JP2005295696A - 防火区画貫通部構造、及び防火区画貫通部の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低価格の充填材を防火区画壁の貫通孔と貫通物との隙間に配置し、施工が容易で防火性能が安定している防火区画貫通部構造を提供する。
【解決手段】 建築物等の防火区画A,Bを画成する仕切り壁1に形成された貫通孔2をケーブル5やケーブルラック6等の貫通物が貫通し、貫通孔と貫通物との隙間3に配置される充填材10,10A,10Bは、熱膨張性耐火材の小片11を、布12又はフィルム或いはシートで包んだものである。布製の袋12に詰め込んで梱包すると好ましい。熱膨張性耐火材は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、熱膨張性無機化合物、並びに無機充填剤を含有する組成物や、エポキシ樹脂、熱膨張性無機化合物、及び無機充填剤を含有する組成物から形成する。
【選択図】 図4
【解決手段】 建築物等の防火区画A,Bを画成する仕切り壁1に形成された貫通孔2をケーブル5やケーブルラック6等の貫通物が貫通し、貫通孔と貫通物との隙間3に配置される充填材10,10A,10Bは、熱膨張性耐火材の小片11を、布12又はフィルム或いはシートで包んだものである。布製の袋12に詰め込んで梱包すると好ましい。熱膨張性耐火材は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、熱膨張性無機化合物、並びに無機充填剤を含有する組成物や、エポキシ樹脂、熱膨張性無機化合物、及び無機充填剤を含有する組成物から形成する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、建築物等の防火区画を画成する防火壁等の仕切り部をケーブルや配管等が貫通する構造に係り、特に、低コストで防火性能が安定している防火区画貫通部構造、及び施工が容易な防火区画貫通部の施工方法に関する。
従来の防火区画貫通部構造で使用する防火処理用充填材としては、可燃性長尺体貫通部に詰め込むのに適当な大きさにしたセラミックファイバブランケットに、軟質熱膨張性耐火材シートを積層し、この積層体を合成樹脂布又はフィルムで包んだことを特徴としている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、前記構造の防火処理用充填材は、軟質熱膨張性耐火材シートを積層して直方体状とし、合成樹脂布やフィルムで包んだ後、接着剤で張り合わせることにより封止することができるものであるが、積層体であるために防火区画壁の貫通孔の形状に合致するように充填するには難があった。また、軟質熱膨張性耐火材シートを所定の形状に切断し、積層してから合成樹脂布やフィルムで包むため、コストが高くなるとともに、充填材の作製が煩雑となっていた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、建築物等の防火区画を画成する仕切り部として防火壁等に形成された貫通孔と、この貫通孔に挿入された貫通物との隙間に容易に充填でき、貫通孔と貫通物との隙間に配置することでコストダウンを達成し、安定した防火性能を得ることができる防火区画貫通部構造と、防火区画貫通部の施工方法を提供することにある。
前記目的を達成すべく、本発明に係る防火区画貫通部構造は、建築物等の防火区画を画成する仕切り部に形成された貫通孔をケーブルや配管等の貫通物が貫通する構造で、貫通孔と貫通物との隙間に充填材を配置し、この充填材は、熱膨張性耐火材の小片を布、フィルム、或いはシートで包んだものであることを特徴としている。本発明に係る防火区画貫通部の施工方法は、貫通孔と貫通物との隙間に、熱膨張性耐火材の小片を布、フィルム、或いはシートで包んだ充填材を配置して施工するものである。ここで、フィルムとは軟質で剛性を有さないものであり、シートとはフィルムより厚手で剛性を有するものを示している。
