JP2007286541A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】高温時および低温時における耐オフセット性に優れるとともに、定着性が良好であり低温定着性が可能となるトナーを提供する。
【解決手段】トナー母粒子を含有するトナーであって、温度T℃における溶融粘度をη(T)、温度(T+5)℃における溶融粘度をη(T+5)とするとき、η(T+5)/η(T)≧1を満たす温度Tが存在することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明はトナーに関する。
例えば複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンタ等における画像形成方法として、光導電性物質を用いた感光体の表面を帯電させ、露光して静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させて現像することによってトナー像を得、得られたトナー像を紙などの被転写体へ転写した後、熱圧により定着させる方法が知られている。
トナーは、結着樹脂と着色剤を含むトナー母粒子を含有しており、必要に応じて、さらに外添剤を含有する。
トナー像を熱圧により定着させる方法では高温オフセット現象の発生という問題がある。これは、定着時に、加熱によって溶融したトナー間凝集力が弱まり、トナー像の一部が定着ローラーに移行し、そのトナーが次の記録媒体に付着して記録媒体を汚す現象である。
トナーの耐高温オフセット性および耐熱性を向上させるにはトナーの溶融粘度が高い方が良い。しかしながら、トナーの溶融粘度が高ければ、耐高温オフセット性に優れるものの、比較的低温でトナー像を十分に定着させ得る特性である低温定着性を得ることは困難であり、定着温度幅が狭くなるという問題点がある。また、トナーの溶融粘度が高ければ、定着温度が低温の場合に、トナーを溶融するための熱エネルギーが不足し、定着ローラーに近い側のトナーのみが溶融し、記録媒体付近のトナーが溶融せず、結果として、定着ローラーとトナーの付着力の方がトナーと記録媒体との付着力よりまさり、定着ローラーにトナー像が付着し、そのトナーが次の記録媒体に付着する、低温オフセット現象が発生するという問題がある。
下記特許文献1はトナーにおける耐オフセット性と低温定着性を両立させることを目的とするもので、トナーの結着樹脂として、線状ポリマー、重合性単量体および架橋剤の混合用液を重合してなる、ゲル分を有する樹脂が記載されている。
特許第2512442号公報
しかしながら従来の方法では、良好な耐高温オフセット性と低温定着性を確実に達成することは難しく不十分であった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、高温時および低温時における耐オフセット性に優れるとともに、定着性が良好で低温定着性が可能となるトナーを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のトナーは、トナー母粒子を含有するトナーであって、温度T℃における溶融粘度をη(T)、温度(T+5)℃における溶融粘度をη(T+5)とするとき、η(T+5)/η(T)≧1を満たす温度Tが存在することを特徴とする。
本発明のトナーは、高温時および低温時における耐オフセット性に優れるとともに、定着性が良好であり低温定着性が可能である。
[溶融粘度]
本発明のトナーは、温度T℃における溶融粘度をη(T)、温度(T+5)℃における溶融粘度をη(T+5)とするとき、η(T+5)/η(T)≧1を満たす温度Tが存在することを特徴とする。
一般に、トナーの溶融粘度は温度上昇とともに単調減少する傾向があるが、本発明のトナーは、温度がT℃からT+5℃へ上昇する際に溶融粘度が横這いまたは上昇するという温度特性を有する。
本発明におけるトナーの溶融粘度は以下の方法で測定される値である。
すなわち、測定装置としてフローテスター (株)島津製作所製のフローテスタ「CFTシリーズなど」を用い、トナーを該フローテスター付属の加圧プレスにより100kg/cmで加圧したものをサンプルとして、以下の条件で、温度変化に対する見掛けの溶融粘度の変化を測定する。
昇温速度:6℃/min、
開始温度(予熱温度):40℃、
予熱時間:300sec、
荷重:20kg、
ダイ直径:1mm、
ダイ長さ:1mm、
プランジャー断面積:1.0cm
このような測定により得られる、温度と溶融粘度の関係において、温度の上昇に伴って溶融粘度が上昇するまたは横這いになる温度領域が存在することにより、低温領域では溶融粘度を適度に低下させることができ、高温領域では溶融粘度が必要以上に低下するのを抑えることができる。
かかる現象が生じる温度(T℃)は、110℃〜130℃の温度領域に存在することが好ましい。
前記温度T℃が低すぎると、低温領域での溶融粘度の低下が大きくなり、高温では溶融しやすくなるため高温オフセットが発生するおそれがある。また、上記温度Tが高すぎると、高温領域での溶融粘度が高くなり、低温では溶融しにくくなるため低温オフセットが発生するおそれがある。
[トナー母粒子]
