JP2007270931A - すべり軸受装置およびポンプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転軸の径方向へのぶれを低減することと振れ回り振動を低減することを両立することが可能なすべり軸受装置を提供する。
【解決手段】回転軸4の外周面に対して摺接して回転軸4を回転自在に保持する軸受体15がハウジング16に嵌め込まれ、ハウジング16がポンプケーシング内の固定部材6に取付けられ、ハウジング16と軸受体15との間に円筒状の緩衝部材17が設けられ、緩衝部材17はデュロメータ硬さがA15〜A95で且つ反発弾性係数が65%以下としている。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば無注水のドライ状態と水によって潤滑される注水状態との両方の状態で使用されるすべり軸受装置、および、このすべり軸受装置を備えた立軸ポンプ装置や立軸斜流ポンプ装置或いは横軸斜流ポンプ装置等のポンプ装置に関する。
従来、ポンプ装置に用いられるすべり軸受装置としては、例えば図6,図7に示すものがある(下記特許文献1参照)。ポンプ装置のケーシング内に固定部材80が設けられ、固定部材80には、金属製で円筒状の軸受ハウジング81が固定されている。軸受ハウジング81の中央に形成された貫通孔83の内側には、円筒状の緩衝部材84を介して、軸受体85が設置されている。軸受体85は、円筒状の軸受シェル86と摺接部材87とで構成されている。摺接部材87は、セラミックスなどの高硬度材製であり、軸受シェル86の内側に圧入固定されている。摺接部材87の内周面とポンプ装置の回転軸88の外周面とが摺接する。
尚、緩衝部材84の材質としては、一般に、フッ素ゴムやNBR(ニトリルゴム)等が使用されている。一般的なフッ素ゴムやNBRのデュロメータ硬さはA40〜A90程度である。また、緩衝部材84には、軸方向に沿って直線状の貫通孔92が複数形成される場合があり、この場合、貫通孔92によって緩衝部材84のバネ定数が所定の値に調整される。
これによると、回転軸88が所定の回転方向Aに回転すると、回転軸88の外周面が摺接部材87の内周面に摺接する。
このようなすべり軸受装置93を備えたポンプ装置として、例えば、先行待機運転を行う縦軸ポンプ装置がある。このような先行待機型の縦軸ポンプ装置の運転様式として、通常の揚水運転時においては、自揚水によってすべり軸受装置93が潤滑および冷却される。また、ドライ運転時においては、すべり軸受装置93は上記自揚水による潤滑および冷却が中断された状態になる。このドライ運転時においては、自揚水による潤滑作用が発揮されないため、すべり軸受装置93に対する回転軸88の摺動抵抗や磨耗量が増大することがある。
特開2002−266792
しかしながら、上記の従来形式では、上記軸受体85は緩衝用ゴム84を介して軸受ハウジング81に固定されるため、経年変化等によって回転軸88と摺接部材87との摩擦抵抗が増加すると、図8に示すように、ドライ運転時に回転軸88が所定の回転方向Aへ回転しながら軸受体85の摺接部材87の内周面に接触した際、上記回転軸88は、回転方向Aとは逆向きの反発力Bを受け、矢印Cで示すように摺接部材87内で所定の回転方向Aとは逆向きにジャンプし、再び上記摺接部材87の内周面に衝突する。回転軸88が摺接部材87内で上記のようなジャンプと衝突とを繰り返すことにより、振動(以下、振れ回り振動と記載)が発生するといった問題があった。
尚、上記図8は、回転軸62の振れ回り振動を解り易く説明するために、回転軸88の外径に対して摺接部材87の内径を極端に大きく誇張して描いた模式図であり、実際には、摺接部材87の内径は回転軸88の外径よりも僅かに大きく形成されており、回転軸88の外周面と摺接部材87の内周面との間に形成される隙間94は微小なものである。
上記緩衝部材84の材質であるフッ素ゴムやNBRは反発弾性係数が高い(一般に反発弾性係数=70〜95%程度)ため、摺接部材87内での回転軸88のジャンプと衝突とが加速され、上記振れ回り振動を緩衝部材84で十分に吸収することは難しかった。
この対策として、図7に示すように、緩衝部材84に貫通孔92を形成することにより(或いはゴムの配合を調整することにより)、緩衝部材84のバネ定数を小さくして、緩衝部材84を径方向に変位し易くすることが考えられる。これによると、回転軸88が摺接部材87内でジャンプし摺接部材87の内周面に衝突した際、緩衝部材84が径方向に変位して逃げるため、回転軸88がジャンプする現象を軽減でき、振れ回り振動が低減するといった効果が期待される。
