JP2007268473A - 水素を利用する有機物含有廃水の処理方法 - Google Patents

水素を利用する有機物含有廃水の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、有機物を含有する廃水を水素を添加しながら高温高圧条件化で触媒と接触させることにより廃水を浄化すると共に有機物を燃料ガスとして回収する技術において、炭酸塩として析出しやすい金属成分を含む廃水を処理する場合に、触媒の劣化や配管の閉塞といった問題を生じることなく、有機物の高い分解率を長期間保持することができる廃水処理方法を提供する。
【解決手段】炭酸塩として析出しやすい金属成分と有機物とを含有する廃水と水素とを、少なくとも半分以上の廃水が液相を維持することができる条件で触媒と接触させることにより、前記廃水中の有機物をメタン及び水素を主成分とする燃料ガスに変換する廃水処理方法であって、生成ガス中に二酸化炭素が生成しないように廃水に水素を添加して処理することを特徴とする廃水処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、水素を利用して有機物含有廃水を燃料ガスに変換する方法に関する。
従来、固形有機性廃棄物(好気性処理汚泥、嫌気性処理汚泥、下水汚泥などの汚泥類;厨芥、紙、プラスチック、木片、竹片、草片、藁、繊維、野菜片、ゴム、皮、食品加工廃棄物、畜産廃棄物、森林間伐材/倒木、枝打ちなどの廃棄物、農林廃棄物、水産物廃棄物など)と液状有機性廃棄物(生活廃水、食品加工工場などからの廃水、畜舎/養鶏場などからの廃水、生物学的処理が困難な成分を含む産業廃水などの廃水;アルコール類、カルボン酸類、アルデヒド類などを含む廃水など)とは、それぞれの特性に応じた個別の技術により処理されている。
しかしながら、現今の大きな技術的課題である「限りある資源の有効利用」という視点からは、これらの廃棄物を資源として再利用することが必要である。
本発明者らは、以前、この様な技術の現状にかんがみて、鋭意研究を進めた結果、固形および液状の有機性廃棄物から調整した液状有機物を高いガス化効率で水熱反応させることにより、燃料ガス、電力、熱エネルギーなどの有用な形態で回収し、再利用する技術を開発している(特許文献1および特許文献2)。
また、非特許文献1には、600℃の超臨界条件で燃料ガスを製造する方法が報告されている。
この技術では、液状有機物の濃度、種類などによっては、ガス化分解されにくい炭素成分(チャーなど)が、反応装置壁、配管壁、触媒表面などに析出/付着することにより、水熱反応を阻害したり、触媒活性を低下させたり、或いは燃料ガスの収率を低下させる場合があることが判明した。
そこで、有機物含有廃水に還元性ガス(水素)を添加することにより、廃水中の有機物を分解して燃料ガスを製造しつつ、廃水を浄化する技術が注目されている(特許文献3等)。
この技術は極めて有用であるが、炭酸塩として析出しやすい金属成分を含む廃水を処理する場合、析出する炭酸塩が触媒の表面や配管等に付着し、触媒の劣化や配管の閉塞といった問題を生じることがあった。
特開2002-105466号公報 特開2002-105467号公報 特開2004-352756号公報 Xu, X., Matsumura, Y., Stenberg, J., Antal, M., Ind. Eng. Chem. Res., 35, 2522
本発明は、有機物を含有する廃水を水素を添加しながら高温高圧条件化で触媒と接触させることにより廃水を浄化すると共に有機物を燃料ガスとして回収する技術において、炭酸塩として析出しやすい金属成分を含む廃水を処理する場合に、触媒の劣化や配管の閉塞といった問題を生じることなく、有機物の高い分解率を長期間保持することができる廃水処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の様な課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、廃水中に炭酸塩として析出しやすい金属成分(例えば、カルシウムイオン等)を含む場合に、水素添加量が十分でないと、生成ガス中に炭酸ガスが生成し、その炭酸ガスが該金属成分と反応して水に不溶の金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム等)を生成し、これが上記の触媒失活や配管の閉塞の原因となることが明らかとなった。そこで、廃水中含まれる(有機物中の)炭素量に対する水素添加量の比率を高めることにより炭酸塩の析出が抑制され、上記の課題を解決できることが分かった。かかる知見に基づき、さらに検討を加えた結果本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の廃水処理方法を提供する