本発明にかかる特定の温度特性を有するトナーは、トナー母粒子として、ゲル分を多く含み、かつテトラヒドロフラン(THF)中で膨潤するゲル分を含有するトナー母粒子を用いることによって得ることができる。
ここでの「膨潤するゲル分を含有するトナー母粒子」とは、トナー母粒子0.1gを圧力100kg/cmで、高さ1mm、直径1cmの円柱状に圧縮成型したペレットを、THF20ml中に入れて24時間静置すると、THF中に膨潤したペレット状ゲルが存在する、という特徴を有するものをいう。
トナー母粒子の体積平均粒子径は、8μm以下が好ましい。トナー母粒子の体積平均粒子径を8μm以下とすることにより、画質に優れた画像を得ることができる。体積平均粒子径は、細孔電気抵抗法により測定する。
本発明の好ましい実施形態において、トナー母粒子は、重合性単量体、分子量調整剤および架橋剤を含有する混合物を重合反応させて形成されたものであり、前記混合物における、前記分子量調整剤の含有量を1とするとき、前記架橋剤の含有量の質量比が1.1以上であり、かつ前記トナー母粒子におけるゲル分の含有量が30質量%以上である。
本発明におけるゲル分の含有量は、以下の方法によって測定される値である。まず、トナー母粒子を容器に入れ、秤量する。次いで容器に多量のTHFを入れ、24時間放置する。放置の途中で、数回、容器を振り、トナー母粒子の成分のうちTHF可溶分のTHFへの拡散を促進させる。しかる後、さらに48時間以上静置して、ゲル分を沈降させる。上澄み液をスポイトで除去し、ゲル分を乾燥させて秤量する。
測定に用いたトナー母粒子の質量(単位:g)をT、得られたゲル分の乾燥物の質量(単位:g)をSとすると、下記数式(1)よりゲル分の含有割合(単位:質量%)を算出する。
ゲル分の含有割合=(S/T)×100 ・・・(1)
本発明において、トナー母粒子の重合に用いる混合物において、分子量調整剤の含有量に対する架橋剤の含有量の質量比を1.1倍以上とすることにより、ゲル分量を30質量%以上含有すると共に、膨潤するゲル分を含有するトナー母粒子を得ることができる。
該質量比の上限は特に限定されないが、目的とするゲル分量を得る点からは2.3以下が好ましく、さらに1.8以下がより好ましい。
本発明において、トナー母粒子におけるゲル分の含有量を30質量%以上とすることにより、より広い温度領域で良好な定着性を実現できる。
本発明において、トナー母粒子におけるゲル分の含有量の上限は特に限定されないが、低温時でのブリスタ発生防止の点からは50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましい。
トナー母粒子におけるゲル分の含有量は、例えば架橋剤の種類、使用量、および架橋条件によって調整できる。
[重合性単量体]
トナー母粒子の製造に用いられる重合性単量体(以下、「結着樹脂を形成するモノマー」ということもある。)は、トナー母粒子の結着樹脂を構成する単量体として公知のものを適宜用いることができる。
結着樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン系共重合体などのスチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ビニルエーテル系樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。なかでもスチレン系樹脂が好ましく、スチレン系共重合体が特に好ましい。
上記スチレン系共重合体は、スチレン系モノマーを主成分とする共重合体である。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどが挙げられ、好ましくは、スチレンが挙げられる。
上記スチレン系モノマーと共重合する他のモノマーとしては、例えば、p−クロロスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのアルカン(モノオレフィン類);塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドテシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、2−エチルヘキシルメタクリレート、メタアクリル酸n−オクチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどの含窒素アクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデンなどの含窒素ビニル化合物などが挙げられる。上記他のモノマーは、1種を単独でスチレン系モノマーと共重合させてもよく、2種以上を組み合わせてスチレン系モノマーと共重合させてもよい。上記他のモノマーのうちでも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、より好ましくは炭素数1〜12(さらに好ましくは、炭素数3〜8)の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルであり、さらに好ましくは2−エチルヘキシルメタクリレートである。
