JP2007298965A - 正帯電性荷電制御剤およびそれを含む静電荷像現像用正帯電性トナー - Google Patents

正帯電性荷電制御剤およびそれを含む静電荷像現像用正帯電性トナー Download PDF

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Abstract

【課題】帯電安定性、保存安定性、耐環境性に優れ、現像された画像品質が優れている静電荷像現像用正帯電性トナーを得るために、用いられる正帯電性荷電制御剤を提供する。
【解決手段】正帯電性荷電制御剤は、下記化学式(I)他
Figure 2007298965

で表されるケイ素錯体化合物を有効成分とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用正帯電性トナーや粉体塗料に使用される正帯電性荷電制御剤、その荷電制御剤を含む静電荷像現像用正帯電性トナー、およびこのトナーの荷電制御方法に関するものである。
複写機やプリンター、ファクシミリなどに利用されている電子写真は、摩擦帯電させたトナーにより感光体上の静電荷像を現像し、記録紙上に転写して定着させて、複写や印刷をするものである。
トナーの帯電性は、電子写真の現像スピードを高め、鮮明な画像を形成する上で重要な因子である。トナーの帯電量を適切に制御して安定化し、帯電の立ち上がり速度を速めたりするために、トナーに荷電制御剤が添加されている。荷電制御剤には正帯電用のものと、負帯電用のものがある。正帯電用荷電制御剤は、例えば特許文献1、特許文献2に開示され、負帯電用荷電制御剤は、例えば特許文献3に開示されている。これら公報に開示された荷電制御剤は、いずれも中心原子としてアルミニウム、錫、鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛、クロム、銅、バリウム、ベリリウムなど金属原子に有機配位子が配位した有機金属錯体化合物である。その点、特許文献4に開示されている荷電制御剤は、中心原子としてのケイ素に有機配位子が配位したものであり、負帯電用である。このためこれを使用したトナーは負帯電トナーとなり、感光体上に正帯電した静電荷像の現像に用いられるものである。
複写や印刷の速度を高速化しつつ高画質化も実現するために、従来のトナーよりも帯電特性や帯電安定性の優れたトナーが求められている。さらにそれのみならずトナーおよびそこに含まれる荷電制御剤は、保存安定性、さらに最近の傾向として環境に対する安全性をも要求されている。
一方、構造体表面の電荷に、静電気帯電した粉体塗料をひきつけ、焼き付ける静電粉体塗装に使用される粉体塗料にあっても、適度な帯電特性や、帯電安定性を持つ荷電制御剤が望まれている。
特開昭63−206768号公報 特開昭62−62369号公報 特開平3−276166号公報 特開平4−293057号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたもので、静電荷像現像用正帯電性トナーや粉体塗料に良好な正帯電性を発現させる荷電制御剤、およびこの荷電制御剤を含み、帯電安定性、保存安定性、耐環境性に優れ、現像された画像品質が優れている静電荷像現像用正帯電性トナーを提供することを目的とする。さらにはこのトナーを使用した荷電制御方法を提供することを目的とするものである。
前記の目的を達成するためになされた本発明の正帯電性荷電制御剤は、下記化学式(I)
Figure 2007298965
および/または、下記化学式(II)
Figure 2007298965
(化学式(I)および(II)中、[D−(SO)]2−はスルホン酸基を少なくとも2個有する有機酸の2価アニオン、p=0または1、Bはp=0のとき結合線を示しp=1のとき炭素原子または窒素原子、Jは炭素原子または窒素原子、Aは(B)およびJと共に環状を形成する有機基、二つのRは同一または異なる有機基であって複素環を形成してもよい基)で表されるケイ素錯体化合物を有効成分とする。
正帯電性荷電制御剤は、前記化学式(I)中、
Figure 2007298965
基は、下記式(III)
Figure 2007298965
(式(III)中、R〜RおよびR10〜R14は水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アリサイクリック基、アラルキル基、アリール基から選ばれる同一または異なる基、または隣接基同士により飽和または不飽和で縮合した炭素数3〜7の環を形成している基;RおよびR15は酸素原子、カルボニル基、イミノ基;Rは水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アリサイクリック基、アラルキル基、アリール基から選ばれる同一または異なる基を示す。)で表され、
前記化学式(II)中、
Figure 2007298965
基は、下記式(IV)
Figure 2007298965
(式(IV)中、R16〜R17およびR23〜R25は水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アリサイクリック基、アラルキル基、アリール基から選ばれる同一または異なる基;R18はメチンまたは窒素原子;R19〜R22は水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アリサイクリック基、アラルキル基、アリール基から選ばれる同一または異なる基、または隣接基同士により飽和または不飽和で縮合した炭素数3〜7の環を形成している基;R26は窒素原子、または置換基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜8のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜8のアルコキシ基、Cl、Br、I、Fであるハロゲン、フェニル基、トルイル基、ナフチル基などのアリール基、水素原子など)を有していてもよい炭素原子を示す。)で表されるものであることが好ましい。
正帯電性荷電制御剤は、前記化学式(I)のケイ素錯体化合物が、下記化学式(V)
Figure 2007298965
(式(V)中、Xはハロゲン原子、p,B,J,およびAは、前記と同じ。)
で表されるケイ素錯塩と、前記有機酸またはその塩とを、イオン交換反応させて得られた化合物であり、
前記化学式(II)のケイ素錯体化合物が、下記化学式(VI)
Figure 2007298965
(式(VI)中、Xはハロゲン原子、p,B,J,およびRは、前記と同じ。)
で表されるケイ素錯塩と、前記有機酸またはその塩とを、イオン交換反応させて得られた化合物であると一層好ましい。
正帯電性荷電制御剤は、前記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物に残存するハロゲン含有量が、最大0.2%であることが好ましい。
正帯電性荷電制御剤は、前記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物が、180℃で2時間加熱処理後の重量減少率を最大10.0%とすることが好ましい。
正帯電性荷電制御剤は、前記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物が、体積抵抗率を1.0×1013〜5.0×1015Ω・cmとすることが好ましい。
静電荷像現像用正帯電性トナーは、前記正帯電性荷電制御剤が、含まれていることが好ましい。
