JP2570736B2 - 電線・ケ−ブルの貫通部構造 - Google Patents

電線・ケ−ブルの貫通部構造

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JP2570736B2 JP62107742A JP10774287A JP2570736B2 JP 2570736 B2 JP2570736 B2 JP 2570736B2 JP 62107742 A JP62107742 A JP 62107742A JP 10774287 A JP10774287 A JP 10774287A JP 2570736 B2 JP2570736 B2 JP 2570736B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電線・ケーブルの床、壁等の貫通部におけ
る延焼防止のためのシール構造に関するもので、中央操
作室、制御室、電気室等の盤内床貫通部、建家の防火区
画壁貫通部、電気室等の間仕切り壁貫通孔部の防火シー
ル、その他、垂直密閉ダクト内ケーブルの通気遮蔽防火
シール、ケーブルピット配線の壁貫通部の防火シール等
に適用でき、特に、原子力発電所の原子炉格納容器のよ
うに壁の厚さが1mもあるような壁貫通部への適用に有効
なものである。
[従来の技術] 電線・ケーブルの床、壁等の貫通部における延焼防止
のためのシール構造としては、従来から各種のものが提
案されてきているが、その代表的なものの一例を第4図
を参照して説明する。
第4図において、41はケーブル、42は床であり、床貫
通部におけるケーブル41の外周には所定長にわたって延
焼防止材43が塗布されている。44は貫通部の空隙に充填
された不燃性繊維、45は不燃性繊維34を保持するケイ酸
カルシウム板、46はケーブル41と不燃性繊維44およびケ
イ酸カルシウム板45との間の密封するための難燃性パ
テ、47はケーブルラックである。
[発明が解決しようとする問題点] 上記のような貫通部構造は、無機系の耐火材を主体に
して構成されているので、貫通部における延焼防止機能
は良好であり、不燃性繊維44の厚さを100mmとした場合
2時間の耐火試験に合格するという防火性能を有してい
る。
しかし、床、壁の厚さが大きく、その厚さの分だけ不
燃性繊維を充填する場合、あるいは耐火性能を2時間以
上にする場合等のように不燃性繊維44の厚さを増大する
場合には、ケーブルに通電したときに発生する熱のケー
ブル貫通部分における放熱が不十分となり、貫通部分の
ケーブル絶縁体が局部的な温度上昇を示し、絶縁体に許
容される温度を越えてしまうことがある。このため、ケ
ーブルの許容電流を低く抑えなければならなくなり、同
一の電流容量に対して大サイズのケーブルを採用しなけ
ればならないという経済的不利を生ずる。
貫通部のシール材料として、不燃性繊維に代えてコン
クリートあるいは液状樹脂に無機粉体を配合した常温硬
化性の難燃材料を使用することも可能である。コンクリ
ートは防火性、耐火性とも良好であるが、ケーブル貫通
部をコンクリートで固めた場合にはケーブル増設、移設
時にケーブルに損傷を与えることなくコンクリートを解
体することが不可能である。常温硬化性の難燃材料は、
火災による樹脂の熱分解、崩壊脱落等を伴い、火災とは
反対側の貫通部裏面温度の上昇の低く抑えることができ
ず、長時間の耐火試験には耐えられない。
本発明は上記した従来技術の問題点を解消するもの
で、電線・ケーブル通電時における温度上昇を低く抑え
ることができ、しかも火災時には吸熱および断熱効果が
大きいことから優れた耐火性能を発揮する電線・ケーブ
ルの貫通部構造の提供を目的とするものである。
[問題点を解決するための手段] 本発明の貫通部は、床、壁等の構造材を貫通して電線
・ケーブルが布設されており、当該貫通部における電線
・ケーブル外周の空隙には、ホウ砂を50重量%以上含有
するするホウ砂を主体とする無機粉末60〜98重量%と結
合剤40〜2重量%の範囲で配合した混合物からなる成形
体が充填されているものである。
本発明におけるホウ砂を主体とする無機粉末からなる
成形体は、例えば、ホウ砂を主体とする無機粉末を合成
樹脂エマルジョンのような有機結合剤で結合したもので
ある。
ホウ砂は、Na2B4O7・10H2Oで表わされる含水ホウ酸塩
鉱物であり、真比重1.715で、無色または白色の粉末と
して工業的に生産されており、加熱されると結晶水を徐
々に放出し、350〜400℃で無水物となり、更に約880℃
で融解してガラス状となる性質を持っている。ホウ砂は
その組成上約47%の結晶水を持っており、これが火災時
の熱により蒸発放出され、その際蒸発潜熱を周囲から奪
うことにより温度上昇を抑える効果が大きく、高温では
ガラス化するため防火材として有利に作用することにな
る。また、ホウ砂は熱伝導性に優れているため、通常時
は電線・ケーブルへの通電に伴う熱を効果的に放熱する
ため、貫通部における温度上昇を抑制できる。
本発明において、ホウ砂を主体とする無機粉末は、ホ
ウ砂単独、あるいはこれに他の無機粉末を併用したもの
をいい、ホウ砂以外の無機粉末としては、水和アルミナ
(Al2O3・3H2O)、水酸化マグネシウム、(Mg(O
H))、ボウ硝(Na2NO4・10H2O)、結晶セッコウ(Ca
SO4・2H2O)、結晶ソーダ(Na2CO3・10H2O)等の含水塩
無機粉末、天然砂、石英粉、石灰石粉、タルク、クレー
等の通常の無機粉末、蛭石、パーライト等の軽量化骨材
等があげられる。ホウ砂を主体とする無機粉末における
ホウ砂の含有割合は50重量%以上とする必要があり、こ