[架橋剤および分子量調整剤]
架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどのカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物などが挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
[分子量調整剤]
分子量調整剤としては、例えばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2,2,4,6,6,−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤の添加量は、上記結着樹脂を形成するモノマー100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部であり、分子量調整剤の添加量は上記結着樹脂を形成するモノマー100質量部に対して、好ましくは0.11〜5質量部であり、かつ分子量調整剤の添加量を1とするとき、架橋剤の添加量の質量比が1.1以上であることが好ましい。
[着色剤]
トナー母粒子の重合に用いる混合物には、通常、着色剤が添加される。好ましい着色剤の例としては、無機顔料、有機顔料、合成染料などが挙げられる。これら着色剤は、それぞれ単独で用いてもよく、例えば、1種または2種以上の無機顔料および/または有機顔料と、1種または2種以上の染料とを組み合わせて用いてもよい。
無機顔料としては、例えば、金属粉系顔料(例えば、鉄粉、銅粉など。)、金属酸化物系顔料(例えば、マグネタイト、フェライト、ベンガラなど。)、カーボン系顔料(例えば、カーボンブラック、ファーネスブラックなど。)などが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ系顔料(例えば、ベンジジンイエロー、ベンジジンオレンジなど。)、酸性染料系顔料および塩基性染料系顔料(例えば、キノリンイエロー、アシッドグリーン、アルカリブルーなどの染料を沈澱剤で沈澱させたもの、ローダミン、マゼンタ、マカライトグリーンの染料をタンニン酸、リンモリブデン酸などで沈澱させたものなど。)、媒染染料系顔料(例えば、ヒドロキシアントラキノン類の金属塩類など。)、フタロシアニン系顔料(例えば、フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンなど。)、キナクドリン系顔料およびジオキサン系顔料(例えば、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレットなど。)などが挙げられる。
合成染料としては、例えば、アニリン黒、アゾ染料、ナフトキノン染料、インジゴ染料、ニグロシン染料、フタロシアニン染料、ポリメチン染料、トリおよびジアリルメタン染料などが挙げられる。
着色剤の配合量は、結着樹脂を形成するモノマー100質量部に対して、好ましくは、1〜50質量部であり、より好ましくは、1〜20質量部である。
[ワックス類]
トナー母粒子の重合に用いる混合物には、トナーの定着性を向上させたり、オフセットや像スミアリングをより効率的に防止させたりするためにワックス類を含有させることが好ましい。上記ワックス類としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、テフロン(登録商標)系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックスなどが挙げられる。これらワックスは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ワックス類の配合量は、結着樹脂を形成するモノマー100質量部に対して、好ましくは、1〜10質量部である。ワックス類の配合量が上記範囲を下回ると、オフセットや像スミアリングを効率的に防止できなくなるおそれがある。一方、ワックス類の配合量が上記範囲を超えると、トナー同士の融着が生じ易くなって、保存安定性が低下するおそれがある。
[電荷制御剤]
トナー母粒子の重合に用いる混合物に、必要に応じて電荷制御剤を含有させることが好ましい。電荷制御剤を配合することにより、トナーの帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で一定の電荷レベルに帯電される能力を示す指標)を向上させたり、トナーの耐久性や安定性などの特性を向上させたりすることができる。また、トナーが正に帯電される場合には、正帯電性の電荷制御剤が配合され、トナーが負に帯電される場合には、負帯電性の電荷制御剤が配合され、公知の電荷制御剤を適宜用いることができる。
電荷制御剤の配合量は、結着樹脂を形成するモノマー100質量部に対して、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは1.5〜8質量部、さらに好ましくは2〜7質量部である。電荷制御剤の配合量が少なすぎると、トナーを安定して帯電させることが困難になるおそれがあり、このようなトナーを用いて画像形成をすることにより、画像濃度の低下、画像濃度の安定性の低下などを生じるおそれがある。また、電荷制御剤の配合量が少なすぎると、電荷制御剤の分散不良が起こり易く、いわゆるカブリの原因となったり、感光体汚染が顕著に生じたりするおそれがある。一方、電荷制御剤の配合量が多すぎると、耐環境性が低下し、特に、高温高湿下での帯電不良、画像不良が顕著に現れたり、感光体汚染などが生じ易くなったりする。