このように構成された防火区画貫通部構造、及び防火区画貫通部の施工方法は、熱膨張性耐火材の小片を包んだ充填材を貫通孔と貫通物との隙間に詰め込んで配置するため、充填材が容易に変形して効率良く詰め込むことができ、施工が容易となる。また、熱膨張性耐火材の端材や不良品を再利用して小片に形成できるため、低コストで充填材を作製でき、端材等を廃棄しなくてすむため環境負荷を低減できる。
また、前記の防火区画貫通部構造に使用する充填材は、建築物等の防火区画を画成する仕切り部用であり、熱膨張性耐火材の小片を布、フィルム、或いはシートで包んだものであることが好ましく、小片状の熱膨張性耐火材を布で包む場合は袋が好ましい。また、充
填材を直方体状に形成すると、矩形の貫通孔に容易に配置できて好適である。前記の充填材を仕切り部に形成された貫通孔とケーブルや配管等の貫通物との間や、貫通孔の内周面と貫通物の外周との隙間に配置する。
填材を直方体状に形成すると、矩形の貫通孔に容易に配置できて好適である。前記の充填材を仕切り部に形成された貫通孔とケーブルや配管等の貫通物との間や、貫通孔の内周面と貫通物の外周との隙間に配置する。
前記の充填材は、小片状の熱膨張性耐火材を布又はフィルム或いはシートで包んでいるため、形状の変更が容易で貫通孔と貫通物との隙間に容易に配置できる。また、小片状の熱膨張性耐火材は、例えば大判の熱膨張性耐火シートから所定のシート状やテープ状の形状に形成した後の端材や、厚み精度不足等による不良品を細かく切断して利用することができ、廃棄される端材や不良品を有効利用でき、リサイクルに貢献できる。このように形成された熱膨張性耐火材は、火災等で加熱されると膨張して耐火断熱層を形成し、貫通孔と貫通物との隙間を確実に塞いで炎や煙が進入するのを防止すると共に、熱伝導を抑えて延焼を防止する。
さらに、前記の熱膨張性耐火材は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、熱膨張性無機化合物、並びに無機充填剤を含有する組成物から形成されることが好ましく、エポキシ樹脂、熱膨張性無機化合物、及び無機充填剤を含有する組成物から形成してもよい。このように構成すると、火災時に充填材が安定した耐火断熱層を形成して貫通孔を塞ぎ、火炎を遮蔽し、煙の進入を防ぎ、裏面側の温度上昇を防止することができ、隣接する区画への延焼を防止できる。
本発明によれば、防火区画を画成する仕切り部に形成された貫通孔と、貫通物との隙間を容易な作業で埋めることができ、熟練技術を必要とせず、安定した品質で短時間に施工できる。施工後、防火区画の一方から出火し、防火区画貫通部に挿通された樹脂配管、ケーブル、断熱被覆管等が火災で熱変形を起こしたり、焼失しても、充填材の内部に包まれた熱膨張性耐火材の小片が熱膨張して耐火断熱層を形成することにより、他方の区画へ火炎や煙が進入することを防止でき、他方の区画の温度上昇を防ぐことができるので延焼を防ぐことができる。
また、熱膨張性耐火材の端材や不良品を小片化して再利用することで、従来リサイクルが困難であった熱硬化性樹脂ベースの熱膨張性耐火材のリサイクルが容易に行え、廃棄される端材や不良品のリサイクルと、廃棄コストの低減を同時に達成することができると共に、廃棄による環境負荷を低減できる。
以下、本発明に係る防火区画貫通部構造の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る防火区画貫通部構造を示す正面図と、その断面図、図2は、図1の要部斜視図、図3は、各サイズの充填材の斜視図である。
図1〜3において、防火区画A,Bを画成する仕切り部としての仕切り壁1は、軽量気泡コンクリート板(ALC板)又はモルタルで形成された防火壁であり、厚さは約100mm程度となっている。仕切り壁1には、隣接する防火区画A,Bを水平方向に貫通する貫通孔2が形成されている。貫通孔2は隣接する防火区画A,Bを連通するものであり、貫通物としてケーブルや配管等が挿入できる形状をしている。本実施形態では貫通孔2は矩形状に形成されており、貫通物として8本のケーブル5と、これらのケーブルを支持するケーブルラック6が貫通し、貫通物と貫通孔との間に防火区画A,Bを貫通する隙間3が形成されている。
