JP2007267624A - 食品の調味改良材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 デンプン類と、みりん及び/又は発酵調味料とを含有していることを特徴とする食品の調味改良材。食肉類又は魚介類を、当該食品の調味改良材で処理する工程を包含することを特徴とする食肉類又は魚介類の調味改良方法。当該食品の調味改良材の例には、上記成分を含有する調味液がある。
【効果】 調味の向上した食品が得られる。また、食材の乾燥が抑えられ、食感が保持された食品を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
調味液の食材への浸透が悪い場合でも、出来上った食品の味付けが向上する方法の開発が望まれていた。
また、コンビニエンスストアやスーパーなどで市販されている惣菜は、製造直後に食する場合には特に問題とはならないが、調理してから食するまでに時間が経過すると、食材の乾燥が進み、肉や魚介類などは硬くなる。調味液に片栗粉やくず粉を添加して、食材の乾燥を防ぐ方法もあるが、この場合は時間が経過すると、これらデンプンが老化して、調味液が粘性を失うことによりその効力がなくなってしまう。また、食感もかなり悪くなってしまう。
このような状況下で、食材の乾燥を防ぐ方法、すなわち食品の水分を保持する方法、また、食感を保持する方法の開発が望まれていた。
具体的には、デンプン類と、みりん及び/又は発酵調味料とを含有している、調味液、例えば、たれ類を食品に添加することにより、食材への浸透に影響を受けることなく、食品の調味を向上する、食品の調味向上材を提供することにある。
また、前記した調味液、例えば、たれ類を食品に添加することにより、食材の風味に影響を与えることなく、食材の乾燥を防ぎ、食感を保持する、食品の水分保持・食感保持材を提供することにある。
更に、前記の調味液を用いることにより、食材の乾燥が抑えられ、食感が保持された食品を得ることができる。
本発明における食品の調味改良材は、デンプン類と、みりん及び/又は発酵調味料とを含有していることを特徴とする。食品に添加する調味液は、例えば、たれ類等の形態が好ましい。本発明でいう調味液は、特に限定されないが、例えば、ぶりの照焼きに使用するたれ、肉じゃがを調理する際に使用する調味液あるいは調理した後に添加する調味液等が挙げられる。
物理的処理(熱処理)のみで、デンプンの結晶構造を変化させ、膨潤抑制したデンプンが好ましく、ワキシコーンスターチを原料とするNOVATION2300、NOVATION2600、NOVATION2700〔日本エヌエスシー(株)製〕等が好適な例として挙げられる。
本発明でいう発酵調味料は、酒類の不可飲処置による免税措置に基づいて食塩を添加して発酵することを基本とし、これに糖質原料、米麹、変性アルコールなど目的に応じた副原料を添加して製造されたものであり、酒税のかからない醸造調味料である。また、使用する発酵調味料の製造方法は、発酵工程と熟成工程からなる。発酵工程では蒸煮した糖質原料、米麹、酵母及び食塩を混合して醪となし発酵させる。発酵後の醪は、圧搾・ろ過して搾汁と粕に分ける。次の熟成工程ではこの搾汁を米麹へ添加して、糖化・熟成させ、熟成後、圧搾ろ過し搾汁と粕に分離する。搾汁は滓下げ、清澄及び仕上げろ過して液分の発酵調味料を得る。この発酵調味料は常法により、粉末化して粉末発酵調味料にしてもよい。粉末化の方法は特に限定はなく、例えば、スプレードライ、ドラム乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。
デンプン類の含有量が1.0質量%未満の食品の調味改良材では、例えば調味液の場合、食材に十分調味液が絡まないので、調味の向上は不十分となるし、時間経過と共に食材が乾燥して硬くなる。デンプン類の含有量が4.0質量%を超える食品の調味改良材では、前記した食品の調味は改良するが、口触りが悪い。
みりん及び/又は発酵調味料の含有量がデンプン類の含有量に対して10質量%未満の食品の調味改良材では、デンプン臭があり、食品の風味が損なわれる。
検討例1
食品に添加する調味液に含有するデンプン類の量について検討を行った。まず、牛ばら肉100gをサラダ油で1分間炒め、表1に示す配合の調味液を200ml加え、20分間煮た。調理した牛ばら肉と調味液とを分け、この調味液に対してデンプン類を種々の含有量となるように添加混合し調製した調味液を、牛ばら肉に絡めた。対照は、牛ばら肉100gをサラダ油で1分間炒め、表1に示す配合の調味液を200ml加え、20分間煮たものとした。これらの官能評価を行った。
デンプン類は、NOVATION2700〔日本エヌエスシー(株)製〕を用いた。
官能評価の結果を表2及び表3に示す。
なお、以下に示す%は、質量%を示している。
デンプン類含有の調味液に含有させるみりん及び/又は発酵調味料の量について検討を行った。まず、牛ばら肉100gをサラダ油で1分間炒め、検討例1と同様の調味液を200ml加え、20分間煮た。調理した牛ばら肉と調味液とを分け、この調味液に対してデンプン類を一定の比率とし、発酵調味料を調味液に対して種々の含有量となるように添加混合し調製した調味液を、牛ばら肉に絡めた。
