JP2007275268A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】さらに飛距離を伸ばすことができるゴルフボールを提供する。
【解決手段】球状のコア1と、コア1の表面に形成される複数のリブ3と、リブ3によって囲まれる凹部4に充填される中間層5と、リブ3及び中間層5を覆うカバー7とを備え、コア1は中空に形成され、中間層5の総体積は、リブ3の総体積よりも大きく、しかも中間層5の比重がリブ3の比重よりも大きくなっており、中間層5は、径方向外方にいくにしたがって、コア1と同心の球面に沿う面積が増大する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多層構造のゴルフボールに関するものである。
ゴルフボールの飛距離は、長年にわたる研究の結果、大きく増大してきた。飛距離を増大させるための要素としては、種々のものを挙げることができるが、その一つにスピン量を少なくすることがある。スピン量を少なくするには、ボールの慣性モーメントを大きくする必要があるが、そのための構造として、ボールの径方向外方の重量配分を大きくすることが挙げられる。このような構造を実現するため、例えば特許文献1では、コアを中空にすることで、ボールの径方向内方の重量配分を小さくし、これによって径方向外方の領域の重量を大きくしている。
特開平10−174727号公報
上記のようにコアを中空にすると、ある程度は径方向外方の重量配分を大きくすることができるが、これによっても飛距離に対する要求を十分に満足したとは言えなかった。これに対して、中空の領域をさらに大きくすることで、径方向外方の重量配分を増大することも考えられるが、中空の領域を大きくしすぎると、コアの剛性が低下するとともに、コアとカバーとの間の中間層の層厚が小さくなる。そのため、反発性能が低下し、かえって飛距離が短くなるという問題がある。このように、コアを単に中空にするだけでは、慣性モーメントの増大にも限界があり、新たなアプローチによる慣性モーメントの増大を検討する必要があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、慣性モーメントの増大により、スピン量を低減し、飛距離を増大することが可能なゴルフボールを提供することを目的とする。
第1の本発明に係るゴルフボールは、上記問題を解決するためになされたものであり、球状のコアと、当該コアの表面に形成される複数のリブと、前記リブによって囲まれる凹部に充填される中間層と、前記リブ及び中間層を覆うカバーとを備え、前記コアの重量は、2.00〜11.60gであり、前記中間層の総体積は、前記リブの総体積よりも大きく、しかも前記中間層の比重が前記リブの比重よりも大きくなっており、前記中間層は、径方向外方にいくにしたがって、前記コアと同心の球面に沿う面積が増大するように構成されている。
第2の本発明に係るゴルフボールは、上記問題を解決するためになされたものであり、球状のコアと、当該コアの表面に形成される複数のリブと、前記リブによって囲まれる凹部に充填される中間層と、前記リブ及び中間層を覆うカバーとを備え、前記コアは、中空であり、前記中間層の総体積は、前記リブの総体積よりも大きく、しかも前記中間層の比重が前記リブの比重よりも大きくなっており、前記中間層は、径方向外方にいくにしたがって、前記コアと同心の球面に沿う面積が増大するように構成されている。
以上の構成によれば、コアの重量が11.60gであるか、或いは中空であるため、ボールを規定に基づいて作成した場合には、径方向外方の重量配分が大きくなる。したがって、ボールの慣性モーメントを大きくすることができる。そして、本発明では、コアの表面に次のようなリブ及び中間層を配置することで慣性モーメントをさらに大きくすることができる。すなわち、中間層の比重をリブよりも大きくするとともに、コアと同心の球面に沿う中間層の面積が、径方向外方にいくにしたがって増大するように構成し、中間層の総体積がリブの総体積よりも大きくしている。これにより、コアとカバーとの間の領域内における、径方向の重量配分を大きく変化させることができる。以下、これについて詳述する。
まず、従来のリブが設けられていないゴルフボールと比較する。従来例のいわゆるスリーピースのゴルフボールでは、中空コアとカバーとの間の領域は一種類の材料で構成されているため、径方向のある位置における微少厚さの球体の重量は、径方向外方にいくにしたがって徐々に重くなっていく。これに対して、本発明によれば、コアに近い領域では、比重の小さいリブの割合が多いのに対し、カバーに近い領域では比重の大きい中間層の割合が大きくなる。そのため、径方向の重量の変化勾配を大きくすることができ、ボールの全重量が従来例のものと同じであっても、カバー付近の重量は大きくなる。したがって、従来例のボールより慣性モーメントを大きく高めることができ、スピン量をさらに抑制することができる。その結果、飛距離を大きく伸ばすことができる。
上記のように、コアの重量を小さくするには、中空にすることができる。或いは、発泡材などの軽い材料でコアを構成し、コアの重量を2.00〜11.60gとすることもできる。これは、コアの重量が2.00gより軽くなると、コアとしての剛性や強度が不足するからであり、11.60gより重くなるとボールの慣性モーメントを大きくすることかできないからである。
このとき、コアの直径を大きくしすぎると、コアの剛性が低下するとともに、中間層の層厚が小さくなり、反発性能が低減するおそれがある。そこで、コアの直径は、21〜29mmとすることが好ましい。
