JP5102459B2 - 圧電アクチュエータユニット - Google Patents

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Description

本発明は、圧電セラミック層を含む圧電アクチュエータと、前記圧電セラミック層に電圧を印加するための駆動回路とを備えた圧電アクチュエータユニットに関するものである。
インクジェットプリンタのヘッド等の駆動源として、圧電セラミックの電歪特性を利用した圧電アクチュエータが用いられる。また、圧電アクチュエータとしては、厚み方向に電圧が印加された際に、前記厚み方向と直交する面方向に伸縮する、横振動モードの圧電セラミック層を含む平板状のものが知られている。
平板状の圧電アクチュエータは、通常、PZT系等の圧電セラミックの多結晶体からなる圧電セラミック層の両面に、前記圧電セラミック層の厚み方向に電圧を印加して面方向に伸縮させるための、一対の電極層を積層すると共に、一方の電極層の外側面に、圧電セラミック層の面方向の伸縮を、その片面側で規制することで、圧電アクチュエータを厚み方向に撓み変形させるための振動板を積層するか、または、振動板を、導電性のよい材料で形成して、一方の電極層と兼用させることで構成される。
前記構造を有する圧電アクチュエータは、圧電セラミック層を厚み方向に分極させた状態で使用され、前記圧電セラミック層に、一対の電極層を介して、前記分極方向と同方向(「順方向」とする)の電圧を印加すると、圧電セラミック層が、面方向に収縮する。しかし、圧電セラミック層の片面側には、先に説明したように、振動板が固定されて、面方向の伸縮が規制されていることから、圧電アクチュエータは、前記振動板を積層した面を厚み方向に突出させるように撓み変形する。
一方、圧電セラミック層に、一対の電極層を介して、分極方向と逆方向の電圧を印加すると、前記圧電セラミック層が、面方向に伸長することから、圧電アクチュエータは、逆に、振動板を積層した面と反対面を、厚み方向に突出させるように撓み変形する。さらに、電圧の印加を停止すると、圧電セラミック層の、面方向の伸縮が解除されることから、圧電アクチュエータは、撓み変形が解除された、元の平板状の状態に復帰する。
例えば、インクジェットプリンタのヘッドにおいては、圧電セラミック層に、順方向の電圧の印加と停止とを繰り返す駆動電圧波形や、順方向と逆方向の電圧を交互に印加する駆動電圧波形等を有する電圧を印加して、圧電アクチュエータを、厚み方向に振動させることで、インクを振動させて、ヘッドに設けたノズルから、前記インクを、微小なインク滴として吐出させている。ノズルから吐出されたインク滴は、ノズルと対向させて配設した紙面まで飛翔し、紙面に到達して、前記紙面にドットを形成する。
ところが、従来の圧電アクチュエータは、先に説明した電圧を、圧電セラミック層に印加して動作させる操作を繰り返すことで、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に、大きく低下し、それに伴って、インクジェットプリンタの場合は、ノズルから吐出されるインク滴の体積や飛翔速度が低下するため、紙面に形成される画像の画質が低下するという問題がある。
PZT系の圧電セラミックからなる圧電セラミック層に、順方向の電圧を印加すると、前記圧電セラミックを構成する結晶粒のうち、結晶のC軸が分極方向に配向された180°分域成分の結晶格子が、前記順方向に伸びるように変形する線形変位を生じると共に、結晶のC軸が分極方向から90°倒れこんだ状態にある90°分域回転成分の格子軸が、分極方向に回転するように回転変位する非線形変位を生じて、圧電セラミック層が、厚み方向に伸びながら、面方向に収縮するように変形する。
線形変位と回転変位とは、同時に進行するのではなく、順方向の電圧を印加した初期の段階では、応答性のよい線形変位、つまり180°分域成分の、結晶格子の厚み方向への伸びが、主として発生し、電圧を印加し続けると、非線形変位、すなわち、90°分域成分の、格子軸の回転変位が徐々に進行して、最終的に、圧電セラミック層が、印加した電圧値に見合う変位量まで変形する。
