JP2007307577A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鋳型内の溶鋼にリニア型移動磁場を印加して溶鋼流動を制御するに際し、鋳片幅によって定まる定在波の発生を抑えながら、移動磁場による溶鋼流動制御を行う。
【解決手段】 磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア型移動磁場発生装置3を用い、長辺及び短辺を有する矩形状鋳型1の中央部に設置された浸漬ノズル2から鋳型内に供給された溶鋼にリニア型移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御しながら鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、前記移動磁場の周波数を、下記の(1)式を満たす範囲内とする。但し、(1)式において、fm はリニア型移動磁場の周波数(Hz)、gは重力加速度(m/秒2)、Lは鋳型幅(m)である。
m >(g/2πL)0.5 +1…(1)
【選択図】 図2

Description

本発明は、鋳型内の溶鋼にリニア型の移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御しながら鋳造する鋼の連続鋳造方法に関するものである。
連続鋳造機で鋳造される鋼のスラブ鋳片(以下、単に「鋳片」とも記す)に要求される品質の1つとして、鋳片の非金属介在物(以下、「介在物」と記す)の含有量が少ないことが挙げられる。鋳片に捕り込まれる介在物には、(1):金属Alなどによる溶鋼の脱酸工程で発生し、溶鋼中に懸濁しているアルミナなどの脱酸生成物、(2):タンディッシュや浸漬ノズルで溶鋼内に吹き込まれるArガスなどの不活性ガスのガス気泡、(3):鋳型内の溶鋼湯面上に散布したモールドパウダーが溶鋼中に巻込まれて懸濁したもの、などがある。これらは何れも薄鋼板製品において表面欠陥となるため、何れも少なくすることが重要である。
しかも、近年、連続鋳造機の生産性を向上させるために、鋳造速度即ち鋳型内への溶鋼の供給速度を増加させた高速鋳造化が推進されている。このような高速鋳造操業では、鋳型内への溶鋼の供給量の増加に伴って鋳型内に注入される溶鋼の吐出流速が増加するために、即ち鋳型内における溶鋼の運動エネルギーが増加するために、溶鋼中に巻込まれるモールドパウダーの発生頻度が高くなるとともに、浸漬ノズルからの吐出流が鋳型短辺側の凝固シェルに衝突した後に分岐して下流側に向かって流れる侵入流の侵入深さが増大し、この侵入流に随伴して未凝固層の深くまで侵入する脱酸生成物が多くなり、これにより鋳片に捕捉される脱酸生成物も多くなり、全体的に鋳片の介在物含有量が増加する傾向となる。
そのため、高速鋳造時のスラブ鋳片の介在物を低減することを目的にして、鋳型内溶鋼の運動エネルギーを低減する手段として、鋳型内の溶鋼に磁場(「磁界」ともいう)を印加し、印加した磁場と移動する溶鋼とで誘導電流を生じさせ、この誘導電流と印加した磁場とが作用して溶鋼に生じる電磁気力を利用し、鋳型内における溶鋼の運動エネルギーを制御する方法が、広く採用されている。
例えば、特許文献1には、鋳型の長辺方向に沿って水平に移動する磁場(リニア型移動磁場)を、鋳型短辺側から浸漬ノズル側に向かう方向、つまり浸漬ノズルからの溶鋼の吐出方向と反対方向に移動させ、浸漬ノズルからの吐出流に制動力を与えながらスラブ鋳片を連続鋳造する方法が提案されている。また、特許文献2には、鋳型内の溶鋼湯面に一方向に循環する溶鋼流を形成するように、リニア型移動磁場を印加する方法が提案されている。
特開平9−192801号公報 特開平6−606号公報
ところで、鋳型内の溶鋼湯面は、鋳型幅つまり鋳片幅によって定まる固有の周波数、例えば鋳型幅を1/2波長とする或いは1波長とするなどの固有の周波数で湯面変動する場合がある。この湯面変動は「定在波」と称されている。定在波が発生すると共振した状態になることから、鋳型内の湯面変動は極端に大きくなり、従って、モールドパウダーの巻き込みなどの品質面のみならず、操業の安定性の面からも定在波を抑制することが必要不可欠となる。
