JP2007307501A - 静電式集塵装置の放電線支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】フレームの膨張による放電線の弛みを防止して、常に良好な放電特性を維持することのできる静電式集塵装置の放電線支持構造を提供する。
【解決手段】本発明の静電式集塵装置の放電線支持構造は、放電線2を折り返すためのターン部21が放電電極用端子部材10によって構成され、この放電電極用端子部材10は放電線2を支持する支持部22と、下枠11に固定される固定部23と、放電線2に高電圧を供給するための給電部24とを備えた略L字形の部材であり、温度変化による下枠11の長手方向への伸縮に応じて支持部22が弾性変形するようにしたことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、空間に浮遊する塵埃を荷電(帯電)させて集塵する静電式集塵装置の放電線支持構造に関する。
近年、空気中の各種粉塵、塵埃又は煙草の煙を除去するために、粉塵、塵埃又は煙草の煙などの粒子をコロナ放電によって荷電し、荷電した粒子を電気的に集塵する静電式集塵装置が開発されている。このような静電式集塵装置には、壁掛けタイプのものや、カウンターあるいはテーブルに内蔵されたもの、さらには冷暖房装置などの空調装置に内蔵されたものがある。
特に、空調装置である家庭用ルームエアコンにおいては、近年、粉塵、塵埃又は煙草の煙を除去する機能を持つ製品が多く市場に投入されているが、ルームエアコンそのもののコンパクト化やデザイン的な外観及び空気流通の効率化などが求められているので形状の制約が多く、これに伴い内蔵される集塵装置(捕集装置)用の空間も横長であったり、断面が単純な方形でなかったりというように形状的な制約が多くなり、集塵装置は複雑な形状になることが多い。
こうした静電式集塵装置を構成するフレームは、複雑な形状を容易に形成する必要があるため、熱可塑性樹脂の射出成形等で形成されている(特許文献1〜3参照)。
また、静電式集塵装置は、コロナ放電により粒子を荷電する荷電部と、荷電部で荷電粒子となった塵埃を集塵する集塵部とから構成されている。このうち荷電部は、放電電極となる放電線(イオン化線)と、この放電線に平行に配置された平板状の対向電極とを具備し、放電線と対向電極との間に高電圧を印加してコロナ放電により粒子を荷電している。
上記荷電部を構成する放電線は、1本の放電線を順次折り返して一筆書き状に張設(架設)されており、放電線を折り返すターン部には放電線を支持する支持構造が設けられている。このような放電線支持構造の従来例として、例えば一本の放電線を順次折り返し、接地電極板の端部に接近する部分に滑車を設け、さらに放電線の一端または両端をスプリングを介して懸架するように構成されたものが提案されている(特許文献3)。また、1本の放電線を円弧状に突出した放電線受けに蛇行状に張架した集塵装置が提案されている(特許文献4参照)。
さらに、放電線に張力を与えて保持するようにした放電線支持構造の従来例として、ばね部材のばね力により細線電極を緊張状態に保持するようにした電気集塵機(特許文献5参照)や、平行に配設された放電線の端部に導電性弾性体を介在させて緊張支持するようにしたものが提案されている(特許文献6参照)。
特開2005−205405号公報 特開平11−207208号公報 実開平03−026354号公報 実公昭52−055166号公報 特開昭57−187050号公報 特開昭61−234960号公報
上述した従来の静電式集塵装置では、静電式集塵装置を構成するフレームが主に熱可塑性樹脂で形成されている。このため、熱可塑性樹脂と放電線の線膨張係数が異なることが原因となり(熱可塑性樹脂>放電線)、環境温度の上昇に伴って熱可塑性樹脂で形成されたフレームが膨張するのに対して放電線がターン部を押さえ込むように作用し、放電線を支持するターン部が内側(放電線張設方向の内側)へおじぎし合うように変形してしまうという不具合が発生していた。
ここで、フレーム(下枠)の伸縮によるターン部の変形を図8(a)〜(c)に基づいて説明する。
図8(a)は、放電線200を図示のように張設した場合の模式図で初期状態、すなわち常温(使用環境温度)におけるターン部の状態を示している。ここでは、ターン部2100同士間の基準寸法をL100として設定している。
