JP2007308080A - 車輪用転がり軸受装置の製造方法 - Google Patents

車輪用転がり軸受装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハブボルトの軸部がフランジのボルト孔に圧入される際に発生する摩耗粉やバリかす等の飛散を防止すると共に、摩耗粉やバリかす等を容易に除去することができ、生産性の向上を図ることができる車輪用転がり軸受装置の製造方法を提供する。
【解決手段】フランジ22のボルト孔60の周辺部と、ハブボルト70の軸部72との両部分のうち、少なくとも一方を着磁し、着磁後、フランジ22のボルト孔60にハブボルト70の軸部72を圧入することで、圧入の際に発生する摩耗粉やバリかす等を着磁部に吸着し、圧入後、着磁部を脱磁し、脱磁直後にボルト孔60の圧入出口部周辺を清掃して摩耗粉やバリかす等を除去する。
【選択図】図2

Description

この発明は、転がり軸受が組み付けられるハブ軸を有するハブホイールのフランジに、車輪を取り付けるためのハブボルトが圧入によって固定される車輪用転がり軸受装置の製造方法に関する。
従来、この種の車輪用転がり軸受装置において、ハブホイールのフランジには、ボルト孔が形成され、そのボルト孔にハブボルトの軸部が圧入固定される。
前記ハブボルトを圧入する場合、圧入装置の設置盤の設置面(上面)に対しハブホイールのフランジを載置して位置決め固定した状態で、フランジのボルト孔の上方からハブボルトの軸部を圧入して食い込ませることによって、ハブホイールのフランジにハブボルトを固定しているのが一般的である。なお、設置盤には、ハブボルトの軸部が挿通される孔が形成されている。
また、従来、フランジのボルト孔に圧入出口側の開口部に座ぐりを形成し、その座ぐり内においてバリを収めるように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平3−157202号公報
ところで、従来においては、圧入装置の設置盤の設置面上に、ハブホイールのフランジを載置して位置決め固定した状態で、ハブボルトの軸部をフランジのボルト孔に圧入する際に、ハブボルトの軸部やボルト孔の内周面の摩耗粉やバリかす等がボルト孔の圧入出口側の開口部(下端開口部)から設置盤の設置面上に飛散して落下することがある。また、圧入後、ハブホイールを持ち上げて次行程の製造ライン上に搬送するときに、前記摩耗粉やバリかす等が設置盤の設置面上や次行程の製造ライン上に飛散して落下することもある。
そして、設置盤の設置面上に落下した摩耗粉やバリかす等によって、その後、設置盤の設置面上に載置されて位置決め固定されるハブホイールのフランジが傷つけられるという問題点があった。
また、次行程の製造ライン上に飛散して落下した摩耗粉やバリかす等によってもハブホイールが傷つけられる場合がある。
このため、ハブボルトの軸部をフランジのボルト孔に圧入する工程の度毎に、設置盤の設置面上に飛散して落下した摩耗粉やバリかす等を除去しなければならず、その作業が厄介で多くの手間と時間を必要とし、生産性を悪くする。さらに、次行程の製造ライン上に飛散して落下した摩耗粉やバリかす等を除去する作業においても厄介で多くの手間と時間を必要としていた。
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、ハブボルトの軸部がフランジのボルト孔に圧入される際に発生する摩耗粉やバリかす等の飛散を防止すると共に、摩耗粉やバリかす等を容易に除去することができ、生産性の向上を図ることができる車輪用転がり軸受装置の製造方法を提供することである。
前記目的を達成するために、この発明の請求項1に係る車輪用転がり軸受装置の製造方法は、転がり軸受が組み付けられるハブ軸を有するハブホイールのフランジに、車輪を取り付けるためのハブボルトの軸部が圧入されるボルト孔が形成された車輪用転がり軸受装置を製造する方法であって、
前記フランジのボルト孔の周辺部と、前記ハブボルトの軸部との両部分のうち、少なくとも一方を着磁し、
着磁後、前記フランジのボルト孔にハブボルトの軸部を圧入することで、圧入の際に発生する摩耗粉やバリかす等を前記着磁部に吸着し、
圧入後、前記着磁部を脱磁し、脱磁直後に前記ボルト孔の圧入出口部周辺を清掃して前記摩耗粉やバリかす等を除去することを特徴とする。
前記構成によると、ハブホイールのフランジのボルト孔の周辺部と、ハブボルトの軸部との両部分のうち、少なくとも一方を着磁してからフランジのボルト孔にハブボルトの軸部を圧入することによって、圧入の際に発生する摩耗粉やバリかす等を着磁部に吸着することができるため、摩耗粉やバリかす等の飛散を防止することができる。
圧入後、着磁部を脱磁し、脱磁直後にボルト孔の圧入出口部周辺の狭い領域を清掃することによって摩耗粉やバリかす等を容易にかつ手早く除去することができる。
