JP4321446B2 - 静電潜像現像用トナー、その製造方法、静電潜像現像剤及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の目的は、オイルレス定着システムを用いた、広い定着温度領域を有する静電潜像現像用トナーを提供することである。また、ソリッド部およびハーフトーン部が混在している画像においてもホットオフセットの発生を抑制可能な静電潜像現像用トナーを提供することである。
さらに、本発明は、前記静電潜像現像用トナーからなる現像剤、静電潜像現像用トナーの製造方法及び前記静電潜像現像用トナーを使用した画像形成方法を提供することを目的とする。
(1)結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する静電潜像現像用トナーであって、該結着樹脂の重量平均分子量が20,000〜40,000であり、かつ該トナーの蛍光X線による炭素含有量を[C]%、硫黄含有量を[S]%としたとき、[S]/[C]が式(1)の関係にあることを特徴とする静電潜像現像用トナー、
0.0002≦[S]/[C]≦0.0030 (1)
(2)結着樹脂がビニル系重合性単量体を重合して得られた樹脂である(1)に記載の静電潜像現像用トナー、
(3)該トナー表面に外添剤を含有し、かつ外添剤が100,000以上500,000以下の重量平均分子量を有する樹脂微粒子を含む(1)又は(2)に記載の静電潜像現像用トナー、
(4)該トナー表面に外添剤を含有し、かつ外添剤としてシリカ、アルミナ、チタンのうち少なくとも1種を有する(1)〜(4)いずれか1つに記載の静電潜像現像用トナー、
(5)該外添剤がトナーと帯電特性が逆極性である(3)又は(4)に記載の静電潜像現像用トナー、
(6)トナーの形状係数SF1が115〜130である(1)〜(5)いずれか1つに記載の静電潜像現像用トナー、
(7)トナーのGSDpが1.23以下である(1)〜(6)いずれか1つに記載の静電潜像現像用トナー、
(8)トナーの離型剤含有量が5〜20重量%である(1)〜(7)いずれか1つに記載の静電潜像現像用トナー、
(9)粒径が1μm以下の樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液、及び着色剤を分散した着色剤分散液を少なくとも混合し、結着樹脂粒子及び着色剤をトナー粒径の粒子に凝集させる凝集工程、得られた凝集粒子を結着樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し凝集体を融合させ、トナー粒子を形成する融合工程を含む静電潜像現像用トナーの製造方法であって、該結着樹脂の重量平均分子量が20,000〜40,000であり、樹脂粒子分散液の調製工程において硫黄化合物を共存させることにより得られたトナーの蛍光X線による炭素含有量を[C]%及び硫黄含有量を[S]%としたとき、[S]/[C]が式(2)の関係を満たすように制御することを特徴とする静電潜像現像用トナーの製造方法、
0.0002≦[S]/[C]≦0.0030 (2)
(10)キャリアと(1)〜(8)いずれか1つに記載の静電潜像現像用トナーからなる静電潜像現像剤、
(11)感光体を帯電する帯電工程、帯電した感光体に露光して感光体上に潜像を作製する露光工程、潜像を現像し現像像を作製する現像工程、現像像を定着基材上に転写する転写工程、及び定着基材上の現像像を定着部材により加熱定着する定着工程を含む画像形成方法であって、該現像剤として(1)〜(8)いずれか1つに記載の静電潜像現像用トナー又は(10)に記載の静電潜像現像剤を使用することを特徴とする画像形成方法、
(12)定着基材上のトナーと該定着部材の接触時間が0.02〜0.1秒である(11)に記載の画像形成方法。
(静電潜像用トナー)
静電潜像現像用トナー(本願において単に「トナー」ともいう。)は定着時において、定着部材から熱を受け取り、トナーが溶融することにより、用紙等の記録部材にしみこむことで定着をすることは広く知られている。この際、定着部材の温度が低いと、トナーは十分に溶融することができずトナー層が定着部材に付着する、いわゆるコールドオフセット現象を生じる。
また、温度が高すぎる場合にはトナーが一気に溶融し、粘度が低下してしまうため、定着部材と直接接触するトナーが定着部材に付着する、いわゆるホットオフセット現象を生じる。この現象はカラートナーのようにトナー層が複数層重なり、かつ混色性、発色性を要求される画像には生じやすいものである。
一方でハーフトーン部の定着画像において、ホットオフセットが生じやすいことについては原因が必ずしも明確ではないものの、次のようなメカニズムにより生じているものと推定される。
即ち、本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有し、該結着樹脂の重量平均分子量が20,000〜40,000であり、かつ該トナーの蛍光X線による炭素含有量を[C]%、硫黄含有量を[S]%としたとき、[S]/[C]が式(1)の関係にあることを特徴とする。
0.0002≦[S]/[C]≦0.0030 (1)
該結着樹脂の重合平均分子量は20,000〜40,000であり、好ましくは22,000〜38,000であり、より好ましくは25,000〜35,000である。
重量平均分子量が20,000より小さいと、ハーフトーン部のオフセットに対して効果がなく、40,000より大きいと特にハーフトーン部の光沢度が低下し、ソリッド部との差が目立つようになるためである。
0.0002≦[S]/[C]≦0.0030 (1)
[S]/[C]は好ましくは0.0005〜0.0020であり、より好ましくは0.0010〜0.0015である。
[S]/[C]が0.0002より小さいと、より大きな分子量の樹脂ができやすくなり光沢度の制御が困難になる。また、0.0030より大きいとハーフトーン部のオフセットに対し効果がない。
蛍光X線による測定法について詳説する。試料前処理は、トナー6gを加圧成型器で10t、1分間の加圧成型を実施し、(株)島津製作所の蛍光X線(XRF−1500)を使用し、測定条件は管電圧40KV、管電流90mA、測定時間30分で測定することができる。
本発明のトナーの形状係数SF1は115〜130であることがハーフト−ン部の画像を得る点で好ましい。トナーの転写性はトナー形状と大きく関係しており、トナーが球形に近いものほど転写性が高いのは知られたところである。
