JP2007279620A - 電子写真感光体及び該感光体を用いた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体及び該感光体を用いた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】画像欠陥や画像の濃度ムラの問題が起こらない電子写真感光体及び画像形成装置を提供すること、並びに、無機化合物粒子を含有していて厚膜であっても、膜厚ムラのない均一な塗布膜を提供すること。
【解決手段】導電性基体上に、少なくとも、アルコール可溶性樹脂を含有する下引き層と、感光層とを有する電子写真感光体であって、該下引き層が、少なくとも3級アルコールを塗布溶媒として含有している塗布液から形成されてなるものであることを特徴とする電子写真感光体、及び、かかる電子写真感光体を用いて接触帯電方法を用いた画像形成方法、並びに、少なくとも、アルコール可溶性樹脂と無機化合物粒子を含有し、少なくとも3級アルコールを塗布溶媒として含有している塗布液から形成されてなるものであることを特徴とする塗布膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、下引き層を有する電子写真感光体及び塗布膜に関し、更に詳しくは、特定の物質を含有する塗布液から形成された、塗布性が良好な下引き層を有する電子写真感光体、及び塗布膜に関するものである。
従来、電子写真感光体には、セレン、セレン−テルル合金、セレン化ヒ素、硫化カドミウム等の無機系光導電物質が広く用いられてきた。一方、近年では低公害であり、製造が容易な有機系の光導電物質を感光層に用いた研究が盛んになっている。特に光を吸収して電荷を発生する機能と、発生した電荷を輸送する機能を分離した電荷発生層及び電荷輸送層からなる積層型の感光体が主流となっている。これらの感光体は、複写機、レーザープリンター等の分野に広く用いられている。
電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を形成したものが基本構成である。そして、導電性基体からの電荷注入や導電性基体の欠陥による画像欠陥の解消、感光層との接着性向上、帯電性の改善等のために、感光層と導電性基体との間に下引き層を設けることが行われている。
下引き層としては、例えば、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の樹脂材料を用いることが知られている。これらの樹脂材料の中でも特に可溶性ポリアミド樹脂が好ましいとされている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
更に、低温低湿下等の電気特性を改善するために、ポリアミド樹脂に酸化チタン粒子のような金属酸化物粒子を分散させた下引き層が知られている。更に、分散されている金属酸化物粒子は、ポリシロキサンやシラン化合物等の有機ケイ素化合物で処理されているものが、吸水性を抑制でき、画像特性及び環境特性を良くすることが知られている。
また最近は、電子写真装置のコンパクト化の流れの中で、帯電ロール等で帯電させる接触帯電方法が多く用いられるようになってきた。接触帯電方法の電子写真装置においては、電子写真感光体のリーク(絶縁破壊)が生じやすくなるため、下引き層に耐リークの役割も求められるようになってきた。
耐リーク対策の1つとして、下引き層の厚膜化が効果的であることが知られており、厚膜の下引き層を塗布性良く塗布することが求められるようになってきた。
一方、下引き層には一般にアルコール可溶性樹脂が含有されている。そして、アルコール可溶性樹脂を含有する塗布膜(下引き層)を作製するための塗布液の溶媒は、アルコール溶媒を用いるのが一般的であり、アルコール溶媒でも、樹脂の溶解性、塗布膜の乾燥性の面でメタノールが主成分であり、更に、樹脂の溶解性(ゲル化)を抑制するため及び、乾燥時間を制御する、塗布性を良好にするために、1−プロパノールや1−ブタノール等が第2成分として混合されているのが一般的である。
しかしながら、上記のようなアルコール溶媒を主とした溶媒に溶解したアルコール可溶性樹脂液で塗布した塗布膜は、均一で滑らかになりにくいという問題点があり、それが画像欠陥の原因になっていた。特に塗布膜の膜厚が厚くなるとその問題は大きくなり、更に無機粒子が含有されている場合は、膜厚ムラが大きくなるということが顕著に表れやすくなり、更に画像欠陥の問題が大きくなっていた。
膜厚ムラが大きいということは、例えば、平均膜厚として5μmの膜厚を作製したとしても、あるところでは例えば3μmしかなく、また、あるところでは例えば7μmもある様な膜となっているということである。このような膜の場合は、例えば、リーク(絶縁破壊)を抑制するために厚膜にしても、膜厚が薄くなっているところに、電界集中が起こり、その部分がリークを起こしやすくなるため、厚膜にしたことの効果が薄れる。また、膜厚ムラが大きいと場所により光照射後の電位も変動し、画像の濃度ムラも起こすという問題も更に加わっていた。
特開昭51−114132号公報 特開昭52−025638号公報 特開昭56−021129号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、画像欠陥や画像の濃度ムラの問題が起こらない電子写真感光体を提供することである。また、無機化合物粒子を含有していて厚膜であっても、膜厚ムラなく均一な塗布膜を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、電子写真感光体の下引き層が少なくとも3級アルコールを含有している塗布液から形成される時に、厚膜に塗布しても均一に塗布されることを見いだした。そして、その結果リーク(絶縁破壊)を抑制でき、画像欠陥や画像の濃度ムラを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、導電性基体上に、少なくとも、アルコール可溶性樹脂を含有する下引き層と、感光層とを有する電子写真感光体であって、該下引き層が、少なくとも3級アルコールを塗布溶媒として含有している塗布液から形成されてなるものであることを特徴とする電子写真感光体を提供するものである。
また、本発明は、電子写真感光体の帯電方法が接触帯電方法で、かつ、上記の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
また、本発明は、少なくとも、アルコール可溶性樹脂と無機化合物粒子を含有する塗布膜であって、該塗布膜が、少なくとも3級アルコールを塗布溶媒として含有している塗布液から形成されてなるものであることを特徴とする塗布膜を提供するものである。
