JPH11234861A - 区画貫通部における延焼防止構造及び延焼防止工法 - Google Patents

区画貫通部における延焼防止構造及び延焼防止工法

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JPH11234861A
JPH11234861A JP10044463A JP4446398A JPH11234861A JP H11234861 A JPH11234861 A JP H11234861A JP 10044463 A JP10044463 A JP 10044463A JP 4446398 A JP4446398 A JP 4446398A JP H11234861 A JPH11234861 A JP H11234861A
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heat
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JP10044463A
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Son Yoshikata
遜 吉形
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Nitto Kasei Co Ltd
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Nitto Kasei Co Ltd
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    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02GINSTALLATION OF ELECTRIC CABLES OR LINES, OR OF COMBINED OPTICAL AND ELECTRIC CABLES OR LINES
    • H02G3/00Installations of electric cables or lines or protective tubing therefor in or on buildings, equivalent structures or vehicles
    • H02G3/02Details
    • H02G3/04Protective tubing or conduits, e.g. cable ladders or cable troughs
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Abstract

(57)【要約】 【課題】充填作業が容易に行え、しかも、延焼を確実に
防止できる区画貫通部における延焼防止構造及び延焼防
止工法を提供する。 【解決手段】耐熱性の熱膨張性材料からなる棒状体31
…31を充填材3とし、これらの棒状体31…31を、
ケーブル線等の挿通部材2を挿通した区画壁1の貫通孔
11に、順次入れていくことにより、区画壁1の貫通孔
11と、貫通孔11に挿通されたケーブル線等の挿通部
材2と、貫通孔11内に充填された熱膨張性材料からな
る棒状体31…31とからなる区画貫通部における延焼
防止構造を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、建築構造物や船
舶等における壁、床等の区画壁に穿設された貫通孔に、
ケーブル線、電線類、或いは各種のダクト、金属管、樹
脂管、冷媒管等の各種管類等を挿通させた区画貫通部に
おける延焼防止構造及び延焼防止工法の改良に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来から、建築構造物の壁、床等の区画
壁に穿設された貫通孔に、ケーブル線、電線類、或いは
各種のダクト、管類等の挿通部材を挿通させた区画貫通
部においては、延焼を防止するための処置が採られてお
り、例えば図26(A) に示すような延焼防止構造が広く
知られている。この従来の延焼防止構造は、ケーブル線
等の挿通部材bを挿通させた区画壁aの貫通孔a1内
に、耐火性充填材としてロックウールcを充填し、その
両側各々を耐熱シール材d、d及び挿通部材bを通す挿
通孔e1を有する耐火性の閉塞部材をなすカルシウム板
e、eで押さえ、それらをビス等で固定し、更に、各カ
ルシウム板eの外側に耐熱シール材d、dを装着するこ
とにより、カルシウム板eの挿通孔e1を塞ぐようにし
たものである。しかしながら、ロックウールcを充填す
ることにより延焼を防止するには、ロックウールcを相
当な量、圧縮して詰め込まなければならず、充填作業が
困難なものとなっており、又、充填作業に時間を要する
という課題がある。又、延焼は、図26(B) に示すよう
に挿通部材bと貫通孔a1の内壁面との間に火が通らな
くても挿通部材bにおける心部b1を被覆した被覆部材
b2が燃えると、区画壁aの一方側から貫通孔a1内を
経て他方側に延焼してしまうとともに、被覆部材b2が
燃えた後は、その燃えた被覆部材b2の部分が空間部k
となって火が通ってしまう場合がある。そのため、上記
のように挿通部材bと貫通孔a1の内壁面との間にロッ
クウールcを詰めるだけでは延焼を防止し難い。特に、
被覆部材の肉厚が厚いような場合には、被覆部材を介し
て延焼し易い。従って、このような場合には、延焼防止
のため、カルシウム板e、eの間隔を広くしてロックウ
ールcの厚さを極力厚くしておく必要があり、通常30
0mm以上の厚さにしているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、以上の実
情に鑑み提案されたもので、充填作業が容易に行え、し
かも、延焼を確実に防止できる区画貫通部における延焼
防止構造及び延焼防止工法を提供することを第1の目的
とする。
【0004】本願発明は、延焼を確実に防止できるもの
であって、延焼に伴って挿通部材の被覆部材が燃えるこ
とにより挿通部材と閉塞部材の挿通孔との間に発生する
隙間から熱膨張性部材がこぼれ落ちることのない区画貫
通部における延焼防止構造及び延焼防止工法を提供する
ことを第2の目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明は、以下の特徴
を有する区画貫通部における延焼防止構造を提供するこ
とにより上記課題を解決する。本願第1の延焼防止構造
に係る発明は、壁、床等の区画壁1に穿設された貫通孔
11と、貫通孔11内に挿通されたケーブル線や管等の
挿通部材2と、貫通孔11内に充填された充填材3とを
備える。この充填材3は、加熱により体積を膨張し得る
耐熱性の熱膨張性材料を有するものからなることを特徴
とするものである。
【0006】本願第2の延焼防止構造に係る発明は、本
願第1の延焼防止構造に係る充填材3は、加熱により体
積を膨張し得る耐熱性の熱膨張性材料から形成された複
数の棒状体31を有するものである。
【0007】本願第3の延焼防止構造に係る発明は、本
願第1の延焼防止構造に係る充填材3が、加熱により体
積を膨張し得る耐熱性の熱膨張性材料から形成された複
数の棒状体31と、加熱により体積を膨張し得る耐熱性
の熱膨張性材料から形成された複数の粒状体32とを有
するものである。
【0008】本願第4の延焼防止構造に係る発明は、本
願第3の延焼防止構造に係る棒状体31が、貫通孔11
内に挿通された挿通部材2と貫通孔11の内壁面との間
に配位される。粒状体32は、少なくともその棒状体3
1の径内側に配位されたものである。
【0009】本願第5の延焼防止構造に係る発明は、本
願第1の延焼防止構造に係る充填材3が、粉状又は粒状
の熱膨張性材料を袋体33に収納したものから構成され
る。又、この袋体33は、加熱に伴う熱膨張性材料の膨
張を妨げない素材からなるものであることを特徴とする
ものである。
【0010】又、本願発明は、以下の特徴を有する区画
貫通部における延焼防止工法を提供することにより上記
課題を解決する。本願発明の第1の延焼防止工法は、加
熱に伴う熱膨張性材料の膨張を妨げない素材から構成し
