JP2007302871A - 樹脂組成物、該樹脂組成物から形成された熱収縮チューブおよび該熱収縮チューブで絶縁被覆された電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エチレン−環状オレフィン共重合体にカルボキシル基または酸無水物基を導入し、この樹脂100重量部に対し、無機フィラーが1〜100重量部の割合で配合された樹脂組成物、該樹脂組成物からなる被覆層を熱収縮チューブ、及び該熱収縮チューブで絶縁被覆された電池。
【選択図】 なし
Description
例えば、グラフト化は以下の方法でおこなうことができる。すなわち、エチレン−環状ポリオレフィン共重合体と、不飽和カルボン酸モノマーあるいは不飽和酸無水物モノマーと、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパ−オキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメサルシクロヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物とを、有機過酸化物の熱分解温度以上の温度で溶融混合してグラフト化する方法である。この場合、前記溶融混合は、押出機型混合機の中て行なうことが効率的であり好ましい。
50℃の恒温槽にチューブを3分間放置した後、チューブ内径を測定した。順次恒温槽中の温度を10℃ずつ上昇させチューブを3分放置し、その都度内径を測定した。下記の式により算出される収縮率が80%になる温度を測定し、収縮温度が120℃以下のものを良好と判定した。
収縮率(%)=100×{1−(R2−R0)/(R1−R0)}
R0:押出後のチューブ内径
R1:収縮前のチューブ内径
R2:加熱後のチューブ内径
室温(25℃前後)にてプロピレンカーボネート(和光純薬製)またはジエチルカーボネート(和光純薬製)に熱収縮チューブを一日浸漬した。その後、重量増加率を測定し、重量増加率10%未満を良好と判定した。
内径10mm、肉厚0.1mmのチューブの押出を押出線速10m/分と押出線速30m/分の2条件で実施し、押出チューブの外観を観察することで判定した。すなわち、10m/分のみ押出チューブの外観が平滑なものを薄肉押出性が中程度とし、30m/分においても押出チューブの外観が平滑であるものを薄肉成形性が良好とし、10m/分でも押出チューブの外観が平滑でないものは不良とした。
熱収縮チューブを所定の長さにカットし、150℃で10分間加熱し、加熱前後の長さを測定した。次いで、下記の式にて長手方向収縮率を算出した。
長手方向収縮率(%)=100×(L1−L2)/L1
L1:加熱前のチューブの長さ
L2:加熱後のチューブの長さ
熱収縮チューブを300℃の恒温槽で5分間放置した後、チューブ状の形状を保持しているものを良好とした。
<カルボキシル基を導入したエチレン−環状オレフィン共重合体1の製造>
環状オレフィンがノルボルネンタイプのエチレン−ノルボルネン共重合体A(APL6011T、商品名、三井化学製、ガラス転移温度105℃)100重量部に対し、アクリル酸を1重量部、ジクミルパーオキシド0.1重量部をバレル径30mmΦの二軸混合機(L/D=32)に投入し、バレル温度210℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混合する方法でアクリル酸のグラフトを行った。
<酸無水物基を導入したエチレン−環状オレフィン共重合体2の製造>
環状オレフィンがノルボルネンタイプのエチレン−ノルボルネン共重合体B(APL8008T、商品名、三井化学製、ガラス転移温度70℃)100重量部に対し、無水マレイン酸を1重量部、ジクミルパーオキシド0.1重量部をバレル径30mmΦの二軸混合機(L/D=32)に投入し、バレル温度210℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混合する方法で無水マレイン酸のグラフトを行った。
環状オレフィンがノルボルネンタイプのエチレン−ノルボルネン共重合体B(APL8008T、商品名、三井化学製、ガラス転移温度70℃)100重量部に対し、アクリル酸亜鉛を1重量部、ジクミルパーオキシド0.1重量部をバレル径30mmΦの二軸混合機(L/D=32)に投入し、バレル温度210℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混合する方法でアクリル酸のグラフトを行った。
30mmの2軸混合機(L/D=30)を用いて、表1で示したカルボキシル基または酸無水物基を有するエチレン−環状オレフィン共重合体を表2に示す配合処方で各成分を溶融混合し、押出した溶融ストランドを冷却切断してペレットを作製した。
(1)酸化亜鉛:亜鉛華3号
(2)酸化マグネシウム:協和マグ150(協和化学工業製)
(3)有機化クレー:Nonofil15(ズードケミー製)
(4)酸化防止剤:イルガノックス1010(チバスペシャリティケミカルズ製)
(5)多官能性モノマー:トリアリルイソシアヌレート
実施例1は製造例2のエチレン−環状オレフィン共重合体に、無機フィラーを添加した樹脂組成物を用いて製造した電子線の照射を行わない非架橋タイプの熱収縮チューブである。この熱収縮チューブの特性を評価したところ、薄肉成形性、耐電解液性、収縮温度、長手方向収縮率が良好であった。なお、耐熱性において、評価試験では溶融となったが厳しい条件での評価であり、実使用においては問題ない。
