JP2007284552A - エチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン及びその製造方法。 - Google Patents

エチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン及びその製造方法。 Download PDF

Info

Publication number
JP2007284552A
JP2007284552A JP2006113210A JP2006113210A JP2007284552A JP 2007284552 A JP2007284552 A JP 2007284552A JP 2006113210 A JP2006113210 A JP 2006113210A JP 2006113210 A JP2006113210 A JP 2006113210A JP 2007284552 A JP2007284552 A JP 2007284552A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ethylene
vinyl ester
water
ester copolymer
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006113210A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4299315B2 (ja
Inventor
Hiroshi Takatsuki
洋 高月
Mitsuru Doi
満 土井
Shin Shimazaki
伸 嶋崎
Haruki Nishiike
春樹 西池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Highpolymer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Highpolymer Co Ltd filed Critical Showa Highpolymer Co Ltd
Priority to JP2006113210A priority Critical patent/JP4299315B2/ja
Publication of JP2007284552A publication Critical patent/JP2007284552A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4299315B2 publication Critical patent/JP4299315B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】 優れた重合安定性、貯蔵安定性を有し、プラスチック類に対して優れた接着性を有する水性エマルジョンを提供する。
【解決手段】この課題を達成する本発明のエマルジョンはエチレンとビニルエステルを含む共重合体および水溶性もしくは水分散性ポリエステルとを含むことエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンである。このエチレンとビニルエステルを含む共重合体は平均粒子径が0.3〜2.0μmのものが好ましい。
このエマルジョンは好ましくは水溶性もしくは水分散性ポリエステルの存在下でエチレンとビニルエステルを共重合させることにより製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレンと酢酸ビニルなどのビニルエステルとの共重合体および水溶性もしくは水分散性のポリエステルとを含有する水性エマルジョンおよびその製造方法に関する。
従来からエチレンと酢酸ビニルなどのビニルエステルとを水性媒体中で重合して得られる水性エマルジョン、とりわけエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンは、水性であること、また可塑剤などの揮発性有機化合物の含有量が少なく環境への負荷が低減できるとして、各種接着剤、バインダーなどに好用されている。
しかしながらこの水性エマルジョンはセルロース系高分子やポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を保護コロイド成分として使用しているため、これらの水溶性高分子自身が接着し難い被着体、すなわちPET、アクリル樹脂、ABS、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレンなどのプラスチック基材に対して接着性が乏しいという欠点がある。
