JP2007291253A - 油系インクジェット組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】インクジェット用油系インクにおいて、従来のインク溶媒の代わりに、植物油を含有させた溶媒を用いて、環境負荷が少なく、10kHzを超える駆動周波数で印字した際のインク液の紙への定着性や画像再現性が優れた高濃度の印字物が得られる油系インクジェット組成物を提供することにある。
【解決手段】10kHzを超える駆動周波数でインクを吐出するインクジェットプリンター用インク組成物であって、顔料と、少なくとも1種以上の植物油、少なくとも1種類以上の炭化水素系溶剤、およびこれら非極性溶剤と植物油の混合を助ける補助溶剤を含んで成る希釈溶剤とから成り、インク組成物のヨウ素価が90〜120の範囲である。
【選択図】なし

Description

本発明は、駆動周波数が10kHzを超えるインクジェット記録用油系インクジェット組成物に関する。
インクジェット記録方式の原理は、ノズル、スリットあるいは多孔質フィルム等から液体インクあるいは溶融固体インクを吐出し、紙、布、フィルム等に記録を行うものである。かかるインクジェット記録方式においては、記録装置の小型化、低価格化を図ることができ、記録時の騒音も少ない等の利点があり、特に、黒色の単色記録の場合には、レポート用紙、コピー用紙等のいわゆる普通紙上に、良好な印字品質が得られることから、インクジェット記録方式を用いたプリンターが汎用されている。
インクジェット記録方式に使用するインクには、一般に、(1)紙上で滲み、かぶりのない、高解像度、高濃度で均一な画像が得られること、(2)ノズル先端でのインク乾燥による目詰まりが発生せず、常に、吐出応答性、吐出安定性が良好であること、(3)紙上においてインクの速乾性が良いこと、(4)画像の堅ろう性が良いこと、(5)長期保存安定性が良いこと、という5つの性能が要求される。
このようなインクジェット記録方式に用いられるインクとしては、水系インクと油系インクに大別される。水系インクは、直接染料、酸性染料、塩基性染料等の水溶性染料をグリコール系溶剤と水に溶解したものがよく用いられているが、水系インクによるインクジェット記録物は、一般的に耐水性が悪いといった問題がある。
これに対し、顔料を飽和炭化水素系媒体に分散させた非水系インクが実用化されている。例えば、流動パラフィンや脂肪族炭化水素などの難揮発性溶剤や、エタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどの揮発性溶剤に分散させたものが実用化されはじめている。
しかし、難揮発性溶剤では被印刷物への印字後の乾燥性や定着性に問題が有り、揮発性溶剤ではノズルの乾燥といった問題を抱えている。また、現在、開発されている油性インクジェットインクにおいて、飽和炭化水素系溶剤としては、エクソンモービル(株)製のアイソパーシリーズやエクソールシリーズに代表される、イソパラフィン系やシクロパラフィン系溶剤の単独利用が主流であるが、得られたインクは低温時における保存安定性が低いもの、あるいはノズル詰まりを起こしやすいものなどであり、充分な性能を有するものではない。
そこで、これらの問題を解決するために、たとえば、特許文献1には、有機顔料と有機顔料の3倍重量以上の水溶性無機塩及び水溶性溶剤の少なくとも3成分から成る混合物を混練して有機顔料を微小化したものを、分散剤とともに高沸点溶剤に分散した、25℃における粘度が5〜15cpsであるインクジェットインクが記載されている。このインクジェットインクは、ノズル及びインク供給経路での耐目詰まり性やインク吐出性において十分満足できるものとは言えず、特に経時変化によって顔料の凝集が起こって、顔料の分散性が劣化するという問題があった。インクの保存安定性が不十分であるとインク吐出が不安定となったり、インク中の顔料粒子の濃縮不十分が生じ、形成された画像の欠落、画像の滲みとなったり、あるいは画像濃度の不足(特にベタ画像部)となる。また、長期保存したインクを用いた場合、フレッシュなインクを使用した場合と比較して、十分な吐出速度を達成できる印加電圧が高くなり、濃縮して吐出される割合が著しく変化し、得られる画像がインクの保存状態で変化する等の問題が生じる。
