JP2008256102A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 車両用アクスル構造としてのハブベアリングにおいて、組立工数の低減を図るとともに、ハブベアリングの部品を極力再使用することができる車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】 外方部材4は、車輪に取付けられるハブ輪4Aと、このハブ輪4Aの内周に設けられた段部状の外輪嵌合部13に着脱可能に嵌合した外輪4Bとを備え、ハブ輪4Aおよび外輪4Bに各列の軌道面5,6を設ける。
【選択図】 図1

Description

この発明は、例えばトラック等の大型車両用のハブベアリングとして使用される車輪用軸受装置に関する。
大型車両用のアクスル構造として、単列テーパ軸受2個使いのもの、ハブと外輪とが一体になっているハブベアリングがある(特許文献1,2参照)。図3は、従来のハブベアリングの断面図である。このハブベアリングでは、ハブと外輪50とが一体となっているので、単列テーパ軸受2個をハブへ圧入した構造に比べ、車両への組立性が優れている。つまり前記ハブベアリングは、車両への組み込み後に最適な予圧(軸受プリロード)となるように軸受初期すきまが設定してあり、プリロード調整が不要で組立、保守・点検が非常に容易にできる。
特開2000−186721号公報 特開2003−312205号公報
前述の単列テーパ軸受2個をハブに圧入した構造では、軸受寿命に達した列の軸受を交換することで、残りの部品は再使用可能である。しかし同構造では、下記組立手順(1)〜(7)に示すように、多大な組立工数を要する。
(1)ハブにインボード(車両に取付けた状態で車幅方向中央寄り)およびアウトボード(同車幅方向外側寄り)外輪を圧入する。
(2)ハブにグリースを封入する。
(3)ハブにインボード内輪を挿入する。
(4)ハブにインボードシールを圧入する(これを「ハブアッセンブリ」と称す)。
(5)ハブアッセンブリに軸を挿入する。
(6)軸にアウトボード内輪を挿入する。
(7)軸先端にナットを入れ締め込む(いわゆるプリロード調整)。
このように軸受プリロードの調整は軸ナットの締付けを微妙に調整し、起動トルクを確認して適性な値を得なければならず、組立においては特に工数を要する。
特許文献1,2のハブベアリングでは、組立工数の低減を図れるが、片方(一列)の外輪軌道面が転動疲労寿命に達したとき、ハブベアリング全体を交換しなければならない。この場合、ハブベアリングの残りの部品(転動疲労寿命に達していない列の部品)を再使用することができない。
本発明の目的は、車両用アクスル構造としてのハブベアリングにおいて、組立工数の低減を図るとともに、ハブベアリングの部品を極力再使用することができる車輪用軸受装置を提供することである。
この発明の車輪用軸受装置は、外周に複列の軌道面を有する内方部材と、前記各軌道面に対向する軌道面を内周に有する外方部材と、これら対向する軌道面の間に介在した複列の転動体とを備える車輪用軸受装置において、前記外方部材は、車輪に取付けられるハブ輪と、このハブ輪の内周に設けられた段部状の外輪嵌合部に着脱可能に嵌合した外輪とを備え、ハブ輪および外輪に各列の軌道面を設けたことを特徴とする。
この構成によると、外方部材は、ハブ輪と外輪とを備え、ハブ輪および外輪に各列の軌道面を設けている。ハブ輪の内周に、段部状の外輪嵌合部が設けられている。特に、外輪は、この外輪嵌合部に着脱可能に嵌合している。したがって、この外輪を嵌合している列の軌道面が転動疲労寿命に達したとき、この列の軌道面をなす部材(外輪、内方部材の前記列に対応する部分)を交換する。これによってハブ輪等を継続して使用することが可能となる。しかも、この構成の車輪用軸受装置は、単列テーパ軸受2個をハブへ圧入した構造に比べ、部品点数が少なく、車両への組立性が優れ、保守・点検が非常に容易にできる。
この発明において、前記外輪を含む列を、複列のうちの転動疲労寿命の短い方とすることが好ましい。この構成によると、ハブ輪に軌道面を設けた列を転動疲労寿命の長い方とすることができる。したがって、ハブ輪を継続して使用する期間を延ばすことができ、その分コスト低減を図ることができる。
この発明において、円すいころ軸受型とし、外輪軌道の小端径を、ハブ輪の内径よりも小径とすることが好ましい。この構成によると、ハブ輪の内径を成す周面より、外輪軌道の小端部が半径方向内方に突出する。したがって、外輪をハブ輪の外輪嵌合部から容易に離脱させることができ、交換を容易に行える。よって、部品の組立工数の低減を図ることが可能となる。
