JP2014007892A - 貫通部の耐火構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建築物の防火区画壁Wに設けられた貫通部の耐火構造は、貫通孔Waに電線管Pが挿通され、貫通孔Waの内周面と電線管Pの外周面との間に、熱膨張性耐火具11が設けられてなるものである。この貫通部の耐火構造において、熱膨張性耐火具11は、電線管Pの外周面に対し間隙Kaを空けて取り囲むように配置されて防火区画壁Wに固定されている。間隙Kaには、熱膨張性耐火具11に対する電線管Pの軸方向への移動を許容しつつ間隙Kaを閉塞する充填材21が設けられている。
【選択図】図6
Description
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の貫通部の耐火構造において、前記配線・配管材の外面には、該配線・配管材の移動を許容する装着部材が装着されていることを要旨とする。
まず、防火区画体としての防火区画壁Wについて説明する。
図2に示すように、熱膨張性耐火具11は、熱膨張性材料としての熱膨張性ゴムによって円筒状に形成されている。熱膨張性耐火具11は、有底円筒状をなす耐火具本体12と、この耐火具本体12の軸方向一端に形成されたフランジ部13とから形成されている。
図1に示すように、防火区画壁Wには熱膨張性耐火具11が固定されている。具体的には、防火区画壁Wの貫通孔Waには、熱膨張性耐火具11の耐火具本体12が挿入されるとともに、貫通孔Waの開口縁部にフランジ部13が当接した状態で係止している。そして、フランジ部13と防火区画壁Wの開口縁部とは、粘着テープ又は接着剤によって固着され、熱膨張性耐火具11は防火区画壁Wに対して移動不能に固定されている。なお、熱膨張性耐火具11の防火区画壁Wへの設置は、フランジ部13の表面から防火区画壁Wの表面にかけて難燃性のパテを塗り、このパテ内にフランジ部13を埋め込んで熱膨張性耐火具11を防火区画壁Wに固定することで行ってもよい。
さて、貫通部の耐火構造において、電線管Pは熱膨張性耐火具11及び充填材21に固着されていない。このため、図6の矢印Yに示すように、電線管Pは熱膨張性耐火具11に対し相対移動可能に支持されている。このため、電線管Pに対しその軸方向へ移動させる力が加わると、電線管Pは充填材21及び舌片16cに対し摺接しながら軸方向へ移動する。このとき、熱膨張性耐火具11は熱膨張性ゴムによって形成されるとともに、電線管Pは合成樹脂によって形成され、熱膨張性耐火具11と電線管Pとを比べると、熱膨張性耐火具11の方が摩擦係数が大きくなっている。このため、電線管Pが軸方向へ移動しても充填材21は熱膨張性耐火具11の内周面に対しては移動しにくくなっている。したがって、熱膨張性耐火具11は防火区画壁Wに固定されているため、電線管Pは軸方向へ移動しながらも充填材21及び熱膨張性耐火具11は貫通孔Wa内に位置したままとなる。その結果、充填材21及び熱膨張性耐火具11が貫通孔Waから外れてしまうことが防止される。すなわち、電線管Pが移動しても耐火構造は防火区画壁Wに設置された状態が維持される。
まず、図4(a)に示すように、貫通孔Wa内に電線管Pを挿通し、防火区画壁Wに電線管Pを貫通させる。次に、図4(b)に示すように、熱膨張性耐火具11におけるスリット14から熱膨張性耐火具11を拡開させ、充填空間Kを耐火具本体12の軸方向全体に亘って開口させる。そして、図4(c)の2点鎖線に示すように、スリット14内に電線管Pを収容するとともに耐火具本体12を閉じる。すると、電線管Pの外面側に熱膨張性耐火具11が装着される。
(1)貫通部の耐火構造において、熱膨張性耐火具11の内周面と電線管Pの外周面との間隙Kaに充填材21を充填しつつも、熱膨張性耐火具11に対し電線管Pを軸方向(防火区画壁Wの厚み方向)へ移動可能にした。このため、電線管Pに軸方向へ移動させる力が加わっても電線管Pだけが貫通孔Wa内で移動し、熱膨張性耐火具11を貫通孔Wa内に設置した状態に維持することができる。したがって、電線管Pが移動した後に火災等が発生しても貫通孔Waが煙の経路になることを防止することができる。さらに、火災等の熱により熱膨張性耐火具11が膨張して貫通孔Waを速やかに閉鎖することができる。
○ 実施形態では、閉塞部材として発泡材料製(スポンジ製)の充填材21を用いたが、閉塞部材を変更してもよい。
○ 実施形態において、貫通孔Waの両開口側に熱膨張性耐火具11を装着してもよい。
○ 実施形態において、充填材21を耐火具本体12の内周面に接着剤で接着したり、フランジ部13に粘着テープ等で接合してもよい。
○ 実施形態では、耐火具本体12を熱膨張性ゴムより形成するとともに、耐火具本体12の外径を貫通孔Waの直径より僅かに大きくしたが、耐火具本体12の外径は貫通孔Waの直径より僅かに小さく形成されていてもよい。この場合、耐火具本体12は、フランジ部13を貫通したビスやボルト等で防火区画壁Wに固定されていてもよいし、フランジ部13に接合した粘着テープを防火区画壁Wに接合して防火区画壁Wに固定されていてもよい。
(イ)前記装着部材は紙製である請求項4又は請求項5に記載の貫通部の耐火構造。
Claims (5)
- 建築物の防火区画体を厚み方向に貫通して形成された貫通部に配線・配管材が挿通され、該貫通部の内面と前記配線・配管材の外面との間に、熱により膨張する熱膨張性耐火具が設けられてなる貫通部の耐火構造であって、
前記熱膨張性耐火具は、前記配線・配管材の外面に対し間隙を空けて該外面を取り囲むように配置されて前記防火区画体に固定されており、
前記間隙には、前記熱膨張性耐火具に対する前記配線・配管材の軸方向への移動を許容しつつ前記間隙を閉塞する閉塞部材が設けられている貫通部の耐火構造。 - 前記閉塞部材は、前記配線・配管材に対して接着性を持たない材料で形成された充填材である請求項1に記載の貫通部の耐火構造。
- 前記充填材は発泡性材料である請求項2に記載の貫通部の耐火構造。
- 前記配線・配管材の外面には、該配線・配管材の移動を許容する装着部材が装着されている請求項1に記載の貫通部の耐火構造。
- 前記閉塞部材は、前記装着部材と、該装着部材の外面と前記熱膨張性耐火具の内面との間に充填される充填材と、からなる請求項4に記載の貫通部の耐火構造。
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