JP2002019834A - しわ付き箔容器 - Google Patents

しわ付き箔容器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 腐食性の強い塩分を含んだ流動食品や薄肉
食品の液汁に対しても長期に亘ってすき間腐食の発生が
抑えられるしわ付き箔容器を提供する。 【解決手段】 Mg:0.5〜2.0%、Cr:0.
03〜0.5%を含有し、さらに所望により、Mn:
1.5%以下、Cu:0.05〜0.20%、Si:
0.05〜0.3%、Fe:0.26〜0.60%の1
種又は2種以上を含有するAl合金芯材の片面又は両面
に、純Al皮材又はCr:0.01〜0.05%を含有
し、所望によりMg:0.1〜1.5%、Cu:0.0
1〜0.25%、Si:0.01〜0.3%、Fe:
0.01〜0.60%、Zn:0.1〜1.5%を含有
するAl合金皮材を被覆した複合箔でしわ付き箔容器を
構成する。 【効果】 十分な強度を確保した上で優れた耐すき間
腐食性が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐すき間腐食性に
優れ、特に食品の収容に適したしわ付き箔容器に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウム箔容器の中には側壁
にしわの付いたしわ付き容器がある。このしわ付き容器
は、形成されるしわによって強度を確保するため容器強
度が優れており、流動性食品や薄肉食品を入れる冷凍容
器として広く使用されている。そして、この容器に使用
される容器用材料としては、容器の強度を確保するため
に、Mnを含むAl合金が使用されている。しかし、し
わ付き容器に液汁を含む流動食品や薄肉食品を入れて冷
凍すると、塩分を含んだ流動食品や薄肉食品の液汁が、
しわのすき間に入り込んだ状態で長期間保存されるた
め、そのすき間に腐食が発生し(以下、これを「すき間
腐食」という)、冷凍食品を加熱または解凍した時に、
上記すき間腐食により発生した腐食穴より食品の液汁が
洩れることがある。
【0003】これらの問題を解決するため、特開平8−
308740号公報に示されるように、芯材に、Mn:
0.3〜1.5%のAl−Mn系合金や、Mn:0.3
〜1.5%、Mg:0.1〜1.3%のAl−Mn−M
g系合金、もしくはMn:0.3〜1.5%、Mg:
0.1〜1.3%、Cu:0.05〜0.25%のAl
−Mn−Mg−Cu系合金を用い、この芯材の両面に純
Alを皮材として被覆した複合アルミニウム箔でしわ付
き箔容器を構成することが提案されており、また、これ
らの皮材にはZn:0.1〜1.3%、Mg:0.1〜
1.5%の内の1種または2種を含有してもよいとされ
ている。さらに前記特許を改良した特開平10−262
836号公報で開示されるように、芯材に、Mn:0.
3〜1.5%、Mg:0.1〜1.3%、Cu:0.0
5〜0.25%、Si:0.1〜0.3%、Fe:0.
26〜0.60%を含有したAl合金を用い、この芯材
の両面にCu:0.01〜0.09%、Si:0.01
〜0.09%、Fe:0.01〜0.25%と、所望に
よりMg:0.1〜1.5%を含んだAl合金を被覆し
た複合アルミニウム箔で構成したしわ付き箔容器が提案
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記で提案さ
れたしわ付き箔容器用の材料においても、前述したすき
間腐食を十分に防止することは難しく、依然としてすき
間腐食の問題を有している。本発明は、上記事情を背景
としてなされたものであり、すき間腐食の発生を効果的
に防止することができるしわ付き箔容器を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のしわ付き箔容器のうち第1の発明は、質量
%で、Cr:0.03〜0.5%、Mg:0.5〜2.
0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる
Al合金芯材の片面または両面に、Alおよび不可避不
純物からなる皮材を被覆した複合アルミニウム箔で構成
されていることを特徴とする。
【0006】第2の発明のしわ付き箔容器は、質量%
で、Cr:0.03〜0.5%、Mg:0.5〜2.0
%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるA
l合金芯材の片面または両面に、Cr:0.01〜0.
