JP2007307889A - 印刷機のウェブ検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】素早く紙切れを検出することができる印刷機のウェブ検出装置を提供する。
【解決手段】搬送されるウェブWを印刷する印刷ユニット2と、印刷ユニット2のウェブ搬送方向下流側に設けられ、印刷されたウェブWを乾燥させる乾燥機3と、乾燥機3のウェブ搬送方向下流側に設けられ、乾燥されたウェブWが巻き付けられるチルローラ11と、チルローラ11の近傍に設けられ、切れたウェブW(w2)の紙面交差方向の位置が所定の許容範囲から逸脱したことを検出する検出装置7とを備えるようにした。
【選択図】図1
【解決手段】搬送されるウェブWを印刷する印刷ユニット2と、印刷ユニット2のウェブ搬送方向下流側に設けられ、印刷されたウェブWを乾燥させる乾燥機3と、乾燥機3のウェブ搬送方向下流側に設けられ、乾燥されたウェブWが巻き付けられるチルローラ11と、チルローラ11の近傍に設けられ、切れたウェブW(w2)の紙面交差方向の位置が所定の許容範囲から逸脱したことを検出する検出装置7とを備えるようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、搬送されるウェブの紙切れを検出する印刷機のウェブ検出装置に関する。
一般に、巻紙輪転印刷機等の印刷機では、ウェブ(連続用紙)を連続搬送して印刷を行うことから、ウェブの張力変動やその他のトラブル等によって、印刷中に紙切れを起こしてしまうことがある。このような紙切れが起きた場合には、切れたウェブが弛んで、印刷ユニットのゴム胴及び版胴やインキ装置のローラの周面に、多重に巻き付いてしまい、胴やローラに重大な損傷を与えるばかりでなく、印刷機そのものを損傷しかねない。これにより、従来の印刷機には、切れたウェブを検出して、胴やローラへの巻き付けを防止するウェブ検出装置が設けられている。
このウェブ検出装置は、搬送されるウェブの紙面交差方向(上下方向)に所定の許容範囲を設定し、切れたウェブがこの許容範囲を逸脱したことを検出すると、印刷機を停止させるものである。このような、従来の印刷機のウェブ検出装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
従来のウェブ検出装置においては、乾燥機内で切れたウェブを当該乾燥機のウェブ搬送方向上流側において検出するようにしている。しかしながら、従来のように、紙切れした位置からウェブ搬送方向上流側において検出する場合には、張力を失ったウェブを検出することとなり、不安定な切れたウェブの挙動を捉えることは非常に困難であり、検出精度の低下を招いてしまう。従って、従来のウェブ検出装置においては、切れたウェブの挙動によっては、紙切れを検出するまでの時間が遅くなり、切れたウェブの胴やローラへの巻き付け防止を図ることが困難であった。
また、ウェブ検出装置による紙切れ検出を速くするためには、許容範囲を狭くすることが考えられるが、特に乾燥機内に搬送されるウェブは、温風の噴き付けにより紙面交差方向に大きく振幅しており、そして、この振幅は印刷速度等の印刷条件により変動するため、許容範囲を設定する場合にはある程度の余裕が必要とされる。即ち、許容範囲を狭くして紙切れ検出をしようとすると、ウェブが切れていないにも関わらず、紙切れをしたと誤った検出をしてしまうおそれがある。よって、近年、印刷機の高速化が進む中、切れたウェブの巻き付けによる被害を防ぐためにも、紙切れをした際には、安定した素早い検出が求められている。
従って、本発明は上記課題を解決するものであって、素早く紙切れを検出することができる印刷機のウェブ検出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の発明に係る印刷機のウェブ検出装置は、
搬送されるウェブを印刷する印刷ユニットと、
前記印刷ユニットのウェブ搬送方向下流側に設けられ、印刷されたウェブを乾燥させる乾燥手段と、
前記乾燥手段のウェブ搬送方向下流側に設けられ、乾燥されたウェブが巻き付けられる回転体と、
前記回転体の近傍に設けられ、ウェブの紙面交差方向の位置が許容範囲から逸脱したことを検出する検出手段とを備える
ことを特徴とする。
搬送されるウェブを印刷する印刷ユニットと、
前記印刷ユニットのウェブ搬送方向下流側に設けられ、印刷されたウェブを乾燥させる乾燥手段と、