また、電圧の印加を停止すると、両変位が解除されて、圧電セラミック層は、元の形状に戻るはずであるが、実際の動作では、90°分域成分の一部が、回転変位状態で配向したまま、元に戻らずに残ることがあり、その残存量が、圧電アクチュエータの動作を繰り返すことで、徐々に増加してゆく傾向がある。つまり、90°分域成分の割合が、徐々に減少してゆくことになる。
線形変位と非線形変位の変位量を比較すると、結晶格子の伸びによる線形変位の変位量よりも、格子軸の回転変位による、非線形変位の変位量の方が大きいため、先に説明したように、90°分域成分の割合が減少するほど、電圧を印加した際の、圧電セラミック層の、面方向の収縮量が小さくなって、圧電アクチュエータの、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に低下する。
そのため、圧電セラミック層を形成する圧電セラミック中に含まれる90°分域成分の割合を、あらかじめ、小さくできれば、圧電アクチュエータの変位量の、経時的な低下の度合いを、小さくすることができると考えられる。また、圧電セラミック中に含まれる90°分域成分の割合を小さくするためには、例えば、特許文献1に記載されているように、圧縮応力を加えることで、圧電セラミックを、分極方向と直交する方向、つまり、横振動モードの圧電セラミック層の場合は面方向に、強制的に収縮させた後、分極させる方法等が考えられる。
しかし、先に説明したように、結晶格子の伸びによる線形変位の変位量よりも、格子軸の回転変位による非線形変位の変位量の方が大きいため、圧電セラミック中に含まれる90°分域成分の割合を小さくしすぎた場合には、圧電セラミック層の、初期の収縮量が小さくなって、圧電アクチュエータの、初期の変位量が不十分になるという、新たな問題を生じる。
特開2005−123554号公報(請求項1〜3、段落[0021]〜[0025]、図1)
本発明の目的は、圧電アクチュエータの、厚み方向の撓み変形の、初期の変位量を十分に確保しながら、前記変位量が、経時的に、大きく低下するのを防止して、長期間に亘って、十分な変位量を維持することができる圧電アクチュエータユニットを提供することにある。
請求項1記載の発明は、厚み方向に分極され、前記厚み方向に電圧が印加されることで、前記厚み方向と直交する面方向に伸縮する横振動モードの圧電セラミック層を含み、前記圧電セラミック層の、面方向の伸縮によって、厚み方向に撓み変形する平板状の圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータの圧電セラミック層に、所定の駆動電圧波形を有する電圧を印加して面方向に伸縮させることで、圧電アクチュエータを厚み方向に振動させる動作をさせるための駆動回路とを備えた圧電アクチュエータユニットであって、前記圧電セラミック層が、X線回折スペクトルのうち[200]面の回折ピークの強度I〔200〕と、[002]面の回折ピークの強度I〔002〕とから、式(1):
=I〔002〕/(I〔002〕+I〔200〕) (1)
によって求められるC軸配向度Iの、電圧を印加しない初期の状態で測定した初期値が0.5〜0.7であるPZT系の圧電セラミックによって形成されていると共に、駆動回路が、前記圧電セラミック層に電圧を印加し続ける待機期間と、前記電圧の印加を一旦停止したのち再び印加する電圧パルスの印加期間とを有すると共に、前記待機期間の途中に、前記電圧の印加を一旦停止するか、もしくは一旦逆方向の電圧を印加する、前記待機期間よりも短い電圧パルスを1回または複数回、印加する駆動電圧波形を有する電圧を前記圧電セラミック層に印加することで、前記圧電セラミック層を形成する圧電セラミックの、電圧印加状態での分極量の、1回の動作中での変化率を+3〜+8%に維持しながら、前記圧電アクチュエータを厚み方向に振動させる動作をさせる回路であることを特徴とする圧電アクチュエータユニットである。
