JP2007282308A - モータ駆動装置、インクジェットプリンタおよびその給紙制御方法 - Google Patents

モータ駆動装置、インクジェットプリンタおよびその給紙制御方法 Download PDF

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JP2007282308A
JP2007282308A JP2006101690A JP2006101690A JP2007282308A JP 2007282308 A JP2007282308 A JP 2007282308A JP 2006101690 A JP2006101690 A JP 2006101690A JP 2006101690 A JP2006101690 A JP 2006101690A JP 2007282308 A JP2007282308 A JP 2007282308A
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Yoshiaki Shibazaki
佳秋 柴崎
Kosaku Shinoda
耕作 信田
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Abstract

【課題】駆動モータの温度を抑えながら、駆動モータを駆動すること。
【解決手段】モータ駆動装置1の駆動モータ15は、複数の動作モード毎に異なる電流制
御で駆動される。発熱量取得手段65は、所定の駆動がなされる期間の駆動モータ15の
駆動時間に基づいて、駆動モータ15の発熱量を得る。待ち時間決定手段65は、取得さ
れた発熱量から計算される駆動モータ15の累積蓄熱量に基づいて、駆動モータ15の駆
動を遅延させる待ち時間を決定する。駆動制御手段62は、待ち時間の後に、駆動モータ
15による新たな駆動を開始する。
【選択図】図2

Description

本発明は、モータ駆動装置、インクジェットプリンタおよびその給紙制御方法に関する
特許文献1は、インクジェットプリンタを開示する。このインクジェットプリンタは、
ハウジング内に配設される搬送用のモータ(PFモータ)を有する。特許文献1に記載さ
れているPFモータは、DCモータであり、用紙を搬送するためのものである。
特開2005−329556号公報(図2、段落0028など)
ところで、インクジェットプリンタの低コスト化を図るために、この用紙を搬送する搬
送モータとして、より安価な小型のDCモータを採用することが考えられる。また、DC
モータを配設するハウジングを、プラスチック製とすることが考えられる。
しかしながら、近年のインクジェットプリンタは、従来のものに比べて、単位時間当た
りの印刷枚数や印字解像度に関して、より高いレベルのものが要求されている。また、イ
ンクジェットプリンタは、印刷する用紙や印刷する画像の種類などに応じて複数の印刷モ
ードを有する。搬送モータは、その印刷モードに応じた回転で駆動する必要がある。
搬送モータとして小型のDCモータを採用した場合、高いレベルの要求に応えるために
は、DCモータは、より高速に駆動される必要がある。高速で回転する小型のDCモータ
は、高温になりやすい。また、紙詰まりなどが生じると、小型のDCモータの発熱量は、
通常よりも大きくなる。そのため、その小型のDCモータが配設されるプラスチック製の
ハウジングがDCモータの熱により変形などしてしまったり、装置内部が高温状態となっ
てしまったりする恐れがある。このような現象は、市販される製品では、生じてはならな
いものである。
そのため、インクジェットプリンタにおいて、その低コスト化を図るために、搬送モー
タとしてより安価な小型のDCモータを採用することと、プラスチック製のハウジングを
採用することは、相反するものとなる。
しかしながら、本発明者らは、この相反する条件を打破するために思案をめぐらし、独
自に鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者らは、用紙などの印刷対象物を印刷位置へ供
給してから排出するまでの1枚当たりの印刷時間と、搬送モータの1枚当たりの発熱量と
の間に、印刷モード毎の搬送モータの駆動電流の違いや回転の違いなどに関係なく、安定
した関係を見いだすことができることを発見し、本発明を完成するに至った。
なお、このような駆動モータの発熱に起因する課題は、印刷する用紙を搬送する搬送モ
ータに限られるものではなく、その他の駆動モータ、たとえばインクジェットプリンタに
おいてキャリッジを駆動する駆動モータなどにも共通する課題である。
本発明は、駆動モータの温度を抑えながら、駆動モータを駆動することができるモータ
駆動装置を得ることを目的とする。特に、本発明は、印刷する用紙を搬送する搬送モータ
の温度を抑えながら、搬送モータを駆動することができるインクジェットプリンタおよび
その給紙制御方法を得ることを目的とする。
本発明に係るモータ駆動装置は、複数の動作モード毎に異なる電流制御で駆動される駆
動モータと、所定の駆動がなされる期間の駆動モータの駆動時間に基づいて、駆動モータ
の発熱量を得る発熱量取得手段と、取得された発熱量から計算される駆動モータの累積蓄
熱量に基づいて、駆動モータの駆動を遅延させる待ち時間を決定する待ち時間決定手段と
、待ち時間の後に、駆動モータによる新たな駆動を開始する駆動制御手段と、を有するも
のである。
この構成を採用すれば、所定の駆動がなされる期間の駆動モータの駆動時間に基づいて
駆動モータの累積蓄熱量を得て、駆動モータの待ち時間を決定し、その待ち時間の後に、
駆動モータによる新たな駆動を開始する。また、駆動モータの駆動電流は、印刷モードに
応じて制御される。駆動モータの駆動電流が動作モードに応じて変化することに拘らず、
それぞれの動作モードによる駆動モータの発熱量として、駆動モータの実際の発熱量との
誤差が少ない値を得て、それに応じた適切な待ち時間で駆動モータを冷却することができ
る。駆動モータの温度を抑えながら、駆動モータを駆動することができる。
しかも、コストアップを招いてしまう、駆動モータの温度センサを設けたりすることな
く、駆動モータを、その発熱に応じて冷却することができる。
本発明に係るインクジェットプリンタは、印刷する印刷対象物を搬送するために印刷モ
ードに応じた制御電流で駆動される搬送モータと、印刷対象物を印刷位置へ供給してから
排出するまでの印刷時間に基づいて、搬送モータの発熱量を得る発熱量取得手段と、取得
された発熱量から計算される搬送モータの累積蓄熱量に基づいて、搬送モータの駆動を遅
延させる待ち時間を決定する待ち時間決定手段と、待ち時間の後に、搬送モータにより新
たな印刷対象物を印刷位置へ供給する供給制御手段と、を有するものである。
この構成を採用すれば、印刷対象物毎の印刷位置への供給から排出までの印刷時間に基
づいて搬送モータの累積蓄熱量を得て、搬送モータの待ち時間を決定し、その待ち時間の
後に、搬送モータによる新たな印刷対象物の給紙を実行する。また、印刷する印刷対象物
を搬送する搬送モータの駆動電流は、印刷モードに応じて制御される。搬送モータの駆動
電流が印刷モードに応じて変化することに拘らず、それぞれの印刷モードによる印刷時の
搬送モータの発熱量として、搬送モータの実際の発熱量との誤差が少ない値を得て、それ
に応じた適切な待ち時間で搬送モータを冷却することができる。搬送モータの温度を抑え
ながら、搬送モータを駆動することができる。
しかも、印刷対象物毎の印刷位置への供給から排出までの印刷時間に基づいて搬送モー
タの累積蓄熱量を得るので、仮にたとえば搬送モータへ供給する駆動パルス数をカウント
し、そのカウント値に基づいて累積蓄熱量を得たり、搬送モータの待ちを制御したりする
構成に比べて、搬送モータの制御中に駆動パルス数のカウントなどの余分な処理をする必
要がない。また、コストアップを招いてしまう、搬送モータの温度センサを設けたりする
ことなく、搬送モータを、その発熱に応じて冷却することができる。
本発明に係るインクジェットプリンタは、上述した発明の構成に加えて、搬送モータが
、プラスチック製のハウジングに取り付けられたステッピングモータであるものである。
この構成を採用すれば、印刷する印刷対象物を搬送する搬送モータの駆動電流を、印刷
モードに応じて制御することができる。
本発明に係るインクジェットプリンタは、上述した発明の各構成に加えて、印刷モード
毎の印刷時間と、その間の搬送モータの1枚印刷当たりの発熱量との関係に基づく複数の
発熱量を、印刷時間の時間帯毎に有する単票発熱量テーブルを記憶する記憶手段を有する
。そして、発熱量取得手段は、印刷時間により単票発熱量テーブルを参照し、搬送モータ
の発熱量を得る。
この構成を採用すれば、発熱量取得手段は、印刷時間により、搬送モータの発熱量を得
ることができる。しかも、搬送モータの発熱量は、印刷時間から、簡単な演算式により正
確に演算することができないものであるが、簡単な参照処理により、その印刷において搬
送モータが実際に発熱した発熱量に近い正確な値を得ることができる。
これに対して、仮にたとえば、搬送モータへ供給する駆動パルス数をカウントして、そ
の駆動パルス数と搬送モータの最大駆動電流との関係から搬送モータの発熱量を演算する
場合には、そのような最大駆動電流により駆動しない印刷モードにおいては、搬送モータ
が実際に発熱した発熱量とはかけ離れた発熱量となってしまう。演算される発熱量の誤差
は大きい。
したがって、この構成を採用すれば、搬送モータへ供給する駆動パルス数に基づいて発
熱量を計算する場合に比べて、発熱量取得手段が取得する発熱量を実際と誤差が少ないも
のとすることができる。その結果、取得された発熱量から計算される搬送モータの累積蓄
熱量も、実際の搬送モータの累積蓄熱量に近いものとなり、待ち時間を必要最小限に抑え
ることができる。そして、連続的に複数の印刷対象物に印刷をする期間において、複数回
に渡って待ち時間が発生するとしても、その待ち時間の累積時間を最小限に抑え、その累
積的な待ち時間による印刷スループットの低下を最小限に抑えることができる。
本発明に係るインクジェットプリンタは、上述した発明の各構成に加えて、周期的に、
発熱量から計算される搬送モータの累積蓄熱量を減算する減算手段を有する。そして、待
ち時間決定手段は、搬送モータの累積蓄熱量が更新されたら、搬送モータの駆動を遅延さ
せる待ち時間を決定する。
この構成を採用すれば、搬送モータの累積蓄熱量を、時間の経過に合わせて小さくする
ことができる。搬送モータの実際の蓄熱量が放熱により経時的に低下してゆくのに合わせ
て、搬送モータの累積蓄熱量を低下することができる。また、単票発熱量テーブルを参照