しかしながら、上記のように緩衝部材84に貫通孔92を形成する等して緩衝部材84を単に軟らかくした場合、振れ回り振動の低減は期待されるが、その反面、緩衝部材84が径方向Raに変位し易くなるため、回転軸88が軸受体85を押す力によって、軸受体85が径方向Raへ過大に変位し、回転軸88の径方向Raへのぶれが規定内よりも増大してしまうといった問題がある。
本発明は、回転軸の径方向へのぶれを大きくせずに、回転軸の振れ回り振動を低減することが可能なすべり軸受装置およびポンプ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本第1発明は、回転軸の外周面に摺接して回転軸を回転自在に保持する軸受体がハウジングに嵌め込まれ、
ハウジングと軸受体との間に緩衝部材が設けられたすべり軸受装置であって、
緩衝部材はデュロメータ硬さがA15〜A95で且つ反発弾性係数が65%以下であるものである。
これによると、回転軸が回転した場合、回転軸の外周面が軸受体に摺接し、これにより、回転軸がすべり軸受装置によって保持される。
緩衝部材はデュロメータ硬さがA15〜A95で且つ反発弾性係数が65%以下であるため、緩衝部材の硬さが一般的なフッ素ゴムやNBRの硬さとほぼ同等であるとともに、緩衝部材の反発弾性係数が一般的なフッ素ゴムやNBRの反発弾性係数よりも小さい。
このように、緩衝部材の反発弾性係数が一般的なフッ素ゴムやNBRの反発弾性係数よりも小さいことにより、回転軸が軸受体に衝突した際の衝突エネルギーの多くは、主に熱エネルギーとして緩衝部材に吸収される。これにより、軸受体が回転軸を押し戻すエネルギーが減少するため、回転軸が軸受体内でジャンプする現象が軽減され、振れ回り振動を低減することができる。すなわち、上記反発弾性係数が小さいことは、振動を減衰させる効果が大きいことを意味する。
また、上記のように緩衝部材の硬さが一般的なフッ素ゴムやNBRの硬さとほぼ同等であるため、軸受体が径方向へ過大に変位してしまうことは抑制され、これにより、回転軸の径方向へのぶれを規定内に保つことができる。
また、本第2発明は、緩衝部材はデュロメータ硬さがA25〜A85で且つ反発弾性係数が50%以下であるものである。
これによると、振れ回り振動を低減する効果と回転軸の径方向へのぶれを低減する効果とがより一層向上する。
また、本第3発明は、軸受体は回転軸に摺接自在な筒状の軸受側摺接部材を有し、
軸受側摺接部材が回転軸に外嵌されているものである。
これによると、回転軸が回転した場合、回転軸の外周面が軸受体の軸受側摺接部材に摺接し、これにより、回転軸がすべり軸受装置によって保持される。
また、本第4発明は、軸受体は回転軸に摺接自在な軸受側摺接部材を有し、
軸受側摺接部材は、周方向に所定間隔をあけて配置された複数のセグメントからなるものである。
これによると、回転軸が回転した場合、回転軸の外周面が軸受体の各セグメントに摺接し、これにより、回転軸がすべり軸受装置によって保持される。
また、軸受側摺接部材を複数のセグメントで構成することにより、筒状の軸受側摺接部材を用いる場合と比べて、硬度の高い高価な材料の使用量を削減することができる。さらに、摺接面の加工工数を低減することも可能となる。
また、本第5発明は、上記第1発明から第4発明のいずれか1項に記載のすべり軸受装置を備えたことを特徴とするポンプ装置である。
これによると、回転軸の径方向へのぶれを規定内に保つことができるため、回転軸に設けられた羽根車がポンプケーシングに接触する等の不具合を防止することができる。
以上のように本発明によると、回転軸の径方向へのぶれを低減することと振れ回り振動を低減することを両立することができる。
以下、本発明における第1の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1に示すように、1は先行待機運転が行える立軸斜流ポンプ装置(ポンプ装置の一例)であり、ポンプケーシング2の下端に吸込口3が形成されている。ポンプケーシング2内には主軸である回転軸4が挿通されており、回転軸4の下端に羽根車5が設けられている。上記回転軸4は上下複数のすべり軸受装置11〜13によって回転自在に支持されている。これらすべり軸受装置11〜13はそれぞれポンプケーシング2内の円筒状の固定部材6に設けられている。また、上記吸込口3に空気を吸気する吸気管14が設けられ、この吸気管14は気水切替装置(図示せず)によって開閉されるように構成されている。尚、上記立軸斜流ポンプ1は、羽根車5が回転して水を吸い上げる揚水運転と、羽根車5が回転しているが水を吸い上げないドライ運転の運転パターンが選定できるものである。
