JP2007266356A - 発光装置およびそれを用いた照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被照射面の照度分布を一様にできるとともに、色ムラが小さく発光効率のよい発光装置を提供すること。
【解決手段】発光装置は、上面1cに発光素子2の搭載部1aを有する基体1と、搭載部1aに搭載された発光素子2とから成る発光装置において、発光素子2の上面2aに光散乱部材7が配置されている。発光素子からの光が発光装置の光放射方向に拡散された発光装置となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体素子等の発光素子から発光される光によって外部を照射する発光装置およびそれを用いた照明装置に関し、より詳細には発光素子の発する光を効率的かつより均一に外部に照射する発光装置およびそれを用いた照明装置に関する。
従来の発光ダイオード(LED)またはレーザダイオード(LD)等の半導体素子製の発光素子から発光される近紫外光や、青色,赤色,緑色,青色,黄色等の可視領域波長の光を発光する発光装置を図13(a),(b)に示す。
図13(a),(b)において、11は基体、12は発光素子、13は導電性部材、14は波長変換部材、15は透光性部材、16は反射部材を示す。
図13(a)に示す従来の発光装置は、基体11の上面11cに発光素子12を搭載するための搭載部11aを有し、搭載部11aまたはその周辺から発光装置11の内外を電気的に導通接続する配線導体11bが表面に形成された絶縁体からなる基体11と、搭載部11aに配線導体11bと導電性部材13を介してフリップチップ実装またはワイヤボンディング実装され、電気的に接続固定された発光素子12と、発光素子12を覆うように配置された透光性部材15と、透光性部材15の上面に配置された波長変換部材14とから主に構成される。
また、図13(b)に示す従来の発光装置は、基体11の上面11cに発光素子12を搭載するための搭載部11aを有し、搭載部11aおよびその周辺から発光装置11の内外を電気的に導通接続する配線導体11bが表面に形成された絶縁体からなる基体11と、基体11の上面11cに搭載部11aを取り囲むように取着された反射部材16と、搭載部11aに配線導体11bと導電性部材13を介してフリップチップ実装され、電気的に接続固定された発光素子12と、基体11の上面11cに発光素子12を被覆するように配置された透光性部材15と、透光性部材15の上方に反射部材16の開口部を塞ぐように配置された波長変換部材14とから主に構成される。
そして、発光素子12から放射された光は、直接透光性部材15を透過して、または基体11の上面11cや反射部材16の内周面で反射され、その後、波長変換粒子が含まれた波長変換部材14に照射される。そして、波長変換粒子によって波長変換されるとともに波長変換粒子によって乱反射される。
近年では、発光装置駆動回路基板(図示せず)から供給される駆動電流によって発光素子12を発光させる上記の発光装置、もしくは、駆動電流によって作動される発光素子12からの可視光や近紫外光が波長変換部材14によって波長変換され、所望の波長スペクトルに変換された可視光を放射できる発光装置の実用化が進んでいる。
これらの発光装置は、液晶用バックライトや照明用光源として利用され始めており、特に発光装置の発光効率の向上や、被照射面における色ムラや色バラツキの低減に対する要求が高まっており、検討され始めている。
特開2000−156528号公報
しかしながら、上記従来の発光装置においては、発光素子12の光の放射束(単位時間当たりに電磁波または粒子の形によって放出されるエネルギー〔W〕)および放射強度(点放射源からある方向の微小立体角内に放出される放射束をその立体角で割った値〔W/sr〕)は、発光素子12の発光層に対して垂直に引かれた光軸上が最も大きく、光軸から離れるに従って光の放射強度は小さくなる。すなわち、発光装置の被照射面において、発光素子12の光軸上から被照射面の外周部に向かうに従って光の放射強度は小さくなり、光の放射強度が不均一となる。従って、被照射面を同一の光の放射強度で一様に照射することができないといった問題点を有していた。被照射面を均一な照度で照射するというのは、照明用の光源として特に重要な特性である。
また、特許文献1に示されるような図13(b)の発光装置においては、発光素子12の光の放射強度は光軸上において最も大きく、光軸から離れるに従って光の放射強度は小さくなる。よって、発光素子12から波長変換部材14に入射される光の放射束は、光軸と交わる波長変換部材14の位置からその周辺に向かう従って減少する。その結果、たとえば発光素子12からの光と波長変換部材14によって波長変換された光とを混合し、所望の波長スペクトルを有する光を放射する発光装置の場合、光軸上の波長変換部材14で波長変換されずに発光装置の外部に放射される発光素子12からの光の放射束は多くなり、これに対して波長変換部材4の外周部を透過して放射される発光素子2からの光の放射束は少なくなる。
