JP2007302826A - ポリエステル樹脂組成物およびそれから得られる成形体 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物およびそれから得られる成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】肉厚の変化があってもヒケによる外観が損なわれることがなく、かつ、耐熱性に優れたポリエステル樹脂組成物、及び該ポリエステル樹脂組成物からなる成形体の提供。
【解決手段】熱可塑性ポリエステル樹脂、膨潤性層状ケイ酸塩、及び、芳香族ビニル系重合体にシス型2重結合を環内に有する脂環式ジカルボン酸無水物あるいはα,β−不飽和ジカルボン酸無水物を共重合あるいはグラフト付加して得られる無水物含有芳香族ビニル系共重合体を含有してなるポリエステル樹脂組成物。また、当該ポリエステル樹脂組成物で一部又は全部が形成されてなるポリエステル樹脂成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性ポリエステル樹脂、膨潤性層状ケイ酸塩、及び、芳香族ビニル系重合体にシス型2重結合を環内に有する脂環式ジカルボン酸無水物あるいはα,β−不飽和ジカルボン酸無水物を共重合あるいはグラフト付加して得られる無水物含有芳香族ビニル系共重合体を含有してなるポリエステル樹脂組成物、及び、該ポリエステル樹脂組成物からなる樹脂成形体に関する。
ポリエチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート樹脂は、耐熱性、耐薬品性、機械的特性等に優れる為、射出成形材料として多くの工業的用途に使用されており、近年、その優れた特性を活かしながら、外観部品への利用が試みられている。しかしながら、成形品が複雑になるほど、成形品の厚み変化や補強等の目的で設けられたリブがある場所では、ヒケといわれる現象によって意匠面に凹凸ができてしまい、外観を損ねる問題があった。これは熱可塑性ポリエステル樹脂の結晶化による収縮が主な原因と考えられ、それを抑制するために種々の方法が試みられている。例えば、ポリカーボネート樹脂を混合する方法や(特許文献1)、共重合ポリエステル樹脂を混合する方法(特許文献2)が、一般に利用される(特許文献1及び2)。しかしながらポリカーボネート樹脂は、ヒケ抑制に効果はあるが、一般的にポリエステル樹脂とエステル交換反応や相溶化を起こし、ポリエステル樹脂の結晶性が損なわれるために、耐熱性や剛性が損なわれる問題があった。また、共重合ポリエステル樹脂をポリエチレンテレフタレート樹脂等のアルキレンテレフタレート樹脂と混合しても、ヒケ抑制の効果は少ない。別の試みとしては、変性ポリスチレン系樹脂を混合する方法も開示されている。エポキシ変性ポリスチレン(特許文献3)の場合は、効果を出すために多量に混合する必要があるが、流動性が損なわれる。酸無水物基で変性されたポリスチレン樹脂は、多量に混合しても流動性を損なうことなく、また外観も損なうことがないが、肝心のヒケの抑制という観点では効果が十分とはいえない(特許文献4)。別の方法としては、板状の無機化合物を細かく分散させて成形収縮を抑制する技術もある(特許文献5)。この方法は成形体の平面方向(X軸、Y軸方向)には有効であるが、厚み方向(Z軸方向)には効果は十分ではなく、ヒケ抑制には十分な効果を発揮しない。
以上、肉厚変化によってもヒケといわれる現象によって外観が損なわれることがなく、かつ、結晶性が損なわれるために耐熱性が損なわれるということがなく耐熱性に優れるポリエステル樹脂組成物を得る技術は、未だ見出されていないのが現状である。
特開2002−080700号公報 特開平07−102158号公報 特開平05−093119号公報 特開平05−320487号公報 国際公開第01/88035号パンフレット
本発明の目的は、このような従来の問題を改善し、耐熱性を損なうことなく、肉厚の変化があってもヒケによって外観が損なわれることがないポリエステル樹脂組成物、及び、該ポリエステル樹脂組成物からなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成する為に鋭意検討した結果、熱可塑性ポリエステル樹脂に対して、膨潤性層状ケイ酸塩、及び、芳香族ビニル系重合体にシス型2重結合を環内に有する脂環式ジカルボン酸無水物あるいはα,β−不飽和ジカルボン酸無水物を共重合あるいはグラフト付加して得られる無水物含有芳香族ビニル系共重合体を配合することにより、成形体の平面方向と厚み方向の収縮を抑制することによって、ヒケを抑制して優れた外観特性を有し、かつ、優れた耐熱性を有するポリエステル樹脂組成物を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第一は、熱可塑性ポリエステル樹脂、膨潤性層状ケイ酸塩、及び、芳香族ビニル系重合体にシス型2重結合を環内に有する脂環式ジカルボン酸無水物あるいはα,β−不飽和ジカルボン酸無水物を共重合あるいはグラフト付加して得られる無水物含有芳香族ビニル系共重合体を含有してなるポリエステル樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様としては、熱可塑性ポリエステル樹脂がポリアルキレンテレフタレート樹脂である上記ポリエステル樹脂組成物;無水物がマレイン酸無水物である上記ポリエステル樹脂組成物;芳香族ビニル系重合体が、その構成モノマー単位としてスチレン及び/又はα−メチルスチレンを含むことを特徴とする上記ポリエステル樹脂組成物である。
また、本発明の第二は、上記ポリエステル樹脂組成物で一部又は全部が形成されてなることを特徴とするポリエステル樹脂成形体に関する。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂、膨潤性層状ケイ酸塩、及び、芳香族ビニル系重合体にシス型2重結合を環内に有する脂環式ジカルボン酸無水物あるいはα,β−不飽和ジカルボン酸無水物を共重合あるいはグラフト付加して得られる無水物含有芳香族ビニル系共重合体を含有してなる組成物である。
