JP2007302772A - 共押出成形用アクリル樹脂組成物 - Google Patents

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公彦 服部
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忠義 澤田
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Abstract

【課題】塩化ビニル系樹脂との異形共押出成形が可能であり、成形体の表面外観に優れ、低温での成形加工性にも優れている共押出成形用アクリル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
メチルメタクリレート系樹脂(A)1〜99質量%と、アクリル樹脂を主成分とする多段重合共重合体(B)1〜99質量%とを含有する樹脂組成物100質量部に対し、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)を0.005〜5質量部混合させてなる共押出成形用アクリル樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、窓枠などのサッシ類に用いられる塩化ビニル樹脂などの異形押出品の耐候性を向上させるために、表層に異形共押出成形されるアクリル樹脂組成物に関する。
従来、サッシにはアルミ材を用いるのが一般的であり、表面の自由度や形状の自由度を付与するために塩化ビニル樹脂を用いたサッシが使用されている。このような塩化ビニル樹脂製サッシでは、塩化ビニル樹脂の耐候性を補うためにアクリル樹脂を主成分とする樹脂層を共押出成形することが知られている。しかしながら、塩化ビニル樹脂などに耐候性向上のために表層にアクリル樹脂を共押出成形する際、プレートアウトというサイジングダイの汚れ付着が発生することが多い。この発生原因は、冷却中に樹脂成分が、何らかの理由で金属面に付着するものと考えられる。プレートアウトが発生すると、製品表面に付着物によってこすられた跡がつき極めて悪い外観となってしまう。
例えば特許文献1にはアクリル系共重合体とアクリル樹脂を主成分とする多層構造重合体を混合した樹脂組成物に対し特定分子量のポリテトラフルオロエチレンが混合されたアクリル樹脂組成物により、塩化ビニル樹脂などを基材としたアクリル樹脂との異形共押出成形において、プレートアウトの発生が抑えられることが示されている。しかしながらポリテトラフルオロエチレンはハロゲン原子を含まない一般の熱可塑性樹脂に対して分散性が不良であり、加工条件によってはブツが発生し成形体の表面性を損なうという欠点があった。
また特許文献2にはメタクリル酸メチル系樹脂、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)を配合されたメタクリル酸メチル系樹脂組成物が示されているが、塩化ビニル樹脂などを基材としたアクリル樹脂との異形共押出成形に関する記載はなく、共押出成形を行った場合、低い成形温度における成形加工性は不十分である。
また、プレートアウトは塩化ビニル樹脂の成形加工の際でも問題となることが多く、高分子系の滑剤を用いて対処できることが知られているが、アクリル樹脂を主成分とする樹脂組成物にこのような高分子系の滑剤を添加してもサイジングダイの汚れ、即ちプレートアウトを解消することはできなかった。また、プレートアウトを改良するために特定の艶消し剤を添加すると効果のあることが知られているが、艶消し剤は所定量以上添加する必要があり、その場合、耐衝撃性が低下することが懸念される。
特開平05−125249号 特開2000−290461号
本発明の目的は、共押出成形に供されるアクリル樹脂組成物に関し、成形体の表面外観に優れ、成形加工性の改良されたアクリル樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、塩化ビニル樹脂などを基材としたアクリル樹脂組成物との異形共押出成形において、プレートアウトの発生が抑えられ、しかも上記2点のバランスのとれたアクリル樹脂組成物を提供するものである。
すなわち本発明は、メチルメタクリレート系樹脂(A)1〜99質量%と、アクリル樹脂を主成分とする多段重合共重合体(B)1〜99質量%とを含有する樹脂組成物100質量部に対し、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)を0.005〜5質量部混合させてなる共押出成形用アクリル樹脂組成物である。
また本発明は、前記共押出成形用アクリル樹脂組成物からなるペレット状物である。
また本発明は、前記共押出成形用アクリル樹脂組成物と塩化ビニル樹脂系樹脂とを共押出成形してなる積層成形品である。
さらに本発明は、前記積層成形品からなる窓枠用型材である。
本発明のアクリル樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂との異形共押出成形がプレートアウトの発生が抑えられて実施でき、成形体の表面外観に優れるものである。また、低い成形温度での成形加工性にも優れていることから、工業的に優れた意義を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の樹脂組成物においてメチルメタクリレート系樹脂(A)としては、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルと炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルの共重合体が好ましい。炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルとしてはメタクリル酸メチルが最も好ましく、また炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルとしてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルおよびアクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
