JP2007268996A - 高分子積層体、位相差フィルム、および、高分子積層体の製造方法 - Google Patents

高分子積層体、位相差フィルム、および、高分子積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられ、かつ、密着性に優れた高分子積層体を提供する。
【解決手段】シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板と、前記透明基板上に接するように形成され、重合性モノマーの重合物を含有する密着機能層と有する高分子積層体であって、上記重合性モノマーが、特定のアクリレート、ビニルエーテル、エポキシ化合物、オキセタン化合物から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有するものであり、かつ、上記重合性モノマーを構成する炭素数Nを、上記重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数Mで除した値(N/M)が3以上であることを特徴とする、高分子積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置等に好適に用いられる高分子積層体に関するものであり、より詳しくはシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられた高分子積層体に関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図4に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル104とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光(図中、矢印で模式的に図示)のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル104は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
また、液晶表示装置は正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とでコントラストや色味等が変化するという視野角の問題があるため、多くの液晶表示装置においては上記液晶セルと偏光板との間に、所定の複屈折率を有する位相差フィルムが用いられている。
さらに最近では、外光によって画像の視認性が低下することを防止する目的で、液晶表示装置の最前面にAGフィルム(アンチグレアフィルム)やARフィルム(アンチリフレクションフィルム)等が用いられるようになっている。
このように液晶表示装置には、偏光板、位相差フィルム、AG/ARフィルム等複数の光学機能フィルムが用いられているが、このような光学機能フィルムを構成する透明基板としては従来セルローストリアセテートからなるフィルムが広く用いられてきた。セルローストリアセテートは複屈折性が小さく、光学的等方性に優れる材料であることから光学特性の設計が容易であり、また、天然材料であるセルロースを原材料とするものであるため、工業的に安価で入手可能である点において有用性が高いため、上記光学機能フィルムに好適に用いられてきた。
しかしながら、上記のような液晶表示装置等に用いられる光学機能フィルムは、各種液晶表示装置の表示方式等に応じて、所望の複屈折性を備えることが求められるところ、上記セルローストリアセテートは耐熱性が低く、また、吸水性が高いため熱変形や吸湿変形しやすいという問題点があった。
このような問題点に対し、特許文献1および特許文献2には上記セルローストリアセテートの替わりに、シクロオレフィン系樹脂を用いた光学機能フィルムが開示されている。シクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン系樹脂は、分子設計によりガラス転移点や、吸湿率を好ましい範囲制御することが可能であり、良好な耐熱性と適度な吸水性を実現することができるという利点を有する。このため、シクロオレフィン系樹脂を用いることにより、例えば、23℃における飽和吸水率が1重量%以下となるように分子設計することにより、吸水による光学特性変化や寸法変化が少ない光学機能フィルムを得ることが可能である。
しかしながら、上記液晶表示装置等に用いられる光学機能フィルムは、通常、透明基材上に所望の光学的機能を発現する光学機能層が積層された構成を有するものであるところ、上記シクロオレフィン系樹脂は一般的に光学機能層に用いられる材料とは接着性が悪いという問題があった。このため、シクロオレフィン系樹脂は上述したような耐水性に優れるという利点を有するものの、実用性に欠けるという問題点があった。
特開2005−8698号公報 特開2004−309979号公報
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられ、かつ、密着性に優れた高分子積層体を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板と、上記透明基板上に接するように形成され、重合性モノマーの重合物を含有する密着機能層と有する高分子積層体であって、上記重合性モノマーが、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有するものであり、かつ、上記重合性モノマーを構成する炭素数Nを、上記重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数Mで除した値(N/M)が3以上であることを特徴とする高分子積層体を提供する。
Figure 2007268996
本発明によれば、上記密着機能層に上記構造を有する重合性モノマーの重合物が含有されることにより、上記シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板と、上記密着機能層との密着性を向上することができる。
したがって、本発明によればシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられ、かつ、密着性に優れた高分子積層体を提供することができる。
なお、上記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)においてR、R、Rは、メチル基または水素を表す。また、R4は、水素、メチル基または、エチル基を表す。
また本発明は、上記本発明の高分子積層体が有する密着機能層上に、液晶材料を含有する位相差層が形成されていることを特徴とする位相差フィルムを提供する。
本発明によれば、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられている上記本発明の高分子積層体が用いられていることにより、上記密着機能層と、上記透明基板との密着性に優れ、かつ、光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
さらに本発明は、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用い、上記透明基板上に重合性モノマーを含有する密着機能層形成用塗工液を塗布することによって密着機能層形成用層を形成した後、上記重合性モノマーを重合することにより密着機能層を形成する密着機能層形成工程を有する高分子積層体の製造方法であって、上記重合性モノマーが、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有するものであり、かつ、上記重合性モノマーを構成する炭素数Nを、上記重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数Mで除した値(N/M)が3以上であることを特徴とする高分子積層体の製造方法を提供する。
Figure 2007268996
本発明によれば、上記密着機能層形成工程が上記構造を有する重合性モノマーを含有する密着機能層形成用塗工液を用いて、上記シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に密着機能層を形成するものであることにより、上記透明基板との密着性に優れた密着機能層を形成することができる。
したがって、本発明によればシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられ、かつ、密着性に優れた高分子積層体を製造することができる。
なお、上記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)においてR、R、Rは、メチル基または水素を表す。また、R4は、水素、メチル基または、エチル基を表す。
本発明は、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられ、かつ、密着性に優れた高分子積層体を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明の高分子積層体、位相差フィルム、および、高分子積層体の製造方法について詳細に説明する。
A.高分子積層体
まず、本発明の高分子積層体について説明する。本発明の高分子積層体は、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板と、上記透明基板上に接するように形成され、重合性モノマーの重合物を含有する密着機能層と有するものであって、上記重合性モノマーが、上記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有するものであり、かつ、上記重合性モノマーを構成する炭素数Nを、上記重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数Mで除した値(N/M)(以下、単に「炭素含有比」と称する場合がある。)が3以上であることを特徴とするものである。
このような本発明の高分子積層体について図を参照しながら説明する。図1は本発明の高分子積層体の一例を示す概略図である。図1に例示するように本発明の高分子積層体10は、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板1上に、密着機能層2が形成された構成を有するものである。
