JP4038671B2 - マルチピースゴルフボール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層構造のマルチピースゴルフボールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフボールは、高い反発性及び打撃時のソフトフィーリングを兼ね備えた種々のものが提案されており、その一種にボールを複数の層で構成する多層構造のマルチピースゴルフボールがある。一般に、多層構造のゴルフボール、特に3層構造以上のゴルフボールでは、剛性の高いコアに、比較的剛性の低い中間層を被覆し、その外側を硬質のカバーで覆うことにより、コアの剛性と中間層の軟質性とを生かして、高反発性と打撃時のソフトフィーリングとを両立させようとしている。このようなマルチピースゴルフボールとしては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0003】
【特許文献1】
特公平3−52310号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような多層構造のゴルフボールでは、ボールの打撃時に、打撃を受けた部分の中間層が押圧され、層の厚さ方向のみならず球面に沿う方向にも変形しつつ移動するため、打撃力が球面に沿う方向に分散され易い。したがって、打撃時のソフトフィーリングは得られるものの、高い反発力が得難いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、高い反発性と打撃時のソフトフィーリングとを兼ね備えたマルチピースゴルフボールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、コア、中間層、及びカバーを備えた多層構造のマルチピースゴルフボールであって、前記カバーの厚さは、0.8〜2.4mmとなっており、前記コアが、球体部と、該球体部の表面に設けられ前記中間層の層厚とほぼ同一の高さを有するリブとを備え、該リブは、前記球体部上に描かれる相互に直交する3つの大円に沿って延び、その高さが1.2〜4.6mmに形成されており、前記各大円の交点で区切られた前記リブの各円弧セクションには切欠部が形成され、前記各円弧セクションにおける前記切欠部が形成されていない上端部の長さが10mm以上となっており、且つ前記切欠部の深さが1.2mm以上となっており、前記中間層が、前記リブにより囲まれた8つの凹陥部内において、前記球体部の表面と前記カバーとの間に充填されていることを特徴とするマルチピースゴルフボールを提供するものである。
【0007】
このような構成によれば、中間層が、リブによって仕切られ分割された8つの凹陥部に充填されているため、ボールが打撃されたときに、打撃力の一部は剛性の高いリブからコアに伝えられ、他の部分は軟質の中間層を経てコアに伝えられる。そして、打撃を受けた部分の中間層は、球面に沿う方向へ変形する可動範囲がリブによって制限されているため、打撃力が球面に沿う方向に分散されるのを防止することができる。このように、打撃力の一部は高剛性のリブで効率よくコアの球体部に伝えられ、他の部分は軟質で且つ変形域を制限された中間層を経てコアの球体部に伝えられる。その結果、高い反発性と打撃時のソフトフィーリングの双方を得ることが可能となる。
【0008】
また、上記ゴルフボールでは、リブに切欠部が形成されており、これによって製造時に次のような利点がある。製造時には、コアの成形後、そのコアを中間層形成用の材料とともに成形型に挿入しプレス成形する。このとき、本発明に係るゴルフボールでは、隣接する凹陥部が切欠部の箇所で互いに連通しているため、プレス成形を行うと、中間層形成用の材料は切欠部を介して各凹陥部に行き渡り、コアの表面を被覆する。したがって、各凹陥部にそれぞれ中間層用の材料を直接充填する必要がなく、製造設備の簡素化及び製造時間の短縮が可能となる。また、射出成形により中間層を形成する場合にも、ゲートが1つの金型で中間層を形成することができる。
【0009】
このとき、切欠部の大きさを大きくしすぎると、打撃時の中間層の可動範囲の制限が不十分になり、高反発性を得られなくなる。そこで、本発明では、各円弧セクションにおける切欠部が形成されていない上端部の長さを10mm以上としている。一方、切欠部の大きさが小さすぎると、中間層形成用の材料が隣接する凹陥部に行き渡りにくくなる。そこで、本発明では、前記切欠部の深さを1.2mm以上としている。
