JP2007282013A - 画像処理装置、画像処理方法およびプログラム - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】多重転写性を向上し、トナー消費量を低減するための2値化処理技術を提供すること。
【解決手段】本発明は、ブランクプロファイルを記憶する記憶手段と、しきい値マトリクスを記憶する記憶手段と、入力画像にブランクプロファイルを加算し、ブランク加算多値画像データを生成するブランクプロファイル加算手段と、しきい値マトリクスを用いてブランク加算多値画像データを2値化し、ブランク加算2値画像データを生成するブランク加算2値化手段と、しきい値マトリクスを用いてブランクプロファイルを2値化し、ブランク2値画像データを生成するブランクプロファイル2値化手段と、ブランク加算2値画像データからブランク2値画像データを減算し、出力画像データを生成する出力画像生成手段と、出力画像データを出力する画像出力手段とを有する画像処理装置を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像処理技術に関する。より詳細には、本発明は、多重転写性を向上し、トナー消費量を低減するための2値化処理技術に関する。
多値画像を2値画像に変換する、いわゆる2値化処理の技術のひとつとして、網点処理あるいは網点法と呼ばれる技術が知られている。網点処理において、入力画像の画素は、ある大きさを持つドットマトリクスに対応する。網点処理は、ドットマトリクスにおいて中心部分から順に優先的にドットを形成する技術である。このようにドットマトリクスの中心部分に形成されるドット群を「網点ドット」あるいは「クラスタード・ドット」という。網点処理においては、網点ドットの径を変化させることにより階調表現が行われる。
電子写真技術は、トナーを用紙(印刷媒体)に転写することにより、用紙上に画像を形成するものである。網点ドットの径が大きくなると、網点ドットの中心部分に形成されるトナーの厚みは増大する。トナーの転写は、用紙の幾何学的形状の影響を受ける。ここで、電子写真技術においてカラー表現をする場合、複数色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック(CMYK)の4色)のトナーを多重転写する必要がある。すなわち、ある色のトナーの転写は、それ以前に転写されたトナーの幾何学的形状の影響を受ける。例えば、ある色のトナーにより表面の起伏が激しい状態になった用紙上に、さらに別の色のトナーを転写すると、表面の起伏によりこの別の色のトナー像は乱れてしまう。すなわち、トナーの多重転写により画質が低下してしまうという問題があった。
また、網点ドットの中心部分に形成されるトナーの厚みが増大するということは、消費されるトナー量が増大することを意味する。ここで、低コスト化の観点からは、消費されるトナー量を低減することが要求される。形成される画像において消費されるインク量を低減する技術としては、例えば特許文献1〜3に記載の技術がある。特許文献1は、ストキャスティックスクリーン(確率的印刷)に関するものである。特許文献1は、ストキャスティックスクリーンを用いて2値化された画像から、さらに確率的にドットを間引くことにより画像の濃度を下げる技術を開示している。特許文献2は、網点処理に関するものである。特許文献2は、網点処理により2値化された画像から、さらに確率的にドットを間引くことにより画像の濃度を下げる技術を開示している。特許文献3も、網点処理に関するものである。特許文献3は、中空網点ドットを形成することにより、消費されるインク量を低減する技術を開示している。
特表2003−500940号公報 米国特許明細書6532082号 特開2005−026987号公報
特許文献1に記載の技術は、ストキャスティックスクリーンを対象とするものであり、網点処理には適用できないという問題があった。特許文献2に記載の技術は、網点ドットから確率的にドットを間引くので、網点ドットの輪郭形状が乱れてしまうことがあった。網点ドットの輪郭形状が乱れると、その上に形成されるトナー像が乱れてしまう。すなわち、画質が低下するという問題があった。特許文献3に記載の技術は、しきい値マトリクスの設計により網点ドットを中空構造にするものである。したがって、ハイライトが途切れてしまう(低濃度〜中濃度において、網点ドットが円形に形成されない)という問題があった。さらに、特許文献1〜3はいずれもインク量を低減する技術に関するものであり、トナーの多重転写による画質の低下を防ぐことはできないという問題があった。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、トナーの多重転写による画質の低下を防ぐことができる2値化処理技術を提供する。
