JPH0577594U - マグネットポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポンプケーシング１内の支持部材２と、該支
持部材２に支持され軸方向にのみ移動可能なセラミック
ス製ラジアルベアリング３ａとの間に緩衝部材７を介装
してなること。 【効果】 インペラ回転軸の高速回転時のスラスト荷重
や不安定振動を良好に吸収してセラミックス製ベアリン
グ、特にセラミックス製スラストベアリングに、上記振
動等にともなう衝撃が可能な限り伝達されないよう、或
いは減衰して伝達されるようにしてセラミックス製ベア
リングの破損を防止することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は液体を物理的に外部から完全に遮断して圧送する場合に用いられるマ グネットポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】

液体を圧送するためのインペラは当然にインペラ回転軸に取付けられ、該回転 軸はポンプケーシングに設けた支持部材に支持されているが、回転軸の高速回転 に耐えるために回転軸は耐摩耗性を有するセラミックス製のラジアルベアリング を介して支持部材に支持されている。

【０００３】 液体圧送時のインペラにはスラスト及びラジアル荷重を不均一に受けており、 これがためにインペラ回転軸にはその高速回転時に特にスラスト荷重と共に不安 定振動を受ける。セラミックス製のラジアルベアリングは耐摩耗性に秀れている が、破壊靭性が極めて小さいため、インペラ回転軸の高速回転時のスラスト荷重 や不安定振動に伴う衝撃によってセラミックス製スラストベアリングが破壊した り、欠損するという問題がある。

【０００４】 この難点を解決するために、本件出願人は実願平１ー１３０３４８号において 、インペラ回転軸と一体回転するセラミック製スラストベアリングとインペラ回 転軸に一体的に突設したフランジとの間に緩衝部材を設け、インペラ回転軸の高 速回転によって生起する不安定振動を緩衝部材によって吸収し、該振動がセラミ ック製スラストベアリングに極力伝達されないようにした技術を提案した。

【０００５】 この従来技術によれば、インペラ回転軸の高速回転時に生起する不安定振動を 緩衝部材によって或る程度吸収することができるが、該緩衝部材はインペラ回転 軸およびセラミック製スラストベアリングと共に一体回転するため、該回転軸の 高速回転時に生起するセラミック製スラストベアリングのスラスト方向およびラ ジアル方向あるいはこれらのベクトル方向の激しい変位によって緩衝部材がビビ リ現象を生起し、これが翻ってセラミック製スラストベアリングや同ラジアルベ アリングに伝達され、両ベアリング、特にスラストベアリングに損傷に至る悪影 響をもたらす危険があった。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

従って、本考案は、インペラ回転軸の高速回転時に生起するセラミック製スラ ストベアリングの軸方向および径方向あるいはこれらのベクトル方向の激しい変 位が緩衝部材に伝達されないようにすることを解決しようとする課題である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案の請求項１にあっては、実施例の参照符号を 付して示せば、ポンプケーシング１内の支持部材２に支持され軸方向にのみ移動 可能なセラミックス製ラジアルベアリング３ａと、該ラジアルベアリング３ａを 介して支持部材２に支持されるインペラ回転軸４と、該回転軸４に取付けられた 従動側マグネットロータ１４と、モータ１５によって回転駆動される駆動側マグ ネットロータ１６と、両ロータ１４，１６間に介装されポンプ内部と外部とを物 理的に隔絶する隔離壁１７と、インペラ回転軸４に結合され該回転軸４のスラス ト荷重を受けるセラミックス製スラストベアリング３ｂと、前記支持部材２と該 支持部材２に支持される前記セラミック製ラジアルベアリング３ａとの間に介装 された緩衝部材７と、からなる構成を採用するものである。

【０００８】 また請求項２にあっては、前記緩衝部材７は、インペラ回転軸４に嵌合される タイプの緩衝ばね、緩衝ゴム、あるいは緩衝プラスチック成形体からなる請求項 １記載の構成からなるものである。

【０００９】 また請求項３にあっては、前記セラミックス製ラジアルベアリング３ａの外周 面は凸曲面９に形成され、該ラジアルベアリング３ａは凸曲面９に沿って揺動可 能に支持部材２に結合されてなる請求項１記載の構成からなるものである。

