JP2012092644A - 排水配管用部材、排水配管構造および熱膨張性耐火材 - Google Patents
排水配管用部材、排水配管構造および熱膨張性耐火材 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明は、不燃性管端部を有する管材4と可燃性管端部を有する管材6とが接続される部分に備えられる排水配管用部材1である。排水配管用部材は、少なくとも可燃性管端部の外側を取り囲む不燃性の部材本体27を有する。部材本体の内周側には、耐水性または耐劣化性の外装材36により被覆され所定温度で膨張する熱膨張性耐火材30が設けられている。
【選択図】図7
Description
しかし、排水配管構造全体に耐火性を持たせようとすれば、継ぎ手用管材だけでなく配管ラインの全てを金属製などの不燃材料製のものとする必要があり、高コストになるということがあった。
即ち、本発明は、不燃性管端部を有する管材と可燃性管端部を有する管材とが接続される部分に備えられる排水配管用部材であって、少なくとも可燃性管端部の外側を取り囲む不燃性の部材本体を有し、前記部材本体の内周側に、耐水性または耐劣化性の外装材により被覆され所定温度で膨張する熱膨張性耐火材が設けられる。
部材本体に設置される熱膨張性耐火材は、耐水性または耐劣化性の外装材により被覆されたものである。外装材は塩化ビニル等の樹脂により形成された中空状の容器構造とし、またはフィルム、塗装膜、コーティング膜などとして形成することができる。
る。
なお、耐水性または耐劣化性の外装材により被覆された熱膨張性耐火材は、部材本体の内周面に露出した状態で設けてもよいし、部材本体内に対して可燃性の素材を隔てた状態で設けてもよい。また熱膨張性耐火材は、部材本体における長手方向の一部に設けるだけで十分であるが、全長にわたって設けてもよい。
従って、この部材本体が溶損および焼損しない不燃性のものであることから、熱膨張性耐火材が設けられた位置を境として、排水管路内部を伝わることが原因で火炎、煤煙および有毒ガスなどが他所へ流出することが防止される。さらに熱伝達を抑制する効果を併せ持つことにより、より安全なシステムを構築できる。
また、横枝管としても可燃性のものだけを採用できるようになるため、この点でも高コストの問題を解消できるだけでなく、施工性の向上や工期の短縮の面で有益となる。
部材本体には、不燃性管端部を有する管材との固定を可能にする連結手段を設けるのが好適である。
の押し輪に連結手段で取り付け可能に構成される。
部材本体を押し輪を兼ねた構成として実施すると、メカニカルタイプの受口を有した既製の排水集合管や継ぎ手管に対し、押し輪の交換だけで簡単に本発明を実施することができるという利点がある。
前記不燃性管端部および前記可燃性管端部は、前記可燃性管端部が押し輪およびゴム輪を挿通させて受口である前記不燃性管端部に外嵌され、前記押し輪が前記ゴム輪を挟んで前記受口の開口縁部に向けて押圧されていることにより接続されており、前記部材本体が前記押し輪に固定される。
[第1参考形態]
図2及び図3は排水配管用部材1の第1参考形態を示したものであり、また図1は、「不燃性管端部を有する管材」と「可燃性管端部を有する管材」との接続部分にこの第1参考形態の排水配管用部材1を設けることで構築した排水配管構造2を示している。
なお、上記ストレート管6として少なくとも樹脂管を含む耐火二層管を使用することも可能であるが、この点については後述する。
継ぎ手用管材4は例えば排水集合管であって、管本体10の上部側の管端部が上部管接続部11として形成されていると共に管本体10の下部側の管端部が下部管接続部12として形成され、また管本体10の中途部はストレート管6の内径より大きな内径を有する膨大部とされ、この膨大部においてその側部には横向きに突出する横管接続部13が設けられている。この横管接続部13は、床スラブ3の上部に位置付けられた状態で横枝管14が接続され、この横枝管14は、各階に設置された便器等の排水設備から排水を集めて横管接続部13に送出する。また、排水集合管の膨大部内面、特に膨大部から下部接続部12へ移行する傾斜部内面には、排水流に旋回力を付与する羽根体または傾斜板を設けてもよい。
手用管材4として、横管接続部13が複数設けられた排水集合管(二方タイプ、三方タイプ又は四方タイプ等)が使用される。
