JP2002266792A - ポンプ軸受構造及びポンプ装置 - Google Patents

ポンプ軸受構造及びポンプ装置

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章市 久米
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正年 高木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 例え設計荷重よりも大きな荷重がポンプ軸に
加わっても、軸受シェルが緩衝ゴムからずれる恐れのな
いポンプ軸受構造及びポンプ装置を提供すること。 【解決手段】 軸受ケーシング１３中央に設けた貫通孔
１７内に筒状の緩衝用ゴム１９を介して筒状の軸受シェ
ル２１を設置し、さらに軸受シェル２１の内側にポンプ
軸５０を回転自在に支持する筒状の軸受２５を固定して
なるポンプ軸受構造である。緩衝用ゴム１９を、外周側
の軸受ケーシング１３と内周側の軸受シェル２１の両者
に加硫接着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックスや超
硬等の高硬度材の軸受をポンプの軸受に使用してなるポ
ンプ軸受構造及びポンプ装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来、排水機場などに設置される縦軸ポ
ンプのポンプ軸は、ポンプケーシング内において水中軸
受によって軸支されている。図３はこの種の従来の水中
軸受構造の要部概略断面図である。また図４はこの水中
軸受構造の要部分解断面図である。図４に示すように従
来の水中軸受構造は、略円筒状であって金属製の軸受ケ
ーシング８３の内周面に円筒状の緩衝ゴム８７を加硫接
着したものの中央に、円筒状の軸受９１を圧入・固定し
た軸受シェル８９を挿入し、図３に示すように軸受ケー
シング８３の外周面側から挿入した回り止めピン９３を
軸受ケーシング８３と緩衝ゴム８７を貫通して軸受シェ
ル８９に設けた凹部９０に挿入し、さらに軸受９１の中
央にポンプ軸９５を挿入し、軸受ケーシング８３をポン
プケーシング内に設けた支持部材８１の中央にボルト８
５によって固定して構成されている。なお軸受９１はセ
ラミックスや超硬等の高硬度材で形成されている。また
回り止めピン９３は放射状に複数箇所取り付けられてい
て軸受シェル８９の回り止めを行なっている。
【０００３】しかしながら上記従来例において軸受ケー
シング８３と緩衝ゴム８７とは加硫接着されているが、
軸受シェル８９は緩衝ゴム８７の内側に圧入して取りつ
けられているだけなので、ポンプの羽根車に異物が絡み
付いて設計荷重よりも大きな荷重がポンプ軸９５に加わ
ったとき、軸受シェル８９が緩衝ゴムからずれてしまう
可能性があった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の点に鑑
みてなされたものでありその目的は、例え設計荷重より
も大きな荷重がポンプ軸に加わっても、軸受シェルが緩
衝ゴムからずれる恐れのないポンプ軸受構造及びポンプ
装置を提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め本発明は、軸受ケーシング内に筒状の緩衝用粘弾性材
を介して筒状の軸受シェルを設置し、さらに前記軸受シ
ェルの内側にポンプ軸を回転自在に支持する筒状の軸受
を固定してなるポンプ軸受構造において、前記緩衝用粘
弾性材を、外周側の軸受ケーシングと内周側の軸受シェ
ルの両者に加硫接着したことを特徴とする。
【０００６】また本発明は、前記緩衝用粘弾性材の外周
面と前記軸受ケーシングの内周面の両面、又は前記緩衝
用粘弾性材の内周面と軸受シェルの外周面の両面に、周
方向に向かう例えばリング状の凹と凸からなる嵌合部を
それぞれ設けて嵌合し、これによって軸方向への抜け止
めを行なうことを特徴とする。
【０００７】また本発明は、前記緩衝用粘弾性材の外周
面と前記軸受ケーシングの内周面の両面、又は前記緩衝
用粘弾性材の内周面と軸受シェルの外周面の両面に、ポ
ンプ軸の軸方向に向かう例えば直線状の凹と凸からなる
嵌合部をそれぞれ設けて嵌合し、これによって周方向へ
の廻り止めを行なうことを特徴とする。
【０００８】また本発明は、ポンプケーシング内にポン
プ軸を設置し、ポンプ軸に取り付けた羽根車を回転駆動
することでポンプケーシングの吸込側から吐出側に向か
って送水するポンプ装置において、前記ポンプ軸の軸受
構造として前記ポンプ軸受構造を用いたことを特徴とす
る。
【０００９】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。図１は本発明の一実施形態
にかかるポンプ軸受構造の要部概略断面図である。また
図２はポンプ軸受構造の一部平面図（図１を上から見た
図。但しポンプ軸５０と支持部材８１は省略）である。
