JP2002354992A - 米飯改良組成物および米飯の製造方法 - Google Patents
米飯改良組成物および米飯の製造方法Info
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Abstract
を容易に改良できる組成物の提供。 【解決手段】 乾燥物換算で、DE値が40%以下であ
るデキストリン又は可溶性デンプンを90〜97%(W/
W)含有してなる米飯改良組成物。及び上記米飯改良組
成物を精米に対して乾燥物換算で0.02〜0.6%
(W/W)添加する米飯の製造方法。
Description
よび米飯の製造方法に関する。
味が著しく劣化するという、いわゆる古米化の問題があ
った。しかし、近年では、古米の品質の向上よりも、大
量炊飯、大量小分け包装等の加工適性(しゃもじばな
れ、および盛り付けの容易さ等)ならびに新米を炊飯し
た米飯の食味およびテクスチャー(美味しさ、ふっくら
感など)が重要視されてきている。これは、消費者ニー
ズの多様化に伴い、おにぎり、テイクアウト米飯・弁当
などの普及、学校給食への普及等が著しいことによるも
のである。また、集団給食等の大量炊飯の方法として、
従来の炊飯方法以外に蒸煮炊飯法が採用されてきてい
る。米飯の食味は、外観、香り、味、粘りおよび硬さ等
に影響される複雑かつ複合的な性質であり、さらにこれ
らに内因する要素としては、水分、炭水化物(アミロー
ス等)、タンパク質および脂質等の含量等がある。この
食味を包含する米飯の品質は、米の品種、産地などの栽
培条件、収穫後の処理条件・保存条件ならびに炊飯時の
条件(洗米方法、加水量、加水後の静置時間、炊飯装
置、炊きあげ時間、炊きあげ後の蒸らし時間、喫食時の
温度等の様々な要因によって影響される。このため、特
に大量炊飯する場合において、米飯の品質を向上させる
ためには極めて高度な技術が要求される。一方、これま
でにも米飯の品質を改良するための様々な技術が開発さ
れてきている。例えば、特公平1−54987号公報に
は、サイクロデキストリン、デンプン分解酵素、タンパ
ク質分解酵素またはセルロース分解酵素、および水溶性
ゼラチンを特定の割合で含有してなる米飯品質改良用組
成物が開示されている。また、特公昭62−30741
号公報には、米をサイクロデキストリンとともに炊飯す
ることを特徴とする米の品質改良方法が記載されてい
る。しかし、これらはともに古米の品質を改良すること
を目的とするものである。したがって、米飯の加工適性
ならびに食味およびテクスチャーを容易に改良できる組
成物および方法が求められている。
性ならびに食味およびテクスチャーを改良する新規な組
成物および方法を提供することを目的とする。
の結果、特定のDE値(デキストロース・イクイバレン
ト;dextrose equivalent)を有するデキストロースま
たは可溶性デンプンによって、米飯の加工適性ならびに
食味およびテクスチャーを改良できることを見出し、さ
らに研究を重ねて本発明を完成させるにいたった。すな
わち、本発明は、(1) 乾燥物換算で、DE値が40
以下のデキストリンまたは可溶性デンプンを90〜97
%(w/w)含有してなる米飯改良組成物、(2) 乾燥
物換算で、DE値が2〜10のデキストリンを90〜9
7%(w/w)含有してなる米飯改良組成物、(3) 乾
燥物換算で、DE値が2〜10のデキストリンを90〜
97%(w/w)、アミラーゼを0.8〜1.5%(w/
w)、水溶性ゼラチンを0.3〜1.0%(w/w)、およ
びHLBが10〜18のショ糖脂肪酸エステルを1.0
〜3.0%(w/w)含有してなる上記(1)記載の米飯
改良組成物、(4) 上記(1)〜(3)いずれか1項
記載の米飯改良組成物を、精米の水洗後、加水時に添加
して炊飯することを特徴とする米飯の製造方法、(5)