項1. 炭酸塩として析出しやすい金属成分と有機物とを含有する廃水と水素とを、少なくとも半分以上の廃水が液相を維持することができる条件で触媒と接触させることにより、前記廃水中の有機物をメタン及び水素を主成分とする燃料ガスに変換する廃水処理方法であって、生成ガス中に二酸化炭素が生成しないように廃水に水素を添加して処理することを特徴とする廃水処理方法。
項2. 廃水中に含まれる有機物の炭素、水素及び酸素の組成が、式:C(式中、n≧1、m≧1、l≧0を示す。)で表される場合、廃水中に含まれる全有機炭素1モルに対する水素添加量(モル):X(mol-H2/mol-C)が、式:
(4n−m+2l)/2n≦X
(式中、n、m及びlは前記に同じ。)
の関係を満たす項1に記載の廃水処理方法。
項3. 廃水中に含まれる全有機炭素1モルに対する水素添加量(モル):Xが、式:
1.1×[(4n−m+2l)/2n]≦X
(式中、n、m及びlは前記に同じ。)
の関係を満たす項2に記載の廃水処理方法。
本発明において、「有機物」とは、工業原料及び燃料として提供されている各種有機物のほか、生活廃水、産業廃水、汚泥などの液状ないし含水有機性廃棄物、厨芥類、廃木材、紙、プラスチック類などの固形有機物と有機性廃液とを適宜混合粉砕することにより得られる混合物、或いはこれらを生物学的、物理的、化学的に処理したものなどが挙げられる。
以下、本発明の一実施態様である図1を適宜参照しながら、本発明を詳述する。
本発明の廃水処理方法は、炭酸塩として析出しやすい金属成分と有機物とを含有する廃水と水素とを、少なくとも半分以上の廃水が液相を維持することができる条件で触媒と接触させることにより、前記廃水中の有機物をメタン及び水素を主成分とするに変換する廃水処理方法であり、生成ガス中に二酸化炭素が生成しないように廃水に水素を添加して処理することを特徴とする。
この処理方法により、生成ガス中に二酸化炭素がほとんど生成せず、上記金属成分と二酸化炭素に由来する炭酸塩の生成(析出)が抑制されるため、触媒の劣化や配管の閉塞等の問題を解消することができる。そのため、触媒の高い分解率を維持しつつ長期間の連続処理が可能となる。
本発明が処理対象とする廃水は、炭酸塩として析出しやすい金属成分と有機物とを含有するものであれば特に限定はない。
炭酸塩として析出しやすい金属成分としては、Caイオン、Baイオン、Liイオン、Srイオン、Cuイオン、Pbイオン、Niイオン、Coイオン等が例示され、これらの金属成分の1種又は2種以上を含んでいてもよい。特に、炭酸塩として析出しやすいカルシウムイオンを含有する場合に、本発明の効果は顕著に現れる。これらの金属成分は、水中に含まれている限り、イオン、化合物等のいずれの形態であってもよい。また、被処理物である有機物中に含まれていてもよい。廃水中における金属成分の含有量は、金属原子(又は金属イオン)濃度として、通常1〜100 mg/L程度であればよい。
有機物としては、液状および固形状の有機物が挙げられる。
固形状の有機物としては、特に限定されず、都市ゴミなどの一般廃棄物;好気性処理汚泥、嫌気性処理汚泥、下水汚泥などの汚泥類;草木、竹、草、藁、繊維類、野菜くず、ゴム、皮、農業/林業/畜産業/養鶏業/水産業などの生物関連の廃棄物および生産物などの固形有機物(トウモロコシの軸、おから、コーヒー豆粕、麦わら、稲わら、間伐材、倒木など;ジャイアントケルプ、ユーカリなどを含む広義のバイオマス);鉱産物(石炭、泥炭その他)、各種の炭化水素類などが例示される。これらの固形状有機物は、2種以上の混合状態で処理しても良い。
液状の有機物源としては、メタノールなどの工業原料及び燃料として提供されている各種有機物のほか、厨芥、紙、プラスチックなどを含む生活廃水、有機化合物(アルコール類、エーテル類、カルボン酸類、アルデヒド類など)を含む廃水、し尿、メッキ廃水、食品工場廃水、製紙工場廃水、製薬工場廃水、写真廃水、印刷廃水、農薬関連廃水、染色廃水、半導体製造工場廃水、石炭の液化或いはガス化に伴い発生する廃水、都市ゴミの熱分解に伴い発生する廃水などの有機物を含有する廃水などが例示される。これらの廃水は、2種以上を混合して処理することもできる。