これらにより、発光装置の被照射面において光軸と交わる被照射面の位置では、発光素子12からの光による色合いが強く現れ、その周辺に向かうに従って発光素子12からの光による色合いが弱くなって波長変換部材4の変換光による色合いが強くなる。その結果、発光装置の被照射面において光軸上の位置とその周辺部との間で光の色が異なってしまう、所謂、色ムラが発生し、被照射面を同一の光の色で一様に照射することができないといった問題点を有していた。照射光が被照射面で同じ発色をもたらすというのは、照明用の光源として特に重要な特性である。
従って、本発明は上記従来の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、発光装置の被照射面における色ムラが抑制されるとともに、波長変換部材から放射される光の放射束を増加させることにより、発光装置の光出力および発光効率を向上させることである。
本発明の発光装置は、上面に発光素子の搭載部を有する基体と、前記搭載部に搭載された発光素子とから成る発光装置において、前記発光素子の上面に光散乱部材が配置されていることを特徴とする。
本発明の発光装置において好ましくは、前記発光素子から離間させて前記発光素子を取り囲むように前記発光素子からの光を波長変換する波長変換部材が配置されていることを特徴とする。
本発明の発光装置において好ましくは、前記発光素子および前記光散乱部材が、透光性部材によって被覆されることを特徴とする。
本発明の発光装置において好ましくは、前記基体の上面に、前記発光素子を取り囲むように取着された反射部材が配置されていることを特徴とする。
本発明の発光装置において好ましくは、前記反射部材は、その内周面が光拡散性反射面であることを特徴とする。
本発明の照明装置は、上記本発明の発光装置と、前記発光装置が搭載され、前記発光装置を駆動する電気配線を有する駆動部と、前記発光装置から出射される光を反射する光反射手段とを含むことを特徴とする。
本発明の発光装置は、発光素子の上面に光散乱部材が配置されていることから、発光素子から発光された光は、光散乱部材における光軸上の位置を中心としてその周辺に拡散され、発光装置の外部に放出される。その結果、発光素子の上面から放射される光が光散乱部材によって拡散され、発光装置の被照射面における照度分布が均一に近づき、光の放射強度のムラが抑制された発光装置を作製できる。
本発明の発光装置において好ましくは、発光素子から離間させて発光素子の周囲を取り囲むように発光素子からの光を所定の波長に変換する波長変換部材が配置されていることから、発光素子の上面から放射される光が光散乱部材によって拡散されて上方に照射されるとともに波長変換部材との間の空間で広がるため、発光素子からの光が波長変換部材全体にムラなく入射される。その結果、波長変換部材は、発光素子からの光を波長変換部材全体で波長変換部材の変換効率に応じて波長変換することができる。従って、波長変換部材より放射される変換光は増加し、発光装置の光出力が増加するとともに、発光装置の被照射面において色ムラの小さい発光装置を作製できる。
本発明の発光装置において好ましくは、発光素子および光散乱部材が、透光性部材によって被覆されていることから、発光素子および光散乱部材と透光性部材との屈折率差を小さくすることにより、発光素子および光散乱部材と透光性部材との界面における光反射が低減され、発光素子および光散乱部材の内部から透光性部材に効率よく光を取り出すことができる。その結果、発光装置の光出力および発光効率を向上させることができる。
本発明の発光装置において好ましくは、基体の上面に発光素子を取り囲むように取着された反射部材が配置されていることから、発光素子および光散乱部材からの光が反射部材の内周面によって反射され、発光装置の発する光の指向性が向上するとともに、反射部材の開口部を塞ぐように波長変換部材が配置される場合、発光素子からの光が、反射部材の内周面で、波長変換部材の発光素子側の面に対して垂直に近い入射角度で入射するように反射されやすくなり、波長変換部材に入射する光が増加する。その結果、波長変換部材によって波長変換されて発光装置の外部に放射される光が増加し、発光装置の被照射面における輝度や光度、照度が向上する。