た袋体33に耐熱性の熱膨張性材料を詰めることにより
形成した充填材3を準備する。そして、ケーブル線や管
等の挿通部材2を挿通した壁、床等の区画壁1の貫通孔
11内に、上記充填材3を充填することを特徴とする工
法である。
【0011】本願発明の第2の延焼防止工法は、本願第
1の延焼防止工法の発明に係る充填材3が、熱膨張性材
料を袋体33に詰めることにより形成した複数の小充填
部材32から構成し、これらの小充填部材32を、順次
貫通孔11内に入れていくことにより充填することを特
徴とする工法である。
【0012】本願第1発明の延焼防止構造においては、
充填材3を、加熱により体積を膨張し得る耐熱性の熱膨
張性材料を有するものから構成するため、挿通部材2に
おける心部20を覆う被覆部材21が燃え、区画壁1の
一方側から貫通孔11内に延焼するとその熱により、熱
膨張性材料が貫通孔11内で膨張し、挿通部材2を圧縮
させることができ、貫通孔11内において延焼してきた
被覆部材21を、酸素の供給を絶って延焼を防止でき
る。これにより、貫通孔11に充填材3を充填する際、
従来のロックウールの場合のように挿通部材2…2間、
及びに挿通部材2…2と貫通孔11の内壁面との間に完
全に隙間がなくなるまで圧縮して押し込まなくても、例
えば挿通部材2…2を貫通孔11内に配してその挿通部
材2…2と貫通孔11の内壁面との間に充填材3を入れ
れば良く、しかも多少の隙間を生じている場合でも火災
に際して完全に塞ぐことができる。従って、単に貫通孔
11に充填材3を略一杯になるまで入れれば良く、充填
作業を、従来に比してより簡単なものにでき、経験の無
い者で容易に行えるものにできる。
【0013】本願第2発明の延焼防止構造においては、
充填材3を、複数の棒状体31を有するものとするた
め、床面に開口された上下方向の貫通孔11のみなら
ず、壁面に開けられた横方向の貫通孔11にも容易に入
れることができ、充填作業を容易に短時間で行い得るも
のにできる。又、挿通部材2を交換する場合には、棒状
体31…31を、単に貫通孔11に入れているだけのた
め、貫通孔11から容易に取り出すこともできるものと
なり、電線やケーブルの交換を容易なものできる。しか
も、貫通孔11から取り出した棒状体31…31は、単
に貫通孔11に入れているだけのため、変形もなく、そ
のまま使用できる。
【0014】本願第3、第4の発明においては、充填材
3を、加熱により体積を膨張し得る耐熱性の熱膨張性材
料から形成した複数の棒状体31と、加熱により体積を
膨張し得る耐熱性の熱膨張性材料から形成した複数の粒
状体32とを有するものとするため、挿通部材2…2が
複数の電線やケーブルからなる場合には、挿通部材2…
2の間や挿通部材2…2と棒状体31との間に形成され
る隙間に粒状体32を容易に入り込ませることができ
る。特に、貫通孔11内において挿通部材2…2がねじ
れを生じているような場合にも、粒状体32を自然に入
り込ませることができ、隙間を極力少なくできる。
【0015】本願第5の発明の延焼防止構造において
は、充填材3を、熱膨張性材料30の膨張を妨げない素
材からなる袋体33に、熱膨張性材料を収納したものか
ら構成するため、粉や粒状の熱膨張性材料を、横方向に
開口された区画壁1の貫通孔11内に容易に入れること
ができるものとなる。一方、熱膨張性材料の膨張に際し
ては、袋体33が膨張を妨げることがなく、熱膨張性材
料が貫通孔11内で膨張し、挿通部材2を圧縮させるこ
とができ、確実に延焼を防止できる。
【0016】又、本願発明の第1の延焼防止工法におい
ては、区画壁1の貫通孔11内に、予め袋体33に耐熱
性の熱膨張性材料を詰めることにより形成しておいた充
填材3を投入すれば良く、これにより、粉や粒状の熱膨
張性材料を、貫通孔11の外にこぼれ落ちることなく、
確実に、しかも短時間で充填することができる。特に、
横方向に開口された区画壁1の貫通孔11に、粉や粒状
の熱膨張性材料を入れる場合に適する。
【0017】本願発明の第2の延焼防止工法において
は、充填材3を、熱膨張性材料30を袋体33に詰める
ことにより形成した複数の小充填部材32から構成する
ため、貫通孔11が壁面に横方向に開けられている場合
でも、小充填部材32を、順次貫通孔11内に入れてい
けば良く、しかも、貫通孔11内の隅々まで容易に入れ
ることができ、より簡単に充填することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図を基に本願発明の一実施
例を具体的に説明する。図1は、本願発明の第1実施形
態の区画貫通部における延焼防止構造の断面説明図、図
2は、図1の一部を断面にした左側面図である。
【0019】第1実施形態の区画貫通部における延焼防
止構造は、区画壁1に穿設された貫通孔11と、貫通孔
11に挿通されたケーブル線や管等の挿通部材2…2
と、貫通孔11内に充填された充填材3とを備えてい
る。
【0020】この第1実施形態における貫通孔11は、
船舶の区画壁1に横方向(図示の左右方向)に穿設され
た孔に円筒状の筒状体12が溶接等の固定手段によって
固定されることにより形成されている。
【0021】充填材3は、複数の棒状体31…31から
構成されている。これらの棒状体31…31は、加熱さ
れると体積膨張する耐熱性の熱膨張性材料から形成され
ている。この耐熱性の熱膨張性材料としては、例えば珪
酸塩、ベルム原石、膨張黒鉛等が挙げられ、珪酸塩は、
200°Cで1時間加熱により2.5倍程度、400°
Cで1時間加熱により3.8倍程度、500°Cで1時
間加熱により5.5倍程度に体積膨張する。又、ベルム
原石は、1000°Cで10倍程度に体積膨張する。
又、膨張黒鉛は、1000°Cで250〜270倍程度
に体積膨張する。そして、これらから選択される一種又
は二種以上を混合したものを使用できる。二種以上のも
のを混合して使用する場合は、膨張倍率を調整しつつ製
作することができる。
【0022】又、この棒状体31…31の長さL1は、
特に限定されず、貫通孔11の大きさや深さに応じて適
宜変更して使用できるが、図3(A) に示すように長さL
1が50〜200mm程度のものを使用するようにすれ
ば延焼を確実に防止できるとともに、取扱い易いものに
できる点で好ましい。又、本実施形態では、貫通孔11
の深さより短い50〜100mmのものを使用している
が、例えば貫通孔11の大きさが大きいような場合に
は、貫通孔11の深さと同程度の長さL1を有する棒状
体31…31を使用するようにしても良く、こうするこ
とにより、貫通孔11の全体に膨張させることができ、
確実に延焼を防止できる。一方、棒状体31…31の断
面形状は、この実施形態では円形状とされているが、こ
の断面形状は、特に限定されず、図3(B) に示すような
四角形等の多角形状や楕円状等であっても差し支えなく
使用でき、適宜変更して実施し得る。
【0023】そして、これらの棒状体31…31は、図
1、図2に示すように貫通孔11に挿通された挿通部材
2…2の間及び挿通部材2…2と貫通孔11の内壁面1
1aとの間に配設される。詳しくは、まず、貫通孔11
に、複数の挿通部材2…2を通す。その後、貫通孔11
内における挿通部材2…2と貫通孔11との壁面、及び
挿通部材2…2の間に棒状体31…31を配するように
して入れる。その際、充填材3が粉や粒状である場合に
は、横方向に開口された貫通孔11内の全体に充填し難
いが、棒状体31…31から構成しているため、容易に
充填できる。
【0024】このようにして構成された第1実施形態の
延焼防止構造は、区画壁1の一方側、例えば図1の左側
から火災が発生すると、挿通部材2における心材20を
覆う被覆部材21が燃え、壁面1の左方側から貫通孔1
1内に配位された部分へと延焼していく。一方、貫通孔
11内に充填された棒状体31…31は、火災による或
いは被覆部材21が燃えることによる熱により、体積膨
張し始める。この膨張に伴い、棒状体31…31が貫通
孔11の内壁面11a、挿通部材2…2の外周を押圧
し、挿通部材2の被覆部材21が外周の全周から径内方
向に押圧される。その結果、図4に示すように挿通部材
2の被覆部材21は、圧縮されて径小となり、酸素の供
給を出来ずに消える。又、被覆部材21が燃えた場合で