トナーの形状係数は下記式で計算された値を意味し、真球の場合、SF1=100となる。
本発明のようなハーフトーン部の画像を得る場合、一定の高い現像性、転写性が必要とされ、SF1が115〜130であれば、所望の未定着画像が得られるため、ホットオフセットの制御が可能となるので好ましい。また、トナーが所望の場所へ転写しないいわゆる飛び散り等の現象が起こらず、所望のハーフトーン画像が得られるので好ましい。
本発明のトナーの粒度分布GSDpは、個数粒度分布を粒度の小さい側から数えてゆき、全体の16%になった粒径をD16p、全体の50%になった粒径をD50pで表したとき、GSDp=D50p/D16pで示すものであり、GSDpは1.23以下が好ましく、1.10以上1.23以下であることがより好ましい。GSDpが1.23以下であると、トナーの微粉が少なく、トナー組成が均一となるので好ましい。また、離型剤含有量の著しく少ない粒子が発生してホットオフセットを生じることがないので好ましい。
以下、本発明のトナーが含有する各成分について詳述する。
本発明に使用できる結着樹脂は、ラジカル重合性の結着樹脂である。
本発明の電子写真用トナーに使用し得る結着樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)等を主成分とするスチレン系樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等を主成分とする(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの共重合樹脂が挙げられるが、電子写真用トナーとして用いる際の帯電安定性や現像耐久性の観点からビニル系重合性単量体を1種又は複数種、重合又は共重合して得られた樹脂であることが好ましく、特にスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂が好ましい。
ビニル芳香族単量体(スチレン系単量体)60〜90重量部、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体((メタ)アクリル酸エステル系単量体)10〜40重量部、及びエチレン性不飽和酸単量体1〜3重量部よりなる単量体混合物を重合して得られる共重合体を界面活性剤で分散安定化したラテックスを結着樹脂成分として好ましく使用することができる。
上記の共重合体のガラス転移温度は50〜70℃であることが好ましい。50〜65℃であることがより好ましく、50〜60℃であることがさらに好ましい。
スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンや、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン等のアルキル鎖を持つアルキル置換スチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン、4−フルオロスチレン、2,5−ジフルオロスチレン等のフッ素置換スチレン等がある。スチレン系単量体としては、スチレンが好ましい。
前記スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂にカルボキシル基を含有させる場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体を共重合させることによって得ることができる。
このようなカルボキシル基含有重合性単量体の具体例としては、アクリル酸、アコニット酸、アトロパ酸、アリルマロン酸、アンゲリカ酸、イソクロトン酸、イタコン酸、10−ウンデセン酸、エライジン酸、エルカ酸、オレイン酸、オルト−カルボキシケイ皮酸、クロトン酸、クロロアクリル酸、クロロイソクロトン酸、クロロクロトン酸、クロロフマル酸、クロロマレイン酸、ケイ皮酸、シクロヘキセンジカルボン酸、シトラコン酸、ヒドロキシケイ皮酸、ジヒドロキシケイ皮酸、チグリン酸、ニトロケイ皮酸、ビニル酢酸、フェニルケイ皮酸、4−フェニル−3−ブテン酸、フェルラ酸、フマル酸、ブラシジン酸、2−(2−フリル)アクリル酸、ブロモケイ皮酸、ブロモフマル酸、ブロモマレイン酸、ベンジリデンマロン酸、ベンゾイルアクリル酸、4−ペンテン酸、マレイン酸、メサコン酸、メタクリル酸、メチルケイ皮酸、メトキシケイ皮酸等であり、重合体形成反応の容易性などからアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などが好ましく、アクリル酸がより好ましい。
硫黄を含有する連鎖移動剤の量としては、結着樹脂100重量部中に、0.1〜2.0重量部程度であれば、0.0002≦[S]/[C]≦0.0030にすることが可能である。
このような架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類;フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル/トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類;ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類;ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール−2−カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類;ブタンジオールメタクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、オクタンジオールメタクリレート、デカンジオールアクリレート、ドデカンジオールメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類;コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル/ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル/ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’−チオジプロピオン酸ジビニル、trans−アコニット酸ジビニル/トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類等が挙げられる。