本発明で用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸化合物及び/又はジカルボン酸のエステル形成性誘導体を主成分とする酸成分、並びに、ジオール化合物及び/又はジオール化合物のエステル形成性誘導体を主成分とするジオール成分との反応により得られる、従来公知の任意の熱可塑性ポリエステル樹脂である。
前記「主成分」とは、酸成分又はジオール成分中に占めるそれぞれの割合が80モル%以上であることを意味し、好ましくは90モル%以上であり、上限は100モル%である。
本発明における酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられ、これらの置換体(例えば、メチルイソフタル酸等のアルキル基置換体等)や誘導体(テレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等のアルキルエステル化合物等)も使用し得る。また、p−オキシ安息香酸、p−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシ酸、及び、これらのエステル形成性誘導体も使用し得る。
これらのモノマーは単独で使用しても良く、2種以上混合して用いても良い。
さらに、得られるポリエステル樹脂組成物の特性を損なわない程度の少量であれば、これらの芳香族ジカルボン酸と共に、アジピン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸を1種以上混合して使用し得る。
上記酸成分の中では、得られる熱可塑性ポリエステル樹脂の結晶性、強度、弾性率の点から、テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体が好ましい。
本発明におけるジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール等が挙げられ、これらの置換体や誘導体もまた使用し得る。また、ε−カプロラクトン等の環状エステルも使用し得る。
これらのモノマーは単独で使用しても良く、2種以上を混合して用いても良い。
さらに、熱可塑性ポリエステル樹脂の弾性率を著しく低下させない程度の少量であれば、長鎖型のジオール化合物(例えば、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)、及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加重合体(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加重合体等)等を組み合わせて使用しても良い。
上記ジオール成分の中では、入手の容易さ、取り扱い性、得られる熱可塑性ポリエステル樹脂の強度、弾性率等の点から、エチレングリコール、ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサン−1,4−ジメチルテレフタレート、ネオペンチルテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリヘキサメチレンナフタレート等や、これらの共重合ポリエステル、これらの樹脂とビスフェノールAのポリエチレンオキサイド付加化合物又はポリテトラメチレングリコールとの共重合体等を挙げることができる。
これらは単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
上記熱可塑性ポリエステル樹脂の中では、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート樹脂や、これらの樹脂とビスフェノールAのポリエチレンオキサイド付加化合物又はポリテトラメチレングリコールとの共重合体が、取扱性、剛性、結晶性、耐熱性及び表面性の点から好ましい。
本発明における熱可塑性ポリエステル樹脂の分子量は、成形工程における成形流動性及び最終製品の諸物性を考慮して選択され、所望の各物性を得るのに適した分子量を設定する必要がある。すなわち、熱可塑性ポリエステル樹脂の分子量は、フェノール/テトラクロロエタン(5/5重量比)混合溶媒を用い、ウベローゼ粘度管を用いて、25℃にて測定した対数粘度が、0.3〜2.0dl/gが好ましく、0.35〜1.9dl/gがより好ましく、0.4〜1.8dl/gがさらに好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂の対数粘度が0.3dl/g未満である場合には、得られるポリエステル樹脂組成物からなる成形品の機械的特性が低下する傾向があり、2.0dl/gを超える場合には、成形時の流動性が劣る等の加工性が低下する傾向がある。
本発明で用いる、芳香族ビニル系重合体にシス型2重結合を環内に有する脂環式ジカルボン酸無水物あるいはα,β−不飽和ジカルボン酸無水物を共重合あるいはグラフト付加して得られる無水物含有芳香族ビニル系共重合体における、芳香族ビニル系重合体としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン等のモノマーを重合して得られる重合体等が挙げられる。
これらは1種でも2種以上でも使用することができる。
得られる組成物の機械的物性や入手のし易さの点から、上記モノマーのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく使用できる。
本発明でいうシス型2重結合を環内に有する脂環式ジカルボン酸無水物としては、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンド−ビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、メチル−エンド−シス−ビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、エンド−ビシクロ−(2,2,1)−1,2,3,4,7,7−ヘキサクロロ−2−ヘプテン−5,6−ジカルボン酸等の無水物が好ましく、特に、エンド−ビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物が靭性付与の点から好ましい。また、場合によっては、これらの誘導体、例えば、ジカルボン酸、ジカルボン酸金属塩、エステル化物、アミド化物、酸ハロゲン化物等も用いることができる。なお、当該シス型2重結合を環内に有する脂環式ジカルボン酸無水物は、1種でも2種以上でも用いることができる。