本発明によれば、アルコール可溶性樹脂を含有する下引き層等の塗布膜を、厚膜でも膜厚ムラなく均一に形成することができる。更に、無機化合物粒子を含有していても、膜厚ムラの小さな下引き層等の塗布膜を形成することができ、その結果、電子写真感光体の下引き層に適用した場合には、リーク(絶縁破壊)を抑制でき、画像欠陥や画像の濃度ムラの問題が解決された画質が良好な電子写真感光体を提供することができる。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の具体的形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。また以下、下引き層を有する電子写真感光体について本発明を説明していくが、本発明は一般的な塗布膜についても、塗布性に関しては同様の効果を有するものであり、以下の記載は、一般的な塗布膜についても記載されているものとする。
[導電性基体]
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、少なくとも、アルコール可溶性樹脂を含有する下引き層と感光層とを有する。本発明の電子写真感光体における導電性基体としては特に限定はないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属からなるもの;ポリエステルフィルム、紙、ガラス等の絶縁性基体の表面にアルミニウム、銅等の金属を蒸着したもの;導電材料をバインダー樹脂に分散させた導電層を設けたもの等が挙げられる。更には、アルミニウム等の金属上に導電材料を分散させた導電層を設けたものでも良い。なかでも、アルミニウム等の金属のエンドレスパイプを適当な長さに切断したものが好ましい。また、本発明では、アルミニウム系金属を押し出し成形して得られた肉厚管をしごき加工又は引き抜き加工したものを、切削せずにそのまま用いても良い。
導電性基体の表面には、画質に影響のない範囲で、例えば、酸化処理や薬品処理等の各種の処理を施すことができる。また、導電性基体の表面には陽極酸化被膜が形成されていてもよい。
[下引き層]
下引き層とは、導電性基体と全ての感光層(最も導電性基体に近い感光層)との間に位置し、実質的に電荷発生能はなく、絶縁性を有しており、電荷輸送能を有する層をいう。
[[下引き層中の樹脂]]
本発明の電子写真感光体は、上記導電性基体の上に、少なくともアルコール可溶性樹脂を含有する下引き層を有する。ここで、「アルコール可溶性樹脂」とは、本発明では、メタノールに、20℃からメタノールの沸点までの温度範囲の中の何れか1点の温度で、少なくとも3質量%の濃度で溶解する樹脂をいう。
アルコール可溶性樹脂としては特に限定はないが、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂等が好ましく、下引き層の特性面で、アルコール可溶性ポリアミド樹脂が特に好ましい。
アルコール可溶性ポリアミド樹脂としては、変成タイプと共重合タイプがある。変成タイプとしては、ナイロン6のN−メチル変成体、ナイロン6のメトキシメチル変成体、ナイロン8のN−エチル変成体、ナイロン8のエトキシメチル変成体等が挙げられるが、中でもナイロン6のメトキシメチル変成体が好ましい。
共重合タイプとしては、6ナイロン、8ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、612ナイロン、620ナイロン等の共重合体が挙げられ、中でも、6/66/11共重合ナイロン、6/66/12共重合ナイロン、6/66/610共重合ナイロン、6/66/610/12共重合ナイロン等の三元系若しくは四元系の共重合ナイロンが好ましい。
また、アルコール可溶性樹脂としては、下記一般式(1)で示されるジアミン化合物を繰り返しユニットとして有する共重合ポリアミド樹脂も、画像特性や塗布液の安定性の点で好ましい。更に、上記した共重合ナイロンであり、かつ、下記一般式(1)で示されるジアミン化合物を繰り返しユニットとして有するものが、画像特性や塗布液の安定性の点で特に好ましい。
Figure 2007279620
[式(1)中、A及びBは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロヘキサン環を表し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基を表す。]
式(1)中、A及びBは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいシクロヘキサン環を表すが、シクロヘキサン環A及びBの置換基としては、炭素数1〜8個のアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。特に好ましくは、メチル基又はエチル基である。また、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基を表す。このアルキル基としては炭素数1〜8個のアルキル基が好ましい。このアルコキシ基としては、炭素数1〜8個のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。このアリール基としては低級アルキル置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基等が好ましい。
一般式(1)で示されるジアミン化合物と共に繰り返しユニットとして上記共重合ポリアミド樹脂に含まれるものとしては以下のものが好ましいものとして挙げられる。すなわち、ジアミン成分としては、ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン等のアルキレンジアミン類等が挙げられ、ジカルボン酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、ブタンジカルボン酸、ヘキサメチレンジカルボン酸、オクタメチレンジカルボン酸、デカメチレンジカルボン酸、オクタデカメチレンジカルボン酸等のアルキレンジカルボン酸類等が挙げられ、アミノ基とカルボキシル基を1分子中に含む成分としては、アミノ酸類等が挙げられ、環状アミド成分としては、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム等のラクタム類が挙げられる。
アルコール可溶性ポリアミド樹脂の数平均分子量としては特に限定はないが、5000から5万の範囲が好ましく、より好ましくは1万から3万の範囲である。数平均分子量が大きすぎると、厚さの均一な塗布膜の形成が困難になる場合があり、小さすぎると、充分な膜厚の塗布膜の形成が困難になる場合がある。
[[下引き層中の無機化合物粒子]]