また、上述したように、本発明に係るゴルフボールでは、中間層の比重をリブよりも大きくすることで、カバーに近づくにつれて重量が大きくなるように構成しているが、リブに対する中間層の比重比(中間層の比重/リブの比重)が大きいほど、カバー近傍とコア近傍との重量の差が大きくなり、慣性モーメントを大きくすることができる。この観点から、比重比は1.03以上であることが好ましく、1.11以上であることがさらに好ましい。一方、比重比が大きすぎる場合、例えば中間層の比重を大きくしすぎると、反発性能が低下することが分かった。このような観点から、比重比は1.50以下にすることが好ましく、1.43以下にすることがさらに好ましい。また、比重比を大きくするには、例えば、ゴム組成物又はエラストマーに、比重が8〜10の充填材を添加して中間層を形成すればよい。
また、中間層を構成する材料としては、反発特性のよい材料を採用することが好ましい。この反発特性の指標として、例えば、損失弾性率と貯蔵弾性率との比で表されるtanδ=(E’’)/(E’)の値が挙げられる。この値が小さいほど、弾性に富み反発特性が高いと考えられる。逆に大きいと粘性が高くなるので、飛距離が伸びないという問題が生じる。
上記ゴルフボールにおいて、リブによって囲まれる凹部は、リブの側面によって錐体状に形成することが好ましく、こうすることで、中間層の球面方向の面積を、径方向外方にいくにしたがって、徐々に増大させることができる。したがって、ボール内の重量配分も、径方向にいくにしたがって、確実に増大していくため、上述したようにカバーに近づくにしたがって重量が確実に大きくなる。その結果、ボールの慣性モーメントをさらに向上させることができ、スピンの低減、ひいては飛距離の増大につながる。
なお、本発明でいう「錐体状」とは、凹部がリブの側面によって囲まれて錐体状の領域を形成し、この領域がコアと同心の球面によって切り取られる面分の面積が、カバーからコアにいくにしたがって小さくなるような形状を意味している。この場合、上記面分の形状は特には限定されず、多角形状であっても円形状であってもよい。また、凹部はリブのみによって囲まれて錐体状に形成されている場合もあるし、その奥端部からコアが露出しリブの側面とコアとによって錐体状に形成される場合もある。コアが外部に露出しない場合であっても、本発明におけるコアに基づいてリブが配置されるように設計される。なお、コアが露出している場合であっても、その露出する部分は少なく、全体としては錐体状に形成される。
上記ゴルフボールにおいては、リブは種々の形態をとることができるが、例えば、コアの表面において互いに直交する3つの大円に沿って形成することができる。このようにすると、リブがコアの表面に均一に配置されるため、ボール表面のいずれの位置を打撃しても、ほぼ均一な性能、つまり、飛距離及びスピン性能が発揮される。
また、リブは、隣接する前記凹部間を連通する少なくとも1つの切欠部を備えていることが好ましい。このように、リブに切欠部を形成すると、製造時に次のような利点がある。例えば、リブに囲まれる凹部に中間層をプレス成形によって充填する場合、本発明に係るゴルフボールでは、隣接する凹部が切欠部を介して連通しているため、プレス成形を行うと、中間層用の材料は切欠部を介して各凹部に行き渡る。したがって、各凹部それぞれに中間層用の材料を直接充填する必要がなく、製造設備の簡素化及び製造時間の短縮が可能となる。また、射出成形により中間層を形成する場合にも、一つまたは少数のゲートで中間層を形成することができ、製造コストを低減することができる。
ところで、本発明においては、中間層及びリブの硬度は、特には限定されないが、これらの硬度を変更することで、異なる種類のゴルフボールを提供することができる。例えば、リブの硬度を中間層の硬度より大きくすると、次のようなボールにすることができる。すなわち、硬度の高いリブに囲まれた凹部に、硬度の低い中間層が充填されると、打撃時における中間層の球面方向の変形がリブによって制限される。そのため、ボールに付与された打撃力が球面方向に分散するのを防止することができ、打撃力を高い効率でボールの中心方向へ伝達することができる。その結果、硬度の低い中間層によってソフトな打球感を得ることができるにもかかわらず、大きい飛距離を得ることができる。
一方、中間層の硬度をリブの硬度よりも大きくすると、次のような利点がある。すなわち、中間層の総体積は、リブの総体積よりも大きいため、上記のように中間層の硬度を高くすると、高い反発性能を得ることができる。したがって、クラブのヘッドスピードが低くても飛距離を伸ばすことができる。さらに、次のような効果も得ることができる。一般的に、ゴルフボールとゴルフクラブとが接触すると、クラブフェース面との摩擦によりボールは周方向にねじれた状態となる。そして、ねじれたボールは弾性抵抗により元の状態に復元しつつバックスピンとは反対向きの力をボールに作用させる。このとき、ねじれたボールの変形が大きいほどバックスピンが抑制され飛距離を伸ばすことが可能になる。
このとき、リブによってボールが元の状態に戻ろうとする弾性抵抗が助長されるため、バックスピンを効果的に抑制することができる。より詳細に説明すると、このゴルフボールでは、リブの硬度が中間層の硬度よりも低いため、打撃によって中間層よりもリブが大きく変形する。そして、リブは単なる突出部ではなく中間層の周囲を囲む壁のように構成されているため、リブが復元する際にこの壁全面の力が中間層の周囲から大きく作用し、これによって、バックスピンと反対向きの力が助長される。その結果、飛距離を大きく伸ばすことができる。このような効果は、特にドライバーのような飛距離を狙ったクラブで打撃したときに現れる。
