JP2007270691A - オイルフィルタ装置を備える内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関は脈動圧を有するオイルが通過するオイルフィルタ装置10を備える。オイルフィルタ装置10は、フィルタベース20に取り付けられるオイルフィルタ11と、フィルタベース20に一体成形されてオイルフィルタ11を径方向外方から覆うカバー30を備える。カバー30には、径方向でオイルフィルタ11とカバー30との間に形成される空間35を径方向外方に開放する窓部36が設けられ、カバー30は、対向方向で窓部36から最先端33aに達するまでの範囲に周方向で無端の環状部である端部33と、窓部36に重なる開口部46が設けられた補強部材41とを有する。
【選択図】図1
Description
そこで、この放射音を低減するため、さらにはカバーによるオイル飛散防止効果を高めるために、カバーでオイルフィルタを覆う範囲を拡大しようとすると、オイルフィルタが周囲の空気により冷却されにくくなる(内燃機関が車両に搭載される場合、走行風によるオイルフィルタの冷却も含まれる。)。
このとき、空気による冷却効果を高めるため、図8に示されるように、フィルタベースに一体に設けられてオイルフィルタaを覆う筒状のカバーbにおいて、カバーbが端部b2側から基部b1に向かって形成された切欠きにより空気の出入りを許容する窓部cが構成されるものでは、端部b2における周方向での窓部cの両縁部eが、フィルタベースに設けられたオイル通路でのオイルの脈動圧およびオイルフィルタaからの放射音により振動しやすく、カバーbからも放射音が発生することがある。
また、カバーの近傍に径方向で対面して内燃機関の構成部分や機関本体が位置する場合、カバーと該構成部品または機関本体との間で、両者の間の空間を通じて伝達されるカバーからの放射音により共鳴現象が発生して放射音が増大することがある。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関において、前記窓部の周縁部に補強部が設けられるものである。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の内燃機関において、前記カバーは、前記窓部が設けられた筒状の本体と、前記窓部に重なる開口部が設けられると共に前記本体に取り付けられる補強部材とから構成され、前記連続部は前記本体に一体成形され、前記補強部材における前記開口部の周縁部は前記窓部の周縁部の全周と重なるものである。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の内燃機関において、前記窓部は、前記機関本体と径方向で対向する位置に設けられるものである。
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の内燃機関において、前記最先端は前記対向方向に開放する開放口を形成し、前記カバーは、前記オイルフィルタと前記機関本体に取り付けられた排気管との間で、前記フィルタベースから下方に延びて前記最先端が前記排気管よりも下方に位置するものである。
請求項2記載の事項によれば、補強部により窓部周辺の剛性が高められるので、窓部により剛性が低下したことに起因してカバーから発生する放射音が低減する。
請求項3記載の事項によれば、カバーの本体とは別個の補強部材により窓部周辺の剛性が高められるので、請求項2記載の発明と同様の効果が奏される。そして、開口部の周縁部が窓部の周縁部の全周と重なることにより、窓部周辺の剛性が一層高められて、カバーから発生する放射音が一層低減する。そのうえ、補強部材を本体の形成材料とは異なるものとしたり、補強部材の質量を調整することにより、カバーから発生する放射音の振動特性を変更することができるので、オイルの脈動圧の振動数に対応させて放射音低減効果を効果的に発揮させる領域の調整が可能になる。
請求項4記載の事項によれば、カバーが機関本体に近接して配置される場合にも、カバーと機関本体との間で、カバーからの放射音に起因する共鳴現象の発生が抑制され、カバーからの放射音が低減する。
請求項5記載の事項によれば、カバーの最先端が排気管よりも下方に位置するので、フィルタベースから漏れたオイルが排気管に掛かることが抑制され、排気管に対するオイル付着防止効果が向上する。
図1を参照すると、本発明が適用された内燃機関(以下、単に「内燃機関」という。)は、クランク軸が車幅方向を指向する横置き配置で車両に搭載される多気筒4ストローク内燃機関である。内燃機関は、それぞれにピストンが往復運動可能に嵌合する複数のシリンダが直列に配列されて一体成形されたシリンダブロック1と、シリンダブロック1の上端に結合されるシリンダヘッド(図示されず)と、シリンダブロック1の下端に結合されるロアブロック2と、ロアブロック2の下端に結合されるオイルパン3とから構成される機関本体(以下、単に「機関本体」という。)を備える。