請求項1記載の発明によれば、圧電セラミック層を形成するPZT系の圧電セラミック中に含まれる90°分域成分の、前記圧電セラミック層に電圧を印加しない初期の状態での割合を、式(1)で表されるC軸配向度Iの初期値で表して0.7以下に限定しているため、圧電セラミック中に含まれる90°分域成分の割合が小さすぎて、圧電セラミック層の、初期の収縮量が小さくなって、圧電アクチュエータの、初期の撓み変形の変位量が不十分になるのを防止することができる。
また、前記C軸配向度Iの初期値を0.5以上に限定して、圧電セラミック中に含まれる90°分域成分の割合を、あらかじめ、小さくすると共に、駆動回路から前記圧電セラミック層に、前記所定の駆動電圧波形を有する電圧を印加することで、前記圧電セラミック層を形成する圧電セラミックの、電圧印加状態での分極量の、1回の動作中での変化率を+3〜+8%に維持しながら、前記圧電アクチュエータを動作させているため、圧電セラミック中に含まれる90°分域成分の割合が大きく減少して、圧電セラミック層の、面方向の収縮量が大きく低下するのを抑制することができる。そのため、圧電アクチュエータの撓み変形の変位量が、経時的に、大きく低下するのを防止して、長期間に亘って、十分な変位量を維持することができる。
本発明によれば、圧電アクチュエータの、撓み変形の初期の変位量を十分に確保しながら、前記変位量が、経時的に、大きく低下するのを防止して、長期間に亘って、十分な変位量を維持することができる圧電アクチュエータユニットを提供することができる。
図1は、本発明の圧電アクチュエータユニット1の一例を、インクジェットプリンタのヘッドに、駆動源として組み込んだ例を示す断面図である。図1を参照して、この例のヘッドは、図において上面に、インクが充てんされる圧力室2が、面方向に複数個、配列させて形成され、下面に、各圧力室2に対応させて、インク滴を吐出させるためのノズル3が、複数個、形成されていると共に、各圧力室2とノズル3とが、それぞれ、個別に、インクが充てんされる連通路4によって繋がれた基板5と、前記基板5の、圧力室2を形成した上面に積層された、圧電アクチュエータユニット1を構成する圧電アクチュエータ6とを備えている。
圧電アクチュエータ6は、複数の圧力室2を覆う大きさを有する薄板状に形成された圧電セラミック層7と、前記圧電セラミック層7の、図において上面に、圧力室2ごとに個別に形成された個別電極層8と、圧電セラミック層7の下面に、順に積層された、共に、複数の圧力室2を覆う大きさを有する、共通電極層9と振動板10とを備えた、いわゆるユニモルフ型の構成を有している。
前記ユニモルフ型の圧電アクチュエータ6は、個々の圧力室2に対応して配設され、個別電極層8から、個別に電圧が印加されることによって、個別に、厚み方向に撓み変形する複数の圧電変形領域11と、前記圧電変形領域11を囲んで配設され、基板5に固定されることで変形が防止された拘束領域12とに区画されている。また、各個別電極層8と、共通電極層9とは、それぞれ個別に、圧電アクチュエータユニット1を構成する駆動回路13に接続されており、駆動回路13は、インクジェットプリンタの制御ユニット14に接続されている。
圧電セラミック層7は、先に説明したように、X線回折スペクトルのうち[200]面の回折ピークの強度I〔200〕と、[002]面の回折ピークの強度I〔002〕とから、式(1):
=I〔002〕/(I〔002〕+I〔200〕) (1)
によって求められるC軸配向度Iの、電圧を印加しない初期の状態で測定した初期値が0.5〜0.7、特に0.55〜0.65である、PZT系の圧電セラミックによって形成される。