この状態で温度が上昇して、図8(b)に示すようにフレーム1100に矢印A方向のm0分の伸びが生じると、放電線200はほとんど伸びが発生しないので、ターン部2100が放電線200に引っ張られて放電線の張設方向(紙面の中心方向、すなわち内側)に角度θ0だけ傾斜する。このとき、放電線200は張力が維持される。
その後、温度が低下して常温に戻り、図8(c)に示すようにフレーム1100が矢印B方向にm0分だけ縮んで元の長さになっても、一度塑性変形してしまったターン部2100は温度が初期状態に戻ったとしても当初の形状に戻ることはなくターン部2100は傾斜したままになるため、放電線200は張設されたままの状態を保つことができなくなり、ターン部2100同士の寸法(間隔)L200はL100より短くなってしまうので(L100>L200)、放電線200の張力が低下して弛んでしまう。
ちなみに、特許文献4に開示されている集塵装置についても、フレームを熱可塑性樹脂で形成した場合には同様の不具合が発生することになる。また、放電線は一見すると縫い糸のように容易に変形するように思えるが、実際は硬い金属であり一度順次折り返しながら架設すると、その形態に塑性変形してしまい、糸のように曲がり部が容易に変化するような動きをしなくなってしまう。したがって、特許文献3に開示されているような放電線の両端にスプリングを設け、設置電極板の端部に滑車を設けても滑車の機能を全く利用することができず、それどころか温度によるフレームの伸縮により滑車の固定部が傾いてしまうため、不具合の対策にはならない。
したがって、従来の静電式集塵装置では、倉庫に保管した後や一定期間使用した後に放電線の折り返し部で張力にばらつきが生じることになる。そして、放電線が弛んでしまうと、荷電効率が低下したり、放電線に振動が発生し易くなって異常放電(スパーク)が発生したりする課題が生じていた。
本発明の目的は、フレームの伸縮による放電線の弛みを防止して、常に良好な放電特性を維持することのできる静電式集塵装置の放電線支持構造を提供することにある。
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の静電式集塵装置の放電線支持構造では、放電電極となる放電線を、熱可塑性樹脂フレームに設けた少なくとも一つのターン部で折り返し、前記放電線の一端又は両端を張力付与部によって張設し、前記ターン部は、前記放電線を支持する支持部と、前記熱可塑性樹脂フレームに固定される固定部とを備えた略L字形部材によって構成され、前記熱可塑性樹脂フレームの放電線張設方向への伸縮に応じて前記支持部が弾性変形することを特徴とする。
請求項2に記載の静電式集塵装置の放電線支持構造は、請求項1において、前記ターン部の内側に、前記放電線の移動を規制するための位置決め部を設けたことを特徴とする。
請求項1に記載の静電式集塵装置の放電線支持構造によれば、ターン部で放電線を支持する支持部が、熱可塑性樹脂フレームの放電線張設方向への伸縮に応じて弾性変形するので、熱可塑性樹脂フレームが放電線張設方向に膨張しても支持部のみが変形して熱可塑性樹脂フレームの伸びを吸収することができる。また、熱可塑性樹脂フレームが元の長さに収縮しても、変形した支持部が元の形状に戻って熱可塑性樹脂フレームの縮みを吸収することができる。したがって、熱可塑性樹脂フレームが環境温度の変化によって伸縮しても放電線には常に同一の張力が付与され、熱可塑性樹脂フレームの伸縮による放電線の弛みを防止することができ、これによって常に良好な放電特性を維持することが可能となる。
請求項2に記載の静電式集塵装置の放電線支持構造によれば、ターン部の内側に、放電線の移動を規制するための位置決め部を設けたので、熱可塑性樹脂フレームが放電線張設方向に膨張して支持部が内側へ変形した場合でも、位置決め部によって放電線が空気の流れ方向へずれることを規制することができ、放電線のずれによる放電特性の悪化を防止することができる。