トロコイド型オイルポンプから構成されるオイルポンプ7は、シリンダブロック1の下部、ロアブロック2およびオイルパン3により形成されて前記クランク軸が収容されるクランク室内に配置されて、ロアブロック2に取り付けられる。前記クランク軸の動力により回転駆動されるオイルポンプ7は、ポンプ室の容積が増加する吸入行程においてオイルパン3内のオイルをポンプ室内に吸入し、ポンプ室の容積が減少する吐出行程においてポンプ室内のオイルをロアブロック2に設けられた吐出オイル通路8に吐出する。吐出オイル通路8のオイルはオイルフィルタ装置10を通過した後、オイル通路9を介してシリンダブロック1に設けられたメインギャラリに流入し、該メインギャラリのオイルが、多数のオイル通路を経て、各潤滑箇所に供給される。
なお、明細書または特許請求の範囲において、対向方向とは、オイルフィルタ11において、基端部11aと、フィルタエレメント12を挟んで基端部11aとは反対側に位置する先端部11bとが対向する方向であり、径方向および周方向とは、対向方向から見たときのオイルフィルタ11を中心とする径方向および周方向である。また、実施形態において、前後および左右は、内燃機関が車体に搭載された状態でのものであるとする。
フィルタベース20は、取付座2aの座面2a1と協働してシール面を形成する取付面21aを有する取付部21と、オイルフィルタ11の取付面11eと協働してシール面を形成する座面22aを有する取付座22とを有する。そして、フィルタベース20には、取付面21aに開口する流入口23aを有して吐出オイル通路8のオイルをオイルフィルタ11に導く入口側オイル通路23と、取付面21aに開口する流出口24aを有してフィルタエレメント12を通過して清浄になって出口11hから流出するオイルを前記メインギャラリに導く流出側オイル通路24とが設けられる。取付座22には取付部11fがねじ込まれて固定される。
オイルフィルタ11およびカバー30は、それぞれのほぼ全体が軸線方向でオイルパン3と重なる位置を占める。カバー30および取付座22が、触媒装置4および排気管5に対してオイルフィルタ11を覆って、触媒装置4および排気管5から発せられる熱がオイルフィルタ11に達するのを遮蔽している。座面22aは下方を向いており、オイルフィルタ11は、基端部11aが上端部となり、先端部11bが下端部となるように配置される。オイルフィルタ11は、座面22aに直交する方向(軸線方向でもある。)で、基端部11aから先端部11bに向かうにつれて、そしてカバー30は、該直交方向で、後述する基部32から最先端33aに向かうにつれて、前記シリンダヘッドに触媒装置4を介して取り付けられる排気管5から遠ざかる方向に、上下方向に対して傾斜している。
このように、基部32および端部33は、周方向で無端の連続部であり、中間部34は、オイルフィルタ11に対して周方向での一部を、径方向から覆わない環状部である。
また、カバー30とオイルパン3とが径方向で近接していることで、オイルの脈動圧により加振されたオイルフィルタ11に発生する放射音によりカバー30が振動するとき、該カバー30の振動の周波数によっては対向部31bとオイルパン3との間で、カバー30とオイルパン3との間の空間39を伝播するカバー30からの放射音により共鳴現象が発生して放射音が増大することがあるが、カバー30の対向部31bに窓部36が設けられることにより、対向部31bの面積が減少するので、その分、カバー30の振動がオイルパン3を加振する度合いが小さくなって、共鳴現象の発生が抑えられる。
また、両取付部43は、周方向で窓部36を挟んで中間部34に設けられる1対のボス部38にそれぞれボルトB2により結合される。そして、補強部材41が設けられることにより、本体31の剛性が高められると共に、補強部材41の質量により本体31の振幅を低減することができ、さらに本体31に一体成形されたボス部38自体により本体31の剛性が高められる。
内燃機関の動力により駆動されるオイルポンプ7から吐出されたオイルが通過するオイルフィルタ装置10において、オイルフィルタ11を径方向外方から覆うカバー30には、オイルフィルタ11とカバー30との間に形成される空間35を径方向外方に開放する窓部36が設けられることにより、オイルフィルタ11とカバー30との間の空間35に対して窓部36を通じて空気の出入りが可能であるため、カバー30がオイルフィルタ11の大部分を覆う場合にも、オイルフィルタ11が空気により冷却されて、所要の冷却性が確保される。そして、車両の走行中は、前方に向かって開放する窓部36から走行風が流入し、オイルフィルタ11を冷却した後、開放口31aから流出するので、オイルフィルタ11が一層効果的に冷却される。
さらに、本体31に一体成形されたボス部38自体により本体31の剛性が高められるので、この点でもカバー30から発生する放射音の低減に寄与する。
