JP2007270351A - アルミニウム箔 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】100質量%中に、93質量%以上のAlと、2〜5質量%のMgと、0.2〜1.0質量%のCrと、0.01〜3.0質量%のMnと、0.005〜0.6質量%のTiと、0.005質量%以下のCuと、0.1質量%以下のSiと、0.2質量%以下のFeとを含有し、電気比抵抗値が5〜10μΩcmであるアルミニウム合金からアルミニウム箔を形成し、このアルミニウム箔をプレス成形して、底壁11と周壁12とフランジ13とを有するアルミニウム箔成形容器10を得る。
【選択図】図1
Description
従来は、これらの食品包装体を、ガスコンロ等にかけることにより、直火で加熱調理するのが一般的であったが、近年は、火災に対する安全性などから電磁調理器が急速に普及してきており、電磁調理器による加熱調理が可能な食品包装体が要請されている。
電磁調理器に内蔵されたコイルに交流電流を流し、その上に金属製の容器を置くと、磁力線の変化により電磁誘導が起こり、磁力線の変化を妨げる向きに容器の底面に渦電流が発生する。
この渦電流が容器に流れると、容器の素材である金属の持つ電気抵抗によってジュール熱が発生し、容器に収納された食品が加熱されるという仕組みである。
電気抵抗値を上げる最も簡単な方法はアルミニウム箔の厚みを薄くすることであるが、あまりに薄くすると、アルミニウム箔成形容器の強度が低下し、食品を保持できなかったり変形したりするおそれがある。
電気抵抗値を上げる他の方法として、不純物の添加があるが、容器に収納された食品は塩分を含んでいることが多く、不純物の添加によりアルミニウム箔成形容器の耐食性が劣ると、容器が変色したり腐食孔から内容物が洩れたりするおそれがある。
このように、箔の厚みを薄くしたり、不純物の添加量を増やしたりするにも限界がある。
例えば特許文献1には、2枚以上のアルミニウム箔を積層してその外面に断熱層を設けたアルミニウム箔成形容器が開示されている。
また、特許文献2には、鉄箔とアルミニウム箔を重ね合せて成形した容器が開示されている。
特許文献3には、少なくとも底面を平面状に形成すると共に、その厚さを12μm〜96μmに形成したアルミニウム箔成形容器が開示されている。
特許文献4には、0.15〜0.35重量%のSiと、2.2〜2.8重量%のMgと、0.10〜0.35重量%のCrと、合計で1.5重量%以下の微量元素と、100重量%中残部がAlよりなるアルミニウム箔成形容器が開示されている。
また、0.15〜0.35重量%のSiと、1.0〜1.8重量%のMnと、0.8〜1.8重量%のMgと、合計で1.5重量%以下の微量元素と、100重量%中残部がAlよりなるアルミニウム箔成形容器とが開示されている。
特許文献5には、少なくとも底壁が2枚以上のアルミニウム箔を積層してなり、かつ積層された箔同士は一部で互いに接触しているアルミニウム箔成形容器が開示されている。
特許文献6には、0.1〜2.0質量%のMgと、0.03〜0.5質量%のCrを含有し、100質量%中残部がAlおよび不可避不純物からなるAl合金芯材の片面または両面に、0.01〜0.05質量%のCrと、0.05〜0.5質量%のTiを含有し、100質量%中残部がAlおよび不可避不純物からなる皮材を被覆した複合アルミニウム箔からなる成形容器が開示されている。
また、特許文献2に記載の容器は、製造工程が複雑になるうえ重量が大きくなる問題がある。
特許文献3および4に記載の容器は、一部の電磁調理器に必要な抵抗値に足りず、電磁調理器が作動しない問題がある。
特許文献5に記載の容器は、容器底壁の積層されたアルミニウム箔の接触面積が異なれば抵抗値も異なってくるため、例えば、内容物充填時に底面が変形して接触面積が増せば必要な抵抗値が得られなくなる。
特許文献6に記載の容器は、芯材と皮材の組成が異なれば加工性も異なるため、合わせ箔として得られる容器の形状が限定的となり、意匠性に富んだ容器を求める市場の要求に応えることができず、また、工数もかさむため使い捨てのアルミニウム箔容器としては高価なものとなる問題がある。
