JP2007267746A - 炭素代謝およびエネルギー生産に関連するタンパク質をコードするコリネバクテリウム−グルタミカム遺伝子 - Google Patents
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Abstract
【課題】コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子の生成に関連するSMP核酸およびタンパク質分子を提供する。
【解決手段】コリネバクテリウム−グルタミカムの酸化的リン酸化なによる糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子の生成に関連する特定の配列からなる群より選択された、単離された核酸分子、またはその相補物。該核酸分子を含むベクター。該核酸分子の発現により、ファインケミカルの製造が調節される宿主細胞。
【選択図】なし
【解決手段】コリネバクテリウム−グルタミカムの酸化的リン酸化なによる糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子の生成に関連する特定の配列からなる群より選択された、単離された核酸分子、またはその相補物。該核酸分子を含むベクター。該核酸分子の発現により、ファインケミカルの製造が調節される宿主細胞。
【選択図】なし
Description
本発明は、炭素代謝およびエネルギー生産に関連するタンパク質をコードするコリネバクテリウム−グルタミカム遺伝子に関するものである。
(関連出願)
本出願は、先に提出した1999年6月25日提出の米国仮特許出願60/141031、1999年7月9日提出の米国仮特許出願60/143208、および1999年8月31日提出の米国仮特許出願60/151572の優先権を主張する。本出願はまた、先に提出された1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931412.8、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931413.6、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931419.5、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931420.9、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931424.1、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931428.4、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931431.4、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931433.0、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931434.9、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931510.8、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931562.0、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931634.1、1999年7月9日提出のドイツ特許出願19932180.9、1999年7月9日提出のドイツ特許出願19932227.9、1999年7月9日提出のドイツ特許出願19932230.9、1999年7月14日提出のドイツ特許出願19932924.9、1999年7月14日提出のドイツ特許出願19932973.7、1999年7月14日提出のドイツ特許出願19933005.0、1999年8月27日提出のドイツ特許出願19940765.7、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942076.9、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942079.3、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942086.6、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942087.4、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942088.2、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942095.5、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942123.4、および1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942125.0の優先権を主張する。上記全出願の全ての内容は、本明細書中で明確に参考として援用される。
本出願は、先に提出した1999年6月25日提出の米国仮特許出願60/141031、1999年7月9日提出の米国仮特許出願60/143208、および1999年8月31日提出の米国仮特許出願60/151572の優先権を主張する。本出願はまた、先に提出された1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931412.8、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931413.6、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931419.5、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931420.9、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931424.1、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931428.4、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931431.4、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931433.0、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931434.9、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931510.8、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931562.0、1999年7月8日提出のドイツ特許出願19931634.1、1999年7月9日提出のドイツ特許出願19932180.9、1999年7月9日提出のドイツ特許出願19932227.9、1999年7月9日提出のドイツ特許出願19932230.9、1999年7月14日提出のドイツ特許出願19932924.9、1999年7月14日提出のドイツ特許出願19932973.7、1999年7月14日提出のドイツ特許出願19933005.0、1999年8月27日提出のドイツ特許出願19940765.7、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942076.9、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942079.3、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942086.6、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942087.4、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942088.2、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942095.5、1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942123.4、および1999年9月3日提出のドイツ特許出願19942125.0の優先権を主張する。上記全出願の全ての内容は、本明細書中で明確に参考として援用される。
細胞の天然に存在する代謝過程の一定の産物および副産物は、食品、飼料、化粧品、および製薬産業を含む広範な種々の産業で有用である。これらの分子(集合的に、「精製化学製品(ファインケミカル)」と呼ばれる)には、有機酸、タンパク質生成および非タンパク質生成アミノ酸、ヌクレオチドおよびヌクレオシド、脂質および脂肪酸、ジオール、炭水化物、芳香族化合物、ビタミンおよび補因子、ならびに酵素が含まれる。その生産は、1つまたは複数の所望の分子を大量に産生および分泌させるように開発された細菌の大量培養によって最も都合よく行われる。この目的の1つの特に有用な生物は、コリネバクテリウム−グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)(グラム陽性、非病原性細菌)である。株の選択によって、多数の所望の化合物を産生する多数の変異株が開発されている。しかし、特定の分子の産生用に改良された株の選択は、時間のかかる困難な過程である。
本発明は、様々に用途がある新規の細菌核酸分子を提供する。これらの用途には、精製化学製品の製造に使用することができる細菌の同定、C.グルタミカム(C.glutamicum)または関連細菌による精製化学製品の調整、C.グルタミカムゲノムのマッピングの基準点および形質転換のマーカーとしてのC.グルタミカムまたは関連細菌の分類または同定が含まれる。これらの新規の核酸分子は、本明細書中で糖代謝および酸化的リン酸化(SMP)タンパク質と呼ばれるタンパク質をコードする。
C.グルタミカムは、種々の精製化学製品の大量生産用、炭化水素の分解(例えば石油流出など)、およびテルペノイドの酸化などの産業に一般に使用されているグラム陽性の好気性菌である。したがって、本発明のSMP核酸分子を使用して、例えば発酵過程による精製化学製品の生産に使用することができる細菌を同定することができる。本発明のSMP核酸分子の発現または本発明のSMP核酸分子配列改変を使用して、細菌由来の1つまたは複数の化学製品の生産を調整することができる(例えば、コリネバクテリウム(Corynebacterium)またはブレビバクテリウム(Brevibacterium)由来の1つまたは複数の精製化学製品の生産量または生産を改良する)。
本発明のSMP核酸を使用して、コリネバクテリウム−グルタミカムまたはその密接な関連細菌としての細菌の同定またはC.グルタミカムまたはその関連細菌の混合細菌集団の存在の同定も可能である。本発明は、緊縮条件下(ストリンジェントな条件下)でこの生物に固有のC.グルタミカム遺伝子領域にかかるプローブを使用した細菌の固有または混合した集団の培地からの抽出ゲノムDNAの探索(この生物が存在するかどうかを確認することができる)による多数のC.グルタミカム遺伝子の核酸配列を提供する。コリネバクテリウム−グルタミカム自体が非病原性であるにもかかわらず、ヒトに病原性を示す種、例えばコリネバクテリウム−ジフテリア(Corynebakuterium diphtheriae)(ジフテリアの原因物質)などに関連し、このような生物の検出は臨床的に有意に関連する。
本発明のSMP核酸分子はまた、C.グルタミカムゲノムまたは関連生物のゲノムのマッピングにおける基準点として使用することができる。同様に、これらの分子またはその変異型もしくは一部は、遺伝子操作コリネバクテリウムまたはBrevibacterium種のマーカーとして使用することができる。
本発明の新規の核酸分子によってコードされるSMPタンパク質は、例えば、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子の生成に関連する機能を果たすことができる。コリネバクテリウム−グルタミカムで使用されるクローニングベクターの適用性(Sinskeyらに付与された米国特許第4,649、119号に開示)およびC.グルタミカムおよび関連するBrevibacterium種(例えば、lactofermentum)の遺伝子操作技術(Yoshhamaら、J.Bacteriol.、162、591〜597、1985、Katsumataら、J.Bacteriol.、159、306〜311(1984)、およびSantamariaら、J.Gen.Microbiol.、130、2237〜2246、1984)を考慮すれば、本発明の核酸分子をこの生物の遺伝子操作に利用して1つまたは複数の精製化学製品のより良好またはより有効な生産が可能である。この精製化学製品の生産または生産効率の改良は、本発明の遺伝子操作の直接的効果によるか、このような操作の間接的な効果により得る。
本発明のSMPタンパク質の変更によりこのような変更タンパク質が組み込まれたC.グルタミカム株由来の精製化学製品の生産量、生産、および/または生産効率が直接影響を受け得る多数の機構が存在する。糖などの高エネルギー炭素分子の分解およびNADHおよびFADH2などの化合物の酸化的リン酸化により高エネルギーリン酸結合を含む化合物への変換により、それ自体が所望の生成化学製品(ピルビン酸、ATP、NADHなど)である多数の化合物および中間体糖化合物が得られる。さらに、これらの代謝経路によって生成されたエネルギー分子(ATPなど)および還元糖化物(NADHまたはNADPHなど)を細胞中で利用して、エネルギー的に不利な反応を駆動させる。このような不利な反応には、多数の生成化学製品生合成経路が含まれる。細胞の特定の糖を利用する能力の改良により(例えば、細胞の糖の分解およびエネルギーへの変換に関連する酵素をコードする遺伝子の改良により)、不利であるが所望の代謝反応(所望の精製化学製品の生合成)を利用可能なエネルギー量に増加させることができる。
本発明の1つまたは複数のSMP遺伝子の変異誘発により、C.グルタミカム由来の1つまたは複数の所望の精製化学製品の生産に間接的に影響を与える活性を変化させたSMPタンパク質を得ることもできる。例えば、1つまたは複数の糖の利用効率の増加(糖の有用なエネルギー分子への変換)または還元糖化物の有用なエネルギー分子への変換効率の増加(例えば、酸化的リン酸化の効率またはATPシンターゼ活性の改良による)により、細胞が利用可能な通常不利な代謝過程を駆動するこれらの高エネルギー化合物量を増加させることができる。これらの過程には、細胞壁の構築、転写、翻訳、および細胞の増殖および分裂に必要な化合物(例えば、ヌクレオチド、アミノ酸、ビタミン、脂質など)の生合成が含まれる(Lengelerら、1999、「原核生物の生物学」、Thieme Verlag:Stuttgart、88〜109、913〜918、875〜899)。これらの操作細胞の成長および増殖の改良により、大量培養での生存度の増加および分裂速度の改良が可能であり、比較的多数の細胞が発酵槽培養で生存することができる。少なくとも多数の生細胞の存在により生産量、生産、または生産効率を増加させて所望の精製化学製品を生産することができる。また、糖代謝中に生成された多数の分解生成物を、他の所望の生成物(化学物質など)の生産における前駆体または中間体として細胞が利用する。それにより、細胞の糖代謝能力の増大により、細胞が利用可能な他の過程用のこれらの分解生成物数も増加するはずである。
本発明は、例えば、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子の生成に関連する機能を果たし得るタンパク質(本明細書中では、「SMPタンパク質」と呼ぶ)をコードする新規の核酸分子を提供する。SMPタンパク質をコードする核酸分子を、本明細書中でSMP核酸分子と呼ぶ。好ましい実施形態では、SMPタンパク質は、炭素分子およびその分解生成物の代謝過程で細胞によって利用されるエネルギーへの変換に関与する。このようなタンパク質の例には、表1に記載の遺伝子によってコードされるタンパク質が含まれる。
したがって、本発明の1つの態様は、SMPをタンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその生物活性部分を含む単離核酸分子(例えば、cDNA、DNA、またはRNA)ならびにSMPコード核酸の検出または増幅用のプライマーまたはハイブリッド形成プローブとして安定な核酸フラグメント(例えば、DNAまたはmRNA)に関する。特に好ましい実施形態では、単離核酸分子は、配列表の奇数の配列番号(例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7....)に記載のヌクレオチド配列の1つまたはこれらのヌクレオチド配列の1つのコード領域もしくは相補物を含む。他の特に好ましい実施形態では、本発明の単離核酸分子は、上記の配列表の奇数番号(例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7....)に記載のヌクレオチド配列にハイブリッド結合するか、それに少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、80%、または90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上相同なヌクレオチド配列またはその一部を含む。他の好ましい実施形態では、単離核酸分子は、配列表の偶数の配列番号(配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8....)に記載のアミノ酸配列の1つをコードする。本発明の好ましいSMPタンパク質はまた、本明細書中に記載の少なくとも1つのSMP活性を有することが好ましい。
別の実施形態では、単離核酸分子は、タンパク質またはその一部が本発明のアミノ酸配列に十分に相同的な(例えば、タンパク質またはその一部がSMP活性を維持するように本発明のアミノ酸配列に十分に相同的な)アミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号を有する配列)を含むタンパク質またはその一部をコードする。好ましくは、核酸分子によってコードされるタンパク質またはその一部は、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関連する機能を果たす能力を維持する。1つの実施形態では、核酸分子によってコードされるタンパク質は、本発明のアミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号を有するアミノ酸から選択される全アミノ酸配列)に少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、80%、または90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上相同である。別の好ましい実施形態では、タンパク質は、本発明の全アミノ酸配列に実質的に相同的な全長C.グルタミカムタンパク質(配列表の対応する奇数の配列番号(例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7....)に示した読み取り枠によってコードされる)である。
別の好ましい実施形態では、単離核酸分子は、C.グルタミカム由来であり、本発明のアミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号の1つの配列)の1つに少なくとも約50%を超えて相同的で、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関連する機能を果たすことができるか、表1に記載の1つまたは複数の活性を有し、また、異種ポリペプチドまたは調節領域をコードする異種核酸配列も含む生物活性ドメインを含むタンパク質(例えば、SMP融合タンパク質)をコードする。
別の実施形態では、単離核酸分子は、少なくとも15ヌクレオチド長であり、ストリンジェントな条件下で本発明のヌクレオチド配列(例えば、配列表の奇数の配列番号の配列)を含む核酸分子とハイブリッド形成する。好ましくは、単離核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。より好ましくは、単離核酸は、天然に存在するC.グルタミカムのSMPタンパク質またはその生物活性部分をコードする。
本発明の別の態様は、本発明の核酸分子を含むベクター(例えば、組換え発現ベクター)、このようなベクターが移入される宿主細胞に関する。1つの実施形態では、このような宿主細胞を使用して、安定な培地中での宿主細胞の培養によってSMPタンパク質を産生させる。次いで、SMPタンパク質を、培地または宿主細胞から単離することができる。
本発明のさらに別の態様は、SMP遺伝子が移入または変更された遺伝子変更微生物に関する。1つの実施形態では、微生物のゲノムを、導入遺伝子として野生型または変異SMP配列をコードする本発明の核酸分子の移入によって変更されている。別の実施形態では、微生物ゲノム中の内因性SMP遺伝子が変更SMP遺伝子での相同組換えによって変更されている(例えば、機能的に破壊されている)。別の実施形態では、微生物中の内因性または移入SMP遺伝子が、1つまたは複数の点変異、欠失、または逆位で変更されているが、機能的SMPタンパク質はコードする。さらに別の実施形態では、SMP遺伝子の発現が調節されるように、微生物におけるSMP遺伝子の1つまたは複数の調節領域(例えば、プロモーター、リプレッサー、またはインデューサー)が変更されている(例えば、欠失、短縮、逆位、または点変異による)。好ましい実施形態では、微生物は、コリネバクテリウム(Corynebacuterium)属またはブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属するが、コリネバクテリウム−グルタミカムが特に好ましい。好ましい実施形態では、微生物は、所望の化合物(アミノ酸など)の生産にも利用されるが、リジンが特に好ましい。
別の態様では、本発明は、被験体におけるコリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性の同定法を提供する。この方法には、本発明の被験体における1つまたは複数の核酸またはアミノ酸配列(配列表に記載の配列番号1〜782の配列)の検出による被験体におけるコリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性の検出が含まれる。
本発明のさらに別の態様は、単離SMPタンパク質またはその一部(例えば、生物活性部分)に関する。好ましい実施形態では、単離SMPタンパク質またはその一部は、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関連する機能を果たすことができる。別の好ましい実施形態では、単離SMPタンパク質またはその一部は、タンパク質またはその一部がコリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関連する機能を果たす能力を維持するために本発明のアミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号の配列)に十分に相補的である。
本発明はまた、SMPタンパク質の単離調製物を提供する。好ましい実施形態では、SMPタンパク質は、本発明のアミノ酸配列(配列表の偶数の配列番号の配列)を含む。別の好ましい実施形態では、本発明は、本発明の全アミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号の配列)(配列表の対応する奇数の配列番号に記載の読み取り枠によってコードされる)に実質的に相補的な単離全長タンパク質に関する。さらに別の実施形態では、本発明の全アミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号の配列)に少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、80%、または90%、最も好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上相同である。他の実施形態では、単離SMPタンパク質は、本発明のアミノ酸配列の1つ(例えば、配列表の偶数の配列番号の配列)に少なくとも約50%またはそれ以上相補的で、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関連する機能を果たすことができるか、表1に記載の1つまたは複数の活性を有するアミノ酸配列を含む。
あるいは、単離SMPタンパク質は、配列表に記載の偶数の配列番号の1つのヌクレオチド配列とハイブリッド形成する(例えば、ストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する)か、その配列に少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、80%、または90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上相同であるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含み得る。SMPタンパク質の好ましい形態もまた本明細書中に記載のSMP生体活性を有することも好ましい。
SMPポリペプチドまたはその生物活性部分を、非SMPポリペプチドに作動可能に連結させて融合タンパク質を形成させることができる。好ましい実施形態では、この融合タンパク質は、SMPタンパク質のみとは異なる活性を有する。他の好ましい実施形態では、この融合タンパク質は、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関連する機能を果たす。特に好ましい実施形態では、この融合タンパク質の宿主細胞への取り込みにより細胞由来の所望の化合物の産生が調整される。
別の態様では、本発明は、SMPタンパク質自体またはSMPタンパク質の結合パートナーとの相互作用によるか、本発明のSMP核酸の転写または翻訳の調整によってSMPタンパク質の活性を調整する分子のスクリーニング法を提供する。
本発明の別の態様は、精製化学製品の生産法に関する。この方法は、精製化学製品が生産されるように、本発明のSMP核酸分子の発現を指向するベクターを含む細胞を培養する工程を包含する。好ましい実施形態では、本発明は、さらに、細胞がSMP核酸の発現を指向するベクターでトランスフェクトされた、このようなベクターを含む細胞を獲得する工程を包含する。別の好ましい実施形態では、この方法は、さらに、培養物由来の精製化学製品の回収工程を包含する。特に好ましい実施形態では、細胞はコリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属由来であるか、表3に記載の株から選択される。
本発明の別の態様は、微生物由来の分子の産生の調整法に関する。このような方法は、細胞とSMPタンパク質活性またはSMP核酸発現を調整する作用因子とを接触させることにより細胞関連活性が作用因子の非存在下でこの同一の活性と比較して変更される工程を包含する。好ましい実施形態では、細胞は、1つまたは複数のC.グルタミカム炭素代謝経路または酸化的リン酸化などの過程の夜エネルギー生産を調整し、この微生物による所望の生成化学製品の生産量または生産速度を改良する。SMPタンパク質活性を調整する作用因子は、SMPタンパク質活性またはSMP核酸発現を刺激する作用因子であり得る。SMPタンパク質活性またはSMP核酸発現を刺激する作用因子の例には、細胞に移入されている小分子、活性SMPタンパク質、SMPタンパク質をコードする核酸が含まれる。SMP活性または発現を阻害する作用因子の例には、小分子、アンチセンスSMP核酸分子が含まれる。
本発明の別の態様は、細胞に野生型または変異SMP遺伝子を移入し、個別のプラスミドで維持されるか、宿主細胞のゲノムに取り込まれる工程を包含する、細胞由来の所望の化合物の生産量の調整法に関する。ゲノムに取り込まれた場合、このような取り込みはランダムであるか、天然の遺伝子が移入コピーによって置換されるような相同組換えが起こり、調整されるべき細胞から所望の化合物を産生することができる。好ましい実施形態では、生産量が増加する。別の好ましい実施形態では、化合物は精製化学製品である。特に好ましい実施形態では、精製化学製品はアミノ酸である。特に好ましい実施形態では、アミノ酸はリジンである。
(発明の詳細な説明)
本発明は、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子の生成に関連するSMP核酸およびタンパク質分子を提供する。本発明の分子を、微生物(例えば、C.グルタミカム)由来の精製化学製品の生産の直接的調整(例えば、解糖経路タンパク質の過剰発現または至適化により改変C.グルタミカム由来の例えばピルビン酸の生産量、生産、および/または生産効率に影響を与える場合)に利用することができるか、所望の化合物の生産量、生産、および/または生産効率を増加させるような間接的影響を与えることができる(例えば、酸化的リン酸化に関連するタンパク質の調整により、必要な代謝過程および他の細胞機能(核酸およびタンパク質生合成および転写/翻訳など)を行うために利用可能なエネルギー量が変化する場合)。本発明の態様を、以下にさらに詳述する。
