JP4777672B2 - ポリエステル樹脂組成物およびそれから得られる成形体 - Google Patents
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Description
で表される、エステル結合を有する2級アミン化合物を含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物に関する。
本発明で用いる無機化合物は従来公知であって、例えば、膨潤性雲母、スメクタイト、タルク、カオリン等のケイ酸塩、リン酸ジルコニウム等のリン酸塩、チタン酸カリウム等のチタン酸塩、タングステン酸ナトリウム等のタングステン酸塩、ウラン酸ナトリウム等のウラン酸塩、バナジン酸カリウム等のバナジン酸塩、モリブデン酸マグネシウム等のモリブデン酸塩、ニオブ酸カリウム等のニオブ酸塩、黒鉛層状化合物、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、酸化ケイ素や酸化チタン、アルミナ等の酸化物、炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩化合物、硫酸カルシウムや硫酸バリウム等の硫酸塩化合物の他、硫化亜鉛、リン酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。他方、本発明においては、無機化合物ではないが、カーボンブラック、木粉等も用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記の無機化合物の中では、入手の容易性、取扱い性等の点から、膨潤性雲母、スメクタイト、カオリン、タルク、マイカ、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛が好ましく、更に好ましくは、表面光沢や成形収縮の点から膨潤性雲母、スメクタイトなどの膨潤性層状ケイ酸塩が用いられ得る。
YnSiX4-n (2)
で表されるものである。一般式(2)中のnは0〜3の整数であり、Yは、置換基を有していても良い炭素数1〜25の炭化水素基である。
で表される単位を有するものが好ましい。
さらには、下記一般式(4):
(原料)
・ポリエステル樹脂A1:ポリブチレンテレフタレート樹脂(KOLON社製、KP210)
・ポリエステル樹脂A2:ポリエチレンテレフタレート樹脂(鐘紡合繊製、EFG70)
・エステル結合を有する2級アミン化合物B1:製造例1で得られたもの
・エステル結合を有する2級アミン化合物B2:製造例2で得られたもの
・エステル結合を有する2級アミン化合物B3:製造例3で得られたもの
・比較添加剤C1:1級アミン化合物、ステアリルアミン(花王製、ファーミン80)
・比較添加剤C2:エステル基がない2級アミン化合物、ジステアリルアミン(花王製、ファーミンD86)
・無機化合物D1:カオリン(エンゲルハード社製、ASP170)
・無機化合物D2:タルク(IMI FABI製、HTPultra 5C)
・無機化合物D3:製造例4で得られた表面処理した膨潤性雲母
・無機化合物D4:製造例5で得られた表面処理したモンモリロナイト
ジエタノールアミンとモンタン酸をモル比1:2にて、60〜100℃で約5時間かけて、硫酸触媒の存在下、脱水反応させた。次いで、系を減圧して未反応物を除去した。
脱水反応によって得られたエステル結合を有する2級アミン化合物B1の構造を解析した。まず、1H−NMRと13C−NMRから、製造例1で得られた2級アミン化合物B1の構造中には、長鎖アルキル構造、酸素または窒素原子に隣接する炭化水素構造、エステル結合が存在すると推測される。次いで、化学結合の連続性を解析するために、二次元NMR測定を実施した。
二次元NMR測定として、まず、DQF−COSY(Double Quantum Filtered Correlation Spectroscopy)法を実施し、0.3ppm、1.3ppm、1.6ppm、2.2ppmの交点にクロスピークが検出され、高級脂肪酸エステル構造に由来することがわかる。また、3.3ppm〜4.3ppm付近にもクロスピークが観測され、アミン等の窒素原子に隣接する炭化水素構造とエステル結合等の酸素原子に隣接する炭化水素構造があることが判る。
次いで、HMQC(Heteronuclear Multiple Quantum Coherence)法を実施し、3.6ppmのクロスピークから窒素原子に隣接する炭化水素構造と推測され、また4.0〜4.3ppmは酸素原子に隣接する炭化水素構構造であると推測される。
次いで、HMBC(Heteronuclear Multiple Bond Correlation)法を実施し、プロトンの2.2ppmのピークとカーボンの174ppmのピークの交点が確認できたことから、エステル結合に隣接する炭化水素構造の存在があることがわかった。また、カーボンの174ppmのピークはプロトンの3.3ppmから4.3ppmのピークとの相関も認められたことから、エステル結合の酸素原子側にも炭化水素結合が存在することがわかった。