また、本発明においては、上記下引き層に無機化合物粒子が含まれていることが、電気特性の面等で好ましい。無機化合物粒子としては、酸化物粒子、窒化物粒子、ハロゲン化物粒子等が挙げられるが、電子写真感光体の下引き層の場合には、該無機化合物粒子が金属酸化物粒子であることが、電気特性が優れる等の点から好ましい。金属酸化物粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化アンチモン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシム、チタン酸バリウム等が挙げられるが、バンドギャップが2〜4eVのものが好ましく、その中でも、酸化チタン又は酸化亜鉛が特に好ましい。
酸化チタンの結晶型には、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスがあり、何れの結晶型でも用いることができるが、ルチル型が好ましい。
また、該金属酸化物粒子が、有機ケイ素化合物で表面処理されていることが、例えば高温高湿下でのロングラン実写特性等の環境特性の面で好ましい。有機ケイ素化合物としては表面処理に効果的であれば特に限定はないが、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリメトキシシロキサン等のポリシロキサン化合物;メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、エチルトリクロロシラン等のシラン化合物;1−トリフルオロ−2−ジフルオロ−3−ジフルオロ−4−ジフルオロ−5−ジフルオロ−6−ジフルオロオクチルトリメトキシシラン、1−トリフルオロ−2−ジフルオロ−3−ジフルオロ−4−ジフルオロ−5−ジフルオロ−6−ジフルオロ−7−ジフルオロ−8−ジフルオロデカチルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン化合物等が好ましいものとして挙げられる。その中でも、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルジメトキシシラン又はフルオロアルキルシラン化合物での表面処理が、金属酸化物粒子との反応性が良好である等の点で特に好ましい。また、上記有機ケイ素化合物で表面処理された酸化チタンが、環境特性が良好である点で好ましい。
無機化合物粒子の粒子径は、塗布液の安定性、電気特性等の点で、体積平均一次粒子径で、100nm以下が好ましく、特に好ましくは10nm以上で60nm以下である。無機化合物粒子の粒子径が大きすぎる場合は、塗布液の安定性や電気特性が悪くなる場合がある。粒子径は、均一であってもまた、異なる粒子径の複合系でもよい。例えば、体積平均一次粒子径で、0.1μmのものと0.03μmのものを混合して用いても良い。
無機化合物粒子が含まれている場合、無機化合物粒子とアルコール可溶性樹脂の含有比率は任意に選ぶことができるが、塗布液の安定性、電気特性及び画像特性の面から、全アルコール可溶性樹脂1質量部に対して、0.5質量部から6質量部の範囲が好ましい。特に好ましくは、0.8質量部から4質量部の範囲である。無機化合物粒子が多すぎる場合は画像特性や塗布液の安定性が悪くなる場合があり、少なすぎる場合は電気特性が悪くなる場合がある。
[[下引き層中のその他の成分]]
本発明の電子写真感光体の下引き層には、その他に、必要に応じて、酸化防止剤、レベリング剤等の添加剤、導電剤、他の樹脂等(以下、「その他の成分」と略記する)を加えても良い。
[[下引き層の塗布溶媒]]
本発明の電子写真感光体に用いられるアルコール可溶性樹脂を含む下引き層は、少なくとも3級アルコールを塗布溶媒として含有している塗布液から形成されてなるものであることが必須である。
該3級アルコールは、25℃、1気圧下で液状のものなら如何なるものも使用することができ、本発明の上記効果を発揮できる。また、置換基が結合していてもかまわない。置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アルケニル基、エステル基、アミド基、ジアルキルアミノ基、ケト基、エーテル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基等の非官能基;アミノ基、モノアルキルアミノ基、カルボキシル基、1級水酸基、2級水酸基等の官能基が挙げられるが、非官能基又は1級若しくは2級水酸基が好ましい。ただ、アルキル基以外の置換基を有していないものが、塗布膜の乾燥性の点等で特に好ましい。これらの3級アルコールは、1種類単独で使用してもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
該3級アルコールは、置換基も入れた全炭素数が4〜8個のものが好ましく、4〜6個のものが特に好ましい。また、1気圧での沸点が、30℃〜150℃のものが好ましく、50℃〜100℃のものが特に好ましい。
好ましい3級アルコールとして、具体的には、tert−ブタノール(2−メチル−2−プロパノール)、2−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール等が挙げられる。その中でも、塗布膜の乾燥性の面等で、tert−ブタノール又は2−メチル−2−ブタノールが特に好ましい。
該3級アルコールとともに、25℃、1気圧下で液状のものならば、該3級アルコール以外の、炭素数が1〜10個で、置換基を有していてもよい1級及び/又は2級アルコール(以下、「他のアルコール」と略記する)を混合して用いることが好ましい。かかる1級又は2級アルコールとしては特に限定はないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等が好ましく、そのうちメタノールが、アルコール可溶性樹脂の溶解性及び塗布膜の乾燥性等の点で特に好ましい。これらの他のアルコールは、1種類単独で使用してもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
なお、樹脂の溶解性を悪化させず、粒子の分散性を悪化させない範囲で、アルコール以外の溶媒(以下、「他の溶媒」と略記する)も併用することができるが、かかる他の溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。その中でも、芳香族炭素水素が、アルコール可溶性樹脂の溶解性及び塗布膜の乾燥性の点で好ましく、その中でも特にトルエン又はキシレンが好ましい。これらの他の溶媒は、1種類単独で使用してもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明における下引き層の塗布液は、少なくとも3級アルコールを含有することを特徴とするが、3級アルコールが全溶媒量に対して、10質量%から60質量%の範囲であることが好ましく、20質量%から50質量%の範囲であることが特に好ましい。3級アルコールが少なすぎると、下引き層の膜厚の均一性が得られない場合があり、一方、多すぎると、アルコール可溶性樹脂の溶解性が悪くなる場合がある。