【0010】
上記切欠部は、種々の形状にすることができるが、例えば、次のようにすることができる。すなわち、切欠部が、前記大円の交点を通る前記球体部の法線(接平面に垂直な線)上の一点から前記円弧セクションに沿って延びる面を有し、該面が、前記法線に対し90°以上の角をなすように形成することができる。こうすることで、大円の交点を中心に配置される4つの凹陥部が互いに連通し、中間層形成用の材料が行き渡りやすくなる。このとき、前記面と前記法線とのなす角が91〜93°とすることが好ましい。このようにすると、上記角度が抜き勾配を形成し、例えば上型及び下型の2つの成形型でコアを成形するときに、コアを成形型から抜き出しやすくなる。
【0011】
また、切欠部を、円弧セクションにおける円弧方向の中間部に形成することもできる。こうすることで、リブを介して隣接する凹陥部が連通する。このとき、切欠部が、各円弧セクションにおける円弧方向の中心点を通る球体部の法線上の一点から前記交点側へそれぞれ延びる2つの面を有し、前記各面と前記法線とのなす角が45〜48度であるようにすることが好ましい。或いは、切欠部が、各円弧セクションにおける円弧方向の中心点を通る球体部の法線上の一点から前記交点側へそれぞれ延びる2つの平面に沿う側面と、前記両側面を結ぶ底面とを有しており、前記各側面と前記法線とのなす角が45〜48度であるようにすることもできる。このようにすると、上記角度が抜き勾配となり、例えば上型及び下型の2つの成形型でコアを成形するときに、コアを成形型から抜き出しやすくなる。
【0012】
また、前記リブは、断面台形状に形成され、該リブの径方向外方端の幅が1.5〜2.0mmに形成されており、且つ径方向内方端の幅が3.0〜6.0mmに形成されているものとすることができる。上記のようにリブの各端部の幅の下限を設定することによって、中間層形成用の材料を凹陥部内に行き渡らせるための充填圧によりリブが変形するのを防止することができる。また、上記上限値を設定することにより、リブの幅が大きくなりすぎず、したがって、打撃時のソフトフィーリングが低下するのを防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るマルチピースゴルフボールの一実施形態を図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係るゴルフボールの断面図、図2はコアの斜視図、図3はコアの正面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るゴルフボール1は、コア3を中間層5及びカバー7で被覆したいわゆるスリーピースゴルフボールである。ゴルフボールの直径は、規則(R&A、及びUSGA参照)の定めるところにより、42.67mm以上にしなければならない。但し、空力特性等を考慮するとボール径はできるだけ小さくすることが好ましく、例えば42.7mmとすることができる。
【0015】
コア3は、ゴム組成物で構成され、図2に示すように、球体部9と、その表面に一体形成された3本のリブ11とから構成されている。各リブ11は、球体部9上に描かれる相互に直交する3つの大円に沿って延びている。これらリブ11により球体部9の表面にはリブ11によって囲まれる8個の凹陥部13が形成されている。
【0016】
球体部9の直径は28.7〜38.7mmにするのが好ましく、34.7〜35.9mmにするのがさらに好ましい。また、リブ11の高さは1.2〜4.6mmであることが好ましく、1.8〜2.2mmにすることがさらに好ましい。これは、リブ11の高さが中間層5の層厚とほぼ同じであり、このことから、リブ11の高さが1.2mmより小さくなると、中間層5の層厚が薄くなって打感が硬くなる一方、4.6mmより大きくなると、中間層5の層厚が厚くなりすぎて打感が柔らかくなりすぎるからである。また、コア3の硬度は、高い反発性を得るため、JIS−C型硬度68〜85であることが好ましい。
【0017】