前記乾燥手段のウェブ搬送方向下流側に設けられ、乾燥されたウェブが巻き付けられる回転体と、
前記回転体の近傍に設けられ、ウェブの紙面交差方向の位置が許容範囲から逸脱したことを検出する検出手段とを備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係る印刷機のウェブ検出装置は、
第1の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記検出手段の近傍に設けられ、搬送されるウェブに常時エアーを吐出する吐出手段を備える
ことを特徴とする。
第1の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記検出手段の近傍に設けられ、搬送されるウェブに常時エアーを吐出する吐出手段を備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明に係る印刷機のウェブ検出装置は、
第2の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記吐出手段は、搬送されるウェブの上方に設けられる
ことを特徴とする。
第2の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記吐出手段は、搬送されるウェブの上方に設けられる
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第4の発明に係る印刷機のウェブ検出装置は、
第3の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記検出手段は、搬送されるウェブの下方に設けられる
ことを特徴とする。
第3の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記検出手段は、搬送されるウェブの下方に設けられる
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第5の発明に係る印刷機のウェブ検出装置は、
第1の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記印刷ユニットと前記乾燥手段との間に設けられると共に、ウェブが許容範囲を逸脱したことを前記検出手段が検出したときに、前記印刷ユニットから前記乾燥手段側に搬送されるウェブを、前記乾燥手段側とは異なった方向に排出させる排出手段を備える
ことを特徴とする。
第1の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記印刷ユニットと前記乾燥手段との間に設けられると共に、ウェブが許容範囲を逸脱したことを前記検出手段が検出したときに、前記印刷ユニットから前記乾燥手段側に搬送されるウェブを、前記乾燥手段側とは異なった方向に排出させる排出手段を備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第6の発明に係る印刷機のウェブ検出装置は、
第1の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記印刷ユニットと前記乾燥手段との間に設けられると共に、ウェブが許容範囲を逸脱したことを前記検出手段が検出したときに、前記印刷ユニットからウェブを引き出す排出手段を備える
ことを特徴とする。
第1の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記印刷ユニットと前記乾燥手段との間に設けられると共に、ウェブが許容範囲を逸脱したことを前記検出手段が検出したときに、前記印刷ユニットからウェブを引き出す排出手段を備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第7の発明に係る印刷機のウェブ検出装置は、
第5または第6の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記排出手段は、
搬送されるウェブの一方側に設けられ、回転駆動する駆動ローラと、
搬送されるウェブの他方側の位置と前記駆動ローラにウェブを介して対接する位置との間で移動可能な移動ローラとを備え、
前記検出手段によりウェブが許容範囲を逸脱したことを検出されると、前記排出手段は前記移動ローラを前記駆動ローラにウェブを介して対接するように移動させる
ことを特徴とする。