PZT系の圧電セラミックとしては、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)や、前記PZTに、ランタン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物の1種または2種以上を添加したPLZT等が挙げられる。圧電セラミック層7は、前記PZT系の圧電セラミックとなる化合物を含むグリーンシートを、所定の平面形状に形成後、焼成して形成することができる。
圧電セラミックのC軸配向度Iの初期値が、前記範囲に限定されるのは、前記範囲を超える場合には、圧電セラミック中に含まれる90°分域成分の割合が小さすぎて、圧電セラミック層7の、両電極層8、9の間に挟まれた領域(「活性領域」とする)15の、初期の収縮量が小さくなって、圧電アクチュエータ6の、前記活性領域15に対応する圧電変形領域11の、厚み方向の撓み変形の、初期の変位量が不十分になるためである。
また、前記範囲未満では、圧電セラミック中に含まれる90°分域成分の割合が大きすぎて、たとえ、駆動回路13から、圧電セラミック層7の活性領域15に、前記活性領域15を形成する圧電セラミックの、電圧印加状態での分極量の、1回の動作中での変化率を+3〜+8%に維持することができる駆動電圧波形を有する電圧を印加したとしても、前記電圧を印加して圧電アクチュエータ6の圧電変形領域11を厚み方向に振動させる動作を繰り返した際に、前記活性領域15における、90°分域成分の割合が減少する率が多くなって、前記圧電変形領域11の変位量が、経時的に、大きく低下するためである。
圧電セラミックのC軸配向度Iの初期値を、前記範囲内に調整するためには、例えば、特許文献1に記載された、圧縮応力を加えることで、圧電セラミックを、強制的に収縮させる方法を採用してもよいが、圧電セラミック層7と積層される共通電極層9や振動板10、あるいは基板5を、前記圧電セラミック層7を形成する圧電セラミックよりも熱膨張係数が大きく、かつ、前記熱膨張係数の差が、所定の範囲となる金属やセラミック等を選択して形成すると共に、圧電アクチュエータ6やヘッドを製造する際に、圧電セラミック層7を、前記共通電極層9、振動板10、基板5と積層した状態で熱処理するのが好ましい。
前記方法によれば、熱処理工程での冷却時の圧電セラミック層7に、前記圧電セラミック層7よりも大きく収縮する共通電極層9や振動板10、基板5から、熱膨張係数の差に基づいて、所定の圧縮応力を付与して、前記圧電セラミック層7を面方向に収縮させて、圧電セラミックのC軸配向度Iの初期値を、前記範囲に調整することができる。
そのため、前記ヘッドを、駆動回路13から、先に説明した所定の駆動電圧波形を有する電圧を印加して動作させることと相まって、圧電セラミック中に含まれる90°分域成分の割合が減少して、圧電セラミック層7の活性領域15の、面方向の収縮量が低下するのを、より一層、良好に抑制して、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域11の、撓み変形の変位量を、さらに長期間に亘って、十分な変位量に維持し続けることが可能となる。
なお、圧電セラミックのC軸配向度Iは、本発明では、圧電セラミック層7の表面に、直径100μmの円形X線ビームをスポット照射して、ブラッグ角2θ=43〜46°の間のX線回折スペクトルを測定して得た、[200]面の回折ピーク強度と、[002]面の回折ピーク強度とから、式(1)によって求めた結果で表すこととする。圧電セラミック層7には、先に説明した高温分極法等によって、厚み方向への分極処理を行うことで、横振動モードの圧電変形特性が付与される。
基板5は、例えば、圧力室2、連通路4、およびノズル3となる通孔が形成された複数枚の板材を、順に、位置合わせしながら積層し、一体化させて形成することができる。各板材としては、それぞれ、金属やセラミック、樹脂等によって、厚みが一定な平板状に形成されていると共に、例えば、フォトリソグラフ法を利用したエッチング等によって、前記各部となる、所定の平面形状を有する通孔が、所定の位置に形成されたものを用いることができる。