も、燃えて消失した部分に、膨張した棒状体31…31
が入り込んで空間の形成を防止できる。従って、火が被
覆部材21を伝って、あるいは貫通孔11内の隙間から
右方側に通り抜けるようなことを確実に防止できる。
【0025】以上のように構成することにより、従来の
ロックウールの場合のように挿通部材2…2間、及びに
挿通部材2…2と貫通孔11の内壁面との間に完全に隙
間がなくなるまで圧縮して押し込まなくても、挿通部材
2…2を貫通孔11内に配してその挿通部材2…2と貫
通孔11の内壁面との間に棒状体31を入れれば良く、
しかも多少の隙間を生じている場合でも火災に際して完
全に塞ぐことができる。従って、単に貫通孔11に棒状
体31を略一杯になるまで入れれば良く、従来のカルシ
ウム板等も不要にでき、充填作業を、従来に比してより
簡単なものにでき、経験の有しない者でも作業を行うこ
とができるとともに、低コストで行うことができる。
又、電線やケーブルを交換する場合には、棒状体31…
31を単に貫通孔11に入れているだけのため、貫通孔
11から容易に取り出すこともできるものとなり、電線
やケーブルの交換を容易なものできる。しかも、貫通孔
11から容易に取り出した棒状体31…31は、単に貫
通孔11に入れておいただけのため変形もなく、そのま
ま再使用できる。
【0026】尚、上記実施形態では、棒状体31を貫通
孔11に充填しているだけのものとしているが、例えば
図1中に点線で示すように貫通孔11の一方側又は両側
に耐火パテ6で覆うようにしても良い(図1では、貫通
孔11の両側を耐火パテ6、6で覆う場合を示す)。こ
うすることにより、棒状体31が膨張するまでの間、隙
間からの煙の通過を防止できる。使用する耐火パテ6、
6は、棒状体31の膨張開始温度以下で燃えないもので
あれば良く、従来から使用されているものを利用するこ
とができる。又、貫通孔11の両側を耐火パテ6、6で
覆う場合、この図1に示すように貫通孔11内における
耐火パテ6と棒状体31との間に空間を形成するように
しておけば、貫通孔11の一方側から火災が発生する
と、棒状体31が膨張する結果、空間が密閉状態になっ
て酸素の供給を完全に遮断し、他方側への延焼を確実に
防止できる点で好ましい。
【0027】次に、第2実施形態について、図5に基づ
き説明する。この第2実施形態のものは、第1実施形態
のものと同様に、船舶の区画壁1に穿設された貫通孔1
1と、貫通孔11に挿通されたケーブル線や管等の挿通
部材2と、貫通孔11内に充填された充填材3としての
棒状体31とを備えているが、貫通孔11が、船舶の区
画壁1に上下方向に形成されている。
【0028】貫通孔11の下端は、耐火パテ6によって
塞がれている。この第2実施形態のように貫通孔11が
上下方向に形成されていると、棒状体31を貫通孔11
内に入れると棒状体31が抜け落ちてしまう恐れがあ
る。そこで、本第2実施形態では、耐火パテ6によって
棒状体31を入れる際に受け得るようにしたものであ
る。詳しくは、この耐火パテ6は、先の第1実施形態で
使用したものと同様のもので、棒状体31の膨張開始温
度以下で燃えないものから構成されている。そして、貫
通孔11に挿通部材2を通した後、貫通孔11の下端
を、耐火パテ6によって塞ぐ。次に、棒状体31を順次
貫通孔11内に投入していく。これにより、棒状体31
を貫通孔11内に充填できる。尚、棒状体31を充填
後、棒状体31が貫通孔11内に固定した場合は、耐火
パテ6を外しても良い。又、棒状体31を入れる際の受
けとしては、耐火パテ6を設ける形態のものに限らず、
例えば板状体を貫通孔11の下方側に仮設しておき、棒
状体31を充填後、その板状体を取り除くようにしても
良い。一方、棒状体31を貫通孔11内に充填後、貫通
孔11の上端にも耐火パテ6(図5に点線で示す)を配
設するようにして空間を形成するようにしても良く、適
宜変更し得る。
【0029】次に、第3実施形態について、図6に基づ
き説明する。この第3実施形態のものは、船舶の区画壁
1に上下方向に形成された貫通孔11と、貫通孔11に
挿通されたケーブル線や管等の挿通部材2と、貫通孔1
1内に充填された充填材3とを備えているが、充填材3
が複数の棒状体31…31と、複数の粒状体32…32
とから構成されている。棒状体31…31は、先の第1
実施形態で使用したものと同構成を採るものである。粒
状体32…32は、棒状体31…31を構成した材料と
同様に、加熱されると体積膨張する耐熱性の熱膨張性材
料から形成されており、具体的には、上述した珪酸塩、
ベルム原石、膨張黒鉛等であり、これらから選択される
一種又は二種以上を混合したものを使用できる。
【0030】本実施形態における粒状体32…32の大
きさは、図7に示すように最大部の長さL2が2〜5m
m程度の大きさの粒状にしたものが使用されている。こ
の粒状体32…32は、図6に示すように貫通孔11内
における棒状体31…31の内側に充填され、貫通孔1
1に挿通された挿通部材2、2同士の間の隙間や、挿通
部材2と棒状体31との間の隙間に配位されている。
尚、この粒状体32…32の大きさは、特に限定され
ず、貫通孔11内に充填できる程度の大きさであれば5
mm以上の大きさであっても良く、又、2mm以下の粉
状に形成したものであっても良いが、あまり大きくなる
と挿通部材2、2同士の間の隙間や、挿通部材2と棒状
体31との間の隙間に入り込み難くなる。その一方、2
mm以下では、充填する際の取扱いが困難になるととも
に、2mm以下の大きさに形成すると膨張度合いを減衰
させることになるので、2〜5mm程度以下のものを使
用するのが好ましい。また、図7に示した粒状体32…
32の形状は、例示にすぎず、各々が種々の形状を呈し
ているものである。又、粒状体32…32の形状は、特
に限定されずに種々の形状のものを使用できる。
【0031】このように構成される棒状体31…31及
び粒状体32…32は、次のようにして貫通孔11内に
充填されている。まず、貫通孔11に挿通部材2を挿通
させた後、貫通孔11の下端に耐火パテ6によって貫通
孔11の下端を塞ぐ。そして、棒状体31…31を、挿
通部材2と、貫通孔11の内壁面11aとの間に、全周
に渡って配設する。その後、棒状体31…31の径内側
に粒状体32…32を投入する。これにより、粒状体3
2…32を挿通部材2、2同士間の隙間や挿通部材2…
2と棒状体31…31との間の隙間に自然に入り込ませ
ることができ、例えば図8に示すように貫通孔11内に
おいて、挿通部材2…2がねじれを生じて互いに絡み合
って隙間ができているような場合にも、挿通部材2、2
同士の隙間に粒状体32…32を自然に入り込ませて隙
間を塞ぐことができる。以上のようにすることにより、
単に棒状体31…31及び粒状体32…32を投入すれ
ば良く、従来のようにロックウールを圧縮して詰め込む
というような作業が不要となり、充填作業を短時間で、
しかも容易に行うことができる。しかも、粒状体32…
32を挿通部材2、2同士間の隙間や挿通部材2…2と
棒状体31…31との間の隙間を簡単に塞ぐことがで
き、火災に際し、より短時間でしかも確実に延焼を防止
し得るものにできる。尚、この場合においても、棒状体
31…31や粒状体32…32の充填は、貫通孔11内
に隙間が出来ないように詰めて行うのが好ましいが、実
際には多少の隙間が発生するものであり、隙間ができた
場合でも、棒状体31…31や粒状体32…32の膨張
によって隙間を塞ぐことができるので、膨張によって隙
間を塞ぐことのできる範囲の隙間であれば差し支えな
い。従って、棒状体31…31や粒状体32…32の充
填に際し、棒状体31…31や粒状体32…32を、貫
通孔11内に無理やり押し込まなくても略一杯に充填す
れば良く、経験の無い者でも簡単に行うことができる。
又、棒状体31…31は、粒状体32…32より先に入
れてしまわなくても、棒状体31…31を入れながら同
時に粒状体32…32を入れるようにしても良い。ま
た、この第3実施形態においても、棒状体31…31や
粒状体32…32の充填後に棒状体31…31や粒状体
32…32が貫通孔11の下方に落下しない場合には、
貫通孔11の下端に設けた耐火パテ6を取り外すように
しても良い。或いは、耐火パテ6に代えて他の手段によ