本発明の発光装置において好ましくは、反射部材の内周面が光拡散性反射面であることから、波長変換部材が反射部材の開口部を覆うように配置される場合、発光素子および光散乱部材からの光が波長変換部材の下面で反射されても内周面によって拡散され、拡散された一部の光が再び波長変換部材全体を照射する。その結果、波長変換部材によって波長変換される光の放射束が増加し、発光装置の光出力および発光効率は向上する。
また、本発明の発光装置は、本発明の発光装置と、発光装置が搭載され、発光装置を駆動する電気配線を有する駆動部と、発光装置から出射される光を反射する光反射手段とを含むことから、発光装置を光源として所定の配置に設置するとともに、これらの発光装置の周囲に所定の形状に光学設計した反射板や光学レンズ、光拡散板等の光反射手段を設置することにより、所定の配光分布の光を照射する照明装置とすることができる。
本発明の発光装置について以下に詳細に説明する。図1乃至図8はそれぞれ本発明の発光装置の実施の形態の各例を示す断面図である。図において、1は基体、2は発光素子、7は光散乱部材であり、主としてこれらで発光装置が構成される。また、1bは基体1の搭載部1aまたはその周囲の一端から発光装置の外側へかけて形成された配線導体、3は配線導体1bの一端と発光素子2の電極(図示せず)とを接続する導電性部材、4は発光素子が発する光(以下、発光素子からの光ともいう)の波長を所定の波長に波長変換する波長変換部材、5bは透光性部材、6は発光素子2を取り囲むように基体1に取着された反射部材、6aは反射部材6の内周面であり、必要に応じて適宜発光装置に用いられる。
基体1は、酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス等のセラミックス、またはエポキシ樹脂や液晶ポリマー(PLC)等の樹脂から成る絶縁体であり、発光素子2を支持する支持部材として機能し、平板状の基体1の上面1cに発光素子2が搭載される。
また、基体1がセラミックス等から成る場合、基体1となる複数のグリーンシートに、発光装置の内外を電気的に導通接続するために、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銅(Cu)等の金属ペーストから成る配線導体1bを配置し、基体1を焼成すると同時に金属ペーストも焼成することにより、配線導体1bを有する基体1が形成される。
そして、発光素子2は、配線導体1bに導電性部材3を介して電気的に接続され、基体1の側面や下面など発光装置の外側に導出された配線導体1bの他端が、発光装置駆動回路基板(図示せず)に電気的に接続されることにより、発光装置駆動回路基板と発光素子2とが電気的に接続される。このような配線導体1bは、上記周知のメタライズ法やメッキ法などを用いて形成される。
また、基体1が樹脂から成る絶縁体の場合、配線導体1bは、Cu、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金またはFe−Ni合金等から成るリード端子を基体1に埋設し、リード端子の一端を搭載部1aに導出し、他端を基体1の側面や下面に導出させることによって形成される。そして、発光素子2が基体1の上面1cの配線導体1bの一端に導電性部材3を介して電気的に接続され、基体1の側面や下面などに導出された配線導体1bの他端と発光装置駆動回路基板とが電気的に接続されることにより、発光装置駆動回路基板と発光素子2とが電気的に接続される。
また、基体1は、上面1cに発光素子2からの光透過を抑制するとともに、発光素子2からの光を基体1の上方に効率良く反射させることを目的として、配線導体1bに対して電気的に短絡しないように、アルミニウム(Al),銀(Ag),金(Au),白金(Pt),Cu,ロジウム(Rh),クロム(Cr),チタン(Ti)等の金属層が蒸着法やメッキ法によって形成される、もしくは透光性のシリコーン樹脂,エポキシ樹脂,アクリル樹脂,フッ素系樹脂,ガラス等にAl,Ag,Au,Pt,Cu等の金属粒子や、酸化アルミニウム,酸化チタン,酸化ジルコニウム等の金属酸化物から成る無機粒子を含有させた反射層が形成されることがより好ましい。
なお、配線導体1bは、上面1cに露出する一端および他端の表面に厚さ0.5〜9μmのNi層や厚さ0.5〜5μmのAu層等の耐食性に優れる金属層が被着されているのがよく、これにより配線導体1bが酸化腐食するのを有効に防止できるとともに、半田等の導電性部材3による発光素子2との接合をより強固にすることができる。
発光素子2は、その上面2aに光散乱部材7が配置されていることから、発光素子2の上面2aから放射される光が、光散乱部材7の上方において発光素子2の発光部を起点とする光軸を中心としてその周辺に拡散される。その結果、発光装置の被照射面における照度分布は、光軸上とその周辺部において一様なものに近づく。よって、本発明の発光装置は、被照射面における照度分布の均一性が必要とされる照明用途に用いられる光源として好適なものとなる。
