JP2007300041A - アルミニウム電解コンデンサ及びアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ及びアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、酸性度の高い電解液中や高温での使用に対して、高温での外観膨れが小さく容量変化などの特性劣化が少ないアルミニウム電解コンデンサ及びそれに用いる初期の容量特性を損なわずに容量変化が少ない陰極箔を提供することを目的とする。
【解決手段】粗面化されたアルミニウム箔を陽極酸化により誘電体酸化皮膜を形成して陽極とし、粗面化されたアルミニウム箔を陰極とし、電解液を含浸させたセパレータを介して前記陽極箔及び陰極箔を対向させ、これらを外装ケースに収納してなるアルミニウム電解コンデンサにおいて、アルミニウム素地1を溶出させない保護層2を前記電解液に接触する表面に設けた陰極箔を用いてアルミニウム電解コンデンサとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子機器に利用されるアルミニウム電解コンデンサ及びアルミニウム電解コンデンサに用いられる陰極箔に関するものである。
近年、デジタル家電を中心としたAVや携帯機器及びパーソナルコンピュータ等の電子機器および車載用に使用されるアルミニウム電解コンデンサは、従来の小型大容量で長寿命化のみならず、低ESR化(等価直列抵抗の低減)や高温度保証化および鉛フリーリフロー対応などが強く望まれている。
一般にアルミニウム電解コンデンサは、高純度アルミニウム箔を電気化学的に粗面化しその後陽極酸化を行って誘電体酸化皮膜を形成してなる陽極箔と、粗面化したアルミニウム陰極箔とをセパレータを介して巻回し、その巻回物に電解液を含浸させることにより構成されているものである。この電解液には電導度を高くするためや電気分解による電解液の劣化を抑えるために種々の電解質や添加剤が用いられている。
そこで上記電解液との水和反応を抑制するためにケイ素や金属アルコラートなどで上記陰極箔を処理し、アルミニウム電解コンデンサの長寿命化が図られている。
この出願の発明に関連する先行技術文献としては、例えば、ケイ素処理に関して特許文献1、金属アルコラート処理に関して特許文献2が知られている。
特公平7−97544号公報 特開2000−12397号公報
しかしながら、アルミニウム電解コンデンサを低ESR化するためには電解液を更に高電導度化することが必要で、そのために解離度が大きく酸性が強い電解質が使われる傾向が強く、特に陽極箔に比べて陽極酸化皮膜のない陰極箔は、電解液中にアルミニウム素地が溶解し、アルミニウム電解コンデンサ内でのガス発生による外観膨れや静電容量の減少が問題となっていた。また車載用などでは従来の105〜125℃保証から135〜150℃への高温度保証化が要望されており、環境面からは表面実装品のリフロー条件として従来の240℃ピークから鉛フリーでは260℃ピークのリフロー条件に耐えるアルミニウム電解コンデンサの開発が要望されているが、これらを実現するには、上記陰極箔を安定化し、高温でのアルミニウム素地の溶解による水素ガスの発生を抑え容量変化抑制などの劣化対策をすることが不可欠であった。
そこで本発明はこのような従来の課題を解決し、低ESRで、高温での容量変化などの特性劣化が少ないアルミニウム電解コンデンサ及びそれに用いる高容量の特性を損なわずに容量変化などの特性劣化が少ないアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明は、粗面化されたアルミニウム箔を陽極酸化により誘電体酸化皮膜を形成して陽極とし、粗面化されたアルミニウム箔を陰極とし、電解液を含浸させたセパレータを介して陽極箔及び陰極箔を対向させ、これらをケースに収納してなるアルミニウム電解コンデンサにおいて、前記陰極箔として電解液に接触する表面にアルミニウム素地を溶出させない保護層を設けたことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサとした。