することで得られる発熱量は、搬送モータの1枚印刷当たりの発熱量との関係に基づくも
のである。このように単票発熱量テーブルを用いながら、累積蓄熱量の発熱による更新処
理と、放熱による更新処理とを分離して別々に処理することで、搬送モータの累積蓄熱量
を、発熱時および放熱時を含む全期間にわたって、搬送モータの実際の蓄熱量に極めて近
い値に維持することができる。その結果、待ち時間は、その搬送モータの実際の蓄熱量の
低下に合わせて必要最小限に短くすることができる。待ち時間による印刷スループットの
低下を最小限に抑えることができる。
本発明に係るインクジェットプリンタは、上述した発明の各構成に加えて、待ち時間決
定手段が、搬送モータの累積蓄熱量が、所定の蓄熱量閾値を超えたら、待ち時間が0より
大きくなる有意な待ち時間を決定するものである。
この構成を採用すれば、搬送モータの累積蓄熱量が、所定の蓄熱量閾値以下であるうち
は、待ち時間が発生しない。したがって、たとえば発熱量が小さい印刷モードにより数枚
の印刷対象物への印刷を連続的に実施するときには、待ち時間による印刷スループットの
低下が生じない。数枚の印刷対象物への印刷を、その間に待つことなく連続的に実施する
ことができる。
本発明に係るインクジェットプリンタは、上述した発明の各構成に加えて、搬送モータ
の累積蓄熱量および待ち時間が、電源オフ時にデータを消失しない不消失記憶手段に記憶
され、供給制御手段が、不消失記憶手段に有意な待ち時間が記憶されている場合には、そ
の待ち時間の後に、搬送モータにより新たな印刷対象物を印刷位置へ搬送させるものであ
る。
この構成を採用すれば、たとえばインクジェットプリンタの電源が印刷直後にオフとさ
れ、さらにその直後にオンとされたとしても、適切な待ち時間で搬送モータを冷却し、搬
送モータの温度を抑えることができる。
本発明に係る他のインクジェットプリンタは、印刷する印刷対象物を搬送するために、
印刷モードに応じた制御電流で駆動される搬送モータと、印刷対象物を印刷位置へ供給し
てから排出するまでの印刷時間を計測する計時手段と、印刷対象物を印刷位置へ搬送する
とともに、計時手段に印刷時間の計測開始を指示する供給制御手段と、印刷位置から印刷
対象物を搬送するとともに、計時手段から計測された印刷時間を取得し、その取得した印
刷時間に基づいて、搬送モータの発熱量を得る発熱量取得手段、および、取得された発熱
量から計算される搬送モータの累積蓄熱量に基づいて、搬送モータの駆動を遅延させる待
ち時間を決定する待ち時間決定手段を有する排出制御手段と、を有する。そして、供給制
御手段は、待ち時間決定手段により有意な待ち時間が決定されたら、その待ち時間が経過
した後に、次の印刷対象物を印刷位置へ搬送する。
この構成を採用すれば、印刷対象物毎の印刷位置への供給から排出までの印刷時間を計
測し、その印刷時間に基づく適切な待ち時間で搬送モータを冷却することができる。搬送
モータの温度を抑えながら、搬送モータを駆動することができる。
しかも、この待ち時間を得るための一連の処理、すなわち印刷時間の計測処理、印刷時
間から搬送モータの発熱量を得る処理、および、発熱量から累積蓄熱量を計算した上で待
ち時間を決定する処理は、供給制御手段による供給処理および排出制御手段による排出処
理の一部として実行することができる。したがって、印刷対象物の印刷位置への供給から
排出までの処理期間において、供給制御手段や排出制御手段などの印刷処理手段以外の手
段、たとえば待ち時間演算手段などを並列的に実行する必要がない。インクジェットプリ
ンタの印刷処理の全体的な流れを損なうことなく、待ち時間を決定することができる。ま
た、印刷処理期間中に、印刷時間の計測から待ち時間の決定までの一連の処理が完了する
ので、印刷をしていないときに待ち時間を決定したりする必要がない。
本発明に係る他のインクジェットプリンタは、上述した発明の構成に加えて、印刷位置
へ供給された印刷対象物へのインク吐出を制御するとともに、周期的に、発熱量から計算
される搬送モータの累積蓄熱量を減算する減算手段を有する印字制御手段を有するもので
ある。
この構成を採用すれば、搬送モータの累積蓄熱量を周期的に減算する処理を、印字制御
手段による印字処理の一部として実行することができる。印刷処理の全体的な流れを損な
うことなく、累積蓄熱量を周期的に減算することができる。
また、印字制御手段には、一般的には、周期的に定期フラッシング処理を実行する。そ
のような印字制御手段は、定期フラッシング周期となったか否かを判断するために時間情
報を取得する。この定期フラッシング周期を判断するために取得する時間情報を利用して
、減算手段による減算周期であるか否かを判断することができる。
本発明に係る他のインクジェットプリンタは、上述した発明の各構成に加えて、排出制
御手段が、その待ち時間決定手段により有意な待ち時間が決定される場合には、連続して
次の印刷をする状況であっても印刷位置の印刷対象物を排出し、それ以外の場合には、印
刷位置の印刷対象物を排出するとともに新たな印刷対象物を印刷位置へ供給するものであ
る。
この構成を採用すれば、複数の印刷対象物への印刷を連続して処理する途中において待
ち時間による冷却が必要となれば、印刷位置にある印刷対象物の排出処理と新たな印刷対
象物の印刷位置への供給処理とを別々に実施し、その間に所定の待ち時間で待つことがで
きる。逆に、待ち時間による冷却が必要でない場合には、一般的なインクジェットプリン
タと同様に、複数の印刷対象物の排紙および給紙を同時に処理することができる。複数の
印刷対象物を連続的に印刷位置へ供給することができる。
本発明に係るインクジェットプリンタの給紙制御方法は、印刷モードに応じて駆動電流
が制御される搬送モータを用いて、印刷する印刷対象物を搬送するインクジェットプリン
タの給紙制御方法であって、印刷対象物の印刷位置への供給から排出までの印刷時間を計
測するステップと、計測された印刷時間に基づいて、搬送モータの発熱量を得るステップ
と、取得された発熱量から、搬送モータの累積蓄熱量を計算するステップと、計算された
累積蓄熱量に基づいて、搬送モータの駆動を遅延させる待ち時間を決定するステップと、
決定された待ち時間の後に、搬送モータにより新たな印刷対象物を印刷位置へ供給するス
テップと、を有するものである。
この方法を採用すれば、搬送モータの駆動電流が印刷モードに応じて変化することに拘
らず、それぞれの印刷モードによる印刷時の搬送モータの発熱量として、搬送モータの実
際の発熱量に見合った値を得て、それに応じた適切な待ち時間で搬送モータを冷却するこ
とができる。搬送モータの温度を抑えながら、搬送モータを駆動することができる。
しかも、搬送モータの制御中に駆動パルス数のカウントなどの余分な処理をする必要が
ない。また、コストアップを招いてしまう、搬送モータの温度センサを設けたりすること
なく、搬送モータを、その発熱に応じて冷却することができる。
以下、本発明の実施の形態に係るモータ駆動装置、インクジェットプリンタおよびその
給紙制御方法を、図面に基づいて説明する。モータ駆動装置は、インクジェットプリンタ
の一部として説明する。インクジェットプリンタの給紙制御方法は、インクジェットプリ
ンタの動作の一部として説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェットプリンタ1のベース部分を示す平面
図である。インクジェットプリンタ1は、ハウジングとしてのベースハウジング2を有す
る。
ベースハウジング2は、略長方形の平板形状の底部3と、この底部3の長方形の略外周
の全周に沿って立設される4枚の壁部4,5,6,7と、を有する。この底部3と、4枚
の壁部4,5,6,7とにより、ベースハウジング2は、蓋無しの箱形状となる。ベース
ハウジング2は、常温より高い、たとえば150度程度の所定の耐熱温度を有するプラス
チック材料により形成される。ベースハウジング2は、その温度が耐熱温度になると変形
することもあり得る。
このベースハウジング2の上には、図示外のアッパーハウジングが取り付けられる。ア
ッパーハウジングを取り付けることで、ベースハウジング2の4枚の壁部4,5,6,7
および底部3により仕切られた内部空間8は、インクジェットプリンタ1の外界からほと
んど隔離されることとなる。ベースハウジング2の内部空間8は、その背面側(図1では
上側)の壁部4に開設された通気スリット9や、アッパーハウジングとの間の微小な隙間
などにより、部分的に外界と連通する。なお、壁部5,7の、内部空間8とは反対側とな
る外側の面は、アッパーハウジングに覆われることとなり、外界へ直接に露出しない。
ベースハウジング2には、LD(ロード)ローラ11、PF(ペーパーフィード)ロー
ラ12、排紙ローラ13が配設される。LDローラ11、PFローラ12および排紙ロー
ラ13は、略丸棒形状を有する。LDローラ11、PFローラ12および排紙ローラ13
は、ベースハウジング2の底部3の長手方向に沿って、互いに略平行に並べて配設される
アッパーハウジングは、図1中に一点鎖線で示す給紙トレイ14を有する。給紙トレイ
14に最も近い位置に、LDローラ11が配設される。LDローラ11の隣りには、PF
ローラ12が配設される。PFローラ12の、LDローラ11とは反対側に、排紙ローラ
13が配設される。
ベースハウジング2に配設されるLDローラ11、PFローラ12および排紙ローラ1
3は、ベースハウジング2の底部3の長手方向の一対の壁部5,7により回転可能に軸支
される。以下、このLDローラ11などを軸支する一対の壁部5,7を、残りの壁部4,
6と区別する場合、一対の軸受け壁部5,7とよぶ。
一対の軸受け壁部5,7の中の一方には、駆動モータおよび搬送モータとしてのPFモ
ータ15が配設される。図1では、左側の軸受け壁部7に、PFモータ15が配設される
。PFモータ15は、小型のステッピングモータである。PFモータ15は、たとえば軸
受け壁部7にネジ止めされて、インクジェットプリンタ1の内側の領域に配設される。こ
の取り付け状態において、PFモータ15の回転軸は、軸受け壁部7に形成された図示外
の貫通孔に挿入される。PFモータ15の回転軸の先端部は、軸受け壁部7の外側へ突出
する。この軸受け壁部7の外側へ突出した先端部に、駆動ギア16が固定される。
PFモータ15は、図1に示すように、PFローラ12と排紙ローラ13との間に配設
される。駆動ギア16は、PFローラ12と排紙ローラ13との間において、軸受け壁部
7の外側に位置する。LDローラ11、PFローラ12および排紙ローラ13は、それぞ
れ従動ギア17,18,19を端部に有する。この複数の従動ギア17,18,19は、