この欠点を改良するために親水性基を有するポリエステル樹脂の存在下、アニオン性乳化剤単独、またはアニオン性乳化剤とノニオン性乳化剤を併用して重合性不飽和単量体類を重合して得られる平均粒子径50から200ナノメーターの水性樹脂組成物が示されている(特許文献1参照)。しかし、この様な微小な平均粒子径の水性エマルジョンは安定性に乏しく、特にエチレンなどのガス状モノマーを共重合する場合において該ガス状モノマーの加圧下から重合後に大気圧下へと加圧を解除した際の安定性に乏しく、凝集物を生じ易いという問題点があった。なお、特許文献1には重合性不飽和単量体類としてアクリレート、アミド、不飽和有機酸、ビニルエステルなどが挙げられているが、エチレンとビニルエステルとの共重合体は記載されていない。
特許第3353435号公報
本発明は安定性に優れ、プラスチック基材への接着性が良好なエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンを開発することを目的とする。
本発明者らは、上述の課題に関し鋭意検討を行なった結果、エチレンとビニルエステルを含む共重合体および水溶性もしくは水分散性ポリエステルを含有する水性エマルジョンが、安定性、プラスチック基材への接着性が優れるものであること見出し、本発明を完成させるに到った。
即ち本発明は以下の通りである。
(1)エチレンとビニルエステルを含む共重合体および水溶性もしくは水分散性ポリエステルとを含むことを特徴とするエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
(2)エチレンとビニルエステルを含む共重合体の平均粒子径が0.3〜2.0μmである上記(1)に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
(3)共重合体が、水溶性もしくは水分散性ポリエステルの存在下でエチレンとビニルエステルを共重合させたものである上記(1)または(2)に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
(4)ビニルエステルが酢酸ビニルまたはバーサチック酸ビニルである上記(1)〜(3〜)のいずれかに記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
(5)エチレン−ビニルエステル共重合体は、その100質量部あたりエチレンに由来する構造単位が1〜40質量部、ビニルエステルに由来する構造単位が60〜99質量部である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
(6)水溶性もしくは水分散性ポリエステルの酸価が10以下である上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
(7)エチレン−ビニルエステル共重合体100質量部に対して、水溶性もしくは水分散性ポリエステルが2から150質量部であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
(8)水溶性もしくは水分散性ポリエステルの存在下においてエチレンとビニルエステルをエチレン加圧下で共重合することを特徴とするエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンの製造方法。
(9) エチレン−ビニルエステル共重合体の平均粒子径を0.3μm〜2.0μmの範囲内とする上記(8)に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンの製造方法。
(10)エチレン加圧下が、0.5MPa〜15MPaの加圧下である上記(8)または〜(9)に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体系水性エマルジョンの製造方法。
(11)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の水性エマルジョンを含有するプラスチック用接着剤。
本発明のエチレン−ビニルエステル共重合体エマルジョンは、重合安定性、凝集物を生ずることがなく貯蔵安定性、プラスチック基材への接着性に優れ、接着剤として極めて有用なものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に使用する水溶性もしくは水分散性ポリエステルは、多塩基酸とポリオールから製造されたものが使用され、その製造方法は何ら限定されない。
多塩基酸成分として代表的なものはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸、ドデカン二酸などであり、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
ポリオール成分として代表的なものはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールなどであり、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
更に水溶性もしくは水分散性を付与するために、親水性基を有する成分を共重合することができる。これらの具体例として、有機スルホン酸塩をポリエステル分子内に導入せしめるためには、例えば5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸などのアルカリ金属塩やアンモニウム塩が用いられる。