第5または第6の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記排出手段は、
搬送されるウェブの一方側に設けられ、回転駆動する駆動ローラと、
搬送されるウェブの他方側の位置と前記駆動ローラにウェブを介して対接する位置との間で移動可能な移動ローラとを備え、
前記検出手段によりウェブが許容範囲を逸脱したことを検出されると、前記排出手段は前記移動ローラを前記駆動ローラにウェブを介して対接するように移動させる
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第8の発明に係る印刷機のウェブ検出装置は、
第7の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記駆動ローラは、搬送されるウェブの下方に設けられ、
前記移動ローラは、搬送されるウェブの上方に設けられる
ことを特徴とする。
第7の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記駆動ローラは、搬送されるウェブの下方に設けられ、
前記移動ローラは、搬送されるウェブの上方に設けられる
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第9の発明に係る印刷機のウェブ検出装置は、
第1の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記回転体は、搬送されるウェブに張力を付与する回転駆動のローラである
ことを特徴とする。
第1の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記回転体は、搬送されるウェブに張力を付与する回転駆動のローラである
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第10の発明に係る印刷機のウェブ検出装置は、
第1の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記回転体は、前記乾燥手段によって乾燥されたウェブを冷却するチルローラである
ことを特徴とする。
第1の発明に係る印刷機のウェブ検出装置において、
前記回転体は、前記乾燥手段によって乾燥されたウェブを冷却するチルローラである
ことを特徴とする。
従って、本発明に係る印刷機のウェブ検出装置によれば、回転体によりウェブに張力を付与することができるので、ウェブの紙面交差方向への振幅を極めて小さくすることができる。そして、この振幅が小さくなったウェブを検出手段により検出するようにしたので、搬送されるウェブの紙面交差方向における許容範囲を小さくすることができ、素早くウェブの紙切れを検出することができる。しかも、検出手段の許容範囲を小さくしても、切れていないウェブの誤検出を防止することができる。また、切れたウェブを検出手段の許容範囲から早期に逸脱させることができ、印刷ユニットのゴム胴及び版胴やインキ装置のローラの周面への巻き付けを防止することができる。
以下、本発明に係る印刷機のウェブ検出装置について図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係る印刷機のウェブ検出装置を備えた巻紙輪転印刷機の概略構成図、図2は排出装置の概略構成図、図3は本発明の一実施例に係る印刷機のウェブ検出装置の概略構成図を示している。
図1に示すように、巻紙輪転印刷機1には、搬送されるウェブ(連続用紙)Wの搬送方向上流側から印刷ユニット2、乾燥機(乾燥手段)3及び冷却機(冷却手段)4等が順に設けられている。そして、印刷ユニット2と乾燥機3との間には排出装置(排出手段)5が設けられる一方、乾燥機3と冷却機4との間にはウェブ搬送方向上流側からエアー吐出装置(吐出手段)6及び検出装置(検出手段)7が順に設けられている。
印刷ユニット2には上下一対のゴム胴8と、これらゴム胴8を上下方向から挟むようにして配置される上下一対の版胴9とが回転可能に設けられている。印刷ユニット2は、搬送されるウェブWをゴム胴8間に通過させることにより、当該ウェブWの両面に印刷を行うことができる。
乾燥機3には乾燥部10が設けられている。乾燥機3は、印刷ユニット2により印刷されたウェブWを、この乾燥部10内に通過させ、ウェブWの上下方向から高温の温風を噴き付けることにより、ウェブWの紙面上のインキを乾かすことができる。