本発明は、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子の生成に関連するSMP核酸およびタンパク質分子を提供する。本発明の分子を、微生物(例えば、C.グルタミカム)由来の精製化学製品の生産の直接的調整(例えば、解糖経路タンパク質の過剰発現または至適化により改変C.グルタミカム由来の例えばピルビン酸の生産量、生産、および/または生産効率に影響を与える場合)に利用することができるか、所望の化合物の生産量、生産、および/または生産効率を増加させるような間接的影響を与えることができる(例えば、酸化的リン酸化に関連するタンパク質の調整により、必要な代謝過程および他の細胞機能(核酸およびタンパク質生合成および転写/翻訳など)を行うために利用可能なエネルギー量が変化する場合)。本発明の態様を、以下にさらに詳述する。
I.精製化学製品
用語「精製化学製品(ファインケミカル)」は、当該分野で認識されており、これらに限定されないが種々の産業、例えば製薬、農業、および化粧品産業に適用される生物によって産生される分子が含まれる。このような化合物には、有機酸(酒石酸、イタコン酸ジアミノピメリン酸など)、タンパク質生成および非タンパク質生成アミノ酸(プリンおよびピリミジン塩基)、ヌクレオシド、ヌクレオチド(Kuninaka,A.、1996、「ヌクレオチドおよび関連化合物」、561〜612、Biotechnology、6巻、Rehmら編、VCH:Weinheim、および本明細書中の引例に記載)、脂質、飽和および不飽和脂肪酸(例えば、アラキドン酸)、ジオール(例えば、プロパンジオールおよびブタンジオール)、炭水化物(例えば、ヒアルロン酸およびトレハロース)、芳香族化合物(例えば、芳香族アミン、バニリン、およびインディゴ)、ビタミンおよび補因子(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A27巻、「ビタミン」、443〜613、1996、VCH:Weinheim、および本明細書中の引例、およびOng,A.S.Niki,E.&Packer,L.、1995、「栄養素、脂質、健康、および疾患」、1994年9月1日〜3日にマレーシアのペナンで開催されたUNESCO/化学・工学協会およびフリーラジカル研究協会−アジアの集録、AOCS Press、1995に記載)、酵素、ポリケチド(Caneら、1998、Science,282、63〜68)、およびGutcho、1983、「発酵による化合物」、Noyes Data Corporation、ISBN:0818805086および本明細書中の引例に記載の他の全ての化合物が含まれる。これらの一定の精製化学製品の代謝および使用を、以下にさらに詳述する。
用語「精製化学製品(ファインケミカル)」は、当該分野で認識されており、これらに限定されないが種々の産業、例えば製薬、農業、および化粧品産業に適用される生物によって産生される分子が含まれる。このような化合物には、有機酸(酒石酸、イタコン酸ジアミノピメリン酸など)、タンパク質生成および非タンパク質生成アミノ酸(プリンおよびピリミジン塩基)、ヌクレオシド、ヌクレオチド(Kuninaka,A.、1996、「ヌクレオチドおよび関連化合物」、561〜612、Biotechnology、6巻、Rehmら編、VCH:Weinheim、および本明細書中の引例に記載)、脂質、飽和および不飽和脂肪酸(例えば、アラキドン酸)、ジオール(例えば、プロパンジオールおよびブタンジオール)、炭水化物(例えば、ヒアルロン酸およびトレハロース)、芳香族化合物(例えば、芳香族アミン、バニリン、およびインディゴ)、ビタミンおよび補因子(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A27巻、「ビタミン」、443〜613、1996、VCH:Weinheim、および本明細書中の引例、およびOng,A.S.Niki,E.&Packer,L.、1995、「栄養素、脂質、健康、および疾患」、1994年9月1日〜3日にマレーシアのペナンで開催されたUNESCO/化学・工学協会およびフリーラジカル研究協会−アジアの集録、AOCS Press、1995に記載)、酵素、ポリケチド(Caneら、1998、Science,282、63〜68)、およびGutcho、1983、「発酵による化合物」、Noyes Data Corporation、ISBN:0818805086および本明細書中の引例に記載の他の全ての化合物が含まれる。これらの一定の精製化学製品の代謝および使用を、以下にさらに詳述する。
A.アミノ酸代謝および使用
アミノ酸は、全てのタンパク質の基本的単位を含み、そのようなものとして全ての生物における正常な細胞機能に必須である。用語「アミノ酸」は、当該分野で認識されている。20種存在するタンパク質生成アミノ酸は、ペプチド結合で連結したタンパク質の構造単位として使用される一方で、非タンパク質生成アミノ酸(何百もが公知である)は通常タンパク質中に見出されない(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A2巻、57〜97、VCH:Weinheim、1985)。アミノ酸は、D型またはL型光学配置で存在し得るが、Lアミノ酸は一般に、天然に存在するタンパク質のみで見出される型である。20種のタンパク質生成アミノ酸それぞれの生合成および分解経路は、原核細胞および真核細胞の両方で十分に特徴づけられている(例えば、Stryer、L.Biochemistry、第3版、578〜590、1988を参照のこと)。「必須」アミノ酸(ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、およびバリン)は、その生合成の複雑さにより栄養素として必要であり、簡単な生合成経路によって残りの11種の「非必須」アミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、およびチロシン)に容易に変換されるので、そう呼ばれている。高等動物は、これらのアミノ酸のいくつかを合成する能力を保持しているが、正常なタンパク質合成を起こさせるために食物から供給されなければならない。
アミノ酸は、全てのタンパク質の基本的単位を含み、そのようなものとして全ての生物における正常な細胞機能に必須である。用語「アミノ酸」は、当該分野で認識されている。20種存在するタンパク質生成アミノ酸は、ペプチド結合で連結したタンパク質の構造単位として使用される一方で、非タンパク質生成アミノ酸(何百もが公知である)は通常タンパク質中に見出されない(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A2巻、57〜97、VCH:Weinheim、1985)。アミノ酸は、D型またはL型光学配置で存在し得るが、Lアミノ酸は一般に、天然に存在するタンパク質のみで見出される型である。20種のタンパク質生成アミノ酸それぞれの生合成および分解経路は、原核細胞および真核細胞の両方で十分に特徴づけられている(例えば、Stryer、L.Biochemistry、第3版、578〜590、1988を参照のこと)。「必須」アミノ酸(ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、およびバリン)は、その生合成の複雑さにより栄養素として必要であり、簡単な生合成経路によって残りの11種の「非必須」アミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、およびチロシン)に容易に変換されるので、そう呼ばれている。高等動物は、これらのアミノ酸のいくつかを合成する能力を保持しているが、正常なタンパク質合成を起こさせるために食物から供給されなければならない。
タンパク質生合成機能とは別に、これらのアミノ酸はこの化合物自体が興味深く、多数が食品、飼料、化学、化粧品、農業、および製薬産業における種々の適用が見出されている。リジンは、ヒトのみならず家禽およびブタなどの単胃動物の栄養素として重要なアミノ酸である。アスパラギン酸、フェニルアラニン、グリシン、およびシステインと同様にグルタミン酸は香料(グルタミン酸一ナトリウム、MSG)として最も一般に使用されており、食品産業で広く一般に使用されている。グリシン、L−メチオニン、およびトリプトファンは、全て製薬産業で利用されている。グルタミン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、アルギニン、プロリン、セリン、およびアラニンは、製薬産業および化粧品産業の両方で有用である。トレオニン、トリプトファン、およびD/L−メチオニンは、一般的な食品添加物である。(Leuchtenberger,W.、1996、「アミノ酸−技術的生産および使用」、466〜502、Rehmら編、Biotechnology、6巻、第14a章、VCH:Weinheim)。さらに、これらのアミノ酸は、合成アミノ酸およびペプチド(N−アセチルシステイン、S−カルボキシメチル−L−システイン、(S)−5−ヒドロキシトリプトファン、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A2巻、57〜97、VCH:Weinheim、1985に記載の他の合成アミノ酸など)の合成用前駆体として有用であることが見出されている。
アミノ酸産生生物におけるこれらの天然のアミノ酸の生合成は、十分に特徴づけられている(細菌アミノ酸合成およびその調節についての総説については、Umbarger,H.E.、1978、Ann.Rev.Biochem.、47、533〜606を参照のこと)。グルタミン酸は、αケトグルタル酸(クエン酸回路の中間物)の還元的アミノ化によって合成される。グルタミン、プロリン、およびアルギニンは、それぞれグルタミン酸から引き続いて生成される。セリンの生合成は、3−ホスホグリセリン酸(解糖の中間物)から始まり、酸化、アミノ基転移、および加水分解後にこのアミノ酸が得られる3段階過程である。システインおよびグリシンはセリンから生成され、セリンヒドロキシメチラーゼによって触媒される反応において、前者はホモシステインのセリンとの縮合により、後者はテトラヒドロ葉酸への側鎖β炭素原子の転移による。フェニルアラニンおよびチロシンは、プレフェン酸合成後の最後の2段階のみが異なる9段階生合成経路において解糖経路およびペントースリン酸経路前駆体エリトロース4−リン酸およびホスホエノイルピルビン酸から合成される。トリプトファンはまた、これらの2つの最初の分子から生成されるが、その合成は、11段階の経路である。チロシンもまた、フェニルアラニンヒドロキシラーゼによって触媒される反応においてフェニルアラニンから合成可能である。アラニン、バリン、およびロイシンは全てピルビン酸の生合成生成物(解糖の最終生成物)である。アスパラギン酸は、オキサロ酢酸(クエン酸回路の中間体)から形成される。アスパラギン、メチオニン、トレオニン、およびリジンは、それぞれアスパラギン酸の変換によって生成される。複雑な9段階経路により、5−ホスホリボシル−1−ピロホスフェート(活性糖)からヒスチジンが生成される。
細胞のタンパク質合成を超えるアミノ酸を蓄積することはできず、代わりに分解されて細胞の主要な代謝経路の中間体が得られる(総説として、Stryer,L.Biochemistry、第3版、第21章、「アミノ酸分解および尿素回路」、495〜516、1988を参照のこと)。細胞は望ましくないアミノ酸を有用な代謝中間体に変換するにもかかわらず、アミノ酸生成は、合成に必要なエネルギー、前駆体分子、および酵素の点から費用がかかる。したがって、アミノ酸生合成はフィードバック阻害によって調節され、特定のアミノ酸の存在によりその生成が遅延するか完全に停止することは驚くべきことではない(アミノ酸生合成経路におけるフィードバック機構の総説については、Stryer,L.Biochemistry、第3版、第24章、「アミノ酸分解および尿素回路」、575〜600、1988を参照のこと)。任意の特定のアミノ酸の生成量は、細胞中に存在するこのようなアミノ酸の量に制限される。
B.ビタミン、補因子、栄養補給物質代謝および使用
ビタミン、補因子、および栄養補給物質は、高等動物が合成能力を失っているので摂取しなければならない別の分子群であるにもかかわらず、これらは細菌などの他の生物によって容易に合成される。これらの分子は、それ自体が生体活性物質であるか、種々の代謝経路における電子伝達体として作用し得る。その栄養価値とは別に、これらの化合物はまた、着色剤、抗酸化剤、および触媒または他の加工助剤として有意な産業上の価値を有する。(構造、活性、および産業上の利用可能性の総説については、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A27巻、「ビタミン」、443〜613、VCH:Weinheim、1996を参照のこと)。用語「ビタミン」は、当該分野で認識されており、正常な機能のために生物に必要である、生物自体で合成できない栄養素が含まれる。ビタミン群は、補因子および栄養補給化合物を含み得る。用語「補因子」には、正常な酵素活性の獲得に必要な非タンパク質性化合物が含まれる。このような化合物は、有機であっても無機であってもよく、本発明の補因子は有機が好ましい。用語「栄養補給物質」には、植物および動物(特に、ヒト)の健康に有利な栄養補助食品が含まれる。このような分子の例には、ビタミン、酸化防止剤、および一定の脂質(例えば、多価不飽和脂肪酸)である。
ビタミン、補因子、および栄養補給物質は、高等動物が合成能力を失っているので摂取しなければならない別の分子群であるにもかかわらず、これらは細菌などの他の生物によって容易に合成される。これらの分子は、それ自体が生体活性物質であるか、種々の代謝経路における電子伝達体として作用し得る。その栄養価値とは別に、これらの化合物はまた、着色剤、抗酸化剤、および触媒または他の加工助剤として有意な産業上の価値を有する。(構造、活性、および産業上の利用可能性の総説については、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A27巻、「ビタミン」、443〜613、VCH:Weinheim、1996を参照のこと)。用語「ビタミン」は、当該分野で認識されており、正常な機能のために生物に必要である、生物自体で合成できない栄養素が含まれる。ビタミン群は、補因子および栄養補給化合物を含み得る。用語「補因子」には、正常な酵素活性の獲得に必要な非タンパク質性化合物が含まれる。このような化合物は、有機であっても無機であってもよく、本発明の補因子は有機が好ましい。用語「栄養補給物質」には、植物および動物(特に、ヒト)の健康に有利な栄養補助食品が含まれる。このような分子の例には、ビタミン、酸化防止剤、および一定の脂質(例えば、多価不飽和脂肪酸)である。
細菌などのアミノ酸産生生物におけるこれらの天然のアミノ酸の生合成は、十分に特徴づけられている(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、A27巻、「ビタミン」、443〜613、VCH:Weinheim、1996、Michal,G.、1999、「生化学的経路:生化学および分子生物学アトラス」、John Wiley&Sons、Ong,A.S.Niki,E.&Packer,L.、1995、「栄養素、脂質、健康、および疾患」、1994年9月1日〜3日にマレーシアのペナンで開催されたUNESCO/化学・工学協会およびフリーラジカル研究協会−アジアの集録、AOCS Press、Champaign、IL X、374S)。
チアミン(ビタミンB1)は、ピリミジンとジアゾール部分との化学結合によって合成される。リボフラビン(ビタミンB2)は、グアノシン−5’−三リン酸(GTP)およびリボース−5’−リン酸から合成される。同様に、リボフラビンは、フラビンモノヌクレオチド(FMN)およびフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の合成に利用される。集合的に「ビタミンB6」と呼ばれる化合物ファミリー(例えば、ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサ−5’リン酸、および商業的に使用されるピリドキシン塩酸塩)は全て、共通の構造単位5−ヒドロキシ−6−メチルピリジンの誘導体である。パントテン酸塩(パントテン酸、(R)−(+)−N−(2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチル−1−オキソブチル)β−アラニン)を、化学合成または発酵のいずれかによって生成することができる。パントテン酸塩合成の最終工程は、βアラニンおよびパントイン酸のATP駆動縮合からなる。パントテン酸、βアラニン変換、およびパントテン酸の縮合用の生合成工程を担う酵素は公知である。パントテン酸塩の代謝活性形態は、補酵素Aであり、生合成は5つの酵素工程において進行する。パントテン酸塩、ピリドキサル−5’リン酸、システイン、およびATPは、補酵素Aの前駆体である。これらの酵素は、パントテン酸形成だけでなく、(R)−パントテン酸、(R)−パントラクトン、(R)−パンテノール(プロビタミンB5)、パンテテイン(およびその誘導体)、および補酵素Aの生成を触媒する。
微生物における前駆体分子ピメロイル−CoAからのビオチンの生合成は詳細に研究されており、関連するいくつかの遺伝子が同定されている。多数の対応するタンパク質もまた、Fcクラスター合成に関連することが見出されており、タンパク質のnifSクラスのメンバーである。リポ酸はオクタン酸由来であり、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体およびα−ケトグルタミン酸デヒドロゲナーゼ複合体の一部となる場合、エネルギー代謝における補酵素として利用される。葉酸塩は、その全てが葉酸の誘導体であり、L−グルタミン酸、p−アミノ−安息香酸および6−メチルプテリン由来でもある。中間体グアノシン−5’三リン酸(GTP)、L−グルタミン酸、およびp−アミノ安息香酸から出発する葉酸およびその誘導体の合成が、一定の微生物で詳細に研究されている。
コバラミン、特に、ビタミンB12などのコリノイドおよびポルフィリンは、テトラピロール環系によって特徴づけられる群に属する。ビタミンB12の生合成は非常に複雑であり未だ完全に特徴づけられていないが、関与する酵素および基質は現在公知である。ニコチン酸(ニコチン酸塩)およびニコチンアミドは「ナイアシン」とも呼ばれるプリン誘導体である。ナイアシンは、重要な補酵素NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)およびNADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)、およびその還元形態の前駆体である。
これらの化合物の大量生産は、ほとんど無細胞化学合成に依存しているにもかかわらず、これらのいくつかの化合物(リボフラビン、ビタミンB6、パントテン酸塩、およびビオチン)は微生物の大量培養によって産生されている。ビタミンB12のみは、唯一発酵で産生されているが、これはその合成の複雑さによる。in vitroでの方法には、相当な材料および時間の投入が必要であり、たいてい非常に費用がかかる。
C.プリン、ピリミジン、ヌクレオシド、およびヌクレオチド代謝およびその使用
プリンおよびピリミジン代謝遺伝子およびその対応するタンパク質は、腫瘍性疾患およびウイルス感染治療用の重要な標的である。用語「プリン」または「ピリミジン」には、核酸、補酵素、およびヌクレオチドからなる窒素塩基が含まれる。用語「ヌクレオチド」には、窒素塩基、ペントース糖(RNAの場合糖はリボースであり、DNAの場合糖はD−デオキシリボースである)、およびリン酸から構成される核酸分子の塩基性構造単位が含まれる。用語「ヌクレオシド」には、ヌクレオチドの前駆体として利用されるが、ヌクレオチドが保有するリン酸部分を欠く分子が含まれる。これらの分子の生合成または核酸分子を形成するその動員の阻害によりRNAおよびDNA合成の阻害が可能であり、癌細胞を標的する様式での活性の阻害により腫瘍細胞の分裂および複製能力を阻害することができる。さらに、核酸分子を形成しないヌクレオチドが存在するが、これはむしろエネルギー保存物質(すなわち、AMP)または補酵素(すなわち、FADおよびNAD)として利用される。
プリンおよびピリミジン代謝遺伝子およびその対応するタンパク質は、腫瘍性疾患およびウイルス感染治療用の重要な標的である。用語「プリン」または「ピリミジン」には、核酸、補酵素、およびヌクレオチドからなる窒素塩基が含まれる。用語「ヌクレオチド」には、窒素塩基、ペントース糖(RNAの場合糖はリボースであり、DNAの場合糖はD−デオキシリボースである)、およびリン酸から構成される核酸分子の塩基性構造単位が含まれる。用語「ヌクレオシド」には、ヌクレオチドの前駆体として利用されるが、ヌクレオチドが保有するリン酸部分を欠く分子が含まれる。これらの分子の生合成または核酸分子を形成するその動員の阻害によりRNAおよびDNA合成の阻害が可能であり、癌細胞を標的する様式での活性の阻害により腫瘍細胞の分裂および複製能力を阻害することができる。さらに、核酸分子を形成しないヌクレオチドが存在するが、これはむしろエネルギー保存物質(すなわち、AMP)または補酵素(すなわち、FADおよびNAD)として利用される。
いくつかの刊行物では、プリンおよび/またはピリミジン代謝の影響によるこれらの化学製品の医学的指標としての使用が記載されている(例えば、Christopherson,R.I.and Lyons,S.D.、1990、「化学療法薬としてのde novoでのピリミジンおよびプリン生合成の強力なインヒビター」、Med.Res.Reviews、10、505〜548)。プリンおよびピリミジン代謝に関連する酵素の研究では、例えば免疫抑制剤または抗炎症剤として使用することができる新規の薬物開発が注目されている(Smith,J.L.、1995、「ヌクレオチド合成における酵素」、Curr.Opin.Struct.Biol.、5、752〜757、1995、Biochem Soc.Transact.、23、877〜902)。しかし、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシド、およびヌクレオチドは、以下の他の有用性を有する:いくつかの精製化学製品(例えば、チアミン、S−アデノシルメチオニン、葉酸塩、またはリボフラビン)の生合成の中間体、細胞のエネルギー担体(例えば、ATPまたはGTP)として、および化学製品自体が調味料として(例えば、IMPまたはGMP)またはいくつかの医学的適用に使用される(例えば、Kuninaka,A.、1996、生物工学におけるヌクレオチドおよび関連化学物質、6巻、Rehnら編、VCH:Weinheim、561〜612を参照のこと)。また、プリン、ピリミジン、ヌクレオシド、またはヌクレオチド代謝に関連する酵素は標的としてますます利用されており、殺真菌薬、除草剤、および殺虫剤を含む作物保護用の化学製品が開発されている。
細菌におけるこれらの化合物の代謝は特徴づけられている(総説として、例えば、Zalkin,H.and Dixon,J.E.、1992、「de novoプリンヌクレオチド生合成」、Progress in Nucleic Acid Researchand Molecular Biology、第42巻、Academic Press、259〜287およびMichal,G.、1999、「ヌクレオチドおよびヌクレオシド」、第8章「生化学経路:生化学および分子生物学アトラス」、Wiley、New Yorkを参照のこと)。プリン代謝は、徹底した研究の主題であり、細胞の正常な機能に必須である。高等動物においてプリン代謝が損なわれると例えば通風などの重篤な疾患を発症し得る。プリンヌクレオチドは、中間体化合物イノシン−5’リン酸(IMP)を介した一連の工程においてリボース−5’リン酸から合成され、グアノシン−5’一リン酸(GMP)またはアデノシン5’一リン酸(AMP)が生成され、ヌクレオチドとして利用される三リン酸形態は容易に形成される。これらの化合物をエネルギー蓄積物質としても利用し、その分解により細胞における多数の生化学的過程のためのエネルギーが得られる。ピリミジン生合成は、リボース−5−リン酸からのウリジン−5’一リン酸(UMP)の形成によって進行する。UMPは、次に、シチジン−5’三リン酸(CTP)に変換される。これら全てのヌクレオチドのデオキシ−形態は、ヌクレオチドの二リン酸リボースからヌクレオチドの二リン酸デオキシリボース形態への1工程の還元反応において生成される。リン酸化反応の際、これらの分子はDNA合成に関与し得る。
D.トレハロース代謝およびその使用
トレハロースは、α、α−1,1結合で結合された2つのグルコース分子からなる。これは、一般的に、甘味料(乾燥または冷凍食品、および飲料用の添加物)として食品産業で使用されている。しかし、製薬、化粧品、および生物工学産業においても適用されている(例えば、1998年Nishimotoらに付与された米国特許第5,759,610号、Singer,M.A.and Lindquist,S.、1998、Trends Biotech.、16、460〜467、Paiva,C.L.A.and Panek,A.D.、1996、Biotech.Ann.Rev.、2、293〜314、およびShiosaka,M.、1997、J.Japan、172、97〜102を参照のこと)。トレハロースは多くの微生物由来の酵素によって産生され、周囲の培地に天然に放出され、当該分野に公知の方法によって回収することができる。
トレハロースは、α、α−1,1結合で結合された2つのグルコース分子からなる。これは、一般的に、甘味料(乾燥または冷凍食品、および飲料用の添加物)として食品産業で使用されている。しかし、製薬、化粧品、および生物工学産業においても適用されている(例えば、1998年Nishimotoらに付与された米国特許第5,759,610号、Singer,M.A.and Lindquist,S.、1998、Trends Biotech.、16、460〜467、Paiva,C.L.A.and Panek,A.D.、1996、Biotech.Ann.Rev.、2、293〜314、およびShiosaka,M.、1997、J.Japan、172、97〜102を参照のこと)。トレハロースは多くの微生物由来の酵素によって産生され、周囲の培地に天然に放出され、当該分野に公知の方法によって回収することができる。
II.糖および炭素分子の利用および酸化的リン酸化
炭素は全ての有機化合物の形成に非常に重要な元素であるので、C.グルタミカムの増殖および分裂のみでなくこの微生物由来の化合物の過剰生産にも栄養要求性を示す。糖(単糖類、二糖類、多糖類など)は特に良好な炭素源であるので、標準的な増殖培地には、典型的には、1つまたは複数のグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプン、またはセルロースが含まれる(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、1987、第A9巻、「酵素」、VCH:Weinheim)。あるいは、より複雑な形態の糖(糖蜜など)または糖精製の他の副産物を培地に利用することができる。糖以外の他の化合物を、代替炭素源として使用することができ、これには、アルコール(例えば、エタノールまたはメタノール)、アルカン、糖アルコール、脂肪酸、および有機酸(例えば、酢酸または乳酸)が含まれる。炭素源および培養における微生物によるその利用の総説として、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、1987、第A9巻、「酵素」、VCH:Weinheim、Stoppok,E.and Buchholz,K.、1996、「発酵用の糖ベースの原材料」、Biotechnology、Rehm,H.J.ら編、第6巻、VCH:Weinheim、5〜29、Rehm,H.J.1980、「産業微生物学」、Springer、Berlin、Bartholomew,W.H.and Reiman,H.B.、1979、「発酵法の経済学」、Peppler,H.J.and Perlman,D.編、Microbial Technology、第2版、第2巻、第18章、Academic Press、New York、およびKockova−Kratachvilova,A.、1981、「産業微生物学の特徴」、Rehn,H.J.and Reed,G.編、「生物工学ハンドブック」、第1巻、第1章、Verlag Chemie:Weinheimを参照のこと。
炭素は全ての有機化合物の形成に非常に重要な元素であるので、C.グルタミカムの増殖および分裂のみでなくこの微生物由来の化合物の過剰生産にも栄養要求性を示す。糖(単糖類、二糖類、多糖類など)は特に良好な炭素源であるので、標準的な増殖培地には、典型的には、1つまたは複数のグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプン、またはセルロースが含まれる(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、1987、第A9巻、「酵素」、VCH:Weinheim)。あるいは、より複雑な形態の糖(糖蜜など)または糖精製の他の副産物を培地に利用することができる。糖以外の他の化合物を、代替炭素源として使用することができ、これには、アルコール(例えば、エタノールまたはメタノール)、アルカン、糖アルコール、脂肪酸、および有機酸(例えば、酢酸または乳酸)が含まれる。炭素源および培養における微生物によるその利用の総説として、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、1987、第A9巻、「酵素」、VCH:Weinheim、Stoppok,E.and Buchholz,K.、1996、「発酵用の糖ベースの原材料」、Biotechnology、Rehm,H.J.ら編、第6巻、VCH:Weinheim、5〜29、Rehm,H.J.1980、「産業微生物学」、Springer、Berlin、Bartholomew,W.H.and Reiman,H.B.、1979、「発酵法の経済学」、Peppler,H.J.and Perlman,D.編、Microbial Technology、第2版、第2巻、第18章、Academic Press、New York、およびKockova−Kratachvilova,A.、1981、「産業微生物学の特徴」、Rehn,H.J.and Reed,G.編、「生物工学ハンドブック」、第1巻、第1章、Verlag Chemie:Weinheimを参照のこと。