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る静電式集塵装置の構造を示す分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の静電式集塵装置1は、放電電極となる放電線(イオン化線)2と、放電線2からコロナ放電を発生させるための対向電極3と、荷電粒子となった塵埃を集塵する集塵電極4と、対向電極3と集塵電極4を一体に成形した対向兼集塵電極体5A、5Bと、集塵電極4と電位差を設けた非集塵電極6と、非集塵電極6を成形した非集塵電極体7A、7Bと、非集塵電極体7A、7Bに高電圧を印加するための非集塵電極用端子部材8と、対向兼集塵電極体5A、5Bに高電圧を印加するための対向兼集塵電極用端子部材9と、放電線2に電圧を印加するための放電電極用端子部材10と、各電極体や端子部材が組み付けられる下枠11と、下枠11に嵌め込んで被せることによって静電式集塵装置1を構成する上枠12とを備えている。
本実施形態の静電式集塵装置1は、家庭用ルームエアコンなどの空調機器や分煙機に組み込んで塵埃を集塵するものであり、荷電部と集塵部の二段構成となっている。このうち荷電部では放電線2と対向電極3との間に発生させたコロナ放電により塵埃をプラス電位に荷電させ、集塵部では集塵電極4が接地電位、非集塵電極6がプラス電位となっている。そして、荷電部でプラス電位に荷電した塵埃を、非集塵電極6と集塵電極4との間の電位差を利用して集塵電極4に電気的に吸着させることで集塵している。
放電線2は、1本の放電線を一筆書き状に折り返して張設(架設)されており、その一端は放電電極用端子部材10によって支持されている。一方、放電線2のもう一方の端はスプリング(張力付与部)13によって張力が付与されて張架されている。この放電線2は金属製の細線であり、例えばタングステン線のほか、抗張力に富む線材の表面に白金、ロジウム、パラジウム又はこれらの合金からなる被覆したメッキ線やクラッド線、又は同等の特性、機能を有する部材を用いることができる。
対向電極3は、放電線2の両側に互いに平行に配置された平板状の一対の電極であり、放電線2と対向電極3との間に高電圧を印加してコロナ放電を生成し、放電線2と対向電極3との間を通過する塵埃を荷電粒子としている。
集塵電極4は、対向電極3の背面に配置された平板状の電極で、対向電極3の間を通過して荷電粒子となった塵埃を、非集塵電極6との間の電位差によって捕集する。
非集塵電極6は、集塵電極4と平行に配置される平板状の電極で、高電圧が印加されている。この非集塵電極6は半絶縁性樹脂によって形成されており、荷電粒子中に導電性粉塵等が混在している場合でも、電荷の移動を抵抗で制限することによってスパークの発生を防止している。
これらの、対向電極3、集塵電極4、非集塵電極6は前述した複雑な形状に合う形状を容易に形成しやくすくするために樹脂、特に熱可塑性樹脂を基材とした材料で形成することが望ましい。
非集塵電極6は、その要求される性能から単なる絶縁性樹脂や絶縁性樹脂に導電性材料を混ぜた導電性材料では集塵効率が低かったり、スパーク発生を招くので、以下のような半絶縁性樹脂材料を使用するのが好ましい。
半絶縁性樹脂としては、体積抵抗率(体積固有抵抗値)が使用環境の温湿度において1010〜1013Ωcmである半絶縁性樹脂のうちのABS樹脂を基材として吸水樹脂を配合してなる樹脂又はフェノール樹脂を基材とした吸湿性樹脂のほか、同等の特性、機能を有する樹脂を用いることができる。半導電性樹脂を用いることで、電極に高電圧を印加しつつ、電極上で電界が局在するのを防ぎ、且つ電極に過剰な電流が流れるのを防止することができ、電極上での瞬時の電荷の移動を制限し、火花放電の発生が抑えられるので、電極間での火花放電を防止し、高い捕集性能を得ることができる。さらに、電極組立加工時の工数や電極の信頼性を考慮すると、上述のような体積抵抗率をもつ半絶縁性樹脂を用いて射出成型などで一体成形して電極を形成することが好ましい。
対向電極3、集塵電極4は、その要求される性能から全体が安定して導電性を示す、以下のような導電性樹脂材料を使用することが好ましい。
導電性樹脂としては、体積抵抗率が使用環境の温湿度において107Ωcmのオーダー以下となるように、ポリオレフィン又はポリエステル樹脂に導電性カーボンブラックを配合した導電性樹脂で、前記導電性カーボンブラックが、窒素比表面積が500m2 /g以上であり、DBP吸油量が200cm3 /100g以上である導電性樹脂のほか、同等の特性、機能を有する樹脂を用いることができる。