図4に示すように、リブ11は断面台形状に形成されている。リブ11の径方向外方の上端部の幅aは1.5〜2.0mmにすることが好ましく、またリブ11の径方向内方の下端部の幅bは3.0〜6.0mmにすることが好ましい。このようにリブ11の各端部の下限を設定することにより、製造時に中間層5を充填する際に、金型締めの圧力からくる中間層の充填圧によってリブ11が変形するのを防止することができる。その結果、コア3を金型の中心に正確に保持することができる。また、上記のようにリブ11の各端部の上限を設定することにより、硬度の高いリブ11とカバー7内面とが接する部分が広くなりすぎず、打撃時のソフトフィーリングを適度に保つことができる。なお、上記各端部の幅a,bは、リブ11の高さが高くなるのにしたがって大きくすることが好ましく、例えばリブ11の高さを4.6mmにしたときには、下端部の幅bを6.0mmにすることができる。
【0018】
また、リブ11には次のような切欠部24が設けられている。図3に示すように、切欠部24は、大円の交点Pを通る接平面Hに沿って延びる底面24aを有するように形成されている。このように切欠部24を形成することにより、大円の交点Pを中心として配置される4つの凹陥部13が連通し、後述するように、中間層用の材料を切欠部24を介して各凹陥部13に容易に行き渡らせることができる。この場合、図5に示すように、接平面Hからリブ11の中央側へ1〜3度傾斜した平面H1、つまり交点Pを通る球体部9の法線nと平面視において91〜93°の角度をなす平面に沿って切欠部24の底面24aを形成するようにしてもよい。このようにすると、上記傾斜が抜き勾配となり、例えば成形型が上型と下型の2つの型から構成されている場合に、コア3を成形型から容易に取り出すことができる。但し、平面H1の傾斜がこれより大きくなると、後述するように、切欠部が形成されていないリブ11の上端部の円弧方向の長さLが短くなり、中間層の可動を制限するリブの効果が低減するため、好ましくない。
【0019】
また、上記のように切欠部24を形成する場合、図3に示すように、リブ11において各交点Pによって区切られた各円弧セクションSでは、切欠部24が形成されていない上端部の円弧方向の長さLを10mm以上にすることが好ましい。これは、長さLが10mmより小さくなると、後述するように、中間層の可動が制限されにくくなり、反発性能が低下するからである。
【0020】
コア3は、基材ゴム、架橋材、不飽和カルボン酸の金属塩、充填剤等を配合した公知のゴム組成物で製造することができる。基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリイソブレンゴム、スチレンブタジエンゴム、EPDM等を使用できるが、シス1,4結合を少なくとも40%以上、好ましくは80%以上を有するハイシスポリブタジエンを使用することが特に好ましい。
【0021】
架橋剤としては、例えばジクミルパーオキサイドやt−ブチルパーオキサイドのような有機過酸化物を使用することができるが、ジクミルパーオキサイドを使用するのが特に好ましい。配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.3〜5重量部であり、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0022】
不飽和カルボン酸の金属塩としては、アクリル酸又はメタクリル酸のような炭素数3〜8の一価又は二価の不飽和カルボン酸の金属塩を使用することが好ましいが、アクリル酸亜鉛を使用するとボールの反発性能を向上することができ、特に好ましい。配合量は、基材ゴム100重量部に対して15〜45重量部にするのが好ましい。これは、配合量が15重量部より少ないと反発性能が低下して飛距離が短くなる一方、45重量部より多いと硬くなり過ぎてソフトフィーリングが低下するおそれがあるからである。
【0023】
充填剤は、コアに通常配合されるものを使用することができ、例えば酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を使用することができる。配合量は、基材ゴム100重量部に対して10〜30重量部にするのが好ましい。また、必要に応じて老化防止剤、またはしゃく解剤等を配合してもよい。
【0024】