取り込み後、これらのエネルギー豊富な炭素分子を、主要な糖代謝経路の1つによって分解することができるように処理しなければならない。このような経路により、その後ピルビン酸塩に変換することができる有用な分解生成物(リボース−5−リン酸およびホスホエノイルピルビン酸など)が直接得られる。細菌における糖代謝についての最も重要な3つの経路には、エムデン・マイエルホーフ(EMP)経路(解糖経路またはフルクトース二リン酸経路としても公知)、ヘキソセ一リン酸(HMP)経路(ペントース経路またはペントースリン酸経路としても公知)、およびエントナー−ドウドロフ(ED)経路(総説として、Michal,G.、1999、「生化学的経路:生化学および分子生物学アトラス」、Wiley、New YorkおよびStryer,L.、1988、Biochemistry、第13〜19章、Freeman、New Yorkならびにその参考文献を参照のこと)が含まれる。
EMP経路は、ヘキソース分子をピルビン酸塩に変換し、この過程では、2分子のATPおよび2分子のNADHを生成する。グルコース−1−リン酸(培地から直接取り込むことができるか、グリコーゲン、デンプン、またはセルロースから生成することができる)から出発して、グルコース分子はフルクトース−6−リン酸に異性化し、リン酸化し、3炭素分子のグリセルアルデヒド−3−リン酸に分解される。脱水素化、リン酸化、および連続的再構成後、ピルビン酸塩が得られる。
HMP経路は、グルコースを還元糖化物(NADPHなど)に変換し、多数の他の代謝経路の中間体および前駆体として必要なペントースおよびテトロースが生成される。HMP経路では、2つの連続したデヒドロゲナーゼ反応(2つのNADPH分も放出される)およびカルボキシル化工程によってグルコース−6−リン酸がリブロース−5−リン酸に変換される。リブロース−5−リン酸を、キシルロース−5−リン酸およびリボース−5−リン酸に変換することもでき、前者はグルコース−6−リン酸への一連の生化学的工程を受けてEMP経路に入ることができ、後者は、一般に、細胞内の他の生合成経路の中間体として利用される。
ED経路は、グルコースまたはグルコン酸塩から出発し、その後にリン酸化および脱水されて2−デヒドロ−3−デオキシ−6−P−グルコン酸を形成する。グルクロン酸塩およびガラクツロン酸塩を、より複雑な生化学経路によって2−ヒドロ−3−デオキシ−6−P−グルコン酸に変換することもできる。次いで、この生成分子は、グリセルアルデヒド−3−Pおよびピルビン酸塩に切断され、グリセルアルデヒド−3−Pは、それ自体をピルビン酸塩に変換することができる。
EMPおよびHMP経路は多くの特徴(中間体および酵素を含む)を共有する。EMP経路により、最も大量のATPが得られるが、リボース−5−リン酸(例えば、核酸生合成に重要な前駆体)もアミノ酸の生合成に重要なエリスロース−4−リン酸も生成されない。したがって、グルコース利用にEMP経路のみしか使用することができない微生物は、唯一の炭素源としてグルコースを含む単純な培地では増殖することができない。これらを選好性生物といい、その増殖には複合有機化合物(酵母抽出物など)の添加が必要である。
それに対して、HMP経路では、核酸およびアミノ酸生合成に必要な全ての前駆体が生成されるが、EMP経路で生成されるATPエネルギー量はたった半分である。HMP経路では、生合成経路での酸化還元反応に使用することができるNADPHもまた生成される。しかし、HMP経路はピルビン酸塩を直接生成しないので、これらの微生物はまた、EMP経路の一部を保有しなければならない。したがって、多数の微生物、特に選好性生物は、これらの両方の経路を保有するように進化したことは驚くべきことではない。
したがって、ED経路は細菌でのみ見出されている。この経路は、前駆体形成とは逆方向でHMP経路と部分的に繋がっているにもかかわらず、ED経路は3−ケトデオキシ−6−ホスホグルコン酸のアルドラーゼ切断によってピルビン酸塩を形成する。ED経路は単独で存在し、主要な厳格な好気性微生物によって利用されている。最終的な結果は、HMP経路に類似しているが、炭素原子が前駆分子の代わりにピルビン酸塩に変換された場合に限り1モルのATPを形成することができる。
任意のこれらの経路で生成したピルビン酸分子を、クレブス回路(クエン酸回路、クエン酸塩回路、またはトリカルボン酸回路(TCA回路)としても公知)を介してエネルギーに容易に変換することができる。この過程では、ピルビン酸塩が最初に脱炭酸されて1モルのNADH、1モルのアセチルCoA、および1モルのCO2が生成される。次いで、アセチルCoAのアセチル基は4炭素単位のオキサロ酢酸塩と反応してクエン酸(6炭素の有機酸)が形成される。脱水および2つの付加的なCO2分子が放出される。最終的に、オキサロ酢酸塩が再生されてアセチル受容体として再度利用されて回路が完結する。TCA回路中での中間体の酸化中に放出された電子はNAD+に輸送されてNADHが得られる。
呼吸中、NADH由来の電子は、分子の酸素または他の末端電子受容体に伝達される。この過程は、呼吸鎖(組み込み膜タンパク質および膜会合タンパク質の両方を含む電子伝達系)によって触媒される。この系は、以下の2つの基本機能を利用する:第1に、電子供与体からの電子を電子受容体に伝達すること、第2に、ATPの合成によって電子伝達の間に放出されるエネルギーを保存すること。酸化還元酵素および電子伝達タンパク質のいくつかの型がこの過程に関与することが公知であり、これには、NADHデヒドロゲナーゼ、フラビン含有電子伝達体、硫化鉄タンパク質、およびシトクロムが含まれる。NADHデヒドロゲナーゼは、原形質膜の細胞質表面に存在し、NADHからフラビンタンパク質に水素を伝達し、NADHから電子を受け取る。フラビンタンパク質は、電子の受容および伝達によって交互に還元および酸化されるフラビン置換基を有する電子伝達体の群である。以下の3つのフラビンがこれらの反応に関与することが公知である:リボフラビン、フラビン−アデニンジヌクレオチド(FAD)およびフラビンモノヌクレオチド(FMN)。硫化鉄タンパク質は、鉄および硫黄原子のクラスターを含み、ヘム基に結合しないが脱水および再水和反応に関与し得る。コハク酸デヒドロゲナーゼおよびアコニターゼは、鉄−硫黄タンパク質の例である。その鉄−硫黄複合体は、全体的な電子伝達鎖の一部として電子を受容および伝達に利用されている。シトクロム鉄はポルフィリン環(ヘム)を含むタンパク質である。酸化電位の異なる多数の異なるクラスのシトクロムが存在する。機能的には、これらのシトクロムは、電子をより正の還元電位を漸増的に有する他のシトクロム伝達することができる経路を形成する。非タンパク質電子伝達体のさらなるクラスは以下が公知である:脂溶性キノン(例えば、コエンザイムQ)。この分子はまた、水素原子受容体および電子供与体として利用される。
呼吸鎖の作用により、細胞膜を通過してプロトン勾配が得られ、それによりプロトン推進力が得られる。この力は、細胞による膜貫通酵素(ATPシンターゼ)を介したATP合成に利用される。この酵素は、膜を通してH+分子を輸送して、細胞内サブユニットの物理的な回転および付随的なADPのリン酸化によってATPを形成させる多タンパク質複合体である(総説として、Fillingame,R.H.and Divall,S.、1999、Novartis Found.Symp.、221、218〜229、229〜234を参照のこと)。
非ヘキソース炭素基質はまた、細胞の炭素源およびエネルギー源として利用することができる。このような基質を、最初に糖新生経路においてヘキソース糖に変換することができ、そこでグルコースが細胞によって最初に合成され、分解されてエネルギーが得られる。この反応の出発物質はホスホエノイルピルビン酸塩(PEP)であり、これは解糖系の鍵となる中間体の1つである。PEPを、糖以外の基質(酢酸など)から、またはオキサロ酢酸(これ自体がTCA回路の中間体)の脱炭酸によって形成することができる。解糖経路の逆転によって(元の解糖経路とは異なる酵素カスケードを利用)、グルコース−6−リン酸を形成可能である。ピルビン酸塩のグルコースの変換には、6つの高エネルギーリン酸結合を利用する必要があるが、解糖では、グルコースのピルビン酸への変換によって2つのATPのみが得られる。しかし、グルコースの完全な酸化(解糖、ピルビン酸塩のアセチルCoAへの変換、クエン酸回路、および酸化的リン酸化)によって、36〜38個のATPが生成され、糖新生中に経験した高エネルギーリン酸結合の最終的な損失は、グルコースの酸化によって精製されるこのような高エネルギー分子における全体的な獲得によって相殺される。
III.本発明の要素および方法
本発明は、少なくとも一部は、C.グルタミカムにおける糖の有用な分解生成物およびエネルギー(例えば、ATP)への変換に関与するか他の過程(酸化的リン酸化など)による有用なエネルギー豊富な分子(例えば、ATP)の生成に関連し得る、本明細書中でSMP核酸およびタンパク質分子と呼ばれる新規の分子の発見に基づく。1つの実施形態では、SMP分子は、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関与する。好ましい実施形態では、C.グルタミカムにおける炭素代謝またはエネルギー生産に寄与する本発明のSMP分子の活性は、この生物による所望の生成化学製品の生産に影響を与える。特に好ましい実施形態では、本発明のSMP分子は、本発明のSMPタンパク質が関連するC.グルタミカム代謝およびエネルギー経路を生産量、生産、および/または生産効率を調整し、C.グルタミカムによる所望の精製化学製品の生産量、生産、および/または生産効率を直接的または間接的に調整するように活性を調整する。
本発明は、少なくとも一部は、C.グルタミカムにおける糖の有用な分解生成物およびエネルギー(例えば、ATP)への変換に関与するか他の過程(酸化的リン酸化など)による有用なエネルギー豊富な分子(例えば、ATP)の生成に関連し得る、本明細書中でSMP核酸およびタンパク質分子と呼ばれる新規の分子の発見に基づく。1つの実施形態では、SMP分子は、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関与する。好ましい実施形態では、C.グルタミカムにおける炭素代謝またはエネルギー生産に寄与する本発明のSMP分子の活性は、この生物による所望の生成化学製品の生産に影響を与える。特に好ましい実施形態では、本発明のSMP分子は、本発明のSMPタンパク質が関連するC.グルタミカム代謝およびエネルギー経路を生産量、生産、および/または生産効率を調整し、C.グルタミカムによる所望の精製化学製品の生産量、生産、および/または生産効率を直接的または間接的に調整するように活性を調整する。
用語「SMPタンパク質」または「SMPポリペプチド」には、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関連する機能を果たすことができるタンパク質が含まれる。SMPタンパク質の例には、表1および偶数の配列番号に記載のSMP遺伝子によってコードされるタンパク質が含まれる。用語「SMP遺伝子」または「SMP核酸配列」には、コード領域および対応する非翻訳5’および3’配列領域からなるSMPタンパク質をコードする核酸配列が含まれる。SMP遺伝子の例には、表1に記載の遺伝子が含まれる。用語「生産」または「生産性」は、当該分野で認識されており、所与の時間および所与の発酵体積(例えば、kg産物/時間/リットル)以内で形成された発酵産物(例えば、所望の精製化学製品)が含まれる。用語「生産効率」には、達成すべき特定の生産レベルに必要な時間(例えば、精製化学製品の特定の速度を達成するための細胞が要する時間)が含まれる。用語「生産量」または「産物/炭素量」は当該分野で認識されており、炭素源の産物(すなわち、精製化学製品)への変換効率が含まれる。これは、一般に、例えばkg産物/炭素源と記載される。化合物の生産量または生産の増加により、回収された分子の量または所与の時間に対する所与の培養量中のその化合物の有用な回収分子の量が増加する。用語「生合成」または「生合成経路」は当該分野で認識されており、多工程で且つ高度に調節された過程における中間体化合物からの細胞による化合物、好ましくは有機化合物の合成が含まれる。用語「分解」または「分解経路」は当該分野で認識されており、多工程で且つ高度に調節された過程における分解産物(一般に、より小さいか複雑でない分子)への細胞による化合物、好ましくは有機化合物の破壊が含まれる。用語「分解生成物」は、当該分野で認識されており、化合物の破壊生成物を含む。このような生成物は、それ自体が細胞による他の化合物の生合成に必要な前駆体(出発点)または中間分子として有用である。用語「代謝」は当該分野で認識されており、生物で行われた生化学反応の全てが含まれる。特定の化合物の代謝(例えば、グリシンなどのアミノ酸の代謝)は、細胞におけるこの化合物に関する全ての生合成、改変、および分解経路を含む。
別の実施形態では、本発明のSMP分子は、C.グルタミカムなどの微生物における精製化学製品などの所望の分子の産生を調整することができる。本発明のSMPタンパク質の変更によりこのような変更タンパク質が組み込まれたC.グルタミカム株由来の精製化学製品の生産量、生産、および/または生産効率が直接影響を受け得る多数の機構が存在する。酸化的リン酸化による高エネルギー炭素分子(糖など)の分解およびNADHおよびFADH2などの化合物のより有用な形態への変換により、多数の化合物が得られ、この化合物自体が望ましい精製化学製品である(ピルビン酸塩、ATP、NADH、および多数の中間体糖化合物など)。さらに、これらの代謝経路で得られたエネルギー分子(ATPなど)および得られた等価物(NADHまたはNADPHなど)を、細胞中でエネルギー的に不利な反応を駆動させるために利用する。このような不利な反応には、多数の生成化学製品生合成経路が含まれる。細胞の特定の糖を利用する能力の改良により(例えば、細胞の糖の分解およびエネルギーへの変換に関連する酵素をコードする遺伝子の改良により)、不利であるが所望の代謝反応(所望の精製化学製品の生合成)を利用可能なエネルギー量に増加させることができる。
本発明の1つまたは複数のSMP遺伝子の変異誘発により、C.グルタミカム由来の1つまたは複数の所望の精製化学製品の生産に間接的に影響を与える活性を変化させたSMPタンパク質を得ることもできる。例えば、1つまたは複数の糖の利用効率の増加(糖の有用なエネルギー分子への変換)または還元糖化物の有用なエネルギー分子への変換効率の増加(例えば、酸化的リン酸化の効率またはATPシンターゼ活性の改良による)により、細胞が利用可能な通常不利な代謝過程を駆動するこれらの高エネルギー化合物量を増加させることができる。これらの過程には、細胞壁の構築、転写、翻訳、および細胞の増殖および分裂に必要な化合物(例えば、ヌクレオチド、アミノ酸、ビタミン、脂質など)の生合成が含まれる(Lengelerら、1999、「原核生物の生物学」、Thieme Verlag:Stuttgart、88〜109、913〜918、875〜899)。これらの操作細胞の成長および増殖の改良により、大量培養での生存度の増加および分裂速度の改良が可能であり、比較的多数の細胞が発酵槽培養で生存することができる。少なくとも多数の生細胞の存在により生産量、生産、または生産効率を増加させて所望の精製化学製品を生産することができる。さらに、糖代謝中に精製された多数の分解および中間体化合物は、細胞全体の生合成経路の必要な前駆体および中間体である。例えば、多数のアミノ酸は、解糖系またはTCA回路に通常起因する化合物から直接合成される(例えば、セリンは3−ホスホグリセロール(解糖の中間体)から互生される)。このように、糖の有用なエネルギー分子への変換効率の増加によって、有用な分解生成物の量が増加する。
本発明の単離核酸配列は、ATCC 13032と命名されたアメリカンタイプカルチャーコレクションから利用可能なコリネバクテリウム−グルタミカムのゲノム内に含まれる。単離C.グルタミカム SMP DNAのヌクレオチド配列およびC.グルタミカム SMPタンパク質の推定アミノ酸配列を、配列表にそれぞれ奇数の配列番号および偶数の配列番号として示す。コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関する機能を有するタンパク質をコードする配列としてのこれらのヌクレオチド配列を分類および/または同定するコンピュータ分析を行った。
本発明はまた、本発明のアミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号の配列)に実質的に相補的なアミノ酸配列を有するタンパク質に関する。本明細書中に記載のように、選択アミノ酸配列に実質的に相同的なアミノ酸配列を有するタンパク質は、選択されたアミノ酸配列(例えば、選択されたアミノ酸配列全体)に少なくとも50%相同である。選択アミノ酸配列に実質的に相同的なアミノ酸配列を有するタンパク質はまた、選択アミノ鎖配列に約50〜60%、好ましくは少なくとも約60〜70%、より好ましくは少なくとも約70〜80%、80〜90%、または90〜95%、最も好ましくは少なくとも約96%、97%、98%、99%、またはそれ以上相同であり得る。
本発明のSMPタンパク質またはその生物活性部分またはフラグメントは、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関連するか、表1に記載の1つまたは複数の活性を有し得る。
本発明の種々の態様を、以下の小節でさらに詳述する。
A.単離核酸分子
本発明の1つの態様は、SMPポリペプチドまたはその生物活性部分をコードする単離核酸分子ならびにSMPコード核酸(例えば、SMP DNA)の同定または増幅用のハイブリッド形成プローブまたはプライマーとしての使用に十分な核酸フラグメントに関する。本明細書中に記載のように、用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)ならびにヌクレオチドアナログを使用して作製したDNAまたはRNAのアナログを含むことが意図される。この用語はまた、遺伝子の3’および5’コード領域に存在する非翻訳配列(コード領域の5’末端から少なくとも約100ヌクレオチド上流の配列および遺伝子のコード領域の3’末端から少なくとも約20ヌクレオチド下流)を含む。核酸分子は一本鎖または二本鎖であり得るが、二本鎖DNAが好ましい。「単離」核酸分子は、核酸の天然の供給源に存在する他の核酸分子から分離した分子である。好ましくは、「単離」核酸は、核酸が由来する生物のゲノムDNA中の核酸に天然に隣接する配列(すなわち、核酸の5’および3’末端に存在する配列)を含まない。例えば、種々の実施形態では、SMP核酸分子は、核酸が由来する細胞(例えば、C.グルタミカム細胞)のゲノムDNA中の核酸に天然に隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満のヌクレオチド配列を含み得る。さらに、「単離」核酸分子(DNA分子など)は、他の細胞物質、組換え技術によって産生された場合は培養培地、または化学合成された場合は化学前駆体または他の化学物質を実質的に含み得ない。
本発明の1つの態様は、SMPポリペプチドまたはその生物活性部分をコードする単離核酸分子ならびにSMPコード核酸(例えば、SMP DNA)の同定または増幅用のハイブリッド形成プローブまたはプライマーとしての使用に十分な核酸フラグメントに関する。本明細書中に記載のように、用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)ならびにヌクレオチドアナログを使用して作製したDNAまたはRNAのアナログを含むことが意図される。この用語はまた、遺伝子の3’および5’コード領域に存在する非翻訳配列(コード領域の5’末端から少なくとも約100ヌクレオチド上流の配列および遺伝子のコード領域の3’末端から少なくとも約20ヌクレオチド下流)を含む。核酸分子は一本鎖または二本鎖であり得るが、二本鎖DNAが好ましい。「単離」核酸分子は、核酸の天然の供給源に存在する他の核酸分子から分離した分子である。好ましくは、「単離」核酸は、核酸が由来する生物のゲノムDNA中の核酸に天然に隣接する配列(すなわち、核酸の5’および3’末端に存在する配列)を含まない。例えば、種々の実施形態では、SMP核酸分子は、核酸が由来する細胞(例えば、C.グルタミカム細胞)のゲノムDNA中の核酸に天然に隣接する約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満のヌクレオチド配列を含み得る。さらに、「単離」核酸分子(DNA分子など)は、他の細胞物質、組換え技術によって産生された場合は培養培地、または化学合成された場合は化学前駆体または他の化学物質を実質的に含み得ない。
本発明の核酸分子(例えば、配列表の奇数の配列番号のヌクレオチド配列を有する核酸分子)またはその一部を、標準的な分子生物学技術および本明細書中で得られた配列情報を使用して単離することができる。例えば、C.グルタミカム SMP DNAを、ハイブリッド形成プローブとして配列表の奇数の配列番号の1つの全てまたは一部および標準的なハイブリッド形成技術(例えば、Sambrook,J.、Fritsh,E.F.、and Maniatis,T.、「分子クローニング:実験マニュアル」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載)を使用してC.グルタミカムライブラリーから単離することができる。さらに、本発明の核酸配列(例えば、奇数の配列番号)の1つの全てまたは一部を含む核酸分子を、この配列に基づいて設計したオリゴヌクレオチドプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応によって単離することができる(例えば、本発明の核酸配列(例えば、配列表の奇数の配列番号)の1つの全てまたは一部を含む核酸分子を、この配列に基づいて設計したオリゴヌクレオチドプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応によって単離することができる)。例えば、mRNAを、正常な内皮細胞から単離することができ(例えば、Chirgwinら、1979、Biochemistry、18、5294〜5299のグアニジニウム−チオシアン酸塩抽出法による)、DNAを逆転写酵素(例えば、Gibco/BRL、Bethesda、MDから市販のMoloney MLV逆転写酵素またはSeikagaku America,Inc.、St.Petersburg、FLから市販のAMV逆転写酵素)を使用して調製することができる。ポリメラーゼ連鎖反応増幅用の合成オリゴヌクレオチドプライマーを、配列表に記載のヌクレオチド配列の1つに基づいて設計することができる。本発明の核酸を、標準的暗PCR増幅技術によるテンプレートおよび適切なオリゴヌクレオチドプライマーとしてcDNAまたはゲノムDNAを使用して増幅することができる。このようにして増幅した核酸を、適切なベクターにクローン化し、DNA配列分析によって特徴づけることができる。さらに、SMPヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドを、例えば、自動化DNA合成機を使用した標準的技術によって調製することができる。
好ましい実施形態では、本発明の単離核酸分子は、配列表に記載のヌクレオチド配列の1つを含む。本発明の核酸配列は、配列表に記載のように、本発明のコリネバクテリウム−グルタミカム SMP DNAに対応する。このDNAは、SMPタンパク質をコードする配列(すなわち、配列表のそれぞれ奇数の配列番号の配列中に表示の「コード領域」)ならびに配列表のそれぞれ奇数の配列番号に表示の5’非翻訳配列および3’非翻訳配列を含む。あるいは、核酸分子は、配列表の核酸配列中の任意の配列のコード領域のみを含む。
本出願の目的のために、配列表に記載の各核酸およびアミノ酸配列は、記号表示「RXA」、「RXN」、または「RXS」のあとに5桁の数字を有するRXA、RXN、またはRXS識別番号(すなわち、RXA01626、RXN00043、またはRXS0735)ことが理解される。各核酸配列は、以下の3つまでの部分を含む:5’上流領域、コード領域、および下流領域。混乱をなくすために、これらのそれぞれ3つの領域を同一のRXA、RXN、またはRXS記号表示で識別する。詳述「配列表の奇数番号の配列の1つ」は、異なるRXA、RXN、またはRXS記号表示によって区別することもできる配列表の任意の核酸配列をいう。これらの各配列のコード領域は、対応するアミノ酸配列に翻訳され、これはまた、偶数の配列番号(配列表に対応する核酸配列の直後)として記載されている。例えば、RXA02735のコード領域を配列番号1に記載し、これがコードするアミノ酸配列を配列番号2に示す。本発明の核酸分子の配列は、容易に相関することができるようにコードされるアミノ酸分子と同一のRXA、RXN、またはRXS記号表示によって識別される。例えば、RXA00042と表示されたアミノ酸配列は、核酸分子RXA00042のヌクレオチド配列のコード領域の翻訳物であり、RXA00043と表示されたアミノ酸配列は、核酸分子配列RXA00043のコード領域の翻訳物である。本発明のRXA、RXN、またはRXSヌクレオチドおよびアミノ酸配列と割り当てた配列番号との間の対応を、表1に示す。
本発明のいくつかの遺伝子は、「表示遺伝子(F−designated gene)」である。F表示遺伝子には、RXA記号表示の前に「F」を有する表1に記載の遺伝子が含まれる。例えば、表1に「F RXA01312」と表示の配列番号11は、配列番号29、33、および39のF表示遺伝子(それぞれ表1に「F RXA02803」、「F RXA02854」、および「F RXA01365」として表示)である。
1つの実施形態では、本発明の核酸分子は、表2に集めた核酸分子を含むことを意図しない。dapD遺伝子の場合、この遺伝子の配列は、Wehrmann,A.ら、1998、J.Bacteriol.180、(12)、3159〜3165で公開されていた。しかし、本出願の発明で得られた配列は、公開されたものより有意に長い。公開された変形形態は不正確な開始コドンに依存するので実際のコード領域のフラグメントのみを示すと考えられる。
別の好ましい実施形態では、本発明の単離核酸分子は、本発明のヌクレオチド配列(例えば、配列表の奇数の配列番号の配列)の1つまたはその一部の相補物である核酸分子を含む。本発明のヌクレオチド配列の1つに相補的な核酸分子は、本発明のヌクレオチド配列の1つとハイブリッド形成して安定な二重らせんを形成することができるように配列表のヌクレオチド配列(例えば、奇数の配列番号の配列)の1つに十分に相補的である分子である。
さらに別の好ましい実施形態では、本発明の単離核酸分子は、本発明のヌクレオチド配列(例えば、配列表の奇数の配列番号の配列)に少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%、好ましくは少なくとも61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、または70%、より好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または90%、または91%、92%、93%、94%、更により好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上相同なヌクレオチド配列またはその一部を含む。上記範囲の中間の範囲および同一値(例えば、70〜90%同一または80〜95%同一)はまた、本発明に含まれることが意図される。例えば、上限および/下限として上記の任意の値の組み合わせを使用した同一値の範囲が含まれることが意図される。さらに好ましい実施形態では、本発明の単離核酸分子は、本発明のヌクレオチド配列の1つまたはその一部とハイブリッド形成する(例えば、ストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する)ヌクレオチド配列を含む。
さらに、本発明の核酸分子は、配列表の奇数の配列番号の1つの配列領域をコードする部分のみ(例えば、SMPタンパク質の生物活性部分をコードするプローブ、プライマー、またはフラグメントとして使用することができるフラグメント)を含み得る。C.グルタミカム由来のSMP遺伝子のクローニングから同定されたヌクレオチド配列により、他の細胞型および生物のSMPホモログならびにコリネバクテリアまたは関連種由来のSMPホモログの同定および/またはクローニング用に設計されたプローブおよびプライマーを作製可能である。プローブ/プライマーは、典型的には、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、典型的には、ストリンジェントな条件下で、本発明のヌクレオチド配列(例えば、配列表の奇数の配列番号の配列)の1つのセンス鎖、これらの配列のアンチセンス配列、または天然に存在するその変異体の少なくとも約12個、好ましくは少なくとも約25個、より好ましくは少なくとも約40、50、または75個の連続したヌクレオチドとハイブリッド形成するヌクレオチド配列領域を含む。本発明のヌクレオチド配列に基づくプライマーをPCR反応で使用して、SMPホモログをクローン化することができる。SMPヌクレオチド配列に基づいたプローブを使用して、同一または相同なタンパク質をコードする転写物またはゲノム配列を検出することができる。好ましい実施形態では、プローブは、これに結合した標識基をさらに含み、例えば、標識基は放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る。このようなプローブを、細胞サンプル中のSMPコード核酸レベルの測定(例えば、SMP mRNAレベルの検出またはゲノムSMP遺伝子が変異または欠失しているかどうかの同定)などによってSMPタンパク質を誤発現する細胞の同定用の診断試験キットの一部として使用することができる。