デンプン類は、NOVATION2700〔日本エヌエスシー(株)製〕を用いた。デンプン類の含有量は、検討例1の結果で対照より味が濃く感じ、良好であった2.0%と3.5%とした。発酵調味料は、味しるべM−P〔武田キリン食品(株)製〕を用いた。
官能評価は、パネラー6名で行い、3点法(1;良、2;普通、3;悪)で評価した。各パネラーによる官能評価の評点の平均値より、1.0〜1.5を◎、1.5超〜2.0を○、2.0超〜2.5を△、2.5超〜3.0を×で示した。評価項目としては、デンプン臭の抑制について行った。
デンプン類を2.0%含有する調味液を絡めた牛肉甘辛煮の官能評価の結果を表4、デンプン類を3.5%含有する調味液を絡めた牛肉甘辛煮の官能評価の結果を表5に示す。
表5の結果より、デンプン類を3.5%含有する調味液を絡めた牛肉甘辛煮において、発酵調味料の含有量が0.35%以上でデンプン臭が抑えられていた。
上述の結果より、デンプン類の含有量に対して、発酵調味料の含有量が10%以上において、デンプン臭が抑えられることがわかった。
食品に添加する調味液に含有するデンプン類の量について検討を行った。
表6に示す配合の調味液にぶり切身を1時間漬込んだ後、180℃で10分焼いた。別途、デンプン類を調味液に対して種々の含有量となるように添加混合し調製した調味液を、ぶり切身に塗布して、更に180℃で1分焼いた。これらを5℃にて保存し、48時間後に官能評価を行った。
デンプン類は、NOVATION2700〔日本エヌエスシー(株)製〕を用いた。
官能評価の結果を表7及び表8に示す。
デンプン類含有の調味液に含有させるみりん及び/又は発酵調味料の量について検討を行った。検討例3と同様の調味液にぶり切身を1時間漬込んだ後、180℃で10分焼いた。別途、デンプン類を一定の比率とし、発酵調味料を調味液に対して種々の含有量となるように添加混合し調製した調味液を、ぶり切身に塗布して、更に180℃で1分焼いた。これらを5℃にて保存し、48時間後に官能評価を行った。
デンプン類は、NOVATION2700〔日本エヌエスシー(株)製〕を用いた。デンプン類の含有量は、検討例3の結果で食感が良好であった2.0%と3.5%とした。発酵調味料は、味しるべM−P〔武田キリン食品(株)製〕を用いた。
官能評価は、パネラー6名で行い、3点法(1;良、2;普通、3;悪)で評価した。各パネラーによる官能評価の評点の平均値より、1.0〜1.5を◎、1.5超〜2.0を○、2.0超〜2.5を△、2.5超〜3.0を×で示した。評価項目としては、デンプン臭の抑制について行った。
デンプン類を2.0%含有する調味液を塗って焼いたぶりの照焼きの官能評価の結果を表9、デンプン類を3.5%含有する調味液を塗って焼いたぶりの照焼きの官能評価の結果を表10に示す。
表10の結果より、デンプン類を3.5%含有する調味液を塗って焼いたぶりの照焼きにおいて、発酵調味料の含有量が0.35%以上でデンプン臭が抑えられていた。
上述の結果より、デンプン類の含有量に対して、発酵調味料の含有量が10%以上において、デンプン臭が抑えられることがわかった。
デンプン類は、NOVATION2700〔日本エヌエスシー(株)製〕を用いた。
発酵調味料は、味しるべM−P〔武田キリン食品(株)製〕を用いた。
結果を表12に示す。
デンプン類は、NOVATION2700〔日本エヌエスシー(株)製〕を用いた。
みりんは、タカラ本みりん〔宝酒造(株)製〕を用いた。
発酵調味料は、味しるべM−P〔武田キリン食品(株)製〕を用いた。
官能評価は、パネラー6名で行い、3点法(1;良、2;普通、3;悪)で評価した。各パネラーによる官能評価の評点の平均値より、1.0〜1.5を◎、1.5超〜2.0を○、2.0超〜2.5を△、2.5超〜3.0を×で示した。評価項目としては、ぶり切身の食感について行った。
結果を表13に示す。
また、本発明の食品の水分保持・食感保持材は、食材の風味に影響を与えることなく、食材の乾燥を防ぎ、食感を保持することができる。特に、食肉類や魚介類の水分保持・食感保持に優れているので、本発明は有用である。
Claims (7)
- デンプン類と、みりん及び/又は発酵調味料とを含有していることを特徴とする、食品の調味改良材。
- 食品の調味改良材が、食品の調味向上材、あるいは食品の水分保持・食感保持材である請求項1記載の食品の調味改良材。
- デンプン類と、みりん及び/又は発酵調味料とを含有している、調味液である請求項1記載の食品の調味改良材。
- デンプン類が化学的又は物理的に処理が施されたデンプンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品の調味改良材。
- デンプン類の含有量が1.0〜4.0質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品の調味改良材。
- みりん及び/又は発酵調味料の含有量が、デンプン類の含有量に対して10質量%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の食品の調味改良材。
- 食肉類又は魚介類を、請求項1〜6のいずれか1項に記載の食品の調味改良材で処理する工程を包含することを特徴とする食肉類又は魚介類の調味改良方法。
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