れを下回るようになると優れた耐火性能が発揮されにく
くなる。
上記したホウ砂を主体として無機粉末は合成樹脂エマ
ルションのような結合剤と混合し所定形状に成形され
る。ホウ砂を主体とする無機粉末と結合剤の配合割合
は、その種類、目的とする用途、性能に応じて変更可能
であり、ホウ砂を主体とする無機粉末60〜98重量%、結
合剤40〜2重量%の範囲で配合する必要がある。結合剤
の使用量が少ない場合は防火材の機械的強度が低くなる
傾向を示し、多い場合、特に有機質の接着剤を使用する
場合は発煙量が増加し、防火性能上不利となる。
[発明の実施例] 成形体Iの製造 ホウ砂80重量%、結合剤としてアクリル系合成樹脂エ
マルション(樹脂分45%)20重量%を混合し、型に流し
込み室温で7日間放置することにより厚さ50mm×幅60mm
×長さ900mmの成形体を製造した。
この防火材は、ホウ砂の嵩比重(約1.0)が小さいこ
と、およびホウ砂と結合剤の合成樹脂エマルジョンとの
混合時の空気の抱き込み、結合剤中の水分の乾燥に伴な
い、比重が0.7と小さく、また鋸で容易に切断加工でき
た。
成形体IIの製造 ホウ砂45重量%、水和アルミナ35重量%、結合剤とし
てアクリル系合成樹脂エマルション(樹脂分45%)20重
量%を混合し、型に流し込み室温で7日間放置すること
により厚さ50mm×幅600mm×長さ900mmの成形体を製造し
た。
貫通部の製造 第1図は、本発明の貫通部の一実施例の縦断面説明
図、第2図は第1図のA−A′面横断面説明図である。
1はケーブル、2は壁、3はホウ砂を主体とする成形
体、4および5は難燃性パテ、6はケイ酸カルシウム板
である。壁2の厚さを500mm、貫通部の開口面積を300×
300mmとし、ここに導体断面積100mm2のCVケーブル(長
さ4500mm)1を9本貫通させている。成形体3は前述の
製造例で示した厚さ50mmのものを用い、開口部空隙の形
状に合せて切断加工し、これを10枚積層して全体として
500mmの厚さの防火貫通部を形成した。なお、成形体3
とケーブル1および壁2との間を密着させるため、ケー
ブル1の周囲および壁2の内面に難燃性パネ(油性バイ
ンダーに無機粉体を配合)4を被着して成形体3を積層
した。また、ケーブル1とケイ酸カルシウム板6との間
の気密性を保つために難燃性パテ5を充填した。
通電試験 9本のケーブル1を直列に接続し、210Aの電流を流し
続け、中心のケーブル1aについて貫通部中央部(第1図
のB点)でのシース表面温度および貫通部外側1500mmの
位置(第1図のC点)でのシース表面温度を記録した。
成形体Iおよび成形体IIのそれぞれを充填した場合につ
いて、温度上昇が飽和した時点における外気温と測定点
における温度の差を温度上昇値として求めたところ、双
方の場合ともB点での上昇値は35℃であり、C点での上
昇値は43℃であった。
このことは、ケーブル貫通部でのケーブルシース表面
温度の上昇が気中布設部よりも低く、ケーブル貫通部で
の異常温度上昇を生じないことを示している。これは、
ケーブルシース表面の熱が難燃性パテおよびホウ砂成形
体を通し良好に放散され、その表面放散熱抵抗が気中布
設部よりも小さくなっているものと予想される。
なお、成形体に代えて不燃性繊維を使用して第1図と
同様に構成したケーブル貫通部について通電試験を行っ
たところ、貫通部中央部(B点)でのシース表面温度上
昇値は76℃となり、気中布設部よりも33℃高くなること
が観測された。
耐火試験 第1図のケーブル貫通部を第3図のように耐火試験炉
7に取付け、炉内のリボンバーナー8に点火してJISA13
04の規定に準じて2時間の耐火試験を成形体Iおよび成
形体IIのそれぞれを充填した場合について行った。
その結果、2時間後でもシール部の炎の貫通はなく、
炉外のシール端部表面(第3図のD点)での温度は35℃
で、規格値(260℃)を大幅に下回ることが確認され
た。
[発明の効果] 以上説明してきた通り、本発明に係る電線・ケーブル
の貫通部構造はホウ砂を主体とする無機粉末の成形体を
貫通部空隙に充填して構成したものであり、放熱性に優
れていることから電線・ケーブル使用時における異常温
度上昇を防止でき、火炎時には吸熱、断熱効果を示し、
優れた防火性能を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の縦断面説明図、第2図は第
1図におけるA−A′線横断面説明図、第3図は耐火試
験の説明図、第4図は従来例の説明図である。 1:ケーブル、2:壁 3:成形体、4、5:難燃性パテ 6:ケイ酸カルシウム板、7:耐火試験炉 8:リボンバーナー
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−85399(JP,A) 特開 昭59−38101(JP,A) 特開 昭51−66357(JP,A) 特開 昭58−167670(JP,A) 特開 昭62−123082(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】床、壁等の構造材を貫通して電線・ケーブ
    ルが布設されており、当該貫通部における電線・ケーブ
    ル外周の空隙には、ホウ砂を50重量%以上含有するする
    ホウ砂を主体とする無機粉末60〜98重量%と結合剤40〜
    2重量%の範囲で配合した混合物からなる成形体が充填
    されていることを特徴とする電線・ケーブルの貫通部構
    造。
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