JP2007270439A - 排水集合管 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】管本体7の外周面7aのうち床スラブ2の貫通孔3へ嵌める部分を取り囲む状態で振動絶縁体10が設けられていると共に、振動絶縁体10が貫通孔3の上部開口部で露出するのを遮断する状態に振動絶縁体10の上部環状面へ全周的に被さり且つ管本体7の外周面全周に周接して止水材11が設けられており、止水材11が建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し且つ振動吸収性を有する素材で形成されているものとする。
【選択図】図1
Description
本出願人は嘗て、排水集合管においてそのまわりにロックウール等を用いた振動絶縁体を設け、この振動絶縁体の外周部と床スラブに設けた貫通孔の内周面との周間にモルタルを詰める技術を開発し、特許出願している(以下「先願技術」と言う:特許文献1等参照)。この先願技術では、振動絶縁体の上部環状面を覆蓋する状態で防水リングを設けており、この防水リングによって床スラブの肉厚方向へ透過するような漏水を防止していた。
先願技術にて床スラブ肉厚方向への漏水防止効果を図るために使用した防水リングはEPDM(エチレン,プロピレン,ジエン共重合系合成ゴム)等を素材として形成したものであったため、本出願人は自主的に、排水騒音の防止、床スラブ肉厚方向への漏水防止を図ったまま、更に火災発生時の延焼防止性及び発煙防止性が得られるよう開発を行うに至った。
即ち、本発明に係る排水集合管は、上部流入口部及び下部流出口部を有した管本体に対し少なくとも1本の枝管接続部が設けられこれら管本体及び枝管接続部が耐火性を具備して成るものであって、管本体の外周面のうち床スラブの貫通孔へ嵌める部分を取り囲む状態で振動絶縁体が設けられていると共に、この振動絶縁体が上記貫通孔の上部開口部で露出するのを遮断する状態に振動絶縁体の上部環状面へ全周的に被さり且つ管本体の外周面全周に周接して止水材が設けられており、この止水材が建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し且つ振動吸収性を有する素材で形成されている。
なお、ここにおいて止水材の「耐熱及び不煙の適合性」とは、加熱時に所定温度に耐え得ると共に煙を発生しないことを言い、且つこの状況下において遮炎性、遮煙性及び遮熱性を有していることを言う。
止水材は、貫通孔内に嵌る部分を有する位置付けで管本体に対して設けられたものとし、少なくともこの貫通孔内に嵌る部分の外周面全周を取り囲んでリング状堰部材を設けるようにするとよい。
このようにリング状堰部材を設けることで止水材としての外形寸法に製品的バラツキが発生することを防止でき、製品の均質化を達成でき、もって配管施工後に得られる効果を確実なものにできる。また止水材の外周部と貫通孔の内周面との周間にモルタルを詰めるような場合には、モルタルの硬化収縮時において止水材に引張作用が生じるといった悪影響を阻止できる利点もある。
このように止水材と管本体の外周面、及び止水材とリング状堰部材の内周面とを密着させることができれば、止水材による作用効果を確実に得ることができるようになる。なお、止水材は、非流動状態へと硬化した後でも適度な弾性を生じる材料とするのが好適である。
止水材は、リング状堰部材の上縁部を超えて外方へ全周的に張り出すように形成することもできる。
止水材は、例えばシリコーン(言うまでもなく耐熱及び不煙の適合性を有したもの)を素材として形成されたものとすればよい。但し、耐熱及び不煙の適合性を有したものであればその他の弾性材料によって形成されたものを採用することもできる。
なお、本発明において排水集合管1は、例えば図1に示すように集合住宅等の多層階建物にあって各階層ごとを区画する床スラブ2に設けられた貫通孔3を縦方向に貫通して配管設置される。本明細書において床スラブ2とは、各階層を区画するものだけに限らず、それ以外にも、水平方向に設けられる建物躯体であって配管用に縦方向の貫通孔3を有したもの全般を含めるものとする。
また排水集合管1は、上部流入口部5及び下部流出口部6を有した管本体7に対し、少なくとも1本の枝管接続部8が設けられたものであって、これら管本体7及び枝管接続部8が耐火性を具備して成る。枝管接続部8は、平面視にて一文字状配置やL字状配置となる2本(二方)である場合、T字状配置となる3本(三方)である場合、十文字状配置となる4本(四方)である場合なども当然に含まれる。また耐火性は、排水集合管1全体が鋳鉄などの金属製である場合や、耐火二層管(内層が樹脂製で外層が耐火モルタル製)である場合などが含まれる。
振動絶縁体10は、管本体7の外周面7aのうち床スラブ2の貫通孔3へ嵌める部分を取り囲む状態で設けられたものであって、例えばロックウール等の多孔質吸音材料によって形成されており、耐火性、遮炎性及び断熱性を有している。
この振動絶縁体10は、その下部環状面が床スラブ2の下面と同等かやや下方へ突き出す程度となるように設けられることが重要である。また振動絶縁体10の上部環状面は、止水材11の装着スペースを確保するために床スラブ2の上面から貫通孔3内へ所定量没入する程度とされている。没入量としては5mm〜15mm程度が適当とされる。
上記したように、本第1実施形態では振動絶縁体10の上部環状面が床スラブ2の上面から5mm〜15mm程度没入した状態とされることに応じて、この止水材11の高さhは5mm〜15mm程度ということになり、この高さh分が貫通孔3内に嵌められることになる。
建築物の耐火試験には例えば防火区画貫通配管等の耐火試験を採用する。この試験は、図4にその試験装置を示すように床スラブ2の貫通孔3に被験対象とする排水集合管Wを嵌め込み、排水集合管Wにおける下部流出口部6Wの下部所定長さの部位にセラミックファイバー等の断熱材で下蓋101をする。また、床スラブ2の下面にセラミックファイバー等から成る断熱板102を貼り、排水集合管Wの上部流入口部5Wには上部断熱パイプ103を接続して所定長さの部位にセラミックファイバー等の断熱材で上蓋104をする。
