JPH087779Y2 - 建物耐火スラブの貫通部防火構造 - Google Patents

建物耐火スラブの貫通部防火構造

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JPH087779Y2
JPH087779Y2 JP1989091008U JP9100889U JPH087779Y2 JP H087779 Y2 JPH087779 Y2 JP H087779Y2 JP 1989091008 U JP1989091008 U JP 1989091008U JP 9100889 U JP9100889 U JP 9100889U JP H087779 Y2 JPH087779 Y2 JP H087779Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この考案は、一般ビル、マンション、病院、百貨店、
工場等の比較的大きな建物において、その建物を構成す
る壁、床等の耐火スラブを貫通して電気通信設備等のケ
ーブル配線やその他の配線、配管等を行う際に、この貫
通孔の空間部において延焼や漏煙を防止するために適用
される建物耐火スラブの貫通部防火構造に関する。
[従来の技術] 一般に、大きな建物においては、その建物が出火した
場合に建物全体に延焼するのを防止するため、建物の骨
組みを建造する際にこの建物を適当な大きさの幾つかの
区画に仕切り、それぞれの区画の境界に壁、床等の耐火
スラブを設けて防火区画とすることが行なわれている。
そして、この防火区画を構成する耐火スラブを貫通して
例えばケーブル配線を行う場合、この耐火スラブの予め
設計された位置に貫通孔を設け、この貫通孔を利用して
ケーブル配線を行うようにしている。
このような貫通孔については、これを利用して施設さ
れるケーブルの増設等に対応できるように通常大きめに
形成されており、これをそのまま放置すると、火災が発
生した際に貫通孔とケーブルとの間に生じた隙間やケー
ブルの銅線を被覆するゴム、プラスチック等の可燃物を
介して一方の防火区画から他方の防火区画へと延焼し、
壁や床等の耐火スラブを設けて防火区画を形成した意味
を失う結果となる。
このため、従来においても、壁や床等の耐火スラブに
ケーブル施設用等の貫通孔を開設した場合には、ケーブ
ル等の施設後にこの貫通孔の空間部を無機繊維等で塞い
で延焼を防止するための延焼防止処理を行っている。
そして、この延焼防止処理としては、例えば、貫通孔
の開口面積より一回り大きい石綿珪酸カルシウム板で形
成された押え板を二つ割りし、その分割押え板の分割縁
には切欠き溝を形成してこれら各分割押え板の分割縁を
互いに突合せた際に貫通孔を貫通して施設されたケーブ
ルを納める開口が形成されるようにし、このようにして
形成された押え板を貫通孔の両側開口縁部に耐火パテ、
耐火シール等の耐火シール材を介して気密に取付け、こ
の押え板で仕切られた貫通孔内の空間部、すなわち防火
空間内にはロックウール等の無機繊維を密に充填し、互
いに突合せられた各分割押え板の分割縁の部分やケーブ
ルが貫通する各押え板の開口部分等を耐火シール材で気
密に閉塞し、一方の防火区画で発生した火災が貫通孔周
壁とケーブルとの間の隙間やケーブルの可燃物を介して
他方の防火区画へと延焼したり漏煙するのを防止するよ
うにしたものが知られている。
[考案が解決しようとする問題点] しかしながら、このような従来の延焼防止処理では、
貫通孔内に形成された防火空間内にロックウール等の無
機繊維を密に充填するのが極めて面倒な作業である。ま
た、貫通物が電気通信設備等のケーブルであって火災が
長時間に亘ると、耐火スラブ一側方で発生した火災時の