本発明に係るゴルフボールによれば、慣性モーメントを増大することができるため、スピン量を低減し飛距離を伸ばすことが可能となる。
以下、本発明に係るゴルフボールの一実施形態を図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係るゴルフボールの断面図、図2(a)はコア及びリブからなる半成品の斜視図、図2(b)はさらに中間層を被覆した半成品の斜視図である。なお、図1は、図2のA線に沿って切り取った場合の断面図であり、図2(a)及び図2(b)のA線は、同じ断面に沿う線である。
図1に示すように、本実施形態に係るゴルフボール1は、コア1の表面にリブ3を形成し、中間層5及びカバー7で被覆したいわゆるフォーピースゴルフボールである。ゴルフボールの直径は、規則(R&A、及びUSGA参照)の定めるところにより、42.67mm以上にする必要がある。但し、空力特性等を考慮するとボール径はできるだけ小さくすることが好ましく、例えば42.7〜43.7mmとすることができる。
コア1は、球状に構成され、その内部は中空になっている。コア1の直径は、21〜29mmであることが好ましく、肉厚は、コア1を形成する材料によっても異なるが、剛性を維持する観点から例えば2〜3mmであることが好ましい。これは、コア1の直径が小さすぎると径方向内方のボールの重量配分を径方向外方へ移動できなくなるため慣性モーメントの増大が期待できないからである一方、大きすぎるとコアとカバーとの間の領域が小さくなって反発性能が低下するからである。
また、図1及び図2に示すように、コア1の表面には、ゴム組成物で形成された3本のリブ(突条)3が設けられている。各リブ3は、コア1の表面に描かれ相互に直交する大円に沿って延びており、これらリブ3によりコア1の表面には8個の凹部4が形成されている。リブの高さは、例えば2.85〜9.65mmにすることが好ましい。図1に示すように、各リブ3は、コア1側にいくにしたがってその幅が増大するように断面台形状に形成されている。リブ3の径方向外方の上端部の幅aは1.5〜3.0mmにすることが好ましく、またリブ3の径方向内方の下端部の幅bは3.0〜12.0mmにすることが好ましい。この範囲外にすることもできるが、このようにリブ3の各端部の下限を設定することにより、製造時に後述する中間層を充填する際に、金型締めの圧力からくる中間層の充填圧によってリブ3が変形するのを防止することができる。その結果、コア1を金型の中心に正確に保持することができる。なお、上記各端部の幅a,bは、リブ3の高さが高くなるのにしたがって大きくすることが好ましく、例えばリブ3の高さを4.6mmにしたときは、下端部の幅bを6.0mmにすることができる。このようなリブ3の形状によって、各凹部4は3つのリブ3と、僅かに露出するコア1の表面とによって囲まれる三角錐状に形成されている。
中間層5は、ゴム組成物又はエラストマーで構成され、コア1の表面を覆い、その外形が略球状をなしている。図1に示すように、中間層5は、リブ3の高さとほぼ同じ層厚で、リブ3によって囲まれる8つの凹部4に充填されており、中間層5の表面からリブ3の先端が露出している。上述したように、リブ3は、カバー7側からコア1側にいくにしたがってその幅が増大するように構成されているため、中間層5は径方向外方にいくにしたがって、コア1と同心の球面方向の面積が大きくなっている。すなわち、図1に示すように、径方向外方にいくにしたがって、コア1と同心の球面方向の面積については、リブ3の割合R1が小さくなる一方、中間層5の割合R2が大きくなる。
8つの凹部4に充填された中間層5の合計体積は、リブ3の合計の体積よりも大きくなっており、さらに中間層5の比重がリブ3の比重よりも大きくなっている。これにより、中間層5の合計の重量は、リブ3の合計重量よりも大きくなっている。より詳細には、リブに対する中間層の比重比(中間層の比重/リブの比重)が1.03以上であることが好ましく、1.11以上であることがさらに好ましい。一方、この比重比は、1.50以下であることが好ましく、1.43以下であることがさらに好ましい。この点については、後述する。
カバー7は、エラストマーで構成され、リブ3の先端部及び中間層5を覆うとともに、その表面には図示を省略する所定のディンプルが形成されている。カバー7の層厚は1.2〜2.0mmとするのが好ましい。この範囲外も可能ではあるが、その理由は、カバー7の層厚が1.2mmより小さくなると、カバー7の耐久性が著しく低下するとともに成形が困難になる一方、2.0mmを越えると打感が硬くなり過ぎるからである。また、その硬度はショアD硬度56〜68とするのが好ましい。なお、カバー7の層厚とは、ディンプルが形成されていない径方向の最も外側の任意の一点から、中間層5と接する任意の一点までの距離を法線に沿って計測した値である。
次に、上記ゴルフボールの各部材を構成する材料について詳細に説明する。コアは、例えば、アイオノマー樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、PBT樹脂、PSF樹脂、FRP,FRTP等の軽量で比較的剛性の高い樹脂材料で形成することができる。