中間層5は、ゴム組成物或いはエラストマーで構成され、コア3の表面を覆っている。図1に示すように、中間層5は、リブ11の高さと同じ層厚で、リブ11に囲まれた8個の凹陥部13内に充填されており、中間層5の表面にリブ11の先端部が露出している。なお、中間層5の硬度は、打撃時のソフトフィーリングを得るため、コアよりも低いJIS−C型硬度60〜80であることが好ましい。また、中間層5をゴム組成物で構成する場合には、上記したコア3と同様の成分で構成することができる。ただし、コア3より硬度を下げるために、不飽和カルボン酸および有機過酸化物の配合量を少なくすることが望ましい。
【0025】
中間層5をエラストマーで構成する場合には、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)のようなスチレン系熱可塑性エラストマー;ポリエチレンまたはポリプロピレンをハードセグメントとし、ブタジエンゴムまたはエチレン・プロピレンゴムをソフトセグメントとするオレフィン系熱可塑性エラストマー;結晶ポリ塩化ビニルをハードセグメントとし、非晶ポリ塩化ビニルまたはアクリロニトリル・ブタジエンゴムをソフトセグメントとする塩化ビニル系可塑性エラストマー;ポリウレタンをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルウレタンをソフトセグメントとするウレタン系可塑性エラストマー;ポリエステルをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとするポリエステル系可塑性エラストマー;ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメントとするアミド系可塑性エラストマー;アイオノマー樹脂;バラタゴムなどを使用することができる。
【0026】
図1に示すように、カバー7は、リブ11の先端部と中間層5とを覆うとともに、その表面には図示を省略する所定のディンプルが形成されている。カバー7の層厚は0.8〜2.4mmとするのが好ましく、1.6〜1.8mmとするのがさらに好ましい。これは、カバー7の層厚が0.8mmより小さくなると、カバーの耐久性が著しく低下するとともに成形が困難になる一方、2.4mmを越えると打感が硬くなり過ぎるからである。また、硬度はショアD硬度48〜72とするのが好ましい。このカバー7は公知のエラストマーで構成され、上記中間層と同じものを使用することができる。なお、カバー7の層厚とは、ディンプルが形成されていない径方向の最も外側の任意の一点から、中間層と接する任意の一点までの距離を法線に沿って計測した値である。
【0027】
このように構成されたゴルフボール1は、リブ11の上端部がカバー7に接しており、中間層5がリブ11によって仕切られ分割された8個の凹陥部13内に充填されている。したがって、ボール1が打撃されたときに、打撃力の一部は剛性の高いリブ11からコア3に伝えられ、他の部分は軟質の中間層5を経てコア3に伝えられる。そして、打撃を受けた部分の中間層5は、球面に沿う方向へ変形する可動範囲がリブ11によって制限されているため、打撃力が球面に沿う方向に分散されるのを防止することができる。このように、打撃力の一部は高剛性のリブ11で効率よくコア3の球体部9に伝えられ、他の部分は軟質で且つ変形域を制限された中間層5を経てコア3の球体部9に伝えられる。その結果、高い反発性と打撃時のソフトフィーリングの双方を得ることが可能となる。
【0028】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、切欠部24が球体部9の大円の交点Pを通る接平面Hに沿う底面24aを有するように形成しているが、次のようにしてもよい。すなわち、図6に示すように、切欠部24が、リブ11の高さ方向の中間を通り、上記法線nに垂直な平面H2に沿う底面24aを有するように形成することもできる。この場合、凹陥部13間で中間層5をスムーズに流通させるため、切欠部24がない場合の仮想的なリブ11の上端から底面24aまでの距離Dを1.2mm以上にして切欠部24を形成することが好ましい。また、リブの効果を得るために、上記と同様に、長さLは、10mm以上にする必要がある。さらに、この場合も、図5と同様に、法線nと91〜93°の角度をなす平面に沿うようにして切欠部24の底面24aを形成し、抜き勾配を形成することもできる。
【0029】