上述の課題を解決するため、本発明は、各々ある階調値の画像に対応して形成されるドットの空隙の度合いを示す複数のブランクプロファイルであって、各ブランクプロファイルがm×nのマトリクス状に配置された複数のセルを有し、各セルが階調値を有する複数のブランクプロファイルのデータを記憶するブランクプロファイル記憶手段と、網点ドットを形成するためのしきい値マトリクスであって、m×nのマトリクス状に配置された複数のセルを有し、各セルが2値化のしきい値を有するしきい値マトリクスを記憶するしきい値記憶手段と、入力画像のうち処理対象部分の階調値を、前記ブランクプロファイル記憶手段に記憶された複数のブランクプロファイルのうち、前記処理対象部分の階調値に対応するブランクプロファイルにおける複数のセルの階調値にそれぞれ加算することにより、m×nのマトリクス状に配置された複数の画素を有するブランク加算画像データを生成するブランクプロファイル加算手段と、前記ブランクプロファイル加算手段により生成されたブランク加算画像データが有する複数の画素について、各画素の階調値を、前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値マトリクスが有する複数のセルのうち、対応する位置にあるセルのしきい値と比較することにより2値化し、m×nのマトリクス状に配置された複数の画素を有するブランク加算2値画像データを生成するブランク加算2値化手段と、前記処理対象部分の階調値に対応するブランクプロファイルが有する複数のセルについて、各セルの階調値を、前記しきい値マトリクスが有する複数のセルのうち、対応する位置にあるセルのしきい値と比較することにより2値化し、m×nのマトリクス状に配置された複数の画素を有するブランク2値画像データを生成するブランクプロファイル2値化手段と、前記ブランク加算2値化手段により生成されたブランク加算2値画像データが有する複数の画素について、各画素の階調値から、前記ブランクプロファイル2値化手段により生成されたブランク2値画像データが有する複数の画素のうち対応する位置にある画素の階調値を減算することにより、出力2値画像データを生成する出力画像生成手段と、前記出力画像生成手段により生成された出力2値画像データを、画像形成装置に出力する画像出力手段とを有する画像処理装置を提供する。
好ましい態様において、ブランクプロファイルのm×nのマトリクス状に配置された複数のセルにおいて、任意の2つのセルについて前記画像の階調値に値に対応するセルの階調値が一致するようにしてもよい。
好ましい態様において、前記ブランクプロファイル加算手段が、前記ブランクプロファイルが有する複数のセルについて、各セルの階調値に係数kを乗算した後に、前記ブランクプロファイルのデータに前記処理対象部分の階調値を加算してもよい。
別の好ましい態様において、前記係数kが、前記処理対象部分の階調値の関数であってもよい。さらに別の好ましい態様において、前記係数kが、前記画像形成装置の理想入出力特性と実際の入出力特性との差を補償するように決定された係数であってもよい。
また、本発明は、各々ある階調値の画像に対応して形成されるドットの空隙の度合いを示す複数のブランクプロファイルのデータを記憶したブランクプロファイル記憶手段および網点ドットを形成するためのしきい値マトリクスを記憶したしきい値記憶手段を有するコンピュータ装置における画像処理方法であって、入力画像を示す多値画像データに対し、前記ブランクプロファイル記憶手段に記憶された複数のブランクプロファイルのうち、その入力画像の階調値に対応するブランクプロファイルのデータを、前記入力画像データに加算することによりブランク加算画像データを生成するブランクプロファイル加算ステップと、前記ブランク加算データを、前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値マトリクスと比較することにより2値化し、ブランク加算2値画像データを生成するブランク加算2値化ステップと、前記入力画像の階調値に対応するブランクプロファイルのデータを、前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値マトリクスと比較することにより2値化し、ブランク2値画像データを生成するブランクプロファイル2値化ステップと、前記ブランク加算2値画像データから、前記ブランク2値画像データを減算することにより、前記入力画像に対応する出力2値画像データを生成する出力画像生成ステップと、前記出力2値画像データを、画像形成装置に出力する画像出力ステップとを有する画像処理方法を提供する。