本発明でいうα,β−不飽和ジカルボン酸無水物としては、下記一般式(1)
Figure 2007302826
(式中、Ra、Rbは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を示す。)
で表される無水物である。その具体例としては、無水マレイン酸、メチル無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、無水シトラコン酸、ブチニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。好ましくは無水マレイン酸である。なお、当該α,β−不飽和ジカルボン酸無水物は、1種でも2種以上でも用いることができる。
本発明で用いられる無水物含有芳香族ビニル系共重合体における、上記各ジカルボン酸無水物の共重合比の下限値は、好ましくは0.05モル%、より好ましくは0.1モル%、さらに好ましくは0.2モル%である。下限値が0.05モル%より小さいと靭性の付与効果が充分に得られにくい傾向がある。また、共重合比の上限値は、好ましくは80モル%、より好ましくは50モル%、さらに好ましくは30モル%である。上限値が80モル%より大きいと、加工性が損なわれ易くなる傾向がある。
無水物含有芳香族ビニル系共重合体は、例えば無水マレイン酸変性ポリスチレン樹脂を例にすれば、以下の方法で得ることが出来る。すなわち、無水マレイン酸及びポリスチレンの両者を溶融混練する方法;スチレン系単量体等と無水マレイン酸とをグラフト共重合させる方法等が挙げられる。グラフト共重合法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法等が挙げられる。
本発明で用いられる無水物含有芳香族ビニル系共重合体は、部分的に又は全てが不飽和化合物又はその誘導体で変性されていても良い。
上記不飽和化合物又はその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類;グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和化合物;イタコン酸、マレイン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸;無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物;アクリルアミン、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレン等のアミノ基含有不飽和化合物;3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有不飽和酸;アクリルアミド、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。
これらの単量体は、1種でも、2種以上を組み合わせても用いることができる。
上記共重合体の様式は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。
本発明で用いられる無水物含有芳香族ビニル系共重合体のMFR(メルトフローレート)は、200℃、荷重5kgで、0.5〜15g/10分が好ましい。MFRが上記の範囲外であると、熱可塑性ポリエステル樹脂との溶融混練の際、十分に相溶せずに、生成物の物性が低下し易くなる傾向がある。なお、MFRは、押出式プラストメーターを用いて測定することができる。
無水物含有芳香族ビニル系共重合体の添加量は、特に限定されないが、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、下限値は、好ましくは3重量部、より好ましくは5重量部、さらに好ましくは10重量部である。添加量が3重量部未満であると、ヒケを抑制する効果が十分でなくなる傾向がある。また、上限値は、好ましくは150重量部、より好ましくは120重量部、さらに好ましくは100重量部である。添加量が150重量部を超えると、流動性や離型性が損なわれ易くなる傾向がある。
本発明においては、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性、弾性率又は成形収縮率を改善する観点から、膨潤性層状ケイ酸塩を含有させる。
本発明で用いられる膨潤性層状ケイ酸塩としては、主として酸化ケイ素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体シートから形成され、例えば、スメクタイト族粘土及び膨潤性雲母等が挙げられる。なお、上記で「主として」とあるのは、当該膨潤性層状ケイ酸塩は、結晶周期が乱れて、複数種の結晶シートの構造が混じり合った、いわゆる混合層を含むこともあるためである。
前記のスメクタイト族粘土は、下記一般式:
0.2〜0.62〜310(OH)・nH
(ただし、XはK、Na、1/2Ca及び1/2Mgから成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Mn、Ni、Zn、Li、Al及びCrから成る群より選ばれる1種以上であり、ZはSi及びAlから成る群より選ばれる1種以上である。尚、HOは層間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオン及び相対湿度に応じて著しく変動する)で表される、天然物又は合成されたものである。
該スメクタイト族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及びベントナイト等、これらの置換体、誘導体、これらの混合物等が挙げられる。
