JP2007277457A - エポキシ系樹脂組成物、カバーレイ、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【課題】各種電子材料において、回路のマイグレーションの発生を抑制するエポキシ系樹脂組成物の提供。
【解決手段】エポキシ樹脂と、硬化剤と、少なくともカルボキシ化NBRを含むエラストマと、イミノニ酢酸および/またはその誘導体と、を含有することを特徴とするエポキシ系樹脂組成物。及び絶縁フィルムの片面に該エポキシ樹脂組成物よりなる接着剤層を設けたカバーレイ、並びに該組成物が含有されたガラスクロスよりなるプリプレグ。
【選択図】なし
【解決手段】エポキシ樹脂と、硬化剤と、少なくともカルボキシ化NBRを含むエラストマと、イミノニ酢酸および/またはその誘導体と、を含有することを特徴とするエポキシ系樹脂組成物。及び絶縁フィルムの片面に該エポキシ樹脂組成物よりなる接着剤層を設けたカバーレイ、並びに該組成物が含有されたガラスクロスよりなるプリプレグ。
【選択図】なし
Description
本発明は、エポキシ系樹脂組成物、カバーレイ、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板に関する。
近年、電子機器の小型化、高密度化に伴い、フレキシブルプリント回路基板(以下FPC:Flexible Printed Circuit)上に形成される銅回路パターンの高精度化が進み、回路間隔が非常に狭くなってきている。また製品の使用環境も厳しくなり、高温、高湿下での信頼性も要求されている。
FPCは、通常、ポリイミドフィルム上に接着剤により銅箔を貼り合わせ、あるいは銅箔上にポリイミドワニスを塗布・乾燥することなどにより形成される銅張積層板(CCL:Copper−Clad Laminate)を用いて、その銅箔をエッチングして回路パターンを形成し、さらにその上に、接着剤を介して同じく可とう性を有する絶縁性のカバーレイ(CL:Cover Lay)で覆うことにより製造されている。すなわち、FPCにおいては、銅回路間はCLの接着剤により絶縁された構造をとる。
CLの接着に使用される接着剤としては、従来から種々のものが提案されている。例えば、エポキシ樹脂/アクリロニトリルブタジエン(NBR)、エポキシ樹脂/アクリル系エラストマなど、エポキシ樹脂にエラストマを添加した配合を有する接着剤が使用されている。とりわけ、分子構造中にカルボキシル基(−COOH)を有するカルボキシ化NBRを含有するエポキシ系接着剤は、接着強度、耐熱性、絶縁性などの特性のバランスがとれた良好な接着剤となるため、一般的に用いられている。
ところで、NBRを用いた接着剤はマイグレーション特性が悪いことが知られていたが、従来のように回路基板の回路間隔が広い場合には、実用上問題なかった。しかし、近年急速な回路間隔の狭ピッチ化(100μmピッチ以下)により、マイグレーション特性は大きな問題となっている。
ここで、マイグレーションとは、回路基板に電圧をかけた状態において、配線の銅が接着剤中をプラス側からマイナス側に移行して、そこで銅が樹木状析出物(デンドラント)として析出することにより、回路間の絶縁抵抗が著しく低下してしまう現象のことをいう。さらに、マイグレーションは高温、高湿下で促進される。
このようなマイグレーション問題を解決するために、いくつかの技術が提案されている。例えば以下のようなものが提案されている。
(1)接着剤塗膜の凝集力を高め、これによりマイグレーションを抑制しようとするもの(例えば特許文献1、2参照)。
(2)Na+、K+、Cl−などのイオン性不純物が少ないラジカル重合により合成されるアクリル系エラストマを使用することによりマイグレーションを抑制しようとするもの(例えば特許文献3参照)。
特許第2679316号公報
特許第1985201号公報
特開平7−235767号公報
(1)接着剤塗膜の凝集力を高め、これによりマイグレーションを抑制しようとするもの(例えば特許文献1、2参照)。
(2)Na+、K+、Cl−などのイオン性不純物が少ないラジカル重合により合成されるアクリル系エラストマを使用することによりマイグレーションを抑制しようとするもの(例えば特許文献3参照)。
しかし、(1)、(2)の方法とも、全体にアクリル系エラストマを用いているため、接着強度が低くなる傾向がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マイグレーションの発生を抑制することが可能なエポキシ系樹脂組成物、及びこれを用いたカバーレイ、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板を提供することを課題とする。