また、リブ11の各円弧セクションSの中間に切欠部を設けることもできる。すなわち、図7(a)に示すように、円弧セクションSの円弧方向の中心点Qを通る球体部9の法線m上の一点から両端の交点P側へ延びる2つの底面25aを有するように切欠部25を形成することもできる。この場合、底面25aと法線mとが正面視で45〜48度をなすようにすることが好ましい。このようにすると、上記したように、コア3を成形型から容易に抜き出すことができる。但し、上記角度が48度より大きくなると、上記したリブの円弧方向の長さLが短くなり好ましくない。また、この場合の切欠部25の深さDは、1.2mm以上にすることが好ましい。こうすることで、中間層用の材料を凹陥部13間でスムーズに流通させることができる。なお、切欠部25の深さDとは、切欠部25がない場合の仮想的なリブ11の上端から切欠部25の最深部までの距離をいう。
【0030】
或いは、図7(b)に示すように、切欠部25が、円弧セクションSの円弧方向の中心点Qを通る球体部9の法線m上の一点から両端の交点P側へ延びる2つの平面に沿う側面25bと、これら2つの側面25bを結び球体部9に沿う円弧状の底面25cとを有するように形成することもできる。側面25bと、法線mとのなす角は、図7(a)のものと同様に、抜き勾配を考慮して平面視で45〜48°である。なお、上記底面25cは、リブ11の高さ方向の中間部を通るように形成することもできる。但し、この場合も切欠部の深さDは、1.2mm以上にすることが好ましい。また、円弧セクションSの中間部には、型抜きが容易に行える形状であれば、2個以上の切欠部25を設けることもできる。
【0031】
また、図8に示すように、円弧セクションSが、図3、図5,または図6に示す切欠部24、及び図7に示す切欠部25の両方を有するようにしてもよい。なお、図7及び図8に示すように、円弧セクションSにおける切欠部が形成されていない部分の長さL(=L1+L2)は、10mm以上にすることが好ましい。
【0032】
また、上記実施形態では、中間層5の層厚とリブ11の高さとを同一にしているが、必ずしも同一である必要はなく、例えば、中間層5の層厚をリブ11の高さより厚くしてもよい。但し、中間層5の可動範囲を制限するため、リブ11の高さより若干高い程度、例えば1.5mm以内とすることが望ましい。
【0033】
次に、上記のように構成されたゴルフボールの製造方法の一例を図面を参照して説明する。以下においては、中間層をゴム組成物で形成する場合の製造方法について説明する。図9及び図10は、図1に示すスリーピースのゴルフボールの製造方法を示す図である。
【0034】
まず、図9に示すように、半球状の凹部31を有する上型33及び下型35の間に所定量の未加硫のゴム組成物37を配置する。このゴム組成物は、上述したような基材ゴム、架橋剤、不飽和カルボン酸の金属塩、及び充填材等を配合し、パンバリーミキサーやロール等の混練機により混練したものである。そして、このゴム組成物を130〜180℃でプレス成形し、図2に示すコア3を形成する。上型33及び下型35の凹部31は、3本のリブ11を成形するための断面台形状の溝39を備えるととも、その表面が荒研磨により粗く仕上げられている。このように表面を粗くすることで、成形されたコア3の表面に微細な凹凸を形成することができ、中間層5との密着性を向上することができる。
【0035】
次に、図10に示すように、プレス成形により中間層5を成形する。図10(a)に示すように、中間層を成形する金型は、半球状の凹部41を有する上型43及び下型45とから構成されている。上型43及び下型45の凹部41は、コア成形用の金型と同様に表面が粗く仕上げられるとともに、各凹部41の周囲に、複数の凹状のバリを溜める部分49が形成されている。
【0036】
そして、図10(a)に示すように、下型45の凹部41に未加硫のゴム組成物61を挿入するとともに、上記のように形成したコア3の上部にゴム組成物61を配置し、このコア3を上型43及び下型45の間に配置する。続いて、図10(b)に示すように、上型43及び下型45を当接させ、ゴム組成物61を140〜165℃で10〜30分間全加硫してプレス成形を行い、中間層5を形成する。
【0037】