リブ3は、基材ゴム、架橋材、不飽和カルボン酸の金属塩、充填剤等を配合した公知のゴム組成物で製造することができる。基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリイソブレンゴム、スチレンブタジエンゴム、EPDM等を使用できるが、シス1,4結合を少なくとも40%以上、好ましくは80%以上を有するハイシスポリブタジエンを使用することが特に好ましい。
架橋剤としては、例えばジクミルパーオキサイドやt−ブチルパーオキサイドのような有機過酸化物を使用することができるが、ジクミルパーオキサイドを使用するのが特に好ましい。配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.3〜5重量部であり、好ましくは0.5〜2重量部である。
不飽和カルボン酸の金属塩としては、アクリル酸又はメタクリル酸のような炭素数3〜8の一価又は二価の不飽和カルボン酸の金属塩を使用することが好ましいが、アクリル酸亜鉛を使用するとボールの反発性能を向上することができ、特に好ましい。配合量は、基材ゴム100重量部に対して15〜45重量部にするのが好ましい。これは、配合量が15重量部より少ないと反発性能が低下して飛距離が短くなる一方、45重量部より多いと硬くなり過ぎてソフトフィーリングが低下するおそれがある。
充填剤は、コアに通常配合されるものを使用することができ、例えば酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を使用することができる。配合量は、基材ゴム100重量部に対して2〜50重量部にするのが好ましい。また、必要に応じて老化防止剤、またはしゃく解剤等を配合してもよい。
中間層5は、上記のようなゴム組成物またはエラストマーで構成されるが、ゴム組成物で構成する場合には、上記したリブ3と同様の成分で構成することができる。
中間層5をエラストマーで構成する場合には、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)のようなスチレン系熱可塑性エラストマー;ポリエチレンまたはポリプロピレンをハードセグメントとし、ブタジエンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴムをソフトセグメントとするオレフィン系熱可塑性エラストマー;結晶ポリ塩化ビニルをハードセグメントとし、非晶ポリ塩化ビニルまたはアクリロニトリル・ブタジエンゴムをソフトセグメントとする塩化ビニル系熱可塑性エラストマー;ポリウレタンをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとするウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとするポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとするポリアミド系熱可塑性エラストマー;アイオノマー樹脂などを使用することができる。
また、中間層5は上述したように、リブ3よりも比重を大きくする必要がある。そのためには、充填材として、比重8〜20を有する高比重の充填材を添加することが好ましい。このような高比重充填材としては、例えば、金属粉、金属酸化物、金属窒化物等またはそれらの混合物からなる群から選択される充填材である。具体的には、タングステン、タングステンカーバイト、モリブデン、鉛、酸化鉛、ニッケル、コバルト、銅またはこれらの混合物を添加することにより、比重を大きくすることができる。カバー7は、公知のエラストマーで構成され、ラバー充填材に使用される無機充填材である硫酸バリウムや二酸化チタン、酸化亜鉛を使用することができる。
以上のように、本実施形態によれば、コア1が中空に形成されているため、コア1とカバー7との間の領域の重量配分が大きくなる。そのため、ボールの慣性モーメントを大きくすることができる。さらに、本実施形態では、コア1と同心の球面に沿う中間層5の面積が、径方向外方にいくにしたがって増大するように構成され、さらに中間層5の比重はリブ3に比べて大きくなっている。また、中間層5の総体積がリブ3の総体積よりも大きくなっている。したがって、中空構造によってコア1とカバー7との間の領域の重量配分が大きくなったことに加え、次のような利点がある。
まず、従来のリブが設けられていないゴルフボールと比較する。図3は従来のコアが中空の3ピースゴルフボールの断面図である。同図に示すように、従来のゴルフボールでは、中空部分からカバーまでの領域は一種類の材料で構成されているため、径方向のある位置(半径r)における微少厚さ(Δr)の球体X(殻のみの球体)の重量は、径方向外方にいくにしたがって重くなっていく。より詳細には、球体Xの比重をρとすると、その重量は、4πr×ρ×Δrと近似することができる。これをグラフにしたものが、図4のXである。ここで、グラフ中のaはコア1の半径であり、aはカバー内壁面までの半径方向の長さである。
これに対して、本実施形態に係るゴルフボールが従来例のゴルフボールと同じ重量であるとすると、コア1の表面とカバー7との間の領域の重量は同じである。そして、中間層5の比重をρ、リブ3の比重をρとすると、3つの比重の関係は、ρ>ρ>ρとなる。ここで、本実施形態に係るゴルフボールでは、コア1の近傍では比重の小さいリブ3の割合が多く、カバー7にいくにしたがって比重の高い中間層5の割合が大きくなる。そのため、球体Xと同様の計算式で、本実施形態に係るボールにおける微少厚さの球体Yを考えると、その重量は、図4のYのようなグラフに近似することができる。