熱がケーブル中心の熱伝導性の良い銅線を伝わって防火
空間内及び耐火スラブの他方側に伝わり、しかもこの際
に防火空間内に充填された無機繊維が保温材の役目をし
てケーブル中心の銅線はますます高温になり、耐火スラ
ブの他側方でケーブルの銅線を被覆するゴム、プラスチ
ック等の可燃物がその発火点以上に加熱されて発火し、
耐火スラブの他方側に延焼する場合がある。さらに、防
火空間内においてケーブルの可燃物が燃焼すると防火空
間内に充填された無機繊維とケーブルの銅線との間に隙
間が生じてそこから漏煙したり、防火空間内でこのケー
ブルを確保するという作用がなくなって、火災時に切断
されたケーブルが階下に摺り落ちる場合がある、等の虞
があった。
そこで、本考案者らは、このような問題を解決し得る
手段として、建物の耐火スラブに開設された貫通孔に耐
火材で防火空間を形成し、この防火空間内に吸熱性・熱
膨張性顆粒状耐火充填材を充填した建物耐火スラブの貫
通部防火構造を提案し(特願昭62−335,880号)、特に
延焼防止作業に伴う作業環境上の問題や延焼防止性能の
点で満足し得る結果を与えている。しかしながら、この
方法においても、上記従来の方法に比べれば格段に改善
されてはいるものの、依然として防火空間内に吸熱性・
熱膨張性顆粒状耐火充填材等を充填する作業が周辺を汚
す等の理由で面倒な作業になっており、この点に関する
より一層の改善が望まれるようになってきた。
従って、本考案の目的は、先に提案した本考案者らの
考案に係る建物耐火スラブの貫通部防火構造を改良し、
建物耐火スラブの貫通部に施工される延焼防止処理の作
業性を向上させることができる建物耐火スラブの貫通部
防火構造を提供することにある。
[問題点を解決するための手段] すなわち、本考案は、建物の耐火スラブに開設された
貫通孔に耐火材で防火空間を形成し、この防火空間内に
は変形自在な燃焼あるいは溶融する柔軟袋体に袋詰めさ
れた吸熱性・熱膨張性顆粒状耐火充填材をその袋詰め状
態のまま充填した建物耐火スラブの貫通部防火構造であ
る。
本考案において、耐火材で形成される防火空間は、建
物の床や壁を構成する耐火スラブに開設された貫通孔に
形成され、柔軟袋体に袋詰めされた顆粒状の耐火充填材
が充填された際にこの耐火充填材が上記貫通孔を貫通す
るケーブル等の貫通物を完全に包囲し、耐火スラブの一
方側と他方側との間を遮断できればよく、特に制限され
るものではないが、例えば、貫通孔の一方側を底壁部材
で閉塞すると共に他方側を蓋部材で閉塞してなる空間
や、上記底壁部材と蓋部材とに加えて貫通孔の周壁に沿
って配設される側壁部材が形成する箱状に囲まれた空間
である。
そして、この防火空間を形成する耐火材としては、通
常使用されている硅酸カルシウム板、ALC板、石綿スレ
ート板等の無機質成形板やその他鋼板や鋼製枠等の適当
な金属製材料等を使用できるが、軽量で耐火性能や加工
性に富むという観点から、好ましくはシリカ・アルミナ
ファイバー、シリカファイバー、アルミナファイバー等
の耐火性無機繊維を板状に成形した耐火無機繊維成形板
が使用される。また、防火空間を形成する側壁部材につ
いては、貫通孔周壁面に接して熱負荷が小さいので、鋼
板や鋼製函等の金属製材料で形成してもよく、かかる場
合には側壁部材を貫通孔の開口縁部に取付けるための取
付金具をこの金属製材料で形成された側壁部材に一体に
形成し、また、溶接等の手段で一体的に取付けたり、あ
るいは、貫通孔の周壁に予めアンカーボルト等を埋設し
ておき、このアンカーボルト等と側壁部材との間をボル
ト・ナット等の適当な固定手段で固定したり、さらに
は、貫通孔の周壁に予め鋼製函を埋め込んでおく等、本