配管ライン5はストレート管6だけでなく、その他、短管または曲がり管(エルボおよびベンド等を含む)、場合により継ぎ手部材(ストレート管6の中間へ点検口を設ける場合およびストレート管6同士を直結する場合等に用いるもの)などが適宜組み合わされて接続される。
継ぎ手用管材4の下部管接続部12は、ストレート管6の上部管接続部15を外嵌状態で接続するメカニカルタイプの受口とされ、ストレート管6の上部管接続部15は挿口とされている。
なお、ストレート管6の上部管接続部(挿口)15はストレート管6の本管部分に対して外見からは明確に区別できないこともあるが、継ぎ手用管材4へストレート管6を接続することによって、このストレート管6が継ぎ手用管材4の下部管接続部(受口)12に嵌め込まれる部分を上部管接続部(挿口)15とする。
30に、ニチアス株式会社製の商品名「パーモフレックス(熱膨張性シート)」(850℃、30分加熱後に発泡して4倍以上に膨張する)または株式会社古河テクノマテリアル製の商品名「ヒートメル」(膨張開始温度120℃、顕著な膨張温度260℃、4〜8倍に膨張する)等を使用することができる。なお、熱膨張性耐火材30は、上記したものに限られず、他の種々のものを使用することができる。
図2及び図3に示すように、部材本体27には、円筒状部分26の内周面を窪ませて形成された耐火材収納部31が設けられている。耐火材収納部31には、熱膨張性耐火材30が収納されている。耐火材収納部31は、部材本体27における円筒状部分26の軸方向両側(押し輪22に近接する位置と押し輪22から遠い位置との2箇所)で径方向内方へ張り出すように設けられた内鍔32により、区画されている。これら内鍔32は、部材本体27に対し、鋳造、削りだしまたは別体リングの溶接等、適宜選択された方法により一体的に設けられたものである。
耐火材収納部31の容積、すなわち、この耐火材収納部31へ収納する熱膨張性耐火材30の形状や体積は、熱膨張を起こす前の状態でストレート管6の挿入を邪魔しないことを前提にして設定されるが、加えて、熱膨張性耐火材30が熱膨張を起こしたときには排水配管用部材1の部材本体27内(ストレート管6が挿入されているスペース)を確実に閉塞できるようにすることを予定して設定されている。
このような排水配管用部材1を用いて構築された排水配管構造2は、次のようにして上階への延焼を防止する。
れた位置のストレート管6(即ち、可燃性管端部を有する管材)が溶損または焼損し、熱膨張性耐火材30は所定温度(例えば200℃)を超えた時点で膨張を始める。膨張する熱膨張性耐火材30は、ストレート管6を押し潰しながら排水配管用部材1の部材本体27内流路(ストレート管6が挿入されているスペース)またはストレート管6の可燃性管端部の樹脂管の管内流路を閉塞しまたはその面積を減少させる。その結果、熱膨張性耐火材30が設けられた位置で継ぎ手用管材4の上階に繋がる流路が遮断され、継ぎ手用管材4を経由して火炎、煤煙、有毒ガス等が上階に立ち昇ることが防止される。
このように、排水配管構造2の溶損および焼損が原因となる、火災発生階より上層階への火炎、煤煙、有毒ガスなどの流出が防止される。床スラブ3上で起きた火災に対し、床スラブ3の下方から新鮮な空気を吸い上げる現象が防止され、火災の拡大を最小限に抑制できるという効果もある。
ところで、排水配管構造2におけるストレート管6に少なくとも樹脂管を含む耐火二層管を使用することもできる。図4に示すようにストレート管6として耐火二層管を使用する場合には、上部管接続部(挿口)15(継ぎ手用管材4の下部管接続部(受口)12へ嵌め込む部分)のモルタル等の耐火被覆層6Aを除去し、表出した内側の樹脂管6Bを継ぎ手用管材4の下部管接続部12へ嵌め込むことにより継ぎ手用管材4に接続する。
[第1実施形態]
図5及び図6は、排水配管用部材1の第1実施形態を示している。本第1実施形態の排水配管用部材1では、部材本体2は、押し輪22を兼ねる盤体状部分とこの片面側に設けられた円筒状部分26とが別体で製作され、連結されて形成される。押し輪22は、継ぎ手用管材4の付属部品として従来普通に具備されたものを、そのまま利用することができる。
すなわち、フランジ20側から押し輪22へ差し込んだボルト23をボルト通孔35aに通し、ボルト通孔35aから突き出たボルト23へナット24を螺合させて、押し輪22に円筒状部分26を連結させ、部材本体27を形成させる。