駆動ギア16と同様に、これらのローラ11,12,13の、軸受け壁部7より外側へ突
出した先端部に固定される。また、PFローラ12とLDローラ11との間には、その回
転軸が軸受け壁部7の外側へ突出することとなるアイドラギア20が回転可能に配設され
る。
そして、PFローラ12の従動ギア18と、排紙ローラ13の従動ギア19は、駆動ギ
ア16と噛み合わされる。PFローラ12の従動ギア18と、LDローラ11の従動ギア
17とは、アイドラギア20と噛み合わされる。たとえば図1に示す姿勢において左側面
から見て駆動ギア16が反時計方向に回転すると、PFローラ12の従動ギア18と、排
紙ローラ13の従動ギア19とは、時計方向に回転する。アイドラギア20は、PFロー
ラ12の従動ギア18とは逆に反時計方向に回転する。LDローラ11の従動ギア17は
、アイドラギア20とは逆に時計方向に回転する。このようにLDローラ11と、PFロ
ーラ12と、排紙ローラ13とは、同じ方向へ回転する。
なお、図1において、給紙トレイ14に載置される印刷対象物としての用紙は、LDロ
ーラ11から排紙ローラ13へ向かって搬送される。
PFローラ12と排紙ローラ13との間には、プラテン21が配設される。プラテン2
1は、PFローラ12と排紙ローラ13との間に収まるサイズの長尺形状を有する。プラ
テン21の長尺方向両端部には、一対のフラッシング穴22が形成される。
プラテン21の上方、すなわち図1で紙面手前側には、図1中に一点鎖線で示すキャリ
ッジ23が配設される。キャリッジ23は、図示外のキャリッジ軸により軸支される。キ
ャリッジ軸は、PFローラ12と略平行に配設される。キャリッジ23は、PFローラ1
2の軸方向と平行となる方向、すなわち用紙の搬送方向とは直交する方向へ移動可能であ
る。これによって、キャリッジ23は、プラテン21上を移動する。
キャリッジ23は、インクタンク24と、記録ヘッド25(図2を参照)と、を有する
。インクタンク24は、インクを収容する。記録ヘッド25は、複数のインク吐出ノズル
を有する。複数のインク吐出ノズルには、インクタンク24のインクが供給される。イン
ク吐出ノズル内には、ピエゾ素子が配設される。ピエゾ素子は、印加される電圧に応じて
変形する。ピエゾ素子が変形すると、インク吐出ノズル内のインクが外へ押し出される。
インク吐出ノズルから押し出されたインクは、インクジェットプリンタ1の内部空間8を
、プラテン21へ向かって移動する。プラテン21と記録ヘッド25との間に、印刷対象
物としての用紙があると、インクは、用紙に付着する。キャリッジ23の移動に伴って記
録ヘッド25がプラテン21へ向かってインクを吐出する範囲が、用紙への印刷位置とな
る。
図2は、図1のインクジェットプリンタ1の制御系の構成を示すブロック図である。イ
ンクジェットプリンタ1は、記録ヘッド制御回路31、モータドライバ32、ASIC(
Application Specific Integrated Circuit:
特定用途向け集積回路)33、マイクロコンピュータ34などを有する。
記録ヘッド制御回路31は、記録ヘッド25の複数のインク吐出ノズル内に配設される
複数のピエゾ素子と接続される。記録ヘッド制御回路31は、電圧波形パターンが供給さ
れると、そのパターンにしたがった電圧波形の電圧を、複数のピエゾ素子へ印加する。
モータドライバ32は、PFモータ15、CR(キャリッジ)モータ26などと接続さ
れる。CRモータ26は、たとえばDC(直流)モータであり、駆動ベルトなどの駆動伝
達機構27を介してキャリッジ23をキャリッジ軸に沿って駆動する。モータドライバ3
2は、たとえば上述したPFモータ15などのステッピングモータへパルスを出力する。
モータドライバ32は、制御指令値に応じてステッピングモータへのパルス数やパルス密
度などを増減する。また、モータドライバ32は、たとえば上述したCRモータ26など
のDCモータへ、制御指令値に応じたDuty(デューティ)比のパルス電圧を出力する
。これにより、PFモータ15などのステッピングモータや、CRモータ26などのDC
モータは、制御指令値に応じた回転をする。
ASIC33は、マイクロコンピュータの一種であり、メモリ41を有する。ASIC
33のメモリ41は、各種の制御指令や検出情報を記憶する。制御指令には、たとえばP
Fモータ15やCRモータ26への制御指令値42、複数のピエゾ素子へ供給する電圧波
形パターン43などがある。検出情報には、たとえば紙送り速度やキャリッジ23の移動
速度などの検出速度44、紙送り量やキャリッジ23の移動量などの検出移動量45など
がある。
また、ASIC33には、制御ユニット46が実現される。制御ユニット46は、AS
IC33の図示外のCPU(Central Processing Unit:中央処
理装置)が、図示外の制御ユニットプログラムを実行することで実現される。制御ユニッ
ト46は、周期的に動作する。そして、制御ユニット46は、ASIC33のメモリ41
に記憶されている制御指令値42を、モータドライバ32へ供給し、ASIC33のメモ
リ41に記憶されている電圧波形パターン43を、記録ヘッド制御回路31へ供給し、キ
ャリッジ23の移動や紙送りに応じて生成されるパルスをカウントする。制御ユニット4
6は、単位時間あたりのパルスのカウント値に基づいて、ASIC33のメモリ41に保
存されている検出速度44を更新し、累積的なパルスのカウント値に基づいて、ASIC
33のメモリ41に保存されている検出移動量45を更新する。
マイクロコンピュータ34は、計時手段としてのタイマ51と、記憶手段および不消失
記憶手段としてのメモリ52と、を有する。タイマ51は、時刻を計測する。
マイクロコンピュータ34のメモリ52は、インクジェットプリンタ1による印刷制御
に使用する各種のデータを記憶する。マイクロコンピュータ34のメモリ52は、たとえ
ば、最終給紙時刻データ53、累積蓄熱データ54、待ち時間データ55、単票発熱量テ
ーブル56などを記憶する。最終給紙時刻データ53、累積蓄熱データ54、待ち時間デ
ータ55および単票発熱量テーブル56などは、たとえばインクジェットプリンタ1の電
源がオフとなっても消失しないように、たとえばEEPROM(Electronica
lly Erasable and Programmable Read Only
Memory)などの不揮発性メモリに記憶される。
最終給紙時刻データ53は、最後の給紙をした過去の時刻を示すデータである。たとえ
ば2回の給紙動作がなされた場合、最終給紙時刻データ53の時刻は、二回目の給紙を開
始した時刻となる。
累積蓄熱データ54は、PFモータ15の発熱による累積的な蓄熱量を示すデータであ
る。累積蓄熱データ54は、PFモータ15やそれが取り付けられる軸受け壁部7の温度
と連動して変化する。なお、PFモータ15は、図1に示すように、インクジェットプリ
ンタ1の内部空間8に配設される。この内部空間8は、ベースハウジング2とアッパーハ
ウジングとにより外界から隔離される。しかも、PFモータ15の周囲には、PFローラ
12、排紙ローラ13、プラテン21などが密集して配設されている。PFモータ15の
周囲の空間は狭く、この空間から外界への放熱には比較的時間がかかる。そのため、PF
モータ15が短時間駆動されるだけで、PFモータ15やそれが取り付けられる軸受け壁
部7の温度は上昇する。
待ち時間データ55は、PFモータ15の駆動を禁止する時間を示すデータである。
図3は、図2中の単票発熱量テーブル56のデータ構造を示す説明図である。単票発熱
量テーブル56は、単票印刷時間の時間帯毎に、PFモータ15の複数の上昇温度を記憶
する。PFモータ15の温度は、PFモータ15の発熱量に応じて上昇する。PFモータ
15の温度は、PFモータ15の発熱量と対応する。
単票印刷時間とは、たとえばはがき、A4などの単票用紙1枚への印刷時間である。単
票印刷時間の長さは、印刷する用紙のサイズ、印刷する印刷データの種類、印刷する用紙
上の印刷範囲などに応じて異なる。インクジェットプリンタ1は、印刷する用紙のサイズ
、印刷する印刷データの種類、印刷する用紙上の印刷範囲などに応じた複数の印刷モード
を有する。インクジェットプリンタ1の印刷モードには、たとえば、A4サイズの普通紙
に通常の解像度で印刷するA4普通紙印刷(ノーマル)モード、A4サイズの普通紙に低
い解像度で高速に印刷するA4普通紙印刷(エコノミ)モード、はがきに縁無しで写真画
像を印刷するはがき縁なし写真印刷モード、A4サイズの写真用紙に高い解像度で印刷す
るA4縁なし写真印刷モードなどがある。
そして、図3の単票発熱量テーブル56は、この1枚の単票用紙への印刷に要する時間
となる単票印刷時間を、0〜1秒の時間帯、1〜2秒の時間帯、2〜3秒の時間帯、3〜
4秒の時間帯、4〜5秒の時間帯、5〜10秒の時間帯、10〜15秒の時間帯などのよ
うに複数の時間帯に区切り、その時間帯毎にPFモータ15の1枚印刷当たりの上昇温度
を記憶する。また、図3の単票発熱量テーブル56は、クリーニングモードでのPFモー
タ15の上昇温度なども記憶する。
図4は、図1のインクジェットプリンタ1でのPFモータ15(ステッピングモータ)
の温度上昇特性を示す図である。この上昇温度の特性図において、横軸は、単票印刷時間
である。縦軸は、PFモータ15の1枚印刷当たりの上昇温度である。
インクジェットプリンタ1の複数の動作モードでの発熱量を実際に計測したり熱シミュ
レーションなどにより予測したりした上で、それぞれの印刷時間と対応付けて各印刷モー
ドによるPFモータ15の1枚印刷当たりの上昇温度を図4中にプロットすると、図4中
に黒丸で示す分布となる。
図4中の各印刷モードでの1枚印刷当たりの上昇温度は、たとえばその印刷モードにお
いて長時間印刷をしたときに到達するPFモータ15の最大温度(以下では、飽和上昇温
度とよぶ。)に、その温度に到達するための1枚印刷当たりの寄与率を乗算した値であれ
ばよい。1枚印刷当たりの寄与率は、たとえばその印刷モードでの単票印刷時間を、所定
の時定数で割った値とすればよい。
たとえば、A4普通紙印刷(エコノミ)モードの単票印刷時間は約2.7秒であり、飽
和上昇温度は96度である。時定数を660秒とすると、1枚印刷当たりの上昇温度は、
0.392(=96×2.7÷660)度となる。その他にもたとえば、A4普通紙印刷
(ノーマル)モードは、単票印刷時間は約24.1秒であり、飽和上昇温度は34度であ
る。時定数を660秒とすると、1枚印刷当たりの上昇温度は、1.24(=34×24
.1÷660)度となる。
そして、図4のように横軸に単票印刷時間をとり、縦軸にPFモータ15の上昇温度を
とることで、図4中に実線曲線として示すように、インクジェットプリンタ1の複数の動