05%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からな
る皮材を被覆した複合アルミニウム箔で構成されている
ことを特徴とする。
【0007】第3の発明のしわ付き箔容器は、第1また
は第2の発明において、Al合金芯材の成分として、さ
らに、質量%で、Mn:1.5%以下を含有することを
特徴とする。
【0008】第4の発明のしわ付き箔容器は、第1〜第
3の発明のいずれかにおいて、Al合金芯材の成分とし
て、さらに、質量%で、Cu:0.05〜0.20%を
含有することを特徴とする。
【0009】第5の発明のしわ付き箔容器は、第1〜第
4の発明のいずれかにおいて、Al合金芯材の成分とし
て、さらに、質量%で、Si:0.05〜0.3%、F
e:0.26〜0.60%の1種または2種を含有する
ことを特徴とする。
【0010】第6の発明のしわ付き箔容器は、第1〜第
5の発明のいずれかにおいて、皮材の成分として、さら
に、質量%で、Mg:0.1〜1.5%を含有すること
を特徴とする。
【0011】第7の発明のしわ付き箔容器は、第1〜第
6の発明のいずれかにおいて、皮材の成分として、さら
に、質量%で、Cu:0.01〜0.25%を含有する
ことを特徴とする。
【0012】第8の発明のしわ付き箔容器は、第1〜第
7の発明のいずれかにおいて、皮材の成分として、さら
に、質量%で、Si:0.01〜0.3%およびFe:
0.01〜0.60%の1種または2種を含有すること
を特徴とする。
【0013】第9の発明のしわ付き箔容器は、第1〜第
8の発明のいずれかにおいて、皮材の成分として、さら
に、質量%で、Zn:0.1〜1.5%を含有すること
を特徴とする。
【0014】以下に本発明のしわ付き箔容器において、
規定された成分について説明する。なお、以降の説明に
おける成分の含有量はいずれも質量%で示されている。 (芯材) Mg:0.5〜2.0%、 Mgは、材料の強度を高める元素であり、容器としての
強度を確保するため、必須成分として0.5%以上の含
有が必要であり、0.5%未満では上記の作用を十分に
得ることができない。一方、2.0%を越えて含有する
と、クラッド性および加工性、耐すき間腐食性が低下す
るので、Mgの含有量を0.5〜2.0%の範囲に定め
る。なお、同様の理由で、下限を0.8%、上限を1.
5%とするのが望ましい。
【0015】Cr:0.03〜0.5% Crは、Al合金の電位を貴にする作用があることに加
え拡散速度が小さく、薄肉材を熱処理しても芯材から犠
牲材への拡散がほとんど生じないため安定して芯材と皮
材の電位差を維持でき、耐すき間腐食性を含む耐食性を
向上させるので、必須成分として含有させる。このCr
の含有量が0.03%未満であると、これら作用を十分
に得ることができず、一方、0.5%を越えると耐すき
間腐食性が劣化するので、Cr含有量を0.03〜0.
5%の範囲に定める。なお、同様の理由で下限を0.1
%、上限を0.3%とするのが望ましい。
【0016】Mn:1.5%以下 Mnは、芯材の強度を高める作用があり、所望により含
有させる。ただし、1.5%を越えて含有させると、加
工性および耐すき間腐食性が低下するので、上限を1.
5%とする。なお、上記作用を確実に得るためには、
0.8%以上含有させるのが望ましく、また、上記と同
様の理由で上限を1.3%とするのが望ましい。
【0017】Cu:0.05〜0.20% Cuは、耐食性および強度を向上させるために所望によ
り含有させる。ただしこの作用を十分に得るためには
0.05%以上の含有が必要であり、一方、0.20%
を越えて含有させると、耐すき間腐食性が劣化するの
で、所望により含有させる場合のCu含有量は0.05
〜0.20%に限定する。なお、同様の理由で下限を
0.10%、上限を0.20%とするのが望ましい。
【0018】Si:0.05〜0.3% Fe:0.26〜0.60% 少量のSiおよびFeは、強度を高める作用があるの
で、所望により、これらの1種または2種を含有させ
る。ただし、Siでは0.05%未満、Feでは0.2
6%未満の含有量では上記作用を十分に得ることができ
ず、一方、Siでは0.3%を越えて、Feでは0.6
0%を越えて含有させると、耐すき間腐食性が低下する
ので、Si含有量を0.05〜0.3%、Fe含有量を
0.26〜0.60%とする。
【0019】(皮材)皮材には、芯材との電位差を保っ
て相対的に卑となる純アルミニウムまたは少なくとも少
量のCrを含有するAl合金を用いる。 Cr:0.01〜0.05% Crは、皮材の強度を向上させる作用を有するため所望
により少量を含有させる。一方、Crを多く含有すると
皮材の電位が貴になり、芯材との電位差を保つことがで
きず、耐食性、すなわち耐すき間腐食性が低下し、万