板材を金属で形成する場合、前記金属としては、Fe−Cr系合金、Fe−Ni系合金、WC−TiC系合金等が挙げられ、特に、インク等の液体に対する耐食性や加工性、さらには、PZT系の圧電セラミックからなる圧電セラミック層7を含む圧電アクチュエータ6との、熱膨張係数の差を、圧電セラミック層7に適度な圧縮応力を付与しうる範囲に調整すること等を考慮すると、Fe−Cr系合金が好ましい。
振動板10は、例えば、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、白金、鉄、ニッケル等の金属や、前記金属の合金、あるいはステンレス鋼等によって、所定の厚みを有する板状に形成することができる他、セラミックによって形成することもできる。また、振動板10を、金、銀、白金、銅、アルミニウム等の、導電性に優れた金属によって形成して、共通電極層9を省略することもできる。
個別電極層8、および共通電極層9は、それぞれ、金、銀、白金、銅、アルミニウム等の、導電性に優れた金属からなる箔、めっき被膜、真空蒸着被膜等によって形成することができる他、前記各金属の微粒子を含む導電性ペーストを塗布し、乾燥させた後、さらに必要に応じて焼成して形成することもできる。
個別電極層8をパターン形成するためには、例えば、めっき被膜や真空蒸着被膜の場合、圧電セラミック層7の表面の、個別電極層8を形成する領域のみを、選択的に露出させ、それ以外の領域を、めっきマスクで被覆した状態で、露出させた領域に、選択的に、被膜を成膜する方法や、圧電セラミック層7の表面の全面に、被膜を成膜後、前記被膜の、個別電極層8に対応する領域のみを、エッチングマスクで被覆し、それ以外の領域を露出させた状態で、露出させた領域の被膜を、選択的にエッチングして除去する方法等が挙げられる。また、導電性ペーストからなる塗膜の場合は、前記導電性ペーストを、スクリーン印刷法等の印刷方法によって、圧電セラミック層7の表面に、直接に、パターン形成すればよい。
PZT系の圧電セラミックからなる圧電セラミック層7と積層された状態で熱処理されることで、前記圧電セラミック層7に応力を付与して、C軸配向度Iの初期値を前記範囲内とするのに適した材料としては、例えば、基板5の場合には、SUS316、SUS430等のステンレス鋼等が挙げられ、振動板10の場合には、42アロイ合金、Tiおよびその合金、圧電セラミック層に用いられるのと同種の圧電セラミック等が挙げられる。また、個別電極層8、および共通電極層9の場合には、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等が挙げられる。
図1の例のヘッドの、圧電アクチュエータ6の任意の圧電変形領域11に対応する個別電極層8と、共通電極層9とを介して、圧電セラミック層7の活性領域15に、順方向、すなわち、前記圧電セラミック層7の分極方向と同方向の電圧を印加すると、前記活性領域15が、層の面方向に収縮する。しかし、圧電セラミック層7の下面は、共通電極層9を介して振動板10に固定されているため、前記活性領域15が収縮すると、それに伴って、圧電変形領域11が、振動板10を積層した面を、圧力室2の方向に突出させるように撓み変形する。
また、分極方向と逆方向の電圧を印加すると、前記活性領域15が、逆に、層の面方向に伸長するため、圧電変形領域11が、振動板10を積層した面と反対面を、圧力室2の方向と反対方向に突出させるように撓み変形する。さらに、電圧の印加を停止すると、活性領域15の、面方向の伸縮が解除されることから、圧電変形領域11は、撓み変形が解除された、元の平板状の状態に復帰する。
そのため、例えば、圧電セラミック層7の、任意の活性領域15に、駆動回路13から、両電極層8、9を介して、順方向の電圧の印加と停止とを繰り返す駆動電圧波形や、順方向と逆方向の電圧を交互に印加する駆動電圧波形を有する電圧を印加して、圧電アクチュエータ6の、任意の圧電変形領域11を、圧電アクチュエータ6の厚み方向に振動させると、前記振動によって、対応する圧力室2の容積が増減されて、前記圧力室2内のインクが振動する。