前記架橋剤の好ましい含有量は、重合性単量体総量の0.05〜5重量%の範囲が好ましく、0.1〜1.0重量%の範囲がより好ましい。
ここで用いるラジカル重合用開始剤としては、特に制限はない。具体的には、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸tert−ブチルヒドロペルオキシド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等の過酸化物類、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロへプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)等のアゾ化合物類、1,4−ビス(ペンタエチレン)−2−テトラゼン、1,4−ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テトラゼン等が挙げられる。
本発明における静電潜像現像用トナーに用いられる着色剤としては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック顔料及び染料から選ばれるいずれかを少なくとも1種以上含有することが好ましい。これらの着色剤は、1種単独で用いても良いし、同系統の着色剤を2種以上混合して用いてもよい。また異系統の着色剤を2種以上混合して用いても良い。
本発明に使用できる着色剤としては公知のものが使用できる。
例えば、黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。
黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等が挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が挙げられる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。
また、必要に応じて染料を用いることもできる。該染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等が挙げられ、これらの単独、もしくは混合し、更には固溶体の状態で使用できる。
本発明のトナーには、必要に応じて、離型剤を添加してもよい。離型剤は一般に離型性を向上させる目的で使用される。前記離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられる。本発明において、これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの離型剤の添加量としては、トナー粒子の全量に対して、1〜30重量%が好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、さらに好ましくは5〜15重量%である。
上記範囲内であると、離型剤の効果が十分であり、また、現像機内部においてトナー粒子が破壊されにくいため、離型剤のキャリアへのスペント化が生じず、帯電も低下しにくいので好ましい。
トナー母材(「トナー母粒子」ともいう。)は結着樹脂と着色剤、離型剤とを含み、必要であれば、さらに内添剤としてシリカや帯電制御剤を用いてもよい。体積平均粒径が2〜10μmのトナー母材が好ましく、より好ましくは3〜8μmのトナー母材を用いることができる。
内添剤の詳細については後述する。
本発明はトナー表面に外添剤を含有することで、より効果をあげることができる。外添剤としては、有機樹脂微粒子及び無機微粒子が挙げられる。
また、外添剤はトナーと帯電特性が逆極性であることが好ましい。
トナーに添加される有機樹脂微粒子(外添樹脂微粒子)は、重量平均分子量Mwが100,000以上700,000以下であることが好ましく、100,000以上500,000以下であることがより好ましい。これは、本発明におけるトナーの結着樹脂は定着時における樹脂分子の凝集性を確保することによりハーフトーン部におけるホットオフセットの発生を制御することが可能であるが、樹脂微粒子の添加により凝集力を高めることが可能であるためであると推定される。
重量平均分子量Mwが上記範囲内であると、この効果を得ることができる。Mwが上記範囲内であると、現像機内部の攪拌等により、樹脂微粒子が変形することがなく、現像剤の流動性を悪化させることがないので好ましい。また、トナーの結着樹脂との分子量の差が適当で、凝集力を高める効果が得られるので好ましい。
サスペンジョン重合、乳化重合、懸濁重合などの重合方法を利用して粒状樹脂を製造する方法、モノマーもしくはオリゴマーを貧溶媒中に分散して、架橋反応を行いつつ表面張力により粒状化する方法、低分子成分と架橋剤とを溶融混練などにより、混合反応させた後、風力、機械力により、所定の粒度に粉砕する方法などが挙げられる。
これらの樹脂のうち、熱可塑性樹脂の方が、前述の凝集力を得られやすい点で好ましい。
また外添する有機樹脂微粒子の添加量はトナーの粒径にもよるが、トナーの全重量に対して0.1〜3重量%程度が好ましく、より好ましくは0.2〜2重量%程度である。
本発明においては、必要に応じて樹脂(無機)微粒子を添加しても良い。トナーの流動性を向上させることにより、特にハーフトーン部におけるトナーの載り量を均一にすることで、ホットオフセットの制御が可能となるためであると推定される。
樹脂(無機)微粒子の具体例としては、シリカ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、またはこれらの複合酸化物等、また金属窒化物粒子としては、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタニウム、窒化亜鉛、窒化カルシウム、窒化マグネシウム、窒化セリウム等が挙げられる。このうちシリカ、チタニア及びアルミナが、粒径、粒度分布、製造性の観点から好ましく用いられる。
本発明において外添剤はトナー粒子に添加し、混合されるが、混合は、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサーやレディゲミキサー等の公知の混合機によって行うことができる。