上記導電性樹脂を用いることで、導電性カーボンブラックが偏在することなく均一に分散されて導電性を示すので、環境状態に左右されることなく安定して、均一な放電が実現でき、これを対向電極とした静電式集塵装置では、集塵効率を向上させることができる。また、このように製造された樹脂電極は、静電式集塵装置のアイオナイザ部の対向電極や、アイオナイザ部の対向電極とコレクタ部の集塵電極とに共通の電位を与えるアイオナイザーコレクタ一体型の電極などに適用することができる。
以上のような材料で構成した対向電極3、集塵電極4、非集塵電極6は、複雑な形状も容易に形成することができ、且つ、高い集塵性能を達成することができる。また、同時に対向電極3、集塵電極4、非集塵電極6を収納するフレームも熱可塑性樹脂などで構成すると、前述のような理由で静電式集塵装置が形状的な制約や多く複雑な形状となっても、高い集塵性能をコンパクト且つ必要な形状であることも兼ね備えつつ達成することができる。
下枠11は、熱可塑性樹脂で形成されたフレームであり、放電線2を張架(架設)するとともに、対向兼集塵電極体5A、5Bや非集塵電極体7A、7B、端子部材8、9、10を嵌め込むことによって固定できるような形状に成形されている。さらに、集塵電極4と非集塵電極6の間を通過してきた空気を後方へ通過させるための後面開口部14を備えている。
上枠12は、下枠11と同様に熱可塑性樹脂で形成されたフレームであり、下枠11に組み付けられた対向兼集塵電極体5A、5Bや非集塵電極体7A、7Bを覆うような形状に成形されている。そして、上枠12の略全面には、外部からの空気を取り込むための格子状に仕切られた前面開口部15が設けられている。
次に、放電線2を折り返すターン部の構造を図2に基づいて説明する。図2(a)はターン部の構造を示す斜視図、図2(b)はターン部における配置を説明するための平面図である。ただし、放電電極用端子部材10の形状は簡略化して描いている(以降に説明する図も同じ)。
図2(a)に示すように、ターン部21は、放電線2に同一の張力を付与する放電電極用端子部材10と、放電線2の移動を規制する位置決め部25とを備えている。
放電電極用端子部材10は、放電線2を支持する支持部22と、下枠11に固定される固定部23と、放電線2に高電圧を供給するための給電部24とを備え、略L字形に形成された電極部材である。この放電電極用端子部材10において、上側先端に形成された支持部22は、環境温度の変化によって下枠11が放電線張架方向へ伸縮した場合に、その伸縮に応じて弾性変形するように設計されている。
また位置決め部25は、ターン部21の内側(放電線張設方向の内方)に設けられており、その上側両側面には、張設(架設)された放電線2と係合して、放電線2の図中z方向への移動を規制する溝25aが形成されている。また、図2(b)に示すように、支持部22と位置決め部25との間には隙間d1が設けられ、これによって支持部22が放電線2により図中x方向に引っ張られた場合でも弾性変形することが可能になっている。なお、位置決め部25は下枠11と同じ材質の熱可塑性樹脂で形成されている。
次に、下枠11に放電線2、対向兼集塵電極体5A、5B、非集塵電極体7A、7Bを設置した場合の構造を図3に示す。図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)におけるA−A’線の断面図である。
図3(a)に示すように、放電線2の一端は固定端31で固定されており、同じ側に設けられた位置決め部32を通過して、反対側の位置決め部25を通って支持部22で折り返されている。さらに、折り返された放電線2は、位置決め部25を通過し、位置決め部32、支持端33を経てスプリング34により固定されている。
これにより、放電線2は一対の対向電極3の間の中心を通るように張設(張架)され、且つスプリング34と支持部22によって張力が付与されているので、放電線2は弛むことなく張設(張架)されている。
また、図3(b)に示すように、環境温度の上昇によって下枠11が膨張して伸びmが生じた場合には、ターン部21の支持部22が図中x方向に傾斜することによって伸びmを吸収している。