すなわち、圧入による摩耗粉やバリかす等が圧入装置の設置盤の設置面上に飛散して落下したり、次行程の製造ライン上に飛散して落下すると、摩耗粉やバリかす等を除去する作業が厄介となり、多くの手間と時間を必要とし、生産性を悪くするが、この発明によれば、摩耗粉やバリかす等の飛散を防止するとともに、摩耗粉やバリかす等を除去するために、ボルト孔の圧入出口部周辺の狭い領域を清掃することによって容易にかつ手早く除去することができ、生産性の向上を図ることができる。
次に、この発明を実施するための最良の形態を実施例にしたがって説明する。
この発明の実施例1を図1〜図3にしたがって説明する。
図1はこの発明の実施例1に係る車輪用転がり軸受装置としての車輪用ハブユニットを示す側断面図である。図2はフランジのボルト孔にハブボルトの軸部が圧入される前の状態を拡大して示す断面図である。図3はフランジのボルト孔にハブボルトの軸部が圧入された状態を拡大して示す断面図である。
図1に示すように、車輪用転がり軸受装置としての車輪用ハブユニットは、ハブホイール20と、転がり軸受としての複列のアンギュラ玉軸受31とを一体状に有してユニット化されている。
ハブホイール20は、筒軸状をなすハブ軸21と、ハブ軸21の一端部寄り外周面に形成されたフランジ22とを一体に有している。そして、ハブ軸21の外周に複列のアンギュラ玉軸受31が組み付けられる。すなわち、ハブ軸21の外周に沿って設けられた両軌道面33、34に対し所定の隙間をもって外輪40が配置され、この外輪40の内周面に形成された両軌道面41、42と、ハブ軸21の両軌道面33、34との間に転動体としての複数個の玉51、52がそれぞれ組み込まれ、これら各複数個の玉51、52が保持器55、56によって保持されることでアンギュラ玉軸受31が構成されている。
なお、図1に示すように、この実施例1においては、ハブ軸21の外周面に設けられた両軌道面33、34のうち、ハブ軸21のフランジ22側に位置する軌道面33は、ハブ軸21の外周面が研削加工されることによって形成され、ハブ軸21の先端側の軌道面34は、ハブ軸21の先端寄り外周面に嵌込まれて固定された内輪32の外周面に形成されている。
また、ハブホイール20は、ハブ軸21の内孔にシャフト(例えば、ドライブシャフト)がスプライン嵌合されて挿通された後、シャフト先端の雄ねじ部にナットが締め付けられることで、トルク伝達可能に連結されるようになっている。
また、外輪40の外周面の軸方向中央部にはフランジ43が一体に形成され、車輪用ハブユニットは、フランジ43において、車体側部材、例えば、車両の懸架装置(図示しない)に支持されたナックル、又はキャリアの取付面にボルトによって連結されている。
図1に示すように、ハブホイール20のフランジ22には、複数のボルト孔60が所定ピッチで貫設され、これらボルト孔60には、車輪を取り付けるための複数本のハブボルト70が圧入によって固定されている。
図2と図3に示すように、フランジ22のボルト孔60の圧入入口側の開口部と、圧入出口側の開口部には所定角度をもって面取部61、62がそれぞれ形成されている。
図2に示すように、ハブボルト70は、頭部71と軸部72とを一体に備え、軸部72には、頭部71側の根元部から先端側に向けてセレーション軸部73、中間軸部74及び雄ねじ部75が順に形成されている。また、セレーション軸部73の外径は、ボルト孔60の内径よりも若干大きく形成され、中間軸部74及び雄ねじ部75の外径は、ボルト孔60の内径よりも若干小さく形成されている。
また、ハブボルト70の頭部71下面からセレーション軸部73の先端までの長さは、ボルト孔60の孔長さよりも適宜に短く設定されている。
次に、この実施例1に係る車輪用転がり軸受装置としての車輪用ハブユニットを製造する方法を説明する。
まず、フランジ22に複数のボルト孔60が所定ピッチで貫設されたハブホイール20と、頭部71及び軸部(セレーション軸部73、中間軸部74及び雄ねじ部75)72を一体に有する複数本のハブボルト70とを準備する。
ここで、フランジ22の各ボルト孔60の周辺部と、各ハブボルト70の軸部72との両部分のうち、少なくとも一方を着磁装置によって着磁する。
この実施例1では、着磁が容易なハブボルト70の軸部72のうち、中間軸部74とその近傍が着磁装置(図示しない)によって着磁される。
また、図2に示すように、圧入装置の設置盤の設置面90上に、ハブホイール20のフランジ22が載置され、図示しない固定治具によって位置決め固定される。
なお、圧入装置の設置盤の設置面90上に、ハブホイール20のフランジ22を位置決め固定する前行程で、前記着磁行程を行うこともでき、位置決め固定後に、前記着磁行程を行うことも可能である。