本発明は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、少なくともカルボキシ化ニトリルブタジエンゴムを含むエラストマと、イミノニ酢酸および/またはその誘導体と、を含有することを特徴とするエポキシ系樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、イミノニ酢酸および/またはその誘導体の含有量が、エポキシ系樹脂組成物中の固形分の総量を1として、10〜20000ppmの範囲であることを特徴とする上述に記載のエポキシ系樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、マイグレーション抑制剤である上述に記載のエポキシ系樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、絶縁フィルムの片面に接着剤層を設けてなるカバーレイであって、前記接着剤層を構成する樹脂組成物が上述に記載のエポキシ系樹脂組成物であることを特徴とするカバーレイを提供する。
また、本発明は、エポキシ系樹脂組成物が含有されたガラスクロスからなるプリプレグであって、前記エポキシ系樹脂組成物が上述に記載のエポキシ系樹脂組成物であることを特徴とするプリプレグを提供する。
また、本発明は、ベースフィルムと金属箔とを接着する接着剤層を設けてなる金属張積層板において、前記接着剤層が上述に記載のプリプレグからなることを特徴とする金属張積層板を提供する。
また、本発明は、上述に記載の金属張積層板を用いて形成したことを特徴とするプリント配線板を提供する。
本発明のエポキシ系樹脂組成物を用いれば、銅イオンを捕捉し、これが還元されてデンドラントの生成が抑制されるので、優れたマイグレーション特性を有するプリント配線板を得ることができる。特に、イミノニ酢酸またはその誘導体は分子中に2個のカルボキシル基を有しているため、銅イオンと2座配位のキレート構造を形成し、デンドランドの生成を抑制することができる。
まず、本発明のエポキシ系樹脂組成物の実施形態について説明する。本発明のエポキシ系樹脂組成物は、エポキシ系接着剤として、また、プリプレグなどに含浸させる樹脂組成物として、種々の用途に用いることができる。
本発明のエポキシ系樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、少なくともカルボキシ化NBRを含むエラストマ(C)と、イミノニ酢酸および/またはその誘導体(D)とを含有するエポキシ系樹脂組成物であることを特徴とする。
前記エポキシ樹脂(A)としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、および、これらのハロゲン化物(臭素化エポキシ樹脂など)や水素添加物などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂を単独あるいは、2種類以上組み合わせて使用してもよい。臭素化エポキシ樹脂などは、接着剤に難燃性が要求される場合に、特に有効である。
本発明のエポキシ系樹脂組成物は、特性を著しく損なわない範囲で、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂などを配合することもできる。他の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂と架橋するノボラック型フェノール樹脂、ビニルフェノール樹脂、臭素化ビニルフェノール樹脂などが挙げられる。
前記硬化剤(B)としては、前記エポキシ樹脂の硬化に用いるものであれば、特に制限なく使用することが可能である。硬化剤の例としては、脂肪族アミン、脂環族アミン、第2級もしくは第3級アミン、イミダゾール、酸無水物、フェノール樹脂などが例示される。
硬化剤は、1種類を単独で用いても良いし、または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。硬化剤の種類や配合量などは、通常の使用範囲内において、使用条件や目的とする特性などに応じて選択される。例えば、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して0.1〜100質量部とすることができる。
硬化剤は、1種類を単独で用いても良いし、または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。硬化剤の種類や配合量などは、通常の使用範囲内において、使用条件や目的とする特性などに応じて選択される。例えば、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して0.1〜100質量部とすることができる。
前記カルボキシ化NBRを含むエラストマ(C)は、エポキシ系樹脂組成物に柔軟性を付与するため添加するものであり、エポキシ樹脂中に分散するものであれば特に制限はないが、本発明のエポキシ系樹脂組成物においては、カルボキシ化NBRは必須の成分として添加される。カルボキシ化NBRの例としては、日本ゼオン社製のニポール1072やニポールFN3703、バイエル社製のテルバンXTなど(以上、いずれも商品名)が挙げられる。
また、カルボキシ化NBRとともに他のエラストマを併用することも可能である。他のエラストマとしては、カルボキシ化アクリルゴム、例えばベイマックHVG(三井デュポン・ポリケミカル社製)などが挙げられる。