り、棒状体31…31や粒状体32…32を入れる際に
受けるようにしても良い。一方、棒状体31…31及び
粒状体32…32を充填後、貫通孔11の上下の両側に
耐火パテを配設するようにして密封するようにしても良
く、適宜変更し得る。
【0032】次に、第4実施形態について説明する。こ
の第4実施形態のものは、建築構造物に形成された区画
貫通部における延焼防止構造に係るもので、建築構造物
の床面1に上下方向に形成された貫通孔11と、貫通孔
11に挿通されたケーブル線や管等の挿通部材2と、貫
通孔11内に充填された充填材3とを備えたものであ
る。
【0033】充填材3は、複数の棒状体31…31と、
複数の粒状体32…32とから構成されている。これら
は、先の第3実施形態で使用したものと同構成を採り、
加熱されると体積膨張する耐熱性の熱膨張性材料から形
成されている。
【0034】そして、これらの棒状体31…31及び粒
状体32…32は、本実施形態では、図9、図10に示
すように貫通孔11内において金属製からなる板状保持
部材45a、45bにより下方側から受けられている。
板状保持部材45a、45bは、図11に示すように、
左板状保持部材45aと、右板状保持部材45bとの二
枚の板状部材からなる。左板状保持部材45aと右板状
保持部材45bとは、一枚の円形状の板部材を略二分割
することにより形成された左右一対のものから構成され
ている。各々の外周径は、貫通孔11の内径よりやや大
きい程度とされ、各々の中心部には、挿通部材2…2を
通すための挿通用孔45cが備えられている。又、外周
部側には、ボルト5…5(図9、図10に図示)を通す
ためのボルト挿通用孔45d…45dが備えられてお
り、ボルト5…5を介して各板状保持部材45a、45
bを、床面1における貫通孔11の周部に係止できるよ
うになされている。
【0035】このように構成される延焼防止構造を形成
するには、まず、貫通孔11に挿通部材2…2を挿通し
た後、床面1の下方側から板状保持部材45a、45b
を、ボルト5、5により係止するとともに、板状保持部
材45a、45bの挿通用孔45cや左板状保持部材4
5aと右板状保持部材45bとの間に形成される隙間を
耐火パテ6で下方側から被覆する。尚、隙間が狭く、棒
状体31…31や粒状体32…32が殆ど落下しないよ
うな場合には耐火パテ6を配設しなくても良い。次に、
貫通孔11の上方側から棒状体31…31を、貫通孔1
1に挿通された挿通部材2と、貫通孔11の内壁面11
aとの間に、全周に渡って配設する。その後、棒状体3
1…31の径内側に粒状体32…32を投入する。又、
この第4実施形態では、貫通孔11に充填した棒状体3
1…31や粒状体32…32の上端にも耐火パテ6を配
設し、火災に際して棒状体31…31や粒状体32…3
2が膨張するまでの煙の通過を防止するようにしている
が、この耐火パテ6も必要に応じて設ければ良いもので
ある。また、貫通孔11に充填した棒状体31…31や
粒状体32…32の上端に、耐火パテ6に代えて板状保
持部材45a、45bを設け、或いは、板状保持部材4
5a、45bに加えて耐火パテ6を設けるようにしても
良く、適宜変更できる。
【0036】尚、船舶の場合において、第1実施形態で
は、横方向に形成された貫通孔11に棒状体31…31
だけを充填しているが、粒状体32…32と共に充填す
るようにしても良い。但し、貫通孔11が左右方向に形
成されている場合は、粒状体32…32を充填し難くな
るので、棒状体31…31だけを充填した方が効率良
く、作業を行うことができる点で好ましい。
【0037】又、建築構造物の場合において、第4実施
形態では、建築構造物の床面1に上下方向に形成された
貫通孔11に、棒状体31…31及び粒状体32…32
を充填しているが、棒状体31…31だけを充填するよ
うにしても良い。
【0038】更に、建築構造物の場合において、第4実
施形態では、板状の保持部材45a、45bを介して棒
状体31…31や粒状体32…32を充填するようにし
ているが、この形態のものに限らず、充填材3を受け得
る形態のものであって、充填材3の膨張し得る温度以下
で燃えないものであれば良く、例えば板状保持部材45
a、45bに代えて耐火パテで行うようにし、或いは、
図12に示すような保持部材40a、40bを用いるよ
うにしても良い。詳しくは、この保持部材40a、40
bは、左方側の半円筒状の左保持部材40aと、左保持
部材40aと左右対称形をなす右方側の右保持部材40
aとを備え、これらが合わされることにより、一つの円
筒形状をなすものから構成されている。各々は、上端側
に鍔42、42を備えている。又、各々の下面は、中心
部に挿通部材2を挿通させる挿通用孔43が設けられ、
その挿通用孔43の周部に棒状体31を受ける受け部4
4が設けられている。そして、このように構成された保
持部材40a、40bは、貫通孔11に挿通部材2…2
を挿通した後、床面1における貫通孔11の周部に鍔4
2、42が係止される。これにより、保持部材40a、
40bを貫通孔11内に吊り下げ支持することができ
る。従って、このような保持部材40a、40bを使用
するようにすれば、板状保持部材45a、45bを使用
する場合のように床面1の下方側からボルト5、5で係
止しなくても床面1の上方側から行うことができ、取付
け作業を簡単に行うことができる。
【0039】また、建築構造物の場合においても、建築
構造物の壁面に横方向に形成された貫通孔11に、棒状
体31…31を、或いは棒状体31…31及び粒状体3
2…32を充填するようにしても良く、適宜変更し得
る。
【0040】一方、船舶や建築構造物の場合において、
充填材3を、棒状体31…31と粒状体32…32とか
ら構成する場合、上記実施形態のように、粒状体32…
32を、棒状体31…31の径内側に配設する形態のも
のに限らず、粒状体32…32を、棒状体31、31間
に配設するようにしても良く、適宜変更できる。
【0041】次に、本願発明の第5実施形態について説
明する。第5実施形態の区画貫通部における延焼防止構
造は、上記第4実施形態のものと同様に、建築構造物の
区画壁1に穿設された貫通孔11と、この貫通孔11に
挿通された挿通部材2と、貫通孔11内に充填された充
填材3とを備えているが、充填材3は、粉や粒状の熱膨
張性材料からなる小片が所定量、袋体33に詰め込まれ
た複数のものから構成されている。
【0042】第5実施形態に使用される熱膨張性材料
は、先の第3実施形態で使用した図7に示した粒状体3
2…32が用いられている。詳しくは、珪酸塩、ベルム
原石、膨張黒鉛等の加熱されると体積膨張する耐熱性の
熱膨張性材料から形成された2〜5mm程度の大きさの
粒状のものである。そして、図15に示すように、この
粒状体32…32が所定量、袋体33に詰め込まれるこ
とにより、一つの小充填部材30が形成され、充填材3
は、このようにして袋体33と複数の粒状体32とで形
成された複数個の小充填部材30…30から構成されて
いる。尚、この熱膨張性材料からなる小片の大きさは、
特に限定されず、貫通孔11内に充填できる程度の大き
さであれば5mm以上の大きさでも良く、又、2mm以
下の粉状に形成したものであっても良く、適宜変更し得
る。
【0043】この袋体33は、本実施形態では、熱膨張
性材料が膨張し始める程度の温度以下の熱で溶解し得る
ものから構成されている。具体的には、ポリエチレン、
ポリプロピレン、PET等のポリオレフィン系のもの、
ナイロン等の素材から構成されるものが挙げられる。
又、袋体33の大きさは、特に限定されず、区画壁1の
貫通孔11に入れられる程度のものであれば良いが、本
実施形態では、横幅50mm程度で、縦幅100mm程
度のものが使用され、複数個が貫通孔11に入るように
なされている。一方、この袋体33内に入れる熱膨張性
材料の量についても、特に限定されず、略満杯になるよ
うに詰め込んでも良いが、本実施形態では、図15に示
すように袋体33の内容積の30〜70%程度の量とし
ている。満杯にして袋体33が完全に膨らんだ状態にし
て使用すると、袋体33と熱膨張性材料30とで構成し
た小充填部材30の形状が変形し難くなくなってしま