冷却機4には駆動回転するチルローラ(回転体)11が設けられており、このチルローラ11内には冷却水が循環されている。即ち、冷却機4においては、乾燥機3により高温保持されたウェブWを、複数のチルローラ11(図1では1本のみ図示)に巻き付けることにより、ウェブWに張力を付与すると共に、ウェブWを冷却することができる。
そして、図1,2に示すように、排出装置5には移動ローラ12と駆動ローラ13とが設けられている。移動ローラ12は搬送されるウェブWの上方において揺動アーム14の先端に回転可能に支持されており、揺動アーム14にはその基端を中心に揺動させるエアシリンダ16が接続されている。一方、駆動ローラ13は搬送されるウェブWの下方において回転可能に支持されており、接続されたモータ15を駆動させることにより時計周りに回転駆動するようになっている。
即ち、移動ローラ12はエアシリンダ16の動作により揺動アーム14を介して上下方向に移動でき、エアシリンダ16が短縮したときの搬送されるウェブWの上方の位置と、エアシリンダ16が伸長したときの駆動ローラ13にウェブWを介して対接した位置との間において、移動可能となっている。
従って、通常運転時においては、巻紙輪転印刷機1を駆動させる本機用駆動モータ(図示省略)と共にモータ15も駆動され、このモータ15の駆動により駆動ローラ13が回転される。このとき、図2の実線に示すように、移動ローラ12は搬送されるウェブWの上方に位置して駆動ローラ13から離間して、移動ローラ12及び駆動ローラ13はウェブWに接触しないので、ウェブWは乾燥機3内に搬送される。
そして、詳細は後述するが、乾燥機3内でウェブWの紙切れが発生すると、検出装置7の紙切れ判定部72からエアシリンダ16に異常処理信号が送られる。次いで、エアシリンダ16は、揺動アーム14を介して移動ローラ12を下方に移動させて、駆動ローラ13にウェブWを介して対接させる。これにより、図2の一点鎖線に示すように、ウェブWは乾燥機3外の乾燥機3とは異なった方向(図2では排出装置5の下方)へ排出されて、印刷ユニット2から強制的に引き出される。
また、エアー吐出装置6は搬送されるウェブWの上方に配置されており、そのノズルから常にウェブWにエアーを噴き付けている。なお、エアー吐出装置6から噴射されるエアーは、ウェブWの搬送に影響を与えない程度の圧力に設定されている。
次に、検出装置7の構成について図3を用いて詳細に説明する。
図3に示すように、検出装置7は、搬送されるウェブWの下方に配置されており、ウェブWの紙切れの際にウェブWが弛むことを利用し、ウェブWの搬送位置(搬送高さ)が正常な印刷状態とされる所定の許容範囲Hを逸脱することを捉えて、ウェブWの紙切れを検出する装置である。そして、検出装置7は逸脱検出部71と紙切れ判定部72とから構成されている。
逸脱検出部71は、ウェブWの搬送位置が許容範囲Hを逸脱しているか否かを検出するものであり、距離センサー20、範囲設定部30及び逸脱識別部40から構成されている。距離センサー20は搬送されるウェブWの下方に配置されており、ウェブWまでの距離を検出するものである。また、範囲設定部30は搬送されるウェブWの搬送位置が正常な印刷状態とされる許容範囲Hを設定するものである。更に、逸脱識別部40は距離センサー20により検出した距離が許容範囲Hを逸脱しているか否かを識別するものである。一方、紙切れ判定部72は逸脱識別部40による識別結果に基づいてウェブWの紙切れ判定を行うものである。
次に、範囲設定部30を詳細に説明すると、範囲設定部30は、搬送されるウェブWと距離センサー20との距離(基準距離LR)を設定する基準距離設定部31と、搬送されるウェブWの位置から許容範囲Hの上限の位置までの相対距離(上限相対距離LH>0)を設定する上限相対距離設定部32と、搬送されるウェブWの位置から許容範囲Hの下限の位置までの相対距離(下限相対距離LL<0)を設定する下限相対距離設定部33とを備えている。
また、範囲設定部30は、上述した各設定部31,32,33により設定された基準距離LR、上限相対距離LH及び下限相対距離LLをそれぞれ記憶する基準距離記憶部34、上限相対距離記憶部35及び下限相対距離記憶部36を備えると共に、これらの各記憶部34,35,36にそれぞれ記憶された基準距離LR、上限相対距離LH及び下限相対距離LLに基づいて許容範囲Hの上限値(LR+LH)及び下限値(LR+LL)を演算する演算部37を備えている。