本発明のエポキシ系樹脂組成物中のカルボキシ化NBRを含むエラストマ(C)の添加量は、特に制限されるものではないが、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の合計100質量部に対して20〜100質量部の範囲内が好ましい。カルボキシ化NBRを含むエラストマ(C)の配合量が上記の範囲内であることにより、優れたマイグレーション特性が得られるとともに、柔軟性と接着強度も充分確保できるものとなる。
また、カルボキシ化NBRとともに他のエラストマを併用することも可能である。他のエラストマとしては、カルボキシ化アクリルゴム、例えばベイマックHVG(三井デュポン・ポリケミカル社製)などが挙げられる。
本発明のエポキシ系樹脂組成物中のカルボキシ化NBRを含むエラストマ(C)の添加量は、特に制限されるものではないが、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の合計100質量部に対して20〜100質量部の範囲内が好ましい。カルボキシ化NBRを含むエラストマ(C)の配合量が上記の範囲内であることにより、優れたマイグレーション特性が得られるとともに、柔軟性と接着強度も充分確保できるものとなる。
前記イミノニ酢酸および/またはその誘導体(D)とは、下記の化学式(1)で表される化合物である。
イミノニ酢酸は、化学式(1)におけるRがHである。また、その誘導体としては、化学式(1)におけるRが、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のカルボキシアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基等が挙げられる。例えばイミノニ酢酸の誘導体のヒドロキシエチルイミノニ酢酸では、Rは−C2H2OHとなる。
イミノニ酢酸および/またはその誘導体をエポキシ系樹脂組成物に添加するには、イミノニ酢酸単体を添加する、イミノニ酢酸の誘導体1種類を添加する、イミノニ酢酸とイミノニ酢酸誘導体両方を添加する、複数のイミノニ酢酸誘導体を組み合わせて添加するなどしても、何ら差し支えない。
イミノニ酢酸および/またはその誘導体をエポキシ系樹脂組成物に添加するには、イミノニ酢酸単体を添加する、イミノニ酢酸の誘導体1種類を添加する、イミノニ酢酸とイミノニ酢酸誘導体両方を添加する、複数のイミノニ酢酸誘導体を組み合わせて添加するなどしても、何ら差し支えない。
本発明のエポキシ系樹脂組成物は、カルボキシ化NBRと、イミノニ酢酸またはその誘導体を含有するので、デンドライトの形成を抑制し、マイグレーション特性に優れたものとなる。イミノニ酢酸またはその誘導体がマイグレーションを抑制する機構は明らかではないが、本発明者は、電子回路を構成する金属のイオン(例えば銅イオン)がイミノニ酢酸またはその誘導体によって2座配位のキレートを形成され捕捉される作用などを推測している。
イミノニ酢酸および/またはその誘導体の含有量は、エポキシ系樹脂組成物中の固形分の総量を1として、好ましくは10〜20000ppmの範囲である。10ppm以上であると、樹脂中に十分に分散され、充分な効果を得やすい。また、20000ppmを超えると、エポキシ系樹脂組成物の酸性度が高くなり、銅イオン捕捉効果以上に銅回路の溶解を促進してしまう傾向にある。
本発明のエポキシ系樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の任意成分を配合することができる。前記任意成分としては、例えば充填剤、難燃剤、その他の添加剤が挙げられる。
充填剤としては、例えばシリカ、マイカ、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウムなどが挙げられる。難燃剤としては、一般に知られているものは特に制限なく使用できるが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物、三酸化アンチモン等の無機酸化物、ポリリン酸アンモニウム等の無機リン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤、無機臭素系難燃剤、有機臭素系難燃剤、有機塩素系難燃剤等が挙げられる。
その他の添加剤としては、回路との接着力を向上させるために、シランカップリング剤やイミダゾールなどが挙げられる。
充填剤としては、例えばシリカ、マイカ、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウムなどが挙げられる。難燃剤としては、一般に知られているものは特に制限なく使用できるが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機水酸化物、三酸化アンチモン等の無機酸化物、ポリリン酸アンモニウム等の無機リン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、含ハロゲンリン酸エステル系難燃剤、無機臭素系難燃剤、有機臭素系難燃剤、有機塩素系難燃剤等が挙げられる。