静電荷像現像用正帯電性トナーは、前記正帯電性荷電制御剤の0.1〜10重量部と、トナー用樹脂の100重量部とが、含まれていることが好ましい。
荷電制御方法は、前記静電荷像現像用正帯電性トナーを、摩擦により、正に帯電させるというものである。
本発明のケイ素錯体化合物を含む荷電制御剤は、静電荷像現像用正帯電性トナーや粉体塗料に、良好な正帯電性を発現させるものである。耐熱性、保存安定性、環境に対する安全性の面で特に優れている。この荷電制御剤は、モノクロのトナーのみならず、幅広く種々の有彩色のトナーに、添加して使用することができる。
この荷電制御剤を含む本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーは、帯電の立上がり速度が速く、温度や湿度が変化しても長時間優れた帯電安定性を示す。また、熱に対する安定性が高く、荷電制御剤のトナー用樹脂に対する分散性が良好であるため、得られたトナー粒子間での帯電特性のばらつきが極めて少ない。
この静電荷像現像用正帯電性トナーは、無機、有機を問わずあらゆる種類の感光体上の静電荷像を現像するのに適している。また、普通紙のみならず加工紙、加工フィルム等の転写記録媒体への現像に適している。さらに、この静電荷像現像用正帯電性トナーで現像されたトナー像は、広範な温度域における定着性を有している。定着された画像は、明瞭であり、地かぶりを生じることなく、非オフセット性を有し、長時間劣化しない。
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明の正帯電性荷電制御剤は、ケイ素錯体カチオンと、スルホン酸基を少なくとも2個有する有機酸の2価アニオンとの塩からなり、前記化学式(I)または(II)で表されるケイ素錯体化合物を有効成分とするものである。このケイ素錯体化合物は、前記式(III)または(IV)で表される基を有していることが好ましい。
前記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物は、前記化学式(V)または(VI)で表されるケイ素錯塩と、前記有機酸またはその塩とを、イオン交換反応させて、得られるものである。
前記式(III)または(IV)中のR〜R26は、前記のとおりの基である。より具体的には、R〜R、R〜R14、R16〜R25は、以下のものが挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばCl、Br、I、Fが挙げられる。
アルキル基としては、ニトロ基、Cl、Br、I、Fで例示されるハロゲン原子、炭素数1〜18のアルコキシ基のような置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基のような炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、ヒドロキシ基、ニトロ基、Cl、Br、I、Fで例示されるハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基のような置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよく、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基のような炭素数1〜18のアルコキシ基が挙げられる。
アシル基としては、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバレロイル基、ベンゾイル基が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基が挙げられる。
アリール基としては、ヒドロキシ基、ニトロ基、Cl、Br、I、Fで例示されるハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基のような置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよく、例えばフェニル基、トルイル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
アリサイクリック基としては、ヒドロキシ基、ニトロ基、Cl、Br、I、Fで例示されるハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基のような置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよく、例えばシクロプロペニル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基のような炭素数3〜7のシクロアルキル基が挙げられる。
アラルキル基としては、ヒドロキシ基、ニトロ基、Cl、Br、I、Fで例示されるハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルコキシ基のような置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよく、例えばベンジル基、α,α'‐ジメチルベンジル基が挙げられる。
また、隣接基同士により、飽和または不飽和で縮合した炭素数3〜7の環を形成している基としては、置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよく、例えばシクロプロペン環、シクロプロパン環、シクロブタジエン環、シクロブタン環、シクロペンタジエン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタトリエン環、ベンゼン環が挙げられる。中でもベンゼン環が好ましい。前記の縮合した環が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アラルキル基、アリサイクリック基、アルケニル基が挙げられる。
前記化学式(I)または(II)中、[D−(SO)]2−は、スルホン酸基(−SOM M:水素、アルカリ金属、アンモニウム)を少なくとも2個有するポリスルホン酸である有機酸から得られる2価アニオンである。この有機酸は、置換基としてスルホン酸基を少なくとも2個有する芳香族系または脂肪族系の有機酸が挙げられる。好ましくは、ベンゼン環上やナフタレン環上に、少なくともスルホン酸基を2個有する芳香族系の有機酸である。
この有機酸は、下記式(VII)で表されるナフタレンジスルホン酸誘導体が好ましい。
Figure 2007298965
(式(VII)中、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム、R27〜R29は水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基〔例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基等が挙げられる。〕、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ニトロ基、アルキル基〔例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基のような炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。〕、アルコキシ基〔例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基のような炭素数1〜18のアルコキシ基が挙げられる。〕、アセチルオキシ基、ハロゲン原子〔例えば、Cl、Br、I、Fが挙げられる。〕、フェニルオキシ基、カルボキシル基、アシル基〔例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバレロイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。〕である。)
