JP2007274848A - 圧電アクチュエータの駆動方法および圧電アクチュエータユニット - Google Patents

圧電アクチュエータの駆動方法および圧電アクチュエータユニット Download PDF

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Abstract

【課題】圧電アクチュエータの圧電変形領域の、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に、大きく低下するのを防止して、長期間に亘って、十分な変位量を維持することができる圧電アクチュエータの駆動方法と、前記駆動方法を実施するための圧電アクチュエータユニットとを提供する。
【解決手段】圧電アクチュエータ6の、個々の圧電変形領域11に対応する個別電極8を、スイッチング素子20の切り替えによって、選択的に、グランド17に接続した状態で、共通電極9に電圧を印加して、前記グランド17に接続した個別電極8に対応する圧電変形領域11を、前記個別電極8と共通電極9との間の電位差によって、選択的に駆動させる。グランド17に接続しない個別電極8は、共通電極9に接続する。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電アクチュエータの新規な駆動方法と、前記駆動方法を実施するための圧電アクチュエータユニットとに関するものである。
インクジェットプリンタのヘッド等の駆動源として、圧電セラミックの電歪特性を利用した圧電アクチュエータが用いられる。また、圧電アクチュエータとしては、厚み方向に電圧が印加された際に、前記厚み方向と直交する面方向に伸縮する、横振動モードの圧電セラミック層を含む、平板状のものが知られている。
さらに、インクジェットプリンタのヘッドに組み込まれる、平板状の圧電アクチュエータとしては、前記横振動モードの圧電セラミック層と、前記圧電セラミック層の片面側に積層され、圧電セラミック層を、その面内で、ヘッドの、複数のノズルに対応した複数の活性領域に区画する複数の個別電極と、圧電セラミック層の反対面側に積層され、前記複数の活性領域を包含する大きさを有する共通電極と、圧電セラミック層のいずれかの面側に積層されて、圧電セラミック層の、面方向の伸縮を規制するための振動板とを備えるものが知られている。
前記構造を有する圧電アクチュエータは、圧電セラミック層を厚み方向に分極させた状態で使用され、前記圧電セラミック層の、任意の活性領域に、対応する個別電極と、共通電極とから、前記分極方向と同方向(「順方向」とする)の電圧を印加すると、前記活性領域が、面方向に収縮する。しかし、圧電セラミック層の片面側には、先に説明したように、振動板が固定されて、面方向の伸縮が規制されていることから、圧電アクチュエータの、前記活性領域に対応する圧電変形領域は、前記振動板を積層した面を厚み方向に突出させるように撓み変形する。
一方、圧電セラミック層の任意の活性領域に、対応する個別電極と、共通電極とから、分極方向と逆方向の電圧を印加すると、前記活性領域が、面方向に伸長することから、圧電アクチュエータの、前記活性領域に対応する圧電変形領域は、逆に、振動板を積層した面と反対面を、厚み方向に突出させるように撓み変形する。さらに、電圧の印加を停止すると、圧電セラミック層の活性領域の、面方向の伸縮が解除されることから、圧電アクチュエータの、前記活性領域に対応する圧電変形領域は、撓み変形が解除された、元の平板状の状態に復帰する。
例えば、インクジェットプリンタのヘッドにおいては、圧電セラミック層の活性領域に、順方向の電圧の印加と停止とを繰り返す駆動電圧波形や、順方向と逆方向の電圧を交互に印加する駆動電圧波形等を有する電圧を印加して、前記活性領域を面方向に伸縮させて、圧電アクチュエータの圧電変形領域を、厚み方向に振動させることで、インクを振動させて、ヘッドに設けたノズルから、微小なインク滴として吐出させている。ノズルから吐出されたインク滴は、ノズルと対向させて配設された紙面まで飛翔し、紙面に到達して、前記紙面にドットを形成する。
ところが、従来の圧電アクチュエータは、電圧を印加して圧電変形領域を駆動(振動)させる操作を繰り返すことで、前記圧電変形領域の、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に、大きく低下し、それに伴って、インクジェットプリンタの場合は、ノズルから吐出されるインク滴の体積や飛翔速度が低下するため、紙面に形成される画像の画質が低下するという問題がある。