このような例において本発明の高分子積層体10は、上記密着機能層2に、上記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有するものであり、かつ、上記炭素含有比が3以上である重合性モノマーの重合物が含有されることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記密着機能層に上記構造を有する重合性モノマーの重合物が含有されることにより、上記シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板と、上記密着機能層との密着性を向上することができる。
本発明において、上記密着機能層に上記構造を有する重合性モノマーの重合物が含有されることにより、上記透明基板と上記密着機能層との密着性を向上できるのは次のような理由に基づくと考えられる。
すなわち、従来、シクロオレフィン系樹脂は一般的に光学機能層に用いられる材料とは接着性が悪いという問題があったが、これはシクロオレフィン系樹脂が光学機能フィルム用の透明基板に広く用いられてきたセルローストリアセテートよりも、分子の極性が低いことが主たる原因であったと考えられる。
この点、本発明においては上記密着機能層に含有される重合性モノマーの重合物を構成する重合性モノマーが、上記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有するものであり、かつ、上記重合性モノマーの上記炭素含有比が3以上であることにより、上記重合性モノマーの極性を上記シクロオレフィン系樹脂の極性に近似させることができるため、上記密着機能層と上記透明基板との密着性を向上することができると考えられる。
このようなことから、本発明によればシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられ、かつ、密着性に優れた高分子積層体を提供することができる。
本発明の高分子積層体は、上記透明基板と、上記密着機能層とを有するものであり、本発明の高分子積層体の用途等に応じて他の層を有していても良いものである。以下、このような本発明の高分子積層体の各構成について詳細に説明する。
1.密着機能層
まず、本発明における密着機能層について説明する。本発明に用いられる密着機能層は、上記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有する重合性モノマーの重合物が含有されるものであり、かつ、上記重合性モノマーの上記炭素含有比が3以上であることを特徴とするものである。本発明は、密着機能層にこのような構造を有する重合性モノマーの重合物が含有されることにより、透明基板と密着機能層との密着性に優れた高分子積層体を提供することができるのである。
以下、このような密着機能層について詳細に説明する。
(1)重合性モノマー
本発明に用いられる重合性モノマーは、上記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有するものであり、かつ、上記炭素含有比が3以上であるものである。本発明においては上記炭素含有比が上記範囲であることにより、上記重合性モノマーの極性を、後述する透明基板を構成するシクロオレフィン系樹脂の極性に近似させることができるため、密着機能層と後述する透明基板との密着性を向上することができるのである。
本発明に用いられる重合性モノマーの上記炭素含有比は本発明で規定する範囲内であれば特に限定されるものではなく、後述する透明基板を構成するシクロオレフィン系樹脂の種類等に応じて任意に決定することができる。なかでも本発明においては、上記炭素含有比が、3〜10の範囲内であることが好ましく、特に3〜7の範囲内であることが好ましく、さらには3〜5の範囲内であることが好ましい。上記炭素含有比は、その値が大きいほど上記重合性モノマーの極性が小さいことを示すものであるため、炭素含有比が上記範囲よりも小さいと、重合性モノマーの極性が大きくなりすぎるため、後述する透明基板と密着機能層との密着性が不十分となってしまう可能性があり、また、上記範囲よりも大きいと、重合性モノマーに含有される重合性官能基の割合が小さくなりすぎ、密着機能層の耐溶剤性が損なわれてしまう場合があるからである。
ここで、上述したように上記炭素含有比は、上記重合性モノマーを構成する炭素数Nを、上記重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数Mで除した値(N/M)であるが、上記「重合性モノマーを構成する炭素数N」とは、上記重合性モノマーを分子式で示した際に、表記される炭素の数を意味するものであり、また、上記「重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数M」とは、上記重合性モノマーを分子式で示した際に、表記される炭素および水素以外の元素の数の総和を意味するものである。したがって、例えば、分子式がC1218である1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの場合、上記重合性モノマーを構成する炭素数Nは12となり、上記重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数Mは4となるため、上記N/Mは3ということになる。また、分子式がC11NOであるアクリロイルモルホリンの場合、上記重合性モノマーを構成する炭素数Nは7となり、上記重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数Mは3(窒素+酸素)となるため、上記N/Mは2.3ということになる。
本発明に用いられる重合性モノマーは、分子中に上記重合性官能基を1つ含有するものであっても良く、または、複数の重合性官能基を含有するものであっても良い。なかでも本発明においては、複数の重合性官能基を含有するものを用いることが好ましい。これにより、本発明における密着機能層の耐溶剤性を向上することができるからである。
なお、本発明に用いられる重合性モノマーが上記重合性官能基が複数結合してなるものである場合、重合性官能基はすべて同一であっても良く、または、それぞれ異なっていても良い。
本発明に用いられる重合性モノマーは、上記炭素含有比が本発明で規定する範囲内とすることができる範囲内のものであれば特に限定されるものではないが、脂肪族炭化水素を有するものであることが好ましい。このような脂肪族炭化水素としては、直鎖状のものであっても良く、分岐鎖状のものであっても良く、さらには、環状のものであっても良い。なかでも本発明においては、直鎖状または環状のものであることが好ましい。上記炭化水素鎖が直鎖状または環状のものであることにより、上記重合性モノマーの分子構造が、後述するシクロオレフィン系樹脂の分子構造に類似するようになるため、両者の極性をより近いものにすることが可能になり、より密着性に優れた高分子積層体を得ることができるからである。
また、本発明に用いられる重合性モノマーは、水酸基価が150mgKOH/g以下であることが好ましく、なかでも50mgKOH/g以下であることが好ましく、特に5mgKOH/g以下であることが好ましい。
さらに、本発明に用いられる重合性モノマーは、酸価が150mgKOH/g以下であることが好ましく、なかでも50mgKOH/g以下であることが好ましく、特に5mgKOH/g以下であることが好ましい。
重合性モノマー中に極性の大きい水酸基、酸性基(カルボン酸、リン酸、スルホン酸等)を含み、水酸基価および酸価のいずれかが150mgKOH/gより高いと、上記炭素含有比を本発明で規定する範囲内にしても、上記重合性モノマーの極性を後述するシクロオレフィン系樹脂の極性に近似されることが困難となり、密着機能層と透明基板との密着性が低下する場合も想定されるからである。
ここで、上記水酸基価はJIS K0070に準拠した方法により測定することができる。また、上記酸価は、JIS K2501に準拠した方法により測定することができる。
本発明に用いられる重合性モノマーの具体例としては、例えば、下記式(VI)、(VII)で表される重合性モノマーを例示することができる。
Figure 2007268996
Figure 2007268996
上記式において、X、X、および、Xはそれぞれ独立して上記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)のいずれかの重合性官能基を表す。また、Yは、−C2m+1(mは4〜17の整数)で表される直鎖状または分岐鎖状の炭化水素、シクロヘキシル基、イソボルニル基、未置換またはアルキル基で置換されたフェニル基、または、ビフェニル基を表す。r、r、rおよびrは、それぞれ独立して0または1である。
さらに、Yは、−C2n−(nは1〜34の整数)で表される直鎖状、または、分岐鎖状の炭化水素、シクロヘキシル基、トリシクロデカンジメチル基、フェニル基、または、ビフェニル基を表す。
本発明においては上記式(VI)、(VII)で表される上記重合性モノマーのなかでも次のような重合性モノマーを用いることが好ましい(以下、< >内の数値は、各化合物の炭素含有比を示す。)。
上記式(I)で表される重合性官能基を有する重合性モノマー;シクロヘキシルアクリレート<4.5>、イソボルニルアクリレート<6.5>、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート<3>、1,9−ノナンジオールジアクリレート<3.75>、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート<3.75>、2−ブチル−2−エチル−1,4−プロパンジオールジアクリレート<3.75>、1,10−デカンジオールジアクリレート<3.75>、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート<4.5>。
上記式(II)で表される重合性官能基を有する重合性モノマー;1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル<5>、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル<5>、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル<6>、ノナンジオールジビニルエーテル<6.5>、トリメチルプロパントリビニルエーテル<4>。