図2,図3に示すように、上記回転軸4は、軸本体4aと、軸受箇所において軸本体4aに外嵌された円筒状の軸側スリーブ4bと、軸側スリーブ4bの外周面に全周にわたって形成された軸側摺接部4cとで構成されており、固定部材6を貫通している。
上記すべり軸受装置11は以下のように構成されている。
すべり軸受装置11は、回転軸4を回転自在に保持する円筒状の軸受体15と、軸受体15の径方向外側に配置された金属製の円筒状のハウジング16とを有している。軸受体15はハウジング16に嵌め込まれており、軸受体15とハウジング16との間には円筒状の緩衝部材17が設けられている。
上記軸受体15は、金属製の円筒状のシェル21と、シェル21の内周側に嵌め込まれて一体的に取付けられた円筒状の軸受側摺接部材20とで構成されている。シェル21は、円筒状の嵌め込み部21aと、嵌め込み部21aの上端から径方向外側へ張り出した鍔部21bとで構成されている。また、軸受側摺接部材20は、セラミック製や樹脂製であり、回転軸4に外嵌されており、内周面が回転軸4の軸側摺接部4cに摺接自在である。
また、ハウジング16は、固定部材6の上部に設けられており、固定部材6の軸受挿通孔6aに嵌め込まれる円筒部16aと、円筒部16aの上端から径方向外側へ張り出したフランジ部16bとで構成されている。上記フランジ部16bは、固定部材6の上端部と、軸受体15の上方を覆うカバー部材25との間に挟まれており、複数のボルト26によってカバー部材25と共に固定部材6の上端部に取付け固定されている。
また、シェル21の鍔部21bとカバー部材25との間に一方の滑り板22aが介在し、さらに、上記鍔部21bとハウジング16との間に他方の滑り板22bが介在している。
また、上記緩衝部材17は、減衰性の高いゴムを材質としており、デュロメータ硬さがA15〜A95で且つ反発弾性係数が65%以下のものが用いられる。尚、上記硬さはJIS K6253に規定されているものである。また、上記反発弾性係数はリュプケ式に基いて得られるものである。
以上がすべり軸受装置11の構成であり、他のすべり軸受装置12,13も同様に構成されており、このうち、すべり軸受装置12は上下反対に設けられている。
以下、上記構成における作用を説明する。
回転軸4が所定の回転方向Aに回転した場合、回転軸4の軸側摺接部4cの外周面が軸受体15の軸受側摺接部材20の内周面に摺接し、これにより、回転軸4が各すべり軸受装置11〜13によって保持される。
緩衝部材17はデュロメータ硬さがA15〜A95で且つ反発弾性係数が65%以下の減衰性の高いゴムであるため、緩衝部材17の硬さが一般的なフッ素ゴムやNBRの硬さ(=A40〜A90程度)とほぼ同等であるとともに、緩衝部材17の反発弾性係数が一般的なフッ素ゴムやNBRの反発弾性係数(=70〜95%程度)よりも小さい。
このように、緩衝部材17の反発弾性係数が一般的なフッ素ゴムやNBRの反発弾性係数よりも小さいことにより、回転軸4が軸受体15の軸受側摺接部材20に衝突した際の衝突エネルギーの多くは、主に熱エネルギーとして緩衝部材17に吸収される。これにより、軸受体15が回転軸4を押し戻すエネルギーが減少するため、回転軸4が軸受体15内でジャンプする現象は軽減され、緩衝部材17が極端に硬い場合を除いて、振れ回り振動を低減することができる。
また、上記のように緩衝部材17の硬さが一般的なフッ素ゴムやNBRの硬さとほぼ同等であるため、軸受体15が径方向Raへ過大に変位してしまうことは抑制され、これにより、回転軸4の径方向Raへのぶれを規定内に保つことができる。これにより、羽根車5がポンプケーシング2に接触する等の不具合を防止することができる。
下記表1は実験結果の一例であり、緩衝部材17のゴムの様々な硬さと反発弾性係数とに対する回転軸4のぶれと振動の有無とを示している。また、図4は、下記表1の結果に基いて、緩衝部材17の硬さと反発弾性係数との最適な範囲を示したグラフであり、このグラフの点線Iで囲まれた部分がデュロメータ硬さA15〜A95で且つ反発弾性係数65%以下の範囲を示している。
これによると、デュロメータ硬さA15〜A95且つ反発弾性係数65%以下の範囲では、軸ぶれが規定値内に収まるとともに、軸振動(振れ回り振動)の発生が抑制される効果が得られる。尚、硬さがA15よりも低いと、緩衝部材17が軟らか過ぎて、軸ぶれが規定値より増大してしまう。また、反発弾性係数が65%より高くなると、軸振動(振れ回り振動)が発生してしまう。尚、反発弾性係数65%以下であっても、デュロメータ硬さがA100と極端に硬い場合には、軸振動が発生してしまう。