なお、押し輪22の内径は円筒状部分26に設けられた耐火材収納部31の内径よりも必然的に小さくなるので、押し輪22の内周面を内鍔32として作用させることができ、円筒状部分26において押し輪22へ当接させる側の端面では、耐火材収納部31をそのままの内径で開口させることができる。
外装材36は、塩化ビニル等の樹脂により中央の貫通開口37を形成させるようにして内周部38を設け、また外周部39を設けてケース構造とし、またはフィルム、塗装膜およびコーティング膜などとして形成することができる。
ところで、本第1実施形態で採用する部材本体27において、円筒状部分26に設けるフランジ35は、図9に示すように押し輪22の平面形状(おむすび形)と同様な形状として張出形成させたものでもよく、図10に示すように円環状に張出形成させたものでもよい。また図11に示すように、締結用ボルト23挿通用のボルト通孔35aが形成されたブラケット40を所定箇所に設けることにより、全体として張り出すフランジ35を省略するようにしてもよい。これらのブラケット40が設けられた部材本体27は、ブラケットを溶接により取り付けることもできるが、プレスにて一体成型する方法を用いてもよい。
[第2参考形態]
図13乃至図15は、排水配管用部材1の第2参考形態を示したものであり、図12は第2参考形態の排水配管用部材1を採用して構築した排水配管構造2を示している。
熱膨張性耐火材30は、周壁45がバックアップとなり、継ぎ手用管材4のフランジ20と押し輪22との間を径方向内方へと膨張し、結果、ストレート管6を押し潰しながら排水配管用部材1の部材本体27内(ストレート管6が挿入されているスペース)を閉塞させる。
[第3参考形態]
図17は、排水配管用部材1の第3参考形態を示すものであり、図16は第3参考形態の排水配管用部材1を採用して構築した排水配管構造2の図である。
円筒半体27A,27Bは、継ぎ手用管材4の下部管接続部12とストレート管6の上部管接続部15との接続部分をその両側から抱き込ませた状態で接合されている。円筒半体27A,27Bには、この接合時に突き合わされる外周面の対向位置に、それぞれ外方へ張り出す接合フランジ47A,47Bが設けられている。
るように丸孔のボルト通孔49が設けられ、円筒半体27Aの接合フランジ47Aには、接合ボルト48の挿通状態に遊びを持たせられるように長孔のボルト通孔50が設けられている。
従ってこれら円筒半体27A,27Bは、互いの接合フランジ47A,47Bを重ね合わせて、ボルト通孔49,50へ接合ボルト48を挿入し、この接合ボルト48の突き出た部分へナット51を螺合して締結することで、部材本体27としての円筒形を保持する。
円筒半体27A,27Bには更に、部材本体27としての円筒形を形成させたときに、その上下両側に円環状の蓋を生じさせるための内フランジ52A,52Bが形成される。これら内フランジ52A,52Bで生じる円環状の蓋は、その内周縁部が継ぎ手用管材4の外周面やストレート管6の外周面に全周的に当接または近接するようになっている。
なお、部材本体27は円筒半体27A,27Bとして半割りされた構造の他、周方向の1箇所だけに分離部が設けられ、この分離部を接合フランジで接合させる構造としてもよい(締め付けバンド状の構造)。また部材本体27を角筒状のものとしてもよい。
[第4参考形態]
図18は、排水配管用部材1の第4参考形態を示したものである。本第4参考形態の排水配管用部材1は、ストレート管6の中間へ点検口を設ける場合やストレート管6同士を直結する場合等に用いる継ぎ手部材55において、それの両端側に設けられるメカニカルタイプの受口56として具備される押し輪に、第1参考形態で説明した押し輪22(本発明に係る排水配管用部材1)を採用している例である。
[その他]
排水配管用部材1は、上記した形態に限定されるものではなく、使用される情況に応じて適宜変更可能である。
円筒半体27A,27Bの上周縁部に形成する内フランジ52A,52Bを、継ぎ手用管材4の下部管接続部12に形成される傘状の段差部分に合わせて末広がりのテーパ状に形成しておけば、継ぎ手用管材4の外周面に対する全周的な当接性や安定性を高められ、一層、好適となる。また、下端周縁部にも内フランジ52A,52Bを設けることにより、熱膨張性耐火材30が可燃性管材とともに脱落することを防止できる。