このような状態にして、モルタル103中に排水集合管Wを取り囲む配置で3箇所以上に温度検出部107を設け、床スラブ2の下方空間を加熱してその60分経過後、及び120分経過後における床スラブ2上方の様子を観察する。温度検出部107は、排水集合管Wから10mm以上離すようにする。
T=345 log10(8t+1)+20
で表されるよう数値となるようにして行う。ここにおいてTは平均炉内温度、tは経過時間とする。
この試験では、加熱中に、非加熱面で10秒を超えて亀裂等から継続する火炎の噴出や発炎がなければ、その床貫通部は遮炎性能を具備するものと規定する。また非加熱面側の温度検出部107において200℃を超えないことが確認されれば、その床貫通部は遮熱性能を具備するものと規定する。更に、加熱開始から60分までの間の煙量(CsV)が3[l/m・m3]以下に抑えられているときに「共住区画」を貫通する配管に適合されるものとし、120分までの間の煙量(CsV)が0[l/m・m3]に抑えられれば「令8区画」を貫通する配管に適合されるものとする。
この止水材11は、弾性変形可能な素材で予めリング状に形成されたものとしてもよく、このような弾性変形可能な止水材を採用する場合には、止水材11を弾性に抗して拡径変形させつつ管本体7へ締まり嵌め状に嵌め込むようにすればよい。このようにしても、止水材と管本体の外周面とを密着させることができる。
各半筒体21,22には、管本体7の外周面7aへ向けて突き立てられる状態でロックボルト28が螺合されており、これらロックボルト28の締め付けでこのリング状堰部材20が管本体7からずり落ちないように位置決めできると共に、螺合度バランスの調整によって管本体7に対する隙間の周方向偏りを補正できるようになっている。なお、ロックボルト28は必ずしも必要ではなく、省略可能である。
このリング状堰部材20は、流動状態の止水材11を充填して非流動状態へと硬化した後に、管本体7から取り外すようにすればよい。従って、このリング状堰部材20は止水材11の充填圧に耐えうる強度さえ有すれば、その材質は特に限定されるものではない。
また振動絶縁体10及び止水材11の各外周面と貫通孔3の内周面3aとの周間へモルタル13を詰める作業を行って、排水配管構造としての建て込みを完成させる。
また排水集合管1は工場出荷段階で既に止水材11を具備した構成であるので、配管現場にて止水材11を装着する手間がなく、配管施工作業が効率よく行える利点もある。
すなわち、この排水集合管1ではリング状堰部材20を装着したまま床スラブ2の貫通孔3内へ嵌め、リング状堰部材20の外周面と貫通孔3の内周面3aとの周間にモルタル13を詰めるようにする。
図7は本発明に係る排水集合管1の第3実施形態を示しており、この第3実施形態の排水集合管1では、止水材11がリング状堰部材20の上縁部を超えて外方へ全周的に張り出すように形成されている。従って、リング状堰部材20の外周側上縁部とモルタル13との境界部分が止水材11によって全面的に覆われるようになるため、それだけ防水性が高くなる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
例えば、管本体7の形状等は細部にわたり限定されるものではなく、上部流入口部5、下部流出口部6及び枝管接続部8は、差口タイプ、受口タイプ、メカニカルタイプ、フランジ継ぎ手タイプなど、何を採用してもよい。
リング状堰部材20は、図8に示すように周方向1箇所において開放部が設けられた筒状本体部29を有して、この筒状本体部29がリング径を拡縮させる方向で弾性を有する構造とし、開放部の両側にフランジ部21a,22aが設けられた片口タイプとしてもよい。
リング状堰部材20は、止水材素材の充填を容易にさせるため、上部ほど開口径の広がるようなテーパ構造が高さ方向の一部又は全部に適用された構造にすることもできる。
2 床スラブ
3 貫通孔
3a 内周面
5 上部流入口部
6 下部流出口部
7 管本体
7a 外周面
8 枝管接続部
10 振動絶縁体
11 止水材
13 モルタル
20 リング状堰部材
Claims (5)
- 上部流入口部及び下部流出口部を有した管本体に対し少なくとも1本の枝管接続部が設けられこれら管本体及び枝管接続部が耐火性を具備して成る排水集合管において、
管本体の外周面のうち床スラブの貫通孔へ嵌める部分を取り囲む状態で振動絶縁体が設けられていると共に、この振動絶縁体が上記貫通孔の上部開口部で露出するのを遮断する状態に振動絶縁体の上部環状面へ全周的に被さり且つ管本体の外周面全周に周接して止水材が設けられており、
この止水材が建築物の耐火試験において耐熱及び不煙の適合性を有し且つ振動吸収性を有する素材で形成されていることを特徴とする排水集合管。 - 前記止水材は貫通孔内に嵌る部分を有する位置付けで管本体に対して設けられており、少なくともこの貫通孔内に嵌る部分の外周面全周を取り囲んでリング状堰部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の排水集合管。
- 前記止水材は、流動状態から非流動状態へ硬化する素材が流動状態にあるうちに管本体まわりに周隙間を保持させつつ外嵌させたリング状堰部材と管本体の外周面との周間に充填し硬化させることにより、管本体の外周面及びリング状堰部材の内周面に密着させてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の排水集合管。
- 前記止水材は、リング状堰部材の上縁部を超えて外方へ全周的に張出形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の排水集合管。
- 前記止水材は、シリコーンを素材として形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の排水集合管。
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