なお、光散乱部材7を発光素子2の側面にも配置した場合、光散乱部材7によって拡散されて、基体1の上面1cに照射される発光素子2からの光が増え、基体1の反射率に依存した光吸収されてしまう光が増えるため、発光装置の光出力は低下してしまう場合がある。従って、本発明の発光装置において発光素子2の側面に光散乱部材7を配置するのは好ましくない。
また、発光素子2は、その電極がAu−錫(Sn),Sn−Ag,Sn−Ag−CuまたはSn−鉛(Pb)等のロウ材や半田を用いた金属バンプ、またはAuやAg等の金属を用いた金属バンプ、エポキシ樹脂等の樹脂にAg等の金属粉末を含有して成る導電性樹脂から成る導電性部材3を介し、フリップチップ実装によって配線導体1bに電気的に接続される。
例えば、ペースト状のAu−SnやPb−Sn等の半田材や、Agペースト等から成る導電性部材3がディスペンサー等を用いて配線導体1b上に載置され、発光素子2がその電極と導電性部材3とが接触するように搭載され、その後、全体が150℃〜350℃程度で加熱されることにより、発光素子2の電極と配線導体1bとが導電性部材3によって電気的に接続された発光装置を作製できる。
または、発光素子への熱負荷を極力少なくするように、ペースト状のAu−SnやPb−Sn等の半田材や、Agペースト等から成る導電性部材3が配線導体1b上にディスペンサー等を用いて載置されるとともに、全体を150℃〜350℃程度で加熱し、その後、発光素子2が、その電極と導電性部材3とが接触するように搭載され、発光素子2の電極と配線導体1bとが導電性部材3によって電気的に接続された発光装置を作製できる。
また、発光素子2は、搭載部1aに樹脂接着剤やAgペーストや半田等によって取着されるとともに、搭載部1aの周囲に導出された配線導体1bと発光素子2の電極とをボンディングワイヤから成る導電性部材3によって電気的に接続される方法、所謂、ワイヤボンディング実装によって電気的に接続されてもよく、フリップチップ実装による実装方法に限定されるものではない。
光散乱部材7は、図2に示す要部拡大図のように、少なくとも発光素子2の光に対して透明性を有する透明部材7bに拡散粒子7aを含有させることによって作製される。そして、光散乱部材7に入射した発光素子からの光は、これら各々の拡散粒子7aによって各々の方向に分散され、光散乱部材7から散乱された光として光散乱部材7への入射方向とは異なる多方向に出射される。
拡散粒子7aは、発光素子2から発せられる光に対して透明性を有し透明部材7bに対して屈折率差を有する空気,窒素,フッ素等から成る不活性ガス等の気体から成る気泡や、酸化アルミニウム,酸化チタン,酸化ジルコニウム等から成る金属酸化物、またはAl,Ag,Au,Pt,Cu,Ti等から成る金属粒子から成る。
そして、透明部材7bに拡散粒子7aを所定量混合することによって、または、拡散粒子7aが気泡から成る場合は、金型成型や切削加工等の成形加工によって上下面の片面または両面に凹凸部が形成された、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の透明樹脂から成る複数の透明シートを圧着や熱圧着によって積層することによって、または、気体を透明部材7bに吹き込んだ後に硬化させることによって、拡散粒子7aを透明部材7bに含有させて光散乱部材7が形成される。
また、透明部材7bに透明部材7bと異なる屈折率を有し透明部材7bに溶け込んでしまわない別の透明部材7a、例えばシリコーン樹脂から成る透明部材7bにエポキシ樹脂から成る透明部材7aを混合したり、透明部材7bの表面を例えば算術平均粗さRaが0.1〜1μmの粗面としたり、または内層にこのような粗面を有し透明部材7bと異なる屈折率を有する透明部材層7aを形成したりすることによって光散乱部材7を形成してもよい。
また、透明部材7bは、発光素子2の光に対して透明性を有するシリコーン樹脂,エポキシ樹脂,アクリル樹脂,フッ素系樹脂,ゾルーゲルガラス,低融点ガラス等から成る。
なお、光散乱部材7は、上記拡散粒子7aを含有した未硬化の上記透明部材7bを発光素子2の上面2aに塗布し、加熱や自然放置または光照射等によって透明部材7bを硬化させることで形成される。
または、光散乱部材7は、上記拡散粒子7aを含有した未硬化の上記透明部材7bを所望の成形型を用いて成形加工される。もしくは、表面が平滑面または粗面のポリテトラフルオロエチレン基板上やガラス基板上に、上記拡散粒子7aを含有した未硬化の上記透明部材7bを厚膜状に塗布し、透明部材7bを加熱や自然放置または光照射等によって板状に硬化させ、所望の形状に切断することによって作製される。そして、光散乱部材7は、発光素子2の上面2aにディスペンサーを用いて載置された、シリコーン樹脂,エポキシ樹脂,ゾルーゲルガラス等から成る未硬化の透明性を有する接着剤(図示せず)上に載置され、この接着剤を硬化させることによって発光素子2の上面2aに接着固定される。