廃水中における全有機物濃度(TOC)は、通常1000〜150000 mg/L程度、好ましくは5000〜20000 mg/L程度であればよい。
本発明が処理対象とする有機物を含有する廃水は、上記の固形状および液状の有機物源の少なくとも1種に、水などの液体を加え、攪拌することにより、形成することができる。この際、固形状有機物源は、スラリーを形成させるために、予め適当な大きさに粉砕しておくことが好ましい。廃棄物、バイオマスなどの固形有機物は、金属、ガラスなどの無機成分を出来るだけ除去するために、常法に従って、前処理装置(図示せず)で分別処理され、次いで破砕機等において破砕された後、水および/または液状の有機物源と混合されて、被処理用廃水を調製する。
図1に示す通り、貯留タンク1に収容された廃水は、昇圧ポンプ3により加圧され、水素昇圧ポンプ6により加圧された水素とライン7で混合される。
ここでの水素の添加量は、反応装置10で生じる生成ガス中に二酸化炭素が生成しないように制御された量である。ここで、生成ガス中に二酸化炭素が生成しないとは、廃水中の金属成分と炭酸塩を形成して廃水処理に悪影響を与えない程度の二酸化炭素の生成量を上限とする量であればよく、具体的には生成ガス中の二酸化炭素の含有量が、10 mol%以下、好ましくは1 mol%以下、より好ましくは0.1 mol%以下である。
添加する水素の量は、次のようにして定められる。廃水中に含まれる有機物の炭素、水素及び酸素の組成が、式:C(式中、n≧1、m≧1、l≧0を示す。)で表される場合、廃水中に含まれる全有機炭素1モルに対する水素添加量(モル):X(mol-H2/mol-C)が、式:
(4n−m+2l)/2n≦X
(式中、n、m及びlは前記に同じ。)
の関係を満たすように定めることが好ましい。なお、X=(4n−m+2l)/2nの場合は、有機物中の炭素が水素と結合して全てメタンを生成し得る理論水素添加量に相当する。
水素の添加量:Xは、好ましくは、式:
1.1×[(4n−m+2l)/2n]≦X
(式中、n、m及びlは前記に同じ。)
の関係を満たすように、より好ましくは、式:
1.2×[(4n−m+2l)/2n]≦X
(式中、n、m及びlは前記に同じ。)
の関係を満たすように、特に好ましくは、式:
1.3×[(4n−m+2l)/2n]≦X
(式中、n、m及びlは前記に同じ。)
の関係を満たすように定める。具体的には、図5から容易に理解できる。
経済性を考慮すると、水素の添加量は少ない方がよく、通常、Xが式:(4n−m+2l)/2nの2倍以下となるように水素添加量を定める。
なお、廃水中に複数の有機物を含有する場合には、有機物の種類(組成式)とその含有モル%から、廃水中に含まれる有機物全体の平均値として炭素、水素及び酸素の組成式:C(式中、n≧1、m≧1、l≧0を示す。)が導き出せる。
上記の条件で水素を添加して処理することにより、反応装置内での二酸化炭素の生成を大幅に減少(10 mol%以下)することができるため、廃水中の炭酸塩として析出しやすい金属成分と水不溶性の炭酸塩を形成しない。そのため、長時間にわたり連続的に安定して廃水処理を行うことができる。
水素が混合された廃水は、熱交換器9で140〜160℃程度に加熱され、触媒を充填した反応装置10に供給される。熱交換器2の熱源としては、任意の加熱手段を使用することができる。例えば、図1に示す様に、反応装置10からの気液混合相を熱源として使用することができる。
反応装置10における反応は、少なくとも半分以上の廃水が液相を維持することができる条件で触媒と接触させることにより行う。ここで、「少なくとも半分以上の廃水が液相を維持することができる条件」とは、蒸発する水蒸気量が廃水量の半分以下となる条件と同義であり、具体的には、反応温度における装置内圧力、当該温度における水の蒸気圧、混合する水素の量の関係により決定される水蒸気の重量が廃水の重量の半分を上らない条件を意味する。
水が蒸発すると廃水中に溶解している成分の濃度が高まり、溶解度を超えた成分が析出することにより、閉塞や触媒の被毒といった問題を生じるため、水の蒸発量は少ない方が好ましく、蒸発する水の割合が50重量%を越えないことが好ましい。
