0100】
測定開始から5時間経過した時点迄の、各成分の累積値(流通量)から、NOx除去率(%)を求めた。NOx除去率(%)は、以下の式により計算した。
NOx除去率(%)=(NO流通量−(NO検知量+NO検知量))/NO流通量×100
【0101】
結果を表4に示す。表4から明らかな通り、本発明のチタン含有シリカゲルは、チタンを含有する以前のシリカゲルに比べて、明らかに高い光触媒活性を有していることが判る。
【0102】
【表4】
Figure 2005022897
【0103】
・光触媒活性試験3:
参考例2の担体シリカゲル、および実施例2−1で作成した試料(チタン含有シリカゲル)を各々分級し、粒径が106〜250μmのもの40mgを、石英製の反応容器(UVセル:内寸1cm×1cm×高さ4cm)内に入れた。続いて、この容器内にメチレンブルー0.15gと水3.5gを加え、次いで光触媒活性試験1の時と同様にして上記反応容器の上部から光を照射した。
【0104】
メチレンブルー水溶液の吸光度を、光照射開始後、1時間毎に島津製作所社製UV−1700にてモニターした。その結果、実施例2−1で作成したチタン含有シリカゲルを用いた場合には、メチレンブルーが分解されて色が薄くなり、吸光度が下がった。これに対し、参考例2の担体シリカゲルを使用した場合は、全く吸光度が変化しなかった。例として、波長613nmでの吸光度の変化を表5に示す。
【0105】
表5から明らかな通り、本発明のチタン含有シリカゲルは、チタンを含有する以前のシリカゲルに比べて、明らかに高い光触媒活性を有していることが判る。
【0106】
【表5】
Figure 2005022897
【0107】
以上のように、これら実施例2−1〜2−3の様な、本発明の異元素(例えばTi)含有シリカゲルは、上述したように光触媒活性に優れる。更に、その担体であるシリカゲル骨格構造は実施例1で調製した異元素含有シリカゲルと同様であるので、水中熱安定性が高いことが期待できる。
【0108】
・参考例3:
<加水分解・ゲル化反応>
ガラス製で、上部に大気開放の水冷コンデンサが取り付けてある5Lセパラブルフラスコ(ジャケット付き)に純水1000gを仕込んだ。攪拌翼先端速度2.5m/sで撹拌しながら、これにテトラメトキシシラン1400gを3分間かけて仕込んだ。水/テトラメトキシシランのモル比は約6である。セパラブルフラスコのジャケットには50℃の温水を通水した。引き続き撹拌を継続し、内容物が沸点に到達した時点で、撹拌を停止した。引き続き約0.5時間、ジャケットに50℃の温水を通水して生成したゾルをゲル化させた。
【0109】
<粉砕工程>
その後、速やかにゲルを取り出し、目開き600ミクロンのナイロン製網を通してゲルを粉砕し、粉体状のウェットゲル(シリカヒドロゲル)を得た。
<水熱処理工程>
このシリカヒドロゲル500gと純水750gを1Lのガラス製オートクレーブに仕込み、192℃、3時間の条件で水熱処理を実施した。所定時間水熱処理した後、No.5A濾紙で濾過し、濾滓を水洗することなく100℃で恒量となるまで減圧乾燥した。得られたシリカゲル(参考例3の担体シリカゲル)の諸物性を下の表6に示す。
【0110】
・参考例4:
水熱処理の温度を200℃とした以外は、参考例3と同様にして実験を行った。得られたシリカゲル(参考例4の担体シリカゲル)の諸物性を表6に示す。
【0111】
・参考例5:
水熱処理の温度を130℃とした以外は、参考例3と同様にして実験を行った。得られたシリカゲルを0.1N塩酸水溶液に室温で1週間浸漬した。この溶液を濾過後、濾滓を水溶液中で3回懸洗し、再び濾過によって粉体を分離した後、150℃で2時間真空乾燥し、シリカゲル(参考例5の担体シリカゲル)を得た。このシリカゲルの諸物性を表6に示す。
【0112】
・実施例3−1:
参考例3の担体シリカゲル10gを回転式の容器に入れ、回転攪拌した。これに24%硫酸アルミニウム水溶液11gを噴霧し細孔内に溶液を充填後、150℃で2時間真空乾燥した。この操作を2回繰り返した。その後、2%アンモニア水100gに30分間浸漬させ、濾過によって粉体を分離した後、150℃で2時間真空乾燥した。得られた粉体にイオン交換処理を行った。イオン交換処理は、得られた粉体に1N塩化アンモニウム水溶液100gを加えて、100℃で2時間加熱還流することにより行なった。その後溶液を濾過し、濾滓を水溶液中で2回懸洗し、再び濾過によって粉体を分離した後、150℃で2時間真空乾燥した。さらに550℃で3時間焼成して、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを得た。得られた異元素含有シリカゲル(実施例3−1の異元素含有シリカゲル)の諸物性を表7に示す。
【0113】
・実施例3−2:
参考例3の担体シリカゲルを用い、硫酸アルミニウム水溶液濃度を4.8%、噴霧回数を1回と変えた以外は、実施例3−1と同様の操作を行なって、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを得た。得られた異元素含有シリカゲル(実施例3−2の異元素含有シリカゲル)の諸物性を表7に示す。