図１に示すようにこのポンプ軸受構造は、略円筒状の軸
受ケーシング１３の中央に設けた貫通孔１７の内側に筒
状の緩衝用ゴム（緩衝用粘弾性材）１９を介して筒状の
軸受シェル２１を設置し、さらに軸受シェル２１の内側
にポンプ軸５０を回転自在に支持する筒状の軸受２５を
圧入固定して構成されている。以下各構成部品について
説明する。
【００１０】軸受ケーシング１３は金属製であり、その
下端面に外方に広がるつば部１５を設けた形状に形成さ
れている。また軸受ケーシング１３の内周面には周方向
に向かってリング状で凹状の嵌合部１６ａ（図１参照）
と、ポンプ軸５０の軸方向に直線状に向かう複数本の凹
状の嵌合部１６ｂ（図２参照）とが設けられている。
【００１１】軸受シェル２１は筒状であってその上端部
に半径方向内側に向かって少し突出する係止片２２を設
けて構成されている。またその外周面には周方向に向か
ってリング状で凹状の嵌合部２３ａ（図１参照）と、ポ
ンプ軸５０の軸方向に直線状に向かう複数本の凹状の嵌
合部２３ｂ（図２参照）とが設けられている。
【００１２】軸受２５は筒状であってその材質はセラミ
ックスや超硬などの高硬度材によって構成されている。
【００１３】そしてこのポンプ軸受構造の組み立ては、
軸受ケーシング１３の貫通孔１７内に軸受２５を圧入固
定した軸受シェル２１を挿入してその中央に設置して図
示しない固定治具（金型）で固定しておき、軸受ケーシ
ング１３と軸受シェル２１の間に形成される筒状の隙間
（キャビティー）内に加硫した緩衝用粘弾性材を圧入し
て緩衝用ゴム１９を成形すると同時に緩衝用ゴム１９を
外周側の軸受ケーシング１３と内周側の軸受シェル２１
の両者に加硫接着する。
【００１４】このとき軸受ケーシング１３に設けた嵌合
部１６ａ，１６ｂと軸受シェル２１に設けた嵌合部２３
ａ，２３ｂに緩衝用粘弾性材が充填されることでそれぞ
れ凸状でリング状又は直線状の嵌合部２７ａ，２７ｂ，
２９ａ，２９ｂが緩衝用ゴム１９の内外周面に形成され
る。なお緩衝用ゴム１９内に軸方向に多数設けた直線状
の貫通孔２０は、緩衝用ゴム１９のバネ定数を所定の値
に調整するためのものである。
【００１５】そして以上のようにして組み立てたポンプ
軸受機構の軸受２５内にポンプ軸５０を挿入し、一方軸
受ケーシング１３を図示しないポンプケーシング内に設
けた支持部材８１の中央に挿入してつば部１５の部分を
ボルト８５によって支持部材８１に固定する。
【００１６】本発明は緩衝用ゴム１９を、外周側の軸受
ケーシング１３と内周側の軸受シェル２１の両者に加硫
接着したので、緩衝用ゴム１９の軸受ケーシング１３と
軸受シェル２１の両者への結合力が強くなり、これによ
って一体化されている軸受２５及び軸受シェル２１の離
脱や周方向への回転が生じなくなる。
【００１７】さらに本発明においては緩衝用ゴム１９と
軸受ケーシング１３の間、及び緩衝用ゴム１９と軸受シ
ェル２１の間に、それぞれ周方向と軸方向に向けて両者
が噛み合う凹凸状の嵌合部１６ａ，１６ｂ，２７ａ，２
７ｂと嵌合部２３ａ，２３ｂ，２９ａ，２９ｂとを設け
たので、さらに緩衝用ゴム１９の軸受ケーシング１３と
軸受シェル２１の両者への結合力が強くなる。
【００１８】図５は上記ポンプ軸受構造を適用するポン
プ装置の一例を示す概略断面図である。同図に示すポン
プ装置は縦軸斜流ポンプ装置であり、ポンプケーシング
１００内の下部に羽根車１０１を設置し、ポンプケーシ
ング１００の上方に設置した原動機（駆動手段）１０３
の出力を減速機１０５を介してポンプ軸５０及びこれに
固定した羽根車１０１を回転駆動することでポンプケー
シング１００の吸込側（吸込ベルマウス１０９側）から
液体を吸い込んで吐出側（吐出エルボ１１１側）から吐
き出す構造に構成されている。
【００１９】そしてこのポンプ装置においては、吐出ボ
ウル１１３内のポンプ軸５０の部分を前記ポンプ軸受構
造によって軸支している。即ち吐出ボウル１１３の内部
から内側に向けて突出する支持部材８１の先端に図１に
示す構造のポンプ軸受構造Ａを取り付けることでポンプ
軸５０を軸支している。なお本発明にかかるポンプ軸受
構造を適用するポンプ装置が上記実施形態に限定され
ず、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【００２０】以上本発明の実施形態を説明したが、本発
明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求
の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範
囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書
及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であって
も、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技