3級アルコールと他のアルコールとの含有割合は、3級アルコール全体に対して、他のアルコールが、50質量%から300質量%の範囲であることが、下引き層塗布膜の均一性とアルコール可溶性樹脂の溶解性の点で好ましく、100質量%から200質量%の範囲であることが特に好ましい。また、「他の溶媒」の含有割合については、「他の溶媒」の量が「3級アルコールと他のアルコールとの合計」の量を超えないことが、アルコール可溶性樹脂の溶解性の点で好ましい。
[[下引き層の膜厚と形成方法]]
下引き層の膜厚としては、電子写真感光体として通常用いられる範囲の膜厚で使用できるが、通常0.1μm〜30μm、好ましくは0.5μm〜15μmで、更に好ましくは1μm〜10μm、特に好ましくは1μm〜6μmでである。更に、本発明においては下引き層の膜厚が3μm以上の場合に効果的であり、特に5μm以上の場合により効果的である。膜厚が薄すぎると、画像欠陥改善の効果が不十分になる場合があり、一方、厚すぎると電子写真感光体としての電気特性が不十分になる場合がある。
下引き層の塗布は、ある程度均一に塗布できる方法であれば、いかなる塗布方法を用いてもよいが、浸漬塗布方法、スプレー塗布方法、ノズル塗布方法等を用いて常法に従って塗布されることが好ましく、中でも、浸漬塗布方法が生産効率に優れる点で好ましい。
浸漬塗布法の一例としては、アルコール可溶性樹脂、要すれば無機化合物粒子、及び要すれば更にその他の成分を溶媒・分散媒に加えて、全固形分濃度が、塗布液全体に対して、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは10〜35質量%にする。塗布液の粘度については、好ましくは3センチポアーズ以上、特に好ましくは10センチポアーズ以上、上限は、好ましくは100センチポアーズ以下、特に好ましくは60センチポアーズ以下に調整して、下引き層形成用の塗布液を調製する。
その後、塗膜を乾燥するが、必要かつ充分な乾燥が行われるように、乾燥温度、乾燥時間を調整する。乾燥温度は、通常100〜250℃、好ましくは110〜170℃、更に好ましくは115〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機、遠赤外線乾燥機等を用いた方法を挙げることができる。ただし、下引き層の乾燥は常温で行い、その上に感光層を形成した後に加熱乾燥することが製造効率の点で好ましい。
[塗布膜一般]
上記下引き層の効果は、塗布性に関しては塗布膜一般に対しても同様にいえることである。従って、少なくとも、アルコール可溶性樹脂と無機化合物粒子を含有する塗布膜であって、該塗布膜が、少なくとも3級アルコールを塗布溶媒として含有している塗布液から形成されてなるものであることを特徴とする塗布膜は膜厚が均一であり滑らかである。また、該アルコール可溶性樹脂がポリアミド樹脂であるとき、その効果が顕著であることも塗布膜一般にも同様にいえることである。塗布膜は特に限定はないが、例えば、電子写真感光体の感光層、電子ペーパー用ブロッキング層用塗布膜、各種配管及びタンク用等金属材料の被覆用塗布膜等が挙げられる。
[感光層]
電子写真感光体は、導電性基体上に下引き層と感光層とを有する。感光層には、単層型と、電荷発生層と電荷輸送層に機能分離した積層型とがあるが、積層型が好ましい。
[[積層型における電荷発生層]]
感光層が機能分離した積層型の場合は、該下引き層の上に電荷発生層が設けられ、電荷発生層には電荷発生物質が含有される。電荷発生物質としては特に限定はないが、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。
フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ガリウムフタロシアニン、インジウムフタロシアニン、バナジウムフタロシアニン、銅フタロシアニン等があり、好ましくは、ガリウムフタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料、チタニルフタロシアニン顔料であり、その中でも、チタニルフタロシアニン顔料が特に好ましく、特定結晶系を有するオキシチタニウムフタロシアニンがより好ましい。
フタロシアニン顔料は単一の化合物のみを用いてもよいし、いくつかの混合状態で用いてもよい。ここで、フタロシアニン顔料の混合状態又は結晶状態における混合状態を形成する方法としては、それぞれの構成要素を後から混合して用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン顔料の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理、磨砕処理、溶剤処理等が用いられる。特に、結晶状態における混合状態であるいわゆる混晶状態のフタロシアニン顔料を用いた電子写真感光体は、特に高い感度を示し、温度変化等の環境変動に対する感度変化が小さいため好ましい。
電荷発生物質は単独で、又はバインダー樹脂と共に用いられて、電荷発生層を形成する。電荷発生層のバインダー樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体若しくは共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、顔料の分散性等の面で、ポリビニルアセタールが好ましい。
電荷発生物質とバインダー樹脂の割合は、特に制限はないが、一般的には電荷発生物質100質量部に対し、5〜500質量部、好ましくは20〜300質量部のバインダーポリマーを使用する。また電荷発生層は上記電荷発生物質の蒸着膜であってもよい。
また電荷発生層は、必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤、酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
電荷発生層を形成する場合、電荷発生物質をボールミル、超音波分散器、ペイントシェイカー、アトライター、サンドグラインダ等により適当な分散媒に分散又は溶解し、必要に応じてバインダー樹脂を添加して電荷発生層形成用塗布液を調整し、この塗布液を塗布形成する。電荷発生物質が単独で用いられる場合には、上記分散液にバインダーを添加せずに塗布液を調整し、塗布してもよいし、蒸着やスパッタリング等の方法で形成してもよい。電荷発生層の膜厚は、通常0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