図4のグラフから明らかなように、本実施形態に係るゴルフボールでは、従来のようなボールと同じ重量でありながら、カバー付近の重量が大きくなる。したがって、従来例のボールより慣性モーメントを大きく高めることができ、スピン量をさらに抑制することができる。また、本実施形態では、凹部4の形状を三角錐状にしているため、中間層5の割合R2(図1参照)が径方向外方にいくにしたがって、徐々に大きくなっている。そのため、ボールの重量配分が径方向外方にいくにしたがって確実に大きくなり、上述したようにカバーに近づくにしたがって重量が確実に大きくなる。
以上のような観点から、リブ3に対する中間層5の比重比を大きくすれば、aにおける重量が小さくなる一方、aにおける重量が大きくなり、コア近傍とカバー近傍との重量差が大きくなる。したがって、カバー付近の重量をさらに大きくすることができ、それにしたがって慣性モーメントも大きくすることができる。一方、比重比が小さくなると、球体Xが描くグラフに近づいていく。そのため、慣性モーメントを大きくするには、リブに対する中間層の比重比がある程度大きい必要がある。そこで、この比重比をどの程度大きくすればよいかについて検討する。
まず、ボールの飛距離を伸ばすには、いわゆるキャリー(Carry)とラン(Run)をともに伸ばす必要がある。ランを伸ばすには、バックスピン量を低減させることが有効であり、これによって落下角度が低減するため、ランが伸びる。本実施形態に係るゴルフボールでは、上述したように慣性モーメントを増大させることでバックスピン量を低減できるため、ランを大きくすることが可能となる。一方、キャリーを伸ばすには、バックスピン量の低減のみならず、ボールの初期速度を向上させる必要がある。そのためには、ボールの反発特性を向上させなければならない。以下、反発性能について検討した結果を説明する。
ここでは反発性能を簡易に評価するため、ボールを40m/sで鉄板に衝突させたときの反発係数eを求めておき、これをR&Aが定義するCOR値eに換算する。eとeの比、つまりe/eは、約1.107であることが実験から分かっているので、この式に基づき、eからeを導出して反発係数として用いる。図5に、比重比と反発係数e、及び比重比と慣性モーメントとの関係を表すグラフを示す。なお、このグラフは、ボール径、ボール重量、カバーの材質、リブの比重を一定とし、リブの高さ(中間層の厚さ)、中間層の材質及び比重を適宜変更することで作成した。
上述したように、比重比を向上させると、それに伴って慣性モーメントIも増大する。一方、比重比と反発係数eとの関係については、図5に示すように、比重比が約1.21のあたりで最大となるような曲線を描くことが分かった。上述したように、慣性モーメントIと反発係数eとは、飛距離に影響を与える重要なパラメータであり、これらがともに高いほど、飛距離が伸びる。図5の2つのグラフによれば、比重比が1.28の近辺で飛距離が最も大きくなると予想される。そこで、比重比とトータル飛距離(キャリーとランの合計)との関係を弾道計算し、これをグラフに表すと、図6に示すようになった。この計算における条件は、以下の通りである。すなわち、ロフト角9°、長さ44.75インチ(113.66cm)、シャフト硬さS)の1番ウッドを想定し、ヘッドスピードを40m/sとして計算を行った。
図5及び図6の結果より、高いトータルを得るためには、リブに対する中間層の比重比が1.03以上であることが好ましく、1.11以上であることがさらに好ましい。このようにすると、慣性モーメントの値が高くなり、バックスピンの低下が期待できる。そして、この比重比は、1.50以下であることが好ましく、1.43以下であることがさらに好ましい。図5のグラフから分かるように、比重比が大きすぎると反発係数が低下する。したがって、比重比の上限を上記のようにすると、高い反発係数を得ることができ、長いキャリーを期待できる。
ところで、上記ゴルフボールでは、リブ3及び中間層5の硬度を変化させることにより、目的に応じたボールを構成することができる。まず、リブ3の硬度を中間層5の硬度よりも低くした場合について説明する。この場合、中間層5がリブ3によって囲まれた凹部4に充填されているため、カバー7の内壁面と接触する部分は、リブ3よりも中間層5の占める割合が大きくなっている。そのため、ボールを打撃すると、その打撃力の大半は硬度の高い中間層5に作用する。これにより、クラブのヘッドスピードが低くても、高い反発性能を得ることができ、飛距離を伸ばすことができる。また、次のような利点もある。一般的に、ゴルフボールとゴルフクラブとが接触すると、クラブフェース面との摩擦によりボールは周方向にねじれた状態となる。そして、ねじれたボールは弾性抵抗により元の状態に復元しつつバックスピンとは反対向きの力をボールに作用させる。このとき、ねじれたボールの変形が大きいほどバックスピンが抑制され飛距離を伸ばすことが可能になる。