[磁性粉]
トナーを磁性一成分現像剤として用いる場合、トナー母粒子の重合に用いる混合物に磁性粉を含有させてもよい。
磁性粉としては、例えばフェライト、マグネタイト等の鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属または合金またはこれらの元素を含む化合物;強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金;二酸化クロム等が挙げられる
磁性粉の量は、結着樹脂を形成するモノマー100質量部に対し、50〜100質量部が好ましい。
[重合法]
トナー母粒子は、これらの成分を含有する混合物を重合反応して得られる。重合法としては、懸濁重合法または乳化重合凝集法が好ましく用いられる。
[懸濁重合法]
懸濁重合法によりトナー母粒子を作製する場合は、上記結着樹脂を形成するモノマー、着色剤、ワックス、電荷制御剤、架橋剤、分子量調整剤などを、水系媒体(例えば、水または水と水混和性溶媒との混合溶媒)中に分散させ、さらに、必要に応じて、上記水系媒体中に懸濁安定剤などを含有させる。次いで、上記水系媒体を攪拌して、上記結着樹脂を形成するモノマーなどを含む成分を水系媒体中で適当な粒径とし、その後、重合開始剤を加えて、加温することにより、トナー母粒子が形成される。
懸濁重合時の水系媒体量は、上記結着樹脂を形成するモノマー100質量部に対して、好ましくは300〜1000質量部である。
重合開始剤としては、例えば、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ・ジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドなどの過酸化物系重合開始剤などが挙げられる。重合開始剤は1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。重合開始剤の添加量は、上記結着樹脂を形成するモノマー100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部である。
懸濁安定剤は、例えば、重合反応後に酸洗浄により容易に除去できるもの(水中で、中性またはアルカリ性を示すもの)が好ましい。このような懸濁安定剤としては、例えば、第三リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの無機化合物;例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースなどの有機化合物またはそれらのナトリウム塩が挙げられる。懸濁安定剤の添加量は、上記結着樹脂を形成するモノマー100質量部に対して、0.2〜10質量部とすることが好ましい。
上記懸濁安定剤を微細化するために、上記結着樹脂を形成するモノマー100質量部に対して、界面活性剤を0.001〜0.5質量部添加してもよい。ここでいう界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなどが挙げられる。
懸濁重合により得られるトナー母粒子の大きさは、上記成分を含有する水系媒体の撹拌速度や攪拌時間により調整することができる。重合反応時の撹拌速度や攪拌時間は、特に限定されないが、例えば、まず2000〜10000回転/分で5分〜1時間攪拌した後、粒子状態を維持し、かつ、粒子の沈降を防止できる程度に撹拌しつつ、50〜90℃で2〜20時間重合反応させればよい。こうして、トナー母粒子の分散液が得られる。重合反応は、好ましくは、窒素雰囲気下で行われる。
[乳化重合凝集法]
乳化重合凝集法によりトナー母粒子を作製する場合は、一般に、乳化重合により調製された樹脂分散液と、溶媒に着色剤、ワックス、電荷制御剤などを分散させて調製された添加剤分散液とを混合して、トナー母粒子の粒径に相当する凝集粒子を形成した後、これを加熱して融合させることにより、上記トナー母粒子を得ることができる。この方法によれば、より高い円形度を有するトナー母粒子を作製することができる。
上記樹脂分散液を調製するための乳化重合では、例えば、前記懸濁重合で例示したのと同様の、結着樹脂を形成するモノマーと、架橋剤と、分子量調整剤と、イオン交換水と、水溶性重合開始剤とを所定の割合で混合し、例えば、10〜90℃、攪拌速度10〜1000回転/分で、1〜24時間程度で反応させればよい。
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩などの水溶性アゾ系重合開始剤;過酸化水素などの水溶性ラジカル重合開始剤;上記過硫酸塩などと、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどの還元剤とを組み合わせたレドックス系重合開始剤などが挙げられる。