具体的には、この発明にかかるアルミニウム合金を、100質量%中に、93質量%以上のAlと、2〜5質量%のMgと、0.2〜1.0質量%のCrと、0.01〜3.0質量%のMnと、0.005〜0.6質量%のTiと、0.005質量%以下のCuと、0.1質量%以下のSiと、0.2質量%以下のFeとを含有し、電気比抵抗値が5〜10μΩcmであるものとした。
そして、発明にかかるアルミニウム箔はこのアルミニウム合金から形成し、発明にかかる少なくとも底壁と、底壁から立ち上がる周壁とを有するアルミニウム箔成形容器をこのアルミニウム箔から形成し、発明にかかる食品包装体を、このアルミニウム箔成形容器に食品を収納して形成した。
ここで、このアルミニウム箔の厚みは、50〜200μmとするのが好ましい。
図示のように、底壁11には多数のエンボスが形成され、周壁12には多数の縦リブが形成され、フランジ13の外周には縁巻きが設けられている。
ここで底壁11の投影面積は、約70〜255cm2 が好ましい。70cm2 未満では電磁調理器による加熱ができず(温度が上がらない)、255cm2 を越えると容器としての強度が不充分となるからである。
なお、この容器10は、主として電磁調理器による食品の加熱調理に用いるものであるが、ガスコンロ等の直火による加熱調理に用いることも可能である。
また、冷間圧延の途中または最後に、150〜450℃で焼鈍をしても良い。
ここで、アルミニウム箔の厚みは限定的ではないが、50〜200μmとすることが好ましい。
50μm未満ではアルミニウム箔成形容器10の強度が低下し、食品を保持できなかったり変形したりするおそれがあり、200μmを超えると成形容器への加工が困難になるおそれがあるからである。
以下に、各組成物、電気比抵抗値の順に詳述する。
また、Cr、Mnおよび/またはTiと共存することにより、電気比抵抗をさらに増大させる効果をもつ。
含有率は、Mgが2質量%未満であると、電磁調理用の成形容器10として必要な電気比抵抗値が得られず、また、5質量%を超えると強度が大きくなりすぎて容器10の成型が困難になるおそれがあることから定められている。
さらに好ましいMgの含有率は3〜4質量%である。
また、Mgと共存することにより、電気比抵抗をさらに増大させる効果をもつ。
含有率は、Crが0.2質量%未満であると、電磁調理用の成形容器10として必要な電気比抵抗値が得られず、また、3.0質量%を超えると強度が大きくなりすぎて容器10の成型が困難になるおそれがあることから定められている。
さらに好ましいCrの含有率は0.2〜0.7質量%である。
また、Mgと共存することにより、電気比抵抗をさらに増大させる効果をもつ。
含有率は、Mnが0.01質量%未満であると、電磁調理用の成形容器10として必要な電気比抵抗値が得られず、また、3.0質量%を超えると強度が大きくなりすぎて容器10の成型が困難になるおそれがあることから定められている。
さらに好ましいMnの含有率は0.1〜1.0質量%であり、0.1〜0.3質量%であるとなお一層好ましい。
また、Mgと共存することにより、電気比抵抗をさらに増大させる効果をもつ。
含有率は、Tiが0.005質量%未満であると、電磁調理用の成形容器10として必要な電気比抵抗値が得られず、また、0.6質量%を超えると強度が大きくなりすぎて容器10の成型が困難になるおそれがあることから定められている。
さらに好ましいTiの含有率は0.08〜0.25質量%である。
含有率は、Cuが0.005質量%を超えると、成形容器10に収納する食品によってはアルミニウム箔が変色したり腐食孔が形成されたりするおそれがあることから定められている。
ここで、Cu含有率の下限は特に限定されないが、一般に0.0005質量%程度である。さらに好ましいCuの含有率は0.003質量%以下である。
含有率は、Siが0.1質量%を超えると、成形容器10に収納する食品によってはアルミニウム箔が変色したり腐食孔が形成されたりするおそれがあることから定められている。
Si含有率の下限は特に限定されないが、一般に0.06質量%程度である。さらに好ましいSiの含有率は0.01質量%以下である。