基準距離設定部31には、巻紙輪転印刷機1の印刷速度信号が図示しない入力インターフェースを介して常時入力されると共に、距離センサー20から送られてくる距離信号も常時入力されている。また、基準距離設定部31は、印刷速度がウェブWの搬送が安定する所定値に達した時点で、この印刷速度における距離センサー20による検出距離を基準距離LRとして基準距離記憶部34に書き込むように構成されている。
なお、基準距離設定部31に距離センサー20からの距離信号を常時入力させずに、印刷速度がウェブWの搬送が安定する所定値に達した時点で、初めて距離センサー20からの距離信号が入力され、この入力値を基準距離LRとして基準距離記憶部34に書き込むように構成してもよい。ここで、ウェブWの搬送が安定する所定速度は、予め基準距離設定部31に設定されており、印刷速度はこの機械速度を捉えてもよく、版胴速度等を捉えても構わない。
上限相対距離設定部32及び下限相対距離設定部33は、巻紙輪転印刷機1の操作盤内に設けられたプッシュボタンやダイヤル式入力器、あるいは、キーボード等により構成され、CRT画面を見ながらの対話形式による入力方式としても良い。
演算部37は、基準距離記憶部34、上限相対距離記憶部35及び下限相対距離記憶部36から読み込んだ基準距離LR、上限相対距離LH及び下限相対距離LLに基づいて許容範囲Hの上限値(LR+LH)及び下限値(LR+LL)を演算し、これらの演算結果を逸脱識別部40に送るように構成されている。
次に、逸脱識別部40を詳細に説明すると、逸脱識別部40は、演算部37から送られた上限値(LR+LH)及び下限値(LR+LL)をそれぞれ記憶する上限値記憶部41及び下限値記憶部42と、距離センサー20により検出した距離が許容範囲Hを逸脱しているか否かを判定する逸脱判定部43とを備えている。
逸脱判定部43では、上限値記憶部41及び下限値記憶部42からそれぞれ上限値(LR+LH)及び下限値(LR+LL)を読み込み、図示しない入力インターフェースを介して距離センサー20から送られてくる距離信号が一定周期で入力される。そして、この一定周期毎に距離センサー20により検出した距離が上限値(LR+LH)と下限値(LR+LL)との間にあるか否かを判定して、ウェブWの搬送位置が許容範囲Hを逸脱しているか否かを識別するように構成されている。
次に、紙切れ判定部72を詳細に説明すると、紙切れ判定部72は、逸脱識別部40による識別結果に基づいて、距離センサー20により検出した距離が上限値(LR+LH)と下限値(LR+LL)との間、即ち、許容範囲H内にある場合には、正常な状態であると判定する。一方、距離センサー20により検出した距離が上限値(LR+LH)と下限値(LR+LL)との間を逸脱している場合には、ウェブWの紙切れが発生したと判定して異常処理信号を出力するように構成されている。そして、この異常処理信号は本機用駆動モータ及びエアシリンダ16に送られる。
なお、基準距離設定部31、基準距離記憶部34、上限相対距離記憶部35、下限相対距離記憶部36、演算部37、上限値記憶部41、下限値記憶部42、逸脱判定部43及び紙切れ判定部72は、それぞれマイクロコンピュータ等の中央演算処理装置及びこれに接続された各種のメモリーなどにより構成されている。
従って、上述した構成をなすことにより、巻紙輪転印刷機1が始動されると、エアー吐出装置6からウェブWに向けてエアーが噴き出し、また、検出装置7の検出が開始されると共に、駆動ローラ13が回転駆動する。このとき、上限相対距離設定部32及び下限相対距離設定部33には、それぞれ上限相対距離LH及び下限相対距離LLが予め入力設定されている。
次に、基準距離設定部31には距離センサー20から送られる検出距離が一定周期で入力され、巻紙輪転印刷機1の印刷速度が所定値(例えば、機械速度で200rpm)に達したときに、この入力された検出距離を基準距離LRとして基準距離記憶部34に書き込む。そして、演算部37が基準距離LRに上限相対距離LHを加えて許容範囲Hの上限値(LR+LH)を演算する一方、基準距離LRに下限相対距離LLを加えて許容範囲Hの下限値(LR+LL)を演算する。