この定在波は、鋳型内溶鋼にリニア型移動磁場を印加した場合、印加する移動磁場の周波数によっては、その発生が助長されることを本発明者等は見出した。つまり、印加するリニア型移動磁場の周波数が定在波の周波数と同一或いはその近傍であるときには、リニア型移動磁場を印加することで、定在波の発生が助長されることを知見した。そして、鋳造速度を高速化するほど、定在波の発生が助長されることも知見した。
しかしながら、前述した特許文献1及び特許文献2に開示されるように、従来、印加する移動磁場の周波数と、鋳片幅によって定まる定在波の周波数とを関連させ、移動磁場印加による定在波の助長を防止するべく、印加する移動磁場の周波数を鋳片幅に応じて設定することは、何ら提案されていない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋳型内の溶鋼にリニア型移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御するに際し、鋳片幅によって定まる定在波の発生を抑えながら、移動磁場による溶鋼流動制御を行うことのできる、鋼の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア型移動磁場発生装置を用い、長辺及び短辺を有する矩形状鋳型の中央部に設置された浸漬ノズルから鋳型内に供給された溶鋼にリニア型移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御しながら鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、前記移動磁場の周波数を、下記の(1)式を満たす範囲内とすることを特徴とするものである。但し、(1)式において、fm はリニア型移動磁場の周波数(Hz)、gは重力加速度(m/秒2)、πは円周率(−)、Lは鋳型幅(m)である。
Figure 2007307577
第2の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1の発明において、前記リニア型移動磁場を印加して前記浸漬ノズルから吐出される溶鋼の吐出流を制動するまたは加速する際には、鋳型幅1/4の鋳型短辺寄りの位置における溶鋼湯面直下の溶鋼流速が、鋳型短辺から浸漬ノズルに向けた溶鋼流を正で表し、浸漬ノズルから鋳型短辺に向けた溶鋼流を負で表したときに、−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持されるように、リニア型移動磁場の磁場強度を調整することを特徴とするものである。
第3の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1の発明において、前記リニア型移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼を水平方向に旋回攪拌する際には、鋳型内の凝固シェルと溶鋼との界面における溶鋼流速が0.1m/秒以上に維持されるように、リニア型移動磁場の磁場強度を調整することを特徴とするものである。
第4の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記鋳型幅が1250mm以上であることを特徴とするものである。
本発明によれば、鋳型内溶鋼にリニア型移動磁場を印加して溶鋼を連続鋳造するに当たり、鋳片幅によって定まる定在波の周波数を回避した範囲の周波数を有する移動磁場を印加するので、定在波の発生を抑制しつつ移動磁場による鋳型内溶鋼流動の制御を行うことができる。その結果、定在波に起因する鋳型内湯面変動量を大幅に減少させることが可能となり、移動磁場印加による効果に加えて定在波に起因する鋳型内湯面変動の低減効果が重なり、脱酸生成物、Arガスなどの不活性ガスのガス気泡、及びモールドパウダーの巻き込みのない、清浄な鋳片を安定して鋳造することができ、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、連続鋳造機の鋳型内溶鋼湯面における定在波について説明する。一般に、水槽中の水面における固有振動の周波数は、例えばH.Lamb(“Hydrodynamics”.6thEd.,Dover,New York,(1932))によれば、下記の(2)式で表される。但し、(2)式において、f0は固有振動の周波数(Hz)、gは重力加速度(m/秒2 )、πは円周率(−)、λは固有振動の波長(m)、hは水槽の深さ(m)である。