上記式(III)で表される重合性官能基を有する重合性モノマー;エチルヘキシルグリシジルエーテル<5.5>。
上記式(III)および(IV)で表される重合性官能基を有する重合性モノマー;ジペンテンジオキシド<5>。
上記式(V)で表される重合性官能基を有する重合性モノマー;3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン<7>、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル<4>。
上記式(I)および(V)で表される重合性官能基を有する重合性モノマー;3−エチル−3−オキセタニルメチルアクリレート<3>。
本発明に用いられる密着機能層に含有される重合物は、上記重合性モノマーが1種類のみ用いられているものであっても良く、または、2種類以上が用いられているものであっても良い。
また、本発明に用いられる密着機能層には上記重合性モノマーが重合されてなる重合物が含有されるが、上記密着機能層に含まれる重合物が上記重合性モノマーの重合物であることは、例えば、NMR解析により明らかにすることができる。
(2)密着機能層
上述したように本発明に用いられる密着機能層は上記重合性モノマーの重合物を含むものである。したがって、上記密着機能層の態様としては、上記重合性モノマーの重合物のみからなる態様と、上記重合性モノマーの重合物以外に他の化合物が含まれる態様とを挙げることができる。本発明においては、これらのいずれの態様であっても好適に用いることができるが、なかでも上記重合性モノマーの重合物以外に他の化合物が含まれる態様が好ましい。上記重合性モノマーの重合物以外に他の化合物が含まれることにより、本発明における密着機能層に任意の機能性を付与することが可能になるからである。
本発明に用いられる上記他の化合物としては、上記密着機能層に所望の機能性を付与できるものを任意に選択して用いることができる。このような他の化合物の例としては、例えば、紫外線硬化型樹脂を挙げることができる。上記密着機能層に紫外線硬化型樹脂が含有されることにより、上記密着機能層に応力緩和機能を付与することが可能になる。ここで、上記紫外線硬化型樹脂の具体例ついては、後述する「B.位相差フィルム」の項において詳述するため、ここでの説明は省略する。
また、上記他の化合物としては光配向材料を挙げることができる。上記密着機能層に光配向材料が含有されることにより、上記密着機能層に液晶材料に対する配向性を付与することが可能になる。したがって、上記密着機能層に光配向材料を含有させることにより、本発明の高分子積層体を用いて位相差フィルムを作製する際に、配向層の形成が不要となる。ここで、上記光配向材料の具体例については、後述する「B.位相差フィルム」の項において詳述するため、ここでの説明は省略する。
また、上記他の化合物としては、例えば、レベリング剤、重合開始剤、および、ポリマー微粒子等を挙げることができる。
本発明に用いられる密着機能層の厚みとしては、上記重合性モノマーの種類や密着機能層に付与する機能等に応じて任意に決定することができるが、通常、0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも1μm〜8μmの範囲内であることが好ましい。
2.透明基板
次に、本発明に用いられる透明基板について説明する。本発明に用いられる透明基板はシクロオレフィン系樹脂からなるものである。
ここで、本発明におけるシクロオレフィン系樹脂とは、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する樹脂を意味するものである。また、上記環状オレフィンからなるモノマーとしては、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。
また、本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は上記環状オレフィンからなるモノマーの単独重合体であっても良く、または、共重合体であっても良い。
本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂としては、所望の透明性を備える透明基板を得ることができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は、23℃における飽和吸水率が1重量%以下であること好ましく、なかでも0.1重量%〜0.7重量%の範囲内であることが好ましい。このようなシクロオレフィン系樹脂を用いることにより、本発明の光学機能フィルムを吸水による光学特性の変化や寸法の変化がより生じにくいものとすることができるからである。
ここで、上記飽和吸水率は、上記吸水率は、ASTMD570に準拠し23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる。
また、本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂は、ガラス転移点が100℃〜200℃の範囲内であることが好ましく、特に100℃〜180℃の範囲内であることが好ましく、なかでも100℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。ガラス転移点が上記範囲内であることにより、本発明の光学機能フィルムを耐熱性および加工適性においてより優れたものにできるからである。
このようなノルボルネン系樹脂としては、例えば、下記式(a)で表される構成単位を有するもの、および、下記式(a)および下記式(b)で表される構成単位を有するものを挙げることができる。
Figure 2007268996
Figure 2007268996
ここで、上記式(a)において、tおよびuはそれぞれ独立に0または正の整数を表すが、tおよびuが同時に0である場合は除く。また、Aはエチレン基またはビニレン基を示し、R11〜R14は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜30の炭化水素基、または、−(CH)n−COOR(nは0〜5,Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。)を示す。
ここで、上記R11またはR12と、R13またはR14とは相互に結合して炭素環または複素環を形成しても良い。さらに、上記炭素環または複素環は単環構造であっても良く、または、多環構造であっても良い。
また、上記式(b)において、Bはエチレン基またはビニレン基を示す。R15〜R18は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜30の炭化水素基を示す。さらに、R15およびR16、または、R17およびR18は一体化して2価の炭化水素基を形成しても良い。
本発明に用いられるシクロオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、Ticona社製 Topas、ジェイエスアール社製 アートン、日本ゼオン社製 ZEONOR、日本ゼオン社製 ZEONEX、三井化学社製 アペル等を挙げることができる。
本発明に用いられる透明基板には上記シクロオレフィン系樹脂が1種類のみ用いられていても良く、または、2種類以上が用いられていても良い。
本発明に用いられる透明基板の透明度は、本発明の高分子積層体の用途等に応じて任意に決定すればよいが、通常、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が上記範囲であることにより、例えば、本発明の高分子積層体を液晶表示装置の視野角補償フィルムに用いた場合に、液晶表示装置の表示輝度が低下すること等を防止することができるからである。
ここで、透明基板の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に用いられる透明基板の厚みは、所望の自己支持性を備えることができる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては25μm〜1000μmの範囲内であること好ましく、特に30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。透明基板の厚みが上記の範囲よりも薄いと、本発明の透明基板に必要な自己支持性を付与することができない場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明の高分子積層体を裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
本発明における透明基板の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されても良い。
本発明に用いられる透明基板は位相差性を示すものであっても良い。このような位相差性としては、本発明の高分子積層体の用途等に応じて、高分子積層体に所望の屈折率異方性を付与できる範囲であれば特に限定されない。なかでも本発明においては、上記透明基板がλ/4板としての性質、または、λ/2板としての性質を有することが好ましい。
ここで、上記「λ/4板としての性質を有する」とは、通常、透明基板の面内レターデーション(以下、単に「Re」と称する場合がある。)の絶対値が入射光の波長の1/4の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明に用いられる透明基板は、波長550nmにおけるReの絶対値が120nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
また、上記「λ/2板としての性質を有する」とは、通常、透明基板のReの絶対値が、入射光の波長の1/2の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明に用いられる透明基板は、波長550nmにおけるReの絶対値が250nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