前記問題が生じる原因としては、圧電変形領域の駆動を繰り返した際に、前記圧電変形領域に対応する、圧電セラミック層の活性領域に、電荷が蓄積されることが考えられる。すなわち、前記活性領域に印加される、先に説明した駆動電圧波形を有する電圧は、通常、パルス幅が数10μsecオーダーの高速パルス信号であり、通常の駆動では、順方向の電圧の印加によって、活性領域に充電された電荷が、電圧の印加を停止するか、または、逆方向の電圧を印加することで放電されるのであるが、前記放電が完了しきらない間に、次の、順方向の電圧が印加されることになるため、駆動を繰り返すことで、活性領域に、徐々に、電荷が蓄積されるのである。
そして、蓄積された電荷は、圧電セラミック層の分極方向に対して、逆バイアスとして働くため、電荷が蓄積されるほど、活性領域の分極量が低下する結果、前記活性領域に対応する圧電アクチュエータの圧電変形領域の、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に、大きく低下するのである。しかも、前記傾向は、例えば、特許文献1に記載されているように、インクジェットプリンタの印刷速度を向上するために、駆動電圧波形のパルス幅を短くするほど顕著になる。
特開2004−136666号公報
本発明の目的は、圧電アクチュエータの圧電変形領域の、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に、大きく低下するのを防止して、長期間に亘って、十分な変位量を維持することができる圧電アクチュエータの駆動方法と、前記駆動方法を実施するための圧電アクチュエータユニットとを提供することにある。
本発明は、平板状の圧電セラミック層と、前記圧電セラミック層の片面側に積層され、圧電セラミック層を、その面内で、複数の活性領域に区画する複数の個別電極と、圧電セラミック層の反対面側に積層され、前記複数の活性領域を包含する大きさを有する共通電極とを備える圧電アクチュエータの、前記活性領域に対応する圧電変形領域を、両電極間に電圧を印加して、個別に駆動させるための駆動方法であって、複数の個別電極のうち、任意の個別電極を、選択的に、グランドに接続すると共に、その他の個別電極はグランドに接続しない状態で、共通電極に電圧を印加することで、前記グランドに接続した個別電極に対応する圧電変形領域を、前記個別電極と共通電極との間の電位差によって、選択的に駆動させることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法である。
また、本発明は、平板状の圧電セラミック層と、前記圧電セラミック層の片面側に積層され、圧電セラミック層を、その面内で、複数の活性領域に区画する複数の個別電極と、圧電セラミック層の反対面側に積層され、前記複数の活性領域を包含する大きさを有する共通電極とを備える圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータの、複数の個別電極のうち、任意の個別電極を、選択的に、グランドに接続すると共に、その他の個別電極はグランドに接続しない状態で、共通電極に電圧を印加することで、前記グランドに接続した個別電極に対応する圧電変形領域を、前記個別電極と共通電極との間の電位差によって、選択的に駆動させる駆動回路とを備えることを特徴とする圧電アクチュエータユニットである。
従来の圧電アクチュエータにおいては、圧電セラミック層上の任意の活性領域に、選択的に、所定の駆動電圧波形を有する電圧を印加して、前記活性領域に対応する、圧電アクチュエータの圧電変形領域を、選択的に撓み変形させるため、共通電極をグランドに接続すると共に、前記電圧を、複数の個別電極に、個別に印加していた。ところが、個別電極は、近年の、インクジェットプリンタの高画質化の要求に対応するため、1つのヘッド上に設けられるノズルの数が増加されると共に、その形成間隔が微小化されるのに伴って、微小面積化される傾向にあるため、活性領域の電荷を、短時間で、速やかに放電することができないのである。
これに対し、本発明によれば、従来とは逆に、駆動させる圧電変形領域に対応した個別電極を、選択的にグランドに接続すると共に、複数の活性領域を包含する大きさを有する大きな共通電極に、所定の駆動電圧波形を有する電圧を印加することで、両電極間の電位差によって、前記圧電変形領域を、選択的に駆動させているため、順方向の電圧の印加によって、活性領域に充電された電荷を、次の、順方向の電圧が印加されるまでの間の、電圧の印加を停止するか、または、逆方向の電圧を印加した状態において、より速やかに放電させることができ、活性領域に電荷が蓄積されるのを抑制することができる。