本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法は、粒径が1μm以下の樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液、及び着色剤を分散した着色剤分散液を少なくとも混合し、結着樹脂粒子及び着色剤をトナー粒径の粒子に凝集させる凝集工程、得られた凝集粒子を結着樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し凝集体を融合させ、トナー粒子を形成する工程を含み、該結着樹脂の重量平均分子量が20,000〜40,000であり、樹脂粒子分散液の調製工程において硫黄化合物を共存させることにより得られたトナーの蛍光X線による炭素含有量を[C]%、硫黄含有量を[S]%としたとき、[S]/[C]が式(2)の関係を満たすように制御することを特徴とする。
0.0002≦[S]/[C]≦0.0030 (2)
ここで、凝集工程では、樹脂粒子分散液及び着色剤分散液の他に、必要に応じて離型剤分散液及び種々の添加剤を混合し、凝集させることができる。添加剤としては、界面活性剤、帯電制御剤、凝集剤などを挙げることができる。
本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法は、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法を採用することが好ましい。
乳化重合凝集法は、粒径が1μm以下の樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液、及び着色剤を分散した着色剤分散液等を混合し、樹脂粒子、着色剤をトナー粒径に凝集させる工程(凝集工程)、樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し凝集体を融合しトナー粒子を形成する工程(融合工程)を含む。
樹脂粒子の粒径は1μm以下であるが、50nm以上1μm以下であることが好ましく、75〜750nmであることがより好ましく、100〜500nmであることがさらに好ましい。
これらは1種単独で用いても、2種以上を混合させて用いても良い。
上記範囲内であると、添加する効果が得られると共に、ガラス転移点の低下が生じず、トナーの保存性が低下しないので好ましい。
本発明のトナーに使用する着色剤は、公知の方法を用いて結着樹脂中に分散することができる。トナーが混練粉砕法によるものであれば、そのまま用いても良く、また予め樹脂中に高濃度に分散させた後、混練時に結着樹脂とともに混練する、いわゆるマスターバッチを用いても良く、着色剤合成後に乾燥前のウェットケーキの状態で樹脂中に分散させるフラッシングを用いても良い。
上記の着色剤は、懸濁重合法によるトナー作製にそのまま用いることができ、懸濁重合法においては、樹脂中に分散させた着色剤を重合性単量体中に溶解、又は分散させることにより、造粒粒子中に着色剤を分散することができる。
機械的な衝撃等による着色剤分散の具体例としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液を調製することができる。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系媒体に分散することもできる。
本発明のトナーの製造において、例えば、前記懸濁重合法における分散時の安定化、前記乳化重合凝集法における樹脂粒子分散液、着色剤分散液、及び離型剤分散液の分散安定を目的として界面活性剤を用いることができる。
上記界面活性剤としては、例えば硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤がより好ましい。
非イオン系界面活性剤は、前記アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
前記懸濁重合法等に用いる前記分散安定剤としては、難水溶性で親水性の無機微粉末を用いることができる。使用できる無機微粉末としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム(ヒドロキシアパタイト)、クレイ、ケイソウ土、ベントナイト等が挙げられる。これらの中でも炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム等は微粒子の粒度形成の容易さと、除去の容易さの点で好ましい。
本発明のトナーには、必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。
帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減との点で、水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。なお、本発明のトナーは、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
本発明のトナーの製造に乳化重合凝集法を用いた場合、凝集工程においてpH変化等により凝集を発生させ、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒径の粒子を調製することができる。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、又はより狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得るため、凝集剤を添加しても良い。
該凝集剤としては一価以上の電荷を有する化合物が好ましく、その化合物の具体例としては、前述のイオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の水溶性界面活性剤類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩、ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩、アミノ酸の金属塩、トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩類等が挙げられる。
これらの凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であって、一価の場合はトナーの全量に対して3重量%以下程度、二価の場合は1重量%以下程度、三価の場合は0.5重量%以下程度であることが好ましい。凝集剤の量は少ない方が好ましいため、価数の多い化合物を用いることが好ましい。