ここで、上記Reとは、上記透明基板の進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率Nx、および、遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率Nyと、透明基板の厚みdとにより、Re=(Nx−Ny)×dの式で表される値であり、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−21ADH)により測定することができる。
また、本発明に用いられる透明基板は、厚み方向レターデーション(以下、単に「Rth」と称する場合がある。)が、0nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、特に0nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。
ここで、Rthとは、透明基板の面内における進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率Nx、および、遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率Nyと、厚み方向の屈折率Nzと、透明基板の厚みdとにより、Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×dの式で表される値である。
また、本発明に用いられる透明基板のRthは、上述したReと同様の方法により測定することができる。
3.高分子積層体の用途
本発明の高分子積層体の用途は、透水性の低い透明フィルムが必要とされるあらゆる用途に用いることが可能であるが、なかでも液晶表示装置に用いられる位相差フィルムや、反射防止フィルム等の光学機能フィルムに好適に用いることができる。本発明の高分子積層体をこのような光学機能フィルムとして用いる態様としては、上記密着機能層に光学機能を付与して用いる態様と、本発明の高分子積層体に所望の光学的機能を発現する光学機能層を積層して用いる態様とを挙げることができる。
上記密着機能層に光学機能を付与することにより、本発明の高分子積層体を光学機能フィルムとして用いる態様としては、例えば、上記密着機能層に液晶化合物等のレターデーション上昇剤を添加して用いる態様や、上記密着機能層にポリマー微粒子を添加して用いる態様等を挙げることができる。
一方、所望の光学的機能を発現する光学機能層を積層することにより、本発明の高分子積層体を光学機能フィルムとして用いる態様としては、例えば、後述する「B.位相差フィルム」の項に記載するような、上記密着機能層上に位相差性を発現する位相差層を積層して用いる態様を例示することができる。
4.高分子積層体の製造方法
本発明の高分子積層体の製造方法としては、上記構成を有する高分子積層体を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、後述する「C.高分子積層体の製造方法」の項に記載する方法を例示することができる。
B.位相差フィルム
次に、本発明の位相差フィルムについて説明する。本発明の位相差フィルムは、上記本発明の高分子積層体が有する密着機能層上に、液晶材料を含有する位相差層が形成されていることを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムについて図を参照しながら説明する。図2は本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。図2に例示するように本発明の位相差フィルム20は、透明基板1および密着機能層2とからなる本発明の高分子積層体10が用いられているものであり、上記密着機能層2上に液晶材料を含有する位相差層3が形成されているものである。
本発明によれば、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられている上記本発明の高分子積層体が用いられていることにより、上記密着機能層と、上記透明基板との密着性に優れ、かつ、光学特性の経時安定性に優れた位相差フィルムを得ることができる。
以下、このような本発明の位相差フィルムについて詳細に説明する。
本発明の位相差フィルムは、少なくとも上記高分子積層体と、位相差層とを有するものであり、必要に応じて他の層を有しても良いものである。以下、本発明の位相差フィルムに用いられる各構成について詳細に説明する。
1.位相差層
次に、本発明に用いられる位相差層について説明する。本発明の位相差層は液晶材料を含むものであり、本発明の位相差フィルムに所望の位相差性(複屈折性)を付与する機能を有するものである。
本発明に用いられる液晶材料は、本発明に用いられる位相差フィルムに所望の位相差性を発現できる材料であれば特に限定されるものではない。なかでも、本発明においては、ネマチック相を示す液晶材料が好適に用いられる。ネマチック液晶は、他の液晶相を示す液晶材料と比較して規則的に配列させることが容易だからである。
また、本発明に用いられる液晶材料としては、重合性官能基を有する重合性液晶材料を用いることが好ましい。重合性液晶材料は重合性官能基を介して互いに重合することができるため、本発明における位相差層の機械強度を向上することができるからである。また、液晶材料の配向の安定性も向上することができるからである。
上記重合性官能基としては、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する各種重合性官能基が用いられる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。又、カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。本発明においては、これらの重合性官能基のなかでもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
本発明に用いられる重合性液晶材料は、上記重合性官能基を複数有するものであっても良く、または、1つのみを有するものであっても良い。また、本発明においては重合性官能基を複数有する重合性液晶材料と、重合性官能基を1つのみを有する重合性液晶材料とを混合して用いても良い。
本発明に用いられる重合性液晶材料の具体例としては、例えば、特開平7−258638号公報や特表平10−508882号公報、特開2003−287623号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記重合性液晶材料として、以下の化学式(1)〜(10)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2007268996
本発明に用いられる液晶材料は1種類でも良く、または、2種類以上を混合して用いても良い。本発明において2種類以上の液晶材料を混合して用いる場合は、重合性液晶材料と、重合性官能基を有さない液晶材料とを混合して用いても良い。
本発明における位相差層には、上記液晶材料以外の他の化合物が含まれていても良い。このような他の化合物としては、位相差層における上記液晶材料の配列状態や、位相差層の光学特性発現性を損なわないものであれば特に限定されるものではなく、本発明に用いられる位相差フィルムの用途等に応じて適宜選択して用いることができる。このような他の化合物としては、例えば、カイラル剤、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、および、シランカップリング剤等を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記液晶材料として上記重合性液晶材料を用いる場合、上記他の化合物として重合開始剤または重合禁止剤を用いることが好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本発明では、これらの光重合開始剤を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することができる。このような光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
上記重合禁止剤としては、例えば、ジフェニルピクリルヒドラジド、トリ−p−ニトロフェニルメチル,p−ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、ピクリン酸、塩化銅、メチルハイドロキノン、メトキノン、tert−ブチルハイドロキノン等の反応の重合禁止剤を用いることができるが、なかでも保存安定性の点からハイドロキノン系重合禁止剤が好ましく、メチルハイドロキノンを用いるのが特に好ましい。
また、本発明における位相差層には、本発明の目的を損なわない範囲内で、下記に示すような化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミノ基エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。
本発明における位相差層中の上記液晶材料の配列状態としては、本発明に用いられる位相差フィルムに所望の光学特性を発現できる配列状態であれば特に限定されるものではない。このような配列状態としては、例えば、透明基板に対して液晶材料が平行に配向した状態や、透明基板に対して液晶材料が垂直に配向した状態を挙げることができる。前者の液晶構造はホモジニアス構造(平行配向構造)と称され、このような構造を有することにより、本発明に用いられる位相差フィルムに光学的にAプレートとしての性質を付与することができる。また、後者の液晶構造はホメオトロピック構造(垂直配向構造)と称され、このような構造を有することにより、本発明の位相差フィルムに光学的に正のCプレートとしての性質を付与することができる。
また、上記液晶材料の配列状態としては、液晶材料が規則的な螺旋構造を示すコレステリック配列状態であっても良い。このような配列状態を有することにより、本発明に用いられる位相差フィルムに光学的に負のCプレートとしての性質を付与することができる。
上記液晶材料の配列状態をコレステリック配列状態とする場合は、通常、位相差層に螺旋構造を誘起させるカイラル剤が添加される。このようなカイラル剤としては、分子内に軸不斉を有する低分子化合物が好ましく用いられる。本発明に用いられるカイラル剤としては、例えば、下記式(11)、(12)又は(13)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2007268996
Figure 2007268996
Figure 2007268996