術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では緩衝
用粘弾性材としてゴム材を用いたが、他の各種材質のも
のを用いても良い。また上記実施形態では緩衝用粘弾性
材と軸受ケーシングの間、及び緩衝用粘弾性材と軸受シ
ェルの間に、周方向及び軸方向に向かう凹と凸からなる
嵌合部を設けてそれぞれ嵌合した例を示したが、嵌合部
は緩衝用粘弾性材と軸受ケーシングの間、又は緩衝用粘
弾性材と軸受シェルの間の何れか一方のみに設けても良
い。また上記実施形態の嵌合部は周方向と軸方向の両方
向に向かう凹と凸を嵌合する構造であるが、例えば周方
向のみ又は軸方向のみに向かう凹と凸を嵌合する構造で
あってもよい。
【００２１】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば以下のような優れた効果を有する。 緩衝用粘弾性材を、外周側の軸受ケーシング及び内周
側の軸受シェルの両者に加硫接着したので、緩衝用粘弾
性材の軸受ケーシングと軸受シェルの両者への結合力が
強くなり、例え設計荷重よりも大きな荷重がポンプ軸に
加わっても軸受シェルが緩衝ゴムからずれる恐れがなく
なる。
【００２２】緩衝用粘弾性材の外周面と軸受ケーシン
グの内周面、又は緩衝用粘弾性材の内周面と軸受シェル
の外周面に、両者が嵌合する嵌合部を設けたので、軸方
向や周方向への抜け止めや廻り止めをさらに確実に行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態にかかるポンプ軸受構造の
要部概略断面図である。
【図２】ポンプ軸受構造の一部平面図である。
【図３】従来の水中軸受構造の要部概略断面図である。
【図４】従来の水中軸受構造の要部分解断面図である。
【図５】本発明にかかるポンプ軸受構造を適用するポン
プ装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
１３ 軸受ケーシング １５ つば部 １６ａ，１６ｂ，２３ａ，２３ｂ 嵌合部 １７ 貫通孔 １９ 緩衝用ゴム（緩衝用粘弾性材） ２１ 軸受シェル ２５ 軸受 ２７ａ，２７ｂ，２９ａ，２９ｂ 嵌合部 ５０ ポンプ軸 ８１ 支持部材 ８５ ボルト １００ ポンプケーシング １０１ 羽根車 １０３ 原動機（駆動手段） １０５ 減速機 １０９ 吸込ベルマウス １１１ 吐出エルボ １１３ 吐出ボウル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 正年 東京都大田区羽田旭町11番１号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 仙道 勉 東京都大田区羽田旭町11番１号 株式会社 荏原製作所内 Ｆターム(参考） 3H022 AA01 BA06 CA13 CA17 CA19 CA54 DA00 3J011 AA03 AA20 BA02 JA02 KA02 KA05 MA12 MA21 SD01 3J012 AB07 AB20 BB01 DB08 DB13 FB01 GB10 HB04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 軸受ケーシング内に筒状の緩衝用粘弾性
    材を介して筒状の軸受シェルを設置し、さらに前記軸受
    シェルの内側にポンプ軸を回転自在に支持する筒状の軸
    受を固定してなるポンプ軸受構造において、 前記緩衝用粘弾性材を、外周側の軸受ケーシングと内周
    側の軸受シェルの両者に加硫接着したことを特徴とする
    ポンプ軸受構造。
  2. 【請求項２】 前記緩衝用粘弾性材の外周面と前記軸受
    ケーシングの内周面の両面、又は前記緩衝用粘弾性材の
    内周面と軸受シェルの外周面の両面に、周方向に向かう
    凹と凸からなる嵌合部をそれぞれ設けて嵌合し、これに
    よって軸方向への抜け止めを行なうことを特徴とする請
    求項１記載のポンプ軸受構造。
  3. 【請求項３】 前記緩衝用粘弾性材の外周面と前記軸受
    ケーシングの内周面の両面、又は前記緩衝用粘弾性材の
    内周面と軸受シェルの外周面の両面に、ポンプ軸の軸方
    向に向かう凹と凸からなる嵌合部をそれぞれ設けて嵌合
    し、これによって周方向への廻り止めを行なうことを特
    徴とする請求項１又は２記載のポンプ軸受構造。
  4. 【請求項４】 ポンプケーシング内にポンプ軸を設置
    し、ポンプ軸に取り付けた羽根車を回転駆動することで
    ポンプケーシングの吸込側から吐出側に向かって送液す
    るポンプ装置において、 前記ポンプ軸の軸受構造として請求項１又は２又は３記
    載のポンプ軸受構造を用いたことを特徴とするポンプ装
    置。
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