また、カルボン酸塩基をポリエステル分子内に導入せしめるためには、例えば(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、トリメシン酸などが用いられ、アミノ化合物、アンモニアまたはアルカリ金属塩などで中和することによって、分子中にカルボン酸塩基を導入することができる。
カルボン酸塩基を導入する場合、該ポリエステル樹脂の酸価が10以下となるよう調整することが好ましい。酸価が10を超えるとプラスチック基材への接着性が劣ったり、酸性条件下でのエマルジョンの安定性が低下し好ましくない。
水溶性もしくは水分散性ポリエステルの具体例としては市販の、例えばプラスコート(登録商標、互応化学工業(株)製)Z−221、Z−446、Z−450、Z−561、Z−565、Z−850、Z−3308、RZ−105、RZ−570、ペスレジン(登録商標、高松油脂(株)製)A−110、A−120、A−121、A−510、A−520、A−610、バイロナール(登録商標、東洋紡績(株)製)MD−1100、MD−1200、MD−1220、MD−1245、MD−1250、MD−1335、MD−1400、MD−1480、MD−1500、MD−1930、MD−1985などが例示される。
水溶性もしくは水分散性ポリエステルの使用量としてはエチレン−ビニルエステル共重合体100質量部に対して2〜150質量部、好ましくは3〜100質量部であり、2質量部未満では得られる水性エマルジョンの安定性が低下したり、プラスチック基材に対する接着性向上の効果が小さくなる傾向がある。150質量部を超えると耐水性が損なわれる傾向がある。
本発明の水性エマルジョンは上記の水溶性もしくは水分散性ポリエステルとエチレン−ビニルエステル共重合体を含むものである。エチレン−ビニルエステル共重合体に水溶性もしくは水分散性ポリエステルを併用することで接着性及び安定性を高めることができる。
エチレン−ビニルエステル共重合体はマルジョンの安定性を高めるためその平均粒子径は0.3μm〜2.0μmの範囲が好ましい。この平均粒子径は体積平均粒子径である。
共重合体の平均粒子径が0.3μm未満であると、該エマルジョンの安定性が低下し、特にエチレン加圧下から重合後に大気圧下へと加圧を解除した際の安定性に乏しく、凝集物を生じ易い。また反面2.0μmを超えると、共重合体粒子の沈降が生じ易くなる。
またエチレン−ビニルエステル共重合体は、エチレンに由来する構造単位はエチレン−ビニルエステル共重合体100質量部あたり、好ましくは1〜40質量部、さらに好ましくは5〜30質量部、ビニルエステルに由来する構造単位を好ましくは60〜99質量部、さらに好ましくは70から95質量部含有するものである。
エチレンに由来する構造単位が1重量部未満であると、該共重合樹脂の耐アルカリ性が低下したり、ビニルエステル組成によってはエマルジョンの成膜温度が高くなり好ましくない。40重量部を超えると、該共重合樹脂の耐熱性が低下する傾向がある。
これらのエチレン−ビニルエステル共重合体はポリスチレン換算の重量平均分子量は10万〜300万程度のものが好ましい。
この共重合体の製造に使用するビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどを挙げることができ、中でも酢酸ビニル、バーサチック酸ビニルが好適である。これらは代表的なものを例示したにすぎず、本発明に用いるビニルエステルがこれらに限定されるものではなく、また、これらビニルエステルは単独または2種以上併用して用いることができることは勿論である。
また、本発明の共重合体に用いられる単量体として、エチレン、ビニルエステルの他に、エチレンもしくはビニルエステルと共重合可能な単量体を用いていてもよく、具体的には、塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、トリアリルシアヌレートなどの架橋性単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルスルホン酸などの官能基含有単量体などが挙げられる。なお、本発明においてエチレン−ビニルエステル共重合体とはエチレンとビニルエステルとの共重合体のみならずこれらの単量体を含む共重合体も意味するものとする。
本発明のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンは水溶性もしくは水分散性ポリエステルと所定の平均粒径に調整したエチレン−ビニルエステル共重合体とを混合することによって製造することも可能であるが、好ましい製造方法としては水溶性もしくは水分散性ポリエステルの存在下でエチレンとビニルエステルとを乳化重合する方法である。