[[積層型における電荷輸送層]]
該電荷発生層の上に電荷輸送層が設けられる。電荷輸送層は少なくともバインダー樹脂と電荷輸送物質を含有しているが、必要に応じて電子吸引性化合物、可塑剤、顔料、その他の添加剤等を含有していても良い。
本発明の電子写真感光体が機能分離型の感光層を有する場合、電荷輸送層中の電荷輸送物質としては、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリアセナフチレン等の高分子化合物;ジフェノキノン誘導体、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジアゾール誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物、これらの化合物が複数結合されたもの、又はこれらの化合物からなる基を主鎖若しくは側鎖に有する重合体等が挙げられる。なお、上記電荷輸送物質は、2種類以上を混合して使用してもよい。
電荷輸送層のバインダー樹脂としては、上記電荷輸送物質と相溶性が良く、塗膜形成後に電荷輸送物質が結晶化したり、相分離したりしないものが好ましい。それらの例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
電子吸引性化合物としては、テトラシアノキノジメタン、ジシアノキノメタン、ジシアノキノビニル基を有する芳香族エステル類等のシアノ化合物、2,4,6−トリニトロフルオレノン等のニトロ化合物、ペリレン等の縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、キノン類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、酸無水物、フタリド類、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩が挙げられる。好ましくは、シアノ化合物、ニトロ化合物、縮合多環芳香族化合物、ジフェノキノン誘導体、置換及び無置換サリチル酸の金属錯体、置換及び無置換サリチル酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属錯体、芳香族カルボン酸の金属塩が用いられる。
電荷輸送物質とバインダー樹脂の含有割合は、バインダー樹脂100質量部に対して、電荷輸送物質10質量部以上が好ましく、30質量部以上が特に好ましい。また、200質量部以下が好ましく、150質量部以下が特に好ましい。バインダー樹脂の含有割合が大きくなりすぎると、電気特性が悪くなる場合がある。また、電荷輸送物質は、通常バインダー樹脂と相溶性があり、感光層の機械的特性への影響度が高く、そのため電荷輸送物質の含有割合が大きくなりすぎると感光層の機械的強度が低下する場合がある。
電荷輸送層に、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるため又は感光層の機械的強度を更に向上させるために、周知の可塑剤、滑剤、分散補助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、増感剤、レベリング剤、安定剤、流動性付与剤、架橋剤等の添加物を含有させることも好ましい。酸化防止剤の例としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられ、界面活性剤の例としては、シリコ−ンオイル、フッ素系オイル等が挙げられる。
電荷輸送層の形成方法は後述するが、電荷輸送層の膜厚は、通常10μm〜50μm、好ましくは13μm〜35μmである。
[[単層型における感光層]]
該感光層が単層型の場合は、該下引き層上に単層の感光層が設けられる。該単層の感光層は、少なくとも上記で記載したフタロシアニン顔料とバインダー樹脂を含有することが好ましい、上記の他の電荷発生物質や上記の電荷輸送物質や上記の電子吸引性物質が含まれていてもよい。
この際、電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは、0.5μm以下で使用される。単層型感光層内に分散又は溶解される電荷発生物質の量は、感光層全体に対して、例えば、0.5〜50質量%の範囲である。少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下等の弊害がある。特に好ましくは、1〜20質量%の範囲で使用される。電荷輸送物質とバインダー樹脂の含有割合は、バインダー樹脂100質量部に対して、電荷輸送物質30質量部以上が好ましく、40質量部以上が特に好ましい。また、80質量部以下が好ましく、60質量部以下が特に好ましい。
積層型感光層における電荷輸送層の場合と同じく、バインダー樹脂の含有割合が大きくなりすぎると電気特性が悪くなる場合がある。また、電荷輸送物質は、通常バインダー樹脂と相溶性があるため、電荷輸送物質の含有割合が大きくなりすぎると、感光層の機械的強度が低下する場合がある。更に、単層型感光層には、積層型感光層における電荷輸送層に配合できるものと同様の添加剤が使用できる。
所定の成分を配合して得られた塗布液を、下引き層上に塗布、乾燥し、単層型感光層を形成するが、その膜厚は、通常2μm〜70μm、好ましくは10μm〜45μm、特に好ましくは20μm〜35μmである。
[[感光層一般の製造方法等]]
上記各層を塗布する際に使用される溶媒、分散媒としては、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2ージクロルエタン、1,2ージクロルプロパン、1,1,2−トリクロルエタン、1,1,1−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエタン、ジクロルメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類単独で使用してもよく、又は2種類以上を混合して用いてもよい。
感光層の塗布形成方法としては、電子写真感光体の感光層を塗布形成するのに通常用いられる、スプレー塗布法、バーコーター法、ブレード法、ロールコーター法、ワイヤーバー塗布法、ナイフコーター塗布法、スパイラル塗布法、リング塗布法、浸漬塗布法、スピンナー塗布法等、何れの塗布方法も用いることができる。塗布液を塗布後、乾燥することにより感光層を得る。
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送する方法を用いることにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機又はカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等が用いられる。