本発明によれば、アルミニウム電解コンデンサの陰極箔に、アルミニウム素地を溶出させない保護層を電解液に接触する表面に設けた構成とすることで、酸性度が高い電解液に対しても、陰極箔のアルミニウム素地が電解液中に溶解することなく、アルミニウム電解コンデンサの容量変化などの特性劣化が少なくなる効果が得られる。更には高温になるほど陰極箔のアルミニウム素地が電解液中に溶解しやすくなるが、上記保護膜を設けることでこの溶解反応が抑制され、高温でのアルミニウム素地の溶解による水素ガスの発生を抑え外観変形を抑制するとともに、高温に対しても陰極箔の容量変化などの特性劣化を抑制する効果も得られる。
したがって上記陰極箔を使用することで、酸性度が高いが電導度も高い電解液の使用ができアルミニウム電解コンデンサの更なる低ESR化が可能となり、高温での容量変化が小さくなることで高温度保証化および鉛フリーリフロー対応が可能になるものである。
本発明の請求項1に記載の発明においては、粗面化されたアルミニウム箔を陽極酸化により誘電体酸化皮膜を形成して陽極とし、粗面化されたアルミニウム箔を陰極とし、電解液を含浸させたセパレータを介して陽極箔及び陰極箔を対向させ、これらをケースに収納してなるアルミニウム電解コンデンサにおいて、前記陰極箔として電解液に接触する表面にアルミニウム素地を溶出させない保護層を設けた構成を有する。
これにより、解離度が大きく酸性が強い電解質が使われた電解液に対しても、陰極箔のアルミニウム素地が電解液中に溶解することなく水素ガスの発生を抑え、アルミニウム電解コンデンサの外観変形を抑制し、容量変化などの特性劣化を抑制する効果が得られる。更には高温になるほど一般的に反応速度が増加するために、陰極箔のアルミニウム素地が電解液中に溶解しやすくなるが、上記保護膜を設けることでこの溶解反応が抑制され、高温に対しても外観変形の抑制と陰極箔の容量変化などの特性劣化を小さくしたアルミニウム電解コンデンサを提供することができる。
本発明の請求項2に記載の発明においては、前記保護層としてポリリン酸、ポリリン酸塩、ポリリン酸エステルのいずれかを含むリン系化合物を用いた構成であり、これによりポリリン酸1分子中に多く含まれる酸素が陰極箔素地のアルミニウムと強固に結合することにより前記保護層となり、アルミニウム素地の溶解反応を抑制し、酸性度が高い電解液に対しても高温に対しても、水素ガスの発生を抑え外観変形を抑制し容量変化の小さいアルミニウム電解コンデンサを提供することができる。またポリリン酸、ポリリン酸塩、ポリリン酸エステルのいずれかを含むリン系化合物の保護層の形成は湿式プロセスである各化合物の水溶液中への浸漬処理によって可能であり、従来の陰極箔の湿式エッチングプロセスにおいて生産が可能である。
本発明の請求項3に記載の発明においては、前記保護層として高耐食性のタンタル、ニオブ、ジルコニウム及びその化合物のいずれかを用いた構成であり、これにより強酸に対して高耐食性を示す金属層をアルミニウム素地の保護層とすることで、アルミニウム素地の溶解反応を抑制し、酸性度が高い電解液に対しても高温に対しても、水素ガスの発生を抑え外観変形を抑制し容量変化の小さいアルミニウム電解コンデンサを提供することができる。
本発明の請求項4に記載の発明においては、前記保護層を2層構造とし、アルミニウム素地側の保護層と表層側の保護層のどちらか一方の保護層をポリリン酸、ポリリン酸塩、ポリリン酸エステルのいずれかを含むリン系化合物で構成し、他方の保護層を高耐食性のタンタル、ニオブ、ジルコニウム及びその化合物のいずれかで構成したものであり、これによりポリリン酸1分子中に多く含まれる酸素が陰極箔素地のアルミニウムまたは高耐食の金属と強固に結合することにより前記保護層となり、なおかつ強酸に対して高耐食性を示す金属層で二重に被覆することで、更に高酸性度の電解液を使用しても高温に耐えうる保護層としたもので、更に水素ガスの発生を抑え外観変形を抑制し容量変化の小さいアルミニウム電解コンデンサを提供することができる。
本発明の請求項5に記載の発明においては、前記保護層の厚みを0.2nm以上1.0nm以下とした構成であり、これにより保護層の厚みを0.2nm以上としてアルミニウム素地の溶解反応を抑制しつつ、保護層の厚みを1.0nm以下として保護層厚みの増加による陰極箔の初期静電容量の減少を防ぎ、劣化特性に優れかつ高容量のアルミニウム電解コンデンサを提供することができる。
本発明の請求項6に記載の発明においては、アルミニウム素地を溶出させない保護層を前記電解液に接触する表面に設けた構成のアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔である。