貫通物であるケーブルラック6は亜鉛鉄板を折り曲げ形成した金属板材や、アルミニウム押出し材等から梯子状に形成され、左右の縦片を構成する一対の親桁材7,7と、親桁
材を所定の間隔で連結する多数の横材8,8…とを少なくとも備え、長手方向に連結されてケーブル等を載置するものである。親桁材7と横材8との連結はビス止め、溶接、嵌め合わせ等、適宜の結合構造を採用できる。このように構成されたケーブルラック6は、図示していない吊りボルト等により天井面から吊下げて支持される場合や、壁面から支持される場合がある。
材を所定の間隔で連結する多数の横材8,8…とを少なくとも備え、長手方向に連結されてケーブル等を載置するものである。親桁材7と横材8との連結はビス止め、溶接、嵌め合わせ等、適宜の結合構造を採用できる。このように構成されたケーブルラック6は、図示していない吊りボルト等により天井面から吊下げて支持される場合や、壁面から支持される場合がある。
貫通物であるケーブル5は、絶縁体として架橋ポリエチレンを使用したCVケーブルであり、公称断面積が250mm2のケーブルの場合、導体の外径が約19mmで、その外周の絶縁体の厚さが2.5mm程度、さらに外側のシース厚さが約1.8mmであり、単線の直径は30mm弱程度となっている。ケーブルとしてはCVケーブルの他に、単心ケーブルを3本束ねたCVTケーブルや、2本束ねたCVDケーブルを使用することができる。また、他の電源ケーブルや、信号ケーブル等を使用してもよい。
貫通孔2と貫通物であるケーブル5やケーブルラック6との隙間3を埋める充填材10は、熱膨張性耐火材の小片11を布又はフィルム或いはシートで包んで形成されている。布又はフィルム或いはシートの材質としては、合成樹脂、紙、金属、無機繊維等が上げられる。小片11を布で包む場合、前記材質で形成した袋12に小片状の熱膨張性耐火材を詰めると好適である。小片11の大きさは、例えば袋12から飛散しない程度の大きさが好ましく、1〜50mm程度の大きさが好適である。本実施形態では、布製の袋12の開口から熱膨張性耐火材の小片11を内部に入れ、開口を閉じて充填材10とする。開口の閉じ方は、袋12の材質に応じて接着剤、テープ又は熱融着による貼り合わせや、縫製により行う。前記の合成樹脂製の布としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等の不織布が好適である。
熱膨張性耐火材は厚さが数mm程度の板状材を切断機等で小さく切断してチップのように小片化しており、チップの形状は特に定められた形状でなく不定形となっている。チップの大きさは、例えば1辺が1〜50mm程度の四辺形等の多角形状が好ましく、5〜20mm程度がより好ましい。熱膨張性耐火材の小片11は前記のような形状であり、熱膨張性耐火材の大判のシート材料から、テープ状等の所定の形状に耐火材を形成した後の端材や、不良となったシート材料を切断してリサイクルすることができる。このため、充填材10のコストを低減することができると共に、廃棄処理が難しかった熱硬化性樹脂ベースの熱膨張性材料を有効に利用することができる。
袋12の大きさは複数種類が形成され、例えば幅150×高さ50×奥行100mmの充填材10、幅100×高さ50×奥行100mmの充填材10A、幅50×高さ50×奥行100mmの充填材10Bのような直方体の3種類が形成されている。図示の例では、奥行きは仕切り壁1の厚さ100mmにあわせ、幅を適宜に設定し、高さも一定にしているが、貫通孔2の形状に合わせて、適宜設定できる。そして、一方が開口する布で形成した袋12に、熱膨張性耐火材の小片11を詰め込み、開口部分を折り曲げて重ね合わせ、重ね合わせ部を接着して閉じている。なお、袋の開口部の閉じ方は、図3dの充填材10Cのように入口をつぼめて紐13を使用して縛るものや、テープや熱融着による貼り合わせ、縫製による閉塞等の手法を適用することができる。