そのため、本発明によれば、圧電アクチュエータの圧電変形領域の、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に、大きく低下するのを防止して、長期間に亘って、十分な変位量を維持することが可能となる。また、本発明では、グランドに接続しない個別電極を、共通電極に接続することで、前記個別電極に対応する圧電変形領域が誤動作するのを、確実に防止することもできる。
本発明によれば、圧電アクチュエータの圧電変形領域の、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に、大きく低下するのを防止して、長期間に亘って、十分な変位量を維持することができる圧電アクチュエータの駆動方法と、前記駆動方法を実施するための圧電アクチュエータユニットとを提供することができる。
図1は、本発明の圧電アクチュエータユニット1の一例を、インクジェットプリンタのヘッドに、駆動源として組み込んだ例を示す断面図である。図1を参照して、この例のヘッドは、図において上面に、インクが充てんされる圧力室2が、面方向に複数個、配列させて形成され、下面に、各圧力室2に対応させて、インク滴を吐出させるためのノズル3が、複数個、形成されていると共に、各圧力室2とノズル3とが、それぞれ、個別に、インクが充てんされる連通路4によって繋がれた基板5と、前記基板5の、圧力室2を形成した上面に積層された、圧電アクチュエータユニット1を構成する圧電アクチュエータ6とを備えている。
圧電アクチュエータ6は、複数の圧力室2を覆う大きさを有する薄板状に形成された圧電セラミック層7と、前記圧電セラミック層7の、図において上面に、圧力室2ごとに個別に形成された個別電極8と、圧電セラミック層7の下面に、順に積層された、共に、複数の圧力室2を覆う大きさを有する、共通電極9と振動板10とを備えた、いわゆるユニモルフ型の構成を有している。
前記ユニモルフ型の圧電アクチュエータ6は、個々の圧力室2に対応して配設された複数の圧電変形領域11と、前記圧電変形領域11を囲んで配設され、基板5に固定されることで変形が防止された拘束領域12とに区画されている。また、各個別電極8と、共通電極9とは、それぞれ個別に、圧電アクチュエータユニット1を構成する駆動回路13に接続されており、駆動回路13は、インクジェットプリンタの制御ユニット14に接続されている。
前記各部のうち、基板5は、例えば、圧力室2、連通路4、およびノズル3となる通孔が形成された複数枚の板材を、順に、位置合わせしながら積層し、一体化させて形成することができる。各板材としては、それぞれ、金属やセラミック、樹脂等によって、厚みが一定な平板状に形成されていると共に、例えば、フォトリソグラフ法を利用したエッチング等によって、前記各部となる、所定の平面形状を有する通孔が、所定の位置に形成されたものを用いることができる。板材を金属で形成する場合、前記金属としては、Fe−Cr系合金、Fe−Ni系合金、WC−TiC系合金等が挙げられ、特に、インクに対する耐食性と、加工性とを考慮すると、Fe−Cr系合金が好ましい。
圧電セラミック層7は、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)や、前記PZTに、ランタン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物の1種または2種以上を添加した、PLZT等の、PZT系の圧電セラミックによって、薄板状に形成することができる。また、圧電セラミック層7は、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム等を主成分とする圧電セラミックによって形成することもできる。さらに、ビスマス層状化合物、タングステンブロンズ構造物、ニオブ酸アルカリやチタン酸バリウム等のペロブスカイト型化合物等の、いわゆる非鉛系の材料によって形成することもできる。
振動板10は、例えば、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、白金、鉄、ニッケル等の金属や、前記金属の合金、あるいはステンレス鋼等によって、所定の厚みを有する板状に形成することができる他、圧電セラミック層7と同じ圧電セラミックによって形成することもできる。また、振動板10を、金、銀、白金、銅、アルミニウム等の、導電性に優れた金属によって形成して、共通電極9を省略することもできる。