上記乳化重合は、好ましくは、不活性ガス(例えば、窒素ガスなど。)雰囲気下で行われる。また、上記樹脂分散液中での樹脂粒子の平均粒径は、好ましくは0.01〜1μmである。
一方、上記添加剤分散液は、例えば、上記した着色剤、ワックス、電荷制御剤などを、所定の割合で水系媒体中に配合し、さらに必要に応じて、分散剤を配合して、ボールミルなどの分散手段で分散混合することにより得られる。
上記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水などの水;例えば、アルコール類などが挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
上記分散剤としては、例えば、硫酸エステル塩系(例えば、ドデシル硫酸ナトリウムなど。)、スルホン酸塩系(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムなど。)、リン酸エステル系、石鹸系、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン界面活性剤;例えば、アミン塩型、4級アンモニウム塩型(例えば、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなど。)などのカチオン界面活性剤;例えば、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系などの非イオン界面活性剤などが挙げられる。なかでも、アニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。また、非イオン界面活性剤は、アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤と併用することが好ましい。上記界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記凝集粒子を形成するには、例えば、凝集剤として塩化ナトリウムなどの塩を添加する。この凝集剤の添加方法は、上記の樹脂分散液と添加剤分散液とを混合して得られる混合分散液に、上記分散剤の水溶液を、攪拌下、10分〜24時間程度の時間をかけて滴下すればよい。このとき、混合分散液の温度は、樹脂分散液中の樹脂のガラス転移温度(Tg)未満であることが好ましい。
凝集粒子を成長させた後、樹脂分散液中の樹脂のガラス転移温度(Tg)以上に昇温して、凝集粒子を融合させる。凝集粒子の融合は、10分〜24時間程度攪拌しながら行われる。こうしてトナー母粒子が形成される。
[外添剤]
こうして得られるトナー母粒子に、必要に応じて添加剤(外添剤)を加えて混合することによりトナーが得られる。外添剤としては、例えば、酸化チタン微粒子、シリカ微粒子などが挙げられる。
トナーに含有される添加剤(外添剤)の量は、特に限定されないが、例えば、トナー母粒子100質量部に対して、好ましくは、0.1〜5質量部である。
トナー母粒子に外添剤を付着(外添)させる方法としては、特に限定されないが、例えば、トナー母粒子と外添剤とをヘンシェルミキサなどの装置で混合する方法が挙げられる。
本発明によれば、高温時および低温時における耐オフセット性に優れるとともに、定着性が良好であり低温定着性が可能となるトナーが得られる。
一般に、トナー母粒子中のゲル分が多い程、耐オフセット性は向上するものの、定着温度の下限が上昇する傾向がある。一方、ゲル分が少ないと耐オフセット性などの効果が不足する傾向がある。
これに対して本発明のトナーは、温度上昇に伴ってトナーの溶融粘度が上昇または横這いになる現象を発現する温度領域が存在するものであり、かかるトナーが熱圧により定着される際には、低温領域ではゲル分以外の樹脂が溶融しはじめるため、溶融粘度は比較的低く保たれる。よってゲル量が多くても低温定着が可能となり、また、低温での耐オフセット性にも優れる。一方、ある温度Txを超えた高温領域では、ゲル分が溶融しはじめるため、溶融粘度が高くなり高温オフセットの発生を防止することができる。
また、トナー母粒子を重合法で形成することにより、トナー母粒子中のゲル分量を多くすることができる。粉砕法でトナー母粒子を形成すると、粉砕前のゲル量を多くしても、粉砕工程でのせん断力によりゲルサイズが小さくなるためゲル量は減少する。重合法でトナー母粒子を製造する場合は粉砕工程がないためにゲルサイズが比較的大きい状態で維持され、ゲル分の含有量が多いトナー母粒子を得るのに好適である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例における各測定、評価は以下のように行った。
(粒子径の測定)
Multisizer3(ベックマン・コールター社製)を用いて、トナー母粒子の粒度分布を測定し体積平均粒子径を求めた。
(耐オフセット性の評価)
評価機はDP560(製品名、三田工業製)を用いた。
紙の先端に30mm×30mmのベタパッチを出力し、オフセットが発生しているかどうかを目視により観察した。
ローラ表面温度200℃でオフセットが発生しなければ、高温オフセットは○、発生すれば×とした。