このとき、コア3の上部及び下型45の凹部41に配置されたゴム組成物61は、コア3の表面にプレスされながら、凹陥部13に充填されていく。上記したように隣接する各凹陥部13は切欠部24を介して連通しているため、ゴム組成物はすべての凹陥部に行き渡り、均一に充填される。なお、中間層5は、例えば図11に示すような金型を用いて、射出成形により成形することもできる。この場合、切欠部がなければすべての凹陥部13に対してゲートを設けなければゴム組成物が均一に充填されないが、上記のようにリブ11に切欠部24を設けることにより、金型47,48にコア3を挿入した後、1箇所のゲート50からゴム組成物を注入しても、上記と同様に切欠部24を介して各凹陥部13にゴム組成物が均一に充填される。
【0038】
こうして中間層5の成形が完了すると、中間層5が被覆されたコア3を金型から取り外す。これに続いて、中間層5の表面に、カバー7をプレス成形或いは射出成形により所定のディンプルを備えた状態に被覆するとスリーピースゴルフボールを得ることができる。
【0039】
このように、リブ11に切欠部24が形成され、隣接する凹陥部13が切欠部24を介して連通しているため、ゴム組成物61がコア3表面のいずれの位置からプレスされても、すべての凹陥部13に行き渡って充填される。したがって、1工程のプレス成形で、中間層5をコア3に被覆することができ、その結果、製造時間を大幅に短縮することができる。
【0040】
上記実施形態では、本発明をスリーピースのゴルフボールに適用した例を示したが、これに限定されるものではなく、4層以上の多層構造のゴルフボールに適用してもよい。例えば、フォーピースゴルフボールは、図12(a)に示すように、上記した3ピースゴルフボールのカバーを2層構造7a,7bにすることで構成することができる。この場合、ボールを構成する材料は、例えばコア3をブタジエンゴム、中間層5をブタジエンゴム或いはエラストマー、内側及び外側のカバー7a,7bをエラストマーで構成することができる。
【0041】
また、図12(b)に示すように、コアを2層構造3a,3bにすることで構成することもできる。この場合、ボールを構成する材料は、例えば内側のコア3aをブタジエンゴム、外側のコア3b及び中間層5をブタジエンゴム或いはエラストマー、カバー7をエラストマーで構成することができる。
【0042】
このように、本発明におけるコアは、一層からなるコアのほか、複数の層からなるものも含み、いずれの場合も最外層にリブが形成される。また、本発明におけるカバーは、コアの凹陥部に充填された中間層及びリブを被覆するすべての層を意味する。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施例及びこれと対比する比較例を示す。ここでは、3ピースゴルフボールについて、本発明に係る6種類のゴルフボールと、リブの高さが本発明の範囲外である2種類のゴルフボール及びコアにリブを設けていない2種類の従来タイプのゴルフボールとを比較する。
【0044】
実施例1〜6、及び比較例1〜4は、表1に示す同一の成分で構成されており、各層の硬度は統一され、コアをJIS−C型80,中間層をJIS−C型70、カバーをショアD62としている。
【0045】
【表1】
Figure 0004038671
【0046】
また、各ゴルフボールのサイズは、表2に示す通りである。各ボールは、上述の成分、分量、寸法となるように、プレス成形により製造した。
【0047】
【表2】
Figure 0004038671
【0048】
以上のように構成された実施例及び比較例を用い、打撃ロボット(ミヤマエ株式会社製)による1番ウッド(1W)及び5番アイアン(5I)を使用した打撃テスト、及びアマチュア10人による1Wでの実打フィーリングテストを行った。結果は以下の通りである。
【0049】
【表3】
Figure 0004038671
【0050】
打撃ロボットによる第1テストでは、1Wを使用しヘッドスピードを43m/sとした。リブ付のボールである実施例1〜6と、比較例1は、リブなしのボールよりも飛距離が長くなっている。但し、リブが設けられている比較例2は、中間層の厚さが厚すぎるため、低反発となり、飛距離が伸びていない。
【0051】
また、第2テストでは、5Iを使用しヘッドスピードを38m/sとした。実施例と比較例とでは飛距離の差はほとんどないが、リブ付のものは、リブなしのものより高いスピン量を示している。