反応装置10に充填される触媒としては、担体に触媒活性成分が担持された触媒が好適に用いられる。触媒活性成分としては、Ru、Pd、Rh、Pt、Au、Ir、Os、Fe、Cu、Zn、Ni、Co、MnおよびCe、ならびにその水不溶性乃至水難溶性化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられ、担体としては、チタニア、ジルコニア、チタニア-ジルコニア、アルミナ、シリカ、アルミナ-シリカおよび活性炭からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物が挙げられる。好ましい金属活性成分としては、Ru、 Pt及びNiが挙げられ、特にRuが好適である。また、好ましい担体としては、チタニア及び活性炭が挙げられ、特にチタニアが好適である。
担体に対する触媒活性成分の担持量は、通常0.01〜10重量%程度であり、より好ましくは0.1〜3重量%程度である。
担体上に触媒活性成分である金属を担持する方法は、公知の方法が採用され、例えば、含浸、アルカリ処理、還元などを組み合わせて実施できる。
触媒の形状は、特に限定されず、球状、ペレット状、円柱状、破砕片状、粉末状、ハニカム状などが例示される。
反応温度、圧力及び時間は、触媒の種類、処理される有機物の組成、反応装置の大きさなどに応じて適宜決定されるが、通常、温度は150〜370 ℃程度(好ましくは200〜300 ℃程度)、圧力は1〜22 MPa程度(好ましくは1〜10 MPa程度)であればよい。なお、反応時間は、0.5〜120 分程度であればよい。
また、WHSV(=液状有機物量[kg/h]÷触媒重量[kg])は0.5〜120 h-1程度(好ましくは1〜60 h-1程度)、液線速度(挿入液量/反応塔断面積;反応器入口基準)は、0.05〜10 cm/secの範囲内であればよい。
反応装置10の反応器形式は、特に限定されるものではないが、固定床のものが例示される。反応装置10の容積は、固定床の場合には、液の空間速度(入口基準)が0.5〜100 hr-1程度、より好ましくは1〜60 hr-1程度となる様にするのが良い。固定床で使用する担持触媒の大きさは、球状、ペレット状、円柱状、破砕片状、粉末状などの場合には、通常1〜50 mm程度、より好ましくは2〜25 mm程度である。
反応装置10で形成された気液混合相は、反応器外に取り出され、熱交換器9を経て、冷却器13において一次冷却される。さらに、必要に応じ減圧弁を経て気液分離器14に送られ、気相(燃料ガス)と液相(排出水)とに分離される。得られた気相は、保圧弁(図示せず)を経て系外に取り出され、液相は、液位調整弁(図示せず)を経て系外に取り出される。
本発明の廃水処理方法により生成するガスは、主としてメタン及び水素を含み二酸化炭素はほとんど生成しない。そのため、廃水中に含まれるカルシウムイオンと二酸化炭素の反応による炭酸カルシウムの生成が抑制され、触媒の失活や配管の閉塞等の問題は発生せず、円滑な廃水処理が可能となる。この点については、例えば、実施例1の結果を見れば容易に理解できる。
また、生成するメタン及び水素を含む生成ガスは、通常、水素を1〜50 vol%程度、メタンを50〜99 vol%程度含有する。
本発明の廃水処理方法によれば、生成ガス中に二酸化炭素がほとんど生成せず、カルシウムイオン等の金属成分と二酸化炭素に由来する炭酸塩の析出が抑制されるため、触媒の劣化や配管の閉塞等の問題を解消することができる。そのため、触媒の高い有機物分解率を維持しつつ長期間の連続処理が可能となる。
次に本発明を、実施例によって更に詳述するが、これに限定されるものではない。
実施例1
図1に示すフローに従って、カルシウムイオン35 mg/Lを含む全有機炭素濃度(TOC) 15,000 mg/lの廃水を処理した。
貯留タンク1からの廃水とライン7より加圧された水素とが混合され、熱交換器9の内管側に加圧導入するとともに、熱交換器9の外殻側に反応装置10からの処理気液混合相を供給し、熱交換器9内管側の出口から排出される廃水の温度が150℃となるように調整した。また、反応装置10外面に設置した加熱ヒーターにより、反応装置10から排出される処理水の温度が250℃となるように調整した。系内の圧力は8.83MPaとなるよう調整し、反応装置10内における反応時間は17分とした。反応装置10内の触媒は、チタニア担体にルテニウムを担持したものを用いた。