ここで、上記のようなゴルフボールでは、リブ3によってボールが元の状態に戻ろうとする弾性抵抗が助長されるため、バックスピンを効果的に抑制することができる。より詳細に説明すると、図7(a)に示すように、このゴルフボールでは、リブ3の硬度が中間層5の硬度よりも低いため、クラブCによる打撃によって中間層5よりもリブ3が大きく変形する。この打撃によりボール自体にはバックスピンBを生じさせる応力が働く。そして、ボールがクラブCから離れる際には、図7(b)に示すように、硬度の低いリブ3の変形が復元されるため、この復元によってバックスピンBを相殺する方向に力Fが作用する。その結果、スピンが減り、飛び出し角度が高くなるため、飛距離をさらに伸ばすことができる。特に、上記ゴルフボールでは、リブ3が単なる突出部ではなく、中間層5の周囲を囲む壁のように構成されているため、リブ3が復元する際の力は、この壁全面によって中間層5の周囲から大きく作用し、これによって、バックスピンBと反対向きの力Fが助長される。したがって、バックスピン量が減少し、飛距離を離を大きく伸ばすことが可能となる。このような効果は、特にドライバー等の飛距離を狙ったクラブを使用したときに顕著になる。なお、図7では、現在の状態を実線で表し、その直前の状態を破線で表している。以上のような効果を得るためには、ショアD硬度で、リブ3の硬度を35〜58、中間層5の硬度を48〜68、両者の硬度の差を2〜17にすることが好ましい。この範囲外にすることもできるが、その理由は、例えばリブ3と中間層5との硬度差が大きすぎ中間層5の硬度が高くなると、中間層5の硬さが顕著に現れ、打感が硬くなるからである。一方、硬度差が小さすぎると、中間層5に対するリブ3の変形度合いが小さくなって上記バックスピンと反対向きの力が作用しにくくなるからである。
続いて、中間層5の硬度がリブ3の硬度よりも低い場合について説明する。このような構成にすると、硬度の高いリブ3に囲まれた凹部4に、硬度の低い中間層5が充填されているため、打撃時における中間層5の球面方向の変形がリブ3によって制限される。そのため、ボールに付与された打撃力が球面方向に分散するのを防止することができ、打撃力を高い効率でボールの中心方向へ伝達することができる。その結果、ソフトな打球感を得ることができるにも関わらず、大きい飛距離を得ることができる。
特に、上記実施形態では、凹部4を錐体状に形成して中間層5を充填しているため、次のような効果を得ることができる。すなわち、コア1とカバー7との間の領域では、カバー7からコア1にいくにしたがって、コア1と同心の球面におけるリブ3の占める割合R1が大きくなる。すなわち、図1に示すように、カバー7の近傍では中間層5の割合R2が大きい一方、コア1に近づくにつれてリブの割合R1が大きくなる。このとき、リブ3の硬度が中間層5の硬度よりも大きいため、カバー7付近では中間層5の性質が強く反映されて柔らかくなり、コア1に近づくにつれて徐々にリブ5の性質が強く反映されて硬くなる。そのため、カバー7付近では中間層5の硬度が低いため打撃の初期にはソフトフィーリングを得ることができ、打撃が進むにしたがって硬度が高くなって高い反発性能を得ることができる。このように、カバー7とコア1との間の領域は硬度がスムーズに変化する傾斜機能を有しているため、良好なソフトフィーリングと高反発性能とをバランス良く兼ね備えることができる。以上のような効果を得るためには、ショアD硬度で、リブ3の硬度を48〜65、中間層5の硬度を35〜50、両者の硬度の差を2〜17にすることが好ましい。
ところで、上述したリブは、種々の形状にすることができるが、製造時に中間層を効率よく成形する観点からは、次のような切欠部をリブに形成することが好ましい。図8はコア及びリブからなる半成品の斜視図、図9はその正面図である。
図8及び図9に示すように、切欠部31は、大円の交点Pを通る接平面Hに沿って延びる底面31aを有するように形成されている。すなわち、この接平面Hによってリブ3を切り取ることで切欠部31を形成している。このように切欠部31を形成することにより、大円の交点Pを中心として配置される4つの凹部4が連通し、後述するように、中間層用の材料を切欠部31を介して各凹部4に容易に行き渡らせることができる。この場合、図10に示すように、接平面Hからリブ3の中央側へ1〜3°傾斜した平面H、つまり交点Pを通るコア1の法線nと平面視において91〜93°の角度をなす平面に沿って切欠部31の底面31aを形成するようにしてもよい。このようにすると、上記傾斜が抜き勾配となり、例えば成形型が上型と下型の2つの型から構成されている場合に、コア1及びリブ3からなる半成品を成形型から容易に取り出すことができる。
また、上記のように切欠部31を形成する場合、図9に示すように、リブ3において各交点Pによって区切られた各円弧セクションSでは、切欠部31が形成されていない上端部の円弧方向の長さLを10mm以上にすることが好ましい。
また、リブ3の各円弧セクションSの中間に切欠部を設けることもできる。すなわち、図11に示すように、円弧セクションSの円弧方向の中心点Qを通る半成品の法線m上の一点から両端の交点P側へ延びる2つの底面32aを有するように切欠部32を形成することもできる。この場合、底面32aと法線mとが正面視で45〜48度をなすようにすることが好ましい。このようにすると、上記したように、半成品1を成形型から容易に抜き出すことができる。但し、上記角度が48度より大きくなると、上記したリブの円弧方向の長さLが短くなり好ましくない。また、この場合の切欠部32の深さDは、1.2mm以上にすることが好ましい。この範囲外も可能ではあるが、上記範囲にすることで、中間層用の材料を凹部4間でスムーズに流通させることができる。なお、切欠部32の深さDとは、切欠部32がない場合の仮想的なリブ3の上端から切欠部32の最深部までの距離をいう。また、円弧セクションSの中間部には、型抜きが容易に行える形状であれば、2個以上の切欠部を設けることもできる。
また、円弧セクションSが、図8、図9,または図10に示す切欠部31、及び図11に示す切欠部32の両方を有するようにしてもよい。