浸漬塗布法としては、一例としては以下のような電荷輸送層の塗布形成手順が挙げられる。電荷輸送物質、バインダー樹脂、溶剤等を用いて、全固形分濃度が好ましくは15質量%以上、特に好ましくは40質量%以下であって、粘度が好ましくは50センチポアーズ以上、特に好ましくは100センチポアーズ以上、好ましくは700センチポアーズ以下、特に好ましくは500センチポアーズ以下の電荷輸送層形成用の塗布液を調製する。ここで実質的に塗布液の粘度はバインダー樹脂の分子量により決まるが、前記した通り、分子量が低すぎる場合には感光層の機械的強度が低下するため、これを損なわない程度の分子量を持つバインダー樹脂を使用することが好ましい。このようにして調製された塗布液を用いて浸漬塗布法により電荷輸送層等の感光層が形成される。
その後、塗膜を乾燥するが、必要かつ充分な乾燥が行われる様に、乾燥温度、乾燥時間を調整する。乾燥温度は、通常100〜250℃、好ましくは110〜170℃、更に好ましくは115〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機、遠赤外線乾燥機等を用いた方法を挙げることができる。
更に、本発明の電子写真用感光体の感光層は、単層型でも、機能分離した積層型でも、成膜性、可とう性、塗布性、機械的強度を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤を含有していてもよい。更に、感光層の上に、機械的特性の向上及びオゾン、NOx等の耐ガス特性向上のために、オーバーコート層を用いても良い。更に必要に応じて、接着層、中間層、透明絶縁層等を有していてもよいことは言うまでもない。
[画像形成装置]
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。ただし、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性基体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、帯電方法としては、帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電シート等を用いた接触帯電方法;コロトロン、スコロトロン等を用いたコロナ帯電方法等が挙げられる。
そのうち好ましくは、接触帯電方法が、電子写真装置のコンパクト化が可能であり、帯電時に発生するオゾン量を少なくすることが可能であるために好ましい。また、本発明の電子写真感光体における下引き層の特徴が、リーク(絶縁破壊)抑制のためであるから、比較的リーク(絶縁破壊)を発生させやすい接触帯電方法に適用させることが、下引き層に耐リーク性のある本発明の効果を十分に生かすために好ましい。特に好ましくは、帯電ローラを用いた接触帯電方法である。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下、「感光体カートリッジ」という場合がある)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば、電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、トナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1、帯電装置2、トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に像露光を行なって、電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はなく、露光装置3の光源としては、例えば、ハロゲンランプ;蛍光灯;半導体レーザー、He−Neレーザー等のレーザー;LED等が挙げられる。
また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば、波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等で露光を行なえばよい。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や、湿式現像方式等の任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44及び規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジ等の容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等の金属ロール又はこうした金属ロールにシリコン樹脂、ウレタン樹脂若しくはフッ素樹脂等を被覆した樹脂ロール等からなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂ブレード;ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅等の金属ブレード又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転するようになっており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されている。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙、媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。クリーニング装置6については特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等の任意のクリーニング装置を用いることができる。本発明では、重合トナーが用いられるため、クリーニング部材で掻き落とす条件が強くなり、感光体1に対する負荷が大きくなる場合がある。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられている例を示す。上部及び下部の各定着部材71、72は、ステンレス、アルミニウム等の金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にポリテトラフルオロエチレン樹脂で被覆した定着ロール、定着シート等が公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71、72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
[画像の記録]