本発明の静電潜像現像剤は、既述の本発明の静電潜像現像用トナーを含有する。
すなわち、本発明の静電潜像現像剤(以下、単に「現像剤」ということがある)は、以上で説明したトナーと下記キャリアとを混合することで製造される。当該現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比(重量比)は、トナー:キャリア=1:99〜20:80程度の範囲であることが好ましく、3:97〜12:88の範囲であることがより好ましい。
本発明の現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば、芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアを挙げることができる。またマトリックス樹脂に磁性粉末などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材の粉末を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
以下に、本発明の画像形成方法について詳細に説明する。
本発明の画像形成方法は、潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、潜像を現像し現像像を作製する現像工程、現像像を定着基材上に転写する転写工程、及び定着基材上の現像像を定着部材により加熱定着する定着工程を含む画像形成方法であって、該現像剤として本発明の静電潜像現像用トナー又はそれを用いた静電潜像現像剤を使用することを特徴とする。
本発明における画像形成方法の定着部材の接触時間は一般にニップ時間で表され、紙などの記録部材と定着部材が接触している時間で表される。より具体的には定着部材が接触している幅を記録部材が通過する速度で割ったものであり、
定着部材の接触時間=(定着部材が接触している幅)/(記録部材が通過する速度)
で表される。例えば定着部材が接触している幅が5mm、記録部材が通過する速度が100mm/sであれば定着部材の接触時間=5/100=0.05秒となる。
なお、以下の説明において、特に断わりのない限り「部」は重量部を意味する。
まず、以下の実施例、比較例で使用するトナー及び現像剤の測定方法、評価方法について説明する。
<粒度および粒度分布測定方法>
本発明における粒度および粒度分布測定について述べる。本発明において測定する粒子が2μm以上の場合、測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(ベックマン・コールター(株)製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン・コールター(株)製)を使用した。
測定法としては分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5〜50mg加える。これを前記電解液100〜150ml中に添加した。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2〜60μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求めた。測定する粒子数は50,000であった。
本発明のGSDpは以下の式によって算出した。
GSDp=(D50p)/(D16p)
トナー形状係数SF1は、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーの最大長(ML)及び投影面積(A)から、下記式のSF1を計算し、平均値を求めることにより得られたものである。
試料前処理は、トナー6gを加圧成型器で10t、1分間の加圧成型を実施した。
(株)島津製作所の蛍光X線(XRF−1500)を使用して、測定条件は管電圧40KV、管電流90mA、測定時間30分で測定した。
本発明の静電荷象現像用トナーにおいて、特定の分子量分布は、以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)製、6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー(株)製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
本発明のトナーに用いられる離型剤の融点およびトナーのガラス転移温度は、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。
主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いることができる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
<各分散液の調製>
−樹脂粒子分散液(1)の調製−
・スチレン 160部
・アクリル酸n−ブチル 40部
・アクリル酸ステアリル 1.0部
・アクリル酸 4.0部
・オクタンジオールジアクリレート 1.0部
・t−ドデシルメルカプタン 1.2部
上記各成分(いずれも和光純薬工業(株)製)を混合し、溶解したものを、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンRK)4部をイオン交換水261部に溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化した。10分間ゆっくりと混合しながら、これに30%過酸化水素水(和光純薬工業(株)製)24部を溶解した過酸化水素水溶液50部を投入し、窒素置換を行なった後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が75℃になるまでオイルバスで加熱し、7時間そのまま乳化重合を継続した。その後、この反応液を室温まで冷却し、樹脂粒子分散液(1)を調製した。
t−ドデシルメルカプタン 1.2部を0.22部に、また30%過酸化水素水を40部溶解した過酸化水素水溶液50部を用いる以外は(1)と同様に樹脂粒子分散液(2)を調製した。この樹脂粒子分散液(2)の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、体積平均粒径は200nm、ガラス転移点が52℃、重量平均分子量が33,000であった。固形分は40.0%であった。