作モードのプロットを結ぶ、一定の近似曲線を得ることができる。インクジェットプリン
タ1の複数の動作モードの複数のプロット点は、図4において一定の近似曲線上に乗る。
また、クリーニングモードでの駆動時間と、上昇温度も、この一定の近似曲線上に乗る。
なお、図4において横軸を、たとえばそれぞれの印刷モードでの1枚印刷期間中のPF
モータ15への駆動パルス数などへ変更した場合、インクジェットプリンタ1の複数の動
作モードの複数のプロット点は、特性図中にばらばらに分布してしまい、図4のように一
定の近似曲線を見いだすことはできない。
図3の単票発熱量テーブル56での、単票印刷時間の時間帯毎の上昇温度は、図4のP
Fモータ15の発熱特性を、時間帯毎に区切ったものに基づくものである。たとえば、図
4中の近似曲線において、単票印刷時間が25秒であるときの上昇温度は、1.26度で
ある。そのため、図3の単票発熱量テーブル56の25秒以下の時間帯の1枚印刷当たり
の上昇温度は、1.26度としている。
マイクロコンピュータ34には、制御指令値生成部57と、シーケンス制御部58と、
が実現される。制御指令値生成部57およびシーケンス制御部58は、マイクロコンピュ
ータ34の図示外のCPUが、図示外の制御プログラムを実行することで実現される。
なお、このマイクロコンピュータ34にて実行される制御プログラムは、たとえばマイ
クロコンピュータ34のメモリ52に記憶されていればよい。このマイクロコンピュータ
34のメモリ52に記憶される制御プログラムは、インクジェットプリンタ1の出荷前に
メモリ52に記憶されたものであっても、出荷後にメモリ52に記憶されたものであって
もよい。出荷後にメモリ52に記憶される制御プログラムは、たとえばCD−ROMなど
のコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶された状態でユーザへ提供したり、インターネ
ットなどのデータ伝送媒体を介してユーザへ提供したりすることができる。なお、メモリ
52に記憶される制御プログラムの一部が、コンピュータ読取可能な記録媒体や、伝送媒
体によりユーザへ提供されたものであってもよい。なお、ASIC33にて実行される制
御ユニットプログラムについても、同様である。
制御指令値生成部57は、周期的に、制御指令値42を生成する。制御指令値生成部5
7は、キャリッジ23や用紙搬送の目標位置や目標速度などが指定されると、周期的に、
その指定された目標位置と検出移動量45との制御偏差や、指定された目標速度と検出速
度44との制御偏差などが減るように、新たな制御指令値42を生成する。制御指令値4
2には、たとえばPFモータ15やCRモータ26への制御指令値42がある。PFモー
タ15への制御指令値42では、たとえばパルス数やパルス密度が指定される。CRモー
タ26への制御指令値42では、たとえばDuty比が指定される。制御指令値生成部5
7は、生成した制御指令値42を、ASIC33のメモリ41に書き込む。
シーケンス制御部58は、インクジェットプリンタ1が実行する制御シーケンスを選択
する。また、シーケンス制御部58は、選択した制御シーケンスを実行する。シーケンス
制御部58は、具体的にはたとえば、シーケンス選択部61と、駆動制御手段および供給
制御手段としての給紙制御部62と、減算手段および印字制御手段としての印字制御部6
3と、紙送り制御部64と、発熱量取得手段、待ち時間決定手段および排出制御手段とし
ての排紙制御部65と、を有する。
給紙制御部62は、給紙シーケンスを実行する。給紙シーケンスでは、PFモータ15
の駆動制御にしたがってLDローラ11およびPFローラ12が回転駆動する。これによ
り給紙トレイ14に載置されている用紙は、印刷位置へ給紙される。給紙制御部62は、
具体的には、給紙シーケンスにしたがって、給紙のためのPFモータ15の目標位置や目
標速度などを、制御指令値生成部57に指定する。給紙制御部62は、周期的に、制御指
令値生成部57に指定するPFモータ15の目標位置や目標速度などの値を更新する。
印字制御部63は、印字シーケンスを実行する。印字シーケンスでは、CRモータ26
の駆動制御にしたがってキャリッジ23が移動する。また、記録ヘッド25は、電圧波形
パターン43に基づいてインクを吐出する。これにより印刷位置にある用紙には、1走査
分のインクが付着する。印字制御部63は、具体的には、印字シーケンスにしたがって、
キャリッジ23を駆動するためのCRモータ26の目標位置や目標速度などを、制御指令
値生成部57に指定し、且つ、ASIC33のメモリ41に、印刷データに基づく1走査
分の電圧波形パターン43を書き込む。印字制御部63は、周期的に、制御指令値生成部
57に指定するCRモータ26の目標位置や目標速度などの値を更新する。
紙送り制御部64は、紙送りシーケンスを実行する。紙送りシーケンスでは、PFモー
タ15の駆動制御にしたがってPFローラ12および排紙ローラ13が回転駆動する。こ
れにより印刷位置にある用紙は、所定の紙送り量(たとえば記録ヘッド25の印字幅)で
送られる。紙送り制御部64は、具体的には、紙送りシーケンスにしたがって、紙送りの
ためのPFモータ15の目標位置や目標速度などを、制御指令値生成部57に指定する。
紙送り制御部64は、周期的に、制御指令値生成部57に指定するPFモータ15の目標
位置や目標速度などの値を更新する。
排紙制御部65は、排紙シーケンスを実行する。排紙シーケンスでは、PFモータ15
の駆動制御にしたがってPFローラ12および排紙ローラ13が回転駆動する。これによ
り印刷位置にある用紙は、インクジェットプリンタ1の外へ排出される。排紙制御部65
は、具体的には、排紙シーケンスにしたがって、排紙のためのPFモータ15の目標位置
や目標速度などを、制御指令値生成部57に指定する。排紙制御部65は、周期的に、制
御指令値生成部57に指定するPFモータ15の目標位置や目標速度などの値を更新する
シーケンス選択部61は、これら給紙制御部62、印字制御部63、紙送り制御部64
、排紙制御部65などの複数の制御実行部の中から1つを選択する。シーケンス選択部6
1は、具体的には、ASIC33のメモリ41などからインクジェットプリンタ1のステ
ータス情報を読み込み、ステータス情報に応じて1つの制御部を選択する。シーケンス制
御部58は、選択した制御部へ制御の実行を指示する。
次に、以上の構成を有するインクジェットプリンタ1の動作を説明する。
図示外の外部I/Fが、それに接続されるホストコンピュータから、A4などの単票の
用紙へ印刷をする印刷データを受信すると、プリンタのシーケンス制御部58は、その印
刷データに基づく印刷制御を開始する。
なお、ホストコンピュータは、たとえば、所定の用紙に所定の画像を印刷するイメージ
を生成し、その印刷イメージをインクジェットプリンタ1のインク色毎のイメージへ変換
し、各インク色のイメージをハーフトーン処理し、複数色のハーフトーンイメージをラス
タライズ処理する。ホストコンピュータは、このラスタライズ処理後のデータを、印刷デ
ータとしてプリンタへ送信すればよい。
この他にもたとえば、ホストコンピュータは、印刷する画像のデータとともに、用紙サ
イズ、用紙種類、レイアウトなどの印刷条件を、プリンタへ送信するようにしてもよい。
この場合、プリンタでは、ASIC33あるいは外部I/FとASIC33との間に介在
する他のマイクロコンピュータ34が、受信した画像データを受信した印刷条件にて印刷
する、ラスタライズ処理後の印刷データを生成するようにすればよい。
印刷制御を開始すると、シーケンス制御部58のシーケンス選択部61は、ASIC3
3のメモリ41などからインクジェットプリンタ1のステータス情報を読み込み、インク
ジェットプリンタ1が印刷可能な状態にあることを確認し、その後、給紙制御部62を選
択する。シーケンス制御部58は、選択した給紙制御部62へ給紙制御を指示する。給紙
制御部62は、所定の給紙シーケンスにより給紙制御を実行する。
図5は、図2中の給紙制御部62が実行する給紙シーケンスの流れを示すフローチャー
トである。給紙制御部62は、実際に給紙処理を開始する前に、まず、タイマ51から現
在時刻を取得するとともに、マイクロコンピュータ34のメモリ52から最終給紙時刻デ
ータ53を読み込む(ステップST1)。給紙制御部62は、現在時刻から最終給紙時刻
データ53の時刻を減算し、経過時間を演算する(ステップST2)。給紙制御部62は
、計算した経過時間により、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される最終給
紙時刻データ53を更新する(ステップST3)。
また、給紙制御部62は、計算した経過時間が、所定のリセット時間より長いか否かを
判断する(ステップST4)。所定のリセット時間は、たとえばインクジェットプリンタ
1内のPFモータ15の温度が所定の加熱された温度から環境温度と同じ温度まで冷却さ
れる時間以上の時間である。所定のリセット時間は、たとえば3時間である。
インクジェットプリンタ1の電源を入れた直後は、普通は、所定のリセット時間より長
い時間が経過している。この場合、給紙制御部62は、計算した経過時間が、所定のリセ
ット時間より長いと判断する。給紙制御部62は、メモリリセットを実行する(ステップ
ST5)。給紙制御部62は、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される累積
蓄熱データ54、待ち時間データ55などの値を所定の初期値(たとえば「0」)にリセ
ットする。
メモリリセットにより累積蓄熱データ54、待ち時間データ55などを初期値へ更新し
た給紙制御部62は、単票印刷時間の計測を開始する(ステップST8)。具体的にはた
とえば、給紙制御部62は、タイマ51が計測する経過時間をリセットする。
単票印刷時間の計測を開始した給紙制御部62は、給紙処理を開始する(ステップST
9)。給紙制御部62は、所定の給紙シーケンスにしたがって、給紙のためのPFモータ
15の目標位置や目標速度などを、制御指令値生成部57に指定する。
制御指令値生成部57は、指定された目標位置と検出移動量45との制御偏差や、指定
された目標速度と検出速度44との制御偏差を演算し、その制御偏差を減らす制御指令値
42を演算する。制御指令値生成部57は、たとえばPID制御による制御指令値42を
演算する。制御指令値生成部57は、生成した制御指令値42を、ASIC33のメモリ
41に書き込む。
ASIC33の制御ユニット46は、メモリ41に記憶されている制御指令値42を、