この発明の車輪用軸受装置によると、ハブ輪の外輪嵌合部に、外輪が着脱可能に嵌合しているので、この外輪を嵌合している列の軌道面が転動疲労寿命に達したとき、この列の軌道面をなす部材を交換し得る。これによってハブ輪等を継続して使用することが可能となる。換言すれば、転動疲労寿命に達していない列の部品を再使用することができる。しかも、この構成の車輪用軸受装置は、単列テーパ軸受2個をハブへ圧入した構造に比べ、部品点数が少なく、車両への組立性が優れ、保守・点検が非常に容易にできる。
この発明の第1の実施形態を図1および図2と共に説明する。この実施形態は、外輪回転タイプで、例えばトラック等の大型車両用のアクスル構造として適用されるハブベアリングである。この明細書において、車輪用軸受装置を車両に取付けた状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。以下の説明は、車輪用軸受装置の組立方法についても説明をも含む。
この車輪用軸受装置1は、それぞれ外周に複列の軌道面2a,3aを有する2個の内輪2,3(内方部材に相当する)と、各軌道面2a,3aに対向する軌道面5,6を内周に有する外方部材4と、これら対向する軌道面2a,5(軌道面3a,6)の間に介在した複列の転動体7と、複列の保持器8と、シール9とを備えている。この実施形態の場合、転動体7は円すいころであって、複列の円すいころが背面合わせで配列され、各列毎に保持器8で保持されている。2個の内輪2,3の内輪内径のうち、内輪2,3の合わせ面近傍の内輪内径部2b,3bには、ばね鋼製の連結環10が装着され、この連結環10により、車輪用軸受装置1の搬送時および取り扱い時に内輪2,3が分離することを防止するとともに、2個の内輪内径のずれを防止し、軸への挿入が容易になる。
内輪2のうち、内輪3との合わせ面近傍の外周面に小鍔2cが形成され、アウトボード側の外周面であって外方に臨む外周面に大鍔2dが形成されている。内輪3のうち、内輪2との合わせ面近傍の外周面に小鍔3cが形成され、インボード側の外周面であって外方に臨む外周面に大鍔3dが形成されている。
外方部材4は、車輪に取付けられるハブ輪4Aと後述する外輪4Bとを備え、ハブ輪4Aは、アウトボード側端の外周に突出する車輪取付用のフランジ11を有する。このフランジ11の円周方向の複数箇所にボルト孔11aが設けられ、ホイール締結用のボルト(図示せず)が取付けられる。ハブ輪4Aにおいて、その外径面とフランジ11とにわたって、複数のリブ12が形成されている。これらリブ12は、たとえば円周方向一定間隔おきに形成されている。ただし円周方向一定間隔おきに、限定されるものではなく、たとえば円周方向適当間隔おきであってもよい。
ハブ輪4Aは、アウトボード側の内周に、アウトボード側に向かう程半径方向外方に拡径する傾斜状の軌道面5を有する。ハブ輪4Aのインボード側の内周に、段部状の外輪嵌合部13が設けられ、この外輪嵌合部13に外輪4Bが着脱可能に嵌合している。つまり外輪嵌合部13に、単列の円すいころ軸受14の外輪4Bが圧入されて保持されている。インボード側であるこの外輪4Bの内周に、インボード側に向かう程半径方向外方に拡径する傾斜状の軌道面6が設けられている。
ハブ輪4Aの内周のうち、アウトボード側とインボード側との軸方向中間付近部に、外輪嵌合部13の一部を形成するための突出壁部15が設けられている。この突出壁部15は、半径方向内方へ突出し、ハブ輪4Aの内径を成す。外輪4Bが外輪嵌合部13に圧入された状態で、その外輪軌道の小端径dAは、ハブ輪4Aの内径dBよりも小径となる。逆に言えば、ハブ輪4Aの内径dBは、外輪軌道の小端径dAよりも半径方向外方に大径となるように設けられている。
ハブ輪4Aの外周のうちインボード側の端部には、たとえば磁気エンコーダまたは歯車状のパルサリングを設けるための環状の凹形状部4cが形成されている。本実施形態に係る車輪用軸受装置1では、前記外輪4Bを含むインボード側の列を、複列の転動疲労寿命の短い方と規定することが好ましい。つまりアウトボード側の列の転動疲労寿命が、インボード側の単列の円すいころ軸受14の転動疲労寿命より長くなるように定められている。この場合、ハブ輪4Aを継続して使用する期間を延ばすことができ、その分コスト低減を図ることができる。
本実施形態では、例えば、アウトボード側の列の軸受の定格荷重と、インボード側の列の円すいころ軸受14との定格荷重とを同一にしている。このような場合であっても、インボード側の円すいころ軸受14にかかるモーメント荷重がより大きくなり得る。これにより、インボード側の列の円すいころ軸受14が転動疲労寿命に早く達する。この転動疲労寿命に早く達したインボード側の列の円すいころ軸受14を、交換することで、ハブ輪4Aを継続して使用することができる。
本実施形態では、両列のころ7の長さおよび径は同一のものを適用している。この構成によると、部品(ころ7、保持器8、および内輪2,3等)の兼用性を図り、製造コストの低減を図ることができる。ただし、両列のころの、長さおよび径の少なくともいずれか一方を異なるものを適用することも可能である。この場合、厳密な寿命により適応した車輪用軸受装置1を得ることができる。