考案の貫通部防火構造を貫通孔に取付けて固定するため
の手段として兼用することができる。さらに、この防火
空間を形成する耐火材については、例えば貫通孔が大き
すぎるような場合に形成される防火空間の大きさを調節
するために、必要に応じて上記耐火無機繊維成形板等で
形成された空間内に防火空間を残して充填される、例え
ばロックウール等の無機繊維や、耐火無機繊維成形板を
小さなブロック状に切断したもの等の耐火補助材を併用
することもできる。さらには、金属製の網体で耐火材を
構成し、この耐火材を貫通孔に埋め込んでもよい。
耐火材で形成された防火空間内に充填される吸熱性・
熱膨張性顆粒状耐火充填材(以下、本耐火充填材とい
う。)は、基本的には、本耐火充填材が充填された貫通
部防火構造の防火性能を確保するために、加熱時に多量
の熱を吸収して自らは分解及び/又は変質する吸熱性耐
火材の1種又は2種以上の混合物と、加熱時に体積膨張
して本耐火充填材同志の間隙や本耐火充填材とケーブル
との間隙等を埋めると共に本耐火充填材を一体に固結す
る熱膨張性耐火材の1種又は2種以上の混合物を主材と
し、これらを結合剤で顆粒状に造粒したものである。
本耐火充填材の構成材として使用される吸熱性耐火材
としては、例えば、硼砂、水酸化アルミニウム、水和マ
グネシウム、水和硅酸、明バン、水和硅酸カルシウム、
二水セッコウ、エトリンガイト、ベントナイト、沸石等
を挙げることができ、熱膨張性耐火材としては、例え
ば、硼砂、蛭石、含水雲母、黒曜岩、真珠岩等を挙げる
ことができる。なお、硼砂は、加熱時に多量の熱を吸収
して分解し、水蒸気を発生すると共に体積膨張をするの
で、これを本耐火充填材の主材として使用すると、吸熱
性耐火材及び熱膨張性耐火材の両者の役割を同時に果た
すものである。
また、これらの耐火材を結合するための結合剤として
は、例えば、ポリ酢酸エマルジョン、ポリエチレン−酢
酸ビニルエマルジョン、ポリビニルアルコール、ポリア
クリル酸系エマルジョン、ポリメタアクリル酸系エマル
ジョン等の合成高分子系結合剤、澱粉糊、CMC、MC、
膠、カゼイン、ゼラチン等の天然高分子系結合剤、水ガ
ラス、コロイダルシリカ等の無機質結合剤等を挙げるこ
とができる。
本耐火充填材の粒径は、通常1〜25mm、好ましくは2
〜10mmの範囲がよい。本耐火充填材の粒径が1mmより小
さいと防火構造の充填部から漏れるおそれがあり、ま
た、25mmより大きいと、充填作業が困難になり、未充填
箇所が残るという問題が生じる。
なお、上記吸熱性耐火材の1種又は2種以上の混合
物、熱膨張性耐火材の1種又は2種以上の混合物及び結
合剤を使用して顆粒状に造粒する際に、例えばベントナ
イト等の保形材を添加してもよく、さらに、例えばMC、
CMC、ポリエチレングリコール等の増粘剤を添加するこ
とにより造粒作業の作業性を向上せしめることもでき
る。
本考案においては、上記吸熱性・熱膨張性顆粒状充填
材の一定量を変形自在な燃焼あるいは溶融する柔軟袋体
に袋詰めし、この袋詰め状態のまま耐火スラブに形成し
た防火空間内に充填する。
ここで使用する変形自在な燃焼あるいは溶融する柔軟
袋体としては、特に限定されるものではないが、好まし
くは耐火スラブに形成された防火空間内に充填された際
にその防火空間の形状にほぼ一致する形状に変形するこ
とができるものである。その材質としては、例えば、ポ
リプロピレン、ポリエチレン等を挙げることができ、ま
た、その形状としては、例えば、横断面四角形、円形、
三角形、多角形等の柱状体や球状体等を挙げることがで
き、その大きさについては、例えば、4Kg詰め、1Kg詰
め、0.4Kg詰め、0.2Kg詰め等、目的用途に応じて適宜定