1つの実施形態では、本発明の核酸分子は、タンパク質またはその一部がコリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関連する機能を果たす能力を維持するように本発明のアミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号の配列)に十分に相同的なアミノ酸配列含むタンパク質またはその一部をコードする。本明細書中で使用されるように、「十分に相補的な」は、タンパク質またはその一部がコリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関連する機能を果たすことができるように本発明のアミノ酸配列に同一または等価な最小数のアミノ酸残基(例えば、配列表の偶数の配列番号の1つの配列中のアミノ酸残基として類似の側鎖を有するアミノ酸残基)を含むアミノ酸配列を有するタンパク質またはその一部をいう。本明細書中に記載のように、このような糖代謝経路またはエネルギー生産系のタンパク質メンバーは、1つまたは複数の精製化学製品生産および分泌に役割をはたす。このような活性の例はまた、本明細書中に記載されている。したがって、「SMPタンパク質の機能」は、1つまたは複数の精製化学製品の生産量、生産、および/または生産効率に直接的または間接的に寄与する。SMPタンパク質活性の例は、表1に記載されている。
別の実施形態では、タンパク質は、本発明の全アミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号の配列)に約50〜60%、好ましくは少なくとも約60〜70%、より好ましくは少なくとも約70〜80%、80〜90%、または90〜95%、最も好ましくは少なくとも約96%、97%、98%、99%、またはそれ以上相同である。
本発明のSMP核酸分子によってコードされるタンパク質部分は、SMPタンパク質の1つの生物活性部分であることが好ましい。本明細書中で使用されるように、用語「SMPタンパク質の生物活性部分」は、C.グルタミカムにおける糖などの炭素化合物の代謝またはエネルギー生産経路に関するか、表1に記載の活性を有するSMPタンパク質の一部(例えば、ドメイン/モチーフ)を含むことが意図される。SMPタンパク質またはその生物活性部分が・C.グルタミカムにおける炭素化合物の代謝またはエネルギー豊富な分子の生成に関連し得るかどうかを同定するために、酵素活性アッセイをおこなうことができる。例示の実施例8に詳述のように、このようなアッセイ法は当業者に周知である。
SMPタンパク質の生物活性部分をコードするさらなる核酸フラグメントを、本発明のアミノ酸配列(配列表の偶数の配列番号の配列)の1つの一部の同定、SMPタンパク質またはペプチドのコード部分の発現(in vitroでの組換え発現による)、およびSMPタンパク質またはペプチドのコード部分の活性の評価によって調製することができる。
本発明は、さらに、遺伝コードの縮重のために本発明のヌクレオチド配列(配列表の奇数の配列番号の配列)の1つ(およびその一部)と異なるが本発明に記載のヌクレオチド配列によってコードされるものと同一のSMPタンパク質をコードする核酸分子を含む。別の実施形態では、本発明の単離核酸分子は、配列表に記載のアミノ酸配列(偶数の配列番号)を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。なおさらなる実施形態では、本発明の核酸分子は、本発明のアミノ酸配列(配列表の奇数の配列番号に記載の読み取り枠によってコードされる)に実施的に相同な全長C.グルタミカムタンパク質をコードする。
1つの実施形態では、本発明の配列は本発明の以前に利用可能であった当該分野の配列(表2または表4に記載のGenbank配列など)を含むことを意味すると当業者に理解される。1つの実施形態では、本発明は、先行技術の配列(例えば、表2または表4に記載のGenbank配列(またはこのような配列によってコードされるタンパク質))よりも高い本発明のヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対する同一%を有するヌクレオチドよび核酸配列を含む。例えば、本発明は、RXA00014(配列番号41)と記号表示されたヌクレオチド配列に%を超えるおよび/または少なくとも58%同一なヌクレオチド配列、RXA00195(配列番号399)と記号表示されたヌクレオチド配列に41%を超えるおよび/または少なくとも41%同一なヌクレオチド配列、およびRXA00196(配列番号401)と記号表示されたヌクレオチド配列に42%を超えるおよび/または少なくとも35%同一なヌクレオチド配列を含む。当業者は、所与の配列についてそれぞれ3つの上位のヒットについて表4に記載のGAP計算同一%スコアの試験および100%から最も高いGAP計算同一%の引き算によって本発明の任意の所与の配列の同一%のより低い閾値を計算することができる。当業者はまた、このようにして計算したより低い閾値より高い同一%(例えば、少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%、好ましくは少なくとも61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、または70%、より好ましくは少なくとも71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または90%、または91%、92%、93%、94%、更により好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上同一)を有する核酸またはアミノ酸配列もまた本発明に含まれることを認識する。
奇数の配列番号のとして配列表に記載のC.グルタミカム SMPヌクレオチドに加えて、SMPタンパク質のアミノ酸配列を変化させるDNA配列多形が集団(例えば、C.グルタミカム)内に存在し得ることが当業者に認識される。SMP遺伝子におけるこのような遺伝子多形は、天然の変動による集団内の個体間に存在し得る。本明細書中で使用される、用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」は、SMPタンパク質、好ましくはC.グルタミカム SMPタンパク質をコードする読み取り枠を含む核酸分子をいう。このような天然の変動により、典型的には、SMP遺伝子のヌクレオチド配列が1〜5%変動し得る。天然の変動の結果であり、SMPタンパク質の機能活性が変化していない任意および全てのこのようなヌクレオチドの変動および得られたSMPのアミノ酸多形は、本発明の範囲内であることが意図される。
天然の変異型および本発明のC.グルタミカム SMP DNAの非C.グルタミカムホモログに対応する核酸分子を、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で標準的なハイブリッド形成技術のハイブリッド形成プローブとして、C.グルタミカム DNAまたはその一部を使用して本明細書中に開示のC.グルタミカム SMP核酸に対する相同性に基づいて単離することができる。したがって、別の態様では、本発明の単離核酸分子は、少なくとも15ヌクレオチド長であり、ストリンジェントな条件下で配列表の奇数の配列番号のヌクレオチド配列を含む核酸分子とハイブリッド形成する。他の実施形態では、核酸は、少なくとも30、50、100、250、またはそれ以上のヌクレオチド長である。本明細書中で使用される、用語「ストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する」は、典型的には互いに少なくとも60%相同なヌクレオチド配列が互いにハイブリッド結合したままであるハイブリッド形成および洗浄条件を記載することが意図される。好ましくは、互いに少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約70%、更により好ましくは少なくとも約75%、またはそれ以上の条件の相同性で典型的に互いにハイブリッド形成を維持する。このようなストリンジェントな条件は、当業者に公知であり、「現代の分子生物学プロトコール」、John Wiley&Sons,N.Y.、1989、6.3.1〜6.3.6に見出すことができる。ストリンジェントな条件の好ましい非限定的な例は、45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリッド形成後の50〜65℃での0.2×SSC、0.1%SDS中での1回または複数回の洗浄である。好ましくは、ストリンジェントな条件下で本発明のヌクレオチド配列とハイブリッド形成する本発明の単離核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書中で使用される、「天然に存在する」核酸分子は、自然に発生するヌクレチド配列を有するRNAまたはDNA分子をいう(例えば天然のタンパク質をコードする)。1つの実施形態では、核酸は、天然のC.グルタミカム SMPタンパク質をコードする。
集団中に存在し得るSMP配列の天然に存在する変異型に加えて、当業者は、変化により変異による本発明のヌクレオチド配列が挿入され、それによりSMPタンパク質の機能的活性を変化させることなくコードされたSMPタンパク質のアミノ酸配列を変化させることができることをさらに認識する。本発明のヌクレオチド配列中で、例えば、「非必須」アミノ酸残基でアミノ酸を置換させるヌクレオチド置換を行うことができる。「非必須」アミノ酸残基は、SMPタンパク質活性を変化させることなくSMPタンパク質(例えば、配列表の偶数の配列番号)1つの野生型配列から変化させることができる残基であるが、「必須」アミノ酸残基はSMPタンパク質活性に必要である。しかし、他のアミノ酸残基(例えば、SMP活性を有するドメイン中で変換されないか半変換のみされる残基)は活性に必須ではないので、SMP活性を変化させない変化に感受性を示すこともあり得る。
したがって、本発明の別の態様は、SMP活性に必須ではないアミノ酸残基の変化を含むSMPタンパク質をコードする核酸分子に関する。このようなタンパク質は、本明細書中に記載のSMP活性の少なくとも1つを依然として保持する配列表の偶数の配列番号の配列と核酸配列が異なる。1つの実施形態では、単離核酸分子は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、このタンパク質は、本発明のアミノ酸配列に少なくとも約50%相同なアミノ酸配列を含み、C.グルタミカムにおける糖などの炭素化合物の代謝または高エネルギー化合物の生合成に関連し得るか、表1に記載の1つまたは複数の活性を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、核酸分子にコードされるタンパク質は、配列表の奇数の配列番号の1つのアミノ酸配列に約50〜60%相同、より好ましくはこれらの配列に少なくとも約60〜70%相同、より好ましくはこれらの配列に少なくとも約70〜80%、80〜90%、または90〜95%相同、最も好ましくは本発明のアミノ酸配列の1つに少なくとも約96%、97%、98%、99%、またはそれ以上相同である。
2つのアミノ酸配列(本発明のアミノ酸の1つまたはその変異体)または2つの核酸の相同%を同定するために、配列を最適に比較できるように整列させる(例えば、他のタンパク質または核酸と最適に整列させるために1つのタンパク質または核酸配列にギャップを挿入することができる)。対応するアミノ酸の位置またはヌクレオチドの位置でアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。1つの配列(本発明のアミノ酸配列の1つ)中の位置は、他の配列(例えば、アミノ酸配列の変異形態)中の対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められている場合、分子はその位置で相同である(すなわち、本明細書中で使用される、アミノ酸または核酸の「相同性」はアミノ酸または核酸の「同一性」と等価である)。2つの配列間の相同%は、同一の位置での配列の共有数の関数である(すなわち、相同%=同一の位置数/全位置数×100)。
本発明のタンパク質配列に相同なSMPタンパク質(例えば、配列表の偶数の配列番号の配列)をコードする単離核酸分子を、1つまたは複数のアミノ酸置換、付加、または欠失がコードタンパク質に移入されるような1つまたは複数のヌクレオチドの置換、付加、または欠失の本発明のヌクレオチド配列への移入によって作製することができる。変異を、標準的な技術(部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発など)によって本発明のヌクレオチド配列の1つに移入することができる。好ましくは、1つまたは複数の推定非必須アミノ酸残基での保存的アミノ酸置換を行う。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置換されたものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、当該分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。したがって、SMPタンパク質における推定非必須アミノ酸残基を、同一の側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基と置換することが好ましい。あるいは、変異を、飽和変異誘発などによってはコード配列の全てまたは一部に無作為に移入することができ、得られた変異体は本明細書中に記載のSMP活性についてのスクリーニングしてSMP活性を維持している変異体を同定することができる。配列表の奇数の配列番号1つのヌクレオチド配列の変異誘発後、コードタンパク質を組換え発現させることができ、タンパク質活性を、例えば本明細書中に記載のアッセイ(例示の実施例8を参照のこと)を使用して同定することができる。
上記のSMPタンパク質をコードする核酸分子に加えて、本発明の別の態様は、アンチセンスである単離核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸は、例えば二本鎖DNA分子のコード鎖に相補的またはmRNA配列に相補的なタンパク質をコードする「センス」核酸に相補的なヌクレオチド配列を含む。したがって、アンチセンス核酸はセンス核酸に水素結合することができる。アンチセンス核酸は、全SMPコード鎖に相補的であっても、その一部のみに相補的であっても良い。1つの実施形態では、アンチセンス核酸分子は、SMPタンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対してアンチセンスである。用語「コード領域」は、アミノ酸残基に翻訳されたコドンを含むヌクレオチド配列(例えば、配列番号3(RXA01626)の全コード領域は1〜345のヌクレオチドを含む)をいう。別の実施形態では、アンチセンス核酸分子は、SMPをコードするヌクレオチドのコード鎖の「非コード領域」に対してアンチセンスである。用語「非コード領域」は、アミノ酸に翻訳されないコード領域に隣接した5’および3’配列をいう(すなわち、5’および3’非翻訳領域ともいう)。
本明細書中に開示のSMPをコードするコード鎖配列(例えば、配列表の奇数の配列番号として記載の配列)を考慮すれば、本発明のアンチセンス核酸を、Watson and Crick塩基対合にしたがって設計することができる。アンチセンス核酸分子は、SMP mRNAの全コード領域に相補的であり得るが、SMP mRNAのコードまたは非コード領域の一部のみに対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドであることがより好ましい。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、SMP mRNAの翻訳開始部位周囲の領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50ヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス核酸を、当該分野で公知の手順を使用した化学合成および酵素ライゲーション反応を使用して構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)を、天然に存在するヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を増加させるかアンチセンス核酸とセンス核酸との間で形成された二重らせんの物理的安定性を増加させるように設計された種々の改変ヌクレオチドを使用して化学合成することができる(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドを使用することができる)。アンチセンス核酸を作製するために使用することができる改変ヌクレオチドの例には、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルケオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアミン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、βーD−マンノシルケオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、ケオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチルー2−チオウラシル、3−(3−アミノー3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンが含まれる。あるいは、核酸がアンチセンス方向でサブクローン化される発現ベクターを使用して、アンチセンス核酸を生物学的に産生させることができる(すなわち、挿入核酸から転写されたRNAは目的の標的核酸に対してアンチセンス方向である(以下の小節にさらに記載する))。
本発明のアンチセンス核酸は、典型的には、SMPタンパク質をコードする細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリッド形成するかそれに結合してタンパク質発現を阻害する(例えば、転写および/または翻訳の阻害による)ように、細胞に投与されるかin situで作製される。ハイブリッド形成は、従来のヌクレオチド相補性によって、または例えばDNA二重らせんに結合するアンチセンス核酸分子の場合、二重らせんの主要な溝における特異的相互作用によって安定な二本鎖を形成することであり得る。アンチセンス分子を、例えばアンチセンス核酸分子の細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗体への連結によって選択された細胞表面上に発現されるレセプターまたは抗原に特異的に結合するように改変することができる。アンチセンス核酸分子を、本明細書中に記載のベクターを使用して細部に送達させることもできる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を得るために、原核生物、ウイルス、または真核生物強力プロモーターの制御下でアンチセンス核酸分子が存在するベクター構築物が好ましい。
さらに別の実施形態では、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、通常β単位と対照的に鎖が互いに並行である相補RNAとの特異的二本鎖ハイブリッドを形成する(Gaultierら、1987、Nucleic Acids.Res.、15、6625〜6641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら、1987、Nucleic Acids.Res.、15、1631〜6148)またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら、1987、FEBS Lett.、215、327〜330)を含み得る。
さらに別の実施形態では、本発明のアンチセンス核酸は、リボザイムである。リボザイムは、相補領域を有する一本鎖核酸(mRNAなど)を切断することができるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子である。したがって、リボザイム(例えば、ヒト化リボザイム(Haselgoff and Gerlach、1988、Nature、334、585〜591に記載))を使用してSMP mRNA転写物を触媒反応で切断して、SMP mRNAの翻訳を阻害することができる。SMPコード核酸に特異性を有するリボザイムを、本明細書中に記載のSMP DNA分子のヌクレオチド配列(すなわち、配列番号3(RXA01626))に基づいて設計することができる。例えば、活性部位のヌクレオチド配列がSMPコードmRNA中で切断されるべきヌクレオチド配列に相補的なTetrahymena L−19 IVS RNAの誘導体を構築することができる。例えば、Cechらに付与された米国特許第4,987,071号およびCechらに付与された同第5,116,742号を参照のこと。あるいは、SMP mRNAを使用して、RNA分子プール由来の特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選択することができる。例えば、Bartel,D.and Szostak,J.W.、1993、Science、261、1411〜1418を参照のこと。
あるいは、SMP遺伝子発現を、SMPヌクレオチド配列の調節領域(例えば、SMPプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列の標的によって阻害して、標的細胞中でSMP遺伝子の転写を阻害する三重らせん構造を形成することができる。一般に、Helene,C.、1991、Anticancer Drug Des.、6(6)、569〜84、Helene,C.ら、1992、Ann.N.Y.Acad.Sci.、660、27〜36、およびMaher,L.J.、1992、Bioassays、14(12)、807〜15を参照のこと。
B.組換え発現ベクターおよび宿主細胞
本発明の別の態様は、SMPタンパク質(またはその一部)をコードする核酸を含むベクター、好ましくは発現ベクターに関する。本明細書中で使用される、用語「ベクター」は、連結している別の核酸を輸送することができる核酸分子をいう。ベクターの1つの型は「プラスミド」であり、さらなるセグメントをライゲートすることができる環状二本鎖DNAループをいう。別の型のベクターは、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートすることができるウイルスベクターである。一定のベクターは、移入された宿主細胞中の自律複製することができる(例えば、細菌の複製起点を含む細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への移入の際に宿主細胞ゲノムに取り込まれて、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、一定のベクターは、作動可能に連結される遺伝子発現を指向することができる。このようなベクターを、本明細書中では「発現ベクター」という。一般に、組家DNA技術で利用される発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。プラスミドが最も一般的なベクターの形態であるので、本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」を交換可能に使用することができる。しかし、本発明は、等価の機能を果たすウイルスベクターなどのこのような発現ベクターの他の形態(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)を含むことを意図する。
本発明の別の態様は、SMPタンパク質(またはその一部)をコードする核酸を含むベクター、好ましくは発現ベクターに関する。本明細書中で使用される、用語「ベクター」は、連結している別の核酸を輸送することができる核酸分子をいう。ベクターの1つの型は「プラスミド」であり、さらなるセグメントをライゲートすることができる環状二本鎖DNAループをいう。別の型のベクターは、さらなるDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートすることができるウイルスベクターである。一定のベクターは、移入された宿主細胞中の自律複製することができる(例えば、細菌の複製起点を含む細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への移入の際に宿主細胞ゲノムに取り込まれて、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、一定のベクターは、作動可能に連結される遺伝子発現を指向することができる。このようなベクターを、本明細書中では「発現ベクター」という。一般に、組家DNA技術で利用される発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。プラスミドが最も一般的なベクターの形態であるので、本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」を交換可能に使用することができる。しかし、本発明は、等価の機能を果たすウイルスベクターなどのこのような発現ベクターの他の形態(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)を含むことを意図する。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞中での核酸の発現に適切な形態で本発明の核酸を含み、これは、組換え発現ベクターには、発現されるべき核酸配列に作動可能に連結された発現用に使用される宿主細胞に基づいて選択された1つまたは複数の調節配列が含まれることを意味する。組換え発現ベクター内で「作動可能に連結された」は、目的のヌクレオチド配列が調節配列にヌクレオチド配列を発現させる様式で連結されていることを意味することが意図される(例えば、in vitro転写/翻訳系中、またはベクターが宿主細胞内に移入されている場合は宿主細胞中)。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化部位)を含むことが意図される。このような調節配列は、例えば、Goeddel、「遺伝子発現技術」、Methods in Enzymology、185、Academic Press、San Diego、CA、1990に記載されている。調節配列には、多数の宿主細胞型でのヌクレオチド配列の構成的発現を指向する配列および一定の宿主細胞中でのみヌクレオチド配列の発現を指向する配列が含まれる。好ましい調節配列は、例えば、細菌中で使用されることが好ましいプロモーター(cos−、tac−、trp−、tet−、trp−tet−、lpp−、lac−、lpp−lac−、lacIq−、T7−、T5−、T3−、gal−、trc−、ara−、SP6−、arny、SPO2、λ−PR−、またはλPLなど)である。さらなる調節配列は、例えば、酵母および真菌由来のプロモーター(ADC1、Mfα、AC、P−60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADHなど)、植物由来のプロモーター(CaMV/35S、SSU、OCS、lib4、usp、STLS1、B33、nos、またはユビキチンもしくはファゼオリンプロモーターなど)である。人工プロモーターも使用可能である。発現ベクターの設計は形質転換すべき宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベルなどの要因に依存し得ることが当業者に認識される。本発明の発現ベクターを、宿主細胞に移入して、本明細書中に記載の核酸によってコードされる融合タンパク質またはペプチド(例えば、SMPタンパク質、SMPタンパク質の変異形態、融合タンパク質など)を含むタンパク質またはペプチドを産生させることができる。
本発明の組換え発現ベクターを、原核細胞または真核細胞中でのSMPタンパク質発現用に設計することができる。例えば、SMP遺伝子を、C.グルタミカムなどの細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用)、酵母および他の真菌細胞(Romanos,M.A.ら、1992、「酵母での外来遺伝子の発現:総説」、Yeast、8、423〜488、van den Hondel.C.A.M.J.J.ら、1991、「糸状菌における異種遺伝子発現:真菌におけるより多数の遺伝子操作」、J.W.Bennet&L.L.Lasure編、396〜428、Academic Press、San Diego、van den Hondel.C.A.M.J.J.&Punt.P.J.、1991、「糸状菌用の遺伝子導入系およびベクターの開発:真菌の応用分子遺伝学」、Peberdy,J.F.ら編、1〜28、Cambridge University Press、Cambridgeを参照のこと)、藻類および多細胞植物細胞(Schmidt,R.and Willmitzer,L.、1988、「Arabidopsis thalianaの葉および子葉移植編を介した有効性の高いAgrobacterium tumefaciens」、Plant Cell Rep.、583〜586を参照のこと)、または哺乳動物細胞中で発現させることができる。適切な宿主細胞はGoeddel、「遺伝子発現技術」、Methods in Enzymolgy、185、Academic Press、San Diego、CA、1990でさらに考察されている。あるいは、例えばT7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して、組換え発現ベクターをin vitroで転写および翻訳することができる。