これにより、解離度が大きく酸性が強い電解質が使われた電解液に対しても、陰極箔のアルミニウム素地が電解液中に溶解することなく、陰極箔の高容量の特性を損なわずに容量変化などの特性劣化が少なくなる効果が得られる。更には高温になるほど一般的に反応速度が増加するために、陰極箔のアルミニウム素地が電解液中に溶解しやすくなるが、上記保護膜を設けることでこの溶解反応が抑制され、高温に対しても容量変化などの特性劣化が小さい陰極箔が得られる。
以下本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
厚み50μmで純度99.9%のアルミニウム箔を用い、添加剤を含む10%塩酸中で交流電解エッチングして実効表面積を拡大し、5%硝酸中に浸漬し表面に残留した塩素を洗浄後、2%ポリリン酸溶液中で浸漬処理し、大気中で400℃の熱処理を実施し陰極箔を作成した。
図1は本実施例1における陰極箔の断面図であり、エッチングにより粗面化されたアルミニウム素地1の表面にポリリン酸中の酸素がアルミニウム素地1と結合した保護層2として形成された構成となる。
(実施例2)
厚み50μmで純度99.9%のアルミニウム箔を用い、添加剤を含む10%塩酸中で交流電解エッチングし、5%硝酸中に浸漬し洗浄後、大気中で400℃の熱処理を実施し、表面にタンタル金属を蒸着し陰極箔を作成した。
本実施例2も同様に図1において、エッチングにより粗面化されたアルミニウム素地1の表面にタンタル金属がアルミニウム素地1を被覆した保護層2として形成された構成となる。
(実施例3)
厚み50μmで純度99.9%のアルミニウム箔を用い、添加剤を含む10%塩酸中で交流電解エッチングし、5%硝酸中に浸漬し洗浄後、2%ポリリン酸溶液中で浸漬処理し、大気中で400℃の熱処理を実施後、表面にタンタル金属を蒸着し陰極箔を作成した。
図2は本実施例3における陰極箔の断面図であり、エッチングにより粗面化されたアルミニウム素地1の表面にポリリン酸中の酸素がアルミニウム素地1と結合した素地側保護層3として形成され、その表面をタンタル金属が被覆した表面側保護層4として形成された構成となる。
(比較例1)
厚み50μmで純度99.9%のアルミニウム箔を用い、添加剤を含む10%塩酸中で交流電解エッチングし、5%硝酸中に浸漬し表面に残留した塩素を洗浄後、大気中で400℃の熱処理を実施し陰極箔を作成した。
図3に本発明の実施例におけるアルミニウム電解コンデンサの斜視図を示す。上記実施例1〜3と比較例1の陰極箔5を用いて、図3に示すように直径8mm長さ10mmの外形寸法の6.3V用のアルミニウム電解コンデンサを試作した。まず粗面化されたアルミニウム箔を電圧10Vで陽極酸化し誘電体酸化皮膜を形成して陽極箔6とし、前記陰極箔5と前記陽極箔6の各々にリード線8a,8bを接続後、セパレータ7a,7bを介して巻回し、その巻回物に電解液(図示せず)を含浸させてコンデンサ素子9とし、このコンデンサ素子9を外装ケース10に封口ゴム11で封止してアルミニウム電解コンデンサとした。
上記のようにして試作した陰極箔5及びアルミ電解コンデンサについて下記項目を測定した。
陰極箔5の保護層2の厚み(nm)はその厚みが薄いためSEMなどで直接測定するのは非常に難しく、今回SIMS分析(2次イオン質量分析)にて陰極箔5の深さ方向のリン、タンタル、アルミニウムなどの原子分布測定を実施し、保護層2の厚みの測定基準として別途陽極酸化した陰極箔5の皮膜厚みを陽極酸化電圧1Vあたり1nmとして換算して、ポリリン酸やタンタルなどの片側の保護層2の厚みを測定した。更に、LCRメーターにて陰極箔5の初期容量(μF/cm2)と沸騰した純水中での6時間浸漬後の容量を測定し、高温劣化の加速評価指標として陰極箔5の容量変化率(%)を評価した。
次に上記アルミニウム電解コンデンサの初期容量(μF)び初期製品高さ(mm)及び135℃2000時間後の容量及び製品高さを測定し、初期に対する容量変化率(%)と外観膨れ(mm)を測定した。その際電解液には通常の電導度のγブチルラクトン系のpH5の電解液と、強酸の電解質を添加して電導度を約50%向上しESRを約20%低減することのできるγブチルラクトン系のpH2の電解液を使用した。これらの測定結果を(表1)に示す。
Figure 2007300041