さらに、本発明は、コンピュータ装置を、各々ある階調値の画像に対応して形成されるドットの空隙の度合いを示す複数のブランクプロファイルのデータを記憶するブランクプロファイル記憶手段と、網点ドットを形成するためのしきい値マトリクスを記憶するしきい値記憶手段と、入力画像を示す多値画像データに対し、前記ブランクプロファイル記憶手段に記憶された複数のブランクプロファイルのうち、その入力画像の階調値に対応するブランクプロファイルのデータを、前記入力画像データに加算することによりブランク加算画像データを生成するブランクプロファイル加算手段と、前記ブランクプロファイル加算手段により生成されたブランク加算データを、前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値マトリクスと比較することにより2値化し、ブランク加算2値画像データを生成するブランク加算2値化手段と、前記入力画像の階調値に対応するブランクプロファイルのデータを、前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値マトリクスと比較することにより2値化し、ブランク2値画像データを生成するブランクプロファイル2値化手段と、前記ブランク加算2値化手段により生成されたブランク加算2値画像データから、前記ブランクプロファイル2値化手段により生成されたブランク2値画像データを減算することにより、前記入力画像に対応する出力2値画像データを生成する出力画像生成手段と、前記出力画像生成手段により生成された出力2値画像データを、画像形成装置に出力する画像出力手段として機能させるプログラムを提供する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置1の機能構成を示す図である。本実施形態において、処理対象となる画像データ(入力画像)は、8ビット(256階調)多値の画像データである。なお、入力画像の階調数は256階調に限られず、3階調以上の多階調であればどのようなものでもよい。画像データは、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。各画素は、256階調の画素値を有する。画素値は、グレー階調では一つの成分を、RGBなどでは、その表色系に対応する複数の成分を有する。画像処理装置1は、多値画像データを2値画像データに変換する。多値画像データにおける一画素(入力画素=処理対象画素)は、2値画像データにおけるドットマトリクスに変換される。ドットマトリクスは、m×nのマトリクス状に配置された複数の画素(出力画素)を含む。各出力画素は、2階調の画素値を有する。すなわち、各出力画素は、対応する位置にドットを形成するかしないかの2階調を表現することができる。ドットマトリクスにおいては、いわゆる網点ドットが形成される。網点ドットとは、ドットマトリクスにおいて、集中的に形成される複数のドットを意味する。すなわち、網点ドットとは、クラスター状に形成された複数のドットである。ドットマトリクスにおいては、基本的に網点ドットの大きさにより階調表現がされる。
従来技術において、網点ドットとは、前述のようにクラスター状に集中的に形成された複数のドットを意味する。本実施形態は、内部に空隙を有する網点ドットの形成技術を提供する。空隙とは、ドットが形成されない領域である。このように、本実施形態においては、ドーナツ構造の網点ドットが形成される。以下の説明では、空隙を有する網点ドットを「中空網点ドット」という。また、従来の空隙を有しない網点ドットを「非中空網点ドット」という。
LUT106は、ブランクプロファイルを記憶したメモリである。ブランクプロファイルは、網点ドット内に形成される空隙の形状を指定する特性データである。LUT106は、複数のブランクプロファイルを記憶している。複数のブランクプロファイルは、各々異なる濃度に対応している。濃度とは、処理対象画素の階調値である。ブランクプロファイルは、特性データと、対応する濃度を特定する情報を含む。
図2は、ブランクプロファイルを例示する図である。ブランクプロファイルは、m×nのマトリクス状に配置された複数のセルを有する。すなわち、ブランクプロファイルのセルの数と、2値画像データのドットマトリクスにおける出力画素の数とは同一である。図2(A)は、m=n=4である例を示している。図2(A)において、ブランクプロファイルは、各々異なる濃度に対応した複数のブランクプロファイルから構成されていることを示している。図2(B)は、ある濃度に対応するブランクプロファイルを示している。図2(B)において、縦軸(y軸)、横軸(x軸)はともに各セルのブランクプロファイルの内での位置を示す。また、各々のセルは階調値(濃度あるいは輝度)を有する。図2(C)は、濃度方向における階調値のプロファイルの例を示す。図2(C)において、横軸は濃度を、縦軸はプランクプロファイルの各セルにおける階調値を示している。図2(C)に示されるように、ブランクプロファイルは、中央部において高い階調値を有している。また、ブランクプロファイルは、周辺部において階調値がゼロである。ブランクプロファイルにおいて、階調値が高い領域は2値化後に空隙になりやすく、階調値が低い領域は2値化後に空隙になりにくい。