以上のように構成された電子写真感光体を用いた画像形成装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を現像装置4で行なう。現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
[作用・原理]
本発明の電子写真感光体の下引き層として3級アルコールを含有する塗布液を用いると、均一な塗布膜が得られ、画像欠陥が発生しにくい作用・原理は明確ではないが、また、その作用・原理に本発明は限定されるわけではないが、以下のようにも考えられる。すなわち、一般に、アルコール溶媒の表面張力は大きいためか塗布膜は均一で滑らかになりにくく、更に、膜厚が大きくなるとその問題はより大きくなる。また、無機化合物粒子を含有する場合、バインダー樹脂と無機化合物粒子では、比重、比熱等の物性が大きく異なり、塗布膜が乾燥中の膜内での対流が大きくなりやすく、塗布膜が均一で滑らかになりにくい。そこに、3級アルコールが含有されると、表面張力や対流が好適に制御されるためと推察される。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。
(分散液P1の調製方法)
体積平均一次粒子径が40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%の1−トリフルオロ−2−ジフルオロ−3−ジフルオロ−4−ジフルオロ−5−ジフルオロ−6−ジフルオロオクチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン社製「TSL8257」)とを、高速流動式混合混練機(カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール溶媒中でボールミルにより分散させることにより、無機化合物粒子の分散液である表面処理酸化チタン分散液を得た。分散条件は、表面処理酸化チタン/メタノール=1/3(質量比)で、ボールミルのボールはφ5mmのアルミナボールを用いた。
アルコール可溶性樹脂としては、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、40%/25%/5%/25%/5%からなる、数平均分子量13000のランダム共重合ポリアミド樹脂を用いた。
Figure 2007279620
上記した表面処理酸化チタン分散液に、攪拌しながらメタノール、tert−ブタノール及びトルエンを、最終組成が下記の組成になるように加え、更に、上記の共重合ポリアミド樹脂のペレットを下記の最終組成になるように攪拌しながら配合し、その後、60℃で加熱しながら攪拌混合を行なった。更に、超音波分散を行って、最終的に下記の組成になるように調整し分散液P1を得た。
・固形分濃度 :29質量%
・固形分組成比:酸化チタン/共重合ポリアミド樹脂=4/1(重量比)
・溶媒組成比 :メタノール/tert−ブタノール/トルエン=4/4/2(重量比)
(分散液P2の作製方法)
分散液P1を、上記比率の混合溶媒で希釈し、固形分濃度を27質量%にして分散液P2を得た。
(分散液Q1の作製方法)
固形分濃度と溶媒組成比を下記に示すように変えた以外は、分散液P1の作製方法と同じ方法で分散液Q1を得た。
・固形分濃度:28質量%
・溶媒組成比:メタノール/tert−ブタノール/トルエン=4/3/3(重量比)
(分散液R1の作製方法)
溶媒の種類と溶媒組成比を下記に示すように変えた以外は、分散液P1の作製方法と同じ方法で、固形分濃度29質量%の分散液R1を得た。
・溶媒組成比:メタノール/2−メチル−2−ブタノール/トルエン=4/3/3(重量比)
(分散液S1の作製方法)
溶媒の種類と溶媒組成比を下記に示すように変えた以外は、分散液P1の作製方法と同じ方法で固形分濃度29質量%の分散液R1を得た。
・溶媒組成比:メタノール/1−プロパノール/トルエン=5/2/3(重量比)
(分散液S2の作製方法)
分散液S1を上記比率の混合溶媒で希釈して、固形分濃度を28質量%にして分散液S2を得た。
(分散液S3の作製方法)
分散液S1を上記比率の混合溶媒で希釈して、固形分濃度を27質量%にして分散液S3を得た。
(分散液T1の作製方法)
溶媒の種類と溶媒組成比を下記に示すように変えた以外は、分散液P1の作製方法と同じ方法で固形分濃度29質量%の分散液T1を得た。
・溶媒組成比:メタノール/1−プロパノール/トルエン=4/3/3(重量比)
(分散液T2の作製方法)
分散液T1を上記比率の混合溶媒で希釈して、固形分濃度を28質量%にして分散液T2を得た。
(分散液T3の作製方法)
分散液T1を上記比率の混合溶媒で希釈して、固形分濃度を27質量%にして分散液T3を得た。
(分散液U1の作製方法)
溶媒の種類と溶媒組成比を下記に示すように変えた以外は、分散液P1の作製方法と同じ方法で固形分濃度29質量%の分散液U1を得た。
・溶媒組成比:メタノール/1−プロパノール/トルエン=6/1/3(重量比)
(分散液U2の作製方法)
分散液U1を上記比率の混合溶媒で希釈して、固形分濃度を27質量%にして分散液U2を得た。
実施例1
分散液P1に、表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ254mm、肉厚1.0mmのアルミニウム製シリンダーを浸漬塗布し、その乾燥膜厚が5.5μmとなるように下引き層を設けた。このドラムをドラムA1とする。
実施例2
分散液P1に代えて分散液P2を用い、乾燥膜厚を3.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムB1とする。
実施例3
分散液P1に代えて分散液P2を用い、乾燥膜厚を4.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムB2とする。
実施例4
分散液P1に代えて分散液P2を用い、乾燥膜厚を4.9μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムB3とする。
実施例5
分散液P1に代えて分散液P2を用い、乾燥膜厚を7.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムB4とする。
実施例6
分散液P1に代えて分散液Q1を用い、乾燥膜厚を5.5μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムC1とする。
実施例7
分散液P1に代えて分散液R1を用い、乾燥膜厚を4.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムD1とする。
実施例8
分散液P1に代えて分散液R1を用い、乾燥膜厚を5.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムD2とする。