前記有機酸のさらに具体的な例は、置換基として少なくともスルホン酸基を2個有する下記式(VIII)で表され表1に記載されたナフタレン誘導体が挙げられる。
Figure 2007298965
Figure 2007298965
前記有機酸の別の具体的な例は、置換基として少なくともスルホン酸基を2個有する下記式(IX)で表され表2に記載されたベンゼン誘導体が挙げられる。
Figure 2007298965
Figure 2007298965
なお、前記化学式(I)で示した構造式において、Jが炭素原子を選択した場合には、下記化学式(X)
Figure 2007298965
で表記される場合があり、前記化学式(II)で示した構造式において、Jが炭素原子を選択した場合には、下記化学式(XI)
Figure 2007298965
で表記される場合がある。
この正帯電性荷電制御剤は、ケイ素錯体カチオンと、スルホン酸基を少なくとも2個有する有機酸アニオンとの塩を形成させた前記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物を、有効成分として含有させることにより、調製したものである。
前記ケイ素錯体化合物は、公知の方法を組合せて調製することができる。
例えば、前記化学式(I)のケイ素錯体化合物は、下記の方法で調製される。先ず第1工程において、四塩化ケイ素で例示されるハロゲン化ケイ素やテトラエトキシシランのようなケイ素化剤に、ヒドロキシル基とカルボニル基を有する下記式(XII)
Figure 2007298965
(式(XII)中、p、B、J、およびAは、前記化学式(I)に同じ。)で表される化合物を、反応させる。すると、ケイ素化剤に由来するケイ素が中心原子となり、それに、ヒドロキシル基由来の酸素が共有結合し、かつカルボニル基が配位結合し、下記式(XIII)
Figure 2007298965
(式(XIII)中、p、B、J、およびAは、前記化学式(I)に同じ。[E]はアニオンを示す。)で表されるケイ素錯体中間体が得られる。なお、この[E]は、一般にケイ素化剤に由来するアニオンである。
高収率、高純度でケイ素錯体中間体を得るには、ケイ素化剤として、四塩化ケイ素で例示されるハロゲン化ケイ素を用いることが好ましい。例えば、前記化学式(XII)で表される化合物と、四塩化ケイ素とを反応させた場合、化学式(XIII)中の[E]は、前記化学式(V)で示すように、ハロゲンアニオン[X](例えばCl:クロルイオン)となる。
引き続く第2工程において、このケイ素錯体中間体に、スルホン酸基を少なくとも2個有する有機酸またはその塩D−(SOM)を反応させ、前記式(XIII)で表されるケイ素錯体中間体中の[E](例えば、前記[X])と、スルホン酸基を少なくとも2個有する有機酸のアニオン[D−(SO)]2−とをイオン変換させることにより、前記化学式(I)で表されたケイ素錯体化合物が得られる。
前記化学式(I)で表されたケイ素錯体化合物の例を示したが、前記化学式(II)で表されたケイ素錯体化合物についても同様である。
本発明の重要な特徴は、ケイ素錯体化合物中の対イオンが、スルホン酸基を少なくとも2個有する有機酸である点である。本発明のケイ素錯体化合物を含む正帯電性荷電制御剤は、対イオンが、スルホン酸基を少なくとも2個有する有機酸以外の各種アニオン、例えばクロルイオンである本発明適用外のケイ素錯体化合物からなる荷電制御剤よりも、帯電特性、熱安定性、環境安定性が向上するという優位な効果を有する。
また、前記のイオン交換反応の際に、前記化学式(V)または(VI)に由来して残存するハロゲン含有量が0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下にすることが、正帯電性荷電制御剤の帯電特性を向上させるのに重要な因子となる。このような残存ハロゲン含有量が少ないという好ましい実施様態により、さらに帯電安定性、保存安定性、耐環境性が一層向上する。
上記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物のより具体的な例として、下記の化合物が挙げられる。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007298965
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正帯電性荷電制御剤は、これらのケイ素錯体化合物の内、単一化合物を含んでいてもよく、異なる構造の化合物の複数を含んでいてもよい。異なる複数のケイ素錯体や異なる複数の有機酸2価アニオンの高次化合物からなるケイ素錯体化合物を含んでいてもよい。さらに、従来の荷電制御剤と共存させたものであってもよい。
本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーは、前記の正帯電性荷電制御剤を含むものである。
静電荷像現像用正帯電性トナーは、正帯電性荷電制御剤の0.1〜10重量部と、トナー用樹脂の100重量部とを含んでいることが好ましい。荷電制御剤が0.5〜5重量部であると一層好ましい。さらに着色剤を含んでいてもよい。
静電荷像現像用正帯電性トナーは、トナー用樹脂に、荷電制御剤と、着色剤とが、練り込まれ内添されたものであってもよい。またはトナー用樹脂と着色剤とを含む母粒子の表面に、荷電制御剤を含む子粒子を付着したものであってもよい。母粒子が荷電制御剤を含んでいてもよく、子粒子がトナー用樹脂を含んでいてもよい。
本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーの荷電制御方法は、前記のトナーを摩擦することにより、正に帯電させるというものである。
正帯電性荷電制御剤中の前記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物は、1価であるケイ素錯体カチオンからなる二つのイオンが、2価である有機酸アニオンからなる一つのイオンに結合している構造をとっている。このケイ素錯体化合物は、対イオンであるアニオンの種類により、トナー中に含まれた際、そのトナーの熱安定性や環境安定性を大きく変化させる。このケイ素錯体化合物が前記の構造をとっていると、荷電制御剤として必要不可欠である熱安定性や環境安定性といった特性は、スルホン酸基以外からなるアニオン成分を有するケイ素錯体化合物よりも、大きく向上する。
さらに、前記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物は、前記の構造に起因して、高温下に長時間晒されても、ほとんど分解せず、ほとんど重量減少が認められないという特長を有する。そのため、本発明の荷電制御剤を含む静電荷像現像用正帯電性トナーは、印刷時の排気ガス中に、人体に有害な荷電制御剤由来化学物質の発生の可能性が非常に低く、環境への負荷や安全性に優れたものとなっている。