前記スメクタイト族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約1.0〜1.7nmであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の平均粒径は約100〜100000nmである。
なお、当該底面間隔は、小角X線回折法により測定することができる。
また、当該平均粒径は、マイクロトラックレーザー回折法により測定することができる。
また、前記の膨潤性雲母は、下記一般式:
0.5〜1.02〜3(Z10)(F、OH)
(ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba及びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、Fe、Ni、Mn、Al及びLiから成る群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、Fe及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)で表される、天然物又は合成されたものである。
これらは、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であり、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム型四ケイ素雲母等、これらの置換体、誘導体、これらの混合物等が挙げられる。
前記膨潤性雲母の初期の凝集状態における底面間隔は約1.0〜1.7nmであり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は約100〜100000nmである。
上記の膨潤性雲母の中にはバーミキュライト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバーミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュライト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記一般式:
(Mg,Fe,Al)2〜3(Si4−xAl)O10(OH)・(M,M2+1/2)・nH
(ただし、MはNa及びMg等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。
前記バーミキュライト相当品の初期の凝集状態における底面間隔は約1.0〜1.7nmであり、凝集状態での平均粒径は約100〜500000nmである。
膨潤性層状ケイ酸塩の結晶構造は、c軸方向に規則正しく積み重なった純粋度が高いものが望ましいが、結晶周期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合った、いわゆる混合層鉱物も使用され得る。
膨潤性層状ケイ酸塩は単独で用いても良く、2種以上組み合わせて使用しても良い。
これらの内では、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト及び層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、入手の容易さ、得られるポリエステル樹脂組成物中での分散性及びポリエステル樹脂組成物の物性改善効果の点から好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物が、照明部品等の表面平滑性又は表面光沢が要求される用途に使用される場合には、上記膨潤性層状ケイ酸塩は細かい方が好ましく、その場合、平均粒子径は5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
本発明における膨潤性層状ケイ酸塩の添加量は、目的とする耐熱性や表面外観等によるが、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、上限は20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。下限は特にないが、1重量部以上であることが好ましい。
本発明においては、膨潤性層状ケイ酸塩を均一分散させる目的から、表面処理剤を用いることができる。該表面処理剤としては、例えば、シラン系化合物、ポリエーテル化合物等が挙げられる。
本発明において、表面処理剤を用いた膨潤性層状ケイ酸塩の表面処理方法としては、特に限定されるものでなく、例えば、膨潤性層状ケイ酸塩に対して直接処理剤で表面処理する方法(乾式法);処理剤を含む溶液を噴霧する方法(噴霧法);膨潤性層状ケイ酸塩を、水に対して任意の割合で相溶する極性溶媒、又は水を含有する極性溶媒に分散させた後、表面処理剤を添加する方法(湿式法)等が挙げられる。これらのうちでも、表面処理の効率化の点から、湿式法が好ましい。なお、この際用いられる極性溶媒に関しては、後述する。
上記シラン系化合物としては、通常一般に用いられる任意のものが使用され、下記一般式(2):
SiX4−n (2)
(式中、Xは加水分解性基又は水酸基であり、Yは置換基を有していても良い炭素数1〜25の炭化水素基であり、nは0〜3の整数である。X又はYが複数個存在する場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物等が挙げられる。
Yにおいて炭素数1〜25の炭化水素基が置換基を有する場合の置換基の例としては、例えば、エステル結合で結合している基、エーテル結合で結合している基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、末端にカルボニル基を有する基、アミド基、メルカプト基、スルホニル結合で結合している基、スルフィニル結合で結合している基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。炭素数1〜25の炭化水素基は、これらのうちの1種で置換されていても良く、2種以上で置換されていても良い。