原核生物におけるタンパク質の発現は、融合または非融合タンパク質の発現を指向する構成性または誘導プロモーターを含むベクターを用いて最も頻繁に起こる。融合ベクターは、コードされるタンパク質(通常、組換えタンパク質のアミノ末端であるがC末端にも)アミノ酸数を追加するか、タンパク質内の適切な領域内で融合される。このような融合ベクターは、典型的には、以下の3つの目的で利用される:1)組換えタンパク質発現の増加、2)組換えタンパク質の溶解性の増加、および3)親和性精製におけるリガンドとしての作用による組換えタンパク質精製の補助。しばしば、融合発現ベクターでは、タンパク質分解結合部位と組換えタンパク質部分の分離を可能にするための組換えタンパク質との融合部分の接合部に移入し、その後融合タンパク質を精製する。このような酵素およびその同族認識配列には、第Xa因子、トロンビン、およびエンテロキナーゼが含まれる。
典型的な融合発現ベクターには、組換えタンパク質に、それぞれ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを融合するpGEX(Pharmacia Biotech Inc.、Smith,D.B.and Johnson,K.S.、1988、Gene、67、31〜40)、pMAL(New England Biolabs、Beverly、MA)、およびpRIT5(Pharmacia、Piscataway、NJ)が含まれる。1つの実施形態では、SMPタンパク質のコード配列を、pGEX発現ベクターにクローン化して、GST−トロンビン切断部位−Xタンパク質をN末端からC末端まで含む融合タンパク質をコードするベクターを作製する。融合タンパク質を、グルタチオンアガロース樹脂を使用した親和性クロマトグラフィーによって精製することができる。GSTに融合していない組換えSMPタンパク質を、トロンビンとの融合タンパク質の切断によって回収することができる。
適切な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例には、pTrc(Amannら、1988、Gene、69、301〜315)、pLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pIN−III113−B1、λgt11、pBdC1、およびpET 11d(Studierら、「遺伝子発現技術」、Methods in Enzymology、185、Academic Press、San Diego、California、1990、60〜89、およびPouwelsら、1985、Cloning Vectors、Elsevier、New York、IBSN 0 444 904018)が含まれる。pTrcベクター由来の標的遺伝子発現は、ハイブリッドtrp−lac融合プロモーターからの宿主RNAポリメラーゼ転写に依存する。pET 11dベクター由来の標的遺伝子発現は、ウイルスRNAポリメラーゼ(T7gn1)の同時発現によって媒介されるT7gn1−lac融合プロモーター由来の転写に依存する。このウイルスポリメラーゼは、lacUV5プロモーターの転写調節下でT7gn1遺伝子を保有する常在性λプロファージ由来の宿主株BL21(DE3)またはHMS174(DE3)によって供給される。細菌の他の変種の形質転換のために、適切なベクターを選択することができる。例えば、プラスミドpIJ101、pIJ364、pIJ702、およびpIJ361はStreptomycesの形質転換に有用であり、プラスミドpUB110、pC194、またはpBD214は、Bacillus種の形質転換に適切であることが公知である。コリネバクテリウムについての遺伝情報の伝達用のいくつかのプラスミドには、pHM1519、pBL1、pSA77、またはpAJ667(Pouwelsら編、1985、Cloning Vectors、Elsevier、New York、IBSN 0 444 904018)が含まれる。
組換えタンパク質発現を最大にするための1つのストラテジーは、組換えタンパク質のタンパク質分解による切断能力を損なった宿主細菌中でタンパク質を発現させることである(Gottesman,S.、「遺伝子発現技術」、Methods in Enzymology、185、Academic Press、San Diego、California、1990、119〜128)。別のストラテジーは、各アミノ酸の各コドンが発現用に選択された細菌(C.グルタミカムなど)中で好ましく利用されるように発現ベクターに挿入される核酸の核酸配列を変更することである(Wadaら、1992、Nucleic Acids Res.、20、2111〜2118)。本発明の核酸配列のこのような変更を、標準的なDNA合成技術によって行うことができる。
別の態様では、SMPタンパク質発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母S.cerevisiaeにおける発現用のベクターの例には、pYepSec1(Baldari,ら、1987、Embo.J.、6、229〜234)、2μ、pAG−1、Yep6、Yep13、pEMBLYe23、pMFa(Kurjan and Herskowitz、1982、Cell、30、933〜943)、pJRY88(Schultzら、1987、Gene、54、113〜123)、およびpYES2(Invitrogen Corporation、San Diego、CA)が含まれる。糸状菌などの他の真菌での使用に適切なベクターおよびベクターの構築法には、以下に記載のものが含まれる:van den Hondel.C.A.M.J.J.&Punt,P.J.、1991、「糸状菌の遺伝導入系およびベクターの開発、真菌の応用分子遺伝学」、J.F.Pebrdyら編、1〜28、Cambridge University Press、Cambridge、およびPouwelsら編、1985、Cloning Vectors、Elsevier、New York、IBSN 0 444 904018。
あるいは、本発明のSMPタンパク質を、バキュロウイルス発現ベクターを使用して昆虫細胞中で発現することができる。培養昆虫細胞(例えば、SF9細胞)中でのタンパク質発現に利用可能なバキュロウイルスベクターには、pAc系列(Smithら、1983、Mol.Cell Biol.、3、2156〜2165)、およびpVL系列(Lucklow and Summers、1989、Virology、170、31〜39)が含まれる。
別の実施形態では、本発明のSMPタンパク質を単細胞植物細胞(藻類など)または高糖植物由来の植物細胞(例えば、作物植物などの種子植物)中で発現させることができる。植物発現ベクターの例には、以下に記載のものが含まれる:Becker,D.,Kemper,E.,Schell,J.and Masterson,R.、1992、「左側の境界近くに存在する選択マーカーを有する新規の植物に成分ベクター」、Plant.Mol.Biol.、20、1195〜1197およびBevan,M.W.、1984、「植物形質転換用の二成分Agrobacteriumベクター」、Nucl.Acid.Res.、12、8711〜8721ならびにpLGV23、pGHlac+、pBIN19、pAK2004、およびpDH51(Pouwelsら、1985、Cloning Vectors、Elsevier、New York、IBSN 0 444 904018)。
さらに別の実施形態では、本発明の核酸を、哺乳動物ベクターを使用して哺乳動物細胞に発現させる。哺乳動物発現細胞の例には、pCDM8(Seed,B.、1987、Nature、329、840)およびpMT2PC(Kaufmanら、1987、EMBO J.、6、187、195)が含まれる。哺乳動物細胞において使用される場合、発現ベクターの制御機能は、しばしばウイルス調節エレメントによって得られる。例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40由来である。原核細胞および真核細胞用の他の適切な発現系については、Sambrook,J.、Fritsh,E.F.、and Maniatis,T.、「分子クローニング:実験マニュアル」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989の第16章および第17章を参照のこと。
別の実施形態では、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型で核酸の発現を指向することができる(例えば、組織特異的調節エレメントを使用して核酸を発現させる)。組織特異的調節エレメントは、当該分野で公知である。適切な組織特異的プロモーターの非限定的な例には、アルブミンプロモーター(肝臓特異的、Pinkertら、1987、Genes Dev.、1、268〜277)、リンパ球特異的プロモーター(Calame and Eaton、1988、Adv.Immunol.、43、235〜275)、特に、T細胞レセプター(Winoto and Baltimore、1989、EMBO J.、8、729〜733)および免疫グロブリン(Banerjiら、1983、Cell、33、729〜740、Queen and Baltimore、1983、Cell、33、741〜748)のプロモーター、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経フィラメント、Byrne and Ruddle、1989、PNAS、86、5473〜5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら、1985、Science、230、912〜916)、および哺乳動物腺特異的プロモーター(例えば、ミルクホエイプロモーター、米国特許第4,873,316号よび欧州特許第出願264,166号)が含まれる。発達調節プロモーター(例えば、マウスhoxプロモーター(Kessel and Gruss、1990、Science、249、374〜379)およびαフェトプロテインプロモーター(Campes and Tilghman、1989、Genes Dev.、3、537〜546))もまた含まれる。
本発明は、さらに、アンチセンス方向で発現ベクターにクローン化された本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、DNA分子は、SMP mRNAに対してアンチセンスのRNA分子を発現可能な様式(DNA分子の転写による)で調節配列を作動可能に連結される。種々の細胞型におけるアンチセンスRNA分子の持続的発現を指向する、アンチセンス方向でクローン化された核酸に作動可能に連結された調節配列を選択することができ、例えば、アンチセンスRNAの構成性、特異的、または細胞型特異的発現を指向するウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサー、または調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、アンチセンス核酸が効率の高い調節領域の制御下で産生され、その活性をベクターが移入された細胞型によって同定することができる組換えプラスミド、ファージミド、または弱毒化ウイルスの形態であり得る。アンチセンス遺伝子を使用した遺伝子発現調節の考察については、Weintraub,H.ら、「遺伝子分析用の分子ツールとしてのアンチセンスRNA」、Reviews−Trends in Genetics、1(1)巻、1986を参照のこと。
本発明の別の態様は、本発明の組換え発現ベクターが移入されている宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書では交換可能に使用される。このような用語は、特定の本件の細胞だけでなく、このような細胞の子孫または潜在的な子孫についてもいうことが理解される。変異または環境の影響により継代につれて一定の改変が生じ得るので、このような子孫は、実際は、親細胞と同一ではないが、本明細書中で使用される用語の範囲内に依然として含まれる。
宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、SMPタンパク質を、C.グルタミカム、昆虫細胞、酵母、または哺乳動物細胞(チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはCOS細胞など)中で発現させることができる。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。本発明の核酸およびタンパク質分子の宿主細胞として都合よく使用することができるコリネバクテリウム−グルタミカムに関連する微生物を、表3に記載する。
ベクターDNAを、従来の形質転換技術またはトランスフェクション技術によって原核細胞または真核細胞に移入することができる。本明細書中で使用される、用語「形質転換」、「トランスフェクション」、「接合」、および「形質導入」は、種々の分野で認識されている外来核酸(例えば、線状DNAまたはRNA(例えば、ベクターを含まない線状ベクターまたは遺伝子構築物のみ)またはベクターの形態(例えば、プラスミド、ファージ、ファスミド、ファージミド、トランスポゾン、または他のDNA)の核酸の宿主細胞への移入技術(リン酸化カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、天然の能力、化学薬品媒介導入、またはエレクトロポレーションを含む)である。適切な宿主細胞の形質転換法またはトランスフェクション法は、Sambrook,ら(「分子クローニング:実験マニュアル」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989)および他の実験マニュアルに見出すことができる。
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、細胞の小さなフラクションのみを外来DNAのそのゲノムに取り込むことができることが公知である。この取り込みを同定および選択するために、一般に、選択マーカーをコードする遺伝子(抗生物質耐性など)を、目的の遺伝子と共に宿主細胞に移入する。好ましい選択マーカーには、薬物(G418、ハイグロマイシン、よびメトトレキセートなど)に耐性を付与するものが含まれる。選択マーカーをコードする核酸を、SMPタンパク質をコードするベクターと同一のベクターに対して宿主細胞に移入するか、別個のベクターに移入することができる。移入核酸で安定にトランスフェクションされた細胞を、例えば、薬物選択によって同定することができる(例えば、選択マーカー遺伝子を組み込まれた細胞は生存し、他の細胞は死滅する)。
相同組換え微生物を作製するために、欠失、付加、置換によってSMP遺伝子が変化した(例えば、機能破壊)SMP遺伝子の少なくとも一部を含むベクターを調製する。好ましくは、SMP遺伝子はコリネバクテリウム−グルタミカムSMP遺伝子であるが、関連細菌、または哺乳動物、酵母、または昆虫起源由来のホモログであり得る。好ましい実施形態では、相同組換えの際に内因性SMP遺伝子が機能的に破壊されるようなベクター(すなわち、もはや機能的タンパク質をコードしない(「ノックアウト」ベクターともいう))を設計する。あるいは、相同組換えの際に内因性SMP遺伝子が変異されているか変更されているが依然として機能性タンパク質をコードするような(例えば、上流調節領域を変更して内因性タンパク質発現を変更することができる)ベクターを設計することができる。相同組換えベクターでは、SMP遺伝子の変更部分はベクターが保有する外因性SMP遺伝子と微生物中の内因性は遺伝子との間で相同組換えが起こるようにSMP遺伝子のさらなるアミノ酸がその5’および3’末端に隣接している。さらなる隣接SMP核酸は、内因性遺伝子との首尾の良い相同組換えに十分な長さである。典型的には、数キロベースの隣接DNA(5’および3’末端)をベクター中でインキュベートする(例えば、相同組換えベクターの説明については、Thomas,K.R.and Capecchi,M.R.、1987、Cell、51、503を参照のこと)。ベクターを微生物に移入し(例えば、エレクトロポレーションによる)、移入SMP遺伝子が内因性SMP遺伝子と相同組換えされた細胞を当該分野で公知の技術を使用して選択する。
別の実施形態では、移入遺伝子の調節発現を可能にする選択系を含む組換え微生物を産生させることができる。例えば、lacオペロンの制御下に置いたベクターへのSMP遺伝子の封入により、IPTGの存在下のみでSMP遺伝子を発現する。このような調節系は当該分野で周知である。
別の実施形態では、宿主細胞中の内因性SMP遺伝子を、そのタンパク質産物が発現しないように破壊する(例えば、相同組換えまたは当該分野で公知の他の遺伝的手段)。別の実施形態では、宿主細胞中の内因性または移入SMP遺伝子は、1つまたは複数の点変異、欠失、または逆位によって変化されるが、機能性SMPタンパク質を依然としてコードする。さらに別の実施形態では、微生物中のSMP遺伝子の1つまたは複数の調節領域(例えば、プロモーター、リプレッサー、またはインデューサー)を、SMP遺伝子発現が調整されるように変更した(例えば、欠失、短縮、逆位、または点変異による)。当業者は、1つを超える所望のSMP遺伝子およびタンパク質改変を含む宿主細胞を本発明の方法を使用して容易に産生させることができ、これは本発明に含まれることを意味することが認識される。
本発明の宿主細胞(原核生物または真核生物培養細胞など)を使用して、SMPタンパク質を産生(すなわち、発現)させることができる。したがって、本発明は、さらに、本発明の宿主細胞を使用したSMPタンパク質の産生法を提供する。1つの実施形態では、この方法は、SMPタンパク質が産生されるまで、適切な培地中で本発明の宿主細胞(SMPタンパク質をコードする組換え発現ベクターが移入されているか、ゲノムに野生型または変更SMPタンパク質をコードする遺伝子が移入されている)を培養する工程を包含する。別の実施形態では、この方法は、さらに、培地または宿主細胞からSMPタンパク質を単離する工程を包含する。
C.単離SMPタンパク質
本発明の別の態様は、単離SMPタンパク質およびその生物活性部分に関する。「単離」または「精製」タンパク質またはその生物活性部分は、組換えDNA技術によって産生された細胞物質または化学合成の場合には化学物質前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。用語「細胞物質を実質的に含まない」は、タンパク質が天然または組換えによって産生された細胞の細胞性分から分離されているSMPタンパク質の調製物を含む。1つの実施形態では、用語「細胞物質を実質的に含まない」は、約30%(乾燥重量)未満の非SMPタンパク質(本明細書中では「夾雑タンパク質」ともいう)、より好ましくは約20%未満の非SMPタンパク質、さらに好ましくは約10%未満の非SMPタンパク質、最も好ましくは約5%未満の非SMPタンパク質を含むSMPタンパク質調製物を含む。SMPタンパク質またはその生物活性部分が組換えによって産生された場合、培養培地を実質的に含まないことが好ましい。すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の約20%未満、より好ましくは約10%未満、最も好ましくは約5%未満の体積で存在する。用語「化学物質前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」は、タンパク質の合成に関連する化学物質前駆体または他の化学物質からタンパク質が分離されたSMPタンパク質調製物を含む。1つの実施形態では、用語「化学物質前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」は、約30%(乾燥重量)未満の化学物質前駆体または非SMPタンパク質、より好ましくは約20%未満の化学物質前駆体または非SMPタンパク質、さらに好ましくは約10%未満の化学物質前駆体または非SMPタンパク質、最も好ましくは約5%未満の化学物質前駆体または非SMPタンパク質を有するSMPタンパク質調製物を含む。好ましい実施形態では、単離タンパク質またはその生物活性部分は、SMPタンパク質が由来する同一の生物由来の夾雑タンパク質を欠く。典型的には、このようなタンパク質を、例えば、C.グルタミカムなどの微生物におけるC.グルタミカム SMPタンパク質の組換え発現によって産生する。
本発明の別の態様は、単離SMPタンパク質およびその生物活性部分に関する。「単離」または「精製」タンパク質またはその生物活性部分は、組換えDNA技術によって産生された細胞物質または化学合成の場合には化学物質前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。用語「細胞物質を実質的に含まない」は、タンパク質が天然または組換えによって産生された細胞の細胞性分から分離されているSMPタンパク質の調製物を含む。1つの実施形態では、用語「細胞物質を実質的に含まない」は、約30%(乾燥重量)未満の非SMPタンパク質(本明細書中では「夾雑タンパク質」ともいう)、より好ましくは約20%未満の非SMPタンパク質、さらに好ましくは約10%未満の非SMPタンパク質、最も好ましくは約5%未満の非SMPタンパク質を含むSMPタンパク質調製物を含む。SMPタンパク質またはその生物活性部分が組換えによって産生された場合、培養培地を実質的に含まないことが好ましい。すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の約20%未満、より好ましくは約10%未満、最も好ましくは約5%未満の体積で存在する。用語「化学物質前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」は、タンパク質の合成に関連する化学物質前駆体または他の化学物質からタンパク質が分離されたSMPタンパク質調製物を含む。1つの実施形態では、用語「化学物質前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」は、約30%(乾燥重量)未満の化学物質前駆体または非SMPタンパク質、より好ましくは約20%未満の化学物質前駆体または非SMPタンパク質、さらに好ましくは約10%未満の化学物質前駆体または非SMPタンパク質、最も好ましくは約5%未満の化学物質前駆体または非SMPタンパク質を有するSMPタンパク質調製物を含む。好ましい実施形態では、単離タンパク質またはその生物活性部分は、SMPタンパク質が由来する同一の生物由来の夾雑タンパク質を欠く。典型的には、このようなタンパク質を、例えば、C.グルタミカムなどの微生物におけるC.グルタミカム SMPタンパク質の組換え発現によって産生する。
本発明の単離SMPタンパク質またはその一部は、不利な代謝経路の駆動に利用される(例えば、酸化的リン酸化)糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子の生成に関連し得るか、表1に記載の1つまたは複数の活性を有する。好ましい実施形態では、タンパク質またはその一部が、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子の生成に関連する機能を果たす能力を維持するように、タンパク質またはその一部は本発明のアミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号の配列)に十分に相同なアミノ酸配列を含む。タンパク質の一部は、本明細書中に記載の生物活性部分であることが好ましい。別の好ましい実施形態では、本発明のSMPタンパク質は、配列表の偶数の配列番号として記載のアミノ酸配列を有する。さらに別の好ましい実施形態では、SMPタンパク質は、本発明のヌクレオチド配列(例えば、配列表の奇数の配列番号の配列)とハイブリッド形成する(例えば、ストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する)ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸を有する。さらに別の好ましい実施形態では、SMPタンパク質は、本発明の核酸配列の1つに少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%、好ましくは少なくとも61%、62%、63%、64%、66%、65%、67%、68%、69%、または70%、より好ましくは少なくとも約71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または90%、または91%、92%、93%、94%、更により好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上相同なヌクレオチド配列またはその一部によってコードされるアミノ酸配列またはその一部を有する。上記範囲の中間の範囲および同一値(例えば、70〜90%同一または80〜95%同一)はまた、本発明に含まれることが意図される。例えば、上限および/下限として上記の任意の値の組み合わせを使用した同一値の範囲が含まれることが意図される。本発明の好ましいSMPタンパク質はまた、本明細書中に記載の少なくとも1つのは活性を有する。例えば、本発明の好ましいSMPタンパク質は、本発明のヌクレオチド配列とハイブリッド形成し(例えば、ストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する)、コリネバクテリウム−グルタミカムにおける過程(酸化的リン酸化など)による糖などの炭素化合物の代謝およびエネルギー分子(例えば、ATP)の生成に関連する機能を果たし得るか、表1に記載の1つまたは複数の活性を有するヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を含む。
他の実施形態では、SMPタンパク質は、上記の小節Iに詳述のように、本発明のアミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号の配列)に実質的に相補的であり、天然の変動または変異誘発によってアミノ酸配列が異なるが本発明の1つまたは複数のアミノ酸配列の一部の機能的活性を保持している。したがって、別の実施形態では、SMPタンパク質は、本発明の全アミノ酸配列に少なくとも約50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%、好ましくは少なくとも61%、62%、63%、64%、66%、65%、67%、68%、69%、または70%、より好ましくは少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または90%、または91%、92%、93%、94%、更により好ましくは少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上相同なアミノ酸配列を含み、本明細書中に記載の少なくとも1つのSMP活性を有するタンパク質である。上記範囲の中間の範囲および同一値(例えば、70〜90%同一または80〜95%同一)はまた、本発明に含まれることが意図される。例えば、上限および/下限として上記の任意の値の組み合わせを使用した同一値の範囲が含まれることが意図される。別の実施形態では、本発明は、本発明の全アミノ酸配列に実質的に相同な全長C.グルタミカムタンパク質に関する。
SMPタンパク質の生物活性部分には、SMPタンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列表の偶数の配列番号の配列)由来のアミノ酸配列、SMPタンパク質に相補的なタンパク質のアミノ酸配列(少なくとも1つのSMPタンパク質活性を示す、全長SMPタンパク質よりも少ないアミノ酸またはSMPタンパク質に相補的な全長SMPアミノ酸を含む)が含まれる。典型的には、生物活性部分(ペプチド、例えば、5、10、15、20、30、35、36、37、38、39、40、50、100またはそれ以上のアミノ酸長のペプチド)は、少なくとも1つのSMPタンパク質活性を有するドメインまたはモチーフを含む。さらに、他のタンパク質領域が欠失した他の生物活性部分を組換え技術で調整して、本明細書中に記載の1つまたは複数の活性について評価することができる。好ましくは、SMPタンパク質の生物活性部分には、生物活性を有する1つまたは複数の選択ドメイン/モチーフまたはその一部が含まれる。
SMPタンパク質は、好ましくは、組換えDNA技術によって産生される。例えば、タンパク質をコードする核酸分子を、発現ベクター(上記)にクローン化し、発現ベクターを宿主細胞(上記)に移入し、宿主細胞中でSMPタンパク質を発現させる。次いで、SMPタンパク質を、標準的な精製技術を使用した適切な精製スキームによって細胞から単離することができる。組換え発現の代わりに、SMPタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを標準的にペプチド合成技術を使用して化学合成することができる。さらに、天然のSMPタンパク質を、例えば本発明のSMPタンパク質またはそのフラグメントを利用した標準的な技術によって作製することができる抗SMP抗体を使用して細胞(例えば、上皮細胞)から単離することができる。
本発明はまた、SMPキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。本明細書中で使用される、SMP「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非SMPポリペプチドに作動可能に連結されたSMPポリペプチドを含む。「SMPポリペプチド」は、SMPタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいい、「非SMPタンパク質」は、SMPタンパク質に実質的に相同でないタンパク質(例えば、SMPタンパク質と異なり、且つ同一および異なる生物由来のタンパク質)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。融合タンパク質では、用語「作動可能に連結された」は、SMPポリペプチドおよび非SMPポリペプチドが互いにインフレームで融合していることを示すことが意図される。非SMPポリペプチドをSMPポリペプチドのN末端またはC末端に融合させることができる。例えば、1つの実施形態では、融合タンパク質は、SMP配列がGST配列のC末端に融合されたGST−SMP融合タンパク質である。このような融合タンパク質は、組換えSMPタンパク質の精製を容易にすることができる。別の実施形態では、融合タンパク質は、そのN末端に異種シグナル配列を含むSMPタンパク質である。一定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)では、SMPタンパク質の発現および/または分泌を、異種シグナル配列の使用によって増加させることができる。