そして、前記振動が、連通路4内のインクを通してノズル3に伝えられて、前記ノズル3内に形成されるインクのメニスカスが振動し、この振動に伴って、メニスカスを形成するインクの一部が、インク滴として分離されて、ノズル3から吐出される。
駆動回路13から、圧電セラミック層7の活性領域15に印加される電圧は、前記活性領域15を形成する圧電セラミックの、電圧印加状態での分極量の、1回の動作中での変化率を+3〜+8%、特に+5〜+6%に維持することができる駆動電圧波形を有するものとする必要がある。
これは、圧電セラミックの、電圧印加状態での分極量の変化率が、前記範囲未満となるような電圧を、活性領域15に印加して圧電変形領域11を動作させても、1回の動作で発生させることができる、面方向の収縮に寄与する、90°分域成分の回転変位の割合が少なすぎて、前記圧電変形領域11の、前記1回の動作ごとの、厚み方向の撓み変形の変位量が不十分になるためである。
また、前記範囲を超える場合には、圧電変形領域11の1回の動作が終了した後に、活性領域15を形成する圧電セラミック中で、回転変位状態で配向したまま戻らない90°分域成分の割合が増加するため、前記動作を繰り返すことで、前記圧電変形領域11の変位量が、経時的に、大きく低下してしまうためである。
図2を参照して、ノズル3からインク滴を吐出させない待機時に、圧電セラミック層7の活性領域15に、順方向の電圧Vを印加し続けて、圧電変形領域11を、圧力室2の方向に突出するように撓ませた状態を維持し、インク滴の吐出時には、前記活性領域15に、一旦、電圧をゼロにして、圧電変形領域11のたわみを解除させた後、再び電圧を印加して待機状態に戻す電圧パルス(図中、Tの幅のパルス)を印加することで、圧電変形領域11を振動させて、ノズル3からインク滴を吐出させる、いわゆる引き打ち式の動作方式の場合には、下記の駆動電圧波形を有する電圧が採用される。
図2を参照して、図において左側の電圧パルスの印加終了後、次の、図において右側の電圧パルスの印加を開始するまでの間の、活性領域15に順方向の電圧を印加し続ける、パルス幅T の待機期間と、前記左側の、パルス幅T の電圧パルスの印加期間とを、1回の動作(トータルのパルス幅T =T +T )とし、なおかつ前記パルス幅Tの待機期間の途中に、電圧の印加を停止するか、もしくは、逆方向の電圧を印加して、圧電セラミックの分極量の上昇を抑制する、インクの吐出に影響しない程度の、ごく短い電圧パルス(図中、Tの幅のパルス)を1回または複数回、印加することで、前記待機期間に、活性領域15を形成する圧電セラミックの、電圧印加状態での分極量の変化率が+3〜+8%の範囲内となるように調整する駆動電圧波形。
前記駆動電圧波形において、次の動作時に、電圧パルスを印加せずに、待機を続ける場合には、図示していないが、さらに次の動作に入る前の任意の時点で、必要に応じて、同様の、ごく短い電圧パルスを1回または2回以上、印加して、圧電セラミックの分極量が上昇するのを抑制してもよい。
記のような駆動電圧波形を有する電圧を印加して、C軸配向度Iの初期値が0.5〜0.7であるPZT系の圧電セラミックからなる圧電セラミック層7を含む圧電アクチュエータ6の圧電変形領域11を動作させることによって、前記圧電セラミック層7の活性領域15を形成する圧電セラミック中に含まれる90°分域成分の割合が大きく減少して、前記活性領域15の、面方向の収縮量が大きく低下するのを抑制することができる。そのため、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域11の、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に、大きく低下するのを防止して、長期間に亘って、十分な変位量を維持することができる。