上記(1)〜(3)いずれか1項記載の米飯改良組成
物を精米に対して乾燥物換算で0.02〜0.6%(w/
w)添加する上記(4)記載の米飯の製造方法、(6)
上記(1)〜(3)いずれか1項記載の米飯改良組成
物を精米に対して乾燥物換算で0.05〜0.5%(w/
w)添加する上記(4)記載の米飯の製造方法等を提供
するものである。
い限り乾燥物換算の含有量を意味する。本発明の対照と
なる米は、特に限定されるものではない。
(例、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デ
ンプン、タピオカデンプンおよび小麦デンプン等)の
酸、アルカリまたは酵素分解物であって、DE値が40
%以下のものをいう。本明細書中、デキストリンはサイ
クロデキストリンを包含しない。本明細書中、可溶性デ
ンプンとは、デンプン(例、トウモロコシデンプン、馬
鈴薯デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプンおよび
小麦デンプン等)の酸、アルカリまたは酵素分解物であ
って、実質的に還元性を示さないものをいう。DEとは
デンプンの加水分解の程度を示す指標であり、デキスト
ロース・イクイバレント(dextrose equivalent)を意
味する。DEは次式: DE=直接還元糖(グルコースとして表示)/固形分×
100 によって求められる。本発明に使用されるデキストリン
は、DE値が40%以下のものであればよいが、炊飯時
または保温時の着色、米飯の味質の観点から、DE値が
2〜10%のものが好ましく、DE値が2〜8%のもの
がさらに好ましい。本発明で用いる可溶性デンプンおよ
びデキストリンは、自体公知の方法により、デンプン
(例、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デ
ンプン、タピオカデンプンおよび小麦デンプン等)の
酸、アルカリまたは酵素分解することによって得ること
ができるが、パインデックス(商品名)(松谷化学工
業)等の市販品を用いても良い。本発明の組成物中の可
溶性デンプンまたはデキストリンの含有量は、90〜9
7%(w/w)が好ましい。
α−アミラーゼまたはβ−アミラーゼが好ましい。ま
た、両者を併用してもよい。これらのアミラーゼとして
は、セルロース分解活性およびタンパク質分解活性を含
まないものが好ましい。これらのアミラーゼとしては市
販品を用いるのが簡便であるが、アミラーゼを含有する
植物や微生物等から抽出・精製したもの等を用いてもよ
い。本発明の組成物中のアミラーゼの含有量は、好まし
くは0.5〜2.0%(w/w)、さらに好ましくは0.
8〜1.5%(w/w)である。
物の皮や骨に含まれるタンパク質を酵素によって分解抽
出したもので、米飯の風味を損なわない限りその分解ま
たは精製の程度は特に限定されない。市販品を用いても
よい。本発明の組成物中の水溶性ゼラチンの含有量は、
好ましくは0.5〜1.0%(w/w)、さらに好ましく
は0.3〜1.0%(w/w)である。
ステルはHLB(Hydrophile Lipophile Balance)が1
0〜18のものが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルの構
造が既知である場合、HLBは次式: HLB=7×11.7log(MW/MO) (式中、MWは親水基の分子量、MOは親油基の分子量
である。)で求められる。また、構造が未知の場合は、
一定量のショ糖脂肪酸エステルを用いて、等量の油と水
を乳化し、安定性を測定して、HLB値が既知のものと
比較してHLB値を求める。本発明の組成物中のショ糖
脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは1.0〜3.0