前記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物の体積抵抗率は、1.0×1013〜5.0×1015Ω・cmであることが好ましく、1.0×1014〜5.0×1015Ω・cmであると一層好ましい。この荷電制御剤を含む静電荷像現像用正帯電性トナーは、帯電性が安定し、トナーの帯電量または帯電速度を所要の適切なレベルに調整できる。
この正帯電性荷電制御剤を含む静電荷像現像用正帯電性トナーは、帯電安定性、保存安定性、耐環境性に優れている。帯電させたこのトナーを用いて現像された画像は、品質が優れている。さらにこのトナーは、この正帯電性荷電制御剤を含んでいることに起因して、高温高湿から低温低湿までの苛酷な環境下や環境変化によるトナー帯電量の変動が抑えられており、環境安定性に優れている。
本発明の静電荷像現像用正帯電性トナーは、この荷電制御剤、トナー用樹脂、着色剤、および、トナーの品質を向上させるために必要に応じて適宜使用される磁性材料や流動性改質剤やオフセット防止剤を含むものである。
トナー用樹脂は、市販の結着樹脂、例えばスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ビニルメチルエーテル樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂のような熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂を単独で用いてもよく、複数種ブレンドして用いてもよい。
このトナー用樹脂を、減法混色によるフルカラー用トナー、またはオーバーヘッドプロジェクタ(OHP)用トナーに混合して用いてもよい。そのためには、トナー用樹脂は、透明性を有すること、トナー像に色調障害を生じない程度のほぼ無色であること、荷電制御剤との相溶性が良好であること、適当な熱または圧力下で流動性を有すること、微粒化が可能であることが必要である。そのようなトナー用樹脂として、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル樹脂であることが好ましい。
次に、本発明の荷電制御剤を静電塗装用樹脂粉体塗料に添加することによりその粉体塗料の電荷を制御又は増強することができる。本発明の荷電制御剤を含有する静電塗装用樹脂粉体塗料は、耐熱性に優れ、増強特性が良好なので、粉体塗料の回収・再使用を行わなくても高い塗着効率を示す。また、粉体塗料を用いる塗装は、コロナ印荷方式、摩擦帯電方式、又はハイブリッド方式等の、一般の静電粉体塗装法を用いて塗装することができる。
また、前記の塗料中の樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような熱可塑性樹脂;フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂のような熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂を、単独で用いてもよく、複数種ブレンドして用いてもよい。
カラー用トナーの着色剤あるいは静電粉体塗料用の着色剤として、染料、顔料を、単独で用いてもよく、複数種配合して用いてもよい。
カラー用トナーのための着色剤として、例えばキノフタロンイエロー、ハンザイエロー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、ペリノンオレジン、ペリノンレッド、ペリレンマルーン、ローダミン6Gレーキ、キナクリドンレッド、ローズベンガル、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、ジケトピロロピロール系顔料のような有機顔料;カーボンブラック、チタンホワイト、チタンイエロー、群青、コバルトブルー、べんがら、アルミニウム粉、ブロンズのような、無機顔料や金属粉;アゾ系染料、キノフタロン系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、トリフェニルメタン系染料、フタロシアニン系染料、インドフェノール系染料、インドアニリン系染料のような、油溶性染料や分散染料;ロジン、ロジン変性フェノール、ロジン変性マレイン酸のような樹脂により変性されたトリアリールメタン系染料;高級脂肪酸や樹脂などで加工された、染料や顔料が挙げられる。カラー用トナーには、これら着色剤を、単独で配合していてもよく、複数種配合していてもよい。フルカラー用の三原色トナーの調整に好適に使用できるのは、分光特性が良好な染料や顔料である。
また、有彩色のモノカラー用トナーのための着色剤として、同色系の顔料と染料、例えばローダミン系の顔料と染料、キノフタロン系の顔料と染料、フタロシアニン系の顔料と染料を適宜配合して用いることができる。
磁性材料として、例えば鉄、コバルト、フェライトで例示される強磁性材料製微粉体が挙げられる。流動性改質剤として例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタンが挙げられる。オフセット防止剤として例えば、ワックス、低分子量のオレフィンワックスが挙げられる。
静電荷像現像用正帯電性トナーは、以下のようにして製造される。荷電制御剤、トナー用樹脂、着色剤、および必要に応じ磁性材料や流動性改質剤やオフセット防止剤を、ボールミルのような混合機により十分混合した後、その混合物を加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練する。その混練物を冷却固化させた後、その固化物を粉砕および分級することにより、粉砕法トナー粒子である平均粒径5〜20μmの一成分トナーが得られる。
この他、各成分の溶液を噴霧乾燥してトナー粒子を得る方法や、懸濁重合法、乳化重合法なども採用できる。懸濁重合法は、トナー用樹脂の単量体、荷電制御剤、着色剤、および必要に応じ磁性材料や流動性改質剤やオフセット防止剤と重合開始剤や架橋剤や離型剤のような添加剤とを均一に溶解または分散させて、単量体組成物とした後、この単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続層中、例えば水相中に、適当な分散機を用いて分散させながら重合反応を行わせることにより、所望の粒径を有するトナーの粒子を得る。
このような重合性単量体として、例えばスチレン、メチルスチレンのようなスチレン誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチルのような(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのようなビニル系単量体が挙げられる。
分散安定剤として、界面活性剤、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;有機分散剤、例えばポリビニルアルコール、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース;無機分散剤、例えば、リン酸カルシウムやリン酸マグネシウムやリン酸アルミニウムのようなリン酸多価金属塩微粉体、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムのような炭酸塩微粉体、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムが挙げられる。