一般式(2)中のXの加水分解性基の例としては、例えば、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、ハロゲン原子等が挙げられる。
一般式(2)中、n又は4−nが2以上の場合、n個のY又は4−n個のXはそれぞれ同種でも異種でも良い。
上記一般式(2)において、Yが炭素数1〜25の炭化水素基である場合のシラン系化合物の具体例としては、例えば、デシルトリメトキシシランのように直鎖長鎖アルキル基を有するもの、メチルトリメトキシシランのように低級アルキル基を有するもの、2−ヘキセニルトリメトキシシランのように不飽和炭化水素基を有するもの、2−エチルヘキシルトリメトキシシランのように側鎖を有するアルキル基を有するもの、フェニルトリエトキシシランのようにフェニル基を有するもの、3−β−ナフチルプロピルトリメトキシシランのようにナフチル基を有するもの、及びp−ビニルベンジルトリメトキシシランのようにアラルキル基を有するもの等が挙げられる。
Yが炭素数1〜25の炭化水素基の中でも特にビニル基を有する基である場合の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、及びビニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
Yがエステル結合で結合している基で置換されている基である場合の例としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Yがエーテル結合で結合している基で置換されている基である場合の例としては、γ−ポリオキシエチレンプロピルトリメトキシシラン、及び2−エトキシエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Yがエポキシ基で置換されている基である場合の例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Yがアミノ基で置換されている基である場合の例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、及びγ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Yがカルボキシル基で置換されている基である場合の例としては、γ−(4−カルボキシフェニル)プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Yが末端にカルボニル基を有する基で置換されている基である場合の例としては、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
Yがアミド基で置換されている基である場合の例としては、γ−(N−フェニルアミノアセト)プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Yがメルカプト基で置換されている基である場合の例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Yがスルホニル結合で結合している基で置換されている基である場合の例としては、γ−フェニルスルホニルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Yがスルフィニル結合で結合している基で置換されている基である場合の例としては、γ−フェニルスルフィニルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
Yがニトロ基で置換されている基である場合の例としては、γ−ニトロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
Yがニトロソ基で置換されている基である場合の例としては、γ−ニトロソプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
Yがニトリル基で置換されている基である場合の例としては、γ−シアノエチルトリエトキシシラン及びγ−シアノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
Yがハロゲン原子で置換されている基である場合の例としては、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
Yが水酸基で置換されている基である場合の例としては、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3−プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。水酸基はまたシラノール基(SiOH)の形であり得る。
本発明においては、上記シラン系化合物の置換体又は誘導体もまた使用し得る。これらのシラン系化合物は、単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明におけるシラン系化合物の使用量は、ポリエステル樹脂成形体中の膨潤性層状ケイ酸塩の分散性が十分に高まるように調節し得る。必要であるならば、異種の官能基を有する複数種のシラン系化合物を併用し得る。従って、シラン系化合物の使用量は、一概に数値で限定されるものではないが、膨潤性層状ケイ酸塩100重量部に対して、下限値は、好ましくは0.1重量部、より好ましくは0.2重量部、さらに好ましくは0.3重量部、特に好ましくは0.4重量部、最も好ましくは0.5重量部である。上限値は、好ましくは200重量部、より好ましくは180重量部、さらに好ましくは160重量部、特に好ましくは140重量部、最も好ましくは120重量部である。シラン系化合物の使用量が0.1重量部未満であると、膨潤性層状ケイ酸塩の微分散化効果が充分で無くなる傾向がある。また、シラン系化合物の使用量が200重量部を超えると微分散化効果が変わらないので、200重量部より多く使用する必要はない。