t−ドデシルメルカプタン 1.2部を3.6部に、また30%過酸化水素水を9.3部溶解した過酸化水素水溶液50部を用いる以外は(1)と同様に樹脂粒子分散液(3)を調製した。この樹脂粒子分散液(3)の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、体積平均粒径は210nm、ガラス転移点が51℃、重量平均分子量が28,000であった。固形分は40.0%であった。
30%過酸化水素水を28部溶解した過酸化水素水溶液50部を用いる以外は(1)と同様に樹脂粒子分散液(4)を調製した。この樹脂粒子分散液(4)の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、体積平均粒径は200nm、ガラス転移点が51℃、重量平均分子量が22,000であった。固形分は40.0%であった。
30%過酸化水素水を17.3部溶解した過酸化水素水溶液50部を用いる以外は(1)と同様に樹脂粒子分散液(5)を調製した。この樹脂粒子分散液(5)の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、体積平均粒径は220nm、ガラス転移点が54℃、重量平均分子量が39,000であった。固形分は40.0%であった。
t−ドデシルメルカプタン 1.2部を0.12部に、また30%過酸化水素水を66.7部用いる以外は(1)と同様に樹脂粒子分散液(6)を調製した。この樹脂粒子分散液(6)の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、体積平均粒径は210nm、ガラス転移点が54℃、重量平均分子量が30,000であった。固形分は40.0%であった。
t−ドデシルメルカプタン 1.2部を4.0部に、また30%過酸化水素水8部溶解した過酸化水素水溶液50部を用いる以外は(1)と同様に樹脂粒子分散液(7)を調製した。この樹脂粒子分散液(7)の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、体積平均粒径は220nm、ガラス転移点が53℃、重量平均分子量が28,000であった。固形分は40.0%であった。
30%過酸化水素水を33.3部溶解した過酸化水素水溶液50部を用いる以外は(1)と同様に樹脂粒子分散液(8)を調製した。この樹脂粒子分散液(8)の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、体積平均粒径は190nm、ガラス転移点が52℃、重量平均分子量が18,000であった。固形分は40.0%であった。
30%過酸化水素水を1.4部溶解した過酸化水素水溶液50部を用いる以外は(1)と同様に樹脂粒子分散液(9)を調製した。この樹脂粒子分散液(9)の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、体積平均粒径は200nm、ガラス転移点が53℃、重量平均分子量が43,000であった。固形分は40.0%であった。
樹脂粒子分散液(9)100部に対してイオン交換水を900部加え、これを遠心分離し、樹脂粒子と水系媒体を分離し、水系媒体を廃棄した。これにイオン交換水を加えて攪拌の後、遠心分離し水系媒体を廃棄した。この作業を10回繰り返した後、濡れた状態の樹脂粒子を凍結乾燥した。得られた樹脂粒子を、ジェットミルにより粉砕し、バグフィルターにて捕集し、樹脂粒子(1)を得た。体積平均粒径は200nm、ガラス転移点が53℃、重量平均分子量が43,000であった。
・フタロシアニン系顔料(大日精化工業(株)製:シアニンブルー4937) 100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンRK) 10部
・イオン交換水 490部
以上を混合し、溶解させた後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散し、着色剤分散液(1)を調製した。
着色剤をC.I.ピグメントレッド122(キナクリドン系顔料:大日精化工業(株)製:クロモファインマゼンタ6887)に変更した以外は着色剤分散液(1)と同様にして着色剤分散液(2)を調製した。
着色剤をC.I.ピグメントイエロー74(モノアゾ系顔料:大日精化工業(株)製:セイカファーストエロー2054)に変更した以外は着色剤分散液(1)と同様にして着色剤分散液(3)を調製した。
着色剤をカーボンブラック(キャボット社製:リーガル330)に変更した以外は着色剤分散液(1)と同様にして着色剤分散液(4)を調製した。
・ポリエチレンワックス(東洋ペトロライト(株)製:ポリワックス725) 100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンRK) 10部
・イオン交換水 390部
以上を混合し、圧力吐出型ホモジナイザーを用い115℃、350kg/cm2で1時間分散処理を行い、体積平均粒径が200nmである離型剤粒子(ポリエチレンワックス)を分散してなる離型剤粒子分散液を調製した。
<トナー母粒子(1)の作製>
−凝集工程−
・樹脂粒子分散液(1) 320部
・着色剤分散液(1) 80部
・離型剤粒子分散液 96部
・イオン交換水 1270部
・塩化アルミニウム(和光純薬工業(株)製) 1.5部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に収容し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて5000rpmで5分間分散させた後、容器内のpHを2.8に調整して、フラスコに移動し、25℃で20分間4枚パドルで撹拌しながら放置した。その後加熱用オイルバス中で48℃まで1℃/分の加熱速度で攪拌しながら加熱した。48℃で20分間保持した後、前記樹脂粒子分散液(1)80部を緩やかに追加し、さらに48℃で40分間保持した後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを6.5に調整した。