30mmの2軸混合機(L/D=30)を用いて、表1で示したカルボキシル基または酸無水物基を有するエチレン−環状オレフィン共重合体を表3に示す配合処方で各成分を溶融混合し、押出した溶融ストランドを冷却切断してペレットを作製した。
(1)酸化亜鉛:亜鉛華3号
(2)酸化マグネシウム:協和マグ150(協和化学工業製)
(3)水酸化マグネシウム:キスマ5(協和化学工業製)
(4)有機化クレー:Nonofil15(ズードケミー製)
(5)酸化防止剤:イルガノックス1010(チバスペシャリティケミカルズ製)
実施例6は製造例1のエチレン−環状オレフィン共重合体に、無機フィラーとして酸化亜鉛を添加した樹脂組成物を用いて製造した電子線照射で架橋した架橋タイプの熱収縮チューブである。実施例5に比べ酸化亜鉛の量及び電子線照射量を少なくしても耐熱性、長手方向収縮率、薄肉成形性、耐電解液性、収縮温度の何れの項目も良好であった。
比較例1〜5においても、基本的には実施例と同じ製法で熱収縮チューブを製造し、同じ方法で評価した。比較例1は、樹脂として高密度ポリエチレンを用いて製造した架橋タイプの熱収縮チューブであり、収縮温度が130℃と高く、薄肉押出性も十分ではなかった。比較例2は、樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いて製造した非架橋タイプの熱収縮チューブであり、薄肉押出性が不十分であり、耐熱性試験でも溶融が認められた。比較例3は、樹脂としてポリ塩化ビニル(PVC)を用いて製造した非架橋タイプの熱収縮チューブであり、耐電解液性と耐熱性が劣っていた。比較例4は、樹脂としてポリスチレンを用いて製造した非架橋タイプの熱収縮チューブであり、耐電解液性では溶解してしまい、また耐熱性も劣っていた。比較例5は、酸無水物基を導入するときに用いたエチレン−環状オレフィン共重合体そのものを用いて製造した非架橋タイプの熱収縮チューブであり、薄肉押出性と耐熱性が劣っていた。比較例6はカルボキシル基を導入するときに用いたエチレン−環状オレフィン共重合体そのものに酸化亜鉛を添加した樹脂組成物を用いて製造した非架橋タイプの熱収縮チューブであり、薄肉押出性と耐熱性が劣っていた。比較例1〜5の配合処方及び熱収縮チューブと押出チューブの特性を表3に示す。
(1)エチレン−環状オレフィン共重合体A:APL6011T(三井化学製)
(2)エチレン−環状オレフィン共重合体B:APL8008T(三井化学製)
(3)高密度ポリエチレン:ハイゼックス5000S(三井住友ポリオレフィン製)
(4)ポリエチレンテレフタレート:ダイヤナイトKR−360(三菱レイヨン製)
(5)ポリ塩化ビニル:ポリビンコンパウンド4018(プラステク製)
(6)ポリスチレン:日本ポリスチG690N(日本ポリスチレン製)
比較例7及び8においても、比較例1〜5と同じ製法で熱収縮チューブを製造し、同じ方法で評価した。比較例7は実施例6と異なりカルボキシル基または酸無水物基を導入するときに用いたエチレン−環状オレフィン共重合体そのものに、無機フィラーとして酸化亜鉛を添加した樹脂組成物を用いて製造した電子線照射で架橋した架橋タイプの熱収縮チューブである。実施例5とは異なり薄肉成形性が中程度であり、しかも電子線照射しても剛性は低かった。比較例8は実施例7と異なりカルボキシル基または酸無水物基を導入するときに用いたエチレン−環状オレフィン共重合体そのものに、無機フィラーとして酸化亜鉛を添加した樹脂組成物を用いて製造した電子線照射で架橋した架橋タイプの熱収縮チューブである。実施例7とは異なり薄肉成形性が中程度であり、しかも電子線照射しても剛性は低かった。
Claims (9)
- カルボキシル基または酸無水物基を有するエチレン−環状オレフィン共重合体100重量部に対し、無機フィラーを1〜100重量部の割合で含有する樹脂組成物。
- 前記エチレン−環状オレフィン共重合体は、温度260℃及び荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレートが、1〜100g/10分の範囲内である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記エチレン−環状オレフィン共重合体のガラス転移温度が、120℃以下である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記エチレン−環状オレフィン共重合体の環状オレフィンが、ノルボルネンまたはその誘導体である請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記無機フィラーが炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム及び有機化クレーからなる群より選ばれる1種もしくは複数種の混合物である請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記無機フィラーが有機化クレーと酸化亜鉛の混合物または有機化クレーと水酸化マグネシウムの混合物である請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の樹脂組成物から形成された熱収縮チューブ。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の樹脂組成物から形成され、電離性放射線の照射により架橋されている熱収縮チューブ。
- 請求項7または8に記載の熱収縮チューブで絶縁被覆された電池。
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