モータドライバ32へ供給する。モータドライバ32は、供給された制御指令値42に応
じたパルスによりPFモータ15の駆動を開始する。PFモータ15の回転にしたがって
、駆動ギア16、PFローラ12の従動ギア18、アイドラギア20、LDローラ11の
従動ギア17などが回転する。また、LDローラ11およびPFローラ12が、給紙トレ
イ14の用紙を印刷位置へ搬送する方向へ回転する。給紙トレイ14に載置されている用
紙は、給紙トレイ14とLDローラ11により挟まれ、LDローラ11の回転にしたがっ
て給紙トレイ14から排出される。
また、PFローラ12が回転すると、制御ユニット46は、たとえばPFローラ12と
ともに回転する図示外のロータリエンコーダが生成するパルスをカウントする。制御ユニ
ット46は、パルスのカウント値に基づいて、ASIC33のメモリ41に保存されてい
る検出速度44と検出移動量45とを更新する。
PFモータ15の目標位置や目標速度などを指定した給紙制御部62は、周期的に、A
SIC33のメモリ41などから検出速度44、検出移動量45などを読み込む。給紙制
御部62は、読み込んだ検出速度44、検出移動量45に基づいて、新たなPFモータ1
5の目標位置や目標速度を指定する。
また、制御指令値生成部57は、周期的に、指定された目標位置と検出移動量45との
制御偏差や、指定された目標速度と検出速度44との制御偏差などが減るように、新たな
制御指令値42を生成する。制御指令値生成部57は、生成した新たな制御指令値42に
より、ASIC33のメモリ41に記憶されている制御指令値42を更新する。
これにより、給紙シーケンスの実行が開始された後、制御ユニット46がモータドライ
バ32へ供給する制御指令値42は、周期的に更新される。モータドライバ32は、制御
指令値42に応じてPFモータ15へ出力するパルスのパルス数やパルス密度などを増減
する。PFモータ15の回転は、制御指令値42の変化に追従して変化する。LDローラ
11およびPFローラ12の回転は、給紙制御部62が所定の給紙シーケンスに基づいて
生成する目標速度や目標移動量に追従して変化する。給紙トレイ14に載置されている用
紙は、給紙シーケンスに追従して回転するLDローラ11およびPFローラ12により、
印刷位置へ給紙される。
用紙の搬送方向先端部が印刷位置となると、制御指令値42の値が「0」となり、PF
モータ15、LDローラ11、PFローラ12などが停止する。給紙制御部62は、所定
の給紙シーケンスによる給紙制御を終了する。
給紙制御部62が給紙制御を終了したことを、たとえばASIC33のメモリ41に記
憶されるPFモータ15の検出速度44が「0」となったことに基づいて知ると、シーケ
ンス制御部58は、次に、印字制御部63を選択し、印字制御を指示する。印字制御部6
3は、所定の印字シーケンスによる印字制御を実行する。
図6は、図2中の印字制御部63が実行する印字シーケンスの流れを示すフローチャー
トである。印字制御部63は、実際に印字処理を開始する前に、タイマ51から現在時刻
を取得し(ステップST11)、取得した単票印刷の開始から所定の定期フラッシングま
での時間(たとえば1分)が経過したか否かを判断する(ステップST12)。給紙制御
の直後の1回目の印字制御では、通常、所定の時間は、経過していない。印字制御部63
は、単票印刷の開始から所定の定期フラッシング時間が経過していないと判断する。単票
印刷の開始から所定の定期フラッシング時間が経過していないと判断した印字制御部63
は、次に、放熱によるデータ更新処理を開始する(ステップST14)。
図7は、図2中の印字制御部63が実行する、放熱によるデータ更新処理の流れを示す
フローチャートである。印字制御部63は、この放熱によるデータ更新処理により、マイ
クロコンピュータ34のメモリ52に記憶される累積蓄熱データ54と、待ち時間データ
55とを更新する。
放熱によるデータ更新処理において、印字制御部63は、まず、マイクロコンピュータ
34のメモリ52から、累積蓄熱データ54を読み込む(ステップST21)。次に、印
字制御部63は、前回の演算時刻から所定の減算の演算周期(たとえば1分)が経過して
いるか否かを判断する(ステップST22)。このとき、印字制御部63は、所定の定期
フラッシング時間までの時間が経過したか否かを判断するために、タイマ51から取得し
た現在時刻を使用する。これにより、タイマ51からの現在時刻の取得処理を、定期フラ
ッシング処理と共通化し、減らすことができる。給紙制御の直後の1回目の印字制御では
、通常、所定の減算の演算周期は、経過していない。印字制御部63は、前回の演算時刻
から所定の減算の演算周期が経過していないと判断する。
前回の演算時刻から所定の減算の演算周期が経過していないと判断した印字制御部63
は、次に、累積蓄熱量が、所定の蓄熱量閾値より大きいか否かを判断する(ステップST
24)。1枚目の給紙制御の直後の1回目の印字制御では、図5の給紙シーケンスにおい
て通常、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される累積蓄熱データ54の値は
「0」にリセットされる。印字制御部63は、累積蓄熱量が、所定の蓄熱量閾値より大き
くないと判断する。印字制御部63は、待ち時間「0」を生成し(ステップST25)、
その生成した待ち時間で、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される待ち時間
データ55を更新する(ステップST27)。印字制御部63は、放熱によるデータ更新
処理を終了し、印字処理を開始する。
印字処理において、印字制御部63は、所定のキャリッジ駆動シーケンスにしたがって
、印字のためのキャリッジ23の目標位置や目標速度などを、制御指令値生成部57に指
定する。印字制御部63は、制御指令値生成部57に指定する目標位置や目標速度を周期
的に更新する。また、印字制御部63は、印刷データに基づく1走査分の電圧波形パター
ン43を、ASIC33のメモリ41に書き込む。
制御指令値生成部57は、周期的に、指定された目標位置と検出移動量45との制御偏
差や、指定された目標速度と検出速度44との制御偏差を演算する。制御指令値生成部5
7は、演算した制御偏差に基づいて、その制御偏差を減らす制御指令値42を演算し、A
SIC33のメモリ41に記憶される制御指令値42を更新する。ASIC33の制御ユ
ニット46は、制御指令値生成部57により周期的に更新される制御指令値42を、モー
タドライバ32へ供給する。モータドライバ32は、供給される制御指令値42に応じた
Duty比のパルス電圧をCRモータ26へ印加する。CRモータ26は、Duty比に
応じた速度で回転する。CRモータ26の回転駆動力は、駆動ベルトなどの駆動伝達機構
27を介してキャリッジ23へ伝達される。キャリッジ23は、キャリッジ軸方向へ移動
する。キャリッジ23は、所定のキャリッジ駆動シーケンスにしたがって、たとえばプラ
テン21上を所定の一定速度で通過した後、速度「0」まで減速する。
また、制御ユニット46は、たとえばキャリッジ23が所定の一定速度でプラテン21
上を移動し始める所定のタイミングから、ASIC33のメモリ41に書き込まれた電圧
波形パターン43を、記録ヘッド制御回路31へ供給する。記録ヘッド制御回路31は、
電圧波形パターン43にしたがった電圧波形の電圧を、記録ヘッド25の複数のピエゾ素
子へ印加する。記録ヘッド25の複数のインク吐出ノズルは、電圧波形パターン43にし
たがってインクを吐出する。記録ヘッド25から吐出されたインクは、給紙された用紙の
プラテン21上に位置する先端部分に付着する。キャリッジ23は、このインク吐出制御
中に、一定速度でプラテン21上を移動する。したがって、プラテン21上にある、給紙
された用紙の先端部分には、印刷データに基づいた分布でインクが付着する。
印字制御部63は、たとえばキャリッジ23がプラテン21の一端から他端まで移動し
、他端側で停止すると、所定の印字シーケンスによる印字制御を終了する。
印字制御部63が印字制御を終了したことを、たとえばASIC33のメモリ41に記
憶されるキャリッジ23の検出速度44が「0」となったことに基づいて知ると、シーケ
ンス制御部58は、次に、紙送り制御部64を選択し、紙送り制御を指示する。紙送り制
御部64は、所定の紙送りシーケンスによる紙送り制御を実行する。
図8は、図2中の紙送り制御部64が実行する紙送りシーケンスの流れを示すフローチ
ャートである。紙送り制御部64は、紙送り処理を開始する(ステップST31)。紙送
り制御部64は、所定の紙送りシーケンスにしたがって、紙送りのためのPFモータ15
の目標位置や目標速度などを、制御指令値生成部57に指定する。紙送り制御部64は、
制御指令値生成部57に指定する目標位置や目標速度を周期的に更新する。
制御指令値生成部57は、周期的に、指定された目標位置などと検出移動量45などと
の制御偏差を演算し、さらに演算した制御偏差に基づいて制御指令値42を演算し、AS
IC33のメモリ41に記憶される制御指令値42を更新する。ASIC33の制御ユニ
ット46は、この制御指令値42をモータドライバ32へ供給する。モータドライバ32
は、供給される制御指令値42に応じたパルス数あるいはパルス密度のパルスを、PFモ
ータ15へ供給する。PFモータ15、PFローラ12、排紙ローラ13などは、制御指
令値42の変化に追従して回転する。印刷位置に給紙されている用紙は、所定の紙送りシ
ーケンスにしたがって、所定量だけ、用紙の搬送方向下流側へ搬送される。紙送り制御部
64は、所定の紙送りシーケンスを終えると、紙送り制御を終了する。
紙送り制御部64が紙送り制御を終了したことを、たとえばASIC33のメモリ41
に記憶されるPFモータ15の検出速度44が「0」となったことに基づいて知ると、シ
ーケンス制御部58は、次に、印字制御部63を選択し、印字制御を指示する。印字制御
部63は、所定の印字シーケンスによる印字制御を実行する。
シーケンス制御部58は、以上のように、給紙制御部62に給紙制御を1回指示した後
、印字制御部63への印字制御指示と、紙送り制御部64への紙送り制御指示とを、交互
に繰り返し指示する。シーケンス制御部58は、たとえば印字制御部63が印刷データの
最後のデータに基づく電圧波形パターン43をASIC33のメモリ41に書き込むまで
、印字制御部63および紙送り制御部64へ交互に実行を指示する。
シーケンス制御部58により繰り返し実行が指示されている期間において、単票印刷処
理を開始してから所定の定期フラッシング時間が経過すると、シーケンス制御部58によ
り繰り返し実行が指示される印字制御部63は、図6の印字シーケンスにおいて、単票印