メチルメタクリレート系樹脂(A)中に占めるアクリル酸アルキルエステル単位の比率は、特に制限はないが、メチルメタクリレート系樹脂100質量%あたり、1〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、8〜20質量%がさらに好ましい。アクリル酸アルキルエステルが30質量%以下であると耐熱性が十分であり、1質量%以上であると、塩化ビニル系樹脂の流動性にアクリル樹脂組成物の流動性がよく適応する。
次に、本発明で用いられるアクリル樹脂を主成分とする多段重合共重合体(B)は、樹脂組成物に耐衝撃性を付与する成分であり、アクリル酸アルキルエステルの重合体をゴム成分とするものである。例えば特公昭54−18298号公報に示されているような2段重合により得られる多段重合共重合体、特開昭62−230841号公報に示されているような3段重合共重合体、さらには特開昭57−140161号公報、同52−56150号公報に示されているような4段重合共重合体など、多段重合共重合体を使用することができる。アクリル樹脂を主成分とする多段重合共重合体としては、耐候性の観点からメタクリル酸アルキルエステル単位、あるいはアクリル酸アルキルエステル単位を50質量%以上含有するものであり、70質量%以上含有するものが好ましい。
本発明においてメチルメタクリレート系樹脂(A)とアクリル樹脂を主成分とする多段重合共重合体(B)の組成割合は、塩化ビニル系樹脂との共押出成形を行なう際に極めて重要であり、樹脂組成物がメチルメタクリレート樹脂(A)1〜99質量%と、アクリル樹脂を主成分とする多段重合共重合体(B)1〜99質量%とを含有することが必要である。
メチルメタクリレート系樹脂(A)が1質量%未満であると、流動性が低下するため塩化ビニル樹脂との共押出成形が困難となる。一方、メチルメタクリレート系樹脂(A)が99質量%を超えると、塩化ビニル樹脂との共押出成形品の衝撃強度が低下し、破損しやすくなる。メチルメタクリレート樹脂(A)が10〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。
本発明において使用される粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)は、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と、有機系重合体とからなリ、このポリテトラフルオロエチレンが10μmを超える大きさの粒子あるいは凝集体となっていないことが必要である。粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子あるいは有機系重合体は乳化重合により製造するのが好ましい。前記ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体としては、ラテックスの粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合して凝固またはスプレードライにより粉体化して得られるもの、あるいは前記粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液存在下で有機系重合体を構成する単量体を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られるもの、あるいは前記粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を添加し乳化重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られるものが好ましい。本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)を得るために用いる、ラテックスの粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液は、例えば含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でテトラフルオロエチレンモノマーを重合させることにより得られる。
ポリテトラフルオロエチレン粒子の乳化重合の際、ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィンや、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。これら共重合成分の含量は、テトラフルオロエチレンとの合計100質量%に対して10質量%以下であることが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液の市販原料としては、旭硝子フロロポリマー社製のフルオンAD−1,AD−936、AD−911、ダイキン工業社製のポリフロンD−1,D−2、三井デュポンフロロケミカル社製のテフロン30J等を代表例として挙げることができる。
ポリテトラフルオロエチレンの分子量としては特に制限はないが、アクリル樹脂組成物への分散性の観点から、示差走査熱量計(DSC)で測定した数平均分子量が10万〜3000万の範囲にあることが好ましく、50万〜300万がより好ましい。
本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を構成する有機系重合体としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート系樹脂に配合する際の分散性の観点からメチルメタクリレート系樹脂との親和性が高いものであることが好ましい。