い、その結果、貫通孔11に入れる際、小充填部材30
が貫通孔11の内壁面11aや挿通部材2、或いは小充
填部材30、30同士が沿わずにそれらの間に隙間が生
じ、押し込んでも各小充填部材30が殆ど変形しないた
め、その隙間を無くすことができなくなる。しかし、上
記のような程度にしておくと、小充填部材30が自在に
変形して隙間の発生を防止でき、貫通孔11内に略完全
に充填できる。又、袋体33は、粒状体32…32を詰
めた後は、閉められて密封状態とされることにより、外
部と遮断されるようになされ、貫通孔11に投入する場
合やその他の取扱いに際して、内部の粒状体32…32
がこぼれ出ないようになされている。
【0044】このようにして形成された複数の小充填部
材30は、次のようにして区画壁1の貫通孔11内に充
填される。図14に示すように、先ず、従来と同様に、
区画壁1の一方側に閉塞部材7として耐火カルシウム板
を、区画壁1との間に耐熱シール材8aを配するように
してビス等を介して固定することにより、挿通部材2を
通した貫通孔11の一方側を塞ぐ。そして、予め粒状体
32…32を袋体33に詰めた小充填部材30を複数、
貫通孔11の他方側から順次投入していく。その際、粉
又は粒状の膨張性材料をそのまま入れる場合には、貫通
孔11が横方向に穿設されていると貫通孔11内に入れ
難く、又、全体に充填し難く操作が困難である。しか
し、本実施形態では、粒状体32…32を袋体33に詰
めているため、熱膨張性材料を貫通孔11内の全体に容
易に短時間で充填できる。しかも、投入に際して各小充
填部材30がぶつかりあって各小充填部材30が容易に
変形し、各小充填部材30が貫通孔11の内壁面11
a、板状保持部材45a、45bの側面、挿通部材2の
外周面に沿うとともに、小充填部材30、30同士が互
いに略密接させることができ、複数の小充填部材30に
よって貫通孔11内を略隙間なく充填できる。
【0045】その後、区画壁1の他方側に耐熱シール材
8aを配し、閉塞部材7をを貫通孔11の他方側に、貫
通孔11の他方側を塞ぎ、区画壁1にビス等を介して固
定する。又、区画壁1の両側に固定した閉塞部材7を耐
火パテ6、6で塞いでおく。尚、閉塞部材7は、耐火カ
ルシウム板を使用する形態のものに限らず、例えば先の
第4実施形態で使用した金属製からなる板状保持部材4
5a、45bを使用する、或いは、耐火パテ6、6で塞
ぐようにしても良く、適宜変更し得る。又、閉塞部材
7、耐火パテ6、6、耐熱シール材8a各々は、必要に
応じて配すれば良く、省略して実施し得る。
【0046】次に、このように構成された本願発明の第
5実施形態の区画貫通部における延焼防止構造の機能に
ついて説明する。区画壁1の一方側から火災が発生する
と、火は、閉塞部材7によって直接貫通孔11に入るこ
とはないが、挿通部材2における心材20を覆う被覆部
材21が燃えると、区画壁1の一方側から貫通孔11内
に配位された部分へと延焼していく。一方、貫通孔11
内に充填された小充填部材30…30は、被覆部材21
が燃えることによる熱及び閉塞部材7を介して貫通孔1
1内に伝わる熱により、小充填部材30内の粒状体32
…32(図15に図示)が体積膨張し始める。その際、
小充填部材30の袋体33は、粒状体32…32が膨張
し始める程度の温度以下の熱で溶解し得るものから構成
されているため、熱膨張性材料の膨張に先立って溶解
し、粒状体32…32がむき出し状態になってから膨張
し始める。又、袋体33を、ポリオレフィン系のもの、
例えばポリエチレン製のものら構成している場合は、被
覆部材21が燃えるとそれに接した袋体33が熱溶融し
て穴があき、被覆部材21が溶けて貫通孔11内に隙間
ができたとき、袋体33内の粒状体32…32が2〜5
mm程度の粒状のものとされているため、袋体33の穴
から流れ落ちるように隙間に流れ込んで隙間を塞ぐこと
ができる(あたかも砂時計の砂が小さい穴から流れ落ち
るように隙間に流れ込んで隙間を塞ぐ)。従って、この
点で、粒状体32…32を2〜5mm程度の大きさのも
のとして使用するのが好ましい。そして、粒状体32…
32の膨張に伴い、粒状体32…32が貫通孔11の内
壁面11a、閉塞部材7の側面7a、7a、及び挿通部
材2の外周を押圧する。又、充填材3の膨張に際し、図
16に示すように貫通孔11の内壁面11a等より柔ら
かい挿通部材2の被覆部材21が変形を開始して充填材
3が挿通部材2側の径内方向に拡大し、挿通部材2の被
覆部材21が外周の全周から径内方向に押圧される。そ
の結果、挿通部材2の被覆部材21は、圧縮されて径小
となり、これにより、延焼してきた被覆部材21は、酸
素の供給を出来ずに消える。又、貫通孔11内は、充填
材3の膨張によって完全に隙間が消失し、火が通るよう
なことを確実に防止できる。
【0047】尚、小充填部材30の充填についても、貫
通孔11内に隙間が出来ないように行うのが好ましい
が、実際には一部に多少の隙間が発生するものであり
(図では、便宜上隙間が全く無いように表してい
る。)、熱膨張性材料の膨張によって被覆部材21を押
圧できる程度の隙間であれば良い。
【0048】又、この実施形態では、充填材3を、複数
の小充填部材30…30から構成しているが、この形態
のものに限らず、例えば図17に示すように一つの袋体
33に複数の粒状体32…32を詰め、これを挿通部材
2の外周に巻き付けるようにして貫通孔11内に充填す
るようにしても良い。
【0049】更に、本実施形態では、袋体33を、ポリ
オレフィン系のもの、ナイロン等の熱膨張性材料が膨張
し始める程度の温度以下の熱で溶解するようなものから
構成することにより、粒状体32が膨張し始める前に粒
状体32を袋体33の外に出すようにしているが、粒状
体32の膨張を妨げないものであれば良く、例えば粒状
体32の膨張に際し、袋体が裂けるようなもの、或い
は、袋体が容易に伸びるものであっても良い。又、例え
ば上述のように粒状体32を、袋体33の内容積の30
〜70%程度の量だけ詰める場合は、粒状体32が膨張
し始めても、膨張する余裕があるため、粒状体32の膨
張し始める温度と同じか又はそれ以上の温度で溶解し得
る素材、例えばガラス繊維等のようなものであっても良
く、適宜変更し得る。
【0050】次に、本願発明の第6実施形態について図
18〜図21に基づき説明する。この第6実施形態のも
のは、上記第5実施形態の粒状体が延焼に伴い貫通孔1
1の外にこぼれ落ちるのを防止するこぼれ落ち防止手段
を施したものである。この第6実施形態に係る充填材3
は、弱袋体に耐熱性の熱膨張性材料からなる粒状体32
を詰めた弱小充填部材30aと、強袋体33a(図19
に図示)に耐熱性の熱膨張性材料からなる粒状体32を
詰めた強小充填部材30bと、強小充填部材30bを所
定位置に保持しておくための保持手段とが備えられてい
る。
【0051】弱小充填部材30aは、先の第5実施形態
で使用した図15に示したものと同構成を採るものであ
る。詳しくは、弱小充填部材30aの弱袋体は、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、PET等のポリオレフィン系
のもの、ナイロン等のように粒状体32の膨張し始める
程度の温度以下の熱で溶解可能なもの、又は裂け易いも
のから構成されている。そして、この弱袋体に熱膨張性
材料を所定量だけ詰めることにより形成された複数の弱
小充填部材30aは、貫通孔11内における中央部に配
設されている。
【0052】強小充填部材30bと保持手段とは、熱膨
張性材料が延焼に伴い貫通孔11の外にこぼれ落ちるの
を防止する手段をなすものである。強小充填部材30b
の強袋体33aは、粒状体32の膨張し始める程度の温
度以下の熱では溶解しないものが使用される。具体的に
は、840°C程度で溶融し得るガラス繊維から構成さ
れるもの等が挙げられる。この強袋体33aに粒状体3
2…32を所定量だけ詰めることにより形成された複数
の強小充填部材30b…30bは、図18〜図20に示
すように貫通孔11内における両端側の閉塞部材7、7
各々の側方、且つ挿通部材2の外周面全周に渡って包囲
するように並設される。
【0053】保持手段は、本実施形態では、金属製の薄
板状のベルト9が用いられている。そして、このベルト