水素を供給しない場合と水素を2.62 mol-H2/mol-C供給する場合について、反応装置10から排出される処理水14をサンプリングし、全有機炭素濃度(TOC)を測定した。なお、「mol-H2/mol-C」とは、廃水中の全有機炭素1molに対する供給する水素のモル数を表す。
その結果、図2の通りとなり、2.62 mol-H2/mol-Cの水素を供給した場合は200時間経過後でも十分な処理性能を維持していたが、水素無添加の場合は析出物が生成し、TOC分解率が経時的に低下した。
そこで、触媒の活性低下の原因と考えられる析出物の組成をFT-IR法(赤外分光光度法)で分析したところ、図3のような結果となり、析出物の大部分が炭酸カルシウムであることが明らかとなった。
この結果から、カルシウムイオンを含む廃水を処理する場合、水素を添加せずに処理をすると、処理の過程で二酸化炭素が生成し、その二酸化炭素がカルシウムイオンと反応して炭酸カルシウムとして析出し、結果として触媒の活性を低下させる原因となることが明らかとなった。
一方、十分な量の水素を添加して処理すると、二酸化炭素はほとんど生成せず、そのため炭酸カルシウムも生成しないため、触媒の活性が長期間維持されることが明らかとなった。
実施例2
Aspentech社製プロセスシミュレーションソフト・HYSYSを用い、全有機炭素(TOC)濃度15,000 mg/Lのフェノールを含む廃水に、水素を添加して反応させる場合の水素添加量と生成ガス組成の関係を求めた。結果を図4に示す。
その結果、1.6 mol-H2/mol-C以上の水素を添加すると、生成ガス中の二酸化炭素濃度はほぼゼロとなることが明らかとなった。
このことから、1.6 mol-H2/mol-Cの水素を添加して処理することにより、カルシウムイオン等の炭酸塩として析出しやすい金属成分を含む廃水を長期間連続的に処理することが可能となる。
実施例3
図1に示すフローに従って、カルシウムイオン35 mg/Lを含むTOC濃度11500mg/lの廃水(表1に主成分を示す)を処理した。なお、系内の圧力を8.83MPaに設定した。
また、反応装置10には、チタニア担体に、担体重量の2%のルテニウムを担持させてなる球形触媒(直径4〜6mm)を充填した。
表1
マレイン酸 5000(mg/l)
酢酸 11000(mg/l)
ホルムアルデヒド 13000(mg/l)
マレイン酸(C4H4O4)の理論水素添加量は2.5 mol-H2/mol-Cであり、酢酸(C2H4O2)の理論水素添加量は2.0 mol-H2/mol-Cであり、ホルムアルデヒド(CH2O)の理論水素添加量は2.0 mol-H2/mol-Cとなる。各成分の理論水素添加量を各成分の濃度で比例配分すると、この廃液の理論水素添加量は2.086 mol-H2/mol-Cと求められる。
貯留タンク1からの廃水にライン7を通じて水素を混合した。得られた混合流体を熱交換器9の内管側に導入し、内管の出口から排出した。この際、反応装置10から熱交換器9の外殻側に、後述する水熱反応により得られた気液混合相を送ることにより、熱交換器9の内管の出口から排出される混合流体の温度が150℃となるよう調整した。
排出された混合流体を反応装置10に導入しながら、反応装置10を加熱ヒータを用いて加熱することにより、215℃で廃水と水素とを水熱反応させた。
なお、反応装置10内での廃水と水素との反応は、廃水中の全有機炭素1molに対する水素添加量58.7Nl(2.62 mol)、水素分圧6.5MPa、空塔速度3.5hr−1(空塔容積基準)、反応時間17分間(=触媒充填量(m)÷廃水処理量(m/hr)×60)、液線速度0.11cm/secの条件下に行った。
水熱反応後の気液混合相を、熱交換器9及び冷却器13を経て気液分離器14に送り、気相(ガス)と液相(処理水)とに分離した。
得られたガスをサンプリングし、ガス中の各成分濃度を測定した。得られたガスの組成は、CH43.8%、H51.5%、CO0.13%及びその他4.57%であった。二酸化炭素はほとんど生成せず、そのため炭酸カルシウムも生成しないため、触媒の活性が長期間維持された。
実施例4
廃水中の全有機炭素1molに対する水素添加量を73Nl(3.26 mol)とした以外は、実施例1と同様の方法により廃水処理を行った。