好ましくは、本発明のSMPキメラタンパク質および融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術で産生される。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントを、従来技術にしたがって(例えば、ライゲーション用のスタッガー末端または付着末端、適切な末端を得るための制限酵素消化、適切な付着末端の充填、望ましくない連結を回避するためのる仮ホスファターゼ処理、および酵素によるライゲーションの使用によって)インフレームで互いにライゲーションする。別の実施形態では、融合遺伝子を、自動化DNA合成機を含む従来技術によって合成することができる。あるいは、2つの連続的遺伝子間の相補的オーバーハングを引き起こす固着プライマーを使用して遺伝子フラグメントのPCR増幅を行い、その後アニーリングおよび再増幅してキメラ遺伝子配列を作製することができる(例えば、「現代の分子生物学プロトコール」、Ausbelら編、John Wiley&Sons、1992を参照のこと)。さらに、融合部分(例えば、GSTポリペプチド)を既にコードしている多数の発現ベクターが市販されている。SMPコード核酸を、融合部分がSMPタンパク質にインフレームで連結するように、このような発現ベクターにクローン化することができる。
SMPタンパク質のホモログを、変異誘発(例えば、SMPタンパク質の点変異または短縮)によって作製することができる。本明細書中で使用される、「ホモログ」は、SMPタンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するSMPタンパク質の変異形態をいう。SMPタンパク質のアゴニストは、SMPタンパク質の実質的に同一またはサブセットの生物活性を保持することができる。SMPタンパク質のアンタゴニストは、例えば、機能的相互作用不可能になるようなSMPタンパク質を含む生物学的カスケードの下流または上流メンバーへの競合的結合、SMPタンパク質が相互作用する標的分子への結合、またはSMPタンパク質への直接的結合およびその通常の活性の阻害によってSMPタンパク質の天然に存在する形態の1つまたは複数の活性を阻害することができる。
別の実施形態では、SMPタンパク質のホモログを、SMPタンパク質の変異体(例えば、短縮変異体)の組み合わせライブラリーのSMPタンパク質アゴニストまたはアンタゴニスト活性についてのスクリーニングによって同定することができる。1つの実施形態では、SMP変異型の雑色ライブラリーを、核酸レベルでの組み合わせ変異誘発によって作製し、これは、雑色遺伝子ラブラリーによってコードされる。SMP変異型の雑色ライブラリーを、例えば、潜在的なSMP配列の縮重セットがそれぞれのポリペプチドとしてあるいはSMP配列のセットを含むより大きな融合タンパク質のセット(例えば、ファージディスプレイ)として発現可能なように、遺伝子配列への合成オリゴヌクレオチドの混合物の酵素ライゲーションによって産生させることができる。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的なSMPホモログを産生するために使用することができる種々の方法が存在する。縮重遺伝子配列の化学合成を、自動化DNA合成機で行うことができ、その後合成遺伝子を適切な発現ベクターにライゲーションする。遺伝子の縮重セットの使用により、所望の潜在的なSMP配列のセットをコードする配列の全てを1つの混合物から獲得可能である。縮重オリゴヌクレオチドの合成法は、当該分野で公知である(例えば、Narang,S.A.、1983、Tetrahedron、39、3、Itakuraら、1984、Annu.Rev.Biochem.、53、323、Itakuraら、1984、Science、198、1056、Ikeら、1983、Nucleic Acid Res.、11、477を参照のこと)。
さらに、SMPタンパク質をコードするフラグメントのライブラリーを使用して、SMPタンパク質のホモログのスクリーニングおよびその後の分泌用のSMPタンパク質の雑色集団を作製することができる。1つの実施形態では、コード配列フラグメントのライブラリーを、1分子あたり1回のみニックが起こる条件下でのヌクレアーゼでのSMPコード配列の二本鎖PCRフラグメントの処理、二本鎖DNAの変性、異なるニック産物由来のセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成させるためのDNAの再生、S1ヌクレアーゼでの処理による再形成二重らせんからの一本鎖部分の除去、および得られたフラグメントライブラリーの発現ベクターへのライゲーションによって作製することができる。この方法により、発現ライブラリーは、種々のサイズのSMPタンパク質のN末端、C末端、内部フラグメントをコードするベクターに由来し得る。
点変異または短縮によって作製される組み合わせライブラリーの遺伝子産物のスクリーニングおよび選択された特性を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーのスクリーニング用のいくつかの技術は、当該分野で公知である。このような技術は、SMPホモログの組み合わせ変異誘発によって作製される遺伝子ライブリーの迅速なスクリーニングに適用可能である。高処理分析に利用可能な巨大な遺伝子ライブラリーのスクリーニングに最も広く使用されている技術には、典型的には、複製可能な発現ベクターへの遺伝子ライブラリーのクローニング、得られたベクターライブラリーでの適切な細胞の形質転換、および所望の活性の検出により産物が検出される遺伝子をコードするベクターの単離を容易にする条件下で組み合わせ遺伝子の発現が含まれる。再帰的アンサンブル変異誘発(REM)(ライブラリー中の帰納的変異体の頻度を向上させる技術)を、スクリーニングアッセイと組み合わせて使用して、SMPホモログを同定することができる(Arkin and Yourvan、1992、PNAS、89、7811〜7815、Delgraveら、1993、Protein Engineering、6(3)、327〜331)。
別の実施形態では、細胞ベースのアッセイを利用した、当該分野で周知の方法の使用によって雑色SMPライブラリーを分析することができる。
D.本発明の使用および用途
本明細書中に記載の核酸分子、タンパク質、タンパク質ホモログ、融合タンパク質、プライマー、ベクター、および宿主細胞を、以下の1つまたは複数の方法で使用することができる:C.グルタミカムおよび関連生物の同定、C.グルタミカムに関連する生物のゲノムマッピング、目的のC.グルタミカム配列の同定および局在化、進化研究、機能に必要なSMPタンパク質領域の同定、SMPタンパク質活性の調整、1つまたは複数の糖代謝の調整、細胞中の高エネルギー分子生成の調整(すなわち、ATP、NADPH)、および所望の化合物(生成化学製品など)の細胞生産の調整。
本明細書中に記載の核酸分子、タンパク質、タンパク質ホモログ、融合タンパク質、プライマー、ベクター、および宿主細胞を、以下の1つまたは複数の方法で使用することができる:C.グルタミカムおよび関連生物の同定、C.グルタミカムに関連する生物のゲノムマッピング、目的のC.グルタミカム配列の同定および局在化、進化研究、機能に必要なSMPタンパク質領域の同定、SMPタンパク質活性の調整、1つまたは複数の糖代謝の調整、細胞中の高エネルギー分子生成の調整(すなわち、ATP、NADPH)、および所望の化合物(生成化学製品など)の細胞生産の調整。
本発明のSMP核酸分子は、種々の用途がある。第1に、これを使用して、コリネバクテリウム−グルタミカムまたはその密接な関連生物である生物を同定することができる。また、これを使用して、微生物の混合集団中のC.グルタミカムまたはその関連生物の存在を同定することができる。本発明により、この生物に固有のC.グルタミカム遺伝子領域にまたがるプローブを使用したストリンジェントな条件下での微生物の固有または混合集団の培養物からの抽出ゲノムDNAの探索によって、多数のC.グルタミカム遺伝子の核酸配列が得られ、この生物が存在するかどうかを確認することができる。コリネバクテリウム−グルタミカム自体は非病原性であるにもかかわらず、コリネバクテリウム diphtheriaeなどの病原種に関連する。コリネバクテリウム diphtheriaeはジフテリアの原因物質であり、局所および全身性病態を含む急速に発症する(急性の)熱性感染症である。この疾患では、上気道が局所的に損傷し、上皮細胞が壊死性損傷を受け、バチルスが身体の離れた感受性組織に汎発する毒素を分泌する。変性による変化は、これらの組織(心臓、筋肉、末梢神経、副腎、腎臓、肝臓、および脾臓を含む)におけるタンパク質合成の阻害によって引き起こされ、全身性疾患を引き起こす。ジフテリアは、世界の多くの地域(アフリカ、アジア、東欧、および旧ソ連の独立国を含む)で高い発生率が維持されている。後者の2つの地域でのジフテリアの持続的流行により、1990年以来少なくとも5,000人が死亡している。
1つの実施形態では、本発明は、被験体におけるコリネバクテリウム diphtheriaeの存在または活性の同定法を提供する。この方法には、被験体における本発明の1つまたは複数の核酸またはアミノ酸配列(例えば、それぞれ、配列表の奇数または偶数の配列番号に記載の配列)の検出による被験体におけるコリネバクテリウム diphtheriaeの存在または活性の検出が含まれる。C.グルタミカムおよびC.diphtheriaeは関連細菌であり、C.グルタミカム中の多数の各鎖の予備タンパク質分子がC.diphtheriaeの核酸およびタンパク質分子と相同であり、それにより被験体中のC.diphtheriaeの検出に使用することができる。
本発明の核酸およびタンパク質分子はまた、ゲノムの特異的領域についてのマーカーとして利用することができる。これは、ゲノムのマッピングだけでなく、C.グルタミカムタンパク質の機能研究に有用である。例えば、特定のC.グルタミカムDNA結合タンパク質に結合するゲノム領域を同定するために、C.グルタミカムゲノムを消化し、フラグメントをDNA結合タンパク質とインキュベートすることができる。タンパク質に結合するフラグメントを、好ましくは容易に検出可能な標識とともに本発明の核酸分子を用いてさらに探索することができる。このような核酸分子のゲノムフラグメントへの結合により、C.グルタミカムのゲノムマップへのフラグメントの局在化が可能であり、異なる酵素で複数回行った場合は、タンパク質が結合する核酸配列の迅速な同定が容易になる。さらに、本発明の核酸分子は、関連種の配列に十分に相同であり得るので、これらの核酸分子は関連細菌(ブレビバクテリウム ラクトフェルメンタムなど)のゲノムマップの構築用のマーカーとして利用することができる。
本発明のSMP核酸分子はまた、進化およびタンパク質構造研究に有用である。本発明の分子が関与する代謝およびエネルギー放出過程は、広範な種々の原核生物および真核生物によって利用される。本発明の核酸分子配列と他の生物由来の類似の酵素をコードする配列との比較により、生物の進化上の関連を評価することができる。同様に、このような比較により、配列領域の保存の有無、酵素機能に必須のタンパク質領域の同定を補助することができる評価を行うことが可能である。この同定の型はタンパク質操作研究に価値があり、タンパク質が機能を喪失することなく変異誘発に耐性を示すかどうかの指標を得ることができる。
本発明のSMP核酸分子の操作により、野生型SMPタンパク質と異なる機能を有するSMPタンパク質を産生可能である。これらのタンパク質を、効率または活性を改良するか、細胞中に通常よりも多数の細胞を存在させるか、効率または活性を減少させることができる。
本発明は、SMPタンパク質自体またはSMPタンパク質の基質もしくは結合パートナーとの相互作用または本発明のSMP核酸分子の転写または翻訳の調整のいずれかによる、SMPタンパク質活性を調整する分子のスクリーニング法を提供する。このような方法では、本発明の1つまたは複数のSMPタンパク質を発現する微生物を、1つまたは複数の試験化合物と接触させ、SMPタンパク質の活性または発現レベルに対する各試験化合物の効果を評価する。
本発明のSMPタンパク質の変更によりこのような変更タンパク質が組み込まれたC.グルタミカム株由来の精製化学製品の生産量、生産、および/または生産効率が直接影響を受け得る多数の機構が存在する。糖などの高エネルギー炭素分子の分解およびNADHおよびFADH2などの化合物の酸化的リン酸化によるより有用な形態の化合物への変換により、それ自体が所望の生成化学製品(ピルビン酸、ATP、NADHなど)である多数の化合物および中間体糖化合物が得られる。さらに、これらの代謝経路によって生成されたエネルギー分子(ATPなど)および還元糖化物(NADHまたはNADPHなど)を細胞中で利用して、エネルギー的に不利な反応を駆動させる。このような不利な反応には、多数の生成化学製品生合成経路が含まれる。細胞の特定の糖を利用する能力の改良により(例えば、細胞の糖の分解およびエネルギーへの変換に関連する酵素をコードする遺伝子の改良により)、不利であるが所望の代謝反応(所望の精製化学製品の生合成)を利用可能なエネルギー量に増加させることができる。
さらに、糖利用に関連する1つまたは複数の経路の調整により、糖分子内に含まれるエネルギーの1つまたは複数の所望の生成化学製品の生産への変換の最適化が可能である。例えば、糖新生に関連する酵素活性の減少により、所望の生化学反応(生成化学製品生合成など)を駆動するためにより多数のATPが利用可能である。また、細胞が各糖分子からのエネルギー生産を確実に最大にするために糖由来のエネルギー分子の全生成を調整することができる。非効率的な糖の利用により、CO2およびエネルギーが過剰に生産され、代謝経路が無駄になる。糖分子の代謝の改良により、細胞がより効率的に機能するのでより少ない炭素分子で済むはずである。これにより、操作したC.グルタミカムの大量発酵槽培養において培地に添加しなければならない糖の量を減少させることができる。
本発明の1つまたは複数のSMP遺伝子の変異誘発により、C.グルタミカム由来の1つまたは複数の所望の精製化学製品の生産に間接的に影響を与える活性を変化させたSMPタンパク質を得ることもできる。例えば、1つまたは複数の糖の利用効率の増加(糖の有用なエネルギー分子への変換)または還元糖化物の有用なエネルギー分子への変換効率の増加(例えば、酸化的リン酸化の効率またはATPシンターゼ活性の改良による)により、細胞が利用可能な通常不利な代謝過程を駆動するこれらの高エネルギー化合物量を増加させることができる。これらの過程には、細胞壁の構築、転写、翻訳、および細胞の増殖および分裂に必要な化合物(例えば、ヌクレオチド、アミノ酸、ビタミン、脂質など)の生合成が含まれる(Lengelerら、1999、「原核生物の生物学」、Thieme Verlag:Stuttgart、88〜109、913〜918、875〜899)。これらの操作細胞の成長および増殖の改良により、大量培養での生存度の増加および分裂速度の改良が可能であり、比較的多数の細胞が発酵槽培養で生存することができる。少なくとも多数の生細胞の存在により生産量、生産、または生産効率を増加させて所望の精製化学製品を生産することができる。
さらに、糖代謝中に生成される多数の分解生成物自体を他の有用な化合物(そのうちのいくつかは精製化学製品である)の生成用の前駆体または中間体として細胞によって利用される。例えば、ピルビン酸は、アミノ酸のアラニンに変換され、リボース−5−リン酸は、例えば、核酸分子の不可分の一部である。次いで、糖代謝の量および効率には、細胞中でのこれらの分解生成物の利用可能性に対する興味深い効果がある。現存の経路の効率に関する細胞の糖の処理能力の増加(例えば、活性が最適になるようなこれらの経路に関連する酵素の操作)によるか、このような経路に関連する酵素の利用可能性の増大(例えば、細胞中に存在するこれらの酵素数の増加)によって、細胞での分解生成物の利用可能性を増大させることも可能であるので、細胞中の多数の異なる他の所望の化合物の生成が増加するはずである。
C.グルタミカム由来の精製化学製品の生産量を増加させるSMPタンパク質の上記の変異誘発ストラテジーは、制限を意味しない。これらのストラテジーの変形形態は、当業者に容易に認識される。このようなストラテジーの使および本明細書中に開示の機構の組み込みによって、本発明の核酸およびタンパク質分子を利用して、変異SMP核酸およびタンパク質分子を発現するC.グルタミカムまたは関連細菌を作製して所望の化合物の生産量、生産、および/または生産効率を改良することができる。この所望の化合物は、C.グルタミカムによって産生された任意の生成物であり得るが、これには、生合成経路の最終生成物および天然に存在する代謝経路の中間物、ならびにC.グルタミカムの代謝において天然では得られないが本発明のC.グルタミカム株によって産生される分子が含まれる。
本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、限定と解釈されるべきではない。本出願を通して引用された全ての引例、特許出願書類、特許、公開された特許出願書類、表、および配列表は、本明細書中で参考として援用される。
実施例
実施例1:Corynebacterium glutamicum ATCC13032の全ゲノムDNAの製造
Corynebacterium glutamicum (ATCC13032)の培養は、激しく攪拌したBHI媒体(Difco)中で、30℃で終夜行なわれた。細胞は遠心分離により回収され、上澄みを処分し、細胞は、5mlの緩衝液I(最初の培養容積の5%、すべての示された容積は、100mlの培養容積のために計算されたものである。)中再懸濁された。緩衝液Iの組成は、140.34g/lのショ糖、2.46g/lのMgSO4x7H2O、10ml/lのKH2PO4溶液(100g/l、KOHでpH6.7に調整)、50ml/lのM12濃縮物(10g/lの(NH4)2SO4、1g/lのNaCl、2g/lのMgSO4x7H2O、0.2g/lのCaCl2、0.5g/lの酵母抽出物(Difco)、10ml/lのトレース−エレメンツ−ミックス(200mg/lのFeSO4xH2O、10mg/lのZnSO4x7H2O、3mg/lのMnCl2x4H2O、30mg/lのH3BO3、20mg/lのCoCl2x6H2O、1mg/lのNiCl2x6H2O、3mg/lのNa2MoO4x2H2O、500mg/lの錯化剤(EDTAまたはクエン酸)、100ml/lのビタミン−ミックス(0.2mg/lのビオチン、0.2mg/lの葉酸、20mg/lのp−アミノ安息香酸、20mg/lのリボフラビン、40mg/lのパントテン酸カルシウム、140mg/lのニコチン酸、40mg/lの塩酸ピリドキソール、200mg/lのミオ−イノシトール)である。リゾチームを最終濃度が2.5mg/mlになるまで懸濁液に加えた。約4時間、37℃での培養の後、細胞壁を劣化させ得られたプロトプラストを遠心分離によって回収した。ペレットを5mlの緩衝液Iで一度、5mlのTE緩衝液(10mMのトリスHCl、1mMのEDTA、pH8)で一度洗浄した。ペレットを4mlのTE緩衝液に再懸濁し、0.5mlのSDS溶液(10%)と0.5mlのNaCl溶液(5M)を加えた。プロテイナーゼKを最終濃度200μg/mlになるまで加えた後、懸濁液を約18時間、37℃で培養した。DNAを標準的な操作で、フェノール、フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコールおよびクロロホルム−イソアミルアルコールによる抽出により精製した。それから、DNAを1/50容積の3M酢酸ナトリウムおよび2容積のエタノールを加えて析出させ、次いで30分間、−20℃でインキュベートし、SS34ローター(Sorvall)を使用した高速遠心分離機で12000rpmで遠心分離を30分間行なった。DNAを20μg/mlのRNアーゼAを含む1mlのTE緩衝液に溶解し、4℃で、少なくとも3時間1000mlのTE緩衝液に対して透析した。この間、緩衝液を3度交換した。透析したDNA溶液の0.4mlの部分に、0.4mlの2MLiClと0.8mlのエタノールを加えた。30分間、−20℃でインキュベートした後、遠心分離(13000rpm、Biofuge Fresco,Heraeus,Hanau,Germany)によりDNAを集めた。DNAペレットをTE緩衝液に溶解した。この操作により製造されたDNAは、すべての目的、サザンブロット法またはゲノムライブラリーの構築に使用することができた。
実施例1:Corynebacterium glutamicum ATCC13032の全ゲノムDNAの製造
Corynebacterium glutamicum (ATCC13032)の培養は、激しく攪拌したBHI媒体(Difco)中で、30℃で終夜行なわれた。細胞は遠心分離により回収され、上澄みを処分し、細胞は、5mlの緩衝液I(最初の培養容積の5%、すべての示された容積は、100mlの培養容積のために計算されたものである。)中再懸濁された。緩衝液Iの組成は、140.34g/lのショ糖、2.46g/lのMgSO4x7H2O、10ml/lのKH2PO4溶液(100g/l、KOHでpH6.7に調整)、50ml/lのM12濃縮物(10g/lの(NH4)2SO4、1g/lのNaCl、2g/lのMgSO4x7H2O、0.2g/lのCaCl2、0.5g/lの酵母抽出物(Difco)、10ml/lのトレース−エレメンツ−ミックス(200mg/lのFeSO4xH2O、10mg/lのZnSO4x7H2O、3mg/lのMnCl2x4H2O、30mg/lのH3BO3、20mg/lのCoCl2x6H2O、1mg/lのNiCl2x6H2O、3mg/lのNa2MoO4x2H2O、500mg/lの錯化剤(EDTAまたはクエン酸)、100ml/lのビタミン−ミックス(0.2mg/lのビオチン、0.2mg/lの葉酸、20mg/lのp−アミノ安息香酸、20mg/lのリボフラビン、40mg/lのパントテン酸カルシウム、140mg/lのニコチン酸、40mg/lの塩酸ピリドキソール、200mg/lのミオ−イノシトール)である。リゾチームを最終濃度が2.5mg/mlになるまで懸濁液に加えた。約4時間、37℃での培養の後、細胞壁を劣化させ得られたプロトプラストを遠心分離によって回収した。ペレットを5mlの緩衝液Iで一度、5mlのTE緩衝液(10mMのトリスHCl、1mMのEDTA、pH8)で一度洗浄した。ペレットを4mlのTE緩衝液に再懸濁し、0.5mlのSDS溶液(10%)と0.5mlのNaCl溶液(5M)を加えた。プロテイナーゼKを最終濃度200μg/mlになるまで加えた後、懸濁液を約18時間、37℃で培養した。DNAを標準的な操作で、フェノール、フェノール−クロロホルム−イソアミルアルコールおよびクロロホルム−イソアミルアルコールによる抽出により精製した。それから、DNAを1/50容積の3M酢酸ナトリウムおよび2容積のエタノールを加えて析出させ、次いで30分間、−20℃でインキュベートし、SS34ローター(Sorvall)を使用した高速遠心分離機で12000rpmで遠心分離を30分間行なった。DNAを20μg/mlのRNアーゼAを含む1mlのTE緩衝液に溶解し、4℃で、少なくとも3時間1000mlのTE緩衝液に対して透析した。この間、緩衝液を3度交換した。透析したDNA溶液の0.4mlの部分に、0.4mlの2MLiClと0.8mlのエタノールを加えた。30分間、−20℃でインキュベートした後、遠心分離(13000rpm、Biofuge Fresco,Heraeus,Hanau,Germany)によりDNAを集めた。DNAペレットをTE緩衝液に溶解した。この操作により製造されたDNAは、すべての目的、サザンブロット法またはゲノムライブラリーの構築に使用することができた。
実施例2:Corynebacterium glutamicum ATCC13032のEscherichia Coliにおけるゲノムライブラリーの構築
実施例1に記載したように製造されたDNAを用いて、コスミッドおよびプラスミドライブラリーが、公知で、よく確立された方法に従って構築された(例えば、Sambrook,Jら、(1989)'Molecular Cloning:A Laboratory Manual', Cold Spring Harbor Laboratory PressまたはAusubel,F.Mら(1994) 'Current Protocols in Molecular Biology', John Wiley and Sons.を参照)。
実施例1に記載したように製造されたDNAを用いて、コスミッドおよびプラスミドライブラリーが、公知で、よく確立された方法に従って構築された(例えば、Sambrook,Jら、(1989)'Molecular Cloning:A Laboratory Manual', Cold Spring Harbor Laboratory PressまたはAusubel,F.Mら(1994) 'Current Protocols in Molecular Biology', John Wiley and Sons.を参照)。
どんなプラスミドまたはコスミッドでも使用することができた。特別に、プラスミドpBR322(Sutcliffe, J.G.(1979) Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75:3737-3741);pACYC177 (Change とCohen(1978) J.Bacteriol 134:1141-1156),pBSの系列のプラスミド(pBSSK+,pBSSK-およびその他;Stratagene LaJolla,USA),またはSuperCos1(Stratagene LaJolla,USA)、Lorist6(Gibson,T.J.,Rosenthal A.およびWaterson,R.H.(1987) Gene 53:283-286)のコスミッドが使用された。特にC.glutamicumにおいて使用するためのジーンライブラリーは、プラスミドpSL109( Lee,H.S.およびA.J.Sinskey(1994) J.Microbiol.Biotechnol.4:256-263)を用いて構築することができる。
実施例3:DNAシーケンスとコンピューターによる機能解析
実施例2に記載されたゲノムライブラリーを標準的な方法、特にABI377シーケンスマシーンを用いた鎖成長停止反応法(例えばFleischman,R.D.ら(1995)'Whole-genome Random Sequencing and Assembly of Haemophilus Influenzae Rd.',Science, 269:496-512参照)に従ったDNAシーケンスに使用した。以下のヌクレオチド配列のシーケンスプライマーが使用された:5'-GGAAACAGTATGACCATG-3(SEQ ID NO:783)または5'-GTAAAACGACGGCCAGT-3'(SEQ ID NO:784)。
実施例2に記載されたゲノムライブラリーを標準的な方法、特にABI377シーケンスマシーンを用いた鎖成長停止反応法(例えばFleischman,R.D.ら(1995)'Whole-genome Random Sequencing and Assembly of Haemophilus Influenzae Rd.',Science, 269:496-512参照)に従ったDNAシーケンスに使用した。以下のヌクレオチド配列のシーケンスプライマーが使用された:5'-GGAAACAGTATGACCATG-3(SEQ ID NO:783)または5'-GTAAAACGACGGCCAGT-3'(SEQ ID NO:784)。
実施例4:生体内突然変異誘発
Corynebacterium glutamicumの生体内突然変異誘発が、E.coliまたは他の微生物(例えばBacillus spp.またはSaccharomyces cerevisiaeなどの酵母)であってその遺伝子情報の完全性を保つための能力が減じられているものを通して、プラスミド(または他のベクター)の通過により行なうことができる。典型的なミューテーター株は、DNA修復システム(例えばmutHLS,mutD,mutTその他;Rupp,W.D.(1996) DNA repair mechanisms,Escherichia coli and Salmonella,p2277-2294,ASM:Washington参照)の遺伝子に変異を持っている。このような株は当業者によく知られている。このような株の使用は、例えばGreener,A.およびCallahan,M.(1994) Strategies 7:32-34に記載されている。
Corynebacterium glutamicumの生体内突然変異誘発が、E.coliまたは他の微生物(例えばBacillus spp.またはSaccharomyces cerevisiaeなどの酵母)であってその遺伝子情報の完全性を保つための能力が減じられているものを通して、プラスミド(または他のベクター)の通過により行なうことができる。典型的なミューテーター株は、DNA修復システム(例えばmutHLS,mutD,mutTその他;Rupp,W.D.(1996) DNA repair mechanisms,Escherichia coli and Salmonella,p2277-2294,ASM:Washington参照)の遺伝子に変異を持っている。このような株は当業者によく知られている。このような株の使用は、例えばGreener,A.およびCallahan,M.(1994) Strategies 7:32-34に記載されている。
実施例5:Escherichia coli および Corynebacterium glutamicumの間のDNA転換