重合開始剤として例えば、2,2’−アゾイソブチロニトリルやアゾビスブチロニトリルのようなアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシドのような過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
また、静電荷像現像用正帯電性トナーは、次のようにしても製造できる。荷電制御剤を含む前記の粉砕法トナー粒子または重合法トナー粒子を母粒子とし、この母粒子の表面に、荷電制御剤の粒子のみからなる子粒子、または荷電制御剤分散性の樹脂に10〜90重量%の荷電制御剤が分散した粒子からなる子粒子を、付着させることにより、トナーが得られる。
子粒子を母粒子表面に付着させる方法として例えば、外添方法、またはハイブリダイゼーションシステムにより子粒子を母粒子に打ち込む方法が挙げられる。荷電制御剤分散性の樹脂として、例えばスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−マレイン樹脂、スチレン−ビニルメチルエーテル樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、パラフィンワックス、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられる。これらの樹脂を、単独で用いてもよく、複数種ブレンドして用いてもよい。
荷電制御剤を含んだ粉砕法トナー粒子または重合法トナー粒子を母粒子とする例について示したが、荷電制御剤を含まない粉砕法トナー粒子または重合法トナー粒子を母粒子としてもよい。
この静電荷像現像用正帯電性トナーを用いた2成分現像剤は、このトナーとキャリアとを混合し調製したもので、2成分磁気ブラシ現像法等により現像する際に使用される。このキャリアとして、例えば、粒径50〜200μm程度の鉄粉、ニッケル粉、マグネタイト粉、フェライト粉、ガラスビーズ、およびこれらの表面をアクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、またはフッ化エチレン系樹脂でコーティングしたものが挙げられる。
この静電荷像現像用正帯電性トナーを用いた1成分現像剤は、このトナーの調製の際に、例えば鉄粉、ニッケル粉、フェライト粉のような強磁性材料の微粉体を適量添加分散させたもので、接触現像法、ジャンピング現像法等により現像する際に使用される。
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の合成例1〜6は、本発明を適用する荷電制御剤に使用するケイ素錯体化合物の合成例を示すものである。
(合成例1)
(1-1)ケイ素錯体中間体の合成
1−(4’−t−ブチルフェニル)−4,4−ジメチルペンタン−1,3−ジオン 160.0g(0.614mol)を酢酸エチル800mlに溶解した。これに、四塩化ケイ素34.8g(0.204mol)を室温で滴下した。2時間加熱還流後、放冷し、析出した白色結晶を濾過した。酢酸エチル600mlで洗浄後、水2000mlで水洗し、80℃で24時間乾燥すると、下記化学式で表される化合物例aのケイ素錯体中間体の107.4g(0.128mol)が得られた。
Figure 2007298965
化合物例aのケイ素錯体中間体についてM−8000形 LC/3DQMSシステム(株式会社 日立製作所の商品名)を用いて、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)を行ったデータを図1に示す。図1のとおり、実測値m/zが806.13であり、理論値841.6から塩素イオンが脱離した理論値806.2とほぼ一致している事より、所望の化合物例aであると同定された。
(1-2)アニオン交換
化合物例aのケイ素錯体中間体28g(33.7mmol)を水−メタノール混合溶液に分散し、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム塩5.72g(17.2mmol)を添加して24時間室温で分散処理した。得られた反応液を濾過し、濾液の電導度が低下するまで水洗した。80℃で乾燥して、前記化合物例1で表されるケイ素錯体化合物が30.9g(16.3mmol)得られた。
(1-3)同定
化合物例1のケイ素錯体化合物について、M−8000形 LC/3DQMSシステム(株式会社 日立製作所の商品名)を用いて、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)を行ったデータを図2に示す。図2のとおり、液体クロマトグラフィーのピークの一つの実測値m/zが805.60であり、理論値1898.6から1,5−ナフタレンジスルホン酸が脱離した理論値1612.3の2分の1の806.15とほぼ一致している。また、図3のとおり、別なピークの実測値m/zが143.20であり、2価のアニオンとなった1,5−ナフタレンジスルホン酸の理論値286.3の2分の1の値である143.15とほぼ一致している。また、CHS元素分析では、C:70.54%(理論値:70.85%)、H:7.91%(理論値:7.64%)、S:3.40%(理論値:3.38%)であり、理論値とほぼ一致している事より、所望の化合物例1であると同定された。
(1-4)塩素分析
得られたケイ素錯体化合物の残存塩素量につき、塩素硫黄測定装置 TOX−10Σ(三菱化成株式会社製;商品名)を用いてクーロメトリー方式により測定した。ケイ素錯体化合物中の残存塩素量は770ppmであった。
(1-5)熱分析
得られたケイ素錯体化合物の熱分析に関し、180℃で2時間加熱処理後の重量減少率につき、示差熱熱重量同時測定装置 TG/DTA6200(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製;商品名)を用いて等温質量変化法により測定した。その重量減少率は、4.9%であった。
(1-6)体積抵抗率測定
得られたケイ素錯体化合物の体積抵抗率について、以下の条件で測定した。
試験雰囲気:23±2℃、50±5%RH
試験機:デジタル超高抵抗/微少電流計R8340A型 (株)アドバンテスト製
印加電圧、時間:500V(DC)、1分間
電極:主電極 径38mm
試験数:n=1
荷重:2000kgに試料を圧縮
その体積固有抵抗率は、4.37×1014Ω・cmであった。
(合成例2)
(2-1)ケイ素錯体中間体の合成
ジベンゾイルメタン50.0g(0.223mol)をトルエン250mlに溶解した。これに、四塩化ケイ素12.6g(0.074mol)を室温で滴下した。50℃で5時間反応後、放冷し、析出した淡黄色結晶を濾過した。トルエン500mlで洗浄後、水500mlで水洗し、80℃で24時間乾燥すると、下記化学式で表される化合物例bのケイ素錯体中間体の44.8g(0.061mol)が得られた。
Figure 2007298965
化合物例bのケイ素錯体中間体についてM−8000形 LC/3DQMSシステム(株式会社 日立製作所の商品名)を用いて、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)を行ったデータを図4に示す。図4のとおり、実測値m/zが697.47であり、理論値733.28から塩素イオンが脱離した理論値697.78とほぼ一致している事より、所望の化合物例bであると同定された。
(2-2)アニオン交換
