JP2007011312A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電材料として、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する、有機系の光導電材料を使用した感光体が主に使用されている。
一方、より高画質な画像を得るためや、入力画像を記憶したり自由に編集したりするために、画像形成のためのデジタル化が急速に進行している。過去には、デジタル的に画像形成するものとしては、ワープロやパソコンの出力機器であるレーザープリンター、LEDプリンターや一部のカラーレーザーコピア等に限られていたが、最近になって、従来アナログ的な画像形成が主流であった普通の複写機の分野でもデジタル化がほぼ完全に達成された。
これらの特性は電荷発生物質や電荷輸送物質、バインダー樹脂に大きく依存する。電荷発生物質としては、光入力用光源に対する感度を持つ必要があるため、主にフタロシアニン顔料やアゾ顔料が使われる。電荷輸送物質としては、多種のものが知られているが、ジアミン系化合物は、非常に低い残留電位を示すことから広く利用されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、短波長から長波長に亘る広い波長域の光を光入力用光源とした場合でも好適な電気特性を有し、さらに長期間繰り返し使用したとしても良好な画像を形成することができる電子写真感光体を提供すること、また該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ、および電子写真装置を提供することである。
また本発明の要旨は、前記電子写真感光体を使用したプロセスカートリッジ、および前記電子写真感光体を使用した電子写真装置にある。
<電子写真感光体>
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、本発明に係る一般式(1)で表される群から選ばれ、少なくとも一種は一般式(2)で表される群より選ばれる、複数種の化合物と、本発明に係る一般式(3)で表される繰り返し単位を含むバインダー樹脂を含有する感光層を設けたものであれば、その詳細な構成は特に制限されない。以下、代表的な構成について説明する。
<導電性支持体>
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を混合して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。また、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、その形態としては、例えばドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。さらに、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。また、下引き層は、単一層であっても、複数層を設けてもかまわない。
チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子などがあげられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いても良い。
酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。これらの処理は何れか1種でもよく、2種以上が施されていてもよい。
金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも下引き層の原料であるバインダー樹脂等の特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径として通常10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。なお、この平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(Transmission electron micloscope:以下適宜「TEM」という)により直接観察される粒子の径の算術平均値によって求めることが可能である。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、及び繰り返し特性、並びに製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下が望ましい。
<感光層>
感光層は、上述の導電性支持体上に(前述の下引き層を設けた場合は下引き層上に)形成される。感光層の型式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バ
インダー樹脂中に分散された単層構造のもの(以下適宜、「単層型感光層」という)と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層を含む、二層以上の層からなる積層構造のもの(以下適宜、「積層型感光層」という)とがあげられるが、何れの形態であってもよい。また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあげられるが、どのような形態を採用することも可能である。
本発明に係る一般式(1)〜(3)で表される化合物は、感光層が複数の層により形成されている場合にはそれらの層のうちどの層が含有していてもかまわず、別の層がそれぞれ別の化合物を含有していてもかまわないが、一般式(1)および一般式(2)で表される化合物は、通常電荷輸送能を有するため、これらの化合物は、通常電荷を輸送する機能が必要とされる層が含有している。好ましくは一般式(1)〜(3)で表される化合物を、同時に同一の層が含有しているものであって、特に好ましくは一般式(1)〜(3)で表される化合物を、積層型感光層の電荷輸送層が含有しているものである。
ル基、テルフェニリル基などがあげられ、好ましくは芳香族環が3個以下のものであり、特に好ましくはフェニル基である。
有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子があげられるが、さらにこれらが置換基を有していてもよい。また、置換基が環を形成していても構わず、Ar1〜Ar4のいずれか、または複数のアリール基と縮合環を形成していても構わない。前記置換基としては、炭素数10以下のアルキル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基である。また、置換基は独立に複数存在してもよい。
有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子があげられるが、さらにこれらが置換基を有していてもよい。前記置換基としては、炭素数10以下のアルキル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基である。また、置換基は独立に複数存在してもよい。
一般式(2)中のAr6およびAr8は、窒素原子に対して4位に置換基を有するアリール基であって、Ar7およびAr9は、窒素原子に対して3位に置換基を有するアリール基であるが、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基などがあげられ、好ましくは芳香族環が3個以下のものであり、特に好ましくはフェニル基である。
有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子があげられるが、さらにこれらが置換基を有していてもよい。前記置換基としては、炭素数10以下のアルキル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基である。また、置換基は独立に複数存在してもよい。
次に、一般式(1)および(2)で示される化合物について、その構造の具体例を例示する。例示は本発明の詳細な説明を行うために例示するものであり、一般式(1)および(2)で示される化合物は、本発明の趣旨に反しない限り以下の構造に限定されるものではない。
体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、或いはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等があげられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。なお、これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせで併用しても良い。本願発明に係る一般式(1)に含まれない電荷輸送物質を併用する場合、当該化合物の使用量は、本願発明に係る一般式(1)に含まれる化合物の全量よりも重量として少ないことが好ましく、特には、本願発明に係る一般式(1)に含まれない電荷輸送物質は含有せず、電荷輸送物質としては本願発明に係る一般式(1)で表される化合物のみを使用することが好ましい。