エチレン−ビニルエステル共重合体は前記した理由により、平均粒子径は0.3μm〜2.0μmが好ましい。共重合体の平均粒子径を重合によりこの範囲に調整するためには、水溶性もしくは水分散性ポリエステルの使用量を始めとし、該ポリエステルの導入方法、重合開始剤の量、後述の乳化剤を併用する場合はその量などにより調整すればよい。例えば、水溶性もしくは水分散性ポリエステルを多く使用すると得られるエマルジョンの平均粒子径は小さくなる傾向である。また、該ポリエステルを同量用いた場合でも全量反応器に導入した後に重合を行なう場合では、滴下しながら重合を行なう場合と比べ平均粒子径は小さくなる傾向を示す。重合初期に用いる重合開始剤の量を多くすることや、乳化剤を併用すると同様に平均粒子径が小さくなる傾向傾向を示す。これらの要因を調整することでエマルジョンの平均粒子径を0.3から2.0μmに調整すればよい。
本発明の水性エマルジョンには、必要に応じてアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤を適宜併用してもよく、乳化剤の種類や使用量は、水溶性もしくは水分散性ポリエステル樹脂の使用量や重合する単量体組成をはじめとした種々条件により調節して配合する。なお、水分散性ポリエステル樹脂を使用する場合は乳化剤を使用するのが好ましい。
乳化剤としては、ノニオン性、アニオン性ともに公知公用のものであればよく、代表的なものを例示すれば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステルなどのアニオン系界面活性剤を用いることができる。乳化剤として、異なる2種以上の乳化剤を併用してもよい。また、プラスチック基材への接着性を損なわない範囲でポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子を用いてもよい。
乳化重合に際して使用される重合開始剤としては公知慣用のものであればよく、代表的なものを挙げれば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどであり、必要に応じてナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド、アスコルビン酸類、亜硫酸塩類、酒石酸又はその塩類などと組合わせてレドックス重合としてもよい。また、必要に応じてアルコール類、メルカプタン類を連鎖移動剤として用いてもよい。
本発明のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンの製造方法としては、耐圧反応器を用いバッチ式、半連続式、連続式のいずれかの方法で行われる。エチレン−ビニルエステル共重合体のエチレン含量は重合過程のエチレン圧に依存し、エチレン圧が高い程、エチレン含量は多くなる。エチレン含量は該エマルジョンから作られたフィルムの強伸度などに影響し、種々の使用用途における多岐にわたる要求に応じるにはさまざまなエチレン圧の下で製造されるが、その範囲は通常0.5MPaから15MPaであり、1.0MPaから10MPaが最も一般的である。反応温度は通常10℃から150℃で行われるが、30℃から100℃が一般的である。反応時間は、特に制限されることはなく、各成分の配合量及び反応温度などに応じて適宜調整すればよい。
このようにして得られるエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンは、必要に応じてアクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ウレタン系樹脂などの樹脂成分、イソシアネート系化合物などの架橋剤、界面活性剤、粘性改良剤、着色剤、ブロッキング防止剤、消泡剤などを添加することができる。
エチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンは水溶性もしくは水分散性ポリエステル、エチレン−ビニルエステル共重合体及びこれらの樹脂を含めた樹脂濃度は20〜65質量%のものが一般的に用いられる。
以下に実施例および比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例および比較例で作製した水性エマルジョンの評価方法は以下のようにした。
(平均粒子径)
日機装(株)製、マイクロトラック粒度分析計UPA−150を用いて体積平均粒子径を測定した。
(重合安定性)
○:凝集物無く安定。
△:凝集物が認められ、やや不安定。
×:凝集物多く不安定。
(貯蔵安定性)
100mlのメスシリンダーにエマルジョンを100ml入れ、23℃雰囲気下で静置保存した。30日後に沈降物の有無を観察した。
判定基準
○:沈降物無し
×:沈降物有り
(接着強度)
各実施例及び各比較例で得たエマルジョンを不揮発分32%に調整した後、各種プラスチック基材に150g/m塗布し、10号帆布と貼り合わせる。110℃の乾燥機で10分間乾燥して試験片を作製する。この試験片を23℃、65%RH雰囲気下で24時間養生したのち、同雰囲気下にて180°方向に剥離する強度を測定した。剥離速度は300mm/min。
(実施例1)