熱膨張性耐火材は、加熱によって膨張して耐火断熱層を形成できるものであり、例えば50kW/m2の加熱条件下で30分程度加熱したあとの体積膨張倍率が1.1〜100倍であるものが好適に使用できる。2〜50倍程度がより好ましい。熱膨張性耐火材は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム物質、熱膨張性無機化合物、並びに無機充填剤を含有する材料、又はエポキシ樹脂、熱膨張性無機化合物、及び無機充填剤を含有する材料から形成されることが好ましい。
熱膨張性耐火材の一例としては、ブチルゴムを主成分とする樹脂に対して、リン化合物及び中和処理された熱膨張性黒鉛と、無機充填剤とを混合した樹脂組成物から形成された樹脂組成物を使用する。好ましくはブチルゴムを主成分とする樹脂分100重量部に対して、リン化合物及び中和処理された熱膨張性黒鉛の合計量を20〜200重量部、並びに無機充填剤を50〜500重量部含有する樹脂組成物から形成されている。
また、熱膨張性耐火材の他の例としては、エポキシ樹脂に対して、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、無機充填剤を混合した樹脂組成物から形成されており、好ましくはエポキシ樹脂100重量部に対して、リン化合物を50〜150重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛を15〜50重量部、及び無機充填剤を30〜500重量部含有し、前記リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機充填剤の合計量が200〜600重量部である樹脂組成物から形成されている。
前記の如く構成された本実施形態の防火区画貫通部構造の施工方法について、図4を参照して説明する。仕切り壁1に形成された貫通孔2にはケーブル5やケーブルラック6等の貫通物が挿入されている。そして、貫通孔2とケーブル5やケーブルラック6との間には隙間3があり、この隙間に袋詰めされた充填材10等を詰め込んで配置し、隙間3を塞ぐことで防火区画貫通部を施工する。貫通孔2とケーブルラック6の親桁材7,7との隙間の幅や、親桁材とケーブル5との隙間の幅に合わせて種々の形状の充填材10,10A,10Bを選択して詰め込むことで、隙間3ができるだけ塞がるように詰め込むことが好ましい。
本実施形態では、ケーブルラック6の上方と下方に、2つの充填材10と1つの充填材10Aとを配置し、ケーブルラックの側方に充填材10Aを配置し、ケーブルラック内のケーブル5の上部に3つの充填材10Aを配置し、ケーブル5の下部に3つの充填材10Bを潰した状態で配置している。このように、貫通孔2と貫通物5,6との隙間3に充填材10等を配置することで、貫通孔2の内周面と貫通物5,6の外周との間に充填材10等が対接した状態で配置される。
ケーブル5を並べると、その外周には凹凸があり、貫通孔2とケーブル5との隙間3に固形の熱膨張性耐火材を配置しても凹部に対応して充填できない空間が発生するが、本実施形態の充填材10等は熱膨張性耐火材の小片11を袋詰めしたものであり、布製の袋12と共に内部の小片11が移動して外形を容易に変形することができる。すなわち、凹部に対応して充填材10等を押し込むと、外周の袋12が変形して充填材の小片11が凹部に詰め込まれ、空隙を小さくすることができる。このように貫通物5,6と貫通孔2との空間に合わせて、充填材10を詰め込むだけの容易な操作で施工を完了することができ、短時間の施工が可能となる。また、誰でも容易に施工できる。
このようにして施工された防火区画貫通部の一方の防火区画で火災が発生すると、火災の熱で充填材10等の内部の熱膨張性耐火材の小片11が膨張し、貫通孔2の内部空間を耐火断熱層で充填するため、ケーブル5やケーブルラック6等の貫通物が焼失しても空隙を充填し、他方の防火区画への火炎や煙の進入を防止することができる。また、火災が発生した一方の防火区画から他方の防火区画への熱伝導を抑制するため、延焼を防ぐことができる。