9は、挿通部材2の外周面全周に渡って並設された複数
の強小充填部材30b…30bの径外側に巻き付けられ
ることにより、強小充填部材30b…30bを径内側に
付勢する程度に縛り、これにより、強小充填部材30b
…30bの全体を挿通部材2の外周面の全周に固定して
いる。
【0054】このようにして形成された本実施形態の構
造においては、挿通部材2の被覆部材21が肉厚の厚い
もの、例えば熱媒管、冷媒管のようなものから構成され
ている場合に効果的なものとなる。例えば図18〜図2
0に示すように冷媒管20の場合は、通常、被覆部材2
1として燃え易い発泡ポリエチレンが用いられており、
発泡ポリエチレンで冷媒管20を覆った状態で貫通孔に
通されるが、この発泡ポリエチレンの肉厚tが10〜4
0mm程度とされているのが一般的であり、この冷媒管
20が貫通孔11に挿通されている場合、冷媒管20の
被覆部材21が区画壁1の図示右方側から貫通孔11内
まで燃えると、燃えた後の閉塞部材7の挿通用孔71に
は、大きな隙間72(図19、図20中に点線で示す)
が発生してしまう。その場合、例えば貫通孔11内に、
ビニールのような弱袋体に粒状体32を詰めた複数の弱
小充填部材30a…30aのみを充填しておくと、各弱
小充填部材30aの粒状体32が膨張し始める前に弱袋
体が溶融してしまい、粒状体32が弱袋体から出てしま
う。その結果、弱袋体から出た粒状体32が閉塞部材7
の挿通用孔71に形成された隙間72から貫通孔11の
外にこぼれ落ちる場合がある。特に、床面に穿設した貫
通孔に使用し、床面の下方側から延焼してきた場合は、
隙間から下方に落下してしまう。そこで、この第6実施
形態のように、強袋体33aに粒状体32を詰めた強小
充填部材30b…30bを、閉塞部材7、7各々の側
方、且つ被覆部材21の外周面全周に渡って並設してお
けば、強袋体33aが弱袋体の溶融温度では未だ溶けな
いため、強袋体33aがそのままの状態で維持する。し
かも、並設させた強小充填部材30b…30bの径外側
をベルト9で縛っているため、強小充填部材30b…3
0bの径外側の冷媒管20の被覆部材21が燃えて空間
ができると、強小充填部材30b…30bが径内側に寄
せられて空間に入り込んでいく。これにより、冷媒管2
0の被覆部材21が燃えることにより発生する空間は、
強小充填部材30b…30bによって塞がれ、弱袋体か
ら出た粒状体32が隙間72から貫通孔11の外に出よ
うとしても強袋体33aが邪魔になって貫通孔11の外
に出るのを防止できる。そして、更に、温度が上がって
強袋体33aが溶融しても、強袋体33aを粒状体32
の膨張開始温度以上の熱で溶解し得るものから構成して
いるため、強袋体33aが溶解する際には、弱袋体から
出た粒状体32がすでに熱により貫通孔11内の全体に
体積膨張し、又、並設させた強小充填部材30b…30
bは、その径外側がベルト9で縛られているため、径外
側への膨張が阻止され、径内側へ膨張する。その結果、
熱膨張性材料が貫通孔11の内壁面11a、閉塞部材
7、7の側面7a、7a、及び冷媒管20の外周を押圧
した状態となり、粒状体32が互いに押圧しあった状態
になる。従って、強袋体33aが溶解しても強袋体33
a及び弱袋体から出た熱膨張性材料が隙間72から外部
にこぼれ落ちることなく、貫通孔11内全体に体積膨張
させることができ、同時に被覆部材21を径内側に押圧
し、被覆部材21の延焼を防止できる。
【0055】尚、保持手段は、強小充填部材30b…3
0bをその位置に保持させておけるものであれば良く、
ベルト9を採用する形態のものに限らず、例えば図21
(A)に示すように閉塞部材7として、中央部に挿通孔1
0eを有する二つ割りの金属製カバー10を用い、この
金属製カバー10の挿通孔10eの周部に複数の孔10
a…10aを設けておき、図21(B) に示すように孔1
0a…10aから挿通部材2の全周に配設した強小充填
部材30b…30bを、孔10a…10aから針金等の
係止部材10bを通して係止して実施することもでき
る。又、金属製カバー10を用いなくても、閉塞部材7
における挿通孔71の周部に複数の孔を直接あけ、挿通
部材2の全周に配設した強小充填部材30b…30b
を、上記と同様にその孔から針金等の係止部材で係止
し、又は縛り付けるようにして実施することもできる。
【0056】次に、第7実施形態について、図22(A)
(B)、図23に基づき説明する。この第7実施形態の充
填材3は、粒状体を一種類の袋体に詰めたものから構成
されているが、充填材3と共に充填材受け部材100が
貫通孔11内の左右両端側に配設される。
【0057】充填材3は、図15で示したものと同構成
を採り、詳しくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、P
ET等のポリオレフィン系のもの、ナイロン等の粒状体
32の膨張し始める温度以下の熱で溶解可能なもの、又
は裂け易い素材から構成される袋体33に、粒状の熱膨
張性材料からなる粒状体32を袋体33の内容積の30
〜70%程度の量だけ詰めた複数の小充填部材30…3
0から構成されている。
【0058】充填材受け部材100は、こぼれ落ち防止
手段をなすもので、図22(A) に示すように粒状体32
の膨張開始温度以下の熱では溶解しない素材から構成さ
れる。この実施形態における充填材受け部材100は、
複数のガラス繊維からなるガラス繊維束100a…10
0aを縦横に交差させて所定の厚さ、大きさに形成した
折り曲げ可能な平面状のいわゆるガラスクロスから構成
されている。
【0059】そして、充填材受け部材100は、図22
(B) に示すように複数の小充填部材30…30からなる
充填材3の投入された貫通孔11内において、挿通部材
2と閉塞部材7との境界部に、貫通孔11内から境界部
を覆うように配設されている。詳しくは、充填材受け部
材100の一端側を挿通部材2の端部全周に巻き付ける
ようにし、充填材受け部材100の他端側を、挿通部材
2に巻き付けた一端側から折り曲げて閉塞部材7の内面
に沿わし、このようにして、挿通部材2と閉塞部材7と
の境界部における挿通部材2と充填材3との間、及び閉
塞部材7と充填材3との間に配設されている。
【0060】このようなこぼれ落ち防止手段を施した本
第7実施形態においては、こぼれ落ち防止手段を施した
先の第6実施形態のときと同様に挿通部材2の被覆部材
21が肉厚の厚いもの、例えば熱媒管、冷媒管のような
ものから構成されている場合に、好適なものとなる。詳
しくは、区画貫通部に延焼すると図23に示すように冷
媒管20の被覆部材21をなす発泡ポリエチレンが燃え
てしまい、燃えた後の閉塞部材7の挿通用孔71には、
大きな隙間72が発生する。一方、充填材3は、袋体3
3をポリオレフィン系等から構成しているため、袋体3
3が容易に溶融して粒状体32が袋体33から出る。こ
の袋体33から粒状体32が出ると上記隙間72から外
に流れ落ちてしまう恐れがあるが、隙間72と充填材3
との間には、充填材受け部材100が配位されており、
又、その充填材受け部材100は、袋体33の溶融温度
では溶融しないため、充填材受け部材100が粒状体3
2の膨張によって、隙間72側に押されて隙間72を塞
ぐ。従って、袋体33から出た粒状体32は、充填材受
け部材100に受けられる。そして、更に温度が上がる
と充填材受け部材100が溶解するが、充填材受け部材
100が粒状体32の溶解開始温度より高温で溶解する
ため、充填材受け部材100が溶解する際には、すでに
粒状体32が熱により貫通孔11内の全体に体積膨張
し、粒状体32が貫通孔11の内壁面11a、閉塞部材
7の側面7a、7a、及び冷媒管20の外周を押圧した
状態となり、粒状の熱膨張性材料が互いに押圧しあった
状態になる。従って、充填材受け部材100が溶解して
も袋体33から出た粒状体32が隙間72から外部にお
ぼれ落ちることなく、貫通孔11内全体に体積膨張させ
ることができ、同時に被覆部材21を径内側に押圧し、
被覆部材21の延焼を防止できる。
【0061】尚、この第7実施形態では、充填材受け部
材100を、一枚のガラスクロスから構成して貫通孔1
1内における挿通部材2と閉塞部材7との境界部に配し