前記有機系重合体を製造するための原料単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
これらの単量体の中でメチルメタクリレート系樹脂との親和性の観点から好ましいものとして、芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、シアン化ビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体を30質量%以上含有する単量体混合物を挙げることができる。特に好ましいものとして、スチレン、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレートからなる群より選ばれる1種以上の単量体を30質量%以上含有する単量体混合物を挙げることができる。これら単量体から例えば公知の乳化重合により前記有機系重合体を得ることができる。なお、ここで「(メタ)アクリル」とは、「メタクリル」あるいは「アクリル」を意味する。
本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体中に占めるポリテトラフルオロエチレンの含有割合は、0.1質量%〜90%質量であることが好ましい。0.1質量%以上であると成形性の改良効果が十分となり、90質量%以下であると得られた成形品の表面外観は良好となる。
本発明に用いるのポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体は、その水性分散液を、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固した後に乾燥するか、スプレードライにより粉体化することができる。
通常のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーは、粒子分散液の状態から粉体として回収する工程で100μm以上の凝集体となってしまうために熱可塑性樹脂に均一に分散させることが困難であるのに対して、本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体は、ポリテトラフルオロエチレンが単独で粒子径10μmを超えるドメインを形成していないためにメチルメタクリレート系樹脂に対する分散性がきわめて優れている。この結果、本発明のメチルメタクリレート系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンがメチルメタクリレート系樹脂中で効率よく微細繊維化しており、種々の成形性が優れる上に、表面外観にも優れるものとなる。
本発明の共押出成形用アクリル樹脂組成物は、メチルメタクリレート系樹脂(A)1〜99質量%と、アクリル樹脂を主成分とする多段重合共重合体(B)1〜99質量%とを含有した樹脂組成物100質量部に対して前記ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)を0.005〜5質量部配合させてなるものである。0.005質量部未満ではプレートアウトは解消されず、また、5質量部を超えると基材樹脂組成物の持つ特性、流動性および耐衝撃性が損なわれる。
ハンドブレンドして得た本発明のアクリル樹脂組成物を共押出成形に用いた場合、アクリル樹脂組成物における各原材料の分散が不十分になり、ブツが発生したり、耐衝撃性が低下する恐れがある。そこで例えばヘンシェルミキサー、リボンブレンダーなどでせん断応力をかけてブレンドすることが好ましい。また、本発明のアクリル樹脂組成物は着色を施こすことが可能であり、公知の着色剤を添加することができる。
本発明の共押出成形用アクリル樹脂組成物と、他樹脂とを共押出することにより、アクリル樹脂を表層に有する積層成形品を得ることができる。本発明の共押出成形用アクリル樹脂組成物と共押出成形に用いる他の樹脂としては、特に限定されないが、ABS樹脂、ASA樹脂、AS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、あるいはこれらを主成分とする熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも、塩化ビニル系樹脂が加工性および機械特性の観点より好ましい。ここで、塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルを単独重合またはこれを主体として他の単量体と共重合させた樹脂である。共押出成形用アクリル樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂等の基材の被覆材として、意匠性付与、耐候性、耐汚染性、耐擦傷性等の基材保護の目的として使用することができる。
また、本発明の積層成形品は、複数機台の押出機と溶融樹脂合流部のあるダイスを備えた共押出成形機を用い、各種樹脂と本発明の共押出成形用アクリル樹脂組成物を共押出成形した後、冷却することにより得ることができる。共押出成形により得られる積層成形品におけるアクリル樹脂層の厚みは、特に限定されないが、基材樹脂表面の隠蔽性、および基材保護の観点より、10〜1000μmが好ましく、50〜500μmがより好ましく、100〜500μmがさらに好ましい。
本発明の共押出成形用アクリル樹脂組成物は、他の樹脂と共押出成形を行う際に、溶融混練し、ペレット化したものを用いることが好ましい。
本発明により得られる積層成形品は、例えば異形押出成形により得られる窓枠用型材として好適である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性評価は下記の方法により行った。
(1)成形加工性:後述する異形共押出装置を用いて積層成形品を作製する際、溶融混練時のサブ押出機のスクリュー回転トルクを電流値として測定した。なお高負荷となり電流値が15Aを超える場合、装置が停止する設定とした。表1には「>15」と記載した。