(表1)から明らかなように、陰極箔5に保護層2のない比較例1では、沸騰した純水中での6時間浸漬後の初期からの陰極箔5の容量変化率が50%と大きく陰極箔5としての劣化が大きくなり、アルミニウム電解コンデンサの135℃2000時間後の高温劣化特性は、従来のpH5の電解液中では容量変化20%であり外観膨れも1.2mmでやや大きく、酸性度の高いpH2の電解液中では容量変化率も60%になり外観膨れも2.5mmと非常に大きくなっている。これはアルミニウム電解コンデンサの容量は陽極箔6と陰極箔5との合成容量で決定されるため、陰極箔5がアルミニウム素地の溶出により表面積が大きく減少したために容量が減少し、それに伴ってアルミニウム電解コンデンサの容量も減少したものであり、陰極箔5の溶解反応に伴う水素ガスの発生によりアルミニウム電解コンデンサの内圧が上昇し外観膨れが発生したものである。
一方、実施例1〜3は陰極箔5の初期容量はほぼ同等で、沸騰した純水中での6時間浸漬後の初期からの容量変化率も低く安定であり、従来のpH5の電解液中のみならず酸性度の高いpH2での電解液中でも135℃2000時間後の初期からの容量変化率も10%以下に抑制されており、またガス発生も抑えられているため製品の外観膨れも1.0mm以下と小さい。保護層2が素地側保護層3,表面側保護層4の2層構造である実施例3では酸性度の高いpH2での電解液中でも135℃2000時間後の容量変化率は3%であり外観膨れが0.3mmと最も良い結果となった。
すなわち、実施例1〜2では保護層2の、実施例3では素地側保護層3及び表面側保護層4の存在により、解離度が大きく酸性が強い電解質が使われた電解液に対しても、陰極箔5のアルミニウム素地1が電解液中に溶解することなく、陰極箔5の高容量の特性を損なわずにアルミニウム電解コンデンサの容量変化などの特性劣化が少なくなる効果が得られる。また高温になるほど一般的に反応速度が増加するために、陰極箔5のアルミニウム素地1が電解液中に溶解しやすくなるが、上記保護膜2、又は素地側保護層3及び表面側保護層4を設けることで、陰極箔5の溶解反応に伴う水素ガスの発生によって生じるアルミニウム電解コンデンサの内圧上昇が抑制され外観膨れが抑えられるとともに、高温に対しても容量変化などの特性劣化を小さくでき、更には瞬時に高温にさらされるリフロー時においても、上記と同様の理由で保護層2の存在によりリフロー温度を従来より向上させることができる効果も得られる。
次に公知技術との違いをそのメカニズムで説明する。従来の水和反応を抑制するためのケイ素や金属アルコラート処理では、アルミニウム表面が水と反応してベーマイトや水酸化アルミニウムを形成させないようにアルミニウム表面の1部にケイ素や金属アルコラート層の吸着層を形成させるため、アルミニウム素地1を均一に被覆できず劣化抑制効果が不十分である。また一般的に耐水性向上に用いられる単なるリン酸処理においてもアルミニウムとの結合性が弱くリン酸イオンの吸着などの局部的な結合にとどまりアルミニウム素地1を均一に被覆できず劣化抑制効果が不十分である。一方リン酸に比べ本発明のポリリン酸ではその高分子の分子構造からアルミニウム素地1への被覆性が増す上に、ポリリン酸の1分子中に酸素原子が多く含まれるために前記酸素原子が陰極箔5のアルミニウム原子と結合する結合点を単位面積あたり増加させることができ、アルミニウム素地1と保護層2の化学結合が強くなり保護層2の厚みが薄くてもアルミニウム素地1の表面を均一に被覆することができる。
またタンタル及びその化合物などの化学的に高耐食性を示す金属は均一にアルミニウム素地1を被覆することができ、保護層2の厚みを薄くして上記保護効果を発揮することが可能である。
更にタンタルなどの金属はポリリン酸の素地側保護層3の表面にも均一に被覆して表面側保護層4を形成することができるため、保護層2をポリリン酸とタンタルを組み合わせ素地側保護層3,表面側保護層4の2層構造にした陰極箔5は、アルミニウム素地1の保護効果が顕著に増加し、強酸および高温に対する劣化特性が特に優れている。これはポリリン酸とタンタルが素地側保護層3,表面側保護層4のどちらであってもほぼ同等の効果が得られる。
また、陰極箔5の保護層2の厚みは、実施例1においてポリリン酸の濃度、浸漬処理時間及び処理温度を変化させて実験し、処理なしをNO.1とし、SIMS分析により上記の方法で測定し保護膜2の厚み順にNO.2を0.1nm、NO.3を0.2nm、NO.4を0.5nm、NO.5を1.0nm、NO.6を2.0nmとして、上記と同様に陰極箔5及びアルミニウム電解コンデンサの特性評価を実施した。その結果を(表2)に示す。
Figure 2007300041