上記表面処理剤のポリエーテル化合物としては、主鎖が、ポリオキシエチレンやポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等のポリオキシアルキレンである化合物であることが好ましく、オキシアルキレンの繰り返し単位数が2から100程度のものであることがより好ましい。
前記ポリエーテル化合物は、側鎖及び/又は主鎖中に、熱可塑性ポリエステル樹脂又は膨潤性層状ケイ酸塩に悪影響を与えない限りにおいて、任意の置換基を有していても良い。該置換基の例としては、例えば、炭化水素基、エステル結合で結合している基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、末端にカルボニル基を有する基、アミド基、メルカプト基、スルホニル結合で結合している基、スルフィニル結合で結合している基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル基、アルコキシシリル基やシラノール基等のSi−O−結合を形成し得る含Si原子官能基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。これらのうちの1種で置換されていても良く、2種以上で置換されていても良い。
上記炭化水素基とは、直鎖又は分岐鎖(すなわち側鎖を有する)の、飽和又は不飽和の、一価又は多価である、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基もしくは脂環式炭化水素基を意味し、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ナフチル基、シクロアルキル基等が挙げられる。
本発明において、「アルキル基」という場合は、特に規定が無い限り「アルキレン基」等の多価の炭化水素基を包含する。同様に、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ナフチル基、及びシクロアルキル基は、それぞれアルケニレン基、アルキニレン基、フェニレン基、ナフチレン基、及びシクロアルキレン基等を包含する。
前記ポリエーテル化合物中の置換基の組成比は特に制限されるものではないが、本発明に用いられるポリエーテル化合物は、水、水に対し任意の割合で相溶する極性溶媒、又は水を含有する極性溶媒に可溶であることが望ましい。具体的には、例えば、室温(23℃)における水100gに対するポリエーテル化合物の溶解度は、1g以上であることが好ましく、より好ましくは2g以上であり、さらに好ましくは5g以上であり、特に好ましくは10g以上であり、最も好ましくは20g以上である。
上記極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;その他の溶媒としてピリジン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。また、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等の炭酸ジエステルも使用できる。これらの極性溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられるポリエーテル化合物の具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジフェニルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエチルエーテル、ポリエチレングリコールメチルアリルエーテル、ポリエチレングリコールグリセリルエーテル、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ビス(ポリエチレングリコール)ブチルアミン、ビス(ポリエチレングリコール)オクチルアミン、ポリエチレングリコールビスフェノールAエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールビスフェノールAエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールユレイドプロピルエーテル、ポリエチレングリコールメルカプトプロピルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルスルホニルプロピルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルスルフィニルプロピルエーテル、ポリエチレングリコールニトロプロピルエーテル、ポリエチレングリコールニトロソプロピルエーテル、ポリエチレングリコールシアノエチルエーテル、ポリエチレングリコールシアノエチルエーテル等が挙げられる。これらのポリエーテル化合物は単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明で用いられるポリエーテル化合物としては、芳香族炭化水素基や脂環式炭化水素基等の環状炭化水素基を有するものが好ましく、なかでも下記一般式(3):
Figure 2007302826
(式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、又は炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R、R、R、R、R、R、R及びRは、いずれも水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
で表される単位を有する化合物が好ましい。
さらには、下記一般式(4):
Figure 2007302826