上記一般式(11)又は(12)において、Rは水素又はメチル基を示す。Yは上記に示す式(i)〜(xxiv)の任意の一つであるが、なかでも、式(i)、(ii)、(iii)、(v)及び(vii)のいずれか一つであることが好ましい。また、アルキレン基の鎖長を示すc及びdは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。
本発明における位相差層の厚みは、上記液晶材料の種類等に応じて、本発明に用いられる位相差フィルムに所望の光学特性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、0.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましく、特に1μm〜3μmの範囲内であることが好ましい。
本発明における位相差層は位相差性を示すものであるが、このような位相差性は、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて任意に調整することができる。なかでも本発明に用いられる位相差層はλ/4板としての性質、または、λ/2板としての性質を有することが好ましい。
ここで、上記「λ/4板としての性質を有する」とは、通常、位相差層のReの絶対値が、入射光の波長の1/4の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明における位相差層は、波長550nmにおけるReの絶対値が120nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
また、上記「λ/2板としての性質を有する」とは、通常、位相差層のReの絶対値が、入射光の波長の1/2の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明における位相差層は、波長550nmにおけるReの絶対値が250nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記位相差層のReの定義および測定方法は上記「A.高分子積層体」の項において説明した方法と同様であるためここでの説明は省略する。
2.高分子積層体
次に、本発明に用いられる高分子積層体について説明する。本発明に用いられる高分子積層体は、上記「A.高分子積層体」の項に記載した構成を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記高分子積層体として、上記密着機能層が本発明の位相差フィルムに加わる外部応力を緩和する応力緩和機能を有するものを用いることが好ましい。上記密着機能層が、このような応力緩和機能を有するものであることにより、本発明の位相差フィルムに外部から応力が加わった際に、位相差層や配向層等が損傷を受けることを防止することができるからである。本発明においては、上記配向膜として光配向膜を用いる際に、特にこのような応力緩和機能を有するものを用いることが好ましい。光配向膜は機械強度が低いことから、例えば、本発明の位相差フィルムを長尺のロール状で形成して巻き取る際に加わる外力によって、その形態や配向規制力が損なわれる恐れがあるが、上記密着機能層がこのような応力緩和機能を有することにより、このような恐れを解消することができるからである。
このような上記密着機能層が上記応力緩和機能を有する高分子積層体としては、通常、上記密着機能層に応力緩和機能を付与する樹脂材料が添加されたものが用いられる。このような樹脂材料としては、密着機能層に所望の硬度および弾性率等を付与できるものであれば特に限定されるものではなく、任意の樹脂材料を用いることができる。なかでも本発明においては、上記樹脂材料として活性エネルギー線によって三次元的架橋が生じる活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
また、上記活性エネルギー線硬化性樹脂としては、紫外線によって三次元的架橋が生じる紫外線硬化性樹脂および電子線によって三次元的架橋が生じる電子線硬化性樹脂を挙げることができるが、なかでも本発明においては紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
さらに上記紫外線硬化性樹脂としては、三次元的架橋が生じる紫外線の波長が、波長100〜450nmの範囲であることが好ましく、さらには、250〜400nmの範囲であることが好ましい。この波長範囲の紫外線は、一般的な光源により容易に得ることができるからである。
本発明に用いられる上記紫外線硬化性樹脂の具体例としては、反応性エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコール(メタ)ジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレン誘導体、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノールフルオレンジエポキキアクリレート等を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記紫外線硬化性樹脂として、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ビスフェノールフルオレン誘導体、カプロラクトン変性ウレタンアクリレート、および、カプロラクトン変性アクリレートを用いることが好ましい。
本発明においてはこれらの紫外線硬化性樹脂を1種類のみ用いても良く、または、2種類以上を混合して用いても良い。
本発明に用いられる上記樹脂材料として上記紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、上記密着機能層に光重合開始剤および光増感剤を含むことが好ましい。上記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類を挙げることができる。
上記光重合開始剤にとしては、上記重合性モノマーが式(I)で示される重合性官能基を有する場合には、光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましく、一方、上記重合性モノマーが上記式(II)、(III)、(IV)、(V)で示される重合性官能基を有する場合には、光カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。密着機能層形成用塗工液に式(I)で示される重合性官能基を有する重合性モノマーと上記式(II)、(III)、(IV)、(V)で示される重合性官能基を有する重合性モノマーの両方を含有する場合には、光ラジカル重合開始剤および光カチオン重合開始剤として用いることが可能な化合物を用いることが好ましい。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンジル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3、3’−ジメチル−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェルニケトン、2−ヒロドキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロキシチオキサントン、等を挙げることができる。
また、上記光カチオン重合開始剤としては、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η6−ベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)等を挙げることができる。さらに具体的には、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等を挙げることができる。
さらに、上記光ラジカル重合開始剤および上記光カチオン重合開始剤として用いることが可能な化合物としては、例えば、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等を例示することができる。より具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードに有無のクロリド;ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニルー4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチルー4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン化合物等を挙げることができる。
さらに、上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することができる。このような光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
このような光重合開始剤の添加量は、上記重合性モノマーに対して、0.01質量以上であることが好ましく、なかでも0.1質量以上であることが好ましく、特に1質量%以上であることが好ましい。光重合開始剤の添加量が上記範囲よりも少ないと、上記重合性モノマーを重合させるのに必要な紫外線照射量が多くなりすぎてしまう可能性があるからである。
また、上記光増感剤としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等を挙げることができる。
上記密着機能層に上記樹脂材料を含有させる際の含有量としては、上記樹脂材料の種類等に応じて、上記密着機能層に所望の応力緩和機能を付与できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては密着機能層に含有される上記重合性モノマーの重合物100重量部に対して、1重量部〜50重量部の範囲内であることが好ましく、特に5重量部〜30重量部の範囲内であることが好ましい。樹脂材料の含有量が上記範囲よりも少ないと、密着機能層に所望の応力緩和機能を付与できない可能性があり、また、上記範囲よりも多いと密着機能層と透明基板との密着性を損なう可能性があるからである。