Figure 2007307577
水槽中の水面における固有振動では、水面の水槽内壁に接する位置は必ず振動の自由端となるので、採り得る波長(λ)は、鋳型幅をL(m)とすれば下記の(3)式で表される。但し、(3)式においてnはモード次数(−)である。
Figure 2007307577
更に、鋳型の場合、水槽の深さ(h)が鋳型幅(L)に置き換えられる(H≒L)とすると、上記の(2)式は下記の(4)式に書き直される。つまり、鋳型内の溶鋼湯面における定在波の周波数(f0 )は(4)式で表される。
Figure 2007307577
図1に、連続鋳造機の鋳型内溶鋼湯面における定在波の波形を模式的に示す。図1中に破線で示す波形が定在波であり、また図中に示すnはモード次数である。図1からも明らかなように、モード次数(n)=1の場合の定在波の波長(λ)が鋳型幅(L)の2倍となる。
次に、鋳型内溶鋼にリニア型の移動磁場を印加する方法を説明する。図2及び図3は、本発明が適用される、リニア型移動磁場発生装置を備えたスラブ連続鋳造機の鋳型部の概略図であり、図2は概略斜視図、図3は概略正面図である。
図2〜図3において、相対する鋳型長辺4と、この鋳型長辺4の内側に内装された、相対する鋳型短辺5とから、水平断面が矩形状の鋳型1が構成されており、鋳型長辺4と鋳型短辺5とに囲まれて形成される鋳型1の内面空間の所定位置には、鋳型1の上方所定位置に配置されるタンディッシュ(図示せず)の底部に取り付けられた浸漬ノズル2が挿入されている。浸漬ノズル2の下部には、溶鋼7を鋳型短辺5の方向に向かって吐出するための一対の吐出孔6が備えられている。浸漬ノズル2には、浸漬ノズル内壁面へのアルミナ付着を防止するために、Arガスや窒素ガスなどの不活性ガスが吹き込まれる。
鋳型長辺4の背面には、浸漬ノズル2を境として鋳型長辺4の幅方向左右で2つに分割された合計4基のリニア型の移動磁場発生装置3が、その鋳造方向の中心位置を吐出孔6の直下位置として、鋳型長辺4を挟んで対向して配置されている。それぞれの移動磁場発生装置3は電源(図示せず)と結線され、また、電源は、磁場の移動方向、周波数(fm )及び磁場強度を制御する制御装置(図示せず)と接続されており、制御装置から入力される磁場移動方向、周波数(fm)及び磁場強度に基づいて電源から供給される電力により、移動磁場発生装置3から印加される磁場強度、周波数(fm )及び磁場移動方向がそれぞれ個別に制御されるようになっている。
この移動磁場発生装置3により印加される磁場はリニア型の移動磁場であり、鋳造速度が速くて鋳型内の溶鋼流動を抑制したい場合には、浸漬ノズル2からの溶鋼7の吐出流8に制動力を与えるべく、移動磁場の移動方向を鋳型短辺5の側から浸漬ノズル2の側とする。一方、鋳造速度が遅くて鋳型内の溶鋼流動を促進したい場合には、浸漬ノズル2からの吐出流8に加速力を与えるべく、移動磁場の移動方向を浸漬ノズル2の側から鋳型短辺5の側とする。また、凝固シェル10と溶鋼7との界面の溶鋼流速を増速させて、気泡や介在物の凝固シェル10への捕捉を抑制したい場合には、鋳型長辺4の同一背面側の移動磁場発生装置3の移動磁場の移動方向を同一方向とし、且つ、鋳型長辺4を挟んで対向する移動磁場発生装置3の移動磁場の移動方向を逆方向として、鋳型内の溶鋼7が水平方向に旋回するように印加する。本発明では、これらの3種類の印加方法でリニア型の移動磁場を印加する。図2では、磁場が鋳型短辺5から鋳型1の中央部の浸漬ノズル2に向かって移動する状態を示しており、図2において、FX は溶鋼7の吐出流8に作用する電磁力を表し、VX は移動磁場の移動速度を表し、BYは移動磁場の磁束密度を表している。
移動磁場発生装置3には、図2に示すように複数の電磁コイル(但し図3では図示せず)が幅方向に並んで設置されており、隣り合う電磁コイルに流す電流の位相をずらすことにより、リニア型の移動磁場を発生させている。その磁場の移動速度(VX )は、電磁コイルのポールピッチ(τ)と周波数(fm)とから、下記の(5)式によって表される。電磁コイルのポールピッチ(τ)とは、S極からN極までの距離である。