【0114】
・実施例4−1:
参考例4の担体シリカゲル5gに1%硫酸アルミニウム水溶液100gを加えて130℃で3時間加熱処理をした。濾過によって粉体を分離した後、150℃で2時間真空乾燥した。実施例3−1に従い得られた粉体にイオン交換処理を行ない、その後濾過し、濾滓を水溶液中で2回懸洗し、再び濾過によって粉体を分離した後、150℃で2時間真空乾燥した。さらに550℃で3時間焼成して、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを得た。得られた異元素含有シリカゲル(実施例4−1の異元素含有シリカゲル)の諸物性を表7に示す。
【0115】
・実施例4−2:
参考例4の担体シリカゲルを用い、噴霧回数を6回、アンモニア水濃度を6%と変えた以外は実施例3−1と同様の操作を行って、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを得た。得られた異元素含有シリカゲル(実施例4−2の異元素含有シリカゲル)の諸物性を表7に示す。
【0116】
・実施例5−1:
参考例5の担体シリカゲルを用い、実施例3−1と同様の方法で、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを作製した。得られた異元素含有シリカゲル(実施例5−1の異元素含有シリカゲル)の諸物性を表8に示す。
【0117】
・実施例5−2:
参考例5の担体シリカゲルを用い、2%硫酸アルミニウム水溶液を用いた以外は、実施例4−1と同様の方法で、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを作製した。得られた異元素含有シリカゲル(実施例5−2の異元素含有シリカゲル)の諸物性を表8に示す。
【0118】
・実施例6:
あらかじめテトラメトキシシラン1400gにアセチルアセトンアルミニウム300gを混合しておき、これを参考例3の加水分解・ゲル化に用いるテトラメトキシシランの代わりに用いた。水熱処理温度は150℃とした。その他は参考例3と同様の操作を水熱処理工程終了まで行ない、さらに550℃で3時間焼成して、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを作製した。得られた異元素含有シリカゲル(実施例6の異元素含有シリカゲル)の諸物性を表9に示す。
【0119】
・実施例7−1:
参考例3と同様の操作を粉砕工程まで行った。得られたシリカヒドロゲル500gと8%硫酸アルミニウム水溶液750gを1Lのガラス製オートクレーブに仕込み、130℃、3時間の条件で水熱処理を実施した。所定時間水熱処理した後、No.5A濾紙で濾過し、150℃で2時間真空乾燥した。その後、実施例3−1に記載した通りにイオン交換処理と焼成を行ない、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを作製した。得られた異元素含有シリカゲル(実施例7−1の異元素含有シリカゲル)の諸物性を表9に示す。
【0120】
・実施例7−2:
参考例3と同様の操作を粉砕工程まで行った。得られたシリカヒドロゲル500gを8%硫酸アルミニウム水溶液500gと混合して、30分間攪拌した後、濾過し、含有メタノールを除去した。この操作を計3回行なった。その後、実施例7−1と同様の操作により、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを作製した。得られた異元素含有シリカゲル(実施例7−2の異元素含有シリカゲル)の諸物性を表9に示す。
【0121】
・実施例8:
参考例3と同様の操作を水熱処理工程の真空乾燥前まで行った。濾過後に得られたシリカゲル500gと8%硫酸アルミニウム水溶液750gを1Lのガラス製オートクレーブに仕込み、130℃、3時間の条件で加熱処理を行った。その後、No.5A濾紙で濾過し、150℃で2時間真空乾燥した。その後、実施例3−1と同様の方法でイオン交換と焼成をして、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを作製した。得られたシリカゲル(実施例8の異元素含有シリカゲル)の諸物性を表9に示す。
【0122】
・比較例3:
シリカゲルとしてキャリアクトG−10(フジシリシア社製、比較例3の担体シリカゲル)を用い、実施例3−2と同様の操作を行って、目的異元素としてアルミニウムを含有させたシリカゲルを作製した。得られた異元素含有シリカゲル(比較例3の異元素含有シリカゲル)の諸物性を表8に、また比較例3の担体シリカゲルの物性を表6に示す。
【0123】
【表6】
Figure 2005022897
【0124】
【表7】
Figure 2005022897
【0125】
【表8】
Figure 2005022897
【0126】
【表9】
Figure 2005022897