その後、逸脱判定部43には距離センサー20から送られる検出距離が一定周期で入力され、この入力した検出距離が上限値(LR+LH)よりも大きいか否か、または、下限値(LR+LL)よりも小さいか否かを判定する。そして、検出距離が上限値(LR+LH)よりも大きくない場合、且つ、検出距離が下限値(LR+LL)よりも小さくない場合には、紙切れ判定部72はウェブWが許容範囲Hの高さで搬送されていると判定し、即ち、紙切れをしていないと判定して、検出装置7の検出が続けられる。一方、検出距離が上限値(LR+LH)よりも大きい場合、または、下限値(LR+LL)よりも小さい場合には、紙切れ判定部72はウェブWが許容範囲H内の高さで搬送されていないと判定し、即ち、紙切れをしたと判定して異常処理信号を出力する。
ここで、巻紙輪転印刷機1においては、乾燥機3によりウェブWに向けて高温の温風が勢いよく噴き付けられることから、乾燥機3内においてウェブWの紙切れが発生することがある。よって、本実施例においても乾燥機3内を搬送するウェブWのC点(図1参照)で紙切れが発生したとする。このとき、切れたウェブWは、C点に対して搬送方向上流側のウェブw1と、C点に対して搬送方向下流側のウェブw2とに切り離される。
紙切れが発生するときには、すでにウェブw2にエアー吐出装置6のエアーが噴き付けられるので、図3の一点鎖線に示すように、強制的に許容範囲Hから逸脱されることになる。これにより、紙切れが発生した場合には、ウェブw2を素早く許容範囲Hから逸脱させることができるので、紙切れをしてから検出するまでの時間を短縮することができる。
そして、上述したように、ウェブWのC点で紙切れが発生して紙切れ判定部72が紙切れと判定した場合には、紙切れ判定部72から本機駆動用モータ及びエアシリンダ16に異常処理信号が出力される。この異常処理信号が出力されると、本機駆動用モータは停止されると共に、揺動アーム14はウェブw1に向けて下方に揺動される。即ち、巻紙輪転印刷機1は停止されると共に、移動ローラ12はウェブw1を介して駆動ローラ13に対接される。
移動ローラ12が駆動ローラ13にウェブw1を介して対接すると、ウェブw1は駆動ローラ13に押し当てられると共に、移動ローラ12は駆動ローラ13に連れ回りされ、図2の一点鎖線に示すように、ウェブw1は排出装置5の下方へ排出される。これにより、紙切れをした後においてもウェブw1は印刷ユニット1により搬送されることになるが、駆動ローラ13の回転により次々と排出されるので、ウェブw1のゴム胴8や版胴9等の胴やインキ装置のローラの周面への巻き付きが防止される。
なお、本実施形態においては、エアー吐出装置6を搬送されるウェブWの上方に設けるようにしたが、ウェブWの下方に設けるようにしても構わない。一方、検出装置7を搬送されるウェブWの下方に設けるようにしたが、ウェブWの上方に設けるようにしても構わない。また、駆動回転するチルローラ11を用いたが、搬送されるウェブWにより連れ回り(従動回転)するチルローラであってもよく、このようなチルローラでもウェブWに張力を付与すことができる。
従って、本発明の印刷機のウェブ検出装置によれば、乾燥機3と冷却機4との間のチルローラ11の近傍に検出装置7を設け、この検出装置7により切れたウェブW(w2)の紙面交差方向の位置が許容範囲Hから逸脱したことを検出するようにしたことにより、安定して素早く紙切れを検出することができる。
即ち、従来のように乾燥機のウェブ搬送方向上流側に検出装置を設けた場合には、乾燥部による上下方向からの温風の噴き付けにより、ウェブの紙面交差方向の振幅が大きくなるのに対し、本発明のように、乾燥機3のウェブ搬送方向上流側における冷却機4の近傍に検出装置7を設けた場合には、乾燥部10による上下方向からの温風の噴き付けによる影響がなくなるだけでなく、チルローラ11に巻き付けられることにより発生するウェブWの張力により、ウェブWの紙面交差方向の振幅を抑制することができる。これにより、許容範囲Hを小さく設定することができるので、安定して素早く紙切れを検出することができる。そして、ウェブWが許容範囲Hを逸脱したときには、必ず、ウェブWが紙切れ状態にある検出を行えるので、切れていないウェブWの誤検出を防止することができる。
また、エアー吐出装置6を検出装置7の近傍に設け、搬送されるウェブW(w2)に常時エアーを吐出するようにしたことにより、チルローラ11に巻き付けられることにより張力が増したウェブWにエアーを吐出するので、更に紙面交差方向の振幅を抑制させることができる一方、切れたウェブw2を許容範囲Hから安定して素早く逸脱させると共に、紙切れ発生時から異常処理を行うまでの時間を大幅に短縮することができる。