刷の開始から所定の定期フラッシング時間が経過したと判断する(ステップST12)す
ると、フラッシング処理を実行する(ステップST13)。
フラッシング処理において、印字制御部63は、まず、キャリッジ23をプラテン21
に開設されたフラッシング穴22に対向する位置へ移動する目標移動量などを、制御指令
値生成部57に指定する。制御指令値生成部57は、キャリッジ23を駆動する制御指令
値42を生成し、ASIC33のメモリ41に書き込む。PFモータ15は、モータドラ
イバ32の制御にしたがって回転し、キャリッジ23は、フラッシング穴22に対向する
位置へ移動する。
次に、印字制御部63は、記録ヘッド25のすべてのインク吐出ノズルから所定量のイ
ンクを吐出させる電圧波形パターン43を、ASIC33のメモリ41に書き込む。制御
ユニット46は、この電圧波形パターン43を記録ヘッド制御回路31へ供給し、記録ヘ
ッド制御回路31は、電圧波形パターン43にしたがった電圧波形の電圧を、記録ヘッド
25の複数のピエゾ素子へ印加する。記録ヘッド25の複数のインク吐出ノズルは、フラ
ッシング穴22へ向かって、ノズル内のインクを吐出する。これにより、複数のインク吐
出ノズル内には、新しいインクが充填される。
また、シーケンス制御部58により繰り返し実行が指示されている期間において、前回
の演算時刻から所定の減算の演算周期が経過すると、シーケンス制御部58により繰り返
し実行が指示される印字制御部63は、図7の放熱更新サブルーチン(待ち時間算出シー
ケンス)において、前回の演算時刻から所定の減算の演算周期が経過したと判断する(ス
テップST22)。
そして、印字制御部63は、下記式1に基づいて、放熱演算を実行する。下記式1にお
いて、読み込み累積蓄熱量は、マイクロコンピュータ34のメモリ52から読み込んだ累
積蓄熱データ54の累積蓄熱量である。放熱係数は、1より小さいたとえば0.93など
の所定の値である。この式1の演算をすることで、印字制御部63が保持する累積蓄熱量
は、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される累積蓄熱データ54の累積蓄熱
量より小さい値となる。
累積蓄熱量 = 読み込み累積蓄熱量×放熱係数 ・・・式1
累積蓄熱量の減算演算をした印字制御部63は、演算した累積蓄熱量で、マイクロコン
ピュータ34のメモリ52に記憶される累積蓄熱データ54を更新する。
なお、1枚目の給紙制御では、図5の給紙シーケンスにおいて通常、マイクロコンピュ
ータ34のメモリ52に記憶される累積蓄熱データ54の値は「0」にリセットされる。
この場合、上記式1に基づいて演算される累積蓄熱量は、「0」であり、マイクロコンピ
ュータ34のメモリ52に記憶される累積蓄熱データ54は「0」から「0」へ更新され
つづけることになる。
このようにシーケンス制御部58により繰り返し実行が指示される印字制御部63は、
その繰り返し実行が指示される期間において、所定の定期フラッシング時間が経過する度
に定期フラッシング処理を実行する(図6のステップST13)。また、印字制御部63
は、所定の減算の演算周期が経過する度に累積蓄熱量の減算演算、すなわち放熱により減
少する累積蓄熱量を新たに求める処理を実行する(図7のステップST23)。なお、印
字制御部63は、この定期フラッシング処理や放熱によるデータ更新処理を、印字制御(
図6のステップST15)を実行した後に実行するようにしてもよい。
印字制御部63による印刷データの最後のデータに基づく電圧波形パターン43による
印字制御が完了すると、シーケンス制御部58は、次に、排紙制御部65を選択し、排紙
制御を指示する。排紙制御部65は、所定の排紙シーケンスによる排紙制御を実行する。
図9は、図2中の排紙制御部65が実行する排紙シーケンスの流れを示すフローチャー
トである。排紙制御部65は、排紙制御を開始する前に単票印刷による発熱量を演算し、
それに応じた排紙制御を実行する。
具体的には、排紙制御部65は、まず、単票印刷時間の計測を終了する(ステップST
41)。排紙制御部65は、タイマ51が計測する経過時間を読み込む。
次に、排紙制御部65は、発熱による累積蓄熱データ54の更新処理を開始する(ステ
ップST42)。具体的には、排紙制御部65は、まず、計測した単票印刷時間を用いて
、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される単票発熱量テーブル56を参照す
る。単票発熱量テーブル56は、図3に示すように、単票印刷時間の時間帯毎に、PFモ
ータ15の1枚印刷当たりの上昇温度を記憶する。たとえば今回の印刷データに基づく印
刷がA4普通紙印刷(ノーマル)モードである場合、計測した単票印刷時間は、約24.
1秒となる。排紙制御部65は、単票発熱量テーブル56の25秒以下の時間帯に対応す
るPFモータ15の1枚印刷当たりの上昇温度「1.26」を読み込む。
単票発熱量テーブル56から計測した単票印刷時間に対応する上昇温度を読み込んだ排
紙制御部65は、下記式2に基づいて、累積蓄熱量を演算する。
累積蓄熱量 = 読み込み累積蓄熱量+単票発熱量テーブル56から読み込んだ1枚印
刷当たりの上昇温度 ・・・式2
累積蓄熱量の加算演算をした排紙制御部65は、演算した累積蓄熱量で、マイクロコン
ピュータ34のメモリ52に記憶される累積蓄熱データ54を更新する。排紙制御部65
は、発熱による累積蓄熱データ54の更新処理を終了する。
発熱によるデータ更新処理を実行した排紙制御部65は、次の単票用紙への印刷のため
に、単票印刷時間の計測を開始する(ステップST43)。排紙制御部65は、たとえば
タイマ51が計測する経過時間をリセットする。
累積蓄熱量の加算演算をし、さらに単票印刷時間の新たな計測を開始した排紙制御部6
5は、放熱によるデータ更新処理を実行する(ステップST44)。排紙制御部65は、
印字制御部63が実行する図7に示す放熱更新サブルーチンと同じ処理を実行する。すな
わち、排紙制御部65は、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される累積蓄熱
データ54を読み込み(ステップST21)、前回の演算時刻から所定の減算の演算周期
が経過している場合には上記式1による放熱演算をする(ステップST22、ST23)
また、排紙制御部65は、演算した累積蓄熱量あるいは読み込んだ累積蓄熱量と所定の
蓄熱量閾値とを比較する(ステップST24)。排紙制御部65がこの比較をするとき、
直前の発熱によるデータ更新処理により、排紙制御部65が保持する累積蓄熱量は「0」
より大きい値となっている。
排紙制御部65が保持する累積蓄熱量が所定の蓄熱量閾値より大きい場合、排紙制御部
65は、たとえば下記式3に基づいて、待ち時間を演算する(ステップST26)。なお
、給紙制御部62も、累積蓄熱量が所定の蓄熱量閾値より大きい場合には、下記式3によ
り待ち時間を演算すればよい。ここで定数は、整数値であり、待ち時間は、秒で求められ
る。なお、排紙制御部65および排紙制御部65は、下記式3以外の演算式により、待ち
時間を演算するようにしてもよい。
待ち時間 = 定数×(累積蓄熱量−蓄熱量閾値) ・・・式3
待ち時間を演算した排紙制御部65は、演算した待ち時間で、マイクロコンピュータ3
4のメモリ52に記憶される待ち時間データ55を更新する(ステップST27)。
排紙制御部65が保持する累積蓄熱量が所定の蓄熱量閾値より大きくない場合には、排
紙制御部65は、待ち時間「0」を生成する(ステップST25)。ステップST25,
ST26で得られた待ち時間で、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される待
ち時間データ55を更新し(ステップST27)、放熱によるデータ更新処理を終了する
このように放熱によるデータ更新処理(図9のステップST44)を実行した排紙制御
部65は、次の印刷データの有無に基づいて、次頁の印刷の有無を判断する(ステップS
T45)。また、次の印刷データが有る場合、排紙制御部65は、さらに待ち時間が「0
」であるか否かを判断する(ステップST46)。
たとえば単票印刷が短時間で終了し、単票発熱量テーブル56より読み込んだ今回の印
刷による発熱量を、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される累積蓄熱データ
54の蓄熱量に加算したとしても、その値が蓄熱量閾値を超えない場合、待ち時間は「0
」となる。この状態で次の印刷データがある時、排紙制御部65は、次の印刷データがあ
り、且つ、待ち時間が「0」であると判断する。すると、待ち時間「0」で排紙制御部6
5は、給排紙処理を実行する(ステップST48)。給排紙処理では、印刷データに印刷
がなされた印刷位置にある用紙を排紙するとともに、次の用紙を給紙トレイ14から印刷
位置へ供給する。
給排紙処理において、排紙制御部65は、給排紙のためのPFモータ15の目標位置や
目標速度などを、制御指令値生成部57に指定する。排紙制御部65は、制御指令値生成
部57に指定する目標位置や目標速度を周期的に更新する。制御指令値生成部57は、周
期的に、ASIC33のメモリ41に記憶される制御指令値42を更新し、モータドライ
バ32は、この制御指令値42に応じたパルス数あるいはパルス密度のパルスを、PFモ
ータ15へ供給する。PFモータ15、LDローラ11、PFローラ12、排紙ローラ1
3などは、制御指令値42の変化に追従して回転する。これにより、印刷位置に給紙され
ている用紙は、PFローラ12および排紙ローラ13により、インクジェットプリンタ1
の外へ排出される。また、給紙トレイ14上の用紙は、LDローラ11およびPFローラ
12により、印刷位置へ給紙される。用紙は、印刷位置へ連続的に給紙される。排紙制御
部65は、排紙シーケンスによる排紙制御を終了する。
そして、排紙制御部65が給排紙制御を終了したことを、たとえばASIC33のメモ
リ41に記憶されるPFモータ15の検出速度44が「0」となったことに基づいて知る
と、シーケンス制御部58は、次の印刷データに基づく印刷制御を開始する。シーケンス
制御部58は、印字制御部63および紙送り制御部64へ交互に実行を指示する。また、
たとえば印字制御部63が印刷データの最後のデータに基づく電圧波形パターン43をA
SIC33のメモリ41に書き込むと、排紙制御部65へ実行を指示する。
これに対して、たとえば単票印刷に時間がかかったり、連続して多数の単票印刷を実行