個別電極8、および共通電極9は、それぞれ、金、銀、白金、銅、アルミニウム等の、導電性に優れた金属からなる箔、めっき被膜、真空蒸着被膜等によって形成することができる他、前記各金属の微粒子を含む導電性ペーストを塗布し、乾燥させた後、さらに必要に応じて焼成して形成することもできる。
個別電極8をパターン形成するためには、例えば、めっき被膜や真空蒸着被膜の場合、圧電セラミック層7の表面の、個別電極8を形成する領域のみを、選択的に露出させ、それ以外の領域を、めっきマスクで被覆した状態で、露出させた領域に、選択的に、被膜を成膜する方法や、圧電セラミック層7の表面の全面に、被膜を成膜後、前記被膜の、個別電極8に対応する領域のみを、エッチングマスクで被覆し、それ以外の領域を露出させた状態で、露出させた領域の被膜を、選択的にエッチングして除去する方法等が挙げられる。また、導電性ペーストからなる塗膜の場合は、前記導電性ペーストを、スクリーン印刷法等の印刷方法によって、圧電セラミック層7の表面に、直接に、パターン形成すればよい。
圧電セラミックからなる圧電セラミック層7や振動板10は、焼成によって、先に説明した圧電セラミックとなる化合物を含むグリーンシートを、所定の平面形状に形成後、焼成して形成することができる。特に、圧電セラミック層7と振動板10が、共に、圧電セラミックによって形成される場合は、それぞれの層のもとになるグリーンシートの間に、焼成によって、共通電極9となる導電性ペーストの層を挟んだ積層体を作製し、前記積層体を、一度に焼成することで、圧電セラミック層7と、共通電極9と、振動板10とが積層された積層体を得ることができる。
前記積層体の、圧電セラミック層7の表面に、先に説明した方法で、個別電極8をパターン形成すれば、圧電アクチュエータ6が形成される。そして、前記圧電アクチュエータ6を、基板5の、圧力室2を形成した側の面上に、接着剤を用いて接着する等して固定することで、インクジェットプリンタのヘッドが構成される。接着剤としては、前記ヘッドに要求される耐熱性や、インクに対する耐性等を考慮すると、熱硬化温度が100〜250℃であるエポキシ樹脂系、フェノール樹脂系、ポリフェニレンエーテル樹脂系等の、熱硬化性樹脂系の接着剤が好ましい。
薄板状の圧電セラミック層7を、横振動モードとするためには、圧電セラミックの分極方向を、前記圧電セラミック層7の厚み方向、例えば、個別電極8から共通電極9に向かう方向に配向させる。そのためには、例えば、高温分極法、室温分極法、交流電界重畳法、電界冷却法等の分極方法が採用される。
図2は、図1の圧電アクチュエータユニット1を構成する駆動回路13のうち、圧電アクチュエータ6の、1つの圧電変形領域11に対応する部分を取り出して示す回路図である。図2を参照して、駆動回路13は、全ての圧電変形領域11に共通する部分として、1つの電源16と、前記電源16の一方の出力端からグランド17に接続された1つの第1回路18と、電源16の他方の出力端から共通電極9に接続された1つの第2回路19とを備えている。
また、駆動回路13は、前記第1回路18の途中から分岐して、スイッチング素子20を介して個別電極8に接続された第3回路21と、第2回路19の途中から分岐して、前記スイッチング素子20に接続された第4回路22とを、各圧電変形領域11ごとに、圧電変形領域11の数だけ備えている。スイッチング素子20は、各圧電変形領域11に対応する個別電極8を、第3回路21を介して第1回路18に接続するか、第4回路22を介して第2回路19に接続するかを、切り替えるためのもので、切り替えは、インクジェットプリンタの制御ユニット14から駆動回路13に入力される制御信号に基づいて、各圧電変形領域11ごとに、個別に行われる。
すなわち、インク滴を吐出させるノズル3に対応した圧電変形領域11では、スイッチング素子20が、個別電極8を、第3回路21を介して第1回路18に接続する方向に切り替えられる。そのため、個別電極8は、前記第3回路21、および第1回路18を介してグランド17に接続される。また、インク滴を吐出させないノズル3に対応した圧電変形領域11では、スイッチング素子20が、個別電極8を、第4回路22を介して第2回路19に接続する方向に切り替えられる。そのため、個別電極8は、前記第4回路22および第2回路19を介して、共通電極9に接続される。