また、充填材10,10A,10Bは、布製の袋12に開口から熱膨張性耐火材の小片11を入れて、開口を閉じるだけで作製でき、極めて容易に作製することができる。熱膨張性耐火材の小片11を包むとき、予め布やフィルムを袋状にしておくと充填材の作製が容易となる。各種の大きさの袋を用意し、現場で開口孔と貫通物との隙間に合わせて熱膨張性耐火材の小片11を適量詰め込んで充填材10の大きさを設定すると、施工をより簡
略化することができる。
略化することができる。
充填材の他の例を図5に基づき詳細に説明する。図5は充填材の他の例を示す斜視図で、(a)は包んだ状態、(b)は包む前の状態を示している。なお、この充填材15は前記した充填材10,10A,10B,10Cに対し、熱膨張性耐火材の小片を、平坦な布やフィルム等で包んで形成したことを特徴とする。すなわち、布やフィルム等を予め袋状にせず、熱膨張性耐火材の小片を布やフィルム等で直接包んで充填材とすることを特徴としている。そして、他の実質的に同等の構成については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
この例の充填材15は、小片11状の熱膨張性耐火材をフィルム16で包んで形成するものであり、例えば四辺形のフィルムの中央部に小片11を載置し、フィルムの4つの直角部を内側に折線16aに沿って折り曲げて重ね合わせ、重ね合わせ部分を接着や溶着で固定することにより、小片11が外部にこぼれないようにしてある。フィルムとしては合成樹脂製のフィルムを使用しており、合成樹脂としてはナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等、適宜のプラスチック材を使用することができる。熱膨張性耐火材の小片11を包んで梱包する合成樹脂製のフィルム16は剛性がなく軟質で、その厚さは0.01〜0.2mm程度が好ましい。
図5に示すフィルムの代わりに、厚さが0.1〜1mm程度の剛性を有する合成樹脂製シート17に折線17aを形成し、この折線に沿ってシートを折り曲げて直方体の上方の一面が開口する箱状に形成し、開口部から小片状の熱膨張性耐火材を箱内に入れて、開口を塞ぐように構成してもよい。開口を塞ぐには、上部の蓋片を直角に折り曲げ、重ね合せて接着剤や粘着剤で閉じるように構成してもよい。この充填材の例においては、熱膨張性耐火材の小片11を包む際、予め袋状としないで、平坦なフィルム16やシート17のままで小片11を包んで所定形状の充填材とするため、前加工が不要で任意のサイズの充填材を容易に作製することができる。
充填材の他の例としては、図示していないが、布、フィルム、シート等を円筒状に丸めて筒状体を形成し、この筒状体の一端開口を塞いでおき、他端の開口から熱膨張性耐火材の小片を挿入し、この開口を塞いで円筒状の充填材とすることもできる。この場合の筒状体の形成、開口の閉塞等を含む小片11の梱包も、接着や粘着、熱融着、縫製等で行うことができる。また、フィルムを折り畳んで溶着し、一方が開口する袋状に形成し、開口から熱膨張性耐火材の小片を袋内に入れ開口を溶着等により閉じるようにしてもよい。
以下、熱膨張性耐火材の小片11及びこの小片を包んだ充填材10の好ましい例と、仕切り壁への装着例を実施例として説明する。
ビスフェノールF型エポキシモノマー(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート807」)60重量部、ジアミン系硬化剤(ジャパンエポキシレジン社製「エピキュアFL052」)40重量部、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製「EXOLIT AP422」100重量部、中和処理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製「GREP−EG」)30重量部、水酸化アルミニウム(昭和電工社製「ハイジライトH−31」)50重量部、及び、炭酸カルシウム(備北粉化工業社製「BF300」)100重量部を混錬ロールで混練して、樹脂組成物を得た。
次いで、この樹脂組成物をプレス型に投入して100℃で10分間加熱して硬化させ、1mm厚のシート状成形体を作製した。このシート状成形体を粉砕機(株、オリエント製、VM−32、φ20メッシュパス)にて粉砕し、熱膨張性耐火材の小片11を得た。こ