インクの保存安定性に極めて優れた非水系インクとして、例えば、特許文献2にはエステル構造を有する分散剤を用い、インク溶剤の60重量%以上を極性溶媒とし、さらに、この極性有機溶剤のうち、エステル系溶剤を10重量%以上含むものが提案されている。また、石油系溶剤の内で、とくに、芳香族成分を含む芳香族系溶剤は、印刷作業環境や大 気汚染などの環境負荷があるとして、近年環境問題からその代替え溶剤が要望されている。
このために、揮発蒸気の臭気が極めて少なく、また、印刷作業環境や大気汚染などの環境負荷が少ない非芳香族系の脂肪族炭化水素系溶剤を使用したインクジェットインクが特許文献3に開示されている。しかしながら、特許文献3に開示のインクでは、前述のように、十分な印字濃度を有する印字物が得られず、また、印字濃度を高くした場合には、印字面の反対側にインク抜けが発生するなどの問題があり、十分な品質の印字物が得られない。
また、特許文献4には、飽和炭化水素系有機溶剤とオレイルアルコールなどの極性の高い溶剤を併用する方法が開示されている。しかしながら、飽和炭化水素系溶剤と極性の高い溶剤を併用すると、インクの保存安定性がますます低下して、保存中に顔料が沈降するという問題がある。また、特許文献5には、インク組成物の保存安定性を向上させる技術として、インク組成物のヨウ素価を25〜65の範囲にすることが開示されている。しかし、この方法によると、インク組成物のヨウ素価を低く保っても酸化防止剤を添加する必要がある。また、印字させる際のプリンタの駆動周波数を高くするとインク液滴の吐出が不安定になる課題も解決されていない。
一方、植物油を使用した環境対応のためのインクが開発されつつある。植物油とは、植物から採取される常温で液状の油脂であり、油脂とは下記式に示すような脂肪酸(a)のトリグリセライド(b)を言い、アマニ油、大豆油、サフラワー油、菜種油、紅花油、桐油などの種類がある。脂肪酸は炭素・水素・酸素が結合したものでアルキル基と酸基が結合していて、脂肪酸の炭素のつながりには不飽和脂肪酸(c)と飽和脂肪酸(d)の2種類がある。
Figure 2007291253
不飽和脂肪酸(c)が多いと化学反応が起こりやすく、乾燥して固体になる。一方、飽和脂肪酸(d)は化学反応を起こさず、液状のままである。この性質により、植物油の分類としては、3種類、つまり、乾性油、半乾性油、不乾性油に分類される。アマニ油は乾性油であり、大豆油は半乾性油である。アマニ油あるいは桐油は、常温乾燥のオフセット枚葉インクやヒートセットオフ輪インクに用いられている。一方、大豆油は焼付け乾燥のブリキインクや浸透乾燥タイプの新聞オフ輪インクでの使用がメインとなっている。また、大豆油の大きな特徴としては、石油系溶剤を使用したインクよりも生分解率が約5倍高く、廃棄後の分解が速いという報告例がある(非特許文献1参照)。また、印刷がスタートしてから、正常な紙面になるまでに発生する損紙を減らすことができ、古紙を再生するのに洗い落ちがよく、繊維の損傷が少ない。すなわち、リサイクル効率が高く省資源になる。
大豆油を用いたインクジェット用インクは環境対応型インクとして用いられつつあるが、日本においては従来の石油系溶剤に比較して大豆油のコストが高く、大豆油を用いたインクの使用量は伸びていない。しかしながら、飲食物の製造に使用された油は、再処理することによって、飼料の製造に用いたり、燃料としたり、加工して石鹸としたりして再利用されている。しかし、このような使用済み油は年々増加しており、処理しきれていない。このような理由から、再生処理を施した大豆油をインクジェットインク用希釈溶剤として用いることは、経済的にも環境面からも望ましいと考えられる。なお、大豆油の再生方法としては、公知の技術が開示されている。
特開平11―279467号公報 特開2003―261808号公報 特開2003―49096号公報 特表平10―507487号公報 特開2005―290035号公報 ナンシー・ローサー(Nancy Lowther),アメリカン インク メーカー( American Ink Maker) ,Vol.71,No.8,p.36,1993年
したがって、速乾性及び保存安定性及び吐出安定性に優れるとともに、特に、スモッグやオゾンホールを形成することにより温室化現象を発生させる原因となる揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)の放出量を減少させることができる環境負荷の少ないインクジェット組成物の開発が望まれる。