Figure 2007307577
ローレンツの法則により、発生する誘導電流(JZ )は下記の(6)で表される。但し、(6)式において、σは溶鋼の電気伝導度、VX は移動磁場の移動速度、BYは移動磁場の磁束密度である。
Figure 2007307577
電磁力(FX )は下記の(7)式で表され、主に磁場の移動方向と同じ向きに電磁力(FX )が作用する。
Figure 2007307577
前述したように、鋳造速度が速く、鋳型1における溶鋼流動を抑制したい場合には、磁場を両方の鋳型短辺5から浸漬ノズル2の方向に移動させ、電磁力(FX )によって浸漬ノズル2から吐出される溶鋼7の吐出流8を減速させる。逆に、鋳造速度が遅く、鋳型1における溶鋼流動を促進させたい場合には、磁場を浸漬ノズル2から鋳型短辺5の方向に移動させ、電磁力(FX)によって浸漬ノズル2から吐出される溶鋼7の吐出流8を加速させる。鋳型内の溶鋼を水平方向に旋回させる場合には、鋳型長辺4の内壁面に、対向する鋳型長辺4の内壁面の電磁力(FX)とは逆方向の電磁力(FX )を形成し、溶鋼を旋回攪拌する。つまり、リニア型の移動磁場を印加する場合、何れの場合も、(7)式に示すように、移動磁場の周波数(fm)の周期で鋳型内の溶鋼7に電磁力(FX )が作用することになる。
本発明者等は、このようにして構成される連続鋳造機において、リニア型移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御するに当たり、鋳型内の溶鋼湯面9における定在波を抑制するべく検討した。その結果、印加するリニア型移動磁場の周波数(fm )が定在波の周波数(f0 )と同一或いはその近傍であるときには、リニア型移動磁場を印加することで定在波の発生が助長されることを知見した。そして、鋳造速度を高速化するほど、定在波の発生が助長されることも知見した。逆に、リニア型移動磁場の周波数(fm)が定在波の周波数(f0 )と離れていれば、定在波は助長されないことを知見した。
図4は、水モデル実験及び実機の連続鋳造機において発生した定在波の周波数(f0 )とそのときの鋳型幅(L)との関係を示す図である。尚、図4に示す曲線は、モード次数(n)を1、2、3、4として算出した鋳型幅(L)と定在波の周波数(f0)との関係を表す曲線である。図4に示すように、定在波として明確に確認されるのは、モード次数(n)がn=1,2の場合である。
つまり、リニア型移動磁場を印加する際に、リニア型移動磁場の周波数(fm )を、モード次数(n)が1及び2の場合の定在波の周波数(f0)から回避すればよいことが分かる。また、図4に示すように、定在波は、鋳型幅(L)つまり鋳片幅が1250mm以上の広幅の場合に発生しやすく、特に、鋳片幅が1250mm以上のスラブ鋳片を鋳造する際に、リニア型移動磁場の周波数に留意すればよいことが分かる。
鋳型幅(L)が1250mm以上になると、図4に示すように、モード次数(n)が1の場合の定在波の周波数(f0 )は1Hz未満となり、従って、移動磁場の周波数(fm)を定在波の周波数(f0 )よりも小さい側で回避しようとすると、移動磁場の周波数(fm )は0.5Hz程度よりも更に低い、極めて低い周波数となってしまう。移動磁場による電磁力(FX)は移動磁場の周波数(fm )の周期で溶鋼7に作用することから、周波数(fm )が低くなり過ぎると、浸漬ノズル2の吐出孔6から鋳型短辺5に到るまでの期間に移動磁場が印加されないままの吐出流8が発生することになる。この場合には、電磁力(FX)が間歇的に作用することになり、鋳型内溶鋼の流動制御が極めて困難となる。従って、吐出流8が吐出孔6から鋳型短辺5に至るまでの期間に少なくとも1周期以上の移動磁場による電磁力(FX)を吐出流8に作用させる必要がある。
そこで、本発明では、移動磁場の周波数(fm )を、定在波の周波数(f0 )よりも大きい側とすることによって、定在波の周波数(f0 )を回避するようにした。また、移動磁場の周波数(fm)を前述した(4)式により算出される周波数(f0 )の近傍とした場合には、定在波の防止は完全ではなく、従って、定在波を確実に防止するために、(4)式により算出される周波数(f0)に1Hzを加えた周波数(f0 +1)よりも高い周波数を、移動磁場の周波数(fm )とすることとした。