前述のように、本実施形態では、両列の定格荷重を同一にしたうえで、アウトボード側の列の軸受と、インボード側の列の円すいころ軸受14とで、かかる負荷の違いに起因して、インボード側の列を、複列の転動疲労寿命の短い方と規定している。ただし、この構成に必ずしも限定されるものではない。たとえば、インボード側の列の円すいころ軸受14を、アウトボード側の列の軸受よりも、定格荷重を小さく設定する(ころ数を少なくする等)ことで、複列の転動疲労寿命の短い方と規定する場合もあり得る。
以上説明した車輪用軸受装置1によると、外方部材4は、ハブ輪4Aと外輪4Bとを備え、ハブ輪4Aおよび外輪4Bにアウトボード側、インボード側各列の軌道面5,6を設けている。ハブ輪4Aの内周に、段部状の外輪嵌合部13が設けられ、特に、外輪4Bは、この外輪嵌合部13に着脱可能に嵌合している。したがって、この外輪4Bを嵌合しているインボード側の列の軌道面6,3aが転動疲労寿命に達したとき、この列の軌道面6,3aをなす部材(外輪4B、内輪3、同列の転動体7)を交換する。これによって、ハブ輪4A、アウトボード側の列の内輪2、同列の転動体7、および同列の保持器8等を継続して使用することが可能となる。しかも、この構成の車輪用軸受装置1は、単列テーパ軸受2個をハブへ圧入した構造に比べ、車両への組立性が優れ、保守・点検が非常に容易にできる。
つまり、この構成の車輪用軸受装置1を、図示外のハブに取付け、軸を内方部材に挿入する。次に、軸端にナットを入れ、該ナットを規定トルクで締め込むことで、車両への組立を実施し得る。車輪用軸受装置1の組込み後に最適なプリロードとなるように軸受初期隙間が設定してあり、単列テーパ軸受2個使いのようなプリロード調整が不要となる。したがって、車両への組立性が優れ、保守・点検が非常に容易にできる。ハブ輪4Aの外輪嵌合部13に、種々な定格荷重な単列の円すいころ軸受を着脱可能に構成することで、このハブ輪の汎用性を高めることができる。それ故、車輪用軸受装置の製造コストの低減を図ることが可能となる。
ハブ輪4Aの内周の突出壁部15は、半径方向内方へ突出し、ハブ輪4Aの内径を成す。外輪4Bが外輪嵌合部13に圧入された状態で、その外輪軌道の小端径dAは、ハブ輪4Aの内径dBよりも小径となる。逆に言えば、ハブ輪4Aの内径dBは、外輪軌道の小端径dAよりも半径方向外方に大径となるように設けられている。したがって、外輪軌道の小端部と突出壁部15との間のコーナー部16に、たとえば先鋭状の治具を当接させ、この治具を軸方向一方(インボード側)に押圧することで、外輪4Bをハブ輪4Aの外輪嵌合部13から容易に離脱させることができ、その交換を容易に行える。よって、部品の組立工数の低減を図ることが可能となる。
本実施形態では、ハブ輪の内周のインボード側の列に、段部状の外輪嵌合部が設けられているが、ハブ輪の内周のアウトボード側の列に、段部状の外輪嵌合部を設けてもよい。この外輪嵌合部に、外輪を着脱可能に嵌合し得る。この場合、この外輪を嵌合しているアウトボード側の列の軌道面が転動疲労寿命に達したとき、この列の軌道面をなす部材(外輪、内輪)を交換する。これによって、ハブ輪、インボード側の列の内輪、同列の転動体、および同列の保持器等を継続して使用することが可能となる。
本発明の第一の実施形態に係る車輪用軸受装置の断面図である。 同車輪用軸受装置のハブ輪と、このハブ輪の外輪嵌合部から取外した軸受とを示す断面図である。 従来の車輪用軸受装置の断面図である。
符号の説明
1…車輪用軸受装置
2,3…内輪
4…外方部材
4A…ハブ輪
4B…外輪
5,6…軌道面
7…転動体
8…保持器
13…外輪嵌合部
14…円すいころ軸受
dA…小端径
dB…内径

Claims (3)

  1. 外周に複列の軌道面を有する内方部材と、前記各軌道面に対向する軌道面を内周に有する外方部材と、これら対向する軌道面の間に介在した複列の転動体とを備える車輪用軸受装置において、
    前記外方部材は、車輪に取付けられるハブ輪と、このハブ輪の内周に設けられた段部状の外輪嵌合部に着脱可能に嵌合した外輪とを備え、ハブ輪および外輪に各列の軌道面を設けたことを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 請求項1において、前記外輪を含む列を、複列のうちの転動疲労寿命の短い方とした車輪用軸受装置。
  3. 請求項1または請求項2において、円すいころ軸受型とし、外輪軌道の小端径を、ハブ輪の内径よりも小径とした車輪用軸受装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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