その後1℃/分の昇温速度で97℃まで昇温し、30分間保持した。0.1N硝酸水溶液を添加してpHを4.5に調整し、97℃で2時間放置した。その後更に前記1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを6.5に調整し97℃で5時間放置した。その後5℃/分で30℃まで冷却した。
得られたトナー母粒子(1)の[S]/[C]は0.0011、重量平均分子量は31,000であった。
着色剤分散液(1)を着色剤分散液(2)に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(2)を作製した。
得られたトナー母粒子(2)の[S]/[C]は0.0011、重量平均分子量は31,000であった。
着色剤分散液(1)を着色剤分散液(3)に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(3)を作製した。
得られたトナー母粒子(3)の[S]/[C]は0.0011、重量平均分子量は31,000であった。
着色剤分散液(1)を着色剤分散液(4)に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(4)を作製した。
得られたトナー母粒子(4)の[S]/[C]は0.0011、重量平均分子量は31,000であった。
樹脂粒子分散液(1)を樹脂粒子分散液(2)に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(5)を作製した。
得られたトナー母粒子(5)の[S]/[C]は0.0002、重量平均分子量は33,000であった。
樹脂粒子分散液(1)を樹脂粒子分散液(3)に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(6)を作製した。
得られたトナー母粒子(6)の[S]/[C]は0.0030、重量平均分子量は28,000であった。
樹脂粒子分散液(1)を樹脂粒子分散液(4)に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(7)を作製した。
得られたトナー母粒子(7)の[S]/[C]は0.0014、重量平均分子量は22,000であった。
樹脂粒子分散液(1)を樹脂粒子分散液(5)に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(8)を作製した。
得られたトナー母粒子(8)の[S]/[C]は0.0010、重量平均分子量は39,000であった。
トナー母粒子(1)の作製条件における合一を97℃、30分間保持し、0.1N硝酸水溶液を添加してpHを4.2に調整し、97℃で4時間放置した。その後更に前記1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを5.2に調整し97℃で8時間放置した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(9)を作製した。
得られたトナー母粒子(9)の[S]/[C]は0.0011、重量平均分子量は31,000であった。
トナー母粒子(1)の作製条件における合一を92℃、30分間保持し、0.1N硝酸水溶液を添加してpHを5.2に調整し、92℃で2時間放置した。その後更に前記1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを6.5に調整し92℃で5時間放置した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(10)を作製した。
得られたトナー母粒子(10)の[S]/[C]は0.0011、重量平均分子量は31,000であった。
トナー母粒子(1)の作製条件における1℃/分の加熱速度を5℃/分に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(11)を作製した。
得られたトナー母粒子(11)の[S]/[C]は0.0011、重量平均分子量は31,000であった。
トナー母粒子(1)の作製時における離型剤分散液の量を96部から23部へ樹脂粒子分散液(1)を320部から365部にそれぞれ変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(12)を作製した。
得られたトナー母粒子(12)の[S]/[C]は0.0011、重量平均分子量は31,000であった。
トナー母粒子(1)の作製時における離型剤分散液の量を96部から182部へ樹脂粒子分散液を320部から266部にそれぞれ変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(13)を作製した。
得られたトナー母粒子(13)の[S]/[C]は0.0011、重量平均分子量は31,000であった。
樹脂粒子分散液(1)を樹脂粒子分散液(6)に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(14)を作製した。
得られたトナー母粒子(14)の[S]/[C]は0.0001、重量平均分子量は30,000であった。
樹脂粒子分散液(1)を樹脂粒子分散液(7)に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(15)を作製した。
得られたトナー母粒子(15)の[S]/[C]は0.0034、重量平均分子量は28,000であった。
樹脂粒子分散液(1)を樹脂粒子分散液(8)に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(16)を作製した。
得られたトナー母粒子(16)の[S]/[C]は0.0013、重量平均分子量は18,000であった。
樹脂粒子分散液(1)を樹脂粒子分散液(9)に変更した以外はトナー母粒子(1)の作製と同様の条件でトナー母粒子(17)を作製した。
得られたトナー母粒子(17)の[S]/[C]は0.0010、重量平均分子量は43,000であった。
<静電潜像現像用トナー(1)の作製>
トナー母粒子(1)100部に対して樹脂粒子(日本ペイント(株)製:FS102、体積平均粒径80nm、重量平均分子量330,000)1.0部および酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805、体積平均粒径:0.021μm)を2.0部添加して、ヘンシェルミキサーにて3,000rpm、5分間で混合し、静電潜像現像用トナー(1)を得た。