再び図1を参照して説明する。LUT107は、しきい値マトリクスを記憶したメモリである。しきい値マトリクスは、m×nのマトリクス状に配置された複数のセルを有する。すなわち、しきい値マトリクスのセルの数と、ブランクプロファイルのセルの数と、2値画像データのドットマトリクスにおける出力画素の数とは同一である。しきい値マトリクスの各セルは、多値データを2値データに変換する際のしきい値を有する。
乗算器101は、LUT106に記憶されたブランクプロファイルのうち、処理対象画素の階調値に対応するブランクプロファイルに係数kを乗算する。より詳細には、乗算器101は、ブランクプロファイルに含まれる複数のセルの階調値に対して、それぞれ係数kを乗算する。加算器102は、係数kが乗算されたブランクプロファイルに対し、処理対象画素の階調値を加算する。より詳細には、加算器102は、係数kが乗算されたブランクプロファイルの各セルの階調値に、処理対象画素の階調値を加算する。
比較器103は、LUT107に記憶されたしきい値マトリクスと、加算器102の出力とを比較することにより、処理対象画素の階調値が加算されたブランクプロファイルを2値化する。より詳細には、比較器103は、ブランクプロファイルが有する複数のセルについて、各セルの階調値と、しきい値マトリクスの複数のセルのうち、対応する位置にあるセルのしきい値とを比較する。ここで、対応する位置とは、マトリクスにおける同一の位置をいう。例えば、ブランクプロファイルの複数のセルのうち、左からx番目かつ上からy番目のセルをb(x,y)と、しきい値マトリクスの複数のセルのうち、左からx番目かつ上からy番目のセルをth(x,y)と表すと、b(x,y)に対応するセルはth(x,y)である。
階調値がしきい値を超えていた場合、比較器103は、2値データ「1」を出力する。階調値がしきい値以下の場合、比較器103は、2値データ「0」を出力する。2値データ「1」は、ドットを形成することを示す。2値データ「0」は、ドットを形成しないことを示す。比較器103からの出力は、空隙を有さない、塗りつぶされた状態の網点ドットを示している。比較器103からの出力を、「ブランク加算2値画像データ」という。
比較器104は、処理対象画素の階調値に対応するブランクプロファイルと、しきい値マトリクスとを比較することにより、ブランクプロファイルを2値化する。比較器104において処理対象となるブランクプロファイルは、LUT106に記憶されている複数のブランクプロファイルのうち、処理対象画素の階調値に対応するものである。すなわち、ここでいうブランクプロファイルには、係数kも乗算されておらず、処理対象画素の階調値も加算されていない。より詳細には、比較器104は、ブランクプロファイルが有する複数のセルについて、各セルの階調値と、しきい値マトリクスの複数のセルのうち、対応する位置にあるセルのしきい値とを比較する。階調値がしきい値を超えていた場合、比較器104は、2値データ「1」を出力する。階調値がしきい値以下の場合、比較器104は、2値データ「0」を出力する。比較器104からの出力は、網点ドットにおける空隙の形状を示している。比較器104からの出力を、「ブランク2値画像データ」という。
減算器105は、比較器103の出力から、比較器104の出力を減算する。すなわち、減算器105は、ブランク加算2値画像データから、ブランク2値画像データを減算する。より詳細には、減算器105は、ブランク加算2値画像データが有する複数の画素について、各画素の階調値(濃度)から、ブランク2値画像データが有する複数画素のうち、その画素に対応する位置にある画素の階調値を減算する。こうして、処理対象画素に対応する出力2値画像データが生成される。出力2値画像データは、m×nのマトリクス状に配置された複数の画素を有する。各画素は、ドットを形成するかしないかの2階調の値を有する。
図3は、画像処理装置1のハードウェア構成を示す図である。CPU110は、画像処理装置1の各構成要素を制御する制御部である。CPU110は、HDD(Hard Disk Drive)150に記憶されている画像処理プログラムを読み出して実行する。RAM130は、CPU110がプログラムを実行する際の作業エリアとして機能する。ROM120は、画像処理装置1の起動に必要なプログラム等を記憶している。I/F140は、画像処理装置1が他の機器との間でデータや制御信号の送受信を行うためのインターフェースである。HDD150は、各種データやプログラムを記憶する記憶装置である。キーボード160およびディスプレイ170は、ユーザが画像処理装置1に対し操作入力を行うためのユーザインターフェースである。以上の各構成要素は、バス190で相互に接続されている。CPU110が画像処理プログラムを実行することにより、画像処理装置1は、図1に示される機能を具備する。