ているが、充填材受け部材100を、複数枚の小片状の
から構成し、貫通孔11内から境界部を覆うようにして
実施することも可能である。又、一枚のガラスクロス
を、複数の小充填部材30…32全体を包み込むように
し、ガラスクロスで包んだ状態で貫通孔11に投入する
ようにしても良く、このようにしても、粒状体32が隙
間72から外部におぼれ落ちることなく、貫通孔11内
全体に体積膨張させることができる。
【0062】また、これらのこぼれ落ち防止手段を有す
る第6及び第7実施形態に係るものは、冷媒管2のよう
に被覆部材21の肉厚tが厚いものの使用に好適である
が、ケーブルや電線等にも実施し得る。
【0063】又、強小充填部材30bを複数のものから
構成しているが、一つの強袋体33aに詰めたものから
構成し、挿通部材2の外周に巻き付けるようにして貫通
孔11内に充填するようにしても良い。
【0064】以上、こぼれ落ち防止手段を有する区画貫
通部における第6、第7実施形態の延焼防止構造は、
壁、床等の区画壁1に穿設された貫通孔11と、この貫
通孔11に挿通されたケーブル線や管等の挿通部材2
と、貫通孔11内に充填された充填材3と、貫通孔11
を両側から塞ぐ閉塞部材7と、こぼれ落ち防止手段6、
10、100とが備えられ、充填材3が、加熱により体
積膨張し得る耐熱性の熱膨張性材料からなる粉状や粒状
の複数の小片32と、複数の小片32を収納した袋体3
3とを備え、袋体33が小片32の熱による膨張開始温
度より低温で溶融するものから構成されることにより、
加熱に伴い袋体33が小片32の膨張開始前に溶融し、
こぼれ落ち防止手段6、10、100は、挿通部材2の
被覆部材21の延焼に伴い、閉塞部材7に設けられた挿
通孔71と挿通部材2との間に発生する隙間72から、
貫通孔11内における袋体33から出た熱膨張性材料が
貫通孔11外にこぼれ落ちるのを防止し得ることを特徴
とするものである。
【0065】又、この第6実施形態のこぼれ落ち防止手
段は、貫通孔11内における各閉塞部材7側の挿通部材
2の外周に略全周に渡って配設された複数の強小充填部
材30b…30bと、これらの強小充填部材30b…3
0bをその位置に保持する保持手段6、10とを備え、
強小充填部材30b…30bが、小片32の膨張し始め
る程度の温度以下の熱では溶解不能なガラス繊維等から
なる強袋体33aに、粉状体又は粒状体32を収納した
ものである。
【0066】第7実施形態のこぼれ落ち防止手段は、小
片32の膨張し始める程度の温度以下の熱では溶解不能
なものから折り曲げ可能に形成されたガラスクロス等の
平板状の充填材受け部材100を備え、充填材受け部材
100が、貫通孔11内における挿通部材2と閉塞部材
7との境界部に、貫通孔11内からその境界部を覆うよ
うに配設されたものである。
【0067】尚、第5実施形態から第7実施形態におい
ては、建築構造物の区画貫通部に使用した場合を示した
が、建築構造物の区画貫通部の他、船舶における壁、床
等の区画壁に設けられた区画貫通部にも実施し得る。
【0068】次に、第8実施形態について、図24に基
づき説明する。第8実施形態の延焼防止構造は、建築構
造物の区画壁1としての床面1に上下方向に穿設された
貫通孔11と、この貫通孔11に挿通された挿通部材2
と、貫通孔11内に充填された充填材3とを備えている
が、この第8実施形態の充填材3は、熱膨張性材料を小
さい片に形成した複数の小片35…35から構成されて
いる。これらの小片35…35は、先の実施形態で使用
した粒状体32よりも大きく形成されており、本実施形
態では図25(A) に示すように一辺10mm程度のサイ
コロ状のものを使用している。この小片35の大きさ
は、特に限定されないが、後述のように、この第8実施
形態では、複数の小片35…35を、そのまま貫通孔1
1内に充填するため、小さ過ぎると充填作業が面倒にな
って時間がかかってしまい、大き過ぎると貫通孔11内
に充填し難くなる。従って、最大部の長さが10〜20
mm程度のものを使用するのが好ましい。又、小片35
…35の形状についても、特に限定されず、例えば図2
5(B) に示すような球状のもの、更には直方体等の多角
形状、三角錐等の角錐状、楕円状、円柱状のもの等、ど
のような形状のものであっても使用できる。また、サイ
コロ状のものを使用する場合、一辺10mm程度のもの
を使用するようにすれば、貫通孔11内に容易に短時間
で充填できる。尚、小片35の形成方法は、先の実施形
態で使用した棒状体31を利用し、棒状体31を切断又
は球状加工等することにより、容易に得ることができ
る。
【0069】この複数の小片35…35を用いた第8実
施形態の延焼防止構造を形成するには、貫通孔11に挿
通部材2を挿通させた後、貫通孔11の下端側を、図1
2に示した二分割した円筒状の保持部材40a、40b
を配し、小片35…35を上方側から順次充填してい
く。尚、この実施形態では、小片35…35を充填した
後、貫通孔11の上端側を耐火パテ6で塞いでいるが、
耐火パテ6を設けなくても良い。このようにして形成す
ることにより、上下方向に穿設された貫通孔11に上方
側から落とし込ませるようにして充填でき、容易に短時
間で充填でき、上下方向に穿設された貫通孔11に適し
たものにできる。尚、第8実施形態では、建築構造物の
床面1に穿設した貫通孔11に充填しているが、船舶に
穿設した貫通孔に充填して実施でき、適宜変更し得る。
又、上述のように上下方向に穿設した貫通孔に充填する
場合に、容易に短時間で充填でき、上下方向に穿設した
貫通孔に適したものとなるが、建築構造物や船舶の壁面
に横方向に穿設した貫通孔に充填して実施することも可
能であり、適宜変更し得る。
【0070】尚、本願発明における充填材3は、珪酸
塩、ベルム原石、膨張黒鉛等の熱膨張性材料から選択さ
れる一種又は二種以上を混合したものだけで構成しても
良いが、例えば熱膨張性材料に、中空体に気体を封入し
加熱によって中空体が体積膨張し得るマイクロカプセル
体を所定の割合で混入させたものから構成して実施し得
る。このマイクロカプセル体としては、例えば塩化ビニ
リデン−アクリロニトリルのコーポリマーから構成した
中空体にイソブタンガスを封入したものや、種々の熱可
塑性樹脂等からなる中空体にチッソガスや二酸化炭素ガ
ス等のガス、或いはアゾ系発泡材等の加熱により分解し
てガスを発生する熱分解ガス化体、界面活性剤等のガス
剤を封入したものが例示できる。このようにして、熱膨
張性材料に所定量のマイクロカプセル体を混入させたも
のを充填材3として使用することにより、熱膨張性材料
が熱膨張し始めるまでの間に、マイクロカプセル体が体
積膨張し、充填材3全体を膨張させることができ、貫通
孔内への空気の供給を停止させることができる。詳しく
は、例えば熱膨張性材料の膨張し始める温度が低い場
合、熱膨張性材料が膨張する前に延焼するおそれが生じ
るが、マイクロカプセル体を混入させておくと、熱膨張
性材料の膨張に先立ってマイクロカプセル体が膨張し、
充填材3全体を膨張させることができ、熱膨張性材料が
膨張するまでの間、貫通孔内への空気の供給を停止させ
ることができる。又、温度が上がるとマイクロカプセル
体は破裂してしまうが、マイクロカプセル体が破裂する
際には、熱膨張性材料が膨張し始めており、マイクロカ
プセル体の破裂後は、貫通孔内への空気の供給を停止さ
せることができる。従って、このようなマイクロカプセ
ル体を混入させるようにすれば、膨張開始温度の高い熱
膨張性材料を使用する場合でも確実に延焼を防止でき、
そのような熱膨張性材料を使用する場合に特に好適なも
のとなる。
【0071】更に、上記実施形態では、棒状体31と、
粉又は粒状の熱膨張性材料を袋体に詰めたものと、小片
35とを、別途に使用しているが、棒状体31と粉又は
粒状の熱膨張性材料を詰めた袋体と小片35との内から
二種類を選択し、あるいは全部を同時に使用するように
しても良く、適宜変更し得る。
【0072】
【発明の効果】以上、本願発明の第1の延焼防止構造
は、区画壁1の一方側から貫通孔11内に延焼するとそ
の熱により、耐熱性の熱膨張性材料が貫通孔11内で膨
張し、挿通部材2を圧縮させ、酸素の供給を絶ち、延焼
を確実に防止できる。又、充填材3を貫通孔11に充填