本発明に用いられる高分子積層体が密着機能層に応力緩和機能を備えるものである場合における上記密着機能層の硬度としては、本発明の位相差フィルムに外部からの応力が加わった際に、位相差層等が損傷することを防止できる範囲内であれば特に限定されるものではなく、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜決定すればよい。なかでも本発明においては、厚み4μmにおけるユニバーサル硬度が200N/mm〜800N/mmの範囲内であることが好ましく、300N/mm〜700N/mmの範囲内であることがより好ましく、400N/mm〜600N/mmの範囲内であることがさらに好ましい。ここで、上記ユニバーサル硬度とは、上記密着機能層に対し、試験加重F(0.4mN〜1N)にてビッカース角錐圧子を押し込み、ビッカース角錐圧子の押し込み深さ変位量を測定し、密着機能層のユニバーサル硬さ値(HU)をHU=F/(26.3×h)の式により求めたものである。なお、ユニバーサル硬さ値(HU)は試験加重Fと圧子の押し込み表面積から求められ、その表面積は押し込み深さ(h)から求めることができる。
また、本発明に用いられる高分子積層体が密着機能層に応力緩和機能を備えるものである場合における上記密着機能層の弾性率としては、弾性変形量/総変形量の値で定義される弾性率が0.2〜0.6の範囲内であることが好ましく、なかでも0.3〜0.5の範囲内であることが好ましい。ここで、上記弾性変形量/総変形量の値で定義される弾性率は、例えば、上記ユニバーサル硬度測定時に得られる弾性変形量および塑性変形量から算出できる。
本発明に用いられる高分子積層体に関する上記以外の事項については、上記「A.高分子積層体」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.その他の層
本発明の位相差フィルムには、上記高分子積層体および位相差層以外のその他の層が形成されていても良い。このような他の層としては、上記高分子積層体の密着機能層と、上記位相差層との間に形成され、上記位相差層に含有される液晶材料に対する配向規制力を有する配向層や、上記密着機能層と位相差層との間に形成され、応力緩和機能を備える応力緩和層、および、上記密着機能層と位相差層との間に形成され、上記透明基板に含有される添加剤等が上記位相差層に移動することを防止する遮蔽機能を有するバリア層等を挙げることができる。以下、これらの層について説明する。
(1)配向層
まず、上記配向層について説明する。本発明に用いられる配向層は、上記高分子積層体の密着機能層と上記位相差層との間に形成され、上述した位相差層に含有される液晶材料を配向させる配向規制力を備えるものである。
本発明に用いられる配向膜としては、上述した位相差層に用いられる液晶材料に対する配向規制力を備えるものであれば特に限定されるものではない。このような配向膜としては、通常、高分子フィルムの表面をラビング処理することにより配向規制力を発現させたラビング膜、または、光配向法により配向規制力を発現する光配向材料を含有する光配向膜が用いられる。なかでも本発明においては、上記光配向膜が用いられることが好ましい。光配向膜が用いられることにより液晶材料の配列方向を調整することが容易となるため、任意方向の遅相軸を有する位相差フィルムを得ることが容易になるからである。
また、上記ラビング膜は、配向規制力を発現させるためのラビング処理で発生する塵に起因して、例えば、本発明の位相差フィルムを液晶表示装置等に用いた場合に輝点欠陥が生じる可能性があるが、上記光配向膜は光を照射することにより非接触で配向規制力を発現することが可能であるためそのような問題が少ないからである。
ここで、上記「光配向法」とは、任意の偏光状態を有する光(偏光)を配向層に照射することにより配向層の配向規制力(異方性)を発現させる方法である。
本発明に用いられる光配向材料は、偏光を照射することにより分子形状のみを変化させて配向規制力を可逆的に変化させる光異性化材料と、偏光を照射することにより分子そのものを変化させる光反応材料とに大別することができる。本発明においては上記光異性化材料、および、光反応材料のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも光反応材料を用いることがより好ましい。上述したように光反応材料は、偏光が照射されることによって分子が反応して配向規制力を発現するものであることから、不可逆的に配向規制力を発現することが可能になるため、配向規制力の経時安定性が優れるからである。
上記光反応材料は、偏光照射によって生じる反応の種類によってさらに分別することができる。具体的には、光二量化反応を生じることによって配向規制力を発現する光二量化型材料、光分解反応を生じることによって配向規制力を発現する光分解型材料、光結合反応を生じることによって配向規制力を発現する光結合型材料、および、光分解反応と光結合反応とを生じることによって配向規制力を発現する光分解−結合型材料等に分けることができる。本発明においてはこのような光二量化型材料、光分解型材料、光結合型材料および光分解−結合型材料のいずれであっても好適に用いることができるが、なかでも光二量化型材料を用いることがより好ましい。
本発明に用いられる光二量化型材料は、光二量化反応を生じることにより配向規制力を発現できる材料であれば特に限定されない。なかでも本発明においては光二量化反応を生じる光の波長が200nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
このような光二量化型材料としては、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、または、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマーを挙げることができる。なかでも本発明においてはシンナメート、または、クマリンの少なくとも一方を有するポリマー、シンナメートおよびクマリンを有するポリマーが好ましく用いられる。このような光二量化型材料の具体例としては、例えば特開平9−118717号公報、特表10−506420号公報、および、特表2003−505561号公報に記載された化合物を挙げることができる。
本発明における上記シンナメート、および、クマリンとしては、下記式Ia、Ibで表されるものが好適に用いられる。
Figure 2007268996
上記式中、Aは、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、2,5−チオフェニレン、2,5−フラニレン、1,4−もしくは2,6−ナフチレンを表すか、非置換であるか、フッ素、塩素または炭素原子1〜18個の環式、直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル残基(非置換であるか、フッ素、塩素によって一または多置換されており、1個以上の隣接しない−CH−基が独立して基Cによって置換されていてもよい)によって一または多置換されているフェニレンを表す。
上記式中、Bは、水素原子を表すか、第二の物質、たとえばポリマー、オリゴマー、モノマー、光活性ポリマー、光活性オリゴマーおよび/または光活性モノマーもしくは表面と反応または相互作用することができる基を表す。
上記式中、Cは、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR11−、−NR11−CO−、−CO−NR11−、−NR11−CO−O−、−O−CO−NR11−、−NR11−CO−NR11−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−CO−O−および−Si(CH−O−Si(CH−(R11は水素原子または低級アルキルを表す)から選択される基を表す。
上記式中、Dは、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR11−、−NR11−CO−、−CO−NR11−、−NR11−CO−O−、−O−CO−NR11−、−NR11−CO−NR11−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−CO−O−および−Si(CH−O−Si(CH−(R11は水素原子または低級アルキルを表す)から選択される基、芳香族基または脂環式基を表す。
上記式中、S1およびS2は、互いに独立して、単結合またはスペーサー単位、たとえば炭素原子1〜40個の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキレン基(非置換であるか、フッ素、塩素によって一または多置換されており、1個以上の隣接しない−CH−基が独立して基Dによって置換されていてもよいが、酸素原子が互いに直接的には結合していない)を表す。
上記式中、Qは、酸素原子または−NR11−(R11は水素原子または低級アルキルを表す)を表す。
上記式中、XおよびYは、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、シアノ、炭素原子1〜12個のアルキル(場合によってはフッ素によって置換されており、場合によっては1個以上の隣接しない−CH−基が−O−、−CO−O−、−O−CO−および/または−CH=CH−によって置換されている)を表す。
本発明においては、上記式で表されるシンナメート、および、クマリンのなかでも、特表2004−536185号公報に記載のものを用いることが好ましい。
本発明における配向層として光配向膜を用いる場合、上記配向層には上記光配向材料以外に他の材料が含まれていても良い。このような他の材料としては、通常、一つ以上の官能基を持つモノマー又はオリゴマーが用いられる。このようなモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、アクリレート系の官能基を有する単官能モノマー(例えば、反応性エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン)及び多官能モノマー(例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリエチレン(ポリプロピレン)グリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ポリ(メタ)アクリレート(例えば、イソシアヌル酸EOジアクリレート等))や、ビスフェノールフルオレン誘導体(例えば、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ビスフェノールフルオレンジエポキシアクリレート)等を単体もしくは混合したものとして用いることができる。