同時に、記録速度の高速化も求められており、そのために駆動周波数を10kHzを超えるようにすることやノズル数を増やすことが行われている。しかし、記録ヘッドが静止している状態で、同じ位置から高周波でインク滴を吐出すると、本来の位置へのインクの着弾精度が低下し画像が乱れる問題があることが判った。
本発明の課題は、インクジェット用油系インクにおいて、従来のインク溶媒の代わりに、植物油を含有させた溶媒を用いて、環境負荷が少なく、10kHzを超える駆動周波数で印字した際のインク液の紙への定着性や画像再現性が優れた高濃度の印字物が得られる油系インクジェット組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、インクジェット組成物を、少なくとも顔料と非極性溶剤および植物油とこれら非極性溶剤と植物油の混合を補助する添加剤とから成る油系インクジェット組成物とし、該インク組成物のヨウ素価を90〜120の範囲にすることにより、10kHzを超える駆動周波数で印字した際のインク液の紙への定着性や画像再現性の優れた高濃度の印字物が得られるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の油系インクジェット組成物は、以下の特徴を有する。
(1)10kHzを超える駆動周波数でインクを吐出するインクジェットプリンター用インク組成物であって、顔料と、少なくとも1種以上の植物油、少なくとも1種類以上の炭化水素系溶剤、および該炭化水素系溶剤と前記植物油の混合を助ける補助溶剤を含んで成る希釈溶剤とから成り、インク組成物のヨウ素価が90〜120の範囲であることを特徴とする油系インクジェット組成物。
(2)前記植物油は再生植物油であって、該再生植物油を7重量%以上含有することを特徴とする(1)に記載の油系インクジェット組成物。
(3)前記植物油が大豆油であることを特徴とする(1)または(2)に記載の油系インクジェット組成物。
(4)酸化防止剤を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の油系インクジェット組成物。
本発明の油系インクジェット組成物によれば、従来の高沸点溶剤を主体としたインクに比べて画像形成時の作業環境や使用済みインクの廃棄など環境負荷が少なく、10kHzを超える駆動周波数での印字でも、良好な印字品質および定着性が得られ、優れた吐出安定性が得られるインクが提供される。
以下に、本発明に係る油系インクジェット組成物について詳細に説明をする。
本発明のインクジェット組成物は、10kHzを超える駆動周波数でインクを吐出するインクジェットプリンターに好適に用いられるインク組成物であって、顔料と、少なくとも1種以上の植物油、少なくとも1種類以上の炭化水素系溶剤、および該炭化水素系溶剤と前記植物油の混合を助ける補助溶剤を含んで成る希釈溶剤とから成り、インク組成物のヨウ素価が90〜120の範囲である。
ここで、ヨウ素価とは油系インクジェット組成物にハロゲンを作用させた場合に吸収されるハロゲンの量をヨウ素に換算して油系インクジェット組成物に対する百分率で表した数値であって、JIS K 0070に基づき電位差滴定から求めた数値である。また、希釈溶剤は油系インクジェット組成物に含有される全ての溶剤を意味する。
本発明に係る希釈溶剤は、植物油を用いることで揮発性有機化合物(VOC)の排出低減を可能とし、またヨウ素価を90〜120の範囲にすることで10kHzを超える駆動周波数で印字する場合においても、吐出安定性が良好で印字品質を良好に保持するとともに、インク組成物の記録材への定着性を向上させることができる。ヨウ素価が90より小さいとインク組成物の粘性が低下する傾向があり、そのためインクの着弾ずれが生じやすく、印字品質が悪化する。また、ヨウ素価が120を超えると、逆に粘性が高まる傾向にあり、吐出安定性が悪くなり、印字品質の不良となる。
なお、油系インクジェット組成物のヨウ素価は、インク組成物の希釈溶剤の構成成分である植物油、炭化水素系溶剤等の配合を調整することによって、所望のヨウ素価を得ることができる。
(顔料)