化合物例bのケイ素錯体中間体20g(27.3mmol)を水とメタノール混合溶液に分散し、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム塩4.62g(13.9mmol)を添加して24時間室温で分散処理した。得られた反応液を濾過し、濾液の電導度が低下するまで水洗した。80℃で乾燥して、前記化合物例27が21.5g(12.8mmol)得られた。
(2-3)同定
化合物例27のケイ素錯体化合物について、M−8000形 LC/3DQMSシステム(株式会社 日立製作所の商品名)を用いて、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)を行ったデータを図5に示す。図5のとおり、実測値m/zが696.73であり、理論値1681.9から1,5−ナフタレンジスルホン酸が脱離した理論値1395.6の2分の1の697.8とほぼ一致している。また、図6のとおり、実測値m/zが143.33であり、2価のアニオンとなった1,5−ナフタレンジスルホン酸の理論値286.3の2分の1の値である143.15とほぼ一致している。また、CHS元素分析では、C:71.15%(理論値:71.41%)、H:4.35%(理論値:4.31%)、S:3.85%(理論値:3.81%)であり、理論値とほぼ一致している事より、所望の化合物例27であると同定された。
(2-4)塩素分析、(2-5)熱分析および(2-6)体積抵抗率測定
得られたケイ素錯体化合物は、前記と同様にして測定したところ、残存塩素量が336ppm、180℃で2時間加熱処理後の重量減少率が4.4%、体積固有抵抗率が2.8×1015Ω・cmを示した。
(合成例3:化合物例4の合成)
4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン25g(80.5mmol)をトルエン250mlに溶解した。これに四塩化ケイ素4.56g(26.8mmol)を注入した。50℃で4時間反応後、放冷し、析出した黄色結晶を濾過し、トルエン200mlで洗浄後、さらに水400mlで水洗を行った後、80℃で24時間乾燥する事によりケイ素錯体中間体を得た。得られたケイ素錯体中間体10g(10.1mmol)を水とメタノール混合溶液に分散し、4−アミノ−2,7−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム塩 1.76g(5.07mmol)を添加して24時間室温で分散処理することにより、化合物例4が11.0g(4.97mmol)得られた。
(合成例4:化合物例5の合成)
ジベンゾイルメタン20g(89.2mmol)をトルエン80mlに溶解した。これに、四塩化ケイ素5.05g(29.7mmol)をトルエン20mlに溶解させた溶液を滴下した。50℃で4時間反応後、放冷し、析出した淡黄色結晶を濾過し、トルエン200mlで洗浄後、テトラヒドロフラン100mlで洗浄し、さらに水100mlで水洗を行った後、80℃で24時間乾燥する事によりケイ素錯体中間体を得た。得られたケイ素錯体中間体10g(13.6mmol)を水とメタノール混合溶液に分散し、4,5−ジヒドロキシ−2,7−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム塩2.48g(6.8mmol)を添加して24時間室温で分散処理することにより、化合物例5が10.3g(6.01mmol)得られた。
(合成例5:化合物例13の合成)
ヒノキチオール5.00g(30.5mmol)をヘキサン300mlに溶解した。これに、四塩化ケイ素1.72g(10.2mmol)をヘキサン50mlに溶解させた溶液を滴下した。1時間加熱還流後、放冷し、析出した白色結晶を濾過し、ヘキサン300mlで洗浄後、70℃で24時間減圧乾燥する事によりケイ素錯体中間体を得た。得られたケイ素錯体中間体5.00g(9.04mmol)を水とメタノール混合溶液に分散し、1,4−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム塩1.50g(4.52mmol)を添加して24時間室温で分散処理することにより、化合物例13が5.10g(3.86mmol)得られた。
(合成例6:化合物例17の合成)
N−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシアミン4.00g(18.8mmol)をトルエン20mlに溶解した。これに、四塩化ケイ素1.06g(6.25mmol)をトルエン20mlに溶解させた溶液を室温で滴下した。2時間加熱還流後、放冷し、析出した白色結晶を濾過し、トルエン300mlで洗浄後、70℃で24時間減圧乾燥することによりケイ素錯体中間体を得た。得られたケイ素錯体中間体3.87g(5.53mmol)を水とメタノール混合溶液に分散し、4−(ベンゾイルアミノ)−5−ヒドロキシ−1,7−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム塩1.29g(2.77mmol)を添加して24時間室温で分散処理することにより、化合物例17が4.05g(2.31mmol)得られた。
なお、これらと同様な合成方法により、本発明を適用する正帯電性荷電制御剤に用いられる種々のケイ素錯体化合物を得ることができる。
上記で得られたケイ素錯体化合物を荷電制御剤として含む静電荷像現像用正帯電性トナーの調製、およびこのトナーを用いた記録紙への画像の形成の例について、実施例1〜13に示す。
(実施例1)
スチレン−アクリル共重合樹脂(CPR−600B:三井化学社製の商品名)の100重量部と、低分子量ポリプロピレン(ビスコール550−P:三洋化成社製の商品名)の3重量部と、マゼンタ色顔料(C.I. Pigment Red 57:1)の5重量部と、化合物例1からなる荷電制御剤の1重量部とを、高速ミキサーで均一にプレミキシングした。次いで、エクストルーダーで溶融混練し、冷却後振動ミルで粗粉砕した。得られた粗砕物を分級機付きのエアージェットミルを用いて微粉砕して、粒径10μmのマゼンタトナーを得た。
得られたトナー5重量部に対して、フェライトキャリア(F−150:パウダーテック社製の商品名)95重量部を混合して現像剤を調製した。
現像剤をポリ瓶中で秤量し、回転数100rpmのボールミルにより攪拌して現像剤を帯電させ、大気条件下での初期帯電量(3分値)、および、攪拌時間(分)毎の摩擦帯電量を測定し、帯電の安定性を評価した。帯電の安定性については、安定性のあるものを○、ないものを×とする2段階で評価した。また、25℃、相対湿度50%の標準条件下で24時間以上調湿させた現像剤について同様に帯電量(10分値)を測定し、これに対して、低温低湿(5℃、相対湿度30%)および高温高湿(35℃、相対湿度90%)の各条件下に24時間以上調湿させた現像剤について同様にして帯電量を測定する事で、帯電量環境安定性も同時に評価した。帯電量環境安定性については、
{[(標準条件下の帯電量)−(低温低湿下の帯電量)]/(標準条件下の帯電量)}×100、
または、
{[(標準条件下の帯電量)−(高温高湿下の帯電量)]/(標準条件下の帯電量)}×100
の値を求め、その変化率の絶対値が0.0〜5.0%であったものを○、5.0〜10.0%であったものを△、10.0%以上のものを×とする3段階で評価した。
なお、帯電量の測定は、ブローオフ帯電量測定機TB−200(東芝ケミカル社製の商品名)により、行った。
この現像剤を用いて市販の複写機にてトナーの画像を形成した。得られたトナー画像について、カブリ、細線再現性、帯電安定性および持続性、オフセット現象について目視で観察した。