めることができる。耐火スラブに形成された防火空間が
複雑な形状をしている場合には、種々の大きさや形状の
柔軟袋体を使用したり、この防火空間の形状を幾つかに
分割し、その分割された形状に合わせた形状の柔軟袋体
を用意してもよい。
本考案の貫通部防火構造がケーブル貫通部の防火構造
である場合、特に好ましくは、建物の防火区画を構成す
る耐火スラブに開設された貫通孔の開口縁部に取付けら
れる複数の取付金具と、上記貫通孔を貫通するケーブル
を避けて貫通孔の一方側に取付けられ、上記取付金具で
保持される少なくとも一対の耐火無機繊維成形板製底壁
部材と、貫通孔の周壁に沿って取付けられる少なくとも
四枚の耐火無機繊維成形板製側壁部材と、ケーブルを避
けて貫通孔の他方側に取付けられ、上記底壁部材及び側
壁部材と相俟って防火空間を形成する少なくとも一対の
耐火無機繊維成形板製蓋部材と、上記防火空間内に充填
される本耐火充填材と、各底壁部材の突合わせ部分、各
蓋部材に突合わせ部分、ケーブルと上記底壁部材及び蓋
部材との間の隙間等の各隙間を埋める耐火シール材とか
らなる構造である。
この目的で使用される取付金具としては、それが耐火
性があって底壁部材を貫通孔内の所定位置に保持し得る
ものであれば、例えばいずれか一方の壁面と略々同一平
面上に位置して底壁部材を支持する係止部とその両端に
設けられて貫通孔の開口縁部に固定される固定部とを有
し略々コ字状に形成されたもの等如何なるものであって
もよいが、好ましくは貫通孔の開口縁部に固定される固
定部とその端部から貫通孔の内方に向けて突出し壁面と
略々同一平面上に位置する係止部とを備えた係止部材
と、貫通孔を貫通するケーブルを避けて上記係止部材の
係止部間に架設される支持部材とで構成され、支持部材
の長さを調整するだけで如何なる大きさの貫通孔にも適
用することができるものがよい。また、耐火シール材に
ついても、例えば耐火コーキング材、耐火パテ等の従来
公知のものを使用することができる。
本考案の建物耐火スラブの貫通部防火構造を形成する
ための手順については、特に制限されるものではない
が、例えば、先ず耐火スラブに開設された貫通孔の開口
縁部に所定数の取付金具を設置し、貫通孔内に少なくと
も一対の耐火無機繊維成形板製底壁部材を嵌込み、貫通
孔周壁に沿って少なくとも四枚の耐火無機繊維成形板製
側壁部材を嵌込んで空間を形成し、各底壁部材の突合わ
せ部分やこの底壁部材とケーブルとの間を耐火シール材
でシールし、上記空間内にはケーブルの周辺に防火空間
が形成されるように必要に応じて耐火補助材を充填し、
形成された防火空間内には本袋詰め耐火充填材を可能な
限り気密に充填し、その上から底壁部材と同様の少なく
とも一対の耐火無機繊維成形板製蓋部材で覆い、最後に
各蓋部材の突合わせ部分やこの蓋部材とケーブルとの間
の隙間を耐火シール材でシールする。
[作用] 本考案の建物耐火スラブの貫通部防火構造は、耐火ス
ラブに開設された貫通孔内に防火空間を形成し、この防
火空間内には変形自在な燃焼あるいは溶融する柔軟袋体
に袋詰めされた吸熱性・熱膨張性顆粒状耐火充填材をそ
の袋詰め状態のまま充填しているので、この防火空間内
への本耐火充填材の充填が極めて容易かつ確実である。
また、例えばケーブル貫通部の防火構造の場合その防火
空間内でケーブルをその全長に亘って本耐火充填材で密
に覆うことができ、一方の防火区画で火災が発生した場
合には、そこからの熱で柔軟袋体が燃焼あるいは溶融す
ることから、本耐火充填材を構成する吸熱性耐火材が効
率良く吸熱して冷却効果を発揮し、一方、熱膨張性耐火
材が確実に膨張してこの防火空間内にケーブルを確保す
るので、ケーブルとの間の隙間やケーブル自体を構成す