図4は、本実施形態に係る2値化処理を示すフローチャートである。HDD150には、処理対象となる入力画像を示す画像データが記憶されている。以下の説明において、入力画像に含まれる複数の画素のうち、1つの画素を処理対象画素として画像処理が行われる。CPU110は、あらかじめ決められた規則に従って、複数の画素のうち1つの画素を処理対象画素として特定する。ある処理対象画素について画像処理が完了すると、CPU110は、別の画素を処理対象画素として特定する。このように処理対象画素を順次更新することにより、CPU110は、画像データに含まれるすべての画素について画像処理を行う。
まず、ステップS100において、CPU110は、ブランク加算多値画像データを生成する。詳細には次のとおりである。CPU110は、HDD150から、処理対象画素の階調値に対応するブランクプロファイルbを読み出す。さらに、CPU110は、HDD150から、係数kを読み出す。次に、CPU110は、ブランクプロファイルbに係数kを乗算する。次に、CPU110は、係数kが乗算されたブランクプロファイルkbに、処理対象画素の階調値(濃度d)を加算する。このようにして生成されたデータを「ブランク加算多値画像データ」という。ブランク加算多値画像データは、d+kbと表すことができる。
次に、ステップS110において、CPU110は、ブランク加算多値データを2値化する。詳細には次のとおりである。CPU110は、HDD150に記憶されたしきい値マトリクスを読み出す。CPU110は、ブランク加算多値画像データとしきい値マトリクスを比較する。CPU110は、比較の結果に応じてブランク加算多値画像データを2値化する。CPU110は、こうしてブランク加算2値画像データを生成する。
図5(A)は、ブランク加算2値画像データを例示する図である。しきい値マトリクスは、いわゆる網点ドットを形成するためのしきい値を記憶したマトリクスである。処理対象画素の階調値が低い場合(濃度が低濃度の場合)、ドットマトリクスの中心部分にドットが形成される。ブランク加算2値画像データは、中空網点ドットにおいて、中空にする前の網点ドットを示している。本実施形態においては、処理対象画素の階調値が高くなるにつれ、網点ドットのサイズが大きくなるようにドットが形成される。本実施形態において、最終的に形成される画像は中空網点ドットである。したがって、ブランク加算2値画像データは、処理対象画素の階調値がある値(「遷移点濃度」という)に達すると、ドットマトリクス全体を塗りつぶすパターンになる。
再び図4を参照して説明する。ステップS120において、CPU110は、ブランクプロファイルbを2値化する。CPU110は、HDD150に記憶されたブランクプロファイルを読み出す。CPU110は、ブランクプロファイルとしきい値マトリクスを比較する。CPU110は、比較の結果に応じてブランクプロファイルを2値化する。2値化されたブランクプロファイルを、「ブランク2値画像データ」という。CPU110は、こうしてブランク2値画像データを生成する。
図5(B)は、ブランク2値画像データを例示する図である。ブランク2値画像データは、中空網点ドットにおける空隙領域を示している。ブランク2値画像データを生成する時には、ブランク加算2値画像データを生成する時と同一のしきい値マトリクスが用いられる。空隙領域の大きさは、処理対象画素の階調値が最高および最低のときにゼロであり、処理対象画素の階調値が遷移点濃度近傍においてに最大となる。
再び図4を参照して説明する。ステップS130において、CPU110は、ブランク加算2値画像データからブランク2値画像データを減算する。詳細には、CPU110は、ブランク加算2値画像データが有する複数の画素について、各画素の階調値から、ブランク2値画像データが有する複数の画素のうち、その画素と対応する位置にある画素の階調値を減算する。ブランク加算2値画像データからブランク2値画像データを減算することにより生成されるデータを、「出力2値画像データ」という。CPU110は、こうして出力2値画像データを生成する。CPU110は、生成した出力2値画像データを、I/F140を介して画像形成装置(図示略)などに出力する。