の排水集合管を使用する場合には、内周面の塩ビ管等の樹脂管57が燃焼することにより、炎が内面を伝わって配管内部が延焼するおそれがある。熱膨張性耐火材30が設けられていても、熱膨張性耐火材30が膨張し排水管内部を十分に遮断するまえに炎が広がった場合には、延焼を塞ぎきれない。そのため、延焼防止効果を高める目的で、図21に示すように継ぎ手用管材4の外管(耐火性管58)における内周面の一部の樹脂部分を除去または覆う様にして不燃性材料よりなる管状の延焼防止部53を設けるのが好ましい。
熱膨張性耐火材30は、排水配管用部材1の周方向で連続して一周するものとせず、周方向で点在するような状態、周方向に複数分割した状態、周方向に複数分割しその分割片の間隔をあけた状態、軸方向に複数分割した状態、軸方向に複数分割しその分割片の間隔をあけた状態、またそれらを相互に組み合わせた状態で設けてもよい。
また排水配管用部材1を、防火壁を貫通する箇所に使用することによっても同様な効果が得られる。したがって、図22に示すように、排水を合流させる機能が不要な場合には、排水集合管を使用せずに、例えば硬質塩化ビニル製の樹脂管などの可燃性の配管部材54を取り囲む状態で、床スラブ3の下面に部材本体27Bを取り付けてもよい。すなわち、床スラブ3を貫通する樹脂管54の周囲に、床スラブ3の下面に直接ボルト55,55にて固定された部材本体27Bを設置し、この中に備えられた熱膨張性耐火材30が火災時の熱により膨張し、樹脂管54を閉塞し、延焼を防止することができる。この場合においても、熱膨張性耐火材30は上部が床スラブ3の下面により、周囲および下部が部材本体27Bにより覆われているため、径方向内方に向かって膨張し、樹脂管54の管路が塞がれるとともに熱膨張性耐火材30が脱落することもない。なお、この図22に示す例は、参考例として記載した。
2 排水配管構造
3 床スラブ
4 継ぎ手用管材(不燃性管端部を有する管材)
5 配管ライン
6 ストレート管(可燃性管端部を有する管材)
21 ゴム輪
22a ボルト通孔(連結手段)
27 部材本体
30 熱膨張性耐火材
31 耐火材収納部
36 外装材
56 遮音材
Claims (6)
- 不燃性管端部を有する管材と可燃性管端部を有する管材とが接続される部分に備えられる排水配管用部材であって、
少なくとも可燃性管端部の外側を取り囲む不燃性の部材本体を有し、
前記部材本体の内周側に、耐水性または耐劣化性の外装材により被覆され所定温度で膨張する熱膨張性耐火材が設けられた
ことを特徴とする排水配管用部材。 - 前記部材本体に、前記不燃性管端部を有する管材との固定を可能にする連結手段が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の排水配管用部材。 - 前記不燃性管端部および前記可燃性管端部は、前記可燃性管端部が押し輪およびゴム輪を挿通させて受口である前記不燃性管端部に外嵌され、前記押し輪が前記ゴム輪を挟んで前記受口の開口縁部に向けて押圧されることにより接続されるものであり、
前記部材本体は、前記ゴム輪を前記開口縁部へ押圧するための押し輪に連結手段で取り付け可能に構成された
ことを特徴とする請求項2記載の排水配管用部材。 - 不燃性管端部を有する管材、可燃性管端部を有する管材、および排水配管用部材を有し、
前記不燃性管端部は、
受口に形成されて前記可燃性管端部を外嵌することにより前記可燃性管端部に接続されており、
前記排水配管用部材は、
少なくとも可燃性管端部の外側を取り囲む不燃性の部材本体を有し、
前記部材本体の内周側に、耐水性または耐劣化性の外装材により被覆され所定温度で膨張する熱膨張性耐火材が設けられた
ことを特徴とする排水配管構造。 - 前記不燃性管端部および前記可燃性管端部は、前記可燃性管端部が押し輪およびゴム輪を挿通させて受口である前記不燃性管端部に外嵌され、前記押し輪が前記ゴム輪を挟んで前記受口の開口縁部に向けて押圧されていることにより接続されており、
前記部材本体が前記押し輪に固定された
ことを特徴とする請求項4に記載の排水配管構造。 - 不燃性管端部を有する管材と可燃性管端部を有する管材とが接続される部分に少なくとも前記可燃性管端部の外側を取り囲んで備えられる不燃性の部材本体の内周側に配置される熱膨張性耐火材であって、
耐水性または耐劣化性の外装材により被覆され、所定温度で膨張する
ことを特徴とする熱膨張性耐火材。
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