る可燃物、すなわち可燃製のケーブル被覆材の燃焼によ
って他方の防火区画に延焼したり漏煙するようなことが
ないものである。
[実施例] 以下、添付図面に示す実施例に基いて、本考案を具体
的に説明する。
第1図及び第2図において、本考案の実施例に係る建
物耐火スラブの貫通部防火構造が示されている。この防
火構造は、建物の防火区画を構成する耐火スラブ、例え
ば床スラブ7を縦方向に貫通して開設された貫通孔8の
開口縁部に取付けられる複数の取付金具1と、この貫通
孔8を貫通するケーブル9a,9bを避けて貫通孔8内に嵌
込まれ、取付金具1で保持されて貫通孔8の底壁を形成
する一対の耐火無機繊維成形板製底壁部材2a,2bと、貫
通孔8の周壁に沿って嵌込まれ、上記一対の底壁部材2
a,2bと相俟って防火空間を形成する四枚の耐火無機繊維
成形板製側壁部材3a,3bと、上記防火空間内に充填さ
れ、この防火空間の大きさを必要かつ充分な大きさに調
整する耐火補助材4と、ケーブル9a,9bを避けて防火空
間を閉塞する一対の耐火無機繊維成形板製蓋部材5a,5b
と、ケーブル9a,9b周辺に位置する上記底壁部材2a,2b及
び蓋部材5a,5bとこのケーブル9a,9bとの間の隙間を埋め
る耐火シール材6a,6bと、上記底壁部材2a,2b及び蓋部材
5a,5b並びに耐火補助材4が形成する防火空間内に充填
される顆粒状の本耐火充填材Aとで構成されている。
この実施例において、取付金具1は、第3図に示すよ
うに、床スラブ7の貫通孔8の開口縁部にビス、コンク
リート釘等の固定手段10で固定される固定部11とその下
端部から貫通孔8の内方に向けて突出し下面側の壁面と
略々同一平面上に位置する係止部12とを備えた係止部材
1aと、貫通孔8を貫通するケーブル9a,9bを避けて上記
係止部材1aの係止部12間に架設される平板状の支持部材
1bとで構成されており、この取付金具1の取付施工時に
上記支持部材1bの長さを調整して貫通孔8の大きさに適
応させるようになっている。そして、この実施例では、
係止部材1aの係止部12先端に折曲げ部12aを設けてお
き、貫通孔8の大きさに合わせて所定の長さに調整され
た支持部材1bの端部をこの折曲げ部12aで折曲げ係止す
ることにより支持部材1bを係止部材1aに連結している。
また、貫通孔8の底壁を形成する一対の底壁部材2a,2
b、貫通孔8の周壁に沿って嵌込まれる四枚の側壁部材3
a,3b及び形成された防火空間を閉塞する一対の蓋部材5
a,5bとは、そのいずれも耐火無機繊維成形板、この実施
例ではシリカ・アルミナファイバーに高分子系バインダ
ーを添加して湿式成形したセラミックファイバーボード
(新日鐵化学(株)製商品名:エスファイバーSC1260ボ
ード)で形成されており、また、上記一対の底壁部材2
a,2b及び一対の蓋部材5a,5bには、それぞれ互いに突合
わせられた際にケーブル9a,9bが貫通するための隙間が
形成されるように切欠13a,13b及び14a,14bが形成されて
いる。
さらに、貫通孔8内で一対の底壁部材2a,2b、四枚の
側壁部材3a,3b及び一対の蓋部材5a,5bを使用して形成さ
れる空間内に充填されて防火空間を調整する耐火補助材
4は、ロックウールを高分子系バインダーで成形したも
のを所定の大きさのブロック状に切断して形成したロッ
クウール成形ボード(新日鐵化学(株)製商品名:エス
ボード3150)で形成され、上記空間内には複数の層に積
重ねられている。
そして、上記各底壁部材2a,2bの突合わせ部分におけ
る隙間とこれら底壁部材2a,2bと上記ケーブル9a,9bとの
間の隙間には耐火シール材6aである耐火パテ(新日鐵化