これらの観点にそって移動磁場の周波数(fm )を設定すると、移動磁場の周波数(fm )は、前述した(4)式にn=2を代入して算出される周波数(f0)に1Hzを加えた値よりも大きくすること、つまり下記の(1)式の範囲にする必要があることが分かる。即ち、移動磁場発生装置3から印加するリニア型移動磁場の周波数(fm)を下記の(1)式の範囲内にすることで、定在波の発生を抑制しつつ移動磁場による鋳型内溶鋼流動の制御を行うことができる。
Figure 2007307577
この場合に、リニア型の移動磁場を印加して吐出流8を制動する或いは加速する際には、印加する移動磁場の強度の目安として、溶鋼湯面9の直下の溶鋼流速を、鋳型短辺5から浸漬ノズル2に向けた溶鋼流を正で表し、浸漬ノズル2から鋳型短辺5に向けた溶鋼流を負で表したときに、鋳型幅1/4の鋳型短辺寄りの位置における溶鋼湯面直下の溶鋼流速が−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持されるように、移動磁場の強度を調整することが好ましい。溶鋼湯面直下の溶鋼流速をこのように制御することで、溶鋼湯面9の上に添加したモールドパウダー11の巻き込みが防止されると同時に、鋳型内の湯面変動が防止され、モールドパウダー11の巻き込みのない清浄な鋳片を製造することができる。
また、リニア型の移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼7を水平方向に旋回攪拌する場合には、凝固シェル10と溶鋼7との界面の溶鋼流速が0.1m/秒以上となるように、移動磁場の強度を調整することが好ましい。凝固シェル10と溶鋼7との界面の溶鋼流速を0.1m/秒以上とすることで、凝固シェル10へのガス気泡及び介在物の捕捉が抑制され、ガス気泡及び介在物の少ない清浄な鋳片を鋳造することができる。
このように、本発明によれば、印加するリニア型移動磁場の周波数(fm )を、鋳型幅(L)に応じて(1)式を満足する範囲内とするので、定在波の発生を抑制しつつ移動磁場による鋳型内溶鋼流動の制御を行うことができる。その結果、定在波に起因する鋳型内湯面変動量を大幅に減少させることが可能となり、移動磁場印加による効果に加えて定在波に起因する鋳型内湯面変動の低減効果が重なり、脱酸生成物、Arガスなどの不活性ガスのガス気泡、及びモールドパウダーの巻き込みのない、清浄な鋳片を鋳造することができる。
本発明の効果を確認するために、図2に示すスラブ連続鋳造機を用いてアルミキルド鋼の鋳造試験を実施した。試験では、鋳片のサイズを、厚みが220mm、幅が1800mmとし、定常鋳造時の溶鋼の鋳造量を約5.7トン/分として鋳造した。用いた浸漬ノズルは、ノズル孔の底部が凹状形状である所謂「プール付き」の2孔ノズルで、吐出角度が下向き25度、ノズル内径が90mmの浸漬ノズルである。この浸漬ノズルにアルミナ付着防止のために9NL/分のArガスを吹き込んで鋳造した。移動磁場発生装置は、3相交流のリニア型移動磁場発生装置であり、電磁コイルのポールピッチ(τ)は0.72mであり、電磁コイルの中心位置が溶鋼湯面から380mm離れた位置になるように設置した。
試験は、磁場の移動方向を鋳型短辺から浸漬ノズルに向かう方向とし、印加する移動磁場の周波数(fm )を1Hz及び2Hzの2水準で実施し、鋳型の1/4幅位置における表面流速がゼロ近傍(絶対値で0.05m/秒以下)になるように磁場強度を調整した。
この場合、鋳型の1/4幅位置における表面流速を測定する方法として、図5に示す方法を用いた。即ち、図5に示すように、鋳型短辺5から鋳型幅の1/4だけ離れた位置に、長さ410mm、直径20mmのモリブデン−ジルコニア系サーメット製の浸漬棒12を、その下端部が鋳型内の溶鋼中に浸漬され、その上端部付近が支点となって鋳型の幅方向に回転可能となるように取り付けた。浸漬棒12の溶鋼中における浸漬深さは約100mmとした。このようにして鋳型内の溶鋼7に浸漬棒12を浸漬すると、浸漬棒12の浸漬部分は、溶鋼湯面9の直下の溶鋼流により、その上端部付近の支点を中心として回転し、浸漬棒12に働く重力と溶鋼湯面直下の溶鋼流による力が釣合った位置で停止する。停止した位置における鉛直線となす角度(θ)から表面流速を求めることができる。本実施例では表面流速がゼロ近傍になるように調整するので、浸漬棒12がほぼ鉛直になるように磁場強度を調整した。尚、図5に示す連続鋳造機では浸漬棒以外の構成は図3に示す連続鋳造機と同一構造となっており、同一の部分は同一符号により示し、その説明は省略する。