本発明で用いられる顔料としては、一般のインクジェット記録用インクで使用できる各種の無機顔料および有機顔料が使用可能であるが、とくに有用なものとして、C.I.ピグメントイエロー93,95,109,110,120,128,138,139,151,154,155,173,180,185,193,C.I.ピグメントオレンジ34,36,43,61,63,71,C.I.ピグメントレッド122,202,C.I.ピグメントブルー15,C.I.ピグメントバイオレット19,23,33,C.I.ピグメントブラッット7等を挙げることができる。
インクジェット記録方式では、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの4色を基本として、最近ではオレンジ、グリーンを加えた6色、さらには、ライトマゼンタ、ライトブルーを加えた8色のインクを用いてカラー画像などが形成されている。
これらの色相を得るために、さらに上記の顔料の中でも耐候性の良好なものが好適であり、とりわけ、イエローとしては、C.I.ピグメントイエロー138,54,180,185,マゼンタとしては、C.I.ピグメントレッド122,202,C.I.ピグメントバイオレット19,シアンとしては、C.I.ピグメントブルー15,ブラックとしては、C.I.ピグメントブラック7のとくに酸性もしくは中性顔料,オレンジとしては、C.I.ピグメントオレンジ43,64,71,グリーンとしては、C.I.ピグメントグリーン7,36がより好適である。
顔料の粒径は、インクの色濃度、色相、インク安定性などの観点から、平均粒径で200nm以下、好ましくは100〜200nmである。200nmを超えると、特にノズルおよびノズル供給部での目詰まりが発生しやすくなり、また吐出性が悪くなる。
顔料の使用量が少なくなりすぎるとインクの色濃度が低下し、一方多くなりすぎるとインク粘度や流動性の面から印刷が困難となる。これらの点から、顔料の好適な使用量は、インクジェット記録用インク組成物全量中に1〜15重量%程度であり、より好適には5〜10重量%程度である。
(炭化水素系溶剤)
炭化水素系溶剤としては、イソパラフィン系溶剤、シクロパラフィン系溶剤を挙げることでき、これらを単独または併用することが可能である。イソパラフィン系としては、イソデカン、イソドデカン、および市販のイソパラフィン系混合物、たとえばアイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM(以上、いずれもエクソンモービル(株)製)、ソルトロール(フィリップス石油(株)製)、IPソルベント2835(出光興産(株)製)などを挙げることができ、また、シクロパラフィン系溶剤としては、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン、および市販のシクロパラフィンを含む混合物、たとえばエクソールD130、D140(いずれもエクソンモービル(株)製)などを挙げることができる。
その他に流動パラフィンを使用できる。ここで、流動パラフィンとは、比較的軽質の潤滑油成分を硫酸洗浄などによって高度に精製して得られる、主としてノルマルパラフィン、イソパラフィンおよび単環シクロパラフィンの3成分の混合物であり(日本薬局方において軽質流動パラフィンと呼ばれるものも含む)、その中でも単環シクロパラフィンを20重量%以上含有するものが好適である。そして、実質的に紫外線吸収性の不純物を含有しないレベルまで精製され、使用目的に応じて、日本薬局方における流動パラフィンの純度試験、日本国で定められた、食品添加物基準における流動パラフィンの純度試験、および化粧品原料基準における流動パラフィンの純度試験の少なくとも1つに合格しているものは、作業・衛生の面においてもより好適である。これら3つの流動パラフィンの純度試験および基準値については、現在、最新のものとして、第十四改正日本薬局方、第7版食品添加物公定書、および厚生省告示第181号に基づく化粧品原料基準に収載されており、いずれのものにも合格した流動パラフィンとしては、たとえば、モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP―55(以上、松村石油研究所(株)製)、流動パラフィンNo.40−S、流動パラフィンNo.55―S(以上、中央化成(株)製)などを挙げることができる。
(植物油)
本発明では、顔料分散剤の溶解性を向上し、さらに顔料の分散性やインクの吐出安定性を向上させる溶剤成分として植物油を使用する。使用可能な植物油としては、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、ナタネ油、カラシ油、ゴマ油、コーン油等の半乾性油、オリーブ油、落下生油、ツバキ油等の不乾性油、亜麻仁油、サフラワー油などの乾性油をあげることができ、これらの植物油は単独で、または2種以上を組み合せて使用できる。