ここで、下枠11の伸縮による支持部22の変化を図4(a)〜(c)に基づいて説明する。
図4(a)は、初期状態すなわち常温(使用環境温度)における支持部22の状態を示している。なお図4(a)において、L1は初期状態におけるターン部22同士の寸法(間隔)を示している(反対側ターン部の図示を省略)。この状態で温度が上昇して、図4(b)に示すように下枠11に矢印A方向にm1分の伸びが生じると、下枠11に固定されている放電電極用端子部材10も合わせて移動するが、支持部22が放電線2に引っ張られて角度θ1だけ傾斜するため、放電線2が支持部22に接触している位置は変わることがなく、下枠11のm1分の伸びを吸収することができ、放電線2は支持部22の弾性力により張力が維持される。
その後、温度が低下して常温に戻り、図4(c)に示すように下枠11が矢印B方向にm1分だけ縮んで元の長さになると、下枠11に固定されている放電電極用端子部材10も合わせて元の長さになり、支持部22は元の状態に戻るため、放電線2は張設(張架)されたままの状態を保つことになり弛むことはない。なお図4(c)において、L2は温度低下状態におけるターン部22同士の寸法(間隔)を示している。ここではL1=L2、すなわち放電線2の張力は同等となる。
このように、本実施形態の支持構造によれば、温度変化によりフレームとなる下枠11が伸縮しても放電線2を張設(張架)した状態を保つことができるため、放電線2の弛みで荷電効率が低下したり、放電線2に振動が生じて異常放電(スパーク)が発生したりする不具合を防ぐことができる。
次に、放電電極用端子部材10を構成する支持部22の設計方法について説明する。
まず、熱可塑性樹脂で形成された下枠11が温度変化によって膨張する寸法を算出する。図5に示すように、放電線2を折り返す支持部22間の距離をL(mm)とし、熱可塑性樹脂の線膨張係数をα(mm/mm/℃)、温度変化をΔt(℃)とすると、下枠11の膨張する寸法ΔL(mm)は、
ΔL=α・L・Δt (1)
によって算出することができる。
次に、支持部22の寸法を決定する。まず、図6に示すように、支持部22(形状を簡略化)の幅をb、厚さをh、放電線2が掛けられる位置の高さをlとした場合に、放電線2の張力をP(N)、縦弾性係数をE(N/mm2 )、断面2次モーメントをI(mm)とすると、支持部22のたわみδは
δ=Pl3 /3EI (2)
によって表すことができ、
P=(3EI/l3 )・δ (3)
と書き換えることができる。ここで、
k=3EI/l3 (4)
とおくと
P=k・δ (5)
となる。そして、常温における初期荷重P0のときのたわみをδ0とし、このたわみδ0は図7に示すように式(1)で算出した下枠11の膨張、収縮があっても放電線2の張力を維持できるように設定する。
この初期荷重P0とたわみδ0を式(3)に適用すると
P0=(3EI/l3 )・δ0 (6)
となり、書き換えると
I=P0l3 /3Eδ0 (7)
となる。一方、断面2次モーメントIは
I=bh3 /12 (8)
と表すことができるので、式(7)と式(8)より
bh3 /12=P0l3/3Eδ0 (9)
となり、この式(9)に基づいて支持部22の寸法を決定することができる。
次に、一例として式(9)に基づいて支持部22の寸法を実際の数値を使って算出した例について説明する。ここでは、枠11を構成する熱可塑性樹脂の腺膨張係数αをα=9×10-5(mm/mm/℃)とし、ターン部21の間の距離LをL=300mmとする。また、倉庫保管時の温度環境が20℃から60℃へ上昇して下枠11が膨張・収縮しても放電線2の張力を維持できるように支持部22の設計を行うものとする。
まず、式(1)に基づいて下枠11が膨張する寸法を計算すると、
ΔL=9×10-5×300×40(℃)≒1.0mm (10)
となる。次に、初期荷重P0を200g(1.96N)、たわみδ0を式(10)から±1.0mmと考えてδ0=2mmに設定し、縦弾性係数EはSUS304を使用してE=186×103 (N/mm2 )、支持部22の厚さhは市場の流通性を考えて、h=0.2mm、放電線2が掛けられる高さlは製品の許容スペースの関係からl=10mmに設定し、これらの数値を式(9)に入力すると、
b×0.23 /12=1.96×103 /(3×186×103 ×2)