以上で説明したように、本実施形態においては、ブランク加算2値画像データにより、網点ドットの外形が定められる。また、ブランク2値画像データにより、網点ドットの空隙領域が定められる。本実施形態によれば、網点の外形と空隙領域とをそれぞれ独立に制御することができる。これには、次のような利点がある。中空網点ドットは、基本的には、非中空網点ドットの中央部分のドットをいくつか削除し、削除されたドットと同数のドットを網点ドットの周辺部分に付加することにより生成される。削除されたドットの数と付加されたドットの数が同数であることにより、入出力特性の連続性が確保される。しかし現実には、網点ドットを形成するドットの数が同一であっても、従来技術に係る非中空網点ドットの入出力特性と、中空網点ドットの入出力特性とが、異なってしまう場合がある。
図6は、入出力特性を例示する図である。図6において横軸は処理対象画素の階調値Cinを、縦軸は出力画素の画素値の一例として明度L*を示している。図6において実線は非中空網点ドットの入出力特性(以下、「標準特性」という)を、点線はk=1の場合における中空網点ドットの入出力特性を示している。図6の例では、中空網点ドットの入出力特性は、Cinが低濃度の領域において標準特性と同等の明度L*を示し、Cinが高濃度の領域において標準特性より明度L*が低い。このように、中空網点ドットの入出力特性は、標準特性と比較して線形性が悪化している。
ここで、中空網点ドットの入出力特性を評価するためのパラメータとして、傾きγが導入される。γは、Cin中央部付近において中空網点ドットの入出力特性がほぼ直線となる領域での直線の傾きを示す。ここで、理想的には、傾きγは緩やかであること、すなわち、直線領域が長いこと望ましい。図6では、処理対象画素の階調値によらずk=1でkが一定である入出力特性を示したが、kの値を制御することにより、入出力特性を制御することが可能である。
図7は、kの値を一様に変化させた場合の入出力特性の例を示す図である。kの値が大きくなると、空隙領域の大きさはそのままで、中空網点ドットの外形が大きくなる。したがって、kの値が大きくなるにつれ、入出力特性は低明度側にシフトする。このようにして、kの値を変更することにより入出力特性の形状を制御することが可能である。ここで、k=0とした場合、中空網点ドットに空隙領域は形成されず、非中空網点ドットと同一の網点ドットを形成することができる。
図7では、処理対象画素の階調値によらずkが一定である場合を示したが、処理対象画素の階調値に応じてkを変化させることも可能である。
図8は、係数kを階調値に対して変化するよう設定する場合について説明する図である。図8(A)は標準特性および中空網点の入出力特性(k=1、2、3)を、図8(B)は係数kの階調値Cin依存性を示している。図8(B)において、実線は中空網点の入出力特性を一定(k=1、2、3)とする場合を示しており、破線は中空網点の入出力特性をCinに対して変化させた場合を示している。このように、係数kの値を階調値Cinに対して変化するよう設定することにより、中空網点ドットの入出力特性をより柔軟に制御することが可能である。
画像処理装置1は、ROM120あるいはHDD150に、上述のようにして得られた係数kを記憶している。係数kは、ルックアップテーブルとして記憶されていてもよいし、係数kのCin依存性を示す関数を特定するパラメータとして記憶されていてもよい。CPU110は、そのルックアップテーブルあるいは関数を参照して係数kの値を決定する。CPU110は、決定された係数kの値を用いて上述の演算を行う。
図9は、本実施形態により形成された網点ドットを例示する図である。本実施形態によれば、中空網点ドットを形成することができる。これにより、網点ドット内部のトナー層厚を薄くすることができる。したがって、多重転写性の向上、すなわち、画質の向上を実現することができる。また、光吸収に寄与する色材量の割合が増加することにより、トナー消費量を低減することができる。さらに本実施形態においては、網点ドットの外形の形状と空隙領域の形状とをそれぞれ独立に制御することが可能である。このため、より高い階調再現性を実現することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、種々の変形実施が可能である。
上述の実施形態においては、図1に示される機能構成は、CPU110が画像処理プログラムを実行することにより実現されたが、図1に示される機能構成は、各機能構成要素に相当する電子回路等を用いてハードウェアとして実現されてもよい。