また、光散乱部材7は、図2(b)に示すように、拡散粒子7aを発光素子2に密着される面と反対側の光散乱部材7の上部に偏在させたものであることがより好ましい。これにより、発光素子2の上面2aから放射される光は、上面2aとの界面に含有される拡散粒子7aに妨げられることなく透明部材7bに効率よく入射される。その結果、発光素子2から光散乱部材7に入射される光の放射束が増加し、発光装置の光出力および発光効率は向上する。
なお、拡散粒子7aを光散乱部材7の上部に偏在させたものとするには、たとえば、拡散粒子7aを未硬化の透明部材7bに含有させるとともに、攪拌脱泡装置を用いて拡散粒子7aを未硬化の透明部材7b内に均一に分散させる。そして、この未硬化の透明部材7bを表面が平滑面または粗面のポリテトラフルオロエチレン基板上やガラス基板上に厚膜状に塗布し、適切な時間することにより、未硬化の透明部材7b内において拡散粒子7aを沈降させる。その後、加熱や自然放置または光照射等によって未硬化の透明部材7bを硬化させて板状に形成するとともに所望の形状に切断することにより、光拡散部材7を作製できる。そして、拡散粒子7aを沈降させた面側を発光素子2と反対側の上方とし、光拡散部材7を発光素子2の上面2aに透明性の接着剤を介して接着固定することにより、拡散粒子7aを光散乱部材7の上部に偏在させたものとすることができる。
または、上記の成型法によって拡散粒子7aを含有させない、所望の形状を有する板状の透明部材7bを作製するとともに、この透明部材7bに、拡散粒子7aを含有させた未硬化の透明部材7bを塗布して硬化させる。
または、上記の成型法によって拡散粒子7aを含有させない、所望の形状を有する板状の透明部材7bと、上記の成型法によって拡散粒子7aを含有させた所望の形状を有する板状の透明部材7bとを未硬化の透明部材7bによって接着固定すればよい。
さらに、光散乱部材7は、図2(c)に示すように、上面2aと光散乱部材7との間に、屈折率が光散乱部材7より小さい透光性部材5aを介して配置することがより好ましい。これにより、発光素子2から透光性部材5aに入射した光は、スネルの法則に従って屈折率の高い光散乱部材7に全反射されずに入射される。この場合、光散乱部材7に入射された光の一部が、光散乱部材7によって拡散されて下方に反射されるが、これらの下方に反射された一部の光は、透明部材7bより屈折率の低い透光性部材5aとの界面において、スネルの法則に従って全反射される。その結果、光散乱部材7から上方に拡散されて放射される光の放射束が増加することにより、発光装置の光出力および発光効率は向上する。発光素子2と光散乱部材7とを接着する接着剤をこの透光性部材5aとしてもよい。
なお、拡散粒子7aは、少なくとも発光素子2の光に対して透明性を有するとともに、透明部材7bの屈折率と異なるものであることがより好ましく、光散乱部材7に入射され、拡散粒子7aにも入射された光は拡散粒子7aによって屈折され、上方に放射される。これにより、発光素子2からの光は、拡散粒子7aによって低損失に屈折されて散乱され、効率よく発光装置の外部に放射される。
また、拡散粒子7aは、少なくとも発光素子2の光を透過するとともに透明部材7bの屈折率より高いことがより好ましい。これにより、光散乱部材7に入射された光は、スネルの法則に従って透明部材7bから拡散粒子7aに反射されることなく入射されやすくなり、拡散粒子7aによって屈折を繰り返しながら上方に散乱される。これによって、発光素子2側に反射されずに光散乱部材7の上面から散乱光として出射される光の放射束が増える。すなわち、拡散粒子7aが、その屈折率が透明部材7bより小さい空気,窒素,フッ素等から成る気体から成る場合、光散乱部材7に入射された光の一部はスネルの法則に従って透明部材7bと拡散粒子7aとの界面で全反射される。その結果、拡散粒子7aによって全反射された光が、発光素子2側に出射され、発光素子2内で吸収されてしまう光の放射束が増えることにより、発光装置の光出力および発光効率が向上しない場合がある。
本発明の発光装置において、好ましくは、発光素子2および光散乱部材7から離間させて、発光素子2および光散乱部材7を取り囲むように発光素子2からの光を波長変換する波長変換部材4が配置されている。これにより、発光素子2から発せられる光は、波長変換部材6によって所定の波長スペクトルに波長変換され、発光装置の外部に放射される。