したりすると、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される累積蓄熱データ54
の蓄熱量に、単票発熱量テーブル56より読み込んだ今回の印刷による発熱量を加算した
値は、蓄熱量閾値を超える。この場合、待ち時間は、上記式3により演算されており、「
0」とはならない。排紙制御部65は、次の印刷データがある場合でも、待ち時間が「0
」ではないと判断し、次の印刷データが無い場合と同じように、単なる排紙処理を実行す
る(ステップST47)。排紙処理では、印刷データに印刷がなされた印刷位置にある用
紙を排紙する。
排紙処理において、排紙制御部65は、排紙のためのPFモータ15の目標位置や目標
速度などを、制御指令値生成部57に指定する。排紙制御部65は、制御指令値生成部5
7に指定する目標位置や目標速度を周期的に更新する。制御指令値生成部57は、周期的
に、ASIC33のメモリ41に記憶される制御指令値42を更新し、モータドライバ3
2は、この制御指令値42に応じたパルス数あるいはパルス密度のパルスを、PFモータ
15へ供給する。PFモータ15、PFローラ12、排紙ローラ13などは、制御指令値
42の変化に追従して回転する。これにより、印刷位置に給紙されている用紙は、PFロ
ーラ12および排紙ローラ13により、インクジェットプリンタ1の外へ排出される。紙
送り制御部64は、排紙制御を終了する。
排紙制御部65が排紙シーケンスによる排紙制御を終了したことを、たとえばASIC
33のメモリ41に記憶されるPFモータ15の検出速度44が「0」となったことに基
づいて知ると、シーケンス制御部58は、次の印刷データの有無を確認し、次の印刷デー
タがある場合には、印刷制御を開始する。シーケンス制御部58は、まず、給紙制御部6
2へ実行を指示する。
この2回目以降の給紙制御を実行するときは、一旦、給紙が終了した後の再給紙となる
ため、給紙制御部62は、図5の給紙シーケンスにおいて、最終給紙時刻から現在時刻ま
での経過時間がリセット時間より小さいと判断する(ステップST4)。給紙制御部62
は、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される待ち時間データ55を取得し、
その値が「0」であるか否かを判断する(ステップST6)。
なお、たとえば、排紙制御部65が図9の排紙シーケンスにおいて次頁無しと判断した
後に、時間を空けずに新たな印刷データがインクジェットプリンタ1へ供給された場合、
待ち時間データ55の値が「0」である可能性がある。このような場合には、ステップS
T6でYesと判断され、連続する2回目以降の給紙制御を実行する給紙制御部62は、
1回目の給紙制御と同様に直ちに、単票印刷時間の計測を開始し(ステップST8)、給
紙処理を開始する(ステップST9)。
これに対して、マイクロコンピュータ34のメモリ52に記憶される待ち時間データ5
5が「0」より大きい有意の待ち時間であるとき、連続する2回目以降の給紙制御を実行
する給紙制御部62は、読み込んだ待ち時間を待つ(ステップST7)。給紙制御部62
は、タイマ51の時刻を参照し、最終給紙時刻データ53の時刻に待ち時間データ55の
時間を加えた時間が経過するのを待つ。この所定の待ち時間が経過すると、給紙制御部6
2は、単票印刷時間の計測を開始し(ステップST8)、給紙処理を開始する(ステップ
ST9)。
給紙制御部62による給紙制御が終了したことを、たとえばASIC33のメモリ41
に記憶されるPFモータ15の検出速度44が「0」となったことに基づいて知ると、シ
ーケンス制御部58は、印字制御部63および紙送り制御部64へ交互に実行を指示する
。また、たとえば印字制御部63が印刷データの最後のデータに基づく電圧波形パターン
43をASIC33のメモリ41に書き込むと、排紙制御部65へ実行を指示する。
なお、以上の説明は、給紙トレイ14上の用紙を印刷位置へ給紙し、さらに印刷後に排
紙する場合の印刷動作を前提とする場合の、PFモータ15の待ち時間の演算処理につい
て説明している。この他にもたとえば、インクジェットプリンタ1は、PFモータ15を
駆動してCD−Rトレイ上のディスクを印刷位置へ搬送し、さらに印刷後に排出したり、
PFモータ15を駆動して、クリーニング動作をしたりする。このようなときにも、イン
クジェットプリンタ1は、その駆動時間をタイマ51で計測し、その計測された時間によ
り単票発熱量テーブル56を参照してPFモータ15の発熱量を得て、待ち時間を演算す
る。
以上のように、この実施の形態では、用紙毎の給紙から排紙までの単票印刷時間に基づ
いてPFモータ15の累積蓄熱量を得て、PFモータ15の待ち時間を決定し、その待ち
時間の後に、PFモータ15による新たな用紙を給紙する。また、印刷する用紙を搬送す
るPFモータ15の駆動電流は、印刷モードに応じて制御される。PFモータ15の駆動
電流が印刷モードに応じて変化することに拘らず、それぞれの印刷モードによる印刷時の
PFモータ15の発熱量として、PFモータ15の実際の発熱量との誤差が少ない値を得
て、それに応じた適切な待ち時間でPFモータ15を冷却することができる。PFモータ
15の温度を抑えながら、PFモータ15を駆動することができる。PFモータ15が、
プラスチック製のハウジングに取り付けられた小型のステッピングモータであるとしても
、ハウジングが熱で変形してしまうことはない。
しかも、用紙毎の給紙から排紙までの単票印刷時間に基づいてPFモータ15の累積蓄
熱量を得るので、仮にたとえばPFモータ15へ供給する駆動パルス数をカウントし、そ
のカウント値に基づいて累積蓄熱量を得たり、PFモータ15の待ちを制御したりする構
成に比べて、PFモータ15の制御中に駆動パルス数のカウントなどの余分な処理をする
必要がない。また、コストアップを招いてしまう、PFモータ15の温度センサを設けた
りすることなく、PFモータ15を、その発熱に応じて冷却することができる。
また、この実施の形態では、単票印刷時間により単票発熱量テーブル56を参照するこ
とで、PFモータ15の1枚印刷当たりの上昇温度、すなわちPFモータ15の発熱量を
取得している。単票発熱量テーブル56は、図3に示すように、単票印刷時間の時間帯毎
に独立する複数の上昇温度を有する。しかも、この複数の上昇温度は、図4に示すように
、印刷モード毎の単票印刷時間と、その間のPFモータ15の1枚印刷あたりの上昇温度
との関係に基づくものである。したがって、PFモータ15の発熱量は、単票印刷時間か
ら、簡単な演算式により正確に演算することができるものではないにも拘らず、簡単な参
照処理により、その印刷においてPFモータ15が実際に発熱した発熱量による上昇温度
に近い正確な値を得ることができる。
これに対して、仮にたとえば、PFモータ15へ供給する駆動パルス数をカウントして
、その駆動パルス数とPFモータ15の最大駆動電流との関係からPFモータ15の発熱
量を演算する場合には、そのような最大駆動電流により駆動しない印刷モードにおいては
、PFモータ15が実際に発熱した発熱量による上昇温度とはかけ離れた温度となってし
まう。演算される温度(発熱量)の誤差は大きい。
したがって、この実施の形態では、PFモータ15へ供給する駆動パルス数に基づいて
上昇温度(発熱量)を計算する場合に比べて、実際と誤差が少ない上昇温度(発熱量)を
得ることができる。その結果、この上昇温度(発熱量)から計算されるPFモータ15の
温度(累積蓄熱量)も、実際のPFモータ15の温度(累積蓄熱量)に近いものとなり、
ひいては待ち時間を必要最小限に抑えることができる。そのため、複数の用紙への印刷が
連続的な給紙によりなされる場合において複数回に渡る待ち時間が発生したとしても、そ
の待ち時間の累積時間を最小限に抑え、その累積的な待ち時間による印刷スループットの
低下を最小限に抑えることができる。
また、この実施の形態では、PFモータ15の温度(累積蓄熱量)と待ち時間とは、図
6の印字シーケンスにおいて、周期的に減算される。PFモータ15の温度(累積蓄熱量
)は、PFモータ15の実際の温度(累積蓄熱量)が放熱により経時的に低下してゆくの
に合わせて、小さくなる。しかも、上述したように、単票発熱量テーブル56を参照する
ことで得られる上昇温度(発熱量)は、PFモータ15の1枚印刷当たりの上昇温度(発
熱量)との関係に基づくものである。
このように単票発熱量テーブル56を用いながら、累積蓄熱量の発熱による更新処理と
、放熱による更新処理とを分離して別々に処理することで、演算されるPFモータ15の
温度(累積蓄熱量)は、発熱時および放熱時を含む全期間にわたって、PFモータ15の
実際の温度(累積蓄熱量)に極めて近い値に維持される。その結果、待ち時間は、そのP
Fモータ15の実際の温度(累積蓄熱量)の低下に合わせて必要最小限に短くなる。待ち
時間による印刷スループットの低下は、最小限に抑えられる。
また、この実施の形態では、累積蓄熱量が所定の蓄熱量閾値を超えたら、待ち時間が0
より大きくなる有意な待ち時間を演算する。PFモータ15の累積蓄熱量が、所定の蓄熱
量閾値以下であるうちは、待ち時間は「0」に維持される。したがって、たとえば発熱量
が小さい印刷モードにより数枚の用紙への印刷を連続的に実施するときには、待ち時間に
よる印刷スループットの低下が生じない。数枚の用紙への印刷を、その間に冷却時間を持
たせることなく連続的に実施することができる。
また、この実施の形態では、PFモータ15の累積蓄熱量、待ち時間などは、電源オフ
時にデータを消失しないEEPROMに記憶されている。したがって、たとえばインクジ
ェットプリンタ1の電源が印刷直後にオフとされ、さらにその直後にオンとされたとして
も、適切な待ち時間でPFモータ15を冷却し、PFモータ15の温度を抑えることがで
きる。
また、この実施の形態では、給紙制御部62が、単票印刷時間の計測を開始し、排紙制
御部65が、計測した単票印刷時間を取得し、その取得した単票印刷時間に基づいてPF
モータ15の上昇温度(発熱量)、累積蓄熱量および待ち時間を演算する。したがって、
この待ち時間を得るための一連の処理、すなわち単票印刷時間の計測処理、単票印刷時間
からPFモータ15の発熱量を得る処理、および、発熱量から累積蓄熱量を計算した上で
待ち時間を決定する処理は、給紙制御部62による供給処理および排紙制御部65による
排出処理の一部として実行することができる。また、印字制御部63は、周期的に、前記
発熱量から計算される前記PFモータ15の累積蓄熱量を減算する。
その結果、インクジェットプリンタ1は、用紙の給紙から排紙までの処理期間において
、給紙制御部62や排紙制御部65などの印刷処理手段以外の手段、たとえば待ち時間演