その他の添加剤としては、回路との接着力を向上させるために、シランカップリング剤やイミダゾールなどが挙げられる。
本発明のエポキシ系樹脂組成物をエポキシ系接着剤として接着対象物に塗布する場合には、エポキシ系接着剤に有機溶剤(E)を加えて接着剤溶液とし、得られた接着剤溶液を対象物に塗布し、乾燥させることが好ましい。これにより、この接着剤組成物を硬化してなる接着剤層が形成される。
接着剤溶液の調製に用いられる有機溶剤(E)としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、トリクロロエチレンなどが挙げられる。接着剤溶液中の固形分濃度は、好ましくは5〜70質量%の範囲であり、より好ましくは、10〜50質量%の範囲である。接着剤溶液の固形分濃度は5質量%未満では、塗工むら(接着剤層厚さのばらつき)が発生しやすくなる。一方、70質量%を超えると、粘度が上昇し、また、固形分と有機溶剤との相溶性低下によって塗布性が劣化するおそれがある。
接着剤溶液の調製に用いられる有機溶剤(E)としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、トリクロロエチレンなどが挙げられる。接着剤溶液中の固形分濃度は、好ましくは5〜70質量%の範囲であり、より好ましくは、10〜50質量%の範囲である。接着剤溶液の固形分濃度は5質量%未満では、塗工むら(接着剤層厚さのばらつき)が発生しやすくなる。一方、70質量%を超えると、粘度が上昇し、また、固形分と有機溶剤との相溶性低下によって塗布性が劣化するおそれがある。
前記接着剤溶液は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、カルボキシ化NBRを含むエラストマ(C)、イミノニ酢酸および/またはその誘導体(D)、有機溶剤(E)などの構成材料を所定量配合し、ポットミル、ボールミル、ホモジナイザー、スーパーミルなどを用いて攪拌混合することにより調製することができる。
本発明のエポキシ系樹脂組成物は、有機溶剤を加えて得られる接着剤溶液を対象物に塗布し、乾燥および硬化させることで、対象物の接着や封止などを行うために用いることができる。この接着剤組成物の乾燥および硬化に際しては、例えば20〜200℃程度の温度下で行うことができる。
本発明のエポキシ系樹脂組成物は、有機溶剤を加えて得られる接着剤溶液を対象物に塗布し、乾燥および硬化させることで、対象物の接着や封止などを行うために用いることができる。この接着剤組成物の乾燥および硬化に際しては、例えば20〜200℃程度の温度下で行うことができる。
上述のエポキシ系樹脂組成物は、種々の用途に好適に用いることができるが、とりわけ、フレキシブルプリント配線板(FPC)などの製造に用いるカバーレイ(CL)、プリプレグ、及び銅張積層板(CCL)などの電子材料用の接着剤材料として特に好適である。特に、少なくともカバーレイ側の接着剤として適用すれば、接着剤層の製造に用いられた接着剤組成物が本発明のエポキシ系樹脂組成物であることにより、マイグレーション特性に優れ、デンドライトの形成による回路間の絶縁抵抗の低下を抑えるなどの優れた効果を発揮する。
本発明のプリプレグおよび金属張積層板について説明する。
本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ系樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸させ、加熱により半硬化させることにより製造することができる。
本発明の金属張積層板は、ベースフィルムと金属箔との間に、本発明のエポキシ系樹脂組成物からなる接着層を設けてなるものである。金属張積層板の金属箔は銅箔が好ましいが、特にこれに限定されるものではない。
本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ系樹脂組成物を、ガラスクロスに含浸させ、加熱により半硬化させることにより製造することができる。
本発明の金属張積層板は、ベースフィルムと金属箔との間に、本発明のエポキシ系樹脂組成物からなる接着層を設けてなるものである。金属張積層板の金属箔は銅箔が好ましいが、特にこれに限定されるものではない。
本発明のカバーレイは、絶縁フィルムの片面に、本発明のエポキシ系樹脂組成物からなる接着剤層が設けられたものである。カバーレイ用の絶縁フィルムとしては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート樹脂)などからなる厚み10μm〜150μm程度のフィルムなどを用いることができる。カバーレイ側の接着剤層の厚み(乾燥後)は、例えば1μm〜100μm程度とすることができる。本発明のエポキシ系樹脂組成物から接着剤層を形成する方法は、上述したように、塗布などの方法によることができる。