する際、多少の隙間があっても火災に際して完全に塞ぐ
ことができ、従来のロックウールの場合のように完全に
隙間がなくなるまで圧縮して押し込まなくても、単に貫
通孔11に充填材3を略一杯になるまで入れれば良く、
充填作業を容易に短時間で行いうるものにできる。
【0073】本願発明の第2の延焼防止構造は、本願第
1の延焼防止構造の発明の効果に加え、加熱により体積
を膨張し得る耐熱性の熱膨張性材料から形成した複数の
棒状体31を有するものとすため、横方向に開口された
貫通孔11にも容易に入れることができ、しかも、又、
挿通部材2を交換する場合にも、棒状体31…31を、
単に貫通孔11に入れているだけのため、貫通孔11か
ら容易に取り出すこともできるものとなり、電線やケー
ブルの交換を容易なものできる。しかも、貫通孔11か
ら取り出した棒状体31…31は、単に貫通孔11に入
れているだけのため、変形もなく、そのまま再使用でき
る。
【0074】本願第3、第4の発明は、本願第1の延焼
防止構造の発明の効果に加え、挿通部材2…2が複数の
電線やケーブルからなる場合には、挿通部材2…2の間
や挿通部材2…2と棒状体31との間に形成される隙間
に粒状体32を容易に入り込ませることができる。特
に、貫通孔11内において挿通部材2…2がねじれを生
じているような場合にも、粒状体32を自然に入り込ま
せることができ、隙間を極力少なくできる。従って、迅
速且つ確実に延焼を防止できるものになる。
【0075】本願発明の第5の延焼防止構造は、本願第
1の延焼防止構造の発明の効果に加え、区画壁1の貫通
孔11内に熱膨張性材料を詰めた袋体を投入すれば良
く、粉や粒状の熱膨張性材料を、貫通孔11が横方向に
開口されている場合でも容易に入れることができものと
なる。一方、熱膨張性材料の膨張に際しては、袋体33
が膨張を妨げることがなく、熱膨張性材料30が貫通孔
11内で膨張し、挿通部材2を圧縮させることができ、
確実に延焼を防止できる。
【0076】又、本願発明の第1の延焼防止工法は、区
画壁1の貫通孔11内に、予め袋体33に耐熱性の熱膨
張性材料を詰めることにより形成しておいた充填材3を
投入すれば良く、粉や粒状の熱膨張性材料であっても貫
通孔11の外にこぼれ落ちることなく確実に、しかも短
時間で充填することができる。従って、作業効率の良い
ものにできる。
【0077】本願発明の第2の延焼防止工法は、本願発
明の第1の延焼防止工法の効果に加え、充填材3を、粉
又は粒状の熱膨張性材料を袋体31に詰めることにより
形成した複数の小充填部材30から構成するため、小充
填部材30を、順次貫通孔11内に入れていけば良く、
短時間で、しかも、貫通孔11内の隅々まで容易に充填
できる。従って、一層効率よく、充填作業を行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1実施形態の区画貫通部における
延焼防止構造の断面説明図である。
【図2】本願発明の第1実施形態の区画貫通部における
延焼防止構造の一部を断面にした側面図である。
【図3】(A) は、棒状体の斜視図、(B) は、棒状体の他
の実施形態の斜視図である。
【図4】火災により棒状体が膨張した際の説明図であ
る。
【図5】第2実施形態の延焼防止構造の断面説明図であ
る。
【図6】第3実施形態の延焼防止構造の断面説明図であ
る。
【図7】粒状体の説明図である。
【図8】粒状体を挿通部材の間に充填した状態の要部拡
大説明図である。
【図9】第4実施形態の延焼防止構造の断面説明図であ
る。
【図10】第4実施形態の延焼防止構造を下方側から見
た説明図である。
【図11】第4実施形態における板状保持部材の平面図
である。
【図12】保持部材の他の実施形態の斜視図である。
【図13】図12の保持部材を用いて形成した延焼防止
構造の断面説明図である。
【図14】第5実施形態の延焼防止構造の断面説明図で
ある。
【図15】小充填部材の断面図である。
【図16】第5実施形態の延焼防止構造の一部を断面に
した側面図である。
【図17】袋詰めした充填材の他の実施形態の断面説明
図である。
【図18】第6実施形態の延焼防止構造の断面説明図で
ある。
【図19】第6実施形態における強小充填部材を示す要
部拡大断面図である。
【図20】第6実施形態の一部を断面にした側面図であ
る。
【図21】第6実施形態における他の保持手段の実施形
態に係り、(A) は、他の保持手段としての金属製カバー
の正面図、(B) は、金属製カバーを使用した延焼防止構
造の要部拡大断面説明図である。
【図22】第7実施形態の延焼防止構造の説明図に係
り、(A) は、第7実施形態の充填材受け部材の要部拡大
正面図、(B) は、第7実施形態の延焼防止構造の要部拡
大断面図である。
【図23】挿通部材の被覆部材が燃えた場合の第7実施
形態の要部拡大断面説明図である。
【図24】第8実施形態の延焼防止構造の要部拡大断面
図である。
【図25】(A) は、第8実施形態に使用する小片の斜視
図、(B) は、小片の他の実施形態の斜視図である。
【図26】(A) は、従来の区画貫通部における延焼防止
構造の断面図、(B) は、従来の区画貫通部における延焼
防止構造において、延焼した場合の説明図である。
【符号の説明】
1 区画壁 2 挿通部材 3 充填材 6 耐火パテ 11 貫通孔 30 小充填部材 31 棒状体 32 粒状体 33 袋体 35 小片 40a、40b 保持部材 45a、45b 板状保持部材

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】壁、床等の区画壁(1) に穿設された貫通孔
    (11)と、貫通孔(11)内に挿通されたケーブル線や管等の
    挿通部材(2) と、貫通孔(11)内に充填された充填材(3)
    とを備え、 この充填材(3) が、加熱により体積を膨張し得る耐熱性
    の熱膨張性材料を有するものからなることを特徴とする
    区画貫通部における延焼防止構造。
  2. 【請求項2】充填材(3) が、加熱により体積を膨張し得
    る耐熱性の熱膨張性材料から形成された複数の棒状体(3
    1)を有するものであることを特徴とする請求項1記載の
    区画貫通部における延焼防止構造。
  3. 【請求項3】充填材(3) が、加熱により体積を膨張し得
    る耐熱性の熱膨張性材料から形成された複数の棒状体(3
    1)と、加熱により体積を膨張し得る耐熱性の熱膨張性材
    料から形成された複数の粒状体(32)とを有するものであ
    ることを特徴とする請求項1記載の区画貫通部における
    延焼防止構造。
  4. 【請求項4】棒状体(31)が、貫通孔(11)内に挿通された
    挿通部材(2) と貫通孔(11)の内壁面との間に配位され、
    粒状体(31)が、少なくともその棒状体(31)の径内側に配
    位されたものであることを特徴とする請求項3記載の区
    画貫通部における延焼防止構造。
  5. 【請求項5】充填材(3) が、粉状又は粒状の熱膨張性材
    料を袋体(33)に収納したものから構成され、この袋体(3
    3)が、加熱に伴う熱膨張性材料の膨張を妨げないものか
    らなるものであることを特徴とする請求項1記載の区画
    貫通部における延焼防止構造。
  6. 【請求項6】袋体(33)に耐熱性の熱膨張性材料を詰める
    ことによって加熱に伴う熱膨張性材料の膨張を妨げない
    ように形成した充填材(3) を準備し、 ケーブル線や管等の挿通部材(2) を挿通した壁、床等の
    区画壁(1) の貫通孔(11)内に、上記充填材(3) を充填す
    るようにしたことを特徴とする区画貫通部における延焼
    防止工法。
  7. 【請求項7】充填材(3) を、粉状又は粒状の熱膨張性材
    料を袋体(33)に詰めることにより形成した複数の小充填
    部材(30)から構成し、これらの小充填部材(30)を、順次
    貫通孔(11)内に入れていくことにより充填することを特
    徴とする請求項6記載の延焼防止工法。
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