しかも、エアー吐出装置6を乾燥機3のウェブ搬送方向下流側の冷却機4の近傍に設けているので、高温保持されたウェブWを冷却することができ、印刷品質を向上させることができる。また、エアー吐出装置6を搬送されるウェブWの上方に設けているので、エアーの吐出方向が重力方向と同じになり、更に切れたウェブW(w2)を許容範囲Hから早期に逸脱させることができる。
更に、排出装置5を印刷ユニット2と乾燥機3との間に設け、切れたウェブw2が許容範囲Hを逸脱したことが検出されたときに、乾燥機3側に搬送される切れたウェブw1を乾燥機3側とは異なった方向に強制的に排出させるようにしたことにより、切れたウェブw1の印刷ユニット2のゴム胴8や版胴9等の胴やインキ装置のローラへの巻き付けを防止することができる。
ウェブの紙切れを短時間で検出すると共に、切れたウェブの印刷機への巻き付けを防止する印刷機のウェブ検出装置に適用可能である。
1 巻紙輪転印刷機
2 印刷ユニット
3 乾燥機
4 冷却機
5 排出装置
6 エアー吐出装置
7 検出装置
11 チルローラ
12 移動ローラ
13 駆動ローラ
16 エアシリンダ
20 距離センサー
30 範囲設定部
40 逸脱識別部
71 逸脱検出部
72 紙切れ判定部
2 印刷ユニット
3 乾燥機
4 冷却機
5 排出装置
6 エアー吐出装置
7 検出装置
11 チルローラ
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16 エアシリンダ
20 距離センサー
30 範囲設定部
40 逸脱識別部
71 逸脱検出部
72 紙切れ判定部
Claims (10)
- 搬送されるウェブを印刷する印刷ユニットと、
前記印刷ユニットのウェブ搬送方向下流側に設けられ、印刷されたウェブを乾燥させる乾燥手段と、
前記乾燥手段のウェブ搬送方向下流側に設けられ、乾燥されたウェブが巻き付けられる回転体と、
前記回転体の近傍に設けられ、ウェブの紙面交差方向の位置が許容範囲から逸脱したことを検出する検出手段とを備える
ことを特徴とする印刷機のウェブ検出装置。 - 請求項1に記載の印刷機のウェブ検出装置において、
前記検出手段の近傍に設けられ、搬送されるウェブに常時エアーを吐出する吐出手段を備える
ことを特徴とする印刷機のウェブ検出装置。 - 請求項2に記載の印刷機のウェブ検出装置において、
前記吐出手段は、搬送されるウェブの上方に設けられる
ことを特徴とする印刷機のウェブ検出装置。 - 請求項3に記載の印刷機のウェブ検出装置において、
前記検出手段は、搬送されるウェブの下方に設けられる
ことを特徴とする印刷機のウェブ検出装置。 - 請求項1に記載の印刷機のウェブ検出装置において、
前記印刷ユニットと前記乾燥手段との間に設けられると共に、ウェブが許容範囲を逸脱したことを前記検出手段が検出したときに、前記印刷ユニットから前記乾燥手段側に搬送されるウェブを、前記乾燥手段側とは異なった方向に排出させる排出手段を備える
ことを特徴とする印刷機のウェブ検出装置。 - 請求項1に記載の印刷機のウェブ検出装置において、
前記印刷ユニットと前記乾燥手段との間に設けられると共に、ウェブが許容範囲を逸脱したことを前記検出手段が検出したときに、前記印刷ユニットからウェブを引き出す排出手段を備える
ことを特徴とする印刷機のウェブ検出装置。 - 請求項5または6に記載の印刷機のウェブ検出装置において、
前記排出手段は、
搬送されるウェブの一方側に設けられ、回転駆動する駆動ローラと、
搬送されるウェブの他方側の位置と前記駆動ローラにウェブを介して対接する位置との間で移動可能な移動ローラとを備え、
前記検出手段によりウェブが許容範囲を逸脱したことを検出されると、前記排出手段は前記移動ローラを前記駆動ローラにウェブを介して対接するように移動させる
ことを特徴とする印刷機のウェブ検出装置。 - 請求項7に記載の印刷機のウェブ検出装置において、
前記駆動ローラは、搬送されるウェブの下方に設けられ、
前記移動ローラは、搬送されるウェブの上方に設けられる
ことを特徴とする印刷機のウェブ検出装置。 - 請求項1に記載の印刷機のウェブ検出装置において、
前記回転体は、搬送されるウェブに張力を付与する回転駆動のローラである
ことを特徴とする印刷機のウェブ検出装置。 - 請求項1に記載の印刷機のウェブ検出装置において、
前記回転体は、前記乾燥手段によって乾燥されたウェブを冷却するチルローラである
ことを特徴とする印刷機のウェブ検出装置。
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