【００１０】 また請求項４にあっては、前記セラミックス製ラジアルベアリング３ａの内周 面にインペラ回転軸４に面して開口し、軸方向に延びる螺旋状の溝１２を設けて なる請求項１記載の構成からなるものである。

【００１１】

【作用】

請求項１にあっては、インペラ回転軸４の高速回転時にセラミック製スラスト ベアリング３ａに伝達されようとするラジアル方向、スラスト方向あるいはこれ らのベクトル方向の不安定振動は、緩衝部材７によって吸収され、該不安定振動 がセラミック製スラストベアリング３ａに伝達されることが殆どない。

【００１２】 また緩衝部材７は、支持部材２とこれに支持されるセラミック製ラジアルベア リング３ａという非回転部材間に介装されるため、インペラ回転軸４の高速回転 による不安定振動が直接的に緩衝部材７に伝達されることがない。

【００１３】 請求項２にあっては、緩衝部材７は、インペラ回転軸４に嵌合されるタイプの あらゆる弾性部材から形成することができる。

【００１４】 請求項３にあっては、インペラ回転軸４の高速回転時に発生する該回転軸４の 軸心揺れに追従してセラミック製ラジアルベアリング３ａは傾動し、インペラ回 転軸４に対して一種の調心作用を発揮し、回転軸４の軸心揺れによるセラミック 製ラジアルベアリング３ａの破損を防ぐ。

【００１５】 請求項４にあっては、インペラ回転軸４の高速回転によってポンプ内部に侵入 した液体は螺旋溝１２を通ってインペラ５の位置する部屋に吸引還流され、螺旋 溝１２を液体が流通することによってセラミック製ラジアルベアリング３ａと回 転軸４との間に発生しようとする摩擦熱を冷却する作用を発揮する。

【００１６】

【実施例】 図１において、ポンプケーシング１の内部に一体的に支持部材２が設けられて おり、この支持部材２にセラミックス製ラジアルベアリング３ａを介して直交方 向に回転軸４が支持されている。正確には回転軸４にもセラミック製の補強ベア リング３ｃがキー１９止めされており、該セラミック製補強ベアリング３ｃが前 記セラミック製ラジアルベアリング３ａに接触して支持されており、これによっ て両者間に耐磨耗性を持たせるようにしている。回転軸４の先端部にインペラ５ が取付けられ、該インペラ５の回転によって吸入口１ａから流入した液体は吐出 口１ｂより圧送される。

【００１７】 前記セラミックス製ラジアルベアリング３ａは支持部材２側に後述の取付構造 によって取付けられており、従って、該ラジアルベアリング３ａは回転軸４に対 して非回転であるが、該ラジアルベアリング３ａの後端面には回転軸４側にキー １９止めによって取付けられ、従って、回転軸４と一体回転するセラミックス製 スラストベアリング３ｂが設けられている。両ベアリング３ａ，３ｂはカラー状 に形成され、協働して回転軸４のスラスト荷重を受けるが、前者のベアリング３ ａは当然にラジアルベアリングを兼ねている。

【００１８】 回転軸４には、セラミックス製スラストベアリング３ｂの後方に臨んでフラン ジ６が一体的に設けられ、該スラストベアリング３ｂのスラスト荷重を受けてお り、両者はセットねじ２０によって一体的に係止され、回転軸４と一体回転する ようになっている。

【００１９】 そして本考案の特徴とする点は、前記セラミック製ラジアルベアリング３ａの 先端面において、該ラジアルベアリング３ａとこれを支持する支持部材２との間 に緩衝部材７が介装されてなることである。

【００２０】 該緩衝部材７は、緩衝ばね、緩衝ゴム、あるいはゴムのように弾性のある緩衝 プラスチック成形体等からなる。緩衝ばねとしては、図２に示すような金属また は硬質ゴムで製作された皿ばね７、図３に示すようなコイルばね７０、あるいは 図４に示すようなベローズばね７１を挙げることができる。