また、本発明に用いられる上記モノマー又はオリゴマーは重合性液晶材料であることが好ましい。後述する位相差層に重合性液晶材料が含まれる場合、上記重合性液晶材料は、位相差層に含まれる重合性液晶材料と同一種類のものを含むことが好ましい。
さらに、上記モノマー又はオリゴマーは、本発明に用いられる位相差フィルムを製造する方法として、透明基板上に配向層が積層された時点でロール巻きされる方法を用いる場合は、配向層が常温(20〜25℃)で固体になるものを用いることが好ましい。この場合、モノマー又はオリゴマーの種類としては、常温(20〜25℃)において固体であるものを用いることが好ましい。これにより、透明基板上に配向層が積層された時点でロール巻きされる場合でも、透明基板の裏面に配向層が貼り付くことに起因するブロッキングが生じることを防止できるからである。
上記モノマー又はオリゴマーの含有量は、配向層と後述する位相差層とを所望の強度で密着できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記光反応材料の質量に対して0.01倍〜3倍の範囲内が好ましく、特に0.05倍〜1.5倍の範囲内であることが好ましい。含有量が上記範囲よりも少ないと、配向層と、位相差層とを所望の強度で密着できない場合があるからである。また、上記範囲よりも多いと配向層の配向規制力が低下してしまう可能性があるからである。
本発明における配向層の厚みは、0.01μm〜0.5μmの範囲内が好ましく、なかでも0.02μm〜0.2μmの範囲内が好ましい。
(2)応力緩和層
次に、上記応力緩和層について説明する。本発明に用いられる応力緩和層は、上記密着機能層と位相差層との間に形成され、応力緩和機能を備えるものである。本発明においては、上記高分子積層体として、上記密着機能層が応力緩和機能を有さないものを用いる場合等においては、このような応力緩和層が形成されていることが好ましい。本発明に用いられる応力緩和層としては、上述した樹脂材料からなるものが好適に用いられる。
(3)バリア層
次に、上記バリア層について説明する。本発明に用いられるバリア層は、上記密着機能層と上記位相差層との間に形成され、上記透明基板に含有される添加剤等が上記位相差層に移動することを防止する遮蔽機能を有するものである。本発明に用いられるバリア層としては、上記遮蔽機能を備えるものであれば特に限定されるものではない。このようなバリア層としては、例えば、低分子量モノマーの重合物からなるものや、蒸着法等によって形成された無機透明膜からなるものを挙げることができる。
4.位相差フィルム
本発明に用いられる位相差フィルムが示す位相差性は、本発明の位相差フィルムの用途等に応じて適宜決定することができるが、なかでも本発明の位相差フィルムは、λ/4板としての性質、または、λ/2板としての性質を有することが好ましい。
ここで、上記「λ/4板としての性質を有する」とは、通常、本発明の位相差フィルムReの絶対値が、入射光の波長の1/4の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明の位相差フィルムは、波長550nmにおけるReの絶対値が120nm〜150nmの範囲内であることが好ましい。
また、上記「λ/2板としての性質を有する」とは、通常、本発明の位相差フィルムのReの絶対値が、入射光の波長の1/2の値を示すことを意味するものであるが、なかでも本発明の位相差フィルムは、波長550nmにおけるReの絶対値が250nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
なお、上記Reの定義および測定方法については上記「A.高分子積層体」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明の位相差フィルムのReの波長分散は、波長が短くなるほどRe値が小さくなる逆分散型であっても良く、波長が短くなるほどRe値が大きくなる正分散型であっても良く、または、Re値に波長依存性を有さないフラット型であっても良い。
本発明の位相差フィルムの形態は特に限定されるものではなく、例えば、本発明の位相差フィルムを用いる液晶表示装置の画面サイズに合致したシート状であっても良く、または、長尺状であっても良い。
5.位相差フィルムの製造方法
本発明の位相差フィルムの製造方法としては、上記構成を有する位相差フィルムを製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、通常、上記本発明の高分子積層体を用い、上記高分子積層体の密着機能層上に配向層と位相差層とをこの順で積層する方法が用いられる。上記配向層と位相差層とを積層する方法としては、一般的に公知の方法を用いることができる。
6.位相差フィルムの用途
本発明の位相差フィルムの用途としては、例えば、液晶表示装置に用いられる光学補償フィルム(例えば、視野角補償フィルム)、楕円偏光板、輝度向上板等を挙げることができる。なかでも本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置の視野角依存性改善のための光学補償フィルムとして好適に用いることができる。
C.高分子積層体の製造方法
次に、本発明の高分子積層体の製造方法について説明する。本発明の高分子積層体の製造方法は、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用い、上記透明基板上に重合性モノマーを含有する密着機能層形成用塗工液を塗布することによって密着機能層形成用層を形成した後、上記重合性モノマーを重合することにより密着機能層を形成する密着機能層形成工程を有するものであって、上記重合性モノマーが、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有するものであり、かつ、上記重合性モノマーを構成する炭素数Nを、上記重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数Mで除した値(N/M)が3以上であることを特徴とする高分子積層体の製造方法を提供する。
Figure 2007268996
このような本発明の高分子積層体の製造方法について、図を参照しながら説明する。図3は、本発明の高分子積層体の一例を示す概略図である。図3に例示するように本発明の高分子積層体の製造方法は、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板1を用い(図3(a))、上記透明基板1上に重合性モノマーを含有する密着機能層形成用塗工液を塗布することによって密着機能層形成用層2’を形成した後(図3(b))、上記密着機能層形成用層2’に紫外線を照射し、上記重合性モノマーを重合することによって上記密着機能層形成用層2’を密着機能層2とすることにより、上記透明基板1上に密着機能層2を形成する密着機能層形成工程を有するものである(図3(c))。
このような例において、本発明の高分子積層体の製造方法は、上記密着機能層形成用塗工液に含有される重合性モノマーが、上記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有するものであり、かつ、上記重合性モノマーを構成する炭素数Nを、上記重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数Mで除した値(N/M)が3以上であることを特徴とするものである。
ここで、上記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)においてR、R、Rは、メチル基または水素を表す。また、R4は、水素、メチル基または、エチル基を表す。
本発明によれば、上記密着機能層形成工程が、上記構造を有する重合性モノマーを含有する密着機能層形成用塗工液を用いて、上記シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に密着機能層を形成するものであることにより、上記透明基板との密着性に優れた密着機能層を形成することができる。
このように密着機能層形成用塗工液として上記重合性モノマーを含有するものを用いることによって、透明基板との密着性に優れた密着機能層を形成できるのは次のような理由に基づくものと考えられる。
すなわち、上記重合性モノマーの上記炭素含有比が上記範囲内であることにより、上記重合性モノマーの極性と、上記透明基板を構成するシクロオレフィン系樹脂の極性とを近似させることができる。このため、上記重合性モノマーを含有する密着機能形成用塗工液を上記透明基板上に塗布すると、上記透明基板表面に重合性モノマーが浸透し、この状態で上記重合性モノマーを硬化させることで上記密着機能層と上記透明基板との接着力を向上させることができるものと考えられる。
このようなことから、本発明によればシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板が用いられ、かつ、密着性に優れた高分子積層体を製造することができる。
本発明の高分子積層体の製造方法は、上記密着機能層形成工程を有するものである。
以下、このような密着機能層形成工程について詳細に説明する。
本発明における密着機能層形成工程は、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用い、上記透明基板上に重合性モノマーを含有する密着機能層形成用塗工液を塗布することによって密着機能層形成用層を形成する密着機能層形成用層形成工程と、上記重合性モノマーを重合することにより密着機能層を形成する硬化処理工程とに分けることができる。
以下、上記密着機能層形成用層形成工程と、上記硬化処理工程とに分けて、それぞれについて説明する。
1.密着機能層形成用層形成工程
まず、上記密着機能層形成用層形成工程について説明する。本工程はシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用い、上記透明基板上に上記重合性モノマーを含有する密着機能層形成用塗工液を塗布することによって密着機能層形成用層を形成する工程である。
本工程に用いられる密着機能層形成用塗工液は、上記重合性モノマーと、溶媒と含むものであり、上記重合性モノマーにおける上記炭素含有比が上記範囲内であること特徴とするものである。ここで、本工程に用いられる重合性モノマーについては、上記「A.高分子積層体」の項に記載したものと同様であるためここでの説明は省略する。