算部などを並列的に実行する必要がない。インクジェットプリンタ1の印刷処理の全体的
な流れを損なうことなく、待ち時間を決定することができる。また、印刷処理期間中に、
単票印刷時間の計測から待ち時間の決定までの一連の処理が完了するので、印刷をしてい
ないときに待ち時間を決定したりする必要もない。
また、印字制御部63は、周期的に定期フラッシング処理を実行する。この定期フラッ
シング周期となったか否かを判断するためにタイマ51から取得する時刻を利用して、減
算周期であるか否かを判断することができる。1回の時刻取得処理により、定期フラッシ
ング周期と、減算周期とを判断することができる。また、紙送り制御部64などが、タイ
マ51から時刻を取得したりする必要がない。
また、この実施の形態では、排紙制御部65は、有意な待ち時間を決定した場合には、
連続して次の印刷をする状況であっても排紙のみを実行し、それ以外の場合には、排紙と
共に新たな用紙の給紙を実行する。したがって、複数の用紙への印刷を連続して処理する
途中において待ち時間による冷却が必要となれば、印刷位置にある用紙の排紙と次の用紙
の給紙とを別々に実施し、その間に所定の待ち時間で待つことができる。逆に、待ち時間
による冷却が必要でない場合には、一般的なインクジェットプリンタ1と同様に、印刷位
置にある用紙を排紙しつつ次の用紙を給紙し、複数の用紙を連続的に印刷位置へ供給する
ことができる。
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定
されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能であ
る。
上記実施の形態では、印字制御部63が単票印刷時間の計測を開始し、排紙制御部65
が、計測された単票印刷時間に基づいて待ち時間を演算している。この他にもたとえば、
印字制御部63や排紙制御部65とは別に待ち時間演算部を設け、この待ち時間演算部に
より、単票印刷時間の計測から待ち時間の演算までを処理するようにしてもよい。また、
待ち時間として、排紙終了から次の給紙開始までの時間を計測するようにしてもよい。
上記実施の形態では、インクジェットプリンタ1において用紙を搬送するPFモータ1
5の待ち時間を演算している。この他にもたとえば、インクジェットプリンタ1は、CR
モータ26、インク加圧モータ、インク吸引ポンプモータなどの各種の駆動モータを有す
る。また、インクジェットプリンタ1以外の装置、たとえばスキャナーなどにおいても、
キャリッジや用紙を搬送するための駆動モータを有する。これらの駆動モータの待ち時間
を、それらの駆動時間に基づいて演算するようにしてもよい。
上記実施の形態では、単票印刷時間を用いて単票発熱量テーブル56を参照することで
、PFモータ15の発熱量を得ている。この他にもたとえば、所定の演算式に単票印刷時
間を代入することで、PFモータ15の発熱量を得るようにしてもよい。
上記実施の形態では、単票印刷時間に基づいて待ち時間が演算されるPFモータ15は
、小型のステッピングモータである。ステッピングモータは、その駆動電流を印刷モード
に応じて容易に制御することができる。この他にもたとえば、単票印刷時間に基づいて待
ち時間が演算されるPFモータ15として、電流制御回路を伴うDCモータや小型のAC
モータなどを用いるようにしてもよい。ただし、DCモータに電流制御回路を付加した場
合、小型のステッピングモータを用いる場合のようなコストダウンの効果を得ることは難
しくなる。
本発明は、キャリッジを用いてインクを吐出するインクジェットプリンタにおいて好適
に利用することができる。
実施の形態に係るインクジェットプリンタのベース部分の平面図である。 図1のインクジェットプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。 図2中の単票発熱量テーブルのデータ構造を示す説明図である。 PFモータ(ステッピングモータ)の発熱特性を示す図である。 図2中の給紙制御部の給紙制御の流れを示すフローチャートである。 図2中の印字制御部の印字制御の流れを示すフローチャートである。 図2中の印字制御部の放熱更新処理の流れを示すフローチャートである。 図2中の紙送り制御部の紙送り制御の流れを示すフローチャートである。 図2中の排紙制御部の排紙制御の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 インクジェットプリンタ(モータ駆動装置)、2 ベースハウジング(ハウジング
)、15 PFモータ(駆動モータ、搬送モータ)、51 タイマ(計時手段)、52
メモリ(記憶手段、不消失記憶手段)、56 単票発熱量テーブル、62 給紙制御部(
駆動制御手段、供給制御手段)、63 印字制御部(減算手段、印字制御手段)、65
排紙制御部(発熱量取得手段、待ち時間決定手段、排出制御手段)

Claims (11)

  1. 複数の動作モード毎に異なる電流制御で駆動される駆動モータと、
    所定の駆動がなされる期間の上記駆動モータの駆動時間に基づいて、上記駆動モータの
    発熱量を得る発熱量取得手段と、
    上記取得された発熱量から計算される上記駆動モータの累積蓄熱量に基づいて、上記駆
    動モータの駆動を遅延させる待ち時間を決定する待ち時間決定手段と、
    上記待ち時間の後に、上記駆動モータによる新たな駆動を開始する駆動制御手段と、
    を有することを特徴とするモータ駆動装置。
  2. 印刷する印刷対象物を搬送するために印刷モードに応じた制御電流で駆動される搬送モ
    ータと、
    上記印刷対象物を印刷位置へ供給してから排出するまでの印刷時間に基づいて、上記搬
    送モータの発熱量を得る発熱量取得手段と、
    上記取得された発熱量から計算される上記搬送モータの累積蓄熱量に基づいて、上記搬
    送モータの駆動を遅延させる待ち時間を決定する待ち時間決定手段と、
    上記待ち時間の後に、上記搬送モータにより新たな上記印刷対象物を印刷位置へ供給す
    る供給制御手段と、
    を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
  3. 前記搬送モータは、プラスチック製のハウジングに取り付けられたステッピングモータ
    であることを特徴とする請求項2記載のインクジェットプリンタ。
  4. 印刷モード毎の印刷時間と、その間の前記搬送モータの1枚印刷当たりの発熱量との関
    係に基づく複数の発熱量を、前記印刷時間の時間帯毎に有する単票発熱量テーブルを記憶
    する記憶手段を有し、
    前記発熱量取得手段は、前記印刷時間により上記単票発熱量テーブルを参照し、前記搬
    送モータの発熱量を得ることを特徴とする請求項2または3記載のインクジェットプリン
    タ。
  5. 周期的に、前記発熱量から計算される前記搬送モータの累積蓄熱量を減算する減算手段
    を有し、
    前記待ち時間決定手段は、前記搬送モータの累積蓄熱量が更新されたら、前記搬送モー
    タの駆動を遅延させる待ち時間を決定すること、
    を特徴とする請求項4項記載のインクジェットプリンタ。
  6. 前記待ち時間決定手段は、前記搬送モータの累積蓄熱量が、所定の蓄熱量閾値を超えた
    ら、待ち時間が0より大きくなる有意な待ち時間を決定することを特徴とする請求項2か
    ら5の中のいずれか1項記載のインクジェットプリンタ。
  7. 前記搬送モータの累積蓄熱量および前記待ち時間は、電源オフ時にデータを消失しない
    不消失記憶手段に記憶され、
    前記供給制御手段は、上記不消失記憶手段に有意な待ち時間が記憶されている場合には
    、その待ち時間の後に、前記搬送モータにより新たな印刷対象物を印刷位置へ搬送させる
    こと、
    を特徴とする請求項2から6の中のいずれか1項記載のインクジェットプリンタ。
  8. 印刷する印刷対象物を搬送するために、印刷モードに応じた制御電流で駆動される搬送
    モータと、
    上記印刷対象物を印刷位置へ供給してから排出するまでの印刷時間を計測する計時手段
    と、
    上記印刷対象物を印刷位置へ搬送するとともに、上記計時手段に印刷時間の計測開始を
    指示する供給制御手段と、
    印刷位置から上記印刷対象物を搬送するとともに、上記計時手段から計測された印刷時
    間を取得し、その取得した印刷時間に基づいて、上記搬送モータの発熱量を得る発熱量取
    得手段、および、上記取得された発熱量から計算される上記搬送モータの累積蓄熱量に基
    づいて、上記搬送モータの駆動を遅延させる待ち時間を決定する待ち時間決定手段を有す
    る排出制御手段と、を有し、
    上記供給制御手段は、上記待ち時間決定手段により有意な待ち時間が決定されたら、そ
    の待ち時間が経過した後に、次の上記印刷対象物を印刷位置へ搬送することを特徴とする
    インクジェットプリンタ。
  9. 印刷位置へ供給された前記印刷対象物へのインク吐出を制御するとともに、周期的に、
    前記発熱量から計算される前記搬送モータの累積蓄熱量を減算する減算手段を有する印字
    制御手段を備えることを特徴とする請求項8記載のインクジェットプリンタ。
  10. 前記排出制御手段は、前記待ち時間決定手段により有意な待ち時間が決定される場合に
    は、連続して次の印刷をする状況であっても印刷位置の前記印刷対象物を排出し、それ以
    外の場合には、印刷位置の前記印刷対象物を排出するとともに新たな前記印刷対象物を印
    刷位置へ供給すること、
    を特徴とする請求項8または9記載のインクジェットプリンタ。
  11. 印刷モードに応じて駆動電流が制御される搬送モータを用いて、印刷する印刷対象物を
    搬送するインクジェットプリンタの給紙制御方法であって、
    上記印刷対象物の印刷位置への供給から排出までの印刷時間を計測するステップと、
    上記計測された印刷時間に基づいて、上記搬送モータの発熱量を得るステップと、
    上記取得された発熱量から、上記搬送モータの累積蓄熱量を計算するステップと、
    上記計算された累積蓄熱量に基づいて、上記搬送モータの駆動を遅延させる待ち時間を
    決定するステップと、
    上記決定された待ち時間の後に、上記搬送モータにより新たな上記印刷対象物を印刷位
    置へ供給するステップと、
    を有することを特徴とするインクジェットプリンタの給紙制御方法。
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