特に性状の点からは、酸化による重合性の低い半乾性油や不乾性油であって、その中でも、より低粘度なナタネ油、オリーブ油、また、安価な再生大豆油がより好ましい。
本発明で用いる炭化水素系溶剤と植物油の使用割合は、重量比率で(60:40)〜(80:20)の範囲が好ましい。炭化水素系溶剤の割合が前記範囲未満では、10kHzを超える印刷周波数での吐出性が劣る傾向にあり、植物油の割合が前記範囲未満では、吐出安定性および保存安定性が低下する傾向にある。
(補助溶剤)
本発明において、溶剤中に顔料を分散させるために使用する補助溶剤としては、溶剤に可溶可能な各種顔料分散剤が使用できる。中でも好適な分散剤は、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリエチレングリコールジイソステアレート等)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等)などのノニオン活性剤が適している。
さらに、ノニオン活性剤に加えて、アニオン活性剤あるいはカチオン活性剤として一般に知られている活性剤(分散剤)も本発明には使用できる。また、これらは場合によって2種類以上混合して用いることができる。
使用量は、臨界ミセル濃度以下に保つ量であることが好ましい。使用する溶剤及びその量、温度によって異なるが、本発明のインク組成物では、臨界ミセル濃度は0.9〜3.2mmol/L(25℃)である。このときインク組成物の表面張力は25〜29mN/mである。臨界ミセル濃度を超えるとミセルが形成され濁りが生じるので好ましくない。臨界ミセル濃度以下に保ち、かつ良好な分散性を得るためには、インク組成物全量中で0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。前記補助溶剤の使用量が前記範囲外では、10kHzを超える印刷周波数での吐出性が劣る傾向にある。
なお、臨界ミセル濃度は、着目する溶剤の濃度を変えながら、その都度の溶液の表面張力を測定し、表面張力が飽和する時点での濃度(臨界ミセル濃度)から求めることができる。
(酸化防止剤)
本発明においては、インク組成物に酸化防止剤を含有することが好ましい。これにより、インクの酸化を効果的に防止することができ、より保存安定性及び吐出安定性に優れた油系インクジェット組成物を得ることができる。
酸化防止剤としては、アルキルフェノール系化合物、フェニレンジアミン等のアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキノン系化合物、ヒドロキシルアミン系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物は長期保存を目的とした酸化防止剤として優れ、酸化生成物がさして着色しないことからジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が好ましい。また重合禁止剤として用いられ、急速短期の酸化防止機能に優れるフェノール系化合物のうちハイドロキノン、ガレート等のフェノール性OHを持った化合物等を用いても良い。またそれらを適宜、併用することも可能である。
酸化防止剤の添加量は使用する酸化防止剤、使用環境によって異なるが、インク全量に対して0.01〜1重量%添加することが好ましい。0.01重量%未満であると酸化による異物の発生を充分に抑制することができず、インクジェットノズルからの吐出安定性が悪化する。一方、酸化防止剤を1重量%よりも多く添加しても、酸化防止のさらなる効果は期待できず、逆に吐出性が悪化する恐れがある。
(バインダー樹脂)
本発明においては、被印刷体への固着性などの改善のために、通常の油性インクジェット記録用インクで使用されている各種バインダー樹脂を添加することができる。特に再溶解性に効果のある石油樹脂やロジン変性マレイン酸樹脂などは好適である。また、顔料の分散に効果のある顔料誘導体や界面活性剤、さらに粘度調整剤などの各種添加剤を配合することもできる。