【0052】
実打フィーリングの第3テストでは、実施例1〜6はともに良好なフィーリングを得ている。一方、比較例1は中間層が薄いため打感が硬くなっており、比較例2は中間層が厚すぎるためフィーリングが柔らか過ぎている。また、比較例4はリブが設けられておらず、また中間層が厚いため、柔らか過ぎるという実打フィーリングを得ている。
【0053】
以上から、本発明に係る実施例は、長い飛距離及び高いスピン量と、良好な実打フィーリングとを兼ね備えており、比較例に比べ優れていることが明らかである。
【0054】
【発明の効果】
以上から明らかなように、本発明に係るゴルフボールは、高い反発性と打撃時のソフトフィーリングとを兼ね備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るゴルフボールの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のゴルフボールのコアを示す斜視図である。
【図3】図1のゴルフボールのコアを示す正面図である。
【図4】図1のゴルフボールのリブの断面図である。
【図5】図1のゴルフボールのコアの他の例を示す正面図である。
【図6】図1のゴルフボールのコアの他の例を示す正面図である。
【図7】図1のゴルフボールのコアの他の例を示す正面図である。
【図8】図1のゴルフボールのコアの他の例を示す正面図である。
【図9】本発明に係るゴルフボールの製造方法の一例を示す図である。
【図10】本発明に係るゴルフボールの製造方法の一例を示す図である。
【図11】本発明に係るゴルフボールの製造方法の他の例を示す図である。
【図12】本発明に係るゴルフボールの他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 ゴルフボール
3 コア
5 中間層
7 カバー
9 球体部
13 凹陥部
11 リブ
24、25 切欠部

Claims (7)

  1. コア、中間層、及びカバーを備えた多層構造のマルチピースゴルフボールであって、
    前記カバーの厚さは、0.8〜2.4mmとなっており、
    前記コアが、球体部と、該球体部の表面に設けられ前記中間層の層厚とほぼ同一の高さを有するリブとを備え、
    該リブは、前記球体部上に描かれる相互に直交する3つの大円に沿って延び、その高さが1.2〜4.6mmに形成されており、
    前記各大円の交点で区切られた前記リブの各円弧セクションには切欠部が形成され、前記各円弧セクションにおける前記切欠部が形成されていない上端部の長さが10mm以上となっており、且つ前記切欠部の深さが1.2mm以上となっており、
    前記中間層が、前記リブにより囲まれた8つの凹陥部内において、前記球体部の表面と前記カバーとの間に充填されていることを特徴とするマルチピースゴルフボール。
  2. 前記切欠部は、前記大円の交点を通る前記球体部の法線上の一点から前記円弧セクションに沿って延びる面を有し、該面は、前記法線に対し90°以上の角をなしている請求項1に記載のマルチピースゴルフボール。
  3. 前記面と前記法線とのなす角が91〜93°である請求項2に記載のマルチピースゴルフボール。
  4. 前記切欠部は、前記円弧セクションにおける円弧方向の中間部に形成されている請求項1に記載のマルチピースゴルフボール。
  5. 前記切欠部は、前記各円弧セクションにおける円弧方向の中心点を通る前記球体部の法線上の一点から前記交点側へそれぞれ延びる2つの面を有しており、前記各面と前記法線とのなす角が45〜48度である請求項4に記載のマルチピースゴルフボール。
  6. 前記切欠部は、前記各円弧セクションにおける円弧方向の中心点を通る前記球体部の法線上の一点から前記交点側へそれぞれ延びる2つの平面に沿う側面と、前記両側面を結ぶ底面とを有しており、前記各側面と前記法線とのなす角が45〜48度である請求項4に記載のマルチピースゴルフボール。
  7. 前記リブは、断面台形状に形成され、該リブの径方向外方端の幅が1.5〜2.0mmに形成されており、且つ径方向内方端の幅が3.0〜6.0mmに形成されている請求項1から6のいずれかに記載のマルチピースゴルフボール。
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