学(株)製商品名:キャブシール)が塗着され、また、
各蓋部材5a,5bの突合わせ部分の隙間及びこれら蓋部材5
a,5bとケーブル9a,9bとの間の隙間には耐火シール材6b
である耐火パテ(新日鐵化学(株)製商品名:キャブシ
ール)が塗着され、これによって防火空間が気密にシー
ルされている。
上記防火空間内に充填される本袋詰め耐火充填材A
は、硼砂(吸熱性耐火材、熱膨張性耐火材)70重量部
と、水酸化アルミニウム(吸熱性耐火材)25重量部と、
ベントナイト(吸熱性耐火材、保形材)5重量部と、ポ
リアクリル酸系エマルジョン(結合剤)1.5重量部(固
形分として)と、0.5重量%MC(増粘剤)水溶液15重量
部とを混練し、平均粒径3.5mmの顆粒状に造粒して調製
した本耐火充填材4Kgを500mm×400mmの大きさの四角柱
状のポリエチレン又はポリプロピレン製柔軟袋体中に充
填して形成したものである。
従って、この実施例の建物耐火スラブの貫通部防火構
造を形成するためには、先ず床スラブ7に開設された貫
通孔8の開口縁部に所定数の係止部材1aを固定し、互い
に相対向する対の係止部材1aの係止部12間にはこの貫通
孔8を貫通するケーブル9a,9bや他の係止部材1aあるい
は互いに干渉しない範囲で板状の支持部材1bを架設し、
次にこの貫通孔8内に一対の底壁部材2a,2bを落し込ん
で嵌込むことにより底壁を形成し、さらに、貫通孔8周
壁に沿って四枚の側壁部材3a,3bを嵌込み、耐火接着剤
等の適当な手段により枠組みしてこの貫通孔8内に耐火
無機繊維成形板製の箱状空間を形成し、各底壁部材2a,2
bの間の隙間や各底壁部材2a,2bとケーブル9a,9bとの間
の隙間に流動性の耐火塗料からなる耐火シール材6aを充
填すると共に各底壁部材2a,2bとケーブル9a,9bとの間に
耐火パテからなる耐火シール材6aをテーパ状に盛上げて
シールし、この空間内にはケーブル9a,9bの周辺に所定
の大きさの防火空間が形成されるように耐火補助材4を
充填する。
次にこのようにして形成された防火空間内に、ケーブ
ル9a,9bを境にその片側に上下2個づつの本袋詰め耐火
充填材Aを充填し、その上から蓋部材5a,5bで覆ってこ
の蓋部材5a,5bを耐火接着剤等の適当な手段で固着し、
最後にこの各蓋部材5a,5bの間の隙間やこれら蓋部材5a,
5bとケーブル9a,9bとの間に流動性の耐火塗料からなる
耐火シール材6cを充填すると共にこのケーブル9a,9bに
沿って耐火パテからなる耐火シール材6cをテーパ状に盛
上げてシールする。
[耐火試験] (財)日本建築センターの規格に基いて、上記実施例
の試験体を製作した。このとき、耐火補助材4としてロ
ックウール成形ボード(エスボード3150)40lを使用
し、また、70lの上記袋詰め耐火充填材Aを使用した。
このようにして製作した試験体について、JIS A1304
の耐火試験法に基いて2時間耐火試験に供した結果、2
時間の加熱中及び加熱後において、試験体の裏面に何等
の異常も認められなかった。また、このときにおける裏
面側ケーブル貫通部の耐火シール材6bの温度は、300℃
を越えることがなく、区画貫通部の防火構造としての基
準を充分満足し得るものであった。
次に、第5図は上記実施例の変形例を示すもので、4
枚の側壁部材3a,3bとして高さ寸法が床スラブ7の厚さ
寸法より大きいものを使用し、これによって床スラブ7
の厚さ寸法が小さくてその厚さの範囲内では十分な延焼
防止性能と漏煙防止性能とを発揮し得る防火構造を形成
できない場合に適用されるものであり、この場合には形
成された防火空間内にケーブル9a,9bを境にその片側に
上下3個づつの本袋詰め耐火充填材Aを充填している。