一、腐食が皮材を越えて芯材に達すると、芯材の腐食が
一気に進行してしまう。このCr含有量が0.01%未
満であると、前記作用が十分に得られず、一方、0.0
5%を越えると上記した電位差の問題が生じるため、所
望によりCrを皮材に含有させる場合、Cr含有量は
0.01〜0.05%とする。なお、芯材との電位差を
確実に保つために、皮材のCr含有量(質量%)が芯材
のCr含有量(質量%)よりも少量、すなわち(皮材C
r含有量<芯材Cr含有量)になるように調整するのが
望ましい。
【0020】Mg:0.1〜1.5% Mgは、皮材の強度を高めるために所望により含有させ
る。Mg含有量が0.1%未満であると、この作用を十
分に得ることができない。一方、1.5%を越えて含有
すると、クラッド性および加工性、耐すき間腐食性が低
下する。したがってMgを所望により皮材に含有させる
場合、その含有量を0.1〜1.5%に定める。なお、
同様の理由で、下限を0.8%、上限を1.5%とする
のが望ましい。
【0021】Cu:0.01〜0.25% Cuは、耐食性および強度を向上させるために所望によ
り含有させる。この含有量が0.01%未満であると、
これら作用が十分に得られない。一方、0.25%を越
えて含有すると、却って耐すき間腐食性が劣化するので
Cu含有量を0.01〜0.25%に定める。なお、上
記と同様の理由で上限を0.09%とするのが望まし
い。また、芯材のCu含有量(質量%)と比較した場
合、皮材のCu含有量(質量%)が少なくなるように調
整するのが望ましい。これは皮材のCu含有量が多くな
ると芯材に比べて皮材の電位が貴になり、万一、腐食が
皮材を越えて芯材に達すると、芯材の腐食が一気に進行
してしまうためである。
【0022】Si:0.01〜0.3% Fe:0.01〜0.60% 少量のSiおよびFeは、材料強度を高める作用がある
ので、皮材の強度を上げるため、所望により、これらの
1種または2種を皮材に含有させる。ただし、これら含
有量がそれぞれ0.01%未満であると、強度の向上作
用を十分に得ることができず、一方、Siでは0.3
%、Feでは0.60%を越えて含有させると、耐すき
間腐食性が低下するので、Si含有量を0.01〜0.
3%、Fe含有量を0.01〜0.60%とする。
【0023】Zn:0.1〜1.5% Znは、耐食性を向上させるため所望により含有させ
る。ただし、Znの含有量が0.1%未満であると、こ
の作用を十分に得ることができず、また1.5%を越え
ると、耐すき間腐食性を劣化させるので、所望によりZ
nを含有させる場合には、その含有量を0.1〜1.5
%に限定する。なお、同様の理由で下限を0.4%、上
限を1.2%とするのが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明は、主として食材、食品を
収容する容器として使用される物であり、強度を高める
等の目的でしわ付きとされている。この容器は、上記で
規定される成分を有する芯材と皮材とを有する複合アル
ミニウム箔で構成されており、該複合アルミニウム箔
は、常法により製造することができる。容器用アルミニ
ウム箔の材料には、前述した芯材と皮材とが用いられ
る。これらの材料は、一般には、鋳塊の溶製によって得
ることができ、その後、芯材の片面または両面に皮材を
クラッドし、さらにこれを箔とする。クラッド方法とし
ては、芯材と皮材とを重ねた状態で熱間圧延する方法が
一般的である。この際のクラッド率は本発明としては特
に限定されない。このクラッド材は、さらに冷間圧延、
箔圧延によって所望の厚さの複合箔とする。その間には
必要に応じて熱処理を施すことができる。しわ付き箔容
器に使用されるアルミニウム箔は、通常は、40〜12
0μmの厚さのものが用いられるが、本発明としてはア
ルミニウム箔の厚さが特定のものに限定されるものでは
ない。
【0025】上記アルミニウム箔は、容器形状への成形
過程に供される。通常、成形はプレス等によって行われ
るが、本発明としては成形方法が特に限定されるもので
はなく、また、本発明としてはしわ付きであることの
他、特に容器形状が限定されるものでもない。
【0026】
【実施例】表1の成分が得られるように、通常の条件で
芯材用合金、皮材用合金を溶解・鋳造し、続いて面削、
均質化処理を行い、芯材用合金は400mm、皮材用合
金は熱間圧延により50mmとし、表2に示す組み合わ
せによって前記芯材の両面に該皮材用合金をそれぞれ配
した。これらを熱間にてクラッド圧延し、適宜中間焼鈍
および冷間圧延を行って0.090mm(皮材各10%
厚、芯材80%厚)のクラッド箔材を作製した。
【0027】上記クラッド箔材に対してブランキング、
ドローイング、ワイプダウン、カーリングの成形工程を