耐圧容器に、あらかじめ水250質量部、水溶性ポリエステル「プラスコートZ−561」(互応化学工業(株)製、固形分25%、酸価5以下)300質量部を導入した。次いで耐圧容器内を窒素ガスで置換し、容器内を80℃まで昇温した後、エチレンで4.0MPaまで加圧した。次に酢酸ビニル350質量部を5時間にわたり滴下した。同時に過硫酸カリウム2.5質量部を水に溶解して添加した。この間、反応容器内の温度はジャケット温度を調整することにより80℃に保ち、更に反応液の酢酸ビニル濃度が0.5質量%以下になるまで攪拌を継続した。反応液の酢酸ビニル濃度が0.5質量%以下であることを確認した後、未反応のエチレンガスを除去し、25℃まで冷却した。不揮発分は47%、粘度80mPa・s、平均粒子径0.62μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体を含有する水性エマルジョンを得た。該共重合体100質量部に対し、エチレンに由来する構造単位は18質量部及び酢酸ビニルに由来する構造単位は82質量部であった。
(実施例2)
耐圧容器にあらかじめ導入する成分を水25質量部、水溶性ポリエステルを700質量部、滴下する酢酸ビニルを175質量部にする以外は実施例1と同様にしてエチレン−酢酸ビニル共重合体水性エマルジョンを得た。エマルジョンの不揮発分は37%、粘度120mPa・s、平均粒子径0.44μmであった。該共重合体100質量部に対し、エチレンに由来する構造単位は18質量部及び酢酸ビニルに由来する構造単位は82質量部であった。
(実施例3)
滴下するモノマーを酢酸ビニル123質量部とベオバ10(オランダ国Resolution Performance Products製、バーサチック酸ビニル)52質量部とする以外は実施例2と同様にしてエチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体水性エマルジョンを得た。エマルジョンの不揮発分は37%、粘度110mPa・s、平均粒子径0.52μmであった。該共重合体100質量部に対し、エチレンに由来する構造単位は18質量部、酢酸ビニルに由来する構造単位は58質量部、バーサチック酸ビニルに由来する構造単位は24質量部であった。
(比較例1)
耐圧容器にあらかじめ導入する成分を水480質量部にポリビニルアルコール「PVA−205」((株)クラレ製、ケン化度88モル%、平均重合度500)20質量部を溶解した水溶液とする以外は実施例1と同様にしてエチレン−酢酸ビニル共重合体水性エマルジョンを得た。エマルジョンの不揮発分は41%、粘度2800mPa・s、平均粒子径1.02μmであった。該共重合体100質量部に対し、エチレンに由来する構造単位は18質量部及び酢酸ビニルに由来する構造単位は82質量部であった。
(比較例2)
耐圧容器にあらかじめ導入する成分を水342質量部、アニオン性活性剤としてラテムルWX(花王(株)製、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム、26%)108質量部、水溶性ポリエステルを100質量部とする以外は実施例1と同様にしてエチレン−酢酸ビニル共重合体水性エマルジョンを得た。エマルジョンの不揮発分は45%、粘度200mPa・s、平均粒子径0.15μmであった。該共重合体100質量部に対し、エチレンに由来する構造単位は18質量部及び酢酸ビニルに由来する構造単位は82質量部であった。
(比較例3)
耐圧容器にあらかじめ導入する成分を水582質量部、ノニオン性活性剤エマルゲン1150S-60(花王(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、60%)8質量部、水溶性ポリエステルを40質量部の混合水溶液に酢酸ビニル270質量部を乳化したものとし、過硫酸カリウム2.5質量部を溶解した水溶液のみを5時間にわたり添加してエチレン−酢酸ビニル共重合体水性エマルジョンを得た。窒素置換、反応温度などの条件は実施例1と同様にした。得られたエマルジョンの不揮発分は32%、粘度200mPa・s、平均粒子径2.20μmであった。該共重合体100質量部に対し、エチレンに由来する構造単位は18質量部及び酢酸ビニルに由来する構造単位は82質量部であった。
Figure 2007284552
Figure 2007284552
表1、表2の結果から明らかなように、実施例1、2及び3の場合はエマルジョンの重合安定性、貯蔵安定性ともに良好であり、プラスチック基材に対する接着性も一般に接着剤として必要とされる剥離強度1.5kg/25mmを超えるレベルであり、プラスチック用接着剤として好適である。
一方、比較例1は保護コロイドとしてポリビニルアルコールを使用した例であるが、耐水性が悪く、プラスチック基材に対する接着性も良好ではない。
比較例2は平均粒子径が0.15μmである場合であるが、得られたエマルジョンは著しく多量の凝集物を含有し実用不可能なものであった。
比較例3はモノマーの全量を耐圧容器に導入し、平均粒子径を2.20μmにした場合であるが、貯蔵安定性が不良で実用不可能なものであった。
本発明のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンは安定性がよくプラスチックとの接着性が高いので産業上の利用性は大きい。