以上のNMRの測定から、製造例1で製造された、エステル結合を有する2級アミン化合物B1とは、ジエタノールアミンとモンタン酸の縮合物である下記の構造を有するものである。
ジエタノールアミンとベヘン酸をモル比1:2にて、60〜100℃で約5時間かけて、硫酸触媒の存在下、脱水反応させた。次いで、系を減圧して未反応物を除去した。
次いで、製造例1と同様に、1H−NMRと13C−NMR、DQF−COSY法、HMQC法、HMBC法から製造例2で製造された、エステル結合を有する2級アミン化合物B1とは、ジエタノールアミンとベヘン酸の縮合物である下記の構造を有するものである。
ジエタノールアミンとステアリン酸をモル比1:2にて、60〜100℃で約5時間かけて、硫酸触媒の存在下、脱水反応させた。次いで系を減圧して未反応物を除去した。次いで、製造例1と同様に、1H−NMRと13C−NMR、DQF−COSY法、HMQC法、HMBC法から製造例3で製造された、エステル結合を有する2級アミン化合物B1とは、ジエタノールアミンとステアリン酸の縮合物である下記の構造を有するものである。
湿式混合機を用い、純水100重量部に対し、膨潤性フッ素雲母(コープケミカル社製、ソマシフME100)8部を混合した。ついで、ポリエーテル化合物(東邦化学社製、ビスオール)1.3部を添加して15〜30分間混合を続けることによって処理した。その後、乾燥して粉体化して、ポリエーテル処理した膨潤性雲母を得た。
湿式混合機を用い、純水100重量部に対し、モンモリロナイト(クニミネ社製、クニピアF)5部を混合した。ついで、シラン化合物(日本ユニカー社製、A1120)1部を添加して15〜30分間混合を続けることによって処理した。その後、乾燥して粉体化して、シラン処理したモンモリロナイトを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物に対し、直径約70mm、深さ約80mm、厚み約2.5mmおよび抜き勾配3度の円筒形であり、表面が14000番の研磨剤を用い研磨し鏡面仕上げした金型を用いて、射出成形(樹脂温度設定270℃および金型温度設定80℃)を行った。離型性評価は、金型温度80℃で離型できる回数により評価した。離型できる回数が多いほど優れている。
得られたポリエステル樹脂組成物を用い、射出成形(樹脂温度設定270℃および金型温度設定80℃)した。得られた測定用サンプルを、ASTM D−648に従い、0.45MPa荷重の条件にて荷重たわみ温度を測定した。なお、荷重たわみ温度は、値が高いほど好ましい。
表面外観は、アルミニウムを製膜した成形品表面の拡散反射率で評価した。得られたポリエステル樹脂組成物を用い、14000番の研磨剤を用い研磨し鏡面仕上げした金型を用い、射出成形(樹脂温度設定270℃および金型温度設定80℃)により、平板状試験片(約80mm×約50mm×約2mm厚)を成形した。前記試験片表面上にアルミニウムを厚み約800Åとなるよう製膜した。
アルミを製膜した直後の試験片表面の拡散反射率を、ミラー反射率計(東京電色(株)製、TR−1100AD)を用いて測定した。なお、拡散反射率は、値が小さいほど好ましい。
表面光沢の耐熱性は、上記アルミニウムを製膜した試験片を熱処理(160℃×50時間)した後の、試験片表面の拡散反射率を測定することにより、評価した。表面光沢の耐熱性は、熱処理後でも拡散反射率が小さいほど優れている。
ポリエステル樹脂およびエステル結合を有する2級アミン化合物を表1に示した組成比にてブレンドした後、二軸押出機(日本製鋼(株)製、TEX44)を用い、樹脂温度設定220〜250℃で溶融混練することによりポリエステル樹脂組成物を得、各種物性を評価した。結果を表1に示す。
エステル結合を有する2級アミン化合物の代わりに比較添加剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得、各種物性を評価した。結果を表1に示す。
ポリエステル樹脂、エステル結合を有する2級アミン化合物および無機化合物を表2に示した組成比にてブレンドした後、二軸押出機(日本製鋼(株)製、TEX44)を用い、樹脂温度設定約220〜250℃で溶融混練することによりポリエステル樹脂組成物を得、各種物性を評価した。結果を表2に示す。
エステル結合を有する2級アミン化合物の代わりに比較添加剤を用いた以外は、実施例7と同様の方法でポリエステル樹脂組成物を得、各種物性を評価した。結果を表2に示す。
Claims (5)
- 無機化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
- 熱可塑性ポリエステル樹脂がポリアルキレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
- 無機化合物が膨潤性層状ケイ酸塩であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物で一部または全部を形成されることを特徴とするポリエステル樹脂成形体。
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