さらに、発光素子2の上面2aに光散乱部材7が配置されることにより、上面1aから放射される光が光散乱部材7によって各方向に散乱されるとともに波長変換部材4との間の空間で広がる。その結果、光散乱部材7で散乱された光は、波長変換部材4全体をより均一光に近く照射することになり、波長変換部材4全体を波長変換部材の変換効率に近い効率で波長変換するために利用できる。さらに、発光素子2からの光が、波長変換部材4に均一光に近い光として入射されることから、発光素子2と波長変換部材4との光を混合した光を放射する発光装置、または波長変換部材4からの光のみを放射する発光装置の場合、波長変換部材4の光軸上およびその周辺部において波長変換されて放射される光の放射強度はより均一化されるので、波長変換部材4を介して放射される光は、波長変換部材4全体からムラなく放射され、発光装置の被照射面における色ムラを抑制できる。その結果、発光装置の光出力および発光効率は向上するとともに、任意の発光色を有する発光装置の色バラツキや色ムラを抑制できる。
波長変換部材4は、例えば発光素子2からの光によって励起され、発光素子2からの光と波長が異なる光を放射する蛍光体や蛍光顔料、または任意の波長範囲の光のみを吸収もしくは透過するフィルタから成る。波長変換部材4は、蛍光体もしくは蛍光顔料をエポキシ樹脂,シリコーン樹脂,アクリル樹脂,フッ素系樹脂,ガラス等の透明部材に含有することにより作製できる。もしくは、任意の波長スペクトルを吸収,透過する色素粒子をエポキシ樹脂,シリコーン樹脂,アクリル樹脂,フッ素系樹脂,ガラス等の透明部材に含有することにより作製できる。
また、波長変換部材4は、例えば蛍光体を含有させた樹脂を発光素子2の周囲を取り囲むように所定形状に成形する成形型を用いて、加熱や自然放置によってシリコーン樹脂を硬化させることによって成形できる。
蛍光体としては、様々な材料が用いられ、例えば赤はLaS:Eu(EuドープLaS)の蛍光体やLiEuW、緑はZnS:Cu,AlやSrAl:Euの蛍光体、青は(BaMgAl)1012:EuやBaMgAl1017:Euの蛍光体等の粒子状のものが用いられる。さらに、このような蛍光体は1種類に限らず、複数のものを任意の割合で配合してもよく、所望の発光スペクトルと色を有する光に変換して出力することができる波長変換部材4とできる。
本発明の発光装置において、発光素子2および光散乱部材7が、図4(a)に示すように、透光性部材5bによって被覆されていることがより好ましい。発光素子2の側面および光散乱部材7が透光性部材5bによって被覆されることにより、発光素子2および光散乱部材7と透光性部材5bとの屈折率差が小さくなり、発光素子2および光散乱部材7からの光を効率よく取り出すことができる。
さらに、透光性部材5bは、発光素子2および光拡散部材7を被覆するように配置されることから、たとえば透光性部材5bが耐湿性に優れるエポキシ樹脂やゾル−ゲルガラス等の透明ガラスから成る場合、周辺環境から発光素子2および光拡散部材7への湿度劣化等が抑制されるので、発光装置の作動環境における大気や水分による、発光素子2および光散乱部材7の機械的な強度劣化や透明部材7bや拡散粒子7aの光の透過率の低下等の材料特性の変化を抑制することができる。
また、透光性部材5bは、発光装置への物理的な衝撃に対し、発光素子2および光散乱部材7を保護する機能を有するとともに、透光性部材5bが発光素子2や光拡散部材7および基体1上面を一体的に被覆するように接着固定されていることによって、基体1や発光素子2および光散乱部材7の接着強度を補強することができる。これにより、発光装置は、長期間にわたって正常かつ安定した光出力を保持しつつ作動するものとできる。
なお、透光性部材5bは、少なくとも発光素子2からの光に対して透明性を有するシリコーン樹脂,エポキシ樹脂,フッ素系樹脂、ゾルーゲルガラス,低融点ガラス,空気等の気体等の透明性材料から成る。
そして、発光素子2および光散乱部材7が未硬化の透光性部材5bによって被覆された後、加熱や自然放置または光照射することにより、未硬化の透光性部材5bが硬化されて透光性部材5bが形成される。
また、透光性部材5bの表面には、図4(b)に示すように、透光性部材5bを覆うように上記の波長変換部材4を配置してもよい。これにより、発光素子2および光散乱部材7と透光性部材5bとの屈折率差が小さくなり、発光素子2および光散乱部材7からの光が、内部より効率よく取り出される。そして、発光素子2および光散乱部材7で拡散された光は、波長変換部材4の内側から全体をムラなく照射できることとなる。その結果、発光素子2からの光は、波長変換部材4全体を利用して波長変換されることにより、波長変換部材4からの光出力が増加し、発光装置の光出力および発光効率は向上するとともに、色ムラや色バラツキの小さい光が放射される発光装置を作製できる。