カブリについては、カブリがないものを○、あるものを×として、細線再現性については、細線再現性が良好なものを○、悪いものを×として、帯電安定性および持続性については、帯電安定性および持続性が良いものを○、悪いものを×として、オフセット現象について、オフセット現象が観測されなかったものを○、観測されたものを×として、それぞれ2段階で評価した。
それらの結果を表4に示す。
(実施例2〜7)
実施例2〜7は、実施例1の化合物例1を、下記の表3に示すとおり、化合物例2、6、7、8、13または17にそれぞれ代えたこと以外は実施例1と同様にして、静電荷像現像用正帯電性トナーを調製したものである。夫々について、実施例1と同様に評価した。
Figure 2007298965
(実施例8)
スチレン−アクリル共重合樹脂(CPR−600B:三井化学社製の商品名)の100重量部と、イエロー色顔料(C.I.Pigment Yellow 180)の5重量部と、低分子量ポリプロピレン(ビスコール550−P:三洋化成社製の商品名)の3重量部と、化合物例4からなる荷電制御剤の1重量部とを、実施例1と同様に処理して平均粒径10μmのイエロートナーおよび現像剤を調製し、実施例1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
(実施例9)
ポリエステル樹脂(HP313:日本合成化学社製の商品名)の100重量部と、低重合ポリプロピレン(ビスコール550−P:三洋化成社製の商品名)の3重量部と、カーボンブラック(#44:三菱化学社製の商品名)の6重量部と、化合物例16からなる荷電制御剤の1重量部とを、実施例1と同様に処理して平均粒径10μmの黒色トナーおよび現像剤を調製し、実施例1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
(実施例10)
スチレンモノマーの80重量部と、n−ブチルアクリレートモノマーの20重量部と、イエロー色顔料(C.I.Pigment Yellow 180)の5重量部と、2,2’−アゾイソブチロニトリルの1.8重量部と、化合物例1からなる荷電制御剤の1重量部とを、高速ミキサーで均一にプレミキシングして重合性単量体組成物を得た。
一方、濃度0.1モル%の第三リン酸ナトリウム水溶液100mlを蒸留水600mlにより希釈し、この液を撹拌しながらこれに濃度1.0モル/Lの塩化カルシウム水溶液18.7mlを徐々に加え、次いで濃度20%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液0.15gを加えて分散液を調整した。
この分散液を前記重合性単量体組成物に加えて、TK式ホモミキサー(特殊機化工社製)により高速撹拌しながら温度65℃に昇温せしめ、昇温後30分間撹拌した後、さらに、80℃まで昇温させ、通常の撹拌機による回転数100rpmの撹拌に切り換え、温度80℃のまま6時間重合させた。
重合終了後、反応混合物を冷却して固形物を濾別し、その濾取物を濃度5重量%の塩酸水溶液中に浸漬して分散剤として利用したリン酸カルシウムを分解した後、その固形物を洗浄液が中性となるまで水洗し、脱水、乾燥させることにより平均粒径10μmのイエロートナーを得た。
得られたトナー5重量部に対して、フェライトキャリア(F−150:パウダーテック社製の商品名)95重量部を混合して現像剤を調整し、実施例1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
(実施例11)
スチレンモノマーの80重量部と、n−ブチルアクリレートモノマーの20重量部と、カーボンブラック(MA−100:三菱化学社製の商品名)の5重量部と、2,2’−アゾイソブチロニトリルの1.8重量部と化合物例20からなる荷電制御剤の1重量部とを、実施例10と同様に処理して平均粒径13μmの黒色重合トナーおよび現像剤を調製し、実施例1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
(実施例12)
スチレン−アクリル共重合樹脂(CPR−600B:三井化学社製の商品名)の100重量部と、低分子量ポリプロピレン(ビスコール550−P:三洋化成社製の商品名)の3重量部と、マゼンタ色顔料(C.I. Pigment Red 57:1)の5重量部とを高速ミキサーで均一にプレミキシングした。次いで、エクストルーダーで溶融混練し、冷却後振動ミルで粗粉砕した。得られた粗砕物を分級機付きのエアージェットミルを用いて微粉砕して、粒径10μmのマゼンタトナーの母粒子を得た。
得られた母粒子108重量部に対して、化合物例10からなる1重量部の荷電制御剤とする子粒子を外添し、静電荷像現像用正帯電性トナーを得た。
このトナー5重量部に対して、フェライトキャリア(F−150:パウダーテック社製の商品名)95重量部を混合して現像剤を調整し、実施例1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
(実施例13)
スチレン−アクリル共重合樹脂(CPR−600B:三井化学社製の商品名)を100重量部と、低分子量ポリプロピレン(ビスコール550−P:三洋化成社製の商品名)を3重量部と、油溶性マゼンタ色染料(オイルピンク#312:オリヱント化学工業社製の商品名)を5重量部と、荷電制御剤(BONTRON P−51:オリヱント化学工業社製の商品名)を0.5重量部と、荷電制御剤(化合物例1)を0.5重量部とを実施例1と同様に処理して平均粒径10μmのマゼンタトナーおよび現像剤を調製し、実施例1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
(比較例1)
比較例1では合成例2のアニオン交換に用いた1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム塩に代えて、2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩を用い、ケイ素錯体中間体とアニオン成分の等モル反応の仕込量に調節して、化合物例cを合成した。得られた化合物例cは、CHS元素分析において、C:72.94%(理論値:72.99%)、H:4.58%(理論値:4.45%)、S:3.32%(理論値:3.10%)であり、理論値とほぼ一致している事より、所望の化合物例cであると同定された。またその重量減少率は、41.0%であった。
更に、実施例1で用いた化合物例1のケイ素錯体化合物を、下記化合物例cに代えたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを調製し、実施例1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2007298965
(比較例2)
実施例1で用いた化合物例1のケイ素錯体化合物を、下記化合物例dに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、トナーを調製し、実施例と同様に評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2007298965
(比較例3)
実施例1の化合物例1のケイ素錯体化合物を、化合物例aのケイ素錯体中間体に代えたこと以外は実施例1と同様に静電荷像現像用正帯電性トナーを調製し、実施例1と同様に評価した。
(比較例4)
化合物例1を合成する際のアニオン交換反応の条件を次のように変えたこと以外は実施例1の(2)と同様にして、アニオン交換反応が不完全な化合物を調製した。