【００２１】 緩衝ゴムあるいは緩衝プラスチック成形体としては図５に示すような鼓胴形、 逆鼓胴形、円筒形、あるいはＯリング形などの成形体７２を挙げることができる 。当該緩衝ばね、緩衝ゴム、緩衝プラスチック成形体は回転軸４に嵌合するタイ プのものである。扱う液が侵食性の場合、前記緩衝ばね、緩衝ゴム、緩衝プラス チック成形体は耐食性のものを採用すればよい。

【００２２】 上述のようにセラミックス製ラジアルベアリング３ａとこれの前方に臨む支持 部材２との間に緩衝部材７を介装したので、該緩衝部材７が、該セラミックス製 ラジアルベアリング３ａを、これと協働して回転軸４のスラスト荷重を支える回 転側のセラミックス製スラストベアリング３ｂに常に緩衝的に圧接している。従 って、回転軸４の不安定振動に伴う衝撃を該衝撃部材７が吸収して両セラミック 製両ベアリング３ａ，３ｂ、特に回転軸７のスラスト荷重を受けるセラミック製 スラストベアリング３ｂに該衝撃が伝達されることが殆どなく、回転軸４、した がってインペラ５の安定な運転を保証する。

【００２３】 そして、特に本考案の特徴とする点は、支持部材２とセラミック製ラジアルベ アリング３ａという非回転部材間に緩衝部材７を介装したことである。

【００２４】 従来技術の項で述べたように、回転軸４と一体回転するセラミック製スラスト ベアリング３ｂとフランジ６との間に緩衝部材を介装してもセラミック製スラス トベアリング３ｂに生起する不安定振動を、該緩衝部材によって或る程度吸収す ることができるが、このように回転部材間に緩衝部材を介装すれば、回転軸４の 高速回転時に生起するセラミック製スラストベアリング３ｂの不安定振動が直接 的に緩衝部材に伝達され、これがビビリ現象となってかえって上記両セラミック 製ベアリング３ａ，３ｂに有害な不安定振動を与える虞れがあるが、これに対し 本考案のように非回転部材間に緩衝部材７を介装することによって回転軸４の高 速回転時の不安定振動による直接的な影響を防ぐことができ、良好な緩衝作用の みを発揮することができる。

【００２５】 図１、特に図２に明瞭に示すように非回転側のセラミックス製ラジアルベアリ ング３ａは、その外周面を太鼓の胴のような凸曲面９に形成することが好ましい 。非回転側のセラミックス製ラジアルベアリング３ａの外周面をこのような凸曲 面９にする場合、該ラジアルベアリング３ａは、それの支持部材２に対して傾く ことができるように、該支持部材２に結合する。該支持部材２にベアリング３ａ を結合するビス１０とベアリング３ａとの間には、支持部材２に対するベアリン グ３ａの傾きを可能にするための隙間１１を形成する。セラミックス製ラジアル ベアリング３ａの外周面が上述のように凸曲面９であれば、それによる調心作用 により、回転軸４の軸心振れを吸収する。

【００２６】 また非回転側のセラミックス製ラジアルベアリング３ａの内周面には回転軸４ の外周面に面して開口する軸方向に螺旋状に延びる溝１２が設けられる。

【００２７】 インペラ５の回転によって吸込口１ａから流入した液体が吐出口１ｂから送り 出される際に、その液体の一部は支持部材２に設けた貫通孔１３を通って非回転 側ベアリング３ａと回転側ベアリング３ｂとの間に侵入し、回転軸４の回転作用 によって侵入した液体は上記螺旋溝１２を通ってインペラ５の位置する部屋に吸 引還流される。このように螺旋溝１２を液体が流通することによって非回転側ベ アリング３ａと回転軸４との間に発生しようとする摩擦熱を冷却し、ベアリング ３ａまたは回転軸４の摩耗と疲労の発生を防止する。

【００２８】 なお、回転軸４の後部には従動側マグネットロータ１４が取付けられ、従動側 マグネットロータ１４に対応して、モータ（図示せず）に連結された駆動軸８に よって回転駆動する駆動側マグネットロータ１６が設けられ、両ロータ１４，１ ６間にポンプ内部を外部から物理的に遮断する隔離ケーシング１７が支持部材２ に一体的に設けられている。