得られた静電潜像現像用トナー(1)の体積平均粒径は5.7μm、形状係数SF1は122、GSDpは1.21であった。結果を表1に示す。
トナー母粒子(1)をトナー母粒子(2)〜(8)に変更した以外は静電潜像現像用トナー(1)の作製と同様の条件で静電潜像現像用トナー(2)〜(8)を作製した。結果を表1に示す。
FS102を樹脂粒子分散液(9)から得られた樹脂粒子(1)に変更した以外は静電潜像現像用トナー(1)の作製と同様の条件で静電潜像現像用トナー(9)を作製した。結果を表1に示す。
FS102をMP−1451(綜研化学(株)製:Mw:550,000)に変更した以外は静電潜像現像用トナー(1)の作製と同様の条件で静電潜像現像用トナー(10)を作製した。結果を表1に示す。
酸化チタン粒子を用いない以外は静電潜像現像用トナー(1)の作製と同様の条件で静電潜像現像用トナー(11)を作製した。結果を表1に示す。
酸化チタン粒子をシリカ粒子(日本アエロジル(株)製:R812)に変更した以外は静電潜像現像用トナー(1)の作製と同様の条件で静電潜像現像用トナー(12)を作製した。結果を表1に示す。
酸化チタン粒子を酸化アルミニウム粒子(住友化学(株)製:AKP−50)に変更した以外は静電潜像現像用トナー(1)の作製と同様の条件で静電潜像現像用トナー(13)を作製した。結果を表1に示す。
トナー母粒子(1)をトナー母粒子(9)〜(17)に変更した以外は静電潜像現像用トナー(1)の作製と同様の条件で静電潜像現像用トナー(14)〜(22)を作製した。結果を表1に示す。
なお、静電潜像現像用トナー(1)〜(22)についても[S]/[C]を測定したところ、トナー母粒子について測定したものと同様の結果が得られた。
フェライト粒子(パウダーテック(株)製、体積平均粒径:50μm)100部とスチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(三菱レイヨン(株)製:BR−52、分子量:85,000)2.4部とを、トルエン400部と共に加圧式ニーダーに入れ、常温で15分間攪拌混合した後、減圧混合しながら70℃まで昇温し、トルエンを留去した後冷却し、105μmの篩を用いて分粒することにより、フェライトキャリア(樹脂コートキャリア)を作製した。
<実施例1>
評価機としては、富士ゼロックス社製:DocuCentre Color500改造機(定着機を取り外したもの)を用いて、トナー載り量がそれぞれ0.5g/m2、9.5g/m2になる一辺が5cmとなるような正方形の画像を調製して、未定着サンプルを作製した。なおこのときの用紙は富士ゼロックス社製J紙を用いた。得られた未定着画像を外部定着機を用いて評価を行った。ここで外部定着機の構成は、DocuCentre Color500の定着機と同一の加熱ロール、加圧ロールを用いたものであって、加熱ロールと加圧ロールの接触幅(Nip幅)を6mmに固定した。また加熱ロールの回転数、設定温度が可変となるように外部から調整可能な設定となった定着機である。
なお通常の画像にはトナーの載り量が同一の画像内であっても差があるものである以上、載り量の異なるサンプルのうち最低定着温度の高い温度をもってそのサンプルの最低定着温度とし、ホットオフセットの発生温度の低い温度をもってホットオフセットの発生温度とする。
例えばトナー載り量が0.5g/m2のサンプルの最低定着温度が130℃、トナー載り量が9.5g/m2のサンプルの最低定着温度が140℃であり、トナー載り量が0.5g/m2のサンプルのホットオフセット発生温度が180℃、トナー載り量が9.5g/m2のサンプルのホットオフセット発生温度が200℃であったとすると、定着温度領域は30℃となる。
静電荷像現像剤(1)を用いて定着評価を行った結果を表2に示す。
表2に示す静電荷像現像剤(2)〜(18)を用いた以外は実施例1と同様の方法で定着評価を行った。結果を表2に示す。
静電荷像現像剤(1)を用い、表2に示すプロセススピードに変更した以外は実施例1と同様の方法で定着評価を行った。結果を表2に示す。
表2に示す静電荷像現像剤(19)〜(22)を用いた以外は実施例1と同様の方法で定着評価を行った。結果を表2に示す。
Claims (4)
- 結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する静電潜像現像用トナーであって、
該結着樹脂の重量平均分子量が20,000〜40,000であり、かつ
該トナーの蛍光X線による炭素含有量を[C]%、硫黄含有量を[S]%としたとき、[S]/[C]が式(1)の関係にあることを特徴とする
静電潜像現像用トナー。
0.0002≦[S]/[C]≦0.0030 (1) - 請求項1に記載の静電潜像現像用トナー及び
キャリアからなることを特徴とする
静電潜像現像剤。 - 粒径が1μm以下の樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液、及び着色剤を分散した着色剤分散液を少なくとも混合し、結着樹脂粒子及び着色剤をトナー粒径の粒子に凝集させる凝集工程、
得られた凝集粒子を結着樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱し凝集体を融合させ、トナー粒子を形成する融合工程を含む静電潜像現像用トナーの製造方法であって、
該結着樹脂の重量平均分子量が20,000〜40,000であり
樹脂粒子分散液の調製工程において硫黄化合物を共存させることにより得られたトナーの蛍光X線による炭素含有量を[C]%、硫黄含有量を[S]%としたとき、[S]/[C]が式(2)の関係を満たすように制御することを特徴とする
静電潜像現像用トナーの製造方法。
0.0002≦[S]/[C]≦0.0030 (2) - 感光体を帯電する帯電工程、
帯電した感光体に露光して感光体上に潜像を作製する露光工程、
潜像を現像し現像像を作製する現像工程、
現像像を定着基材上に転写する転写工程、及び
定着基材上の現像像を定着部材により加熱定着する定着工程
を含む画像形成方法であって、
該現像剤として請求項1に記載の静電潜像現像用トナー又は請求項2に記載の静電潜像現像剤を使用することを特徴とする
画像形成方法。
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