%(w/w)である。
紛体、顆粒、錠剤等のいずれの形態であってもよく、水
等の適当な液体中の溶液または懸濁液等の形態であって
もよい。本発明の組成物の製造は、これらの形態に適し
た自体公知の方法により行えばよい。
改良組成物を、精米の水洗後、加水時に添加して炊飯す
ることによって行われる。該組成物の添加量は、精米に
対して乾燥物換算で0.02〜0.6%(w/w)が好ま
しく、0.05〜0.5%(w/w)がさらに好ましい。
加水時の添加は、加水前、加水後または加水と同時のい
ずれであってもよく、加水する水に予め該組成物を溶解
させておいてもよい。また、炊飯を蒸煮炊飯法で行う場
合、本発明の米飯改良組成物の添加は、下記の蒸煮炊飯
加工工程中の浸漬時または吸水時のいずれにおいて行っ
てもよいが、吸水時の添加が好ましい。 蒸煮炊飯加工工程:洗米→浸漬→水切り→蒸煮1→吸水
→蒸煮2
説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものでは
ない。
物を製造した。 成分 組成%(w/w) デキストリン(ハ゜インテ゛ックス #100、松谷化学工業) 79.60 デキストリン(SR-7、オルガノ) 16.70 ショ糖脂肪酸エステル(DKエステルF140、第一工業製薬) 1.70 アミラーゼ(アマノ AD-1、天野製薬) 1.30 水溶性ゼラチン 0.70 合計 100.00
の製造試験を行った(添加区)。対照区として該組成物
を添加しない無添加区を設けた。洗米の条件を変えて、
下記の合計4回の製造および評価を行った。各製造にお
いて、精米した日本晴7kgを下記のように洗米し、添
加区では11.2kg、無添加区では10.5kgの水
を加水して60分間浸漬させた。ついで、実施例1の組
成物21gを添加区にのみ添加した。ガス炊飯機で25
分間炊飯した後、30分間蒸らし、米飯を得た。 実施例2−1:手洗いで洗米(5回とぎ、2回水洗、約
12分間)、白飯 実施例2−2:実施例2−1と同様 実施例2−3:水圧洗浄機で洗米(40秒間)、白飯 実施例2−4:水圧洗浄機で洗米(40秒間)、チキン
ライス* * ダシ(ケチャップ700g、塩50g、コンソメ50
g)を添加して炊飯。 実施例2−1〜4のいずれにおいても、添加区の米飯は
無添加区の米飯と比べてコゲが少なく、ふっくらしてい
て、しゃもじ通りが良く、蒸気が通過した穴(いわゆる
カニ穴)が多かった。また、チキンライス(実施例2−
4)の場合、無添加区の米飯の表面には色むらがあるの
に対し、添加区の米飯の表面には色むらが無かった。ま
た、無添加区の米飯は1日後にはパサパサで硬くなった
のに対し、添加区の米飯はいずれも比較的パサツキが少
なく、柔らかかった。
フの製造試験を行った。表1に示す通り、該組成物を添
加しない無添加区を含む5つの試験区について製造およ
び評価を行った。米400gを洗米に表1の各量の水を
加水し、2時間浸漬させた。ついで、調味料[(白ワイ
ン10g、食塩7g、バター5g、プレックスえび(武
田薬品工業)1g、プレックスD−77(武田薬品工
業)0.3g、ハイフレックスミート(武田薬品工業)
0.2g、白コショー0.3g:合計23.8g]と表
1の各量の実施例1の組成物を添加して炊飯し、ついで
蒸らした。得られたピラフを急速冷凍(−35℃、1.
5分間)と凍結したピラフをほぐすこととを3回繰り返
して、冷凍ピラフを得た。こうして得られた各試験区の
冷凍ピラフを調理し、官能試験を行ったところ、無添加
区のピラフに比べて、試験区1〜4のピラフは米飯のば
らけがよく、特に水の添加量が多い試験区2および試験
区4でその傾向が顕著であった。
おいて吸水時に添加し、炊飯後の米飯の性質等を評価す
ることにより、本発明の組成物の添加効果を調べた。炊
飯は下記の工程で行い、吸水工程において、米に対し0.