いくつかのCorynebacteriumとBrevibacterium種は自律的に複製する(例えば、Martin, J.F.ら(1987) Biotechnology, 5:137-146参照)内因性プラスミド(例えばpHM1519またはpBL1)を含む。Escherichia coliとCorynebacuterium glutamicumのシャトルベクターは、E.coliの標準ベクター(Sambrook,J.et al.(1989),'Molecular Cloning:A Laboratory Manual',Cold Spring Harbor Laboratory PressまたはAusubel,F.M.et al.(1994)'Current Protocols in Molecular Biology', John Wiley and Sons)を用いて、これに、開始または複製のおよび適当なCorynebacterium glutamicum由来のマーカーを加えることで容易に構築することができる。このような複製の開始点は、好ましくはCorynebacteriumとBrevibacterium種から単離された内因性プラスミドからもたらされる。これらの種の形質転換マーカーとして、カナマイシン耐性の遺伝子(Tn5またはTn903トランスポゾンから誘導されたもの)またはクロラムフェニコール耐性遺伝子(Winnacker,E.L.(1987)'From Genes to Clones-Introduction to Gene Technology,VCH,Weinheim)が特に用いられる。E.coli とC.glutamicumの双方でおいて複製するシャトルベクターの広範囲の構築の文献は数多く例があり、遺伝子過剰発現を含むいくつかの目的に使用することができる(例えば、Yoshihama,M.et al.(1985) J.Bacteriol. 162:591-597, Martin,J.F.et al.(1987) Biotechnology,5:137-146 およびEikmanns,B.J.et al.(1991) Gene, 102:93-98参照)。
いくつかのCorynebacteriumとBrevibacterium種は自律的に複製する(例えば、Martin, J.F.ら(1987) Biotechnology, 5:137-146参照)内因性プラスミド(例えばpHM1519またはpBL1)を含む。Escherichia coliとCorynebacuterium glutamicumのシャトルベクターは、E.coliの標準ベクター(Sambrook,J.et al.(1989),'Molecular Cloning:A Laboratory Manual',Cold Spring Harbor Laboratory PressまたはAusubel,F.M.et al.(1994)'Current Protocols in Molecular Biology', John Wiley and Sons)を用いて、これに、開始または複製のおよび適当なCorynebacterium glutamicum由来のマーカーを加えることで容易に構築することができる。このような複製の開始点は、好ましくはCorynebacteriumとBrevibacterium種から単離された内因性プラスミドからもたらされる。これらの種の形質転換マーカーとして、カナマイシン耐性の遺伝子(Tn5またはTn903トランスポゾンから誘導されたもの)またはクロラムフェニコール耐性遺伝子(Winnacker,E.L.(1987)'From Genes to Clones-Introduction to Gene Technology,VCH,Weinheim)が特に用いられる。E.coli とC.glutamicumの双方でおいて複製するシャトルベクターの広範囲の構築の文献は数多く例があり、遺伝子過剰発現を含むいくつかの目的に使用することができる(例えば、Yoshihama,M.et al.(1985) J.Bacteriol. 162:591-597, Martin,J.F.et al.(1987) Biotechnology,5:137-146 およびEikmanns,B.J.et al.(1991) Gene, 102:93-98参照)。
標準的な方法を用いて、上述のように注目の遺伝子をシャトルベクターの一つヘクローンすることが可能であり、またこのようなハイブリッドベクターをCorynebacterium glutamicum株に導入することが可能である。C.glutamicumの形質転換を、プロトプラスト形質転換(Kastsumata,R.et al.(1984) J.Bacteriol. 159306-311),エレクトロポレーション(Liebl,E.et al.(1989)FEMS Microbiol.Letters,53:399-303)そして特別のベクターが用いられた場合には、接合(例えば Schaefer,A et al.(1990)J.Bacteriol.172:1663-1666に記載)によって達成することができる。C.glutamicumからのプラスミドDNAの製造(周知の標準的な方法を用いて)およびそのE.Coliへの形質転換によるC.glutamicumからE.coliへのシャトルベクターの転換も可能である。この形質転換の段階は、標準的な方法を用いて行なうことができるが、Mcr−不足E.coli株、例えばNM522(Gough and Murray(1983)J.Mol.Biol.166:1-19)を使用することが有利である。
遺伝子は、pCG1(U.S.patent No.4617267)またはその断片、任意でTN903(Grindley,N.D.and Joyce,C.M.(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77(12):7176-7180)からのカナマイシン耐性遺伝子を含むプラスミドを用いたC.glutamicum 株中に過剰発現させることができる。加えて、遺伝子は、プラスミドpSL109(Lee,H.S and A.J.Sinskey(1994) J.Microbiol Biotechnol.4:256-263)を用いてC.Glutamicum株中に過剰発現することができる。
複製プラスミドに加えて、遺伝子の過剰発現は、ゲノムへの組み込みによって達成することができる。C.glutamicum または他のCorynebacteriumまたはbrevibacterium種における遺伝子組み込みは、周知の方法、例えばゲノム領域での相同性組換え、制限エンドヌクレアーゼ仲介の組み込み(REMI)(例えばDE patent 19823834)またはトランスポゾンの使用などによって達成することができる。調節領域(例えば、プロモーター、レプレッサー、および/またはエンハンサー)を配列の修飾、挿入、サイト−ダイレクテド法(例えば相同性組換え)による削除、またはランダムイベントに基づく方法(例えばトランスポゾン突然変異誘発またはREMI)により変形することにより、注目遺伝子の活性を変化させることもできる。転写ターミネーターとして機能する核酸配列は、本発明の一以上の遺伝子のコード領域へ3’挿入されることもできる。このようなターミネーターは、周知であり、例えばWinnacker, E.L. (1987)From Genes to Clones-Introduction to Gene Technology. VCH: Weinheim中に記載されている。
実施例6:変異タンパク質の発現の評価
形質転換された宿主細胞中の変異タンパク質の活性の観察は、変異タンパク質が、野生種のタンパク質と類似した形態と類似した量で発現されるという事実に基づいている。変異遺伝子(遺伝子産物に対する転写に用いられるmRNAの量のインジケーター)の転写のレベルを確認するために有用な方法は、ノーザン・ブロット法(Ausubel et al.(1988) Current Protocols in Molecular Biology, Wiley: New York参照)であり、注目遺伝子に結合するように設計されたプライマーが、検出タグ(通常放射性または化学ルミネセンス)により、生物の培養の総RNAを抽出し、ゲルに流し、安定マトリックスに移動させ、このプローブでインキュベートする場合に、プローブの結合および結合の量が、この遺伝子のmRNAの存在と量を示すようにラベルされている。この情報は、変異遺伝子の転写の程度の証拠である。全部の細胞のRNAは、いくつかの周知の方法、例えば、 Bormann, E.R. et al. (1992) Mol. Microbiol. 6:317-326に記載された方法により、Corynebacterium glutamicumから製造することができる。
形質転換された宿主細胞中の変異タンパク質の活性の観察は、変異タンパク質が、野生種のタンパク質と類似した形態と類似した量で発現されるという事実に基づいている。変異遺伝子(遺伝子産物に対する転写に用いられるmRNAの量のインジケーター)の転写のレベルを確認するために有用な方法は、ノーザン・ブロット法(Ausubel et al.(1988) Current Protocols in Molecular Biology, Wiley: New York参照)であり、注目遺伝子に結合するように設計されたプライマーが、検出タグ(通常放射性または化学ルミネセンス)により、生物の培養の総RNAを抽出し、ゲルに流し、安定マトリックスに移動させ、このプローブでインキュベートする場合に、プローブの結合および結合の量が、この遺伝子のmRNAの存在と量を示すようにラベルされている。この情報は、変異遺伝子の転写の程度の証拠である。全部の細胞のRNAは、いくつかの周知の方法、例えば、 Bormann, E.R. et al. (1992) Mol. Microbiol. 6:317-326に記載された方法により、Corynebacterium glutamicumから製造することができる。
このmRNAから翻訳されたタンパク質の存在と比較量の評価のために、ウェスタン・ブロッド法などの標準的な技術が使用され得る(例えばAusubel et al. (1988) Current Protocols in Molecular Biology, Wiley: New York参照)。この方法では、全部の細胞のタンパク質は、抽出され、ゲル電気泳動により分離され、ニトロセルロースのようなマトリックスに移され、設計されたタンパク質に特異的に結合する抗体などのプローブとともにインキュベートされる。このプローブは、一般に容易に検出可能な化学ルミネセンスまたは比色のラベルでタグがつけられている。観察されたラベルの存在と量は、細胞中の所望の変異タンパク質の存在と量を示す。
実施例7:遺伝子的に修飾されたCorynebacteriaの成長−媒体および培養条件
遺伝子的に修飾されたCorynebacterium glutamicumは、合成または天然成長媒体中で培養される。Corynebacteriaの異なった成長媒体の多くはどちらも知られており、容易に入手可能である(Lieb et al. (1989) Appl. Microbiol. Biotechnol., 32:205-210; von der Osten et al. (1998) Biotechnology Letters, 11:11-16; Patent DE 4,120,867; Liebl (1992)’The Genus Corynebacterium, in: The Procaryotes, Volume II, Balows, A. et al., eds. Spring-Verlag)。これらの媒体は、一種以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンおよび痕跡の要素からなる。好ましい炭素源は、モノ−、ジ−またはポリサッカライドなどの砂糖である。例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプンまたはセルロースが非常によい炭素源として働く。糖蜜または他の砂糖精製の副生成物のような複合化合物によって媒体に砂糖を供給することも可能である。異なった炭素源の混合物を供給することも有利である。他の可能な炭素源は、メタノール、エタノール、酢酸、乳酸などのアルコールおよび有機酸である。窒素源は通常有機または無機の窒素化合物か、またはこれらの化合物を含む材料である。窒素源として例えば、アンモニアガス、アンモニウム塩(例えばNH4Clまたは(NH4)2SO4)、NH4OH、硝酸塩、尿素、アミノ酸、コーンスティープリカー、大豆粉、大豆タンパク質、酵母抽出物、肉抽出物などの複合窒素源が含まれる。
遺伝子的に修飾されたCorynebacterium glutamicumは、合成または天然成長媒体中で培養される。Corynebacteriaの異なった成長媒体の多くはどちらも知られており、容易に入手可能である(Lieb et al. (1989) Appl. Microbiol. Biotechnol., 32:205-210; von der Osten et al. (1998) Biotechnology Letters, 11:11-16; Patent DE 4,120,867; Liebl (1992)’The Genus Corynebacterium, in: The Procaryotes, Volume II, Balows, A. et al., eds. Spring-Verlag)。これらの媒体は、一種以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンおよび痕跡の要素からなる。好ましい炭素源は、モノ−、ジ−またはポリサッカライドなどの砂糖である。例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプンまたはセルロースが非常によい炭素源として働く。糖蜜または他の砂糖精製の副生成物のような複合化合物によって媒体に砂糖を供給することも可能である。異なった炭素源の混合物を供給することも有利である。他の可能な炭素源は、メタノール、エタノール、酢酸、乳酸などのアルコールおよび有機酸である。窒素源は通常有機または無機の窒素化合物か、またはこれらの化合物を含む材料である。窒素源として例えば、アンモニアガス、アンモニウム塩(例えばNH4Clまたは(NH4)2SO4)、NH4OH、硝酸塩、尿素、アミノ酸、コーンスティープリカー、大豆粉、大豆タンパク質、酵母抽出物、肉抽出物などの複合窒素源が含まれる。
媒体に含まれる無機塩化合物は、クロリド−、リン酸、硫酸のカルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、コバルト塩、モリブデン塩、カリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、銅塩、鉄塩を含む。金属イオンを溶液中に保持するために
媒体中にキレート化合物を加えることができる。特に有用なキレート化合物は、カテコールやプロトカテチュエートなどのジヒドロキシフェノールまたはクエン酸などの有機酸を含む。ビタミンなどの成長因子または成長促進剤、例えばビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸塩、ピリドキシンなどを含む媒体が典型的である。成長因子および塩はしばしば酵母抽出物、糖蜜、コーンスティープリカーなどの複合媒体成分に由来する。正確な媒体化合物の組成は、直接の実験に強く依存し、各々の特定の場合に個々に決定される。媒体の最適化の情報は、テキストブックApplied Microbiol. Physiology, A Practical Approach (eds. P.M. Rhodes, P.F. Stanbury, IRL Press (1997) pp.53-73, ISBN 019 963577 3) から入手可能である。成長媒体を市販品、例えば標準1(Merck)またはBHI(grain heart infusion, DIFCO)などから選定することも可能である。
媒体中にキレート化合物を加えることができる。特に有用なキレート化合物は、カテコールやプロトカテチュエートなどのジヒドロキシフェノールまたはクエン酸などの有機酸を含む。ビタミンなどの成長因子または成長促進剤、例えばビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸塩、ピリドキシンなどを含む媒体が典型的である。成長因子および塩はしばしば酵母抽出物、糖蜜、コーンスティープリカーなどの複合媒体成分に由来する。正確な媒体化合物の組成は、直接の実験に強く依存し、各々の特定の場合に個々に決定される。媒体の最適化の情報は、テキストブックApplied Microbiol. Physiology, A Practical Approach (eds. P.M. Rhodes, P.F. Stanbury, IRL Press (1997) pp.53-73, ISBN 019 963577 3) から入手可能である。成長媒体を市販品、例えば標準1(Merck)またはBHI(grain heart infusion, DIFCO)などから選定することも可能である。
すべての媒体成分は、熱(1.5×105Pa、121℃で20分間)またはろ過殺菌法のいずれかにより殺菌される。成分は、一緒に、または所望により分割して殺菌することができる。すべての媒体成分は、成長の初期に存在させるか、または任意に連続的にまたは回分式に加えることができる。
培養条件は各々の実験のために分けて定義される。温度は、15℃から45℃の範囲であるべきである。温度を一定に保つか、実験中に変えることができる。媒体のpHは、5から8.5、好ましくは7.0前後の範囲であるべきであり、媒体に緩衝液を添加することで一定に保つことができる。この目的のための緩衝液の例は、リン酸カリウム緩衝液である。MOPS, HEPES, ACESその他の合成緩衝液を代わりに、または同時に使用することができる。成長の間にNaOHまたはNH4OHを添加することより一定の培養pHを保つことも可能である。酵母抽出物などの複合媒体成分が使用される場合、多くの複合成分は高い緩衝能力があるという事実によって、追加の緩衝液が必要ないかもしれない。微生物の培養に発酵槽を使用する場合、pHはアンモニアガスにより制御することもできる。
インキュベート時間は通常数時間から数日の範囲である。この時間は、ブロスの中に蓄積される生成物を最大にするように選択される。開示された成長実験は、種々の容器、例えばミクロタイター板、ガラス管、ガラスフラスコ、または種々のサイズのガラスまたは金属発酵槽等の中で行なうことができる。多数のクローンのスクリーニングのために、微生物をミクロタイター板、ガラス管、振とうフラスコ中、バッフル付きで、またはなしで培養すべきである。好ましくは100mlの振とうフラスコを使用し、所望の成長媒体の10容積%で満たす。フラスコを100から300rpmの速さの範囲を使用して、ロータリーシェーカー(ふり幅25mm)で振とうすべきである。蒸発ロスは湿潤雰囲気中に保つことによって少なくすることができる。代わりに、蒸発ロスの数学的補正が行なわれるべきである。
遺伝子的に修飾されたクローンを試験した場合、修飾されていないコントロールのクローンまたはいかなる挿入もなされていない基本的なプラスミドを含むコントロールのクローンも試験するべきである。媒体を寒天平板上、例えばCMプレート(10g/lのグルコース、2.5g/lのNaCl、2g/lの尿素、10g/lのポリペプトン、5g/lの酵母抽出物、5g/lの肉抽出物、22g/lの寒天、2M NaOHによるpH6.8としたもの)を30℃でインキュベートしたもので成長させた細胞を用いて0.5−1.5のOD600まで接種する。媒体の接種は、CMプレートからのC.glutamicum細胞のサリーン懸濁液の導入、またはこのバクテリアの前培養液の添加のいずれかによりなされる。
実施例8:変異タンパク質の機能のインビトロ解析
酵素の活性と速度論的パラメーターの決定は、先行技術でよく確立されている。得られた改変された酵素の活性決定のための実験は、当業者の能力の範囲内で、野生種酵素の比活性に対して行なわれなければならない。一般に酵素についての概要は、構造、速度論的、原理、方法、適用および多数の酵素の活性の決定例に関する特定の詳細と同様に、例えば以下の参照に見出される:Dixon, M., and Webb, E.C., (1979) Enzymes. Longmans: London; Fersht, (1985) Enzyme Structure and Mechanism. Freeman: New York; Walsh, (1979) Enzymatic Reaction Mechanisms. Freeman: San Francisco; Price, N.C., Stevens, L. (1982) Fundamentals of Enzymology. Oxford Univ. Press:Oxford; Boyer, P.D., ed(1983) The Enzymes, 3rd ed. Academic Press: New York; Bisswanger, H., (1994) Enzymkinetic, 2nd ed. VCH: Weinheim (ISBN 3527300325), Bergmeyer, H.U., Bergmeyer, J., Grassl, M., eds. (1983-1986) Methods of Enzymatic Analysis, 3rd ed., vol. I-XII, Verlag Chemie: Weinheim; and Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry (1987) vol. A9,’Enzymes'. VCH: Weinheim, p. 352-363.。
酵素の活性と速度論的パラメーターの決定は、先行技術でよく確立されている。得られた改変された酵素の活性決定のための実験は、当業者の能力の範囲内で、野生種酵素の比活性に対して行なわれなければならない。一般に酵素についての概要は、構造、速度論的、原理、方法、適用および多数の酵素の活性の決定例に関する特定の詳細と同様に、例えば以下の参照に見出される:Dixon, M., and Webb, E.C., (1979) Enzymes. Longmans: London; Fersht, (1985) Enzyme Structure and Mechanism. Freeman: New York; Walsh, (1979) Enzymatic Reaction Mechanisms. Freeman: San Francisco; Price, N.C., Stevens, L. (1982) Fundamentals of Enzymology. Oxford Univ. Press:Oxford; Boyer, P.D., ed(1983) The Enzymes, 3rd ed. Academic Press: New York; Bisswanger, H., (1994) Enzymkinetic, 2nd ed. VCH: Weinheim (ISBN 3527300325), Bergmeyer, H.U., Bergmeyer, J., Grassl, M., eds. (1983-1986) Methods of Enzymatic Analysis, 3rd ed., vol. I-XII, Verlag Chemie: Weinheim; and Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry (1987) vol. A9,’Enzymes'. VCH: Weinheim, p. 352-363.。
DNAと結合するタンパク質の活性は、数種のよく確立された方法、例えばDNAバンド−シフトアッセイ(ゲル遅延アッセイとも呼ばれる)により測定することができる。他の分子の発現におけるこのようなタンパク質の効果は、レポーター遺伝子アッセイ(例えばKolmar, H. et al. (1995) EMBO J. 14: 3895-3904および引用文献に記載されたような) を用いて測定される。レポーター遺伝子試験系は、周知であり、ベータ−ガラクトシダーゼ、緑蛍光性タンパク質およびその他数種の酵素を用いて、原核および真核細胞のどちらにでも適用が確立されている。
膜輸送タンパク質の活性の決定は、例えばGennis, R.B. (1989) 'Pores, Channels and Transporters', in Biomembranes, Molecular Structure and Function, Springer; Heidelberg, p. 85-137; 199-234; and 270-322に記載されたような技術に従って行なわれる。
実施例9:所望の製造物の製造における変異タンパク質の感化の解析
所望の化合物(例えばアミノ酸)の製造におけるC.Glutamicumの遺伝子修飾の効果は、適当な条件(例えば上述の)下の改変された微生物成長および媒体及び/または細胞成分の増加した所望の製造物(即ちアミノ酸)の生成の解析によって評価することができる。このような解析法は当業者に周知であり分光法、薄層クロマトグラフィー、種々の染色法、酵素的および微生物学的方法、高速液体クロマトグラフィーのような解析クロマトグラフィー(例えばUllman, Encyclopedia of Industrial Chemistry, vol. A2, p. 89-90 and p. 443-613, VCH: Weinheim (1985); Fallon, A. et al., (1987) 'Applications of HPLC in Biochemistry 'in: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, vol. 17; Rehm et al. (1993) Biotechnology, vol. 3, Chapter III: 'Product recovery and purification', page 469-714, VCH: Weinheim; Belter, P.A. et al. (1988) Bioseparations: downstream processing for biotechnology, John Wiley and Sons; Kennedy, J.F. and Cabral, J.M.S. (1992) Recovery processes for biological materials, John Wiley and Sons; Shaeiwitz, J.A. and Henry, J.D.(1988) Biochemical separations, in: Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, vol. B3, Chapter 11, page 1-27, VCH: Weinheim; and Dechow, F.J. (1989) Separation and purification techniques in biotechnology, Noyes Publications参照)を含む。
所望の化合物(例えばアミノ酸)の製造におけるC.Glutamicumの遺伝子修飾の効果は、適当な条件(例えば上述の)下の改変された微生物成長および媒体及び/または細胞成分の増加した所望の製造物(即ちアミノ酸)の生成の解析によって評価することができる。このような解析法は当業者に周知であり分光法、薄層クロマトグラフィー、種々の染色法、酵素的および微生物学的方法、高速液体クロマトグラフィーのような解析クロマトグラフィー(例えばUllman, Encyclopedia of Industrial Chemistry, vol. A2, p. 89-90 and p. 443-613, VCH: Weinheim (1985); Fallon, A. et al., (1987) 'Applications of HPLC in Biochemistry 'in: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, vol. 17; Rehm et al. (1993) Biotechnology, vol. 3, Chapter III: 'Product recovery and purification', page 469-714, VCH: Weinheim; Belter, P.A. et al. (1988) Bioseparations: downstream processing for biotechnology, John Wiley and Sons; Kennedy, J.F. and Cabral, J.M.S. (1992) Recovery processes for biological materials, John Wiley and Sons; Shaeiwitz, J.A. and Henry, J.D.(1988) Biochemical separations, in: Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, vol. B3, Chapter 11, page 1-27, VCH: Weinheim; and Dechow, F.J. (1989) Separation and purification techniques in biotechnology, Noyes Publications参照)を含む。
最終発酵生成物の測定に加えて、所望の化合物の生産に使用された代謝経路の他の成分、例えば中間体、副生成物を、化合物の製造の全体の効率を決定するために解析することもできる。解析法は、媒体中の栄養剤(例えば砂糖、炭化水素、窒素源、ホスファートおよび他のイオン)のレベルの測定、バイオマス組成物と成長の測定、通常の生合成経路の代謝物の製造の解析、発酵の間に生成したガスの測定を含む。これらの測定のための標準的な方法は、Applied Micro Physiology, A Practical Approach, P.M. Rhodes and P.F. Stanbury, eds., IRL Press, p. 103-129; 131-163; and 165-192 (ISBN: 0199635773) および引用文献に概説してある。