ローラ表面温度150℃でオフセットが発生しなければ、低温オフセットは○、発生すれば×とした。
(定着性の評価)
定着性の評価にはテープ剥離試験を用いた。
すなわち、耐オフセット性の評価方法と同様にして、ローラ表面温度180℃でベタパッチを出力し、任意のセロハンテープをトナー定着面上に貼付け、垂直方向に剥し取った場合の剥がれ状態を限度見本にて判定した。
評価結果は、◎:剥れなし、○:僅かに剥がれるが目視の濃度に影響なし、△:僅かに剥れるが目視の濃度に影響しない、×:剥れる、とした。
なお、予め各ベタパッチの出力途中で、機械本体から未定着画像を取り出し、ベタパッチ上に乗っているトナー量を吸引装置を用いて測定することにより、単位面積あたりの紙上トナー量が、0.7mg/cmで一定となるように調整した。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
架橋剤および分子量調整剤の配合量を表1に示すとおりに変えてトナー母粒子を形成した。
すなわち、スチレン80質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート20質量部、カーボンブラック5質量部、低分子量ポリプロピレン3質量部、電荷制御剤N−07(製品名、オリエント化学社製)5.0質量部、および架橋剤としてジビニルベンゼン所定質量部の混合溶液をボールミルにて十分に分散させた後に、重合開始剤として2、2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2質量部、および分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン所定質量部を加え、これをイオン交換水400質量部に加えた。更に懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム5質量部と、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1質量部を加え、TKホモミキサ(製品名、特殊機化工業社製)を用いて、回転数5000rpmで45分間攪拌した。続いて、窒素雰囲気下、70℃、100rpmで10時間重合反応させた後、酸洗浄を行い、第三リン酸カルシウムを除去し、トナー母粒子の分散液を得た。この分散液をろ過、洗浄、乾燥してトナー原粉(トナー母粒子)を得た。得られたトナー母粒子の体積平均粒子径は7.5μmであった。
こうして得られた原粉(トナー母粒子)100質量部と、外添剤としてシリカRA200HS(製品名、日本アエロジル社製)0.8質量部を、ヘンシェルミキサーで周速3500mm/secにて、10分間混合し、トナーを得た。
各実施例および比較例において、形成したトナー母粒子におけるゲル分の含有量を前述の方法で測定した。その結果を表1に示す。
各実施例および比較例で得られたトナーについて、前述の方法でそれぞれの溶融粘度を測定した。その結果を図1に示す。図1の結果より、温度がT℃からT+5℃へ上昇する際に溶融粘度が上昇する現象を示す温度T(℃)を表1に示す。
また得られた各トナーについて、耐オフセット性および定着性の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2007286541
図1および表1の結果より、温度がT℃からT+5℃へ上昇する際に溶融粘度が上昇する現象を示す温度Tが存在する実施例1〜3では耐オフセット性および定着性がともに良好であった。特に実施例1および3は高温でも低温でもオフセットが発生せず、定着性も優れていた。
これに対してかかる現象を示す温度Tが存在しない比較例1〜3では、高温および低温での耐オフセット性と定着性をすべて良好にすることはできなかった。
特に比較例1は溶融粘度が比較的高いため、高温オフセットは良好であるものの、低温オフセットおよび定着性が劣っていた。
また比較例2は低温での溶融粘度が低くある程度のゲル分を含有しているため、高温オフセットおよび低温オフセットがいずれも劣っていた。
比較例3は溶融粘度が比較的低いため、定着性および低温オフセットは良好であるものの高温オフセットが劣っていた。
実施例および比較例の結果を示すグラフである。

Claims (3)

  1. トナー母粒子を含有するトナーであって、温度T℃における溶融粘度をη(T)、
    温度(T+5)℃における溶融粘度をη(T+5)とするとき、
    η(T+5)/η(T)≧1を満たす温度Tが存在することを特徴とするトナー。
  2. 前記温度Tが110℃〜130℃の温度領域に存在する請求項1記載のトナー。
  3. 前記トナー母粒子が、重合性単量体、分子量調整剤および架橋剤を含有する混合物を重合反応させて形成されたものであり、
    前記混合物における、前記分子量調整剤の含有量を1とするとき、前記架橋剤の含有量の質量比が1.1以上であり、かつ前記トナー母粒子におけるゲル分の含有量が30質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。


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