05%(w/w)、0.10%(w/w)または0.30%(w/w)の各量の該組成
物を添加した。また、対照として無添加区を設けた。結
果を表2に示す。 蒸煮炊飯法による炊飯加工工程: 1)洗米:米560g(日本晴、滋賀県産、平成12年
度米)をボールに入れ、十分量の水道水で手で3回洗っ
た。 2)浸漬:水道水1,000mlを用い、室温下で、2
時間静置して浸漬させた。 3)水切り:ざるにあげて、室温で5分間放置した。 4)蒸煮1:家庭用蒸器使用、蒸器上段にサラン布を敷
いた上に、水切りした米を載せ、強火で20分間蒸煮し
た。 5)吸水:蒸煮した米に、元の米に対し2.2倍量(1
232g)になるように水道水を加え、全量吸水させ
た。 6)蒸煮2:蒸煮1工程と同様。 工程1)〜6)により、蒸煮米飯を得た。 表2に蒸煮炊飯法の各工程の重量変化を示す。
及び食感の評価、バラケの評価を行った。なお、評価は
蒸煮2直後および冷や飯(室温、1昼夜(20時間)放
置)について評価した。 *1:外観および食感の評価方法 ○:実施例1の組成物無添加の基準米飯(外観、食感共
に良好) ◎:基準米飯より、優れている。 △:基準米飯より、やや劣るが許容範囲内。 ×:基準米飯より、明らかに劣る。 *2:米飯のバラケ評価点数 0:実施例1の組成物無添加の基準米飯 1:基準米飯より、少ししゃもじ通りが良く、バラケ易
い。 2:基準米飯より、明らかにしゃもじ通りが良く、バラ
ケ易い。 3:基準米飯より、かなりしゃもじ通りが良く、数粒単
位でバラケる。 4:基準米飯より、非常にしゃもじ通りが良く、一粒一
粒バラケる。 評価の結果は、表3および表4に示した。
炊飯の吸水時に本発明の組成物を添加した場合、無添加
の場合に比べてしゃもじ離れに著しい効果が認められ
た。食味的には粘りのないタイ米に似た食感となり、ピ
ラフ、炒飯等の調味米飯に適した性質になった。添加量
が0.1%(w/w)以下の場合が特に好ましかった。
おいて浸漬時に添加し、炊飯後の米飯の性質等を評価す
ることにより、本発明の組成物の添加効果を調べた。炊
飯は、実施例4と同様の工程で行った。ただし、本実施
例では、浸漬工程において、実施例1の組成物の0.3%
(w/v)水溶液、0.5%(w/v)水溶液、1.15%(w/v)水溶
液、または水道水(無添加区)を各800ml用いた。
浸漬により米に吸収された組成物の量は、それぞれ米に
対し0.08%(w/w)、0.13%(w/w)、0.3%(w/w)であった(上
記と同順に、無添加区を除く)。各工程の重量変化を表
5に示した。また、実施例4と同様に米飯の評価を行
い、結果を表6および表7に示した。
炊飯の浸漬時に本発明の組成物を添加した場合、無添加
の場合に比べてしゃもじ離れに効果が認められた。食味
的には粘りの少ない食感となり、ピラフ、炒飯等の調味
米飯に適した性質になった。実施例4と実施例5の比較
から明らかなように、本発明の組成物の添加効果は吸水
時に添加した方が著しかった。
ば、容易に米飯の加工適性ならびに食味およびテクスチ
ャーを容易に改良できる組成物および方法が提供され
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 乾燥物換算で、DE値が40以下のデキ
ストリンまたは可溶性デンプンを90〜97%(w/w)
含有してなる米飯改良組成物。 - 【請求項2】 乾燥物換算で、DE値が2〜10のデキ
ストリンを90〜97%(w/w)含有してなる米飯改良
組成物。 - 【請求項3】 乾燥物換算で、DE値が2〜10のデキ
ストリンを90〜97%(w/w)、アミラーゼを0.8
〜1.5%(w/w)、水溶性ゼラチンを0.3〜1.0
%(w/w)、およびHLBが10〜18のショ糖脂肪酸
エステルを1.0〜3.0%(w/w)含有してなる請求
項1記載の米飯改良組成物。 - 【請求項4】 請求項1〜3いずれか1項記載の米飯改
良組成物を、精米の水洗後、加水時に添加して炊飯する
ことを特徴とする米飯の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1〜3いずれか1項記載の米飯改
良組成物を精米に対して乾燥物換算で0.02〜0.6
%(w/w)添加する請求項4記載の米飯の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1〜3いずれか1項記載の米飯改
良組成物を精米に対して乾燥物換算で0.05〜0.5
%(w/w)添加する請求項4記載の米飯の製造方法。
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JP2001164405A JP2002354992A (ja) | 2001-05-31 | 2001-05-31 | 米飯改良組成物および米飯の製造方法 |
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- 2001-05-31 JP JP2001164405A patent/JP2002354992A/ja active Pending
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