(2)ダイライン:作製した積層成形品の表面を観察し、ダイラインの有るものを×、無いものを○とした。
(3)ブツ:作製した積層成形品を30cm四方に切り取り、表面ブツを目視で数えた。
(4)数平均分子量:示差走査熱量計(DSC)を用いて、結晶化熱の測定を行い、下式に基づいて数平均分子量を算出した。
数平均分子量Mn=2.1×1010×△Hc−5.16
Hc:DSC結晶化熱(cal/g)
(5)ラテックスの質量平均粒子径:得られたラテックスを蒸留水で希釈し、濃度約3%の希釈ラテックス0.1mlを試料とし、MATEC社製CHDF2000型粒度分布測定装置を用い、流速1.4ml/min、圧力2.76MPa、温度35℃の条件下で測定し、質量平均粒子径を算出した。測定には、粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびキャリア液を用い、液のpHはほぼ中性とした。なお、測定前には、DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを標準粒子径物質とし、0.02μmから0.8μm間の12点の粒子径を測定して、検量線を作成した。
メチルメタクリレート系樹脂(A)として下記の3種類を用いた。
(A−1)アクリペット(登録商標)MF(三菱レイヨン製)
(A−2)アクリペット(登録商標)VH(三菱レイヨン製)
(A−3)アクリペット(登録商標)SV(三菱レイヨン製)
アクリル樹脂を主成分とする多段重合共重合体(B)として下記の方法で製造した(B−1)および(B−2)をそれぞれ用いた。なお、以下記載の「部」は「質量部」を表す。
<製造例1>多段重合共重合体(B−1)の製造方法
攪拌機、還流冷却器、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、以下の成分を仕込んだ。
成分 量(部)
脱イオン水 300
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.48
硫酸第1鉄(CF) 0.4×10−6
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA) 1.2×10−6
次に、系を窒素置換しながら80℃に昇温し、下記の組成の混合物(a−1)を2時間かけて投入し、80℃に保ったまま1時間保持して1段目の重合を完結させた。得られたラテックスの重合率は99質量%以上であった。
混合物(a−1)
成分 量(部)
メタクリル酸メチル 22
スチレン 2
アクリル酸ブチル 16
1,3−ブタンジオールジメタクリレート 1
メタクリル酸アリル 0.1
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.04
モノ−n−ドデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸ナトリウム(乳化剤A) 1.3
引き続き、上記ラテックスにSFS0.2部を含む脱イオン水5部を入れ、15分間保持した後、下記の組成の混合物(a−2)を3時間かけて滴下し、3時間保持して2段目の重合を完結させた。得られたラテックスの重合率は99%質量以上であった。
混合物(a−2)
成分 量(部)
スチレン 10
アクリル酸ブチル 50
1,3−ブタンジオールジメタクリレート 0.2
メタクリル酸アリル 1.2
クメンハイドロパーオキサイド 0.2
乳化剤A 2.5
引き続き、上記ラテックスにSFS0.2部を含む脱イオン水5部を入れ15分間保持した後、下記の組成の混合物(a−3)を2時間かけて滴下し、1時間保持して3段目の重合を完結させた。得られた最終ラテックスの重合率は99質量%以上であった。
混合物(a−3)
成分 量(部)
メタクリル酸メチル 57.0
アクリル酸メチル 3.0
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.1
n−オクチルメルカプタン 0.2
ステンレス製の容器に凝固剤として1.6質量%酢酸カルシウム水溶液300部を仕込み、混合攪拌下90℃に昇温し、これに製造例1の最終ラテックス)300部を10分間にわたって連続的に添加し、その後5分間保持した。そして、室温まで冷却し、脱イオン水で洗浄しながら遠心脱水(1300G、3分間)でろ別して湿潤状の共重合体を得た。この湿潤状の共重合体を75℃で48時間乾燥させて白色粉体状の共重合体(B−1)を得た。
<製造例2>多段重合共重合体(B−2)の製造方法
攪拌機、還流冷却器、窒素吹き込み口、単量体追加口および温度計を備えたステンレス鋼製反応器中に、脱イオン水293部、SFS0.48部、CF1.2×10−4部、EDTA3.6×10−4部、乳化剤A0.10部、および、炭酸ナトリウム0.02部を仕込んだ。
次に、系を窒素置換しながら80℃に昇温し、スチレン20部、アクリル酸ブチル80部、メタクリル酸アリル0.9部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.3部、および、乳化剤A1.1部から成る混合物を2時間かけて投入し、1時間保持して1段目のゴム状弾性体を形成し、ラテックスを得た。
引き続き、ラテックス中に、SFS0.12部および脱イオン水4.0部から成る混合物を入れ、15分間保持した。その後、メタクリル酸メチル57.0部、アクリル酸メチル3.0部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1部、n−オクチルメルカプタン0.2部、および、乳化剤A0.4部から成る混合物を1.5時間かけて滴下し、1時間保持して2段目の硬質重合体を形成し、多段重合共重合体ラテックスを得た。このラテックスの質量平均粒子径は0.148μmであった。その後、製造例1と同様の方法で上記ラテックスから白色粉体状の共重合体(B−2)を得た。
粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)は下記の方法で製造した(C−1)および(C−2)を用いた。
<製造例3>ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C−1)の製造方法
攪拌翼、コンデンサー、熱電対、及び窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに、蒸留水290部、乳化剤としてアルケニルコハク酸ジカリウム(花王(株)製 商品名「ラテムルASK」)2.0部、メタクリル酸メチル80部、アクリル酸エチル20部を仕込み、窒素気流下で60℃に昇温した。次いで、過硫酸カリウム0.15部、蒸留水10部の混合液を加え、ラジカル重合を開始させた。発熱終了後、系内の温度を60℃で1時間保持して重合を完了させ、有機系重合体粒子分散液を得た。得られた粒子分散液は、固形分濃度が25.3質量%であり、粒子径分布は単一のピークを示し、質量平均粒子径は107nmであった。
得られた有機系重合体粒子分散液200部(有機系重合体を固形分で50.6部含む)と、ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液「AD938」(旭硝子社製、固形分濃度60質量%、DSC法による数平均分子量は530万)「AD938」83.3部(ポリテトラフルオロエチレン粒子50部)とを攪拌機を備えたセパラブルフラスコに仕込み、室温で30分間攪拌した。一連の操作を通じて固形物の分離は見られず、均一な粒子分散液を得た。そして、この粒子分散液を、塩化カルシウム5部を含む90℃の熱水700部に投入し、固形物を凝固し、分離させた後、濾布で濾過、乾燥して白色粉体(C−1)を得た。
粉体(C−1)をプレス成形機により250℃で短冊状に賦型した後、ミクロトームで超薄切片としたものを無染色のまま透過型電子顕微鏡で観察した。ポリテトラフルオロエチレンは暗部として観察されるが、10μmを超える粒子あるいは凝集体は観察されなかった。
<製造例4>ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C−2)の製造方法
製造例3において、使用するポリテトラフルオロエチレン粒子分散液をAD−911(数平均分子量200万未満)に変更する以外は同様の方法により白色粉体(C−2)を得た。
粉体(C−2)を前記粉体(C−1)と同様にして透過型電子顕微鏡で観察したところ、10μmを超える粒子あるいは凝集体は観察されなかった。
<実施例1〜9、比較例1〜3>
表1に示す配合比で、メチルメタクリレート系樹脂(A)、アクリル樹脂を主成分とする多段重合共重合体(B)および粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)を混合し、外形30mmφの2軸スクリュー型押出機((株)池貝製、PCM−30型、L/D=25)を使用し、シリンダー温度200℃、ダイ温度200℃で溶融混練して共押出成形用アクリル樹脂組成物のペレットを作製した。そして、このペレットを用いて以下のようにして2層積層成形品を作製した。また比較用として(C−3)ポリテトラフルオロエチレン(数平均分子量:約2000万)を使用した。
実施例、比較例で得られたペレットを、アイ・ケー・ジー(株)製スクリュ−径50mm単軸のメイン押出機と、スクリュー径30mm単軸のサブ押出機とを組み合わせた異形共押出装置によって、2層の積層品を成形した。メイン押出機には塩化ビニル系樹脂(信越化学製TK−1000を用いたコンパウンド)を供給し、そのバレル温度およびダイス温度は共に190℃に設定し、サブ押出機にはアクリル樹脂組成物を供給し、そのバレル温度およびダイス温度は180℃または210℃の設定で成形を行った。なお、この2層押出装置で得られる積層成形品は、断面形状において外形は幅が85mm、高さが15mm、肉厚3mmの長方形状で、内側は幅79mm、高さ9mmの長方形状の中空部とした。コア層に塩化ビニル系樹脂を用い、幅85mmの片面の最外層に0.2mm厚の前記アクリル樹脂組成物を用いた。なお、実施例9においてはペレットを作製せず、ハンドブレンドしたアクリル樹脂組成物(粉粒体)をサブ押出機に供給した。各評価結果を表1に示す。
Figure 2007302772
本発明によって得られたアクリル樹脂組成物は、共押出成形により積層成形品とすることができ有用である。

Claims (5)

  1. メチルメタクリレート系樹脂(A)1〜99質量%と、アクリル樹脂を主成分とする多段重合共重合体(B)1〜99質量%とを含有する樹脂組成物100質量部に対し、粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)を0.005〜5質量部混合させてなる共押出成形用アクリル樹脂組成物。
  2. 粒子径10μm以下のポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(C)におけるポリテトラフルオロエチレンの数平均分子量が50万〜300万の範囲である請求項1記載の共押出成形用アクリル樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の共押出成形用アクリル樹脂組成物からなるペレット状物。
  4. 請求項1〜2記載の共押出成形用アクリル樹脂組成物と塩化ビニル系樹脂とを共押出成形してなる積層成形品。
  5. 請求項4記載の積層成形品からなる窓枠用型材。
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JP7025152B2 (ja) 2017-09-01 2022-02-24 株式会社エクセルシャノン 保護材が積層された樹脂製窓枠

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