次に、上記のように構成されたゴルフボールの製造方法の一例を図面を参照して説明する。以下においては、中間層をゴム組成物で形成する場合の製造方法について説明する。図12及び図13は、図8に示すリブを有するゴルフボールの製造方法を示す図である。
まず、中空のコア1を形成する。コアの製造方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、2つ割りの半球状の殻を準備し、これらの開口縁部を接着、超音波ウェルダー等により接合し、中空のコアを製造する。こうして成形されたコア1を図12(a)に示す第1の成形型2内に配置する。第1の成形型2は、上型2a及び下型2bから構成されており、それぞれにコア1の表面と対応する半球状のコア受入部21が形成されている。コア受入部21の壁面には上記したリブ3を形成するためのキャビティ22が形成されている。キャビティ22は、コア受入部21の大円に沿って形成された複数の溝から構成されているが、3つの大円の各交点部分の溝は他の部分に比べて浅くなっている。これにより上記した切欠部31が形成されるようになっている。また、キャビティ22の表面は荒研磨により粗く仕上げられており、これによって成形されたリブ31の表面に微細な凹凸を形成することができ、中間層5との密着性を向上することができる。
そして、図12(b)に示すように、第1の成形型2のコア受入部21にコア1を配置するとともに、キャビティ22にリブ用の材料である未加硫のゴム組成物を配置し、例えば140〜165℃で10〜30分間全加硫してプレス成形を行い、コアの表面に複数のリブ3を形成する。
続いて、コア1及びリブ3からなる半成品を第1の成形型2から取り出し、第2の成形型6内に配置する。図13(a)に示すように、この第2の成形型6は、上型6a及び下型6bからなり、これらは上記リブ3の最外径と対応する球状のキャビティ61を備えている。すなわち、このキャビティ61の壁面にリブ3の上端面が接するようになっている。また、上型6a及び下型6bのキャビティ61は、第1の成形型2と同様に表面が粗く仕上げられるとともに、各キャビティ61の周囲には複数の凹状のバリを溜める部分62が形成されている。
そして、図13(a)に示すように、下型6bのキャビティ61に未加硫のゴム組成物N2を挿入するとともに、上記のように形成した半成品の上部にゴム組成物N2を配置し、この半成品を上型6a及び下型6bの間に配置する。続いて、図13(b)に示すように、上型6a及び下型6bを当接させ、ゴム組成物N2を140〜165℃で10〜30分間全加硫してプレス成形を行い、中間層5を形成する。
このとき、半成品の上部及び下部のキャビティ61に配置されたゴム組成物N2は、半成品の表面にプレスされながら、凹部4に充填されていく。上記したように隣接する各凹部4は切欠部31を介して連通しているため、ゴム組成物N2はすべての凹部4に行き渡り、均一に充填される。なお、中間層5は、例えば図14に示すような成形型8を用いて、射出成形により成形することもできる。この場合、切欠部31がなければすべての凹部4に対してゲートを設けなければゴム組成物N2が均一に充填されないが、上記のようにリブ3に切欠部31を設けることにより、成形型8a,8bに半成品を挿入した後、1箇所のゲート81からゴム組成物を注入しても、上記と同様に切欠部31を介して各凹部4にゴム組成物が均一に充填される。
このように、リブ3に切欠部31が形成され、隣接する凹部4が切欠部31を介して連通しているため、ゴム組成物N2が半成品の表面のいずれの位置からプレスされても、すべての凹部4に行き渡って充填される。したがって、1工程のプレス成形で、中間層5を半成品に被覆することができ、その結果、製造時間を大幅に短縮することができる。なお、ここでは、中間層5をゴム組成物を用いて構成しているが、エラストマーを用いることもできる。このようにすると、射出成形によって中間層5を形成することができる。
こうして中間層5の成形が完了すると、コア1、リブ3、中間層5からなる半成品を第2の成形型6から取り出す。これに続いて、この半成品の表面に、カバー7をプレス成形或いは射出成形により所定のディンプルを備えた状態に被覆するとフォーピースゴルフボールを得ることができる。
なお、上記の説明では、切欠部が形成されたリブを有するゴルフボールの製造方法について説明したが、切欠部がないものもほぼ同様の方法で製造することができる。但し、切欠部がない場合には、各凹部に中間層が充填されるように材料を配置してプレス成形したり、射出成形の場合には各凹部に対応する複数のゲートを設ける必要がある。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、コアの表面において、3つの大円に沿うようにリブを設けているが、これに限定されるものではなく、これ以外の形状または数のリブを設けることもできる。すなわち、コアの表面に上述した凹部が形成されれば、リブの形状は適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、中間層5の層厚とリブ3の高さとを同一にしているが、必ずしも同一である必要はなく、例えば、中間層5の層厚をリブ3の高さより厚くしてもよい。但し、リブ3の高さより若干高い程度、例えば1.5mm以内とすることが望ましい。
また、上記実施形態では、コア1を中空にしているが、コア1の重量が低く、例えば2.0〜11.6gであれば、中実でもよい。例えば、発泡材を添加し、注型、射出成形、RIM成形等でコアを形成すると、コアの軽量化が可能となる。