【００２９】 なおまた、回転軸４の後端部も隔離ケーシング１７の中央部に設けられたボス 部１８に前記と同様なセラミック製ラジアルベアリング２１ａとセラミック製ス ラストベアリング２１ｂとセラミック製補強ベアリング２１ｃを介して該回転軸 ４が回転自在に支持されている。

【００３０】 駆動側マグネットロータ１６と従動側マグネットロータ１４とは隔離ケーシン グ１７を介してマグネットカップリングを形成することは説明するまでもない。

【００３１】

【考案の効果】

したがって本考案の請求項１または２によれば、インペラ回転軸の高速回転時 のスラスト荷重や不安定振動を良好に吸収してセラミックス製ベアリング、特に セラミックス製スラストベアリングに、上記振動等にともなう衝撃が可能な限り 伝達されないよう、あるいは減衰して伝達されるようにしてセラミックス製ベア リングの破損を防止することができる。

【００３２】 また請求項１または２によれば、インペラ回転軸の高速回転時に該回転軸に生 起する不安定振動が緩衝部材に伝達されることが殆どないから、緩衝部材にビビ リ現象が発生することがなくセラミック製両ベアリング、特にセラミック製スラ ストベアリングに対する良好な緩衝作用を発揮することができる。

【００３３】 また請求項３によれば、前述のようにインペラ回転の高速回転時に不安定振動 に伴う衝撃により回転軸の軸心振れが発生しやすいが、この軸心揺れを一種の調 心作用によって吸収することになり、インペラ回転軸の高速回転時の不安定振動 によるセラミック製ラジアルベアリングの破損を確実に防止することができる。

【００３４】 更に請求項４によれば、インペラ回転軸の高速回転時に支持部材に設けられた 非回転側軸受と回転軸との間に摩擦熱が発生し、軸受または、および回転軸の摩 耗または疲労の原因となるが、この摩擦熱が発生しないよう非回転側軸受と回転 軸との間を冷却し、軸受またはおよび回転軸の摩耗または疲労の発生を極力防止 することになり、長期にわたって安定して使用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す縦断正面図である。

【図２】同要部の縦断正面図である。

【図３】同他の実施例の要部の縦断正面図である。

【図４】同他の実施例の要部の縦断正面図である。

【図５】同他の実施例の要部の縦断正面図である。

【符号の説明】

１ ポンプケーシング ２ 支持部材 ３ａ セラミック製ラジアルベアリング ３ｂ セラミック製スラストベアリング ４ インペラ回転軸 ７ 緩衝部材 ８ モーター ９ 凸曲面 １２ 螺旋溝 １４ 従動側マグネットロータ １６ 駆動側マグネットロータ １７ 隔離壁

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポンプケーシング内の支持部材に支持さ
   れ軸方向にのみ移動可能なセラミックス製ラジアルベア
   リングと、該ラジアルベアリングを介して支持部材に支
   持されるインペラ回転軸と、該回転軸に取付けられた従
   動側マグネットロータと、モータによって回転駆動され
   る駆動側マグネットロータと、両ロータ間に介装されポ
   ンプ内部と外部とを物理的に隔絶する隔離壁と、インペ
   ラ回転軸に結合され該回転軸のスラスト荷重を受けるセ
   ラミックス製スラストベアリングと、前記支持部材と該
   支持部材に支持される前記セラミック製ラジアルベアリ
   ングとの間に介装された緩衝部材と、からなるマグネッ
   トポンプ。
2. 【請求項２】 前記緩衝部材は、インペラ回転軸に嵌合
   されるタイプの緩衝ばね、緩衝ゴム、あるいは緩衝プラ
   スチック成形体からなる請求項１記載のマグネットポン
   プ。
3. 【請求項３】 前記セラミックス製ラジアルベアリング
   の外周面は凸曲面に形成され、該ラジアルベアリングは
   凸曲面に沿って揺動可能に支持部材に結合されてなる請
   求項１記載のマグネットポンプ。
4. 【請求項４】 前記セラミックス製ラジアルベアリング
   の内周面にインペラ回転軸に面して開口し、軸方向に延
   びる螺旋状の溝を設けてなる請求項１記載のマグネット
   ポンプ。