比較例1
分散液P1に代えて分散液S1を用い、乾燥膜厚を5.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムE1とする。
比較例2
分散液P1に代えて分散液S2を用い、乾燥膜厚を4.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムF1とする。
比較例3
分散液P1に代えて分散液S2を用い、乾燥膜厚を5.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムF2とする。
比較例4
分散液P1に代えて分散液S3を用い、乾燥膜厚を3.2μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムG1とする。
比較例5
分散液P1に代えて分散液S3を用い、乾燥膜厚を4.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムG2とする。
比較例6
分散液P1に代えて分散液T1を用い、乾燥膜厚を5.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムH1とする。
比較例7
分散液P1に代えて分散液T2を用い、乾燥膜厚を4.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムI1とする。
比較例8
分散液P1に代えて分散液T2を用い、乾燥膜厚を5.5μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムI2とする。
比較例9
分散液P1に代えて分散液T3を用い、乾燥膜厚を3.5μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムJ1とする。
比較例10
分散液P1に代えて分散液T3を用い、乾燥膜厚を4.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムJ2とする。
比較例11
分散液P1に代えて分散液T3を用い、乾燥膜厚を4.8μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムJ3とする。
比較例12
分散液P1に代えて分散液U1を用い、乾燥膜厚を4.4μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムK1とする。
比較例13
分散液P1に代えて分散液U2を用い、乾燥膜厚を3.0μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムL1とする。
比較例14
分散液P1に代えて分散液U2を用い、乾燥膜厚を3.8μmにした以外は、実施例1と同様にして下引き層を設けた。このドラムをドラムL2とする。
次に、下引き層を設けたドラムA1からL2について、塗布上端から120mmの位置で、東京精密製の表面粗さ測定装置(商品名:サーフコム570)を用いて、JIS B0601に従って、平均表面粗さ(Ra)を測定した。その測定結果を表1に示す。
Figure 2007279620
表1から明らかなように、実施例において、tert−ブタノール又は2−メチル−2−ブタノールを塗布溶媒として含有する塗布液で塗布した下引き層の平均表面粗さ(Ra)は、膜厚を3.0μmから7.0μmに膜厚を変化させたが、どれも0.07μm以下で、表面が滑らかで均一な塗布膜が形成されていた。
一方、比較例である3級アルコールを含まない塗布液で塗布した下引き層の平均表面粗さ(Ra)は、何れも0.10μm以上で、実施例と比較して、表面が粗になっていることがわかった。特に、膜厚が5.0μm以上の場合は、Raは全て0.20μm以上になり、更に悪化していた。
上記のように、本発明の電子写真感光体の上記実施例の下引き層は、表面が滑らかで均一な塗布膜形成のために、非常にすぐれた効果を有していると判断できる。そして、かかる均一性のために、リーク(絶縁破壊)を抑制でき、画像欠陥や画像の濃度ムラの問題が解決された画質が良好な電子写真感光体を得ることができる。
下引き層として、膜厚が均一であり滑らかであるということは、塗布膜一般でも同様のことがいえるはずである。従って、上記評価結果は塗布膜一般にも言えることである。
本発明の電子写真感光体は、それを必要とする全ての分野で用いられるものであり、例えば、複写機、プリンター、印刷機等に広く好適に用いられるものである。更には、本発明の塗布膜は、均一で滑らかであるため、無機触媒粒子含有塗布膜、電子ペーパー用ブロッキング層形成用塗布膜、各種配管及びタンク用等金属材料の被覆用塗布膜等の、アルコール可溶性樹脂と無機化合物粒子を含有する可能性がある塗布膜を利用する分野に広く利用されるものである。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の一例を示す概念図である。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (7)

  1. 導電性基体上に、少なくとも、アルコール可溶性樹脂を含有する下引き層と、感光層とを有する電子写真感光体であって、該下引き層が、少なくとも3級アルコールを塗布溶媒として含有している塗布液から形成されてなるものであることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 該アルコール可溶性樹脂が、ポリアミド樹脂である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 該下引き層が、無機化合物粒子を含有しているものである請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 該下引き層の膜厚が3μm以上である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の電子写真感光体。
  5. 電子写真感光体の帯電方法が接触帯電方法で、かつ、請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする画像形成装置。
  6. 少なくとも、アルコール可溶性樹脂と無機化合物粒子を含有する塗布膜であって、該塗布膜が、少なくとも3級アルコールを塗布溶媒として含有している塗布液から形成されてなるものであることを特徴とする塗布膜。
  7. 該アルコール可溶性樹脂が、ポリアミド樹脂である請求項6に記載の塗布膜。
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