この状態で、電源16から、先に説明した駆動電圧波形を有する電圧が印加されると、個別電極8がグランド17に接続された圧電変形領域11では、前記電圧が共通電極9に印加されることで、両電極8、9の間に電位差が生じる。そして、前記電位差に基づく電圧の印加方向が、順方向、すなわち、圧電セラミック層7の分極方向と同方向の電圧である場合は、前記活性領域15が、層の面方向に収縮する。しかし、圧電セラミック層7の下面は、共通電極9を介して振動板10に固定されているため、前記活性領域15が収縮すると、それに伴って、圧電変形領域11が、振動板10を積層した面を、圧力室2の方向に突出させるように撓み変形する。
また、電圧の印加方向が、分極方向と逆方向である場合は、前記活性領域15が、逆に、層の面方向に伸長するため、圧電変形領域11が、振動板10を積層した面と反対面を、圧力室2の方向と反対方向に突出させるように撓み変形する。さらに、電圧の印加が停止された状態では、活性領域15の、面方向の伸縮が解除されることから、圧電変形領域11は、撓み変形が解除された、元の平板状の状態に復帰する。
そのため、電源16から、共通電極9に、順方向の電圧の印加と停止とを繰り返す駆動電圧波形や、順方向と逆方向の電圧を交互に印加する駆動電圧波形を有する電圧を印加して、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域11を、圧電アクチュエータ6の厚み方向に振動させると、前記振動によって、対応する圧力室2の容積が増減されて、前記圧力室2内のインクが振動する。そして、前記振動が、連通路4内のインクを通してノズル3に伝えられて、前記ノズル3内に形成されるインクのメニスカスが振動し、この振動に伴って、メニスカスを形成するインクの一部が、インク滴として分離されて、ノズル3から吐出される。
一方、個別電極8が共通電極9に接続された圧電変形領域11では、電源16から、前記共通電極9に電圧が印加されても、両電極8、9の間に電位差が生じないため、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域11は、静止状態を維持しており、ノズル3から、インク滴は吐出されない。そのため、従来同様に、圧電アクチュエータ6の任意の圧電変形領域11を駆動させて、前記圧電変形領域11に対応するノズルからインク滴を吐出させることで、ノズルと対向させて配設された紙面に、任意の画像を形成することができる。
しかも、圧電変形領域11を駆動させる電圧は、複数の活性領域15を包含する大きさを有する大きな共通電極9を介して、前記活性領域15に印加されるため、順方向の電圧の印加によって、前記活性領域15に充電された電荷を、次の、順方向の電圧が印加されるまでの間の、電圧の印加を停止するか、または、逆方向の電圧を印加した状態において、より速やかに放電させることができ、前記活性領域15に電荷が蓄積されるのを抑制することができる。
そのため、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域11の、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に、大きく低下するのを防止して、長期間に亘って、十分な変位量を維持することが可能となる。また、グランド17に接続しない個別電極8は、スイッチング素子20を介して共通電極9に接続して、前記共通電極9に電圧が印加された際に、個別電極8との間で電位差が生じるのを防止しているため、前記個別電極8に対応する圧電変形領域11が誤動作するのを、確実に防止することもできる。
〈ヘッドの作製〉
圧電セラミック材料としてのPZTの粉末(純度99.9%以上)を、直径φ2mmのジルコニアボールを用いてミル粉砕して、平均粒子径が0.3〜0.5μmとなるように調整し、乾燥後、メッシュパスして原料粉末を得、前記原料粉末を成形して、圧電セラミック層7、振動板10のもとになる2枚のグリーンシートを作製した。
次に、図1を参照して、共通電極9のもとになる導電ペーストを、1枚のグリーンシートの表面に、厚み4μmとなるように印刷し、その上に、もう1枚のグリーンシートを積層して、加圧プレスした後、焼成して、圧電セラミック層7と、共通電極9と、振動板10の積層体を得た。そして、前記積層体のうち、圧電セラミック層7の表面に、スクリーン印刷法によって、Auペーストを、個別電極8の平面形状に対応した形状に印刷した後、全体を、大気中で、800〜900℃で焼付けて、個別電極8を形成することで、圧電アクチュエータ6を得た。
次に、前記圧電アクチュエータ6を、個別電極8が、圧力室2に対応する位置に配置されるように位置合わせをした状態で、基板5上に、エポキシ系接着剤の層を介して積層した後、150℃、4時間の加熱処理を行ってエポキシ系接着剤を硬化させることで接着して、インクジェットプリンタ用のヘッドを作製した。基板5としては、圧延法によって得られたSUS316鋼製の薄板に、エッチングによって、圧力室2、ノズル3、連通路4等を、前記基板5の厚み方向にスライスした形状を有する通孔を形成した複数種の薄板を、順に、エポキシ系接着剤の層を介して積層し、エポキシ系接着剤を硬化させて、接着したものを用いた。