これらの材料を用いてインクジェット記録用インクを製造する方法としては、たとえば、炭化水素系溶剤の一部に分散剤を溶解させて分散剤溶液とし、これに、さらに顔料、必要に応じて分散剤などを混合攪拌し、練肉機で練肉してベースインクを調製し、このベースインクに、炭化水素系溶剤の残り、植物油、さらに必要に応じてその他の添加剤を添加混合する方法などが利用できるが、これらに限定されるものではない。
前記練肉機としては、たとえば、湿式サーキュレーションミル、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、パールミルなどをあげることができ、特にインクジェット記録用インクでは、通常の印刷インキと比較して、より微細に顔料を分散させる必要があることから、前記機種の中でも湿式サーキュレーションミルが好ましい。
本発明の油性インクジェット記録用インク組成物は、動作時の温度は0〜50℃に設定した場合におけるインク粘度は、ヘッドの高速応答下におけるインクの供給安定性及びインクの液滴形成飛翔安定性により、吐出ノズル付近において15mPa・s以下が好ましい。更に、インクの吐出応答性をキャビティ内での振動の減衰の観点から、3〜10mPa・sがより好ましく、粘度がこの範囲にあると、高速印刷において吐出追随性や吐出安定性も良好である。
これらの物性値は、最終的なインクの組成物として有していればよいが、とくに主要成分である炭化水素系溶剤に支配される物性値であることから、用いる炭化水素系溶剤(混合物の場合は混合物として)として、前記の表面張力および粘度を有し、さらに凝固点が−10℃以下となるものを選択しておくことが望ましい。
本発明の油系インクジェット記録用インク組成物は、ピエゾ振動素子を利用してインクを吐出するライン型プリンタヘッドを装備したオンデマンド・インクジェット記録方式に適しており、このタイプのインクジェットプリンターにおいて10kHzを超える印刷周波数での吐出性が良好であり、かつ初期から長期に亘る保存においても良好な顔料分散性を有し、低温から高温までの幅広い温度範囲において良好な吐出安定性を有するものである。使用する本発明の油性インクジェット記録用インク組成物が、10kHzを超える印刷周波数での吐出性が優れているので、高速印字が可能となる。被印刷体としては、インクジェット記録方式で一般に使用されているものがいずれも使用でき、たとえば普通紙、インク受理層を設けた専用紙、プラスチックフィルム、インク受理層を設けたプラスチックフィルムなどが挙げられる。もちろん、10kHz以下の印刷周波数のインクジェットプリンターにも用いることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明の油系インクジェット組成物をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
(ベースインクの調製)
補助溶剤として、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート5部と炭化水素系溶剤として、モレスコホワイトP−40(松村石油研究所(株)製)14.8部及びエクソールD110(エクソンモービル(株)製) 15部を溶解し、これに顔料として、FASTOGEN BLUE 5430SD(;大日本インキ化学工業社製)5部及び酸化防止剤として、ジブチルヒドロキシトルエン(ナカライテスク(株)製)0.2部を攪拌混合した後、ビーズミルを用いて12時間分散し、ベースインクを得た。
(インクジェット組成物の調製)
前記ベースインク40部に、大豆油系溶剤として、アルカリ精製大豆油7部と大豆油メチル53部を撹拌混合して、実施例1のインクジェット記録用インクを得た。
[実施例2〜4、比較例1〜4]
表1に示す配合にした以外、実施例1と同様にして各種材料を撹拌混合して、実施例2〜4及び比較例1〜4のインクジェット記録用インクを得た。なお、比較例1,2では、実施例1での大豆油メチルに代えて、水溶性有機溶剤としてそれぞれジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルアセテートを用いた。表1中の各成分の配合量は部数である。
(ヨウ素価)
ヨウ素価は、JISK0070に基づいて電位差滴定を行い、それをもとに下記式により算出した。
Figure 2007291253