また、上述の実施形態においては、入力画像データを構成する複数の画素のうち一画素を画像処理の対象とし、処理対象画素を順次更新していく態様について説明したが、画像処理の単位は一画素に限定されない。入力画像データのうち、a×aあるいはa×bの複数の画素から構成される単位画像を画像処理の単位としてもよい(a、bはともに正の整数)。この場合、処理対象画素の階調値に代えて、例えば単位画像における平均階調値を用いることができる。また、a=m、b=nとした場合、m×nのマトリクス状に配置された単位画像の各画素の階調値(濃度)を、ブランクプロファイルの対応する位置にあるセルの階調値にそれぞれ加算してブランク加算画像データを生成するようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、ブランク加算多値画像データを生成する際、CPU110は、ブランクプロファイルに係数kを乗算したが、この過程を省略してもよい。すなわち、CPU110は、ブランクプロファイルbに処理対象画素の濃度dを加算することにより、ブランク加算多値画像データd+bを生成してもよい。なお、この態様による処理結果は、係数kを乗算する態様において、k=1の場合の処理結果と等しい。さらに、各々異なる濃度に対応する複数のブランクプロファイルの2つの組を用い、ブランク加算2値画像データの生成とブランク2値画像データの生成のために異なる組のブランクプロファイルを使用するようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、ある濃度に対応するブランクプロファイルの例として全てのセルにおいて同一の階調値を持つ例を説明したが、m×nより小さなサイズのブランクプロファイルを使用し、m×nの大きさの単位画像の処理にブランクプロファイルを所定の規則に従い繰り返し使用するようにしてもよい。例えば、セルのサイズが1であるブランクプロファイルを順次繰り返して使用し、単位画像の処理に全て同じブランクプロファイルを使用することも可能である。また、上述の実施形態は、ある濃度に対応するブランクプロファイルの各セルの階調値が全て同じ値を持つよう制限されること示すものではない。
また、上述の実施形態においては、画像処理装置と画像形成装置とが別個の装置である態様について説明したが、これらは同一の装置であってもよい。すなわち、プリンタ、FAX、コピー機、複合機などの画像形成装置が、上述の画像処理装置としての機能を有してもよい。
一実施形態に係る画像処理装置1の機能構成を示す図である。 ブランクプロファイルを例示する図である。 画像処理装置1のハードウェア構成を示す図である。 2値化処理を示すフローチャートである。 2値化処理を例示する図である。 入出力特性を例示する図である。 係数kの値を一様に変化させた場合の入出力特性を示す図である。 係数kの階調値依存性を説明する図である。 本実施形態により形成された網点ドットを例示する図である。
符号の説明
1…画像処理装置、101…乗算器、102…加算器、103…比較器、104…比較器、105…減算器、106…LUT、107…LUT、110…CPU、120…ROM、130…RAM、140…I/F、150…HDD、160…キーボード、170…ディスプレイ、190…バス

Claims (7)

  1. 各々ある階調値の画像に対応して形成されるドットの空隙の度合いを示す複数のブランクプロファイルであって、各ブランクプロファイルがm×nのマトリクス状に配置された複数のセルを有し、各セルが階調値を有する複数のブランクプロファイルのデータを記憶するブランクプロファイル記憶手段と、
    網点ドットを形成するためのしきい値マトリクスであって、m×nのマトリクス状に配置された複数のセルを有し、各セルが2値化のしきい値を有するしきい値マトリクスを記憶するしきい値記憶手段と、
    入力画像のうち処理対象部分の階調値を、前記ブランクプロファイル記憶手段に記憶された複数のブランクプロファイルのうち、前記処理対象部分の階調値に対応するブランクプロファイルにおける複数のセルの階調値にそれぞれ加算することにより、m×nのマトリクス状に配置された複数の画素を有するブランク加算画像データを生成するブランクプロファイル加算手段と、
    前記ブランクプロファイル加算手段により生成されたブランク加算画像データが有する複数の画素について、各画素の階調値を、前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値マトリクスが有する複数のセルのうち、対応する位置にあるセルのしきい値と比較することにより2値化し、m×nのマトリクス状に配置された複数の画素を有するブランク加算2値画像データを生成するブランク加算2値化手段と、
    前記処理対象部分の階調値に対応するブランクプロファイルが有する複数のセルについて、各セルの階調値を、前記しきい値マトリクスが有する複数のセルのうち、対応する位置にあるセルのしきい値と比較することにより2値化し、m×nのマトリクス状に配置された複数の画素を有するブランク2値画像データを生成するブランクプロファイル2値化手段と、