フィルタベース20とオイルフィルタ11とカバー30とを備えるオイルフィルタ装置10において、カバー30の本体31は、基部32と、オイルフィルタ11を全周に渡って覆う周方向で無端の環状部である端部33と、窓部36が設けられる中間部34とを有する。周方向での一部に設けられてオイルパン3に径方向で対面する窓部36は、軸線方向での幅W1が、補強部材41の幅W2よりも大きい1つの孔36bから構成される。一方、補強部材41において、1対の取付部43の間の覆い部42には、径方向から見て窓部36に重なると共に窓部36よりも小さな1つの孔46bからなる開口部46が設けられる。覆い部42において、開口部46の周縁部47の一部である、周方向で対向する1対の縁部47c,47dは、径方向で見て、本体31における窓部36の周縁部37の一部である、周方向で対向する1対の縁部37c,37dと重なる。そして、覆い部42は、その両縁部47c,47dが両縁部37c,37dにそれぞれ接触するように配置され、本体31が振動するときに縁部37c,37dの径方向での振幅を規制する。
また、孔36bの周方向での幅W3は、幅W1にほぼ等しいか、または幅W1よりも大きくされる。そして、窓部36において、径方向で見て窓部36と重なる覆い部42の一部は、両縁部37c,37dと共に周縁部37を構成する軸線方向で対向する1対の縁部37a,37bよりも径方向内方に、したがって本体31の外周面31sよりも径方向内方に、位置して、本体31内または空間35内に入り込む嵌入部48を構成する。この嵌入部48には、周縁部47を構成する両縁部47c,47dおよび軸線方向で対向する1対の縁部47a,47bが含まれる。
この変形例によれば、前述の実施形態と同様の作用および効果が奏されるほか、次の作用および効果が奏される。すなわち、オイルパン3と対向する位置に設けられる窓部36において、補強部材41が本体31よりも径方向内方に位置する嵌入部48を有することにより、嵌入部48が本体31の外周面31sから径方向内方に後退している分、カバー30をオイルパン3に近接して配置することができるので、オイルフィルタ装置10を機関本体に対してコンパクトに配置することができる。
窓部36は、周方向に並んだ複数の孔から構成されてもよい。
補強部材41は、本体31に対して径方向内方に配置されてもよい。
窓部36の周縁部37,47を構成する各孔36aの周縁部37,47に、他の部分の肉厚に比べて大きな肉厚を有する厚肉部が本体31に一体成形されて、該厚肉部により補強部が構成されてもよい。
窓部36により、オイルフィルタ11の所要の冷却性が確保されることを条件に、カバー30がオイルフィルタ11の先端部11bよりも軸線方向で長く延びていてもよく、さらにその場合、カバー30の端部33は、最先端33aを周縁部37,47とする蓋状の壁により軸線方向に閉塞された、すなわち開放口31aが閉塞された閉塞端部であってもよい。
Claims (5)
- 容積型のオイルポンプから吐出されたオイルが通過するオイルフィルタ装置を備える内燃機関であって、前記オイルフィルタ装置が、機関本体に設けられるフィルタベースと、前記フィルタベースに対するシール面を有する基端部および対向方向で前記基端部と対向する先端部を有すると共に前記フィルタベースに取り付けられるオイルフィルタとを備える内燃機関において、
前記オイルフィルタ装置は、前記フィルタベースに一体に設けられる基部および前記対向方向で前記基部とは反対側の最先端を有して前記オイルフィルタを径方向外方から覆うカバーを備え、前記カバーには、径方向で前記オイルフィルタと前記カバーとの間に形成される空間を径方向外方に開放する窓部が設けられ、前記カバーは、前記対向方向で前記窓部から前記最先端に達するまでの範囲に周方向で無端の連続部を有することを特徴とする内燃機関。 - 前記窓部の周縁部に補強部が設けられることを特徴とする請求項1記載の内燃機関。
- 前記カバーは、前記窓部が設けられた筒状の本体と、前記窓部に重なる開口部が設けられると共に前記本体に取り付けられる補強部材とから構成され、前記連続部は前記本体に一体成形され、前記補強部材における前記開口部の周縁部は前記窓部の周縁部の全周と重なることを特徴とする請求項1記載の内燃機関。
- 前記窓部は、前記機関本体と径方向で対向する位置に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の内燃機関。
- 前記最先端は前記対向方向に開放する開放口を形成し、前記カバーは、前記オイルフィルタと前記機関本体に取り付けられた排気管との間で、前記フィルタベースから下方に延びて前記最先端が前記排気管よりも下方に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の内燃機関。
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