上記密着機能層形成用塗工液の固形分中に含まれる上記重合性モノマーの含有量としては、本発明により製造される高分子積層体の用途等に応じて、密着機能層と透明基板との密着力を所望の範囲内にすることができる範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、1重量%〜50重量%の範囲内であることが好ましく、特に5重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましい。
上記密着機能層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、上記重合性モノマーを所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されるものではない。このような溶媒としては、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶媒を例示することができる。また、本工程に用いられる溶媒は、1種類でもよく、2種類以上の溶媒の混合溶媒でも良い。
本工程に用いられる密着機能層形成用塗工液には、上記重合性モノマー以外に他の化合物が含まれていても良い。本工程に用いることができる他の化合物としては特に限定されるものではなく、本発明により透明基板上に形成される密着機能層に付与する機能等に応じて、適宜選択して用いることができる。このような他の化合物としては、上記「A.高分子積層体」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記密着機能層形成用塗工液を透明基板上に塗工する塗布方法としては、所望の平面性を達成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、プリント法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等を挙げることができる。
上記密着機能層形成用塗工液の塗膜の乾燥方法は、加熱乾燥方法、減圧乾燥方法、ギャップ乾燥方法等、一般的に用いられる乾燥方法を用いることができる。また、本工程における乾燥方法は、単一の方法に限られず、例えば残留する溶媒量に応じて順次乾燥方式を変化させる等の態様により、複数の乾燥方式を採用してもよい。
2.硬化処理工程
次に、上記硬化処理工程について説明する。本工程は、上記密着機能層形成用層形成工程によって透明基板上に形成された密着機能層形成用層中に含まれる重合性モノマーを重合することによって上記密着機能層形成用層を硬化し、密着機能層とする工程である。
本工程において、上記重合性モノマーを重合する方法としては、上記式(1)で表される重合性官能基の重合反応を誘起できる方法であれば特に限定されるものではないが、通常、上記密着機能層形成用層に紫外線を照射する方法が用いられる。
上記紫外線は、波長が150nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、なかでも250nm〜450nmの範囲内であることが好ましい。
3.高分子積層体
本発明により製造される高分子積層体は、透明基板と、上記透明基板上に密着機能層が形成された構成を有し、上記密着機能層に上記重合性モノマーの重合物が含有されたものになる。このような高分子積層体については、上記「A.高分子積層体」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に、実施例を示すことにより本発明についてさらに具体的に説明する。
(1)実施例1
重合性モノマーとしてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(炭素含有比=4.5)用い、当該重合性モノマーを固形分40%になるようにMEKに溶解させ、さらに開始剤を添加した密着機能性形成用塗工液をノルボルネン系樹脂からなる透明基板(ジェイエスアール社製 商品名:アートン)上に塗工した後、80℃の温風で2分間乾燥し、120mJ/cmのUVにて硬化させ厚み6μmになるように密着機能層を形成した。
次に、トルエン溶液に固形分20%になるように重合性液晶を溶解させ、更に重合開始剤、レベリング剤を添加した位相差層形成用塗工液を上記密着機能層上に塗工した後、60℃の温風で2分間乾燥させた。さらに100mJ/cmのUVにて硬化させ、上記密着機能層上に厚み1μmの位相差層を形成することにより、位相差フィルムを作製した。
(2)実施例2
上記重合性モノマーとして、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(炭素含有比=3)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により位相差フィルムを作製した。
(3)実施例3
上記重合性モノマーとして、カプロラクトン変性ウレタンアクリレート(炭素含有比<3)100重量部に対して1,9−ノナンジオールジアクリレート(炭素含有比=3.75)を20重量部混合したものを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法により密着機能層を形成した。ここで、カプロラクトン変性ウレタンアクリレートは、密着機能層に応力緩和機能を付与することを目的として用いた。
次に、シンナモイル基をもつポリマーを含有する光配向膜材料を、シクロヘキサノンに1重量%になるように溶解させた配向層形成用塗工液を、上記密着機能層上に厚み100nmになるように形成した。
次に、上記配向層上に実施例1と同様の方法によって位相差層を形成することにより、位相差フィルムを作製した。
(4)実施例4
上記重合性モノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(炭素含有比=1.86)100重量部に対してトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(炭素含有比=4.5)を30重量部混合したものを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法により位相差フィルムを作製した。
ここで、上記ペンタエリスリトールトリアクリレートは、密着機能層に配向性を付与することを目的として用いた。
(5)比較例1
上記重合性モノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(炭素含有比=1.86)を使用した以外は、実施例1と同様に位相差フィルムを作製した。
(6)比較例2
上記重合性モノマーとしてネオペンチルグリコールジアクリレート(炭素含有比=1.86)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により位相差フィルムを作製した。
(7)評価
上記実施例および比較例において作製した位相差フィルムについて液晶配向性評価と、密着性評価を行った。上記液晶配向性評価は、クロスニコルに配置された2枚の偏光板の間に位相差フィルムを配置し、上記偏光板の一方から白色光を照射し、他方の偏光板側から目視で光漏れを評価することにより実施した。
また、上記密着性評価は、1mm角の切れ目を碁盤目状に入れ、接着テープ(ニチバン社製、商品名:セロテープ(登録商標))を位相差層の表面に貼り付けて、その後、接着テープを引き剥がし、目視により観察した。このとき、密着性を剥がれなかった部分のマス目数/テープを貼り付けた領域のマス目数で評価した。
Figure 2007268996
本発明の高分子積層体の一例を示す概略断面図である。 本発明の位相差フィルムの一例を示す概略図である。 本発明の位相差フィルムの他の例を示す害略図である。 一般的な液晶表示装置の一部を模式的に示す概略図である。
符号の説明
1 … 透明基板
2 … 密着機能層
2’ … 密着機能層形成用層
3 … 位相差層
10 … 高分子積層体
20 … 位相差フィルム

Claims (3)

  1. シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板と、前記透明基板上に接するように形成され、重合性モノマーの重合物を含有する密着機能層と有する高分子積層体であって、
    前記重合性モノマーが、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有するものであり、かつ、前記重合性モノマーを構成する炭素数Nを、前記重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数Mで除した値(N/M)が3以上であることを特徴とする、高分子積層体。
    Figure 2007268996
    (ここで、上記式においてR、R、Rは、メチル基または水素を表す。また、R4は、水素、メチル基または、エチル基を表す。)
  2. 請求項1に記載の高分子積層体が有する密着機能層上に、液晶材料を含有する位相差層が形成されていることを特徴とする位相差フィルム。
  3. シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用い、前記透明基板上に重合性モノマーを含有する密着機能層形成用塗工液を塗布することによって密着機能層形成用層を形成した後、前記重合性モノマーを重合することにより密着機能層を形成する密着機能層形成工程を有する高分子積層体の製造方法であって、
    前記重合性モノマーが、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)および、(V)からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を有するものであり、かつ、前記重合性モノマーを構成する炭素数Nを、前記重合性モノマーを構成する炭素および水素以外の元素数Mで除した値(N/M)が3以上であることを特徴とする高分子積層体の製造方法。
    Figure 2007268996
    (ここで、上記式においてR、R、Rは、メチル基または水素を表す。また、R4は、水素、メチル基または、エチル基を表す。)
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