次に、製造したヘッドの圧電セラミック層7を、高温分極法によって分極させた後、個別電極8と共通電極9に、図2に示した回路部分を有する駆動回路13を接続し、圧電アクチュエータ6上の任意の圧電変形領域11に対応する個別電極8に接続された、前記駆動回路13のスイッチング素子20を、前記個別電極8をグランド17に接続する方向に切り替えた状態とした。
そして、室温(5〜35℃)で、共通電極9に、±1.83kV/cm、周波数1kHzの駆動電圧波形を有する電圧を印加して、圧電変形領域11を1億サイクルに亘って振動させた際の、前記圧電変形領域11の、面方向の中心位置の変位量を、レーザードップラー法によって測定し、連続駆動前の初期値に対する、変位量の低下率(%)を求めた。これを実施例とした。
また、比較のため、前記ヘッドの共通電極9をグランドに接続し、個別電極8に、同じ駆動電圧波形を有する電圧を印加して、圧電変形領域11を1億サイクルに亘って振動させた際の、変位量の低下率(%)を、比較例として求めた。実施例、比較例の結果を、図3に示す。図より、本発明によれば、従来に比べて、圧電変形領域11の、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に、大きく低下するのを防止して、長期間に亘って、十分な変位量を維持できることが確認された。
本発明の圧電アクチュエータユニットの一例を、インクジェットプリンタのヘッドに、駆動源として組み込んだ例を示す断面図である。 図1の圧電アクチュエータユニットを構成する駆動回路のうち、圧電アクチュエータの、1つの圧電変形領域に対応する部分を取り出して示す回路図である。 本発明の実施例、比較例で測定した、圧電変形領域の、厚み方向の撓み変形の変位量の、低下率の推移を示すグラフである。
符号の説明
1 圧電アクチュエータユニット
2 圧力室
3 ノズル
4 連通路
5 基板
6 圧電アクチュエータ
7 圧電セラミック層
8 個別電極
9 共通電極
10 振動板
11 圧電変形領域
12 拘束領域
13 駆動回路
14 制御ユニット
15 活性領域
16 電源
17 グランド
18 回路
19 回路
20 スイッチング素子
21 回路
22 回路

Claims (4)

  1. 平板状の圧電セラミック層と、前記圧電セラミック層の片面側に積層され、圧電セラミック層を、その面内で、複数の活性領域に区画する複数の個別電極と、圧電セラミック層の反対面側に積層され、前記複数の活性領域を包含する大きさを有する共通電極とを備える圧電アクチュエータの、前記活性領域に対応する圧電変形領域を、両電極間に電圧を印加して、個別に駆動させるための駆動方法であって、複数の個別電極のうち、任意の個別電極を、選択的に、グランドに接続すると共に、その他の個別電極はグランドに接続しない状態で、共通電極に電圧を印加することで、前記グランドに接続した個別電極に対応する圧電変形領域を、前記個別電極と共通電極との間の電位差によって、選択的に駆動させることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動方法。
  2. グランドに接続しない個別電極は、共通電極に接続する請求項1記載の圧電アクチュエータの駆動方法。
  3. 平板状の圧電セラミック層と、前記圧電セラミック層の片面側に積層され、圧電セラミック層を、その面内で、複数の活性領域に区画する複数の個別電極と、圧電セラミック層の反対面側に積層され、前記複数の活性領域を包含する大きさを有する共通電極とを備える圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータの、複数の個別電極のうち、任意の個別電極を、選択的に、グランドに接続すると共に、その他の個別電極はグランドに接続しない状態で、共通電極に電圧を印加することで、前記グランドに接続した個別電極に対応する圧電変形領域を、前記個別電極と共通電極との間の電位差によって、選択的に駆動させる駆動回路とを備えることを特徴とする圧電アクチュエータユニット。
  4. 駆動回路は、グランドに接続しない個別電極を、共通電極に接続する請求項3記載の圧電アクチュエータユニット。

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