一般式(3)で表される繰り返し単位を含むバインダー樹脂は、電子写真感光体に使用可能な他の樹脂の有する、いかなる繰り返し構造との共重合体であっても構わず、共重合体である場合、一般式(3)で表される繰り返し単位数、および分子量に特に制限は無い。共重合体である場合の他の繰り返し構造として、ポリカーボネート樹脂の繰り返し構造、ポリエステル樹脂の繰り返し構造があげられる。感光層の機械的な特性を調整するため、好ましくは他の樹脂の有する繰り返し単位との共重合体が用いられる。この場合の共重合比率は、樹脂全体の繰り返し単位のユニット数に対して、ユニット数として1%以上、好ましくは3%以上であって、特に好ましくは5%以上であり、通常50%以下、好ましくは40%以下、特には30%以下である。
バインダー樹脂をジクロロメタンに溶解し、濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製する。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計
を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定する。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
次に、一般式(3)をユニットとして含む、本発明に用いられるバインダー樹脂の構造の具体例を例示する。例示は本発明の詳細な説明を行うために例示するものであり、本発明の趣旨に反しない限り以下の構造に限定されるものではない。
以下、本発明の好ましい実施様態として積層型感光層を例としてさらに詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明はこれらの実施様態に制限されるものではない。
・電荷発生層
積層型感光層の電荷発生層は、電荷発生物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生物質及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)、また、逆積層型感光層の場合には電荷輸送層上に塗布、乾燥して得ることができる。
しく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料の具体例としては、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などがあげられる。上記例示の有機顔料の中でも、特にフタロシアニン顔料およびアゾ顔料が好ましい。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン顔料が使用される。フタロシアニン顔料は、結晶型を有するものであっても無定形のものであっても構わないが、通常、感度が高いという点で結晶型のフタロシアニン顔料が好ましく用いられる。結晶型フタロシアニン顔料の中でも、特に感度の高い、X型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のオキシチタニウムフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型,I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
タロシアニン顔料を併用してもよく、中でもジスアゾ顔料またはトリスアゾ顔料と、フタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などがあげられる。中でも、下引き層を溶解しないものが好ましい。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電荷発生物質を分散媒中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法、遊星ミル分散法、ロールミル分散法、超音波分散法等の公知の分散方法を任意に用いることができる。なお、分散時には、電荷発生物質の粒子を通常0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、特に好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが有効である。
・電荷輸送層
本発明に係る積層型感光層の電荷輸送層は、一般式(1)で表される化合物群より選ばれる複数種の化合物、および一般式(3)で表される繰り返し単位を含むバインダー樹脂を含有するものであって、一般式(1)より選ばれる化合物群のうち少なくとも一種は一般式(2)で表される群よりなる化合物である。電荷輸送層の形成方法に特に制限は無いが、通常は、少なくとも一種が一般式(2)で表される群よりなる化合物であるような、一般式(1)で表される化合物群より選ばれる複数種の化合物を、一般式(3)で表される繰り返し単位を含むバインダー樹脂とともに、溶媒または分散媒に溶解または分散して電荷輸送層を塗布形成するための塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
脂、等が挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が特に好ましい。なお、これらは適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。またこれらの樹脂は、本発明の樹脂と併用する際、単独でも、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また膜厚は一般に5〜50μm、好ましくは10〜45μmがよい。なお電荷輸送層には、成膜性、可とう性、塗布性などを向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などの添加物を含有させてもよい。
また、電荷輸送層には、電子吸引性化合物を含有させても良い。電子吸引性化合物としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができるが、例えば、クロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3’,5,5’−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等の電子吸引性化合物があげられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質(本発明に係るトリフェニルアミン系化合物)、積層型感光層の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質、電荷輸送物質、及びバインダー樹脂を溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質は、積層型感光層の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100重量部に対して電荷発生物質が通常0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、また、通常30重量部以下、好ましくは10重量部以下の範囲とする。
積層型感光層、単層型感光層ともに、感光層またはそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加剤を含有させても良い。
積層型感光層、単層型感光層ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。
例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。
保護層は、導電性材料を適当なバインダー樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号、特開平10−252377号各公報に記載のトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
保護層に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報に記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶媒又は分散媒に溶解又は分散させて得られた塗布液を、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される