本発明の発光装置において、反射部材6が、図5に示すように、基体1の上面1c外周部に発光素子2を取り囲むように配置されて取着されていることが好ましい。これにより、発光素子2および光散乱部材7から側方に放射される光が、反射部材6の内周面6aによって反射され、発光装置の外側へ集光されて出射させることができるものとなり、光度および被照射面の照度は向上する。この目的のために、内周面6aは上方に向かうに従って外側に拡がる傾斜面とされているのがよい。
さらに、反射部材6は、発光装置に対する物理的な衝撃から発光素子2および光散乱部材7を保護する機能を有する。これによって、発光素子2および光散乱部材7の破損,破壊等による発光装置の故障が防止される。
なお、反射部材6は、Al,Ag,Au,Pt,Ti,Cr,Cu,Rh等の高反射率の金属を切削加工や金型成形等を行なうことによって形成される。もしくは、セラミックスや樹脂等の絶縁体から形成される。そして、反射部材6は、基体1の上面1c外周部に搭載部1aを取り囲むように、半田,Agロウ等のロウ材やエポキシ樹脂,アクリル樹脂等の樹脂接着剤によって取着固定される。
また、反射部材6が光反射率の低いセラミックスや樹脂から成る場合、その内周面6aがAl,Ag,Au,Pt,Ti,Cr,Cu,Rh等の高反射率の金属がメッキや蒸着等によって膜状に形成されていてもよい。さらに、内周面6aが、Ag,Cu等の酸化により変色し易い金属からなる場合、その表面に、例えばシリコーン樹脂,エポキシ樹脂,アクリル樹脂,ゾル−ゲルガラス,水ガラス等の透明性を有する透明性部材が、厚さ0.1〜1mm程度で被覆されているのがよい。これにより、内周面6aの耐腐食性が向上するとともに、反射率の劣化が抑制される。
さらに、内周面6aは、光拡散性反射面となるように形成されることが好ましい。これによって、発光素子2および光散乱部材7の側方から放射された光も、内周面6aによって上方に拡散されて反射される。その結果、発光素子2からの光は、ほぼ光散乱部材7および内周面6aによって拡散され、発光装置の外部に放射または波長変換部材4に照射される。その結果、発光装置は、被照射面の照度分布がより一様となるように光を放射することができるものとなる。
なお、内周面6aの光拡散性反射面は、内周面6aの算術平均粗さRaを0.1μm〜0.1mmとすることにより得られる。算術平均粗さの求め方はJIS B 0601−2001の規程に従う。
内周面6aの算術平均粗さRaを0.1μm未満とする場合、内周面6aによって正反射される光が増加することから、発光素子2や光散乱部材7からの光は、発光装置から全方向に対して拡散された光として放射されず、反射部材6によって正反射された一部の光が照射される被照射面において光の放射強度が増加して色ムラが生じる傾向がある。
また、算術平均粗さRaが0.1mmより大きい場合、このような面では内周面6aの表面積が著しく増加することから、反射部材6の光吸収も表面積に比例して増加し、発光素子2から反射部材6を介して発光装置の外部に放射される光の放射束が減少するので、発光装置の光出力が低下するとともに、発光装置の発光効率が低下する傾向がある。
なお、内周面6aの算術平均粗さRaを上記の範囲にするには、従来周知の電解研磨加工、化学研磨加工もしくは切削研磨加工等により形成すればよい。また、金型の面精度を利用した転写加工により形成する方法を用いればよい。
また、反射部材6は、内周面6aを直線状または放物面や双曲面等の湾曲状に形成してもよく、また外周面の縦断面形状を湾曲形状に変更したり、反射部材6を複数の反射部材に分割して設けたりしてもなんら支障はない。
なお、透光性部材5bは、図6(a),(b)に示すように反射部材6の内側に発光素子2を被覆するように配置されてもよい。これにより、発光素子2および光散乱部材7と第1の透光性部材5bとの屈折率差が小さくなり、発光素子2および光散乱部材7の内部から外部に効率よく光が取り出せる。さらに、発光素子2および光散乱部材7からの光は、内周面6aによって上方に反射されることにより、発光装置の光出力や発光効率および光度や照度は向上する。
図6(b)に示すように、反射部材6の内側に透光性部材5bを注入し、透光性部材5bと内周面6aとが接触するように配置した場合、内周面6aによって反射された光が透光性部材5bの表面、すなわち外部空気との境界面まで達した際に、スネルの法則によって全反射され、透光性部材5b内に閉じ込められてしまう場合があるのに対し、図6(a)に示すように、透光性部材5bと反射部材6の内周面6aとの間に空気層が設けられていることによって、透光性部材5bの外へ取り出された光は内周面6aによって反射されて、そのまま遮られるものなく発光装置の外部へ放射されるという特長を有するものになる。また、図6(a)に示すように、透光性部材5bの表面が上に凸の曲面状に形成されていると、発光素子からの光が透光性部材5b表面に入射する入射角が小さいものとなり、透光性部材5b表面で全反射されにくくなるので、透光性部材5bからの光取り出し効率の良いものとなる。