本発明のカバーレイは、金属張積層板の金属箔(例えばCCLの銅箔面)を回路形成した後、その回路の保護として貼着するために用いることができる。このとき用いられるCCLとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミドなどからなるベースフィルムに銅箔を接着剤で接着してなる3層CCLや、銅箔の片面にポリイミドワニスを塗布して乾燥してなる2層CCLなどを用いることができる。3層CCLに用いられる接着剤に本発明のエポキシ系樹脂組成物からなるエポキシ系接着剤を用いると、信頼性の一層の向上ができるので、好ましい。
銅箔に回路や配線を構成する導体パターンを形成する方法は特に限定されるものではないが、例えばエッチングなどにより行うことができる。
カバーレイと回路板との積層は、カバーレイの接着剤層側と回路板の銅箔面側とが向かい合うように対向させた重ね合わせ、熱プレスなどにより一体化させる。熱プレス条件としては、例えば、加熱温度を140〜200℃程度、加熱時間を0.1〜3時間程度とすることができる。
このようにしてカバーレイと回路板とを積層一体化することにより、本発明のプリント配線板を得ることができる。
銅箔に回路や配線を構成する導体パターンを形成する方法は特に限定されるものではないが、例えばエッチングなどにより行うことができる。
カバーレイと回路板との積層は、カバーレイの接着剤層側と回路板の銅箔面側とが向かい合うように対向させた重ね合わせ、熱プレスなどにより一体化させる。熱プレス条件としては、例えば、加熱温度を140〜200℃程度、加熱時間を0.1〜3時間程度とすることができる。
このようにしてカバーレイと回路板とを積層一体化することにより、本発明のプリント配線板を得ることができる。
本発明のプリント配線板は、フレキシブルプリント配線板(FPC)、リジッドプリント配線板(RPC)、リジッド−フレックスプリント配線板など、種々のプリント配線板に適用することが可能である。本発明のプリント配線板によれば、カルボキシ化NBRと、イミノニ酢酸および/またはその誘導体と、を含有するエポキシ系樹脂によって回路間が絶縁保護されるので、デンドラントの形成による回路間の絶縁抵抗の低下を抑えることができる。特に、回路間ピッチが100μm以下である狭ピッチ回路を用いた場合でもマイグレーションの発生を防止することができ、高密度の回路パターンを備えたFPCなどのプリント配線板を製造することができる。この結果、電子機器の小型化が可能となるため、産業の発展に寄与することができる。
(試験例1〜13)
<接着剤溶液の調製>
以下の手順により、各試験例に係る接着剤溶液を調製した。
エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名「エピコート828EL」)100質量部、硬化剤(和光純薬社製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)30質量部、カルボキシ化NBR(日本ゼオン社製、商品名「ニポール1072」)50質量部をメチルエチルケトン(MEK)中に溶解分散させ、更にイミノニ酢酸および/またはヒドロキシエチルイミノニ酢酸を前記固形分(エポキシ樹脂、硬化剤、カルボキシ化NBR)に対して所定の濃度になるように添加し、固形分濃度30質量%の接着剤溶液を作製した(表1)。
<接着剤溶液の調製>
以下の手順により、各試験例に係る接着剤溶液を調製した。
エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名「エピコート828EL」)100質量部、硬化剤(和光純薬社製、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン)30質量部、カルボキシ化NBR(日本ゼオン社製、商品名「ニポール1072」)50質量部をメチルエチルケトン(MEK)中に溶解分散させ、更にイミノニ酢酸および/またはヒドロキシエチルイミノニ酢酸を前記固形分(エポキシ樹脂、硬化剤、カルボキシ化NBR)に対して所定の濃度になるように添加し、固形分濃度30質量%の接着剤溶液を作製した(表1)。
<マイグレーション特性評価用FPCサンプルの製造>
厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製、商品名「K−100V」)に対して、前記接着剤溶液を乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、さらに150℃で20分間乾燥することにより、カバーレイを得た。また、銅張積層板としては、ラインピッチが80μmのマイグレーション特性評価用クシ型電極パターンを含む評価用回路パターンが形成された2層CCL(有沢製作所製、商品名「PKW1018RA」)を用いた。前記カバーレイを前記銅張積層板と重ね合わせ、160℃、60分間、圧力5Mpaでプレス接着することにより、評価用FPCサンプルを製造した。
厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製、商品名「K−100V」)に対して、前記接着剤溶液を乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、さらに150℃で20分間乾燥することにより、カバーレイを得た。また、銅張積層板としては、ラインピッチが80μmのマイグレーション特性評価用クシ型電極パターンを含む評価用回路パターンが形成された2層CCL(有沢製作所製、商品名「PKW1018RA」)を用いた。前記カバーレイを前記銅張積層板と重ね合わせ、160℃、60分間、圧力5Mpaでプレス接着することにより、評価用FPCサンプルを製造した。
<マイグレーション特性試験方法>
マイグレーション特性評価用FPCサンプルを、温度85℃、相対湿度85%RHの高温高湿下に置き、導体間に50Vの直流電圧を印加して、電極間の絶縁抵抗を測定した。
マイグレーション特性評価用FPCサンプルを、温度85℃、相対湿度85%RHの高温高湿下に置き、導体間に50Vの直流電圧を印加して、電極間の絶縁抵抗を測定した。
表1の「マイグレーション特性」の欄に示す数字は試験開始後、絶縁抵抗値が107Ω未満に低下するまでの時間(単位hr)である(ここではこの時間を「短絡時間」という)。表1の試験例で、短絡時間が1000時間超である場合を優良(表1中◎で示す)と判定した。短絡時間が500時間を超え、1000時間未満のものは、「○」と評価した。短絡時間が500時間以下のものは「×」と評価した。
<評価結果>
試験例1〜13の結果から明らかなように、イミノニ酢酸および/またはその誘導体が含有していない場合(試験例1)に比べ、含有している場合(試験例2〜13)は明らかに短絡時間が長くなっており、マイグレーション特性が改良されていることがわかる。特に、イミノニ酢酸および/またはその誘導体が100ppm〜10000ppm含有している場合は短絡時間が1000時間超であり、絶縁抵抗値の低下が認められない。
試験例1〜13の結果から明らかなように、イミノニ酢酸および/またはその誘導体が含有していない場合(試験例1)に比べ、含有している場合(試験例2〜13)は明らかに短絡時間が長くなっており、マイグレーション特性が改良されていることがわかる。特に、イミノニ酢酸および/またはその誘導体が100ppm〜10000ppm含有している場合は短絡時間が1000時間超であり、絶縁抵抗値の低下が認められない。
本試験例において、エポキシ系接着剤中へのイミノニ酢酸および/またはその誘導体の添加により、絶縁抵抗の低下が著しく抑制された理由については、本発明者は以下のように考えている。すなわち、接着剤中の何らかの成分により銅回路から溶出した銅イオンが、接着剤中のイミノニ酢酸および/またはその誘導体と2座配位のキレートを形成することにより、捕捉されるなどの効果により、陰極側での銅の析出(デンドライトの生成)が抑えられたものと考えられる。
本発明は、例えば、種々の電子機器やその部品などを構成する電子材料に利用することができる。
Claims (7)
- エポキシ樹脂と、硬化剤と、少なくともカルボキシ化ニトリルブタジエンゴムを含むエラストマと、イミノニ酢酸および/またはその誘導体と、を含有することを特徴とするエポキシ系樹脂組成物。
- イミノニ酢酸および/またはその誘導体の含有量が、エポキシ系樹脂組成物中の固形分の総量を1として、10〜20000ppmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ系樹脂組成物。
- マイグレーション抑制剤である請求項1または2に記載のエポキシ系樹脂組成物。
- 絶縁フィルムの片面に接着剤層を設けてなるカバーレイであって、前記接着剤層を構成する樹脂組成物が請求項1〜3に記載のエポキシ系樹脂組成物であることを特徴とするカバーレイ。
- エポキシ系樹脂組成物が含有されたガラスクロスからなるプリプレグであって、前記エポキシ系樹脂組成物が請求項1〜3に記載のエポキシ系樹脂組成物であることを特徴とするプリプレグ。
- ベースフィルムと金属箔とを接着する接着剤層を設けてなる金属張積層板において、前記接着剤層が請求項5に記載のプリプレグからなることを特徴とする金属張積層板。
- 請求項6に記載の金属張積層板の金属箔面に、請求項4に記載のカバーレイを貼着してなることを特徴とするプリント配線板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006107543A JP2007277457A (ja) | 2006-04-10 | 2006-04-10 | エポキシ系樹脂組成物、カバーレイ、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板 |
Applications Claiming Priority (1)
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2006
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