化合物例aのケイ素錯体中間体28g(33.7mmol)を水に分散し、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム塩 5.72g(17.2mmol)を添加して24時間室温で分散処理した。得られた反応液を濾過し、濾液の電導度が低下するまで水洗した。80℃で乾燥して、前記化合物例1のケイ素錯体化合物を主に含みアニオン交換反応が不完全な荷電制御剤を29.0g得た。この荷電制御剤は、残留塩素量が0.36%であった。
実施例1の化合物例1を、アニオン交換反応が不完全な荷電制御剤に代えたこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを調製し、実施例1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2007298965
表4から明らかな通り、実施例の現像剤は、帯電安定性や持続性が優れ、さらに環境安定性が優れていた。また、それを用いて形成したトナー画像は、カブリがなく、再線再現性、帯電安定性および持続性に優れ、オフセット現象が認められなかった。一方、比較例の現像剤は、環境安定性が悪く、夏場のような高温多湿条件下や、温湿度が変動する条件下での使用に向かないものであった。
本発明の正帯電性荷電制御剤は、静電荷像現像用正帯電性トナーや粉体塗料を含有させて、複写機やプリンターやファクシミリなどの電子写真による複写や印刷、静電粉体塗装のために用いることができる。
この正帯電性荷電制御剤を含む静電荷像現像用正帯電性トナーは、紙やフィルム等の転写記録媒体上に、明瞭でカブリのない画像を定着させるのに用いられる。
本発明を適用する正帯電性荷電制御剤に含まれる化合物例1のケイ素錯体化合物の中間体の液体クロマトグラフィー質量分析の結果を示す図である。
本発明を適用する正帯電性荷電制御剤に含まれる化合物例1のケイ素錯体化合物の液体クロマトグラフィー質量分析によるピークの一つの結果を示す図である。
本発明を適用する正帯電性荷電制御剤に含まれる化合物例1のケイ素錯体化合物の液体クロマトグラフィー質量分析による別なピークの結果を示す図である。
本発明を適用する正帯電性荷電制御剤に含まれる化合物例27のケイ素錯体化合物の中間体の液体クロマトグラフィー質量分析の結果を示す図である。
本発明を適用する正帯電性荷電制御剤に含まれる化合物例27のケイ素錯体化合物の液体クロマトグラフィー質量分析によるピークの一つの結果を示す図である。
本発明を適用する正帯電性荷電制御剤に含まれる化合物例27のケイ素錯体化合物の液体クロマトグラフィー質量分析による別なピークの結果を示す図である。

Claims (9)

  1. 下記化学式(I)
    Figure 2007298965
    および/または、下記化学式(II)
    Figure 2007298965
    (化学式(I)および(II)中、[D−(SO)]2−はスルホン酸基を少なくとも2個有する有機酸の2価アニオン、p=0または1、Bはp=0のとき結合線を示し、p=1のとき炭素原子または窒素原子、Jは炭素原子または窒素原子、Aは(B)およびJと共に環状を形成する有機基、二つのRは同一または異なる有機基であって複素環を形成してもよい基)で表されるケイ素錯体化合物を有効成分とすることを特徴とする正帯電性荷電制御剤。
  2. 前記化学式(I)中、
    Figure 2007298965
    基は、下記式(III)
    Figure 2007298965
    (式(III)中、R〜RおよびR10〜R14は水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アリサイクリック基、アラルキル基、アリール基から選ばれる同一または異なる基、または隣接基同士により飽和または不飽和で縮合した炭素数3〜7の環を形成している基;RおよびR15は酸素原子、カルボニル基、イミノ基;Rは水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アリサイクリック基、アラルキル基、アリール基から選ばれる同一または異なる基を示す。)で表され、
    前記化学式(II)中、
    Figure 2007298965
    基は、下記式(IV)
    Figure 2007298965
    (式(IV)中、R16〜R17およびR23〜R25は水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アリサイクリック基、アラルキル基、アリール基から選ばれる同一または異なる基;R18はメチンまたは窒素原子;R19〜R22は水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アリサイクリック基、アラルキル基、アリール基から選ばれる同一または異なる基、または隣接基同士により飽和または不飽和で縮合した炭素数3〜7の環を形成している基;R26は窒素原子、または置換基を有していてもよい炭素原子を示す。)
    で表されることを特徴とする請求項1に記載の正帯電性荷電制御剤。
  3. 前記化学式(I)のケイ素錯体化合物が、下記化学式(V)
    Figure 2007298965
    (式(V)中、Xはハロゲン原子、p,B,J,およびAは、前記と同じ。)
    で表されるケイ素錯塩と、前記有機酸またはその塩とを、イオン交換反応させて得られた化合物であり、
    前記化学式(II)のケイ素錯体化合物が、下記化学式(VI)
    Figure 2007298965
    (式(VI)中、Xはハロゲン原子、p,B,J,およびRは、前記と同じ。)
    で表されるケイ素錯塩と、前記有機酸またはその塩とを、イオン交換反応させて得られた化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の正帯電性荷電制御剤。
  4. 前記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物に残存するハロゲン含有量が、最大0.2%であることを特徴とする請求項1に記載の正帯電性荷電制御剤。
  5. 前記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物が、180℃で2時間加熱処理後の重量減少率を最大10.0%とすることを特徴とする請求項1に記載の正帯電性荷電制御剤。
  6. 前記化学式(I)または(II)のケイ素錯体化合物が、体積抵抗率を1.0×1013〜5.0×1015Ω・cmとすることを特徴とする請求項1に記載の正帯電性荷電制御剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の正帯電性荷電制御剤が、含まれていることを特徴とする静電荷像現像用正帯電性トナー。
  8. 前記正帯電性荷電制御剤の0.1〜10重量部と、トナー用樹脂の100重量部とが、含まれていることを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像用正帯電性トナー。
  9. 請求項7に記載の静電荷像現像用正帯電性トナーを、摩擦により、正に帯電させることを特徴とする静電荷像現像用正帯電性トナーの荷電制御方法。
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