(表2)より明らかなように、保護層2の厚みが厚くなると陰極箔の初期容量が減少する傾向にあり、1.0nmより大きくなると初期の静電容量が10%以上減少し、陽極箔6と陰極箔5の合成容量であるアルミニウム電解コンデンサの容量も減少するため1.0nm以下が良い。また保護層2の厚みが0.2nm未満では保護層2が薄くてアルミニウム素地1の全面を被覆することができないために劣化抑制効果が不十分で、厚み0.1nmの場合にはアルミニウム電解コンデンサの135℃2000時間後の高温劣化特性は、酸性度の高いpH2の電解液中では容量変化率も30%になり外観膨れも2.1mmと大きくなっている。保護層2の厚みが0.2nm以上1.0nm以下の場合にはアルミニウム電解コンデンサの135℃2000時間後の高温劣化特性は、従来のpH5の電解液中では容量変化1〜4%であり外観膨れも0.1〜0.4mmであり、酸性度の高いpH2の電解液中でも容量変化率は5〜10%で外観膨れも0.5〜1.2mmと良好である。
なお実施例1または3においてポリリン酸の代わりにポリリン酸塩、ポリリン酸エステルのいずれかを含むリン系化合物を用いても同様の効果が得られる。
また実施例2または3においてタンタルの代わりにニオブ、ジルコニウム及びその化合物を用いても同様の効果が得られる。
デジタル家電を中心としたAVや携帯機器及びパーソナルコンピュータ等の電子機器および車載用に使用されるアルミニウム電解コンデンサは、従来の小型大容量で長寿命化のみならず、低ESR化(等価直列抵抗の低減)や高温度保証化および鉛フリーリフロー対応などが強く望まれており、これを実現するために、高温での外観膨れが小さく容量変化などの特性劣化が少ないアルミニウム電解コンデンサ及びそれに用いる初期の容量特性を損なわずに容量変化が少ない陰極箔を提供することができる。
本発明の実施例1における陰極箔の断面図 本発明の実施例3における陰極箔の断面図 本発明の実施例におけるアルミニウム電解コンデンサの斜視図
符号の説明
1 アルミニウム素地
2 保護層
3 素地側保護層
4 表面側保護層
5 陰極箔
6 陽極箔
7a,7b セパレータ
8a,8b リード線
9 コンデンサ素子
10 外装ケース
11 封口ゴム

Claims (6)

  1. 粗面化されたアルミニウム箔を陽極酸化により誘電体酸化皮膜を形成して陽極とし、粗面化されたアルミニウム箔を陰極とし、電解液を含浸させたセパレータを介して陽極箔及び陰極箔を対向させ、これらをケースに収納してなるアルミニウム電解コンデンサにおいて、前記陰極箔として電解液に接触する表面にアルミニウム素地を溶出させない保護層を設けたことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。
  2. 前記保護層としてポリリン酸、ポリリン酸塩、ポリリン酸エステルのいずれかを含むリン系化合物を用いたことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ。
  3. 前記保護層として高耐食性のタンタル、ニオブ、ジルコニウム及びその化合物のいずれかを用いたことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ。
  4. 前記保護層を2層構造とし、アルミニウム素地側の保護層と表層側の保護層のどちらか一方の保護層をポリリン酸、ポリリン酸塩、ポリリン酸エステルのいずれかを含むリン系化合物で構成し、他方の保護層を高耐食性のタンタル、ニオブ、ジルコニウム及びその化合物のいずれかで構成したことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ。
  5. 前記保護層の厚みを0.2nm以上1.0nm以下としたことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ。
  6. 粗面化されたアルミニウム箔を陽極酸化により誘電体酸化皮膜を形成して陽極とし、粗面化されたアルミニウム箔を陰極とし、電解液を含浸させたセパレータを介して陽極箔及び陰極箔を対向させ、これらをケースに収納してなるアルミニウム電解コンデンサの前記陰極箔において、アルミニウム素地を溶出させない保護層を前記電解液に接触する表面に設けたことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔。
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