ここで、A;ヨウ素価、B;空試験に用いた0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の量(mL)、C;滴定に用いた0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の量(mL)、f;0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター、1.269;ヨウ素の原子量126.9×(1/100)である。
(粘度測定)
各インクジェット記録用インクの25℃における粘度は、粘度計((株)エー・アンド・デイ製SV−10)を用いて測定した。なお、ここで測定される粘度は、静的な粘度である。
(表面張力測定)
各インクジェット記録用インクの25℃における表面張力は、表面張力計(協和界面科学(株)製CBVP―Z)を用いて測定した。なお、ここで測定される表面張力は、静的な表面張力である。臨界ミセル濃度も前記表面張力計を用いて求めた。
(性能評価)
前記得られた実施例1〜4、比較例1〜4のインクジェット記録用インクについて、印字品質、定着性および吐出安定性の性能評価を行った。結果を表1に示す。
評価方法および評価基準は以下に示す通りである。
1)印字品質
ピエゾ振動素子を利用するライン型プリンタヘッドで10kHzの駆動周波数でインクを吐出するインクジェット記録方式の印刷装置を12kHzの印刷周波数でインクを吐出するように改造したテスト用印刷装置を用いて、EPSONスーパーファイン紙上に直線の細罫線を印字し、その細罫線の直線性を光学顕微鏡(キーエンス社製、100倍)を用いて観察した。評価基準は以下に示す通りである。
○:直線になっている。
×:直線に着弾ずれ及びにじみが認められる。
2)定着性
各インクジェット記録用インクを用いて、5cm×5cmのベタパターンを印字し、その直後からポリウレタンブレードをワイパーの様に無加重でスキャンさせインクの拭き汚れが出なくなるまで時間を測定した。評価基準は以下に示す通りである。
◎:2.5秒未満
○:2.5〜5秒未満
△:5〜10秒未満
3)常温吐出安定性
一般的な室内環境と考えられる20℃の温度雰囲気下で、前記テスト用印刷装置を用いて、各インクジェット記録用インクをEPSONスーパーファイン紙(A4)に連続ベタ印刷し、A0に相当するサイズでカットして印刷物100枚を得た。印刷がされない部分(白すじ)が印刷開始から何枚目で発生したかで常温吐出安定性を評価した。評価基準は以下に示す通りである。
◎:印刷されない部分が71枚目以降に発生するか、印刷されない部分が100枚目まで発生しない。
○:印刷されない部分が51 枚目〜70枚目で発生する。
△:印刷されない部分が31枚目〜50枚目で発生する。
×:印刷されない部分が30枚目までに発生する。
Figure 2007291253
表1に示すように、実施例1〜4のインク組成物はヨウ素価がいずれも90〜120の範囲にあるため、良好な粘性が得られ、高速印字に対しても印字品質および定着性は良好であり、また常温での吐出安定性も良好であった。
これに対し、インクのヨウ素価が90未満の比較例1〜3では、粘性が低下し印字品質が悪化した。また、ヨウ素価が120を超える比較例4では、粘性が大きくなり、印字品質が悪化し、定着性および吐出安定性についても良好な結果は得られなかった。
以上、実施例と比較例をあげて具体的に示したように、本発明の油性インクジェット組成物は、高速吐出性に優れ、良好な吐出安定性を有する。

Claims (4)

  1. 10kHzを超える駆動周波数でインクを吐出するインクジェットプリンター用インク組成物であって、顔料と、少なくとも1種類以上の植物油、少なくとも1種類以上の炭化水素系溶剤、および該炭化水素系溶剤と前記植物油の混合を助ける補助溶剤を含んで成る希釈溶剤とから成り、インク組成物のヨウ素価が90〜120の範囲であることを特徴とする油系インクジェット組成物。
  2. 前記植物油は再生植物油であって、該再生植物油を7重量%以上含有することを特徴とする請求項1記載の油系インクジェット組成物。
  3. 前記再生植物油が再生大豆油であることを特徴とする請求項2記載の油系インクジェット組成物。
  4. 酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油系インクジェット組成物。


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