着磁後、図3に示すように、フランジ22の各ボルト孔60の上方から各ハブボルト70の軸部72をそれぞれ圧入することで、軸部72のセレーション軸部73がボルト孔60の内周面に食い込み、これによって、フランジ22の各ボルト孔60に各ハブボルト70がそれぞれ固定される。
圧入の際に、フランジ22のボルト孔60の内周面やハブボルト70のセレーション軸部73の摩耗粉やバリかす等が発生すると、その摩耗粉やバリかす等が着磁部(中間軸部74とその近傍の着磁部)に吸着されながらボルト孔60の圧入出口側開口部(面取部62側)に向けて移動され、摩耗粉やバリかす等は、ハブボルト70の中間軸部74とボルト孔60、面取部62との間に形成される環状の隙間に溜まる。
前記したようにフランジ22の各ボルト孔60にハブボルト70の軸部72をそれぞれ圧入固定した後、ハブホイール20を設置面90上から取り外し、ボルト孔60の圧入出口側開口部周辺を清掃(洗浄)する準備が整った後で、又は、一旦摩耗粉やバリかす等が脱落しても支障がない場所へ移動させた後に、着磁部を脱磁装置(図示しない)によって脱磁し、脱磁直後にボルト孔60の圧入出口側開口部周辺を洗浄液を用いて洗浄したり、あるいは負圧によって吸引することで清掃し、摩耗粉やバリかす等を除去する。
この清掃において、ボルト孔60の圧入出口部周辺の狭い領域を清掃することによって摩耗粉やバリかす等を容易にかつ手早く除去することができる。
すなわち、圧入による摩耗粉やバリかす等が圧入装置の設置盤の設置面90上に飛散して落下したり、次行程の製造ライン上に飛散して落下すると、摩耗粉やバリかす等を除去する作業が厄介となり、多くの手間と時間を必要とし、生産性を悪くするが、この実施例1においては、着磁部(中間軸部74とその近傍の着磁部)に摩耗粉やバリかす等を吸着して飛散を防止するとともに、摩耗粉やバリかす等を除去するために、脱磁直後においてボルト孔の圧入出口部周辺の狭い領域を清掃することによって容易にかつ手早く除去することができ、生産性の向上を図ることができる。
また、ハブホイール20のハブ軸21に対する転がり軸受としてのアンギュラ玉軸受31の組み付けは、前記清掃行程の後行うこともでき、ハブボルト70の圧入行程の前行程で行うことも可能である。
なお、この発明は前記実施例1に限定するものではない。
例えば、前記実施例1においては、着磁行程において、ハブボルト70の軸部72を着磁したが、フランジ22のボルト孔60の周辺部を着磁してもよく、また、ハブボルト70の軸部72と、フランジ22のボルト孔60の周辺部の双方を着磁してもよい。
さらに、前記実施例1においては、ハブボルト70の圧入行程完了後、ハブホイール20を圧入装置の設置面90上から取り外し、その後、脱磁してボルト孔60の圧入出口部周辺を清掃(洗浄)したが、圧入行程完了直後に脱磁せず、着磁したままで、次行程以降の行程を実施し、最後の行程で脱磁し、清掃(洗浄)するようにしてもよい。しかしながら、製造ライン上でハブホイール20に、意図しない大きい衝撃が加わった場合に摩耗粉やバリかす等が脱落する恐れもあるので、前記実施例1の方法がより好ましい。
また、前記実施例1においては、転がり軸受として、複列のアンギュラ玉軸受40が採用された場合を例示したが、複列の円すいころ軸受を用いてもこの発明を実施可能である。
この発明の実施例1に係る車輪用転がり軸受装置としての車輪用ハブユニットを示す側断面図である。 同じくフランジのボルト孔にハブボルトの軸部が圧入される前の状態を拡大して示す断面図である。 同じくフランジのボルト孔にハブボルトの軸部が圧入された状態を拡大して示す断面図である。
符号の説明
20 ハブホイール
21 ハブ軸
22 フランジ
31 複列アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
60 ボルト孔
70 ハブボルト
71 頭部
72 軸部
73 セレーション軸部
74 中間軸部
75 雄ねじ部

Claims (1)

  1. 転がり軸受が組み付けられるハブ軸を有するハブホイールのフランジに、車輪を取り付けるためのハブボルトの軸部が圧入されるボルト孔が形成された車輪用転がり軸受装置を製造する方法であって、
    前記フランジのボルト孔の周辺部と、前記ハブボルトの軸部との両部分のうち、少なくとも一方を着磁し、
    着磁後、前記フランジのボルト孔にハブボルトの軸部を圧入することで、圧入の際に発生する摩耗粉やバリかす等を前記着磁部に吸着し、
    圧入後、前記着磁部を脱磁し、脱磁直後に前記ボルト孔の圧入出口部の周辺部を清掃して前記摩耗粉やバリかす等を除去することを特徴とする車輪用転がり軸受装置の製造方法。

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