以下、本発明の実施例及びこれと対比する比較例を示す。ここでは、本発明の実施例に係る4種類のゴルフボールと、比較例に係る4種類のゴルフボールとを比較する。実施例1〜4及び比較例1,2は、図8に示すコア及びリブとほぼ同様のものを有するゴルフボールである。また、比較例3は、図15に示すようなコア及びリブとほぼ同様のものを有するゴルフボールである。このゴルフボールはコア1の径が大きいため、リブ3が低くなっており、またリブ3の間からのコア1の露出が多くなっている。また、比較例4は、従来の3ピースのゴルフボールである。以下、各実施例及び比較例のゴルフボールを構成する材料を表2に示す。
Figure 2007275268
また、各実施例及び比較例に係るゴルフボールのコア径等の寸法、比重、慣性モーメント、反発係数等を表2に示す。
Figure 2007275268
以上のように構成された実施例及び比較例を用い、打撃ロボット(ミヤマエ株式会社製SHOT ROBO v)による1番ウッド(1W:ミズノ株式会社製ミズノ300S−II380、ロフト角9°、長さ44.75インチ(113.66cm)、シャフト硬さS)を使用した打撃テストを行い飛距離を測定した。ここで、1番ウッドのヘッドスピードは40m/sとした。結果は、表3の通りである。
Figure 2007275268
打撃テストでは、比較例1で示されるように、リブに対する中間層の比重比が低すぎると、慣性モーメントが低くなるため、バックスピンが大きくなり、飛距離が伸びていない。反対に、比較例2では、比重比が大きすぎるため、慣性モーメントは大きいものの、反発係数が小さくなっている。その結果、ボールの初速が小さくなり、キャリーが伸びていない。比較例3では、コアの径が大きすぎるため、中間層の領域が小さく反発性能が小さくなっている。また、コアの径が大きく、中空の部分が大きいため、慣性モーメントは大きくなっている。その結果、落下角度が小さくなり、ランは伸びている。しかし、反発係数が小さいため、キャリーが伸びておらず、トータルの飛距離は、小さくなっている。比較例4は従来の3ピースのゴルフボールであり、リブがないため、バックスピンも大きく、飛距離も伸びていない。
これに対して、上記実施例1〜4では、リブの高さ、及び各部材の比重、反発パラメータが適切に設定されているので、比較例に比べ長い飛距離を得ることができた。
本発明に係るゴルフボールの一実施形態を示す断面図である。 図1のゴルフボールのコア及びリブからなる半成品(a)及びそれに中間層を設けた半成品(b)を示す斜視図である。 従来のゴルフボールの断面図である。 ボール内の径方向の重量を示すグラフである。 比重比と、反発係数及び慣性モーメントとの関係を示すグラフである。 比重比とトータル飛距離との関係を示すグラフである。 図1のゴルフボールの打撃時の状態を説明する一部断面図である。 図1のリブの他の例を示す斜視図である。 図1のコアの他の例を示す正面図である。 図1のコアの他の例を示す一部正面図である。 図1のコアの他の例を示す正面図である。 図1に示すゴルフボールの製造方法の一例を示す図である。 図1に示すゴルフボールの製造方法の一例を示す図である。 図1に示すゴルフボールの製造方法の他の例を示す図である。 比較例3に係るゴルフボールの断面図である。
符号の説明
1 コア
3 リブ
31,32 切欠部
5 中間層
7 カバー

Claims (8)

  1. 球状のコアと、
    当該コアの表面に形成される複数のリブと、
    前記リブによって囲まれる凹部に充填される中間層と、
    前記リブ及び中間層を覆うカバーと、を備え、
    前記コアの重量は、2.0〜11.6gであり、
    前記中間層の総体積は、前記リブの総体積よりも大きく、しかも前記中間層の比重が前記リブの比重よりも大きくなっており、
    前記中間層は、径方向外方にいくにしたがって、前記コアと同心の球面に沿う面積が増大する、ゴルフボール。
  2. 球状のコアと、
    当該コアの表面に形成される複数のリブと、
    前記リブによって囲まれる凹部に充填される中間層と、
    前記リブ及び中間層を覆うカバーと、を備え、
    前記コアは、中空であり、
    前記中間層の総体積は、前記リブの総体積よりも大きく、しかも前記中間層の比重が前記リブの比重よりも大きくなっており、
    前記中間層は、径方向外方にいくにしたがって、前記コアと同心の球面に沿う面積が増大する、ゴルフボール。
  3. 前記コアの直径は、21〜29mmである、請求項1または2に記載のゴルフボール。
  4. 前記リブに対する中間層の比重比は、1.03〜1.50である、請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
  5. 前記中間層は、ゴム組成物又はエラストマーに、比重が8〜10の充填材を添加することで形成される、請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
  6. 前記凹部は、前記リブの側面によって錐体状に形成されている、請求項1から5のいずれかに記載のゴルフボール。
  7. 前記リブは、前記コアの表面において互いに直交する3つの大円に沿って形成されている、請求項1から6のいずれかに記載のゴルフボール。
  8. 前記リブは、隣接する前記凹部間を連通する少なくとも1つの切欠部を備えている、請求項1から7のいずれかに記載のゴルフボール。
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