そして、上記実施例及びその変形例では、防火空間を
形成するための耐火材として四枚の側壁部材3aを使用し
ているが、例えば第6図に示すように、これらの側壁部
材3aを省略して防火空間を形成することもできるほか、
さらに耐火補助材4を省略して貫通孔8の周壁と各底壁
部材2a,2b及び蓋部材5a,5bとが形成する空間を防火空間
とし、この防火空間全体に本耐火充填材Aを充填しても
よい。
また、上記防火空間内に充填される本袋詰めされた耐
火充填材についても、例えば、硼砂(吸熱性耐火材、熱
膨張性耐火材)70重量部と、蛭石(熱膨張性耐火材)30
重量部と、ポリ酢酸ビニルエマルジョン(結合剤)7重
量部(固形分として)と、水10重量部とを混練し、平均
粒径4.5mmの顆粒状に造粒したもの等、吸熱性耐火材、
熱膨張性耐火材、結合剤及びその他の添加剤の種類及び
配合割合を適宜変更して使用できる。
なお、上記各実施例及び変形例においては示していな
いが、貫通するケーブルの数やその間隔、周辺の状態そ
の他の理由で形成された防火空間の形状が複雑になる場
合には、種々の大きさ及び形状の本袋詰め耐火充填材を
用意し、これらを適宜組み合わせて使用したり、さらに
は、この防火空間を複数に分割した形状に一致させた形
状の各本袋詰め耐火充填材を用意し、防火空間内に気密
に充填するようにしてもよい。
[考案の効果] 本考案の建物耐火スラブの貫通部防火構造によれば、
耐火スラブの貫通孔に形成された防火空間内に充填され
る顆粒状の耐火充填材が予め変形自在な柔軟袋体に充填
されているので、この耐火充填材を充填する作業が極め
て容易になりその作業性が著しく向上するほか、顆粒状
の耐火充填材が四方に飛散することがなく、この作業に
伴う清掃作業等の付帯作業が容易になり、また、設計変
更ケーブルの追加工事等の際にも容易かつ簡単に工事を
行うことができる。しかも、柔軟袋体が燃焼あるいは溶
融する材質で形成され、火災時に燃焼あるいは溶融する
ので、この柔軟袋体内に袋詰めされた吸熱性耐火材と熱
膨張性耐火材とがそれぞれその機能である冷却効果と隙
間の発生を防止する効果を充分に発揮し、従来にもまし
て優れた延焼防止性能を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の実施例に係る建物耐火スラブの貫通部
防火構造を示す断面図、第2図は第1図のII−II線断面
図、第3図は貫通孔の開口縁部に取付金具を取付けた状
態を示す斜視図、第4図は貫通孔内に防火空間を形成す
るための一対の底壁部材、四枚の側壁部材及び一対の蓋
部材を示す斜視図、第5図は上記実施例の変形例を示す
第1図と同様の断面図、第6図は本考案の他の実施例を
示す第1図と同様の断面図である。 符号の説明 (A)……本袋詰め耐火充填材、(2a)(2b)……底壁
部材(耐火材)、(3a)(3b)……側壁部材(耐火
材)、(4)……耐火補助材、(5a)(5b)……蓋部
材、(7)……床スラブ(耐火スラブ)、(8)……貫
通孔。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】建物の耐火スラブに開設された貫通孔に耐
    火材で防火空間を形成し、この防火空間に吸熱性・熱膨
    張性顆粒状耐火充填材を充填する貫通部防火構造におい
    て、上記吸熱性・熱膨張性顆粒状耐火充填材を変形自在
    な燃焼あるいは溶融する柔軟袋体に袋詰めし、この袋詰
    め状態で上記防火空間内に充填したことを特徴とする建
    物耐火スラブの貫通部防火構造。
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