    前記ブランク加算2値化手段により生成されたブランク加算2値画像データが有する複数の画素について、各画素の階調値から、前記ブランクプロファイル2値化手段により生成されたブランク2値画像データが有する複数の画素のうち対応する位置にある画素の階調値を減算することにより、出力2値画像データを生成する出力画像生成手段と
    前記出力画像生成手段により生成された出力2値画像データを、画像形成装置に出力する画像出力手段と
    を有する画像処理装置。
  2. 前記ブランクプロファイルのm×nのマトリクス状に配置された複数のセルにおいて、任意の2つのセルについて前記画像の階調値に対応するセルの階調値が一致していることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記ブランクプロファイル加算手段が、前記ブランクプロファイルが有する複数のセルについて、各セルの階調値に係数kを乗算した後に、前記ブランクプロファイルのデータに前記処理対象部分の階調値を加算することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記係数kが、前記処理対象部分の階調値の関数であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記係数kが、前記画像形成装置の理想入出力特性と実際の入出力特性との差を補償するように決定された係数であることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
  6. 各々ある階調値の画像に対応して形成されるドットの空隙の度合いを示す複数のブランクプロファイルのデータを記憶したブランクプロファイル記憶手段および網点ドットを形成するためのしきい値マトリクスを記憶したしきい値記憶手段を有するコンピュータ装置における画像処理方法であって、
    入力画像を示す多値画像データに対し、前記ブランクプロファイル記憶手段に記憶された複数のブランクプロファイルのうち、その入力画像の階調値に対応するブランクプロファイルのデータを、前記入力画像データに加算することによりブランク加算画像データを生成するブランクプロファイル加算ステップと、
    前記ブランク加算データを、前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値マトリクスと比較することにより2値化し、ブランク加算2値画像データを生成するブランク加算2値化ステップと、
    前記入力画像の階調値に対応するブランクプロファイルのデータを、前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値マトリクスと比較することにより2値化し、ブランク2値画像データを生成するブランクプロファイル2値化ステップと、
    前記ブランク加算2値画像データから、前記ブランク2値画像データを減算することにより、前記入力画像に対応する出力2値画像データを生成する出力画像生成ステップと、
    前記出力2値画像データを、画像形成装置に出力する画像出力ステップと
    を有する画像処理方法。
  7. コンピュータ装置を、
    各々ある階調値の画像に対応して形成されるドットの空隙の度合いを示す複数のブランクプロファイルのデータを記憶するブランクプロファイル記憶手段と、
    網点ドットを形成するためのしきい値マトリクスを記憶するしきい値記憶手段と、
    入力画像を示す多値画像データに対し、前記ブランクプロファイル記憶手段に記憶された複数のブランクプロファイルのうち、その入力画像の階調値に対応するブランクプロファイルのデータを、前記入力画像データに加算することによりブランク加算画像データを生成するブランクプロファイル加算手段と、
    前記ブランクプロファイル加算手段により生成されたブランク加算データを、前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値マトリクスと比較することにより2値化し、ブランク加算2値画像データを生成するブランク加算2値化手段と、
    前記入力画像の階調値に対応するブランクプロファイルのデータを、前記しきい値記憶手段に記憶されたしきい値マトリクスと比較することにより2値化し、ブランク2値画像データを生成するブランクプロファイル2値化手段と、
    前記ブランク加算2値化手段により生成されたブランク加算2値画像データから、前記ブランクプロファイル2値化手段により生成されたブランク2値画像データを減算することにより、前記入力画像に対応する出力2値画像データを生成する出力画像生成手段と、
    前記出力画像生成手段により生成された出力2値画像データを、画像形成装置に出力する画像出力手段と
    して機能させるプログラム。
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