(式中、−A−は、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、炭素数1〜20のアルキレン基、又は炭素数6〜20のアルキリデン基であり、R、R、R、R、R、R、R及びRは、いずれも水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜5の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R、R10は、いずれも炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R11、R12は、いずれも水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、それらはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。m及びnは、オキシアルキレン単位の繰り返し単位数を示し、1≦m≦25、1≦n≦25、2≦m+n≦50である。)
で表される化合物が、膨潤性層状ケイ酸塩の分散性及び熱安定性の点から好ましい。
本発明におけるポリエーテル化合物の使用量は、前記膨潤性層状ケイ酸塩と熱可塑性ポリエステル樹脂との親和性、ポリエステル樹脂組成物中での膨潤性層状ケイ酸塩の分散性が充分に高まるように調節し得る。必要であるならば、異種の官能基を有する複数種のポリエーテル化合物を併用し得る。従って、ポリエーテル化合物の使用量は、一概に数値で限定されるものではないが、膨潤性層状ケイ酸塩100重量部に対して、下限値は、好ましくは0.1重量部、より好ましくは0.2重量部、さらに好ましくは0.3重量部、特に好ましくは0.4重量部、最も好ましくは0.5重量部である。上限値は、好ましくは200重量部、より好ましくは180重量部、さらに好ましくは160重量部、特に好ましくは140重量部、最も好ましくは120重量部である。ポリエーテル化合物の使用量が0.1重量部未満であると、膨潤性層状ケイ酸塩の微分散化効果が充分で無くなる傾向がある。また、ポリエーテル化合物の使用量が200重量部を超えると微分散化効果が変わらないので、200重量部より多く使用する必要はない。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は特に制限されるものではなく、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂と膨潤性層状ケイ酸塩及び無水物含有芳香族ビニル系共重合体とを、種々の一般的な混練機を用いて溶融混練する方法等を挙げることができる。
混練機の例としては、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等が挙げられ、特に、剪断効率の高い混練機が好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂と膨潤性層状ケイ酸塩及び無水物含有芳香族ビニル系共重合体は、(i)上記の混練機に一括投入して溶融混練しても良いし、あるいは(ii)予め熱可塑性ポリエステル樹脂と膨潤性層状ケイ酸塩を溶融混錬した後に、無水物含有芳香族ビニル系共重合体を途中から添加して溶融混練しても良い。このうち、(ii)の方が好ましい。
また、溶融混練時の温度は、特に限定されないが、優れた機械特性を得る観点から、好ましくは180〜300℃、より好ましくは200〜280℃である。
本発明のポリエステル樹脂組成物には、品質を損なわない範囲で、耐衝撃性改良剤、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、α−オレフィンの単独重合体、2種以上のα−オレフィンの共重合体(ランダム、ブロック、グラフト等、いずれの共重合体も含み、これらの混合物であっても良い)、オレフィン系エラストマー等を添加することができる。また、これらは、無水マレイン酸等の酸化合物、又はグリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物で変性されていても良い。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物には、品質を損なわない範囲で、他の任意の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム質重合体強化芳香族ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂等を添加することができる。また、これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて使用しても良い。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物には、目的に応じて、顔料、染料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、難燃剤、及び帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。
次に、本発明のポリエステル樹脂成形体は、上記ポリエステル樹脂組成物で一部又は全部が形成されてなる成形体である。
当該成形体が、上記ポリエステル樹脂組成物でその一部が形成されている場合、他の成分としては、例えばポリカーボネート、ポリプロピレン等が挙げられる。
当該ポリエステル樹脂組成物から成形体を得るための加工法としては、特に限定されないが、射出成形はもとより、熱プレス成形も適用でき、さらにはブロー成形も適用できる。
また、成形時の温度は、特に限定されないが、ヒケ抑制の観点から、好ましくは200〜300℃、より好ましくは210〜280℃である。
本発明のポリエステル樹脂組成物から得られる成形体は、肉厚変化があっても凹凸が出来難いので表面外観や耐熱性に優れるため、外観が重要視される自動車内外装部品、ヘッドランプエクステンション、ヘッドランプリフレクター、リアランプハンジング等の自動車ランプ部品、施設照明のリフレクター等の種々の照明部品等に好適に使用できる。