となり、支持部22の幅bは
b≒2.64mm
と決定することができる。
このようにして支持部22を設計することにより、下枠11が温度変化によって膨張・収縮した場合でも支持部22の弾性変形によって、その変化を吸収することが可能となる。また、SUS304以外にも黄銅やSUS430などが使用可能であるが、市場での入手のし易さやバネ性及び耐食性などから、SUS304が最も好ましい。
このように本実施形態の静電式集塵装置の放電線支持構造では、放電線2を支持する支持部22が、熱可塑性樹脂フレームである下枠11の放電線張設方向への伸縮に応じて弾性変形するので、下枠11が放電線張設方向に膨張しても支持部22のみが変形して下枠11の伸びを吸収することができる。また、下枠11が元の長さに収縮したときには、変形した支持部22が元の形状に戻って下枠11の縮みを吸収することができる。したがって、下枠11が環境温度の変化によって伸縮しても放電線2には常に同一の張力が付与され、熱可塑性樹脂フレームの伸縮による放電線2の弛みを防止することができ、これによって常に良好な放電特性を維持することが可能となる。
すなわち、本実施形態によれば、放電線2と対向電極3との距離を均一に保つことができるので、放電バランスがくずれて部分放電が発生することがなく、このため荷電効率が低下せず、電集の性能ダウンを防ぐことができる。さらに、放電線2の振動が発生し難くなるため、異常放電(スパーク)も発生せず、安全性を高めることができる。
また、本実施形態の静電式集塵装置の放電線支持構造では、放電線2の移動を規制する位置決め部25を設けたので、下枠11が長手方向に膨張して支持部22が内側へ変形した場合でも、位置決め部25によって放電線2が空気の流れ方向へずれることが規制され、放電線2のずれによる放電特性の悪化を防止することができる。
さらに、本実施形態の静電式集塵装置の放電線支持構造によれば、ターン部21に放電線2へ高電圧を供給するための給電部24を設置したので、静電式集塵装置をエアコンや分煙機の本体に組み込むことにより、それら装置の電源電極部と係合させることができる。したがって、高電圧を供給するための部品を別途設けることなしにターン部21から放電線2へ高電圧を供給することができるため、部品点数を削減することが可能となる。
本発明の実施形態に係る静電式集塵装置の構造を示す分解斜視図。 本発明の実施形態に係る放電電極用端子部材の構造を示す図。(a)は斜視図。(b)は位置決め部周辺の拡大平面図。 本発明の実施形態に係る静電式集塵装置の構造を示す図。(a)は平面図。(b)は図3(a)のA−A’線における断面図。 熱可塑性樹脂フレームの伸縮による支持部の動きを説明するための図。 温度変化による樹脂製フレームの膨張寸法の算出方法を説明するための図。 支持部の寸法の算出方法を説明するための図。 常温の初期荷重によるたわみの値を説明するための図。 従来の熱可塑性樹脂フレームの伸縮による支持部の変形を説明するための図。
符号の説明
1 静電式集塵装置
2 放電線(イオン化線)
3 対向電極
4 集塵電極
5A、5B 対向兼集塵電極体
6 非集塵電極
7A、7B 非集塵電極体
8 非集塵電極用端子部材
9 対向兼集塵電極用端子部材
10 放電電極用端子部材
11 下枠
12 上枠
14 後面開口部
15 前面開口部
21 ターン部
22 支持部
23 固定部
24 給電部
25、32 位置決め部
25a 溝
31 固定端
33 支持端
34…スプリング

Claims (2)

  1. 放電電極となる放電線を、熱可塑性樹脂フレームに設けた少なくとも一つのターン部で折り返し、前記放電線の一端又は両端を張力付与部によって張設し、前記ターン部は、前記放電線を支持する支持部と、前記熱可塑性樹脂フレームに固定される固定部とを備えた略L字形部材によって構成され、前記熱可塑性樹脂フレームの長手方向への伸縮に応じて前記支持部が弾性変形することを特徴とする静電式集塵装置の放電線支持構造。
  2. 前記ターン部の内側に、前記放電線の移動を規制するための位置決め部を前記ターン部に離間して設けたことを特徴とする請求項1に記載の静電式集塵装置の放電線支持構造。
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