の小片を以下に示す各サイズのナイロン不織布製の袋12に詰め込み、大サイズ150×50×100mm、中サイズ100×50×100mm、小サイズ50×50×100mmの3種類の直方体状の充填材10,10A,10Bを作製した。
の小片を以下に示す各サイズのナイロン不織布製の袋12に詰め込み、大サイズ150×50×100mm、中サイズ100×50×100mm、小サイズ50×50×100mmの3種類の直方体状の充填材10,10A,10Bを作製した。
予め、幅400×高さ200mmの開口を設けたコンクリート壁(厚さ100mm)試験体に幅300×高さ100mmのケーブルラック6を設置し、8本のCVケーブル5(外径約30mm)をケーブルラックに配線し固定した。隙間3内に充填材を充填したが、充填材は柔軟性があるため種々の大きさを組み合わせることにより空隙無く充填することができた。大サイズの充填材10をケーブルラックの上方、下方に3つずつ配置し、ケーブルラック内に中サイズの充填材10Aを3つ水平に並べ、ケーブルラックの側方に中サイズの充填材10Aを垂直に配置した。さらに、小サイズの充填材10Bを空間に合わせて潰した状態で3つ詰め込んで配置した。
ISO834の加熱条件に従い、加熱炉を使用して1時間耐火試験を実施したところ、裏面への火炎の噴出は確認されず、耐火試験に合格した。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、貫通物としてケーブルの例を示したが、給水配管や排水管、冷媒管等の配管でもよい。ケーブルとしては、電力用の高圧ケーブルや100Vの電源ケーブルの他に、通信用の光ケーブル、低圧配線等の場合でも同様に施工することができる。実施例としてエポキシ樹脂を主成分とする例について述べたが、ブチルゴム等のゴム物質や熱可塑性樹脂を主成分とする例についても同様の効果を奏するものである。
前記の実施形態では、ケーブルラックは金属板材から構成されたものであるが、ケーブルラックの下方にケイ酸カルシウム板等の防火用板を固定したものでもよい。このように構成すると、ケーブルラック自体が不燃仕様となり、貫通孔部分で金属板材の熱変形等を防止して火炎等の貫通をより強力に防止することができる。充填材の形状は直方体状のものを示したが、円柱状や多角柱状等、適宜の形状とすることができるのは勿論である。仕切り部としてALC板やコンクリート壁の防火壁の例を示したが、石膏ボード等をスタッドに固定した中空の防火壁等、適宜の仕切り壁でもよい。
本発明の活用例として、防火区画を画成する仕切り部として、折板鋼板で形成されたデッキ床板上にコンクリートを打設して形成したスラブ床にも適用することができる。この場合は、スラブ床に上下方向に貫通孔を貫通させることによってケーブルや配管等の貫通物を垂直方向に貫通させ、貫通孔と貫通物との隙間に本発明の充填材を配置し、隙間を充填する。
1:仕切り壁(仕切り部)、2:貫通孔、3:隙間、5:ケーブル(貫通物)、6:ケーブルラック(貫通物)、10,10A,10B,10C,15:充填材、11:熱膨張性耐火材の小片、12:袋(布)、16:フィルム、16a:折線、17:合成樹脂製シート、17a:折線、A,B:防火区画
Claims (2)
- 建築物等の防火区画を画成する仕切り部に形成された貫通孔をケーブルや配管等の貫通物が貫通する構造であって、
前記貫通孔と前記貫通物との隙間に充填材を配置し、該充填材は、熱膨張性耐火材の小片を布、フィルム、或いはシートで包んだものであることを特徴とする防火区画貫通部構造。 - 建築物等の防火区画を画成する仕切り部に形成された貫通孔にケーブルや配管等の貫通物を貫通させる施工方法であって、
前記貫通孔と前記貫通物との隙間に、熱膨張性耐火材の小片を布、フィルム、或いはシートで包んだ充填材を配置することを特徴とする防火区画貫通部の施工方法。
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