熱可塑性ポリエステル樹脂に対して、シス型2重結合を環内に有する脂環式ジカルボン酸無水物あるいはα,β−不飽和ジカルボン酸無水物を共重合あるいはグラフト付加して得られる無水物含有芳香族ビニル系共重合体を配合することにより、成形品の肉厚が変化してもヒケと呼ばれる現象によって外観が損なわれることなく、かつ熱可塑性ポリエステル樹脂の結晶性が損なわれないので耐熱性にも優れるポリエステル樹脂組成物、及び、該ポリエステル樹脂組成物からなる樹脂成形体が得られる。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
下記製造例、実施例、比較例で使用する主要原料を以下にまとめて示す。なお、特に断らない場合は、原料の精製は行っていない。
(原料)
・ポリエステル樹脂A(PET):KP130(KOLON社製)
・ポリエステル樹脂B(PBT):KP210(KOLON社製)
・膨潤性雲母C:ソマシフME100(コープケミカル(株)社製)
・ポリエーテル化合物D:ビスオール(東邦化学(株)社製)
・無水物含有芳香族ビニル系共重合体E(無水マレイン酸変性ポリスチレン):ダイラークD232(ノバ・ケミカル・ジャパン社製)
(製造例1)
イオン交換水100重量部、ポリエーテル化合物D1.6重量部、膨潤性雲母C8重量部を15〜30分間混合した。その後、乾燥・粉体化して、ポリエーテル化合物で処理した膨潤性雲母(膨潤性ケイ酸塩Fと称す)を得た。
なお、下記表1−2に記載の灰分率(%)は、樹脂組成物中に含まれる膨潤性層状ケイ酸塩の割合を意味する。当該灰分率は、まず、得られた樹脂組成物の重量を測定し、次いで、当該樹脂組成物を電気炉中で625℃×2時間加熱処理した後の残渣の重量を測定し、下記式により算出することができる。
灰分率(%)=(残渣の重量/樹脂組成物の重量)×100
(実施例1、比較例1〜3)
表1に示した組成比にて各原料をドライブレンドした後、二軸押出機(日本製鋼(株)製、TEX44)を用い、樹脂温度設定220〜250℃で溶融混練することにより、ポリエステル樹脂組成物を得た。
比較として、熱可塑性ポリエステル樹脂以外に、無水物含有芳香族ビニル系共重合体Eのみを配合した場合(比較例1)、膨潤性ケイ酸塩Fのみを配合した場合(比較例2)、ポリカーボネート樹脂を配合した場合(比較例3)の組成物を作製した。
これらを用いて、各種物性を以下のようにして評価した。結果を表1に示す。
(成形収縮率)
上記で得られたポリエステル樹脂組成物を乾燥(130℃、6時間)した後、型締圧80tの射出成形機を用い、樹脂温度240〜280℃の条件で、寸法約120×120×2(mm)厚の平板状試験片を射出成形し、次式により成形収縮率を測定した。なお、MDは樹脂の流れ方向を、TDは樹脂の流れと直角方向を示す。
収縮率(%)=(金型寸法−成形品実寸法)÷(金型寸法)×100
(ヒケ)
上記で得られたポリエステル樹脂組成物を乾燥(130℃、6時間)した後、型締圧80tの射出成形機を用い、樹脂温度240〜280℃の条件で、ヒケ評価用の試験片を成形した。試験片の形状は、天面の厚みが2.5mmに対して、肉厚がそれぞれ0.9mm、1.05mm、1.15mm、1.5mm、1.85mm、2.0mmで、高さがそれぞれ10mmの6本のリブがついたものである。評価は目視で、ヒケが見えないものを○、真上から見ると見え難いが、斜めから見ると見えるものを△、ヒケがみえるものを×とした。実用上は、上記肉厚のうち少なくとも1つの場合が○となる必要がある。
(耐熱性)
耐熱性は、0.45MPa荷重時の荷重撓み温度で評価した。上記で得られたポリエステル樹脂組成物を乾燥(130℃、6時間)した後、型締圧75tの射出成形機を用い、樹脂温度240〜280℃の条件で、寸法約10×100×6(mm)の試験片を射出成形し、ASTM D−648に従い、荷重撓み温度を測定した。なお、当該温度が高いほど、耐熱性に優れることを示すが、当該温度が150℃以上であれば良好な耐熱性を示すものと言える。
Figure 2007302826
実施例1は成形収縮率が低く、ヒケ外観がよく、荷重撓み温度は164℃と良好であったのに対し、比較例1と比較例2ではヒケ外観が不十分であり、比較例3ではヒケ外観は良いものの、荷重撓み温度が95℃と低いことが判る。すなわち、従来技術では、要求を満足できるものは得られなかった。
(実施例2〜6)
表2に示した組成比にて各原料をドライブレンドした後、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得、各種物性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2007302826
上記結果より、本発明で得られるポリエステル樹脂組成物は、ヒケが抑制されて表面外観が優れ、耐熱性にも優れることがわかる。
本発明で得られるポリエステル樹脂組成物は、ヒケが抑制されて表面外観が優れ、耐熱性にも優れる。また、当該ポリエステル樹脂組成物を用いて得られる成形品は、ヒケが抑制されて表面外観に優れる等の特長を有するため、外観を重視する部品をはじめ、自動車部品、照明用途部品、家庭用電気製品部品、家庭日用品、包装資材、その他一般工業用資材等に好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性ポリエステル樹脂、膨潤性層状ケイ酸塩、及び、芳香族ビニル系重合体にシス型2重結合を環内に有する脂環式ジカルボン酸無水物あるいはα,β−不飽和ジカルボン酸無水物を共重合あるいはグラフト付加して得られる無水物含有芳香族ビニル系共重合体を含有してなるポリエステル樹脂組成物。
  2. 熱可塑性ポリエステル樹脂がポリアルキレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 無水物がマレイン酸無水物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 芳香族ビニル系重合体が、その構成モノマー単位としてスチレン及び/又はα−メチルスチレンを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物で一部又は全部が形成されてなることを特徴とするポリエステル樹脂成形体。
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