Claims (11)

  1. エチレンとビニルエステルを含む共重合体および水溶性もしくは水分散性ポリエステルとを含むことを特徴とするエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
  2. エチレンとビニルエステルを含む共重合体の平均粒子径が0.3〜2.0μmである請求項1に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
  3. 共重合体が、水溶性もしくは水分散性ポリエステルの存在下でエチレンとビニルエステルを共重合させたものである請求項1または2に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
  4. ビニルエステルが酢酸ビニルまたはバーサチック酸ビニルである請求項1〜3のいずれかに記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
  5. エチレン−ビニルエステル共重合体は、その100質量部あたりエチレンに由来する構造単位が1〜40質量部、ビニルエステルに由来する構造単位が60〜99質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
  6. 水溶性もしくは水分散性ポリエステルの酸価が10以下である請求項1〜5のいずれかに記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
  7. エチレン−ビニルエステル共重合体100質量部に対して、水溶性もしくは水分散性ポリエステルが2から150質量部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン。
  8. 水溶性もしくは水分散性ポリエステルの存在下においてエチレンとビニルエステルをエチレン加圧下で共重合することを特徴とするエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンの製造方法。
  9. エチレン−ビニルエステル共重合体の平均粒子径を0.3μm〜2.0μmの範囲内とする請求項8に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンの製造方法。
  10. エチレン加圧下が、0.5MPa〜15MPaの加圧下である請求項8または9に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョンの製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の水性エマルジョンを含有するプラスチック用接着剤。
JP2006113210A 2006-04-17 2006-04-17 エチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン及びその製造方法。 Active JP4299315B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006113210A JP4299315B2 (ja) 2006-04-17 2006-04-17 エチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン及びその製造方法。