実施例10:C.glutamicum培養からの所望の製造物の精製
C.glutamicum細胞からまたは上述の培養物の上澄みからの所望の製造物の回収は、周知の種々の方法により行なうことができる。所望の製造物が細胞から隠されていない場合、細胞を培養物から低速遠心分離により回収することができ、細胞を機械的力または超音波のような標準的な方法で溶解することができる。細胞の破片を遠心分離で取り除き、可溶性タンパク質を含む上澄み画分を所望の化合物のさらなる精製のために保持する。製造物がC.glutamicum細胞から隠されている場合、細胞を培養物から低速遠心分離により取り除き、上澄み画分をさらなる精製のために保持する。
C.glutamicum細胞からまたは上述の培養物の上澄みからの所望の製造物の回収は、周知の種々の方法により行なうことができる。所望の製造物が細胞から隠されていない場合、細胞を培養物から低速遠心分離により回収することができ、細胞を機械的力または超音波のような標準的な方法で溶解することができる。細胞の破片を遠心分離で取り除き、可溶性タンパク質を含む上澄み画分を所望の化合物のさらなる精製のために保持する。製造物がC.glutamicum細胞から隠されている場合、細胞を培養物から低速遠心分離により取り除き、上澄み画分をさらなる精製のために保持する。
双方の精製法からの上澄み画分を、適当なレジンであって、所望の分子がクロマトグラフィーレジンに保持され、サンプル中の多くの不純物が保持されないか、または不純物がレジンにより保持され、サンプルが保持されないようなレジンを用いたクロマトグラフィーで処理する。このようなクロマトグラフィーの工程は、必要に応じて、同じまたは異なるクロマトグラフィーレジンを用いて繰り返すことができる。当業者は、適当なクロマトグラフィーレジンの選択と、精製される特別の分子への最も効率的な適用に精通しているであろう。精製された製造物はろ過または限外ろ過により濃縮し、製造物の安定性が最も大きくなる温度で保存することができる。
広い範囲の精製法が周知であり、前述した精製法は範囲の減縮を意味しない。このような精製法が、例えば Bailey, J.E. & Ollis, D.F. Biochemical Engineering Fundamentals, McGraw-Hill: New York (1986)に記載されている。
単離した化合物の同定と純度が、先行技術で標準的な方法で評価される。これらは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分光学的方法、染色法、薄層クロマトグラフィー、NIRS、酵素的または微生物学的アッセイを含む。このような解析方法は、Petek et al. (1994) Appl. Environ. Microbiol. 60: 133-140; Malakhova et al.(1996) Biotekhnologiya 11: 27-32; and Schmidt et al. (1988) Bioprocess Engineer. 19: 67-70. Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, (1996) vol. A27, VCH: Weinheim, p. 89-90, p. 521-540, p.540-547, p. 559-566, 575-581 and p. 581-587; Michal, G. (1999) Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology, John Wiley and Sons; Fallon, A. et al. (1987) Applications of HPLC in Biochemistry in: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, vol. 17に記載されている。
実施例11:本発明の遺伝子配列の解析
配列の比較と、2個の配列の間の相同性の百分率の決定は、公知の技術であり、数学的アルゴリズム、例えばKarlin and Altschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 87: 2264-68のアルゴリズムで、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-77に記載のように変形されたものなどを使用して行なうことができる。このようなアルゴリズムは、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み入れられている。BLASTヌクレオチド探索は、NBLASTプログラム、スコア=100、語長=12によって、本発明のSMP核酸分子に対するヌクレオチド配列の相同性を得るために行なうことができる。BLASTタンパク質探索は、XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3によって、本発明のSMPタンパク質分子に対するアミノ酸配列の相同性を得るために行なうことができる。比較の目的で、間隙のあけられたアライメントを得るために、ギャップドBLASTをAltschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402に記載のように使用することができる。BLASTおよびギャップドBLASTプログラムの使用に際して、当業者はプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のパラメーターの、解析される特定の配列のための最適化の方法についてよく知っている。
配列の比較と、2個の配列の間の相同性の百分率の決定は、公知の技術であり、数学的アルゴリズム、例えばKarlin and Altschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 87: 2264-68のアルゴリズムで、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-77に記載のように変形されたものなどを使用して行なうことができる。このようなアルゴリズムは、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み入れられている。BLASTヌクレオチド探索は、NBLASTプログラム、スコア=100、語長=12によって、本発明のSMP核酸分子に対するヌクレオチド配列の相同性を得るために行なうことができる。BLASTタンパク質探索は、XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3によって、本発明のSMPタンパク質分子に対するアミノ酸配列の相同性を得るために行なうことができる。比較の目的で、間隙のあけられたアライメントを得るために、ギャップドBLASTをAltschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402に記載のように使用することができる。BLASTおよびギャップドBLASTプログラムの使用に際して、当業者はプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のパラメーターの、解析される特定の配列のための最適化の方法についてよく知っている。
配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの他の例は、Meyers とMiller ((1988) Comput. Appln. Biosci. 4: 11-17)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムは、GCGシーケンスアライメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み入れられている。ALIGNプログラムをアミノ酸配列の比較のために使用する場合、PAM120重量残渣表、12のギャップ長さペナルティー、4のギャップペナルティーを使用することができる。さらに配列解析に使用されるアルゴリズムが公知であり、ADVANCEおよびADAM(Torelli and Robotti (1994) Comput. Appl. Biosci. 10:3-5に記載)および FASTA( Pearson and Lipman (1988) P.N.A.S. 85:2444-8に記載)を含む。
2本のアミノ酸配列の間の相同性の百分率は、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラム(http: //www.gcg.comで入手可能)を用い、Blosum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、12、10、8、6、または4の間隙重さ、2、3または4の長さ重さを用いて行なうことができる。2本の核酸配列の間の相同性の百分率は、標準的なパラメーター、例えば間隙重さが50、および長さ重さが3などを用いて、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを用いて決定することができる。
本発明の遺伝子配列と、遺伝子バンクに存在する配列の比較解析が先行技術において公知の技術を用いて行なわれた(例えばBexevanis and Ouellette, eds. (1998) Bioinformatics: A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins. John Wiley and Sons: New York参照)。本発明の遺伝子配列が、遺伝子バンクに存在する遺伝子と、3段階の工程で比較された。第一段階で、遺伝子バンクに存在するヌクレオチド配列に対する本発明の配列の各々について、BLASTN解析(例えばローカルアライメント解析)が行なわれた。最初にヒットした500個についてさらに解析が続けられた。次いでFASTA探索(例えば、結合されたローカルおよびグローバルアライメント解析で、配列の限定された領域を整列させる)が、これらの500個について行われた。各々の本発明の遺伝子配列は次いで全体的に、FASTAの頭の3個のヒットの各々について、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムを用いて(標準的なパラメーターを使用して)整列させられる。正しい結果を得るために、遺伝子バンクから抽出された配列の長さは、周知の方法により質問の配列の長さに調整された。この解析の結果は、表4にまとめられている。得られた結果は、遺伝子バンクの参照の各々と比較した本発明の遺伝子の各々においてGAP(グローバル)解析を単独で行なったときに得られるであろう結果と一致したが、このようなデータベースを広げて行なったGAP(グローバル)解析と比較して明らかに計算時間が短縮された。切り捨て値を上回るアライメントが得られなかった本発明の配列を、アライメントの情報なく表4に示した。表4に、 ’%相同性(GAP) ’の見出しで記載されたGAPアライメント相同性百分率は、 ’, ’は小数点を表すヨーロッパの数の形式で、並べられているということは、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、このカラム中の ’40,345 ’の値は、40.345%を表す。
実施例12:DNAマイクロアレイの構築と操作
本発明の配列を追加で、DNAマイクロアレイ(デザイン、方法論、DNAアレイの使用は周知であり、例えばSchena, M. et al. (1995) Science 270: 467-470; Wodicka, L. et al. (1997) Nature Biotechnology 15:1359-1367; DeSaizieu, A. et al. (1998) Nature Biotechnology 16: 45-48; and DeRisi, J.L. et al. (1997) Science 278: 680-686に記載されている。)の構築と適用に使用することができる。
本発明の配列を追加で、DNAマイクロアレイ(デザイン、方法論、DNAアレイの使用は周知であり、例えばSchena, M. et al. (1995) Science 270: 467-470; Wodicka, L. et al. (1997) Nature Biotechnology 15:1359-1367; DeSaizieu, A. et al. (1998) Nature Biotechnology 16: 45-48; and DeRisi, J.L. et al. (1997) Science 278: 680-686に記載されている。)の構築と適用に使用することができる。
DNAマイクロアレイは、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、シリコーンまたは他の材料からなる固体または柔軟性のある支持体である。核酸分子を、注文された方法で表面に取り付けることができる。適当なラベリングのあと、他の核酸または核酸混合物を固定された核酸分子にハイブリダイズすることができ、限定された領域でハイブリダイズされた分子の個々の信号強度を検知し、測定するためにラベルを使用することができる。この方法論は、適用された核酸サンプルまたは混合物中のすべてあるいは選択された核酸の相対量または絶対量を同時に定量化することを可能にする。このためDNAマイクロアレイは、並行して多数の(6800以上)核酸の発現を解析することを可能とする(Schena, M. (1996) BioEssays 18(5): 427-431参照)。
本発明の配列は、ポリメラーゼ連鎖反応のような核酸増幅反応によって、1種以上のC.glutamicum遺伝子の限定された領域を増幅することができるオリゴヌクレオチドプライマーの設計に使用することができる。5’または3’オリゴヌクレオチドプライマーあるいは適当なリンカーの選択と設計は、上述の支持媒体(例えばSchena, M. et al. (1995) Science 270: 467-470にも記載されている。)の表面に対する、得られたPCR産物の共有結合を可能とする。
核酸マイクロアレイは、Wodicka,L.et al.(1997) Nature Biotechnology 15:1359-1367に記載されたようにその場のオリゴヌクレオチド合成によっても構築することができる。写真平板法により、マトリックスの正確に限定された領域が露光される。光不安定な保護基はこれによって活性化され、ヌクレオチド付加が進行し、一方光からマスクされた領域はいかなる修飾も進行しない。続く保護と光活性化のサイクルは、限定された位置における異なったオリゴヌクレオチドの合成を可能とする。小さい、限定された本発明の遺伝子の領域は、マイクロアレイ上で、固相オリゴヌクレオチド合成により合成することができる。
ヌクレオチドのサンプルまたは混合物の中に存在する本発明の核酸分子は、マイクロアレイに対してハイブリダイズすることができる。これらの核酸分子は標準的な方法でラベルすることができる。要するに、核酸分子(例えば、mRNA分子またはDNA分子)は、例えば、逆転写またはDNA合成の間、放射性同位元素によりまたは蛍光によりラベルされたヌクレオチドの組み込みによりラベルされる。ラベルされた核酸のマイクロアレイに対するハイブリダイゼーションは、例えば Schena, M. et al. (1995) supra; Wodicka, L. et al. (1997), supra; and DeSaizieu A. et al (1998), supraに記載されている。ハイブリダイズされた分子の検出と定量化は、特定の組み込まれたラベルにより行なわれる。放射性のラベルは例えばSchena, M. et al. (1995) supraに記載されたように検出することができ、蛍光ラベルは例えばShalon et al. (1996) Genome Research 6: 639-645の方法により検出することができる。
本発明の配列のDNAマイクロアレイ技術に対する適用は、上述したように、C.glutamicumまたは他のCorynebacteriaの異なった株の比較解析を可能とする。例えば、個々の転写の特徴に基づく内部株の変種の研究および特定するために重要な遺伝子の同定および/または所望の株の特性、例えば病原性、生産性、およびストレス寛容などの同定は、核酸アレイ方法論により促進される。発酵反応の進行の間の、本発明の遺伝子の発現の特徴の比較は、核酸アレイ技術を用いることで可能である。
実施例13:細胞タンパク質ポピュレーションの動力学的解析(プロテオミクス)
本発明の遺伝子、組成、方法は、タンパク質のポピュレーションの相互作用および動力学(プロテオミクスと定義する)の研究に適用することができる。注目のタンパク質ポピュレーションは、C.glutamicum(例えば他の生物のタンパク質ポピュレーションと比較して)、特定の環境または代謝条件下(例えば高いまたは低い温度で、または高いまたは低いpHでの発酵の間)で活性なタンパク質または特定の成長および発達の相の間に活性なタンパク質の総タンパク質ポピュレーションを含むが、これに限定されない。
本発明の遺伝子、組成、方法は、タンパク質のポピュレーションの相互作用および動力学(プロテオミクスと定義する)の研究に適用することができる。注目のタンパク質ポピュレーションは、C.glutamicum(例えば他の生物のタンパク質ポピュレーションと比較して)、特定の環境または代謝条件下(例えば高いまたは低い温度で、または高いまたは低いpHでの発酵の間)で活性なタンパク質または特定の成長および発達の相の間に活性なタンパク質の総タンパク質ポピュレーションを含むが、これに限定されない。
タンパク質ポピュレーションは、種々の周知の技術、例えばゲル電気泳動などにより解析することができる。細胞タンパク質は、例えば細胞溶解または抽出により得られ、種々の電気泳動技術を用いて互いに分離することができる。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)は、タンパク質をその分子量に基づいて大部分分離する。等電点のポリアクリルアミドゲル電気泳動(IEF−PAGE)は、タンパク質をその等電点(アミノ酸配列を反映するのみならずタンパク質の後翻訳修飾も反映する)により分離する。他の、さらに好ましいタンパク質解析の方法は、2−D−ゲル電気泳動(例えばHermann et al. (1998) Electrophoresis 19: 3217-3221; Fountoulakis et al. (1998) Electrophoresis 19: 1193-1202; Langen et al. (1997) Electrophoresis 18: 1184-1192; Antelmann et al. (1997) Electrophoresis 18: 1451-1463に記載されている)として知られるIEF−PAGEとSDS−PAGEの連続する組み合わせである。他の分離技術、例えばキャピラリーゲル電気泳動などもタンパク質の分離に利用することができ、このような技術は、周知である。
これらの方法論により分離されたタンパク質は、標準的な技術、例えば染色またはラベリングにより可視化することができる。適当な染色は公知であり、Coomassie ブリリアントブルー、銀染色、蛍光染料、例えばSypro Ruby(Molecular Probes)を含む。C.glutamicumの媒体中にある、放射性物質によりラベルされたアミノ酸またはその他のタンパク質前駆体(例えば35S−メチオニン、35S−システイン、14C−ラベルされたアミノ酸、15N−アミノ酸、15NO3または15NH4 +またはC13ラベルされたアミノ酸)の含有物は、分離に先立ってこれらの細胞からタンパク質をラベルすることを可能とする。同様に、蛍光ラベルを使用することができる。これらのラベルされたタンパク質は、抽出され、単離され、前述した技術に従って分離される。
これらの技術により可視化されたタンパク質はさらに、使用された染料またはラベルの量を測定することにより解析することができる。得られたタンパク質の量は、定量的に、例えば光学的方法を用いて決定することができ、同様のゲルまたは他のゲル中の他のタンパク質の量と比較することができる。ゲル上のタンパク質の比較は、例えば光学的比較、分光学的、ゲルのイメージスキャンおよび解析、または写真フィルムおよびスクリーンの使用を通じて行なうことができる。このような技術は周知である。
得られたタンパク質を同定するために、直接シーケンスまたは他の標準的な技術を使用することができる。例えば、N−および/またはC末端アミノ酸シーケンス(例えばエドマン分解)を、マススペクトロメトリー(特にMALDIまたはESI技術(例えばLangen et al. (1997) Electrophoresis 18: 1184-1192参照))として使用することができる。ここで提供されたタンパク質配列を、これらの技術によりC.glutamicumタンパク質の同定のために使用することができる。
これらの方法により得られた情報は、タンパク質の存在、活性、種々の生物学的条件(例えば、異なった生物、発酵の時点、媒体条件、または異なったビオトープ、その他)からの異なったサンプルの間の修飾の様式の比較に使用することができる。このような実験から単独で、または他の技術との組み合わせにより得られたデータは、様々な適用、例えば与えられた(例えば代謝的)状況にある種々の生物の挙動の比較、精密化学品を産出する株の生産性の上昇、または精密化学品の製造の効率の上昇などに使用することができる。
同等物
当業者は、わずかの型にはまった実験を用いて、ここに記載された発明の特定の態様に対する多くの同等物を認識するか、確認することができるであろう。このような同等物は、請求の範囲に含まれる。
当業者は、わずかの型にはまった実験を用いて、ここに記載された発明の特定の態様に対する多くの同等物を認識するか、確認することができるであろう。このような同等物は、請求の範囲に含まれる。
Claims (36)
- 配列番号(SEQ ID NO)53に示されたヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子またはその相補物。
- 配列番号(SEQ ID NO)54に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離された核酸分子またはその相補物。
- 配列番号(SEQ ID NO)54に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの自然に発生する対立性変異体をコードする単離された核酸分子またはその相補物。
- 配列番号(SEQ ID NO)53に示されたヌクレオチド配列全体に対し、少なくとも50%の相同性を持つヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子またはその相補物。
- 配列番号(SEQ ID NO)53に示されたヌクレオチド配列の少なくとも15個の連続するヌクレオチドフラグメントを含む、単離された核酸分子またはその相補物。
- 配列番号(SEQ ID NO)54に示されたアミノ酸配列全体に対し、少なくとも50%の相同性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離された核酸分子またはその相補物。
- 請求項1から6のいずれかに記載の核酸分子、および異種ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子。
- 請求項1から7のいずれかに記載の核酸分子を含むベクター。
- 発現ベクターである、請求項8に記載のベクター。
- 請求項9に記載の発現ベクターによりトランスフェクションされた宿主細胞。
- 前記細胞が微生物である請求項10に記載の宿主細胞。
- 前記細胞が、コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属に属する請求項11に記載の宿主細胞。
- 前記核酸分子の発現により、前記細胞からのファインケミカルの製造が調節される請求項10に記載の宿主細胞。
- ファインケミカルが、有機酸、タンパク原アミノ酸および非タンパク原アミノ酸、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、脂質、飽和および不飽和の脂肪酸、ジオール、炭水化物、芳香族化合物、ビタミン、補助因子、ポリケチド、および酵素からなる群より選択される請求項13に記載の宿主細胞。
- 適当な培地中で請求項10に記載の宿主細胞を培養し、これによりポリペプチドを製造することを含む、ポリペプチドの製造方法。
- 配列番号(SEQ ID NO)54に示されたアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
- 配列番号(SEQ ID NO)54に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの、自然に発生する対立性変異体を含む単離されたポリペプチド。
- 配列番号(SEQ ID NO)53に示されたヌクレオチド配列全体に対し、少なくとも50%の相同性を持つヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされた単離されたポリペプチド。
- 配列番号(SEQ ID NO)54に示されたアミノ酸配列全体に対し、少なくとも50%の相同性を持つアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
- 配列番号(SEQ ID NO)54に示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドフラグメントを含む単離されたポリペプチドであって、ポリペプチドフラグメントが配列番号(SEQ ID NO)54のアミノ酸配列を含むポリペプチドの生物学的活性を維持している単離されたポリペプチド。
- 配列番号(SEQ ID NO)53に示されたヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされたアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
- 異種アミノ酸配列を含む、請求項16から21のいずれかに記載の単離されたポリペプチド。
- 請求項10に記載の細胞を培養してファインケミカルを製造する、ファインケミカルの製造方法。
- 培養物からファインケミカルを回収する工程を含む、請求項23に記載の方法。
- 細胞が、コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属に属する、請求項23に記載の方法。
- 当該細胞が、コリネバクテリウム−グルタミカム、コリネバクテリウム−ヘルキュリス、コリネバクテリウム−リリウム、コリネバクテリウム−アセトアシドフィリウム、コリネバクテリウム−アセトグルタミカム、コリネバクテリウム−アセトフィリウム、コリネバクテリウム−アンモニアゲン、 コリネバクテリウム−フジオケンス、コリネバクテリウム−ニトリロフィリウス、 ブレビバクテリウム−アンモニアゲン、ブレビバクテリウム−ブタニカム、 ブレビバクテリウム−ジバリカツム、ブレビバクテリウム−フラビウム、ブレビバクテリウム−ヘアリ、ブレビバクテリウム−ケトグルタミカム、ブレビバクテリウム−ケトソレダクタム、ブレビバクテリウム−ラクトフェルメンツム、ブレビバクテリウム−リネンス、ブレビバクテリウム−パラフィノリツカム、および表3に記載の株からなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
- 前記ベクターによる核酸分子の発現により、前記ファインケミカルの製造が調節される請求項23に記載の方法。
- 当該ファインケミカルが、有機酸、タンパク質原アミノ酸および非タンパク質原アミノ酸、プリンおよびピリミジン塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、脂質、飽和および不飽和の脂肪酸、ジオール、炭水化物、芳香族化合物、ビタミン、補助因子、ポリケチド、および酵素からなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
- ファインケミカルがアミノ酸である、請求項23に記載の方法。
- アミノ酸が、リジン、グルタマート、グルタミン、アラニン、アスパルタート、グリシン、セリン、トレオニン、メチオニン、システイン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、チロシン、フェニルアラニン、およびトリプトファンから成る群より選択される、請求項29に記載の方法。
- 請求項1から6のいずれかに記載の核酸分子の導入によってゲノムDNAが変異した細胞を培養する工程を含むファインケミカルの製造方法。
- サンプルにおけるin vitroでのコリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性を検出する方法であって、請求項1から6のいずれか1項に記載の少なくとも1個の核酸分子、または請求項16から21のいずれか1項に記載の少なくとも1個のポリペプチド分子の存在をサンプルから検出することによりサンプルのコリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性を検出する、コリネバクテリウム−ジフテリアの存在または活性を検出する方法。
- 配列番号(SEQ ID NO)53に示された核酸分子を含み、核酸分子が混乱している宿主細胞。
- 配列番号(SEQ ID NO)53に示された核酸分子を含み、核酸分子が配列番号(SEQ ID NO)53に示された配列に対して1個以上の核酸の修飾を含む宿主細胞。
- 配列番号(SEQ ID NO)53に示された核酸分子を含み、核酸分子の調節領域が、分子の野生型の調節領域に対して修飾されている、宿主細胞。
- サンプルが患者から得られたものである請求項32に記載の検出方法。
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