含有率は、Feが0.2質量%を超えると、成形容器10に収納する食品によってはアルミニウム箔が変色したり腐食孔が形成されたりするおそれがあることから定められている。
Fe含有率の下限は特に限定されないが、一般に0.001質量%程度である。さらに好ましいFeの含有率は0.08質量%以下である。
Alの含有率は、上記各元素の含有率が上記範囲内であっても、Alが93質量%未満であると、成形容器10に収納する食品によってはアルミニウム箔が変色したり腐食孔が形成されたりするおそれがあることから定められている。
ここで、一般にアルミニウムの製錬、精製、溶製過程でFe、Si、Cu、Ti、V、Ga等の元素が不純物元素として混入するが、種々の品質(品位)のアルミニウムを組み合わせ配合することによってそれらの元素の含有量を調整できる。
この発明におけるアルミニウム合金は、このように不純物元素を調整した後に、有意元素としてある種の元素を添加配合することにより製造される。
なお、93質量%以上のAlとは、化学分析またはグロー放電質量分析法によってMg、Cr、Mn、Fe、Si、Cu、Ti、V、Gaおよび任意の添加元素(ただし、O、N、Cは除く)を定量的に分析し、それらの合計値を100から引いた差として定義する。
ここでO、N、Cを除いたのは、これらの元素が分析試料の作製工程で取り込まれ易いため、分析結果の信頼性が低いからである。
この電気比抵抗値の範囲は、5μΩcm未満であると、電磁調理器の使用に必要な抵抗値を得るためにアルミニウム箔の厚みを薄くしなければならず、成形容器10の強度が低下し、内容物を保持できなかったり変形したりするおそれがあり、10μΩcmを超えると、耐食性が著しく低下したり、成形容器への加工が困難になったりするおそれがあることから定められている。
表1に、実施例および比較例にかかるアルミニウム箔の組成を示す。
なお、箔の組成分析はICP発光分光分析装置を用いて行った。
また、比較例1は3004系アルミニウム箔相当材、比較例2は5052系アルミニウム箔相当材である。
また、表中下線が付されている数値は、発明にかかるアルミニウム箔の組成の範囲外であることを示す。
まず、電気比抵抗は、温度293Kにおいて直流四端子法で測定した。
つぎに耐食性は、10cm×17cmのプラスチック製バットに醤油500mlを入れ、3cm×6cmの試料を浸積し20℃で10日間保持した後、表面の腐食状態を目視で観察することにより評価した。
表中○は変色が認められないことを、×は腐食孔が認められることを示す。
表中○は比較例1と同等以上のエリクセン値であることを、×は比較例1より小さいエリクセン値であることを示す。
また、表中下線が付されている数値は、発明にかかるアルミニウム箔の電気比抵抗の範囲外であることを示す。
さらに、成形性2は、30cm×30cmの試料各100枚を、図1および図2に示す形状にプレス成形し、各成形容器の外観を目視観察することにより評価した。
表中○は底壁および底壁から立ち上る周壁に割れが認められる成形容器が全くないことを、×は割れが認められる成形容器が一つ以上あることを示す。
成形性3は、成形性2で割れが全くなかった試料各100個を、成形容器をその底壁の外側から100W白熱球で照らし、ピンホールの総数を計数することにより評価した。
11 底壁
12 周壁
13 フランジ
Claims (5)
- 100質量%中に、93質量%以上のAlと、2〜5質量%のMgと、0.2〜1.0質量%のCrと、0.01〜3.0質量%のMnと、0.005〜0.6質量%のTiと、0.005質量%以下のCuと、0.1質量%以下のSiと、0.2質量%以下のFeとを含有し、電気比抵抗値が5〜10μΩcmであるアルミニウム合金。
- 請求項1に記載のアルミニウム合金からなるアルミニウム箔。
- 厚みが50〜200μmである請求項2に記載のアルミニウム箔。
- 請求項2または3に記載のアルミニウム箔からなり、少なくとも底壁と、底壁から立ち上がる周壁とを有するアルミニウム箔成形容器。
- 請求項4に記載のアルミニウム箔成形容器に食品を収納してなる食品包装体。
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