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006113210A JP4299315B2 (ja) 2006-04-17 2006-04-17 エチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン及びその製造方法。

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007284552A true JP2007284552A (ja) 2007-11-01
JP4299315B2 JP4299315B2 (ja) 2009-07-22

Family

ID=38756639

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006113210A Active JP4299315B2 (ja) 2006-04-17 2006-04-17 エチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン及びその製造方法。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4299315B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011145414A1 (ja) * 2010-05-20 2011-11-24 昭和電工株式会社 再剥離型水性粘着剤組成物およびこれを用いた粘着シート
KR20190016444A (ko) * 2017-08-08 2019-02-18 신에츠 폴리머 가부시키가이샤 도전성 고분자 분산액, 도전성 필름과 그 제조 방법 및 대전 방지성 용기와 그 제조 방법

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5978203A (ja) * 1982-10-28 1984-05-07 Sanyo Chem Ind Ltd 重合用分散安定剤
JPH03234704A (ja) * 1990-02-08 1991-10-18 Takamatsu Yushi Kk 水溶性高分子化合物を保護コロイドとするビニル化合物の水分散体
JPH07207219A (ja) * 1994-01-07 1995-08-08 Dainippon Ink & Chem Inc プラスティック被覆用水性樹脂組成物
JPH07268011A (ja) * 1994-03-29 1995-10-17 Takamatsu Yushi Kk ビニル系樹脂水性エマルジョンの製造方法
JPH11263849A (ja) * 1998-03-18 1999-09-28 Kuraray Co Ltd 合成樹脂エマルジョン粉末の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5978203A (ja) * 1982-10-28 1984-05-07 Sanyo Chem Ind Ltd 重合用分散安定剤
JPH03234704A (ja) * 1990-02-08 1991-10-18 Takamatsu Yushi Kk 水溶性高分子化合物を保護コロイドとするビニル化合物の水分散体
JPH07207219A (ja) * 1994-01-07 1995-08-08 Dainippon Ink & Chem Inc プラスティック被覆用水性樹脂組成物
JPH07268011A (ja) * 1994-03-29 1995-10-17 Takamatsu Yushi Kk ビニル系樹脂水性エマルジョンの製造方法
JPH11263849A (ja) * 1998-03-18 1999-09-28 Kuraray Co Ltd 合成樹脂エマルジョン粉末の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011145414A1 (ja) * 2010-05-20 2011-11-24 昭和電工株式会社 再剥離型水性粘着剤組成物およびこれを用いた粘着シート
JP2011241346A (ja) * 2010-05-20 2011-12-01 Showa Denko Kk 再剥離型水性粘着剤組成物およびこれを用いた粘着シート
CN102906208A (zh) * 2010-05-20 2013-01-30 昭和电工株式会社 再剥离型水性粘合剂组合物及使用其的粘合片
CN102906208B (zh) * 2010-05-20 2014-10-22 昭和电工株式会社 再剥离型水性粘合剂组合物及使用其的粘合片
KR20190016444A (ko) * 2017-08-08 2019-02-18 신에츠 폴리머 가부시키가이샤 도전성 고분자 분산액, 도전성 필름과 그 제조 방법 및 대전 방지성 용기와 그 제조 방법
CN109385189A (zh) * 2017-08-08 2019-02-26 信越聚合物株式会社 导电性高分子分散液、导电性薄膜及其制造方法、以及抗静电性容器及其制造方法
KR102016917B1 (ko) * 2017-08-08 2019-09-02 신에츠 폴리머 가부시키가이샤 도전성 고분자 분산액, 도전성 필름과 그 제조 방법 및 대전 방지성 용기와 그 제조 방법
US11015066B2 (en) 2017-08-08 2021-05-25 Shin-Etsu Polymer Co., Ltd. Conductive polymer dispersion, conductive film and method of manufacturing the same, and antistatic container and method of manufacturing the same

Also Published As

Publication number Publication date
JP4299315B2 (ja) 2009-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0841351B1 (en) Water borne pressure sensitive adhesive compositions derived from copolymers of higher vinyl esters
JP3476714B2 (ja) 酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法及び水性接着剤
US20030235685A1 (en) Water-based adhesives
JP4299315B2 (ja) エチレン−ビニルエステル共重合体水性エマルジョン及びその製造方法。
TW201307401A (zh) 用於黏合劑配方中之乙烯基酯/乙烯共聚物分散體
CN114364762B (zh) 水性阻燃粘合剂组合物及其制备方法
JP4388560B2 (ja) プラスチックコーティング剤用水性樹脂エマルジョンおよびそれを用いたプラスチックコーティング剤
JP3287088B2 (ja) 共重合体ラテックス
JP3476701B2 (ja) 酢酸ビニル樹脂系エマルジョンの製造方法及び水性接着剤
JP5324146B2 (ja) 接着性組成物
JP2003105007A (ja) アクリル系エマルジョンの製造方法
EP0590886A1 (en) Laminating construction adhesive compositions with improved performance
JP7401695B2 (ja) 水性難燃接着剤組成物およびその製造方法
EP4060006A1 (en) Acrylic emulsion pressure sensitive adhesive composition
SK9422002A3 (en) Polymer dispersion, a method for producing the same, an adhesive containing said dispersion and the use thereof
KR101586861B1 (ko) 비할로겐 타입 단축공정 고착색 표면처리제 조성물
WO2023225014A1 (en) Wash off pressure sensitive adhesive
JP3401302B2 (ja) 接着剤組成物
JP2005015710A (ja) 水性2液型プラスチック材料用接着剤組成物
JPH0726208A (ja) 常温硬化性プラスチック用水系塗料組成物
WO2023225023A1 (en) Wash off pressure sensitive adhesive for pet
KR20210089101A (ko) 아크릴 계 에멀젼 점착제 조성물
KR20200077337A (ko) 아크릴 계 에멀젼 점착제 조성물
JP2001072721A (ja) 酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂系エマルジョンの製造方法及び水性接着剤
JPS63312829A (ja) 積層体の製法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080702

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080930

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081125

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20081125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090414

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090416

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4299315

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150424

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350