Figure 2007270931
上記第1の実施の形態では、図3に示すように、軸受側摺接部材20が円筒状に形成されているが、第2の実施の形態では、図5に示すように、軸受側摺接部材20は周方向Rbに所定間隔をあけて配置された複数のセグメント20aからなる。
これによると、回転軸4が回転した場合、回転軸4の軸側摺接部4cの外周面が軸受体15の各セグメント20aに摺接し、これにより、回転軸4が各すべり軸受装置11〜13によって保持される。
また、軸受側摺接部材20を複数のセグメント20aで構成することにより、上記第1の実施の形態で示した円筒状の軸受側摺接部材20(図3参照)を用いる場合と比べて、硬度の高い高価な材料の使用量を削減することができる。さらに、摺接面の加工工数を低減することも可能となる。
上記各実施の形態では、緩衝部材17として、図4のグラフの点線Iで示すように、デュロメータ硬さがA15〜A95で且つ反発弾性係数が65%以下の弾性体(ゴム等)を採用しているが、望ましくは、点線Jで示すように、デュロメータ硬さがA20〜A90で且つ反発弾性係数が60%以下の弾性体を使用するのがよく、さらに望ましくは、点線Kで示すように、デュロメータ硬さがA25〜A85で且つ反発弾性係数が50%以下の弾性体を使用するのがよい。これによると、振れ回り振動を低減する効果と回転軸4の径方向Raへのぶれを低減する効果とがより一層向上する。
上記各実施の形態では、緩衝部材17の材質としてゴムを使用しているが、ゴムに限定されるものではなく、ゴム以外の弾性体を使用してもよい。
上記各実施の形態では、図1に示すように、ポンプ装置の一例として立軸斜流ポンプ装置1を挙げたが、他の形式のポンプ装置であってもよい。
上記各実施の形態では、図2に示すように、回転軸4を軸本体4aと軸側スリーブ4bと軸側摺接部4cとで構成しているが、軸本体4aに軸側スリーブ4bと軸側摺接部4cとを設けず、回転軸4を軸本体4aのみで構成し、軸本体4aを直接軸受側摺接部材20やセグメント20aに摺接させてもよい。
本発明の第1の実施の形態におけるすべり軸受装置を備えたポンプ装置の縦断面図である。 同、すべり軸受装置の縦断面図である。 図2におけるX−X矢視図である。 同、すべり軸受装置の緩衝部材の硬度と反発弾性係数との最適な範囲を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態におけるすべり軸受装置の横断面図である。 従来のすべり軸受装置の縦断面図である。 同、すべり軸受装置の平面図の一部分である。 同、振れ回り振動を説明するための回転軸と軸受体との横断面図である。
符号の説明
1 立軸斜流ポンプ装置(ポンプ装置)
4 回転軸
6 固定部材
11〜13 すべり軸受装置
15 軸受体
16 ハウジング
17 緩衝部材
20 軸受側摺接部材
20a セグメント
Rb 周方向

Claims (5)

  1. 回転軸の外周面に摺接して回転軸を回転自在に保持する軸受体がハウジングに嵌め込まれ、
    ハウジングと軸受体との間に緩衝部材が設けられたすべり軸受装置であって、
    緩衝部材はデュロメータ硬さがA15〜A95で且つ反発弾性係数が65%以下であることを特徴とするすべり軸受装置。
  2. 緩衝部材はデュロメータ硬さがA25〜A85で且つ反発弾性係数が50%以下であることを特徴とする請求項1記載のすべり軸受装置。
  3. 軸受体は回転軸に摺接自在な筒状の軸受側摺接部材を有し、
    軸受側摺接部材が回転軸に外嵌されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のすべり軸受装置。
  4. 軸受体は回転軸に摺接自在な軸受側摺接部材を有し、
    軸受側摺接部材は、周方向に所定間隔をあけて配置された複数のセグメントからなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のすべり軸受装置。
  5. 上記請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のすべり軸受装置を備えたことを特徴とするポンプ装置。
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