得られたガスをサンプリングし、ガス中の各成分濃度を測定した。得られたガスの組成は、CH32.0%、H64.5%、CO0.03%及びその他3.47%であった。二酸化炭素はほとんど生成せず、そのため炭酸カルシウムも生成しないため、触媒の活性が長期間維持された。
実施例5
廃水中の全有機炭素1molに対する水素添加量を104.3Nl(4.66 mol)とした以外は、実施例1と同様の方法により廃水処理を行った。
得られたガスをサンプリングし、ガス中の各成分濃度を測定した。得られたガスの組成は、CH20.0%、H76.9%、CO0.03%及びその他3.07%であった。二酸化炭素はほとんど生成せず、そのため炭酸カルシウムも生成しないため、触媒の活性が長期間維持された。
比較例1
廃水中の全有機炭素1molに対する水素添加量を11.7Nl(0.52 mol)とした以外は、実施例1と同様の方法により廃水処理を行った。
得られたガスをサンプリングし、ガス中の各成分濃度を測定した。得られたガスの組成は、CH33.3%、H2.15%、CO60.1%及びその他4.45%であった。また、廃水処理において二酸化炭素が多く生成し炭酸カルシウムが析出して、触媒の劣化や配管の閉塞が生じてしまった。
実施例3〜5及び比較例1において求めた各水素添加量(mol-H2/mol-C)を廃液の理論水素添加量(2.086 mol-H2/mol-C)で割った値を横軸とし、生成ガス中の二酸化炭素mol分率を縦軸とし、両者の関係を図5に示す。なお、実施例3,4,5及び比較例1における水素添加量/理論水素添加量の値は、それぞれ1.26、1.56、2.23、0.25となる(図5の横軸を参照)。
図5によれば、水素添加量/理論水素添加量の値が約1.1以上の場合には、生成ガス中の二酸化炭素濃度を10 mol%以下にすることができた。また、実施例3のように水素添加量/理論水素添加量の値が約1.25以上の場合は、生成ガス中の二酸化炭素濃度をほぼゼロ(0.13 mol%以下)にすることができた。
この様に、水素添加量/理論水素添加量の値が約1.1の水素を添加して処理することにより、二酸化炭素の生成を抑制することができるため、炭酸塩として析出しやすい金属成分を含む廃水であっても長期間連続的に処理することが可能となる。
本発明の概要を示すフローシートである。 実施例1における反応装置10から排出される処理水の全有機炭素(TOC)濃度の測定結果を示すグラフである。 実施例1における水素無添加の場合に生じる析出物をFT-IR法(赤外分光光度法)で分析したスペクトルチャートである。 実施例2におけるAspentech社製プロセスシミュレーションソフト・HYSYSを用いた水素添加量と生成ガス組成の関係を示すグラフである。 実施例3〜5及び比較例1において求めた水素添加量を廃液の理論水素添加量(2.086 mol-H2/mol-C)で割った値を横軸とし、生成ガス中の二酸化炭素mol分率を縦軸として、両者の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 貯留タンク
3 昇圧ポンプ
5 水素供給ライン
6 水素昇圧ポンプ
9 熱交換器
10 反応装置
13 冷却器
14 気液分離器
15 圧力コントロールバルブ
16 液面コントロールバルブ

Claims (3)

  1. 炭酸塩として析出しやすい金属成分と有機物とを含有する廃水と水素とを、少なくとも半分以上の廃水が液相を維持することができる条件で触媒と接触させることにより、前記廃水中の有機物をメタン及び水素を主成分とする燃料ガスに変換する廃水処理方法であって、生成ガス中に二酸化炭素が生成しないように廃水に水素を添加して処理することを特徴とする廃水処理方法。
  2. 廃水中に含まれる有機物の炭素、水素及び酸素の組成が、式:C(式中、n≧1、m≧1、l≧0を示す。)で表される場合、廃水中に含まれる全有機炭素1モルに対する水素添加量(モル):X(mol-H2/mol-C)が、式:
    (4n−m+2l)/2n≦X
    (式中、n、m及びlは前記に同じ。)
    の関係を満たす請求項1に記載の廃水処理方法。
  3. 廃水中に含まれる全有機炭素1モルに対する水素添加量(モル):Xが、式:
    1.1×[(4n−m+2l)/2n]≦X
    (式中、n、m及びlは前記に同じ。)
    の関係を満たす請求項2に記載の廃水処理方法。
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