移動磁場の周波数(fm )を1Hzとして鋳造した場合には、20mm程度の溶鋼湯面の変動があり、この湯面変動を周波数解析した結果、周波数1.01に大きなピークが観察された。一方、移動磁場の周波数(fm)を2Hzとして鋳造した場合には、湯面変動は5mm程度であり、周波数解析を行っても特別なピークは観察されなかった。
前述した(4)式を用いてこの鋳造条件におけるモード次数(n)が2の場合の定在波の周波数(f0 )を求めると、周波数(f0 )は0.93となる。これらから、移動磁場の周波数(fm)が、モード次数(n)が2の場合の定在波の周波数(f0 )と近接した場合には定在波による湯面変動が発生し、一方、移動磁場の周波数(fm)を前述した(1)式を満足する範囲とすることで、定在波に起因する湯面変動の発生しないことが確認できた。
鋳型内溶鋼湯面における定在波の波形を模式的に示す図である。 本発明が適用される、リニア型移動磁場発生装置を備えたスラブ連続鋳造機の鋳型部の概略斜視図である。 本発明が適用される、リニア型移動磁場発生装置を備えたスラブ連続鋳造機の鋳型部の概略正面図である。 水モデル実験及び実機連続鋳造機において発生した定在波の周波数とそのときの鋳型幅との関係を示す図である。 鋳型の1/4幅位置における表面流速を測定する方法を示す概略図である。
符号の説明
1 鋳型
2 浸漬ノズル
3 移動磁場発生装置
4 鋳型長辺
5 鋳型短辺
6 吐出孔
7 溶鋼
8 吐出流
9 溶鋼湯面
10 凝固シェル
11 モールドパウダー
12 浸漬棒

Claims (4)

  1. 磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア型移動磁場発生装置を用い、長辺及び短辺を有する矩形状鋳型の中央部に設置された浸漬ノズルから鋳型内に供給された溶鋼にリニア型移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御しながら鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、前記移動磁場の周波数を、下記の(1)式を満たす範囲内とすることを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
    Figure 2007307577
    但し、(1)式において、fm はリニア型移動磁場の周波数(Hz)、gは重力加速度(m/秒2 )、πは円周率(−)、Lは鋳型幅(m)である。
  2. 前記リニア型移動磁場を印加して前記浸漬ノズルから吐出される溶鋼の吐出流を制動するまたは加速する際には、鋳型幅1/4の鋳型短辺寄りの位置における溶鋼湯面直下の溶鋼流速が、鋳型短辺から浸漬ノズルに向けた溶鋼流を正で表し、浸漬ノズルから鋳型短辺に向けた溶鋼流を負で表したときに、−0.07m/秒から0.05m/秒の範囲内に維持されるように、リニア型移動磁場の磁場強度を調整することを特徴とする、請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. 前記リニア型移動磁場を印加して鋳型内の溶鋼を水平方向に旋回攪拌する際には、鋳型内の凝固シェルと溶鋼との界面における溶鋼流速が0.1m/秒以上に維持されるように、リニア型移動磁場の磁場強度を調整することを特徴とする、請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
  4. 前記鋳型幅が1250mm以上であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の鋼の連続鋳造方法。
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