【0127】
表6〜9より明らかな通り、本発明の異元素含有シリカゲルは強い固体酸点を発現する。また、金属不純物濃度の極めて低いシリカゲルを用い、且つAl源として用いるAl塩の純度を極めて高くできるので、得られるアルミニウム含有シリカゲルにおいて酸点を被毒する不純物金属であるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量を極めて低く抑えることが可能である。よって、従来よりも優れた固体酸点を有するアルミニウム含有シリカゲルを提供することが出来る。また本発明のアルミニウム含有シリカゲルは、従来のシリカゲルよりも水熱安定性が向上するという効果も奏する。
【0128】
また、シリカゲルにおけるAl担持量が増加すると、これに更に貴金属等を担持した際の貴金属の分散性や耐シンタリング性が向上し、貴金属を活性成分とする触媒の活性を向上させ、寿命を長くすることができるので好ましい。
【0129】
そして、本発明の異元素含有シリカゲルは、充分な比表面積と細孔容積とを有し、且つ細孔分布がシャープであり、更には酸強度が高いので、触媒等の活性、選択性、寿命等、触媒性能改善に大きく寄与することは明白である。
【0130】
【発明の効果】
本発明の新規な異元素含有シリカゲルは、従来からの異元素含有シリカゲルと比較して、細孔分布が狭く、有用な元素を所望量含有できるとともに、耐熱性、耐水性等、物性安定性(熱安定性等)などにも優れている。

Claims (13)

  1. (a)細孔容積が0.3〜1.6ml/gであり、
    (b)比表面積が200〜900m/gであり、
    (c)細孔の最頻直径(Dmax)が20nm未満であり、
    (d)直径がDmax±20%の範囲内にある細孔の総容積が、全細孔の総容積の30%以上であり、
    且つ、
    (e)周期表の13族,14族及び15族並びに遷移金属からなる群に属する元素のうち、少なくとも一種類の元素の含有率が0.1%以上である
    ことを特徴とする、異元素含有シリカゲル。
  2. 上記の13族,14族及び15族並びに遷移金属からなる群に属する元素の少なくとも一部が、直接又は酸素を介して珪素原子と結合している
    ことを特徴とする、請求項1記載の異元素含有シリカゲル。
  3. 非晶質である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の異元素含有シリカゲル。
  4. アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群に属する元素の総含有率が、300ppm以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の異元素含有シリカゲル。
  5. 上記の13族,14族及び15族並びに遷移金属からなる群に属する元素のうち、少なくとも一種類の元素の含有率が0.2%以上である
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の異元素含有シリカゲル。
  6. 細孔容積が0.4〜1.5ml/gである
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の異元素含有シリカゲル。
  7. 比表面積が200〜800m/gである
    ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の異元素含有シリカゲル。
  8. 細孔の最頻直径(Dmax)が2nm以上である
    ことを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の異元素含有シリカゲル。
  9. 直径がDmax±20%以内の細孔の総容積が、全細孔の総容積の35%以上である
    ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の異元素含有シリカゲル。
  10. 上記のアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群に属する元素の含有率が、100ppm以下である
    ことを特徴とする、請求項4記載の異元素含有シリカゲル。
  11. 上記のアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群に属する元素の含有率が、50ppm以下である
    ことを特徴とする、請求項10記載の異元素含有シリカゲル。
  12. 最頻直径(Dmax)における微分細孔容積が、2〜20ml/gである
    ことを特徴とする、請求項1〜11の何れか一項に記載の異元素含有シリカゲル。
  13. シリコンアルコキシドを加水分解する工程を経て製造される
    ことを特徴とする、請求項1〜12の何れか一項に記載の異元素含有シリカゲル。
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