圧電セラミック層7の、活性領域15を囲む、拘束領域12に対応した領域(「非活性領域」とする)16は、前記活性領域15が面方向に収縮することで、逆に、面方向に伸長される。特に、先に説明した引き打ち式の動作方法では、非活性領域16が、待機時に、長期間にわたって、面方向に伸長され続けることになり、伸長された状態で、クリープ変形を生じやすい。
そして、非活性領域16がクリープ変形すると、活性領域15を周囲から圧縮して、前記活性領域15内で回転変位した90°分域成分が元に戻るのを妨げるため、前記活性領域15を形成する圧電セラミックの分極量が上昇して、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域11の、厚み方向の撓み変形の変位量が、経時的に低下するのを促進していた。
しかし、本発明では、駆動回路13から、圧電セラミック層7の活性領域15に、前記特定の駆動電圧波形を有する電圧を印加して、圧電アクチュエータ6の圧電変形領域11を動作させているため、非活性領域16を形成する圧電セラミックの、活性領域15への電圧印加状態での分極量の、1回の動作中での変化率を−3〜+3%に維持して、前記非活性領域16のクリープ変形を抑制することもできる。
なお、本発明では、圧電セラミック層7を形成する圧電セラミックの分極量P(μC/cm)を、強誘電体測定装置を用いて測定した、前記圧電セラミックの電荷量Q(μC)と、個別電極層8の面積である電界面積S(cm)とから、式(2):
P=Q/S (2)
によって求めた値でもって表すこととする。
本発明の圧電アクチュエータユニットの一例を、インクジェットプリンタのヘッドに、駆動源として組み込んだ例を示す断面図である。 前記圧電アクチュエータユニットの圧電セラミック層に印加する電圧の、駆動電圧波形の一例を示すグラフである
1 圧電アクチュエータユニット
2 圧力室
3 ノズル
4 連通路
5 基板
6 圧電アクチュエータ
7 圧電セラミック層
8 個別電極層
9 共通電極層
10 振動板
11 圧電変形領域
12 拘束領域
13 駆動回路
14 制御ユニット
15 活性領域
16 非活性領域

Claims (1)

  1. 厚み方向に分極され、前記厚み方向に電圧が印加されることで、前記厚み方向と直交する面方向に伸縮する横振動モードの圧電セラミック層を含み、前記圧電セラミック層の、面方向の伸縮によって、厚み方向に撓み変形する平板状の圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータの圧電セラミック層に、所定の駆動電圧波形を有する電圧を印加して面方向に伸縮させることで、圧電アクチュエータを厚み方向に振動させる動作をさせるための駆動回路とを備えた圧電アクチュエータユニットであって、前記圧電セラミック層が、X線回折スペクトルのうち[200]面の回折ピークの強度I〔200〕と、[002]面の回折ピークの強度I〔002〕とから、式(1):
    =I〔002〕/(I〔002〕+I〔200〕) (1)
    によって求められるC軸配向度Iの、電圧を印加しない初期の状態で測定した初期値が0.5〜0.7であるPZT系の圧電セラミックによって形成されていると共に、駆動回路が、前記圧電セラミック層に電圧を印加し続ける待機期間と、前記電圧の印加を一旦停止したのち再び印加する電圧パルスの印加期間とを有すると共に、前記待機期間の途中に、前記電圧の印加を一旦停止するか、もしくは一旦逆方向の電圧を印加する、前記待機期間よりも短い電圧パルスを1回または複数回、印加する駆動電圧波形を有する電圧を前記圧電セラミック層に印加することで、前記圧電セラミック層を形成する圧電セラミックの、電圧印加状態での分極量の、1回の動作中での変化率を+3〜+8%に維持しながら、前記圧電アクチュエータを厚み方向に振動させる動作をさせる回路であることを特徴とする圧電アクチュエータユニット。
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