複合ダイを用いて行い、鍔を有するしわ付き容器を作製
した。次いで、上記しわ付き箔容器の機械的強度を測定
するとともに、該容器内にしょうゆ濃度20%の水溶液
を入れ、40℃で14日間保持した後、容器のすき間腐
食状態を観察した。腐食状態の観察においては、箔に貫
通孔が空かないものを○、空いたものを×として評価し
た。上記測定結果および観察結果を表2に示す。表2に
示すように、本発明容器はいずれも高い強度と優れた耐
すき間腐食性を有しており、一方、比較材はいずれも耐
すき間腐食性に劣っていた。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のしわ付き
箔容器によれば、質量%で、Mg:0.5〜2.0%、
Cr:0.03〜0.5%を含有し、さらに、所望によ
り、Mn:1.5%以下、Cu:0.05〜0.20
%、Si:0.05〜0.3%、Fe:0.26〜0.
60%の1種または2種以上を含有し、残部がAlおよ
び不可避不純物からなるAl合金芯材の片面または両面
に、純アルミニウムまたはCr:0.01〜0.05%
を含有し、所望によりMg:0.1〜1.5%、Cu:
0.01〜0.25%、Si:0.01〜0.3%、F
e:0.01〜0.60%、Zn:0.1〜1.5%を
含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる皮材を
被覆した複合アルミニウム箔で構成されているので、十
分な強度を確保した上で耐すき間腐食性を向上させるこ
とができ、腐食性の強い塩分を含んだ流動食品や薄肉食
品の液汁に対しても長期に亘って腐食の発生を抑制する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E035 AA03 AA07 BC03 BC10 BD04 3E067 AA03 AB01 BA01A BB11A BB12A BB25A CA30 EE07 3E086 BA04 BA13 BB77 CA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、Mg:0.5〜2.0%、C
    r:0.03〜0.5%を含有し、残部がAlおよび不
    可避不純物からなるAl合金芯材の片面または両面に、
    Alおよび不可避不純物からなる皮材を被覆した複合ア
    ルミニウム箔で構成されていることを特徴とするしわ付
    き箔容器
  2. 【請求項2】 質量%で、Mg:0.5〜2.0%、C
    r:0.03〜0.5%を含有し、残部がAlおよび不
    可避不純物からなるAl合金芯材の片面または両面に、
    Cr:0.01〜0.05%を含有し、残部がAlおよ
    び不可避不純物からなる皮材を被覆した複合アルミニウ
    ム箔で構成されていることを特徴とするしわ付き箔容器
  3. 【請求項3】 Al合金芯材の成分として、さらに、質
    量%で、Mn:1.5%以下を含有することを特徴とす
    る請求項1または2に記載のしわ付き箔容器
  4. 【請求項4】 Al合金芯材の成分として、さらに、質
    量%で、Cu:0.05〜0.20%を含有することを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のしわ付き箔
    容器
  5. 【請求項5】 Al合金芯材の成分として、さらに、質
    量%で、Si:0.05〜0.3%およびFe:0.2
    6〜0.60%の1種または2種を含有することを特徴
    とする請求項1〜4のいずれかに記載のしわ付き箔容器
  6. 【請求項6】 皮材の成分として、さらに、質量%で、
    Mg:0.1〜1.5%を含有することを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載のしわ付き箔容器
  7. 【請求項7】 皮材の成分として、さらに、質量%で、
    Cu:0.01〜0.25%を含有することを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかに記載のしわ付き箔容器
  8. 【請求項8】 皮材の成分として、さらに、質量%で、
    Si:0.01〜0.3%、Fe:0.01〜0.60
    %の1種または2種を含有することを特徴とする請求項
    1〜7のいずれかに記載のしわ付き箔容器
  9. 【請求項9】 皮材の成分として、さらに、質量%で、
    Zn:0.1〜1.5%を含有することを特徴とする請
    求項1〜8のいずれかに記載のしわ付き箔容器
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