。この際用いる溶媒又は分散媒の種類や使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
さらに、塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なっても良い。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下適宜、感光体カートリッジという)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1,帯電装置2,トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
実施例1
下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
次に、電荷発生物質として、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行ない顔料分散液を作成した。こうして得られた160重量部の顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部と適量の1,2−ジメトキシエタンに加え、最終的に固形分濃度4.0%の分散液を作製した。
次に、電荷輸送物質として、下記構造を有するジアミン化合物(1−1)を25重量部、(2−1)を25重量部混合したもの計50重量部と、
実施例2
電荷輸送物質として、実施例1で示した電荷輸送物質の混合比を変え、(1−1)を35重量部、(2−1)を15重量部用いて計50重量部とした以外は、実施例1と同様にして、感光体ドラムBを得た。
実施例3
電荷輸送層のバインダーとして、下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート
(粘度平均分子量約30,000)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Cを得た。
電荷輸送層のバインダーとして、下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート(粘度平均分子量約30,000)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Dを得た。
電荷輸送物質として、下記構造のジアミン化合物(2−1)を単独で50重量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして感光体Eを得た。
電荷輸送物質として、下記構造のジアミン化合物(1−2)を25重量部、(1−1)を25重量部混合したもの計50重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして感光体Fを得た。
電荷輸送物質として、下記構造のジアミン化合物(2−1)を25重量部、ヒドラゾン
化合物(4−1)を25重量部混合したもの計50重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして感光体Gを得た。
電荷輸送層のバインダーとして、下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート(粘度平均分子量約30,000)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Hを得た。
電荷輸送層のバインダーとして、下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート(粘度平均分子量約30,000)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Iを得た。
電荷輸送層のバインダーとして、下記構造を繰り返し単位として持つポリカーボネート(粘度平均分子量約30,000)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体Jを得た。
電荷輸送物質として、下記構造のトリフェニルアミン化合物(1−3)を25重量部、(2−1)を25重量部混合したもの計50重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして感光体Kを得た。
感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで600nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(μJ/cm2)を感度E1とした。
また、得られた電子写真感光体ドラムを、780nmの半導体レーザーで書き込み露光される、A4毎分33枚出力のモノクロページプリンタ(ヒューレットパッカード社製「LaserJet4200」)のドラムカートリッジに搭載し、市場からノーブランドのリサイクルトナーを購入、取り付けた後にハーフトーンのベタ画像をプリントアウトし、画像形成評価試験を行なった。続けて、5%印字画像を10,000枚プリントアウトした後のハーフトーン画像についても評価した。ここで、出力画像は、感光体に対して高い品質を要求するリサイクルトナー使用時に於いて顕著に差が見られるため、画像出力にはリサイクルトナーを使用した。
実施例6
電荷発生層用の塗布液調製において、下記式(5−1)の電荷発生物質1.5部に1,2−ジメトキシエタン30部加え、サンドグラインドミルで8時間粉砕し、微粒化分散処理を行なった。続いて、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)0.75部、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製品、PKHH)0.75部を1,2−ジメトキシエタン28.5部に溶解したバインダー溶液と混合し、最後に1,2−ジメトキシエタンと4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノ
ンの任意混合液13.5部を加えて、固形分(顔料+樹脂)濃度4.0重量%の塗布液を調整した。これ以外は実施例1と同様にして感光体Lを作製した。
電荷輸送物質として、比較例3のジアミン化合物(1−1)を25重量部、ヒドラゾン化合物(4−1)を25重量部混合したもの計50重量部を用いたこと以外は、実施例5と同様にして感光体Mを得た。
実施例7
電荷発生物質として、実施例6の化合物(5−1)の代わりに下記化合物(5−2)を用いた以外は、実施例6と同様にして感光体Nを得た。
感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで600nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時
の照射エネルギー(μJ/cm2)を感度E1とした。
同様に、干渉フィルターを用いて500nmの単色光としたものを用い、同様の手順で、感度E3を測定した。
以上の結果をまとめて下表2に示す。
一方、比較例の感光体Nは600nmおよび500nmでは高い感度を示すことができるが、425nmでは感光体として十分な感度を示さなかった。これは電荷輸送物質の選択に問題があったためである。
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置(クリーニング部)
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)
Claims (5)
- 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記一般式(1)で表される群より選ばれる複数種の化合物、および下記一般式(3)で表される繰り返し単位を含むバインダー樹脂を含有するものであって、一般式(1)より選ばれる化合物群のうち少なくとも一種は、下記一般式(2)で表される群より選ばれる化合物であることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記感光層が、電荷発生層および電荷輸送層を有する感光層であって、該電荷発生層がフタロシアニン顔料および/またはアゾ顔料を含有することを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする、
画像形成装置用プロセスカートリッジ。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いて成ることを特徴とする画像形成装置。
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