また、波長変換部材4は、図7(a)に示すように、反射部材6の内側に発光素子2から間隔をあけて発光素子2を取り囲むように配置されてもよい。そして、波長変換部材4から側方に放射された光は内周面6aによって上方に反射され、発光装置の外部に放射される。また、波長変換部材4と内周面6aとの間に空気層が設けられることによって、波長変換部材4から放射された変換光または発光素子2からの光は、内周面6aによって反射され、そのまま全反射面等で遮られるものなく発光装置の外部へ放射される。
さらに、波長変換部材4は、図7(b)に示すように、反射部材6の開口部を塞ぐように、発光素子2から離間させて基体1と平行に配置されてもよい。これによって、発光素子2および光散乱部材7から放射された光は、光吸収損失が小さい空隙部8において吸収され難く、低損失に波長変換部材4に入射されることによって、効率よく波長変換部材4に入射される。さらに、空隙部8と波長変換部材4との界面において、スネルの法則に従って波長変換部材4の外周部に伝播した光が基体1に対して垂直方向に近く屈折されることにより、発光装置から光軸方向に放射される光が増加し、発光装置の光度および輝度は増加する。
さらに、空隙部8は、波長変換部材4の内部から下方向に放射される光の一部を波長変換部材4との界面において上方に全反射することができる。その結果、発光装置から上方に放射される光が増加し、発光装置の光度および輝度は増加する。
なお、図7(b)に示す発光装置において、光散乱部材7が配置されない図13(b)に示すような発光装置が特許文献1に示されている。このような発光装置の場合、光の放射強度が最も大きい発光素子2の光軸上の波長変換部材4において、波長変換部材4の波長変換効率が飽和する場合があり、波長変換部材4によって波長変換されずに発光装置の外部に放射されてしまう発光素子2からの光の放射束が増える。これにより、発光素子2および波長変換部材4からの光を混合して光を放射する発光装置の場合、被照射面の光軸上では発光素子2からの光の放射強度が強くなってしまい、所定の混合色と異なる光となる場合がある。
例えば、発光素子4からの光が青色であり、波長変換部材4の波長変換光が黄色である光を放射して、疑似白色光を放射する発光装置において、光軸上の被照射面の色が青く見えてしまい、その周辺部が黄色く見えてしまうといった現象が生じる。これに対し、図7(b)に示す波長変換部材4が反射部材6の開口部を塞ぐように発光素子2および光散乱部材7から間隔をあけて配置されている場合は、光散乱部材7によって、波長変換部材4に局所的に強い発光素子2からの光が照射されることを避けることができ、波長変換部材4全体で効率よく波長変換されるので、所定の混色光を均一に照射できる発光装置とできる。
また、透光性部材5bは、図8(a)に示すように反射部材6の内側に注入され、その上面に波長変換部材4が配置されてもよい。これにより、発光装置の作動環境から透光性部材5bと波長変換部材4との間に水分が侵入したり、透光性部材5bと波長変換部材4の表面に水滴が生じたりすることがない。これによって、発光装置の内部に浸透した水分による光吸収が抑制され、発光素子2から放射された光は、低損失に波長変換部材4に入射される。
また、図8(b)に示すように、波長変換部材4および透光性部材5bを取り囲むように反射部材6が取着されてもよい。これにより、波長変換部材4および発光素子2が透光性部材5bに被覆されていない図7(a)に示す形態に対し、波長変換部材4および発光素子2からの光の取り出し効率が向上する。
また、波長変換部材4および透光性部材5bは、図8(c)に示すように第1の透光性部材5bが発光素子2の周囲に配置され、波長変換部材4が透光性部材5bと離間されて反射部材6の開口部に配置されてもよい。これによって、透光性部材5bから放射された光は、光吸収損失が小さい空隙部8を伝搬しながら効率よく波長変換部材4に入射される。
発光素子2は、少なくとも紫外領域から青色領域に含まれる光を発する発光素子2であることがより好ましい。発光素子2からの光を波長変換する波長変換部材4に、発光素子2からの光によって励起され蛍光を発生する蛍光体を含有させた場合、少なくとも紫外領域から青色領域の短波長でエネルギーの高い発光素子2の光によって、発光素子2の光より長波長でエネルギーの低い蛍光に変換する蛍光体の方が波長変換効率がよく、発光装置の光出力が増加する。
また、白色光や種々の色の光を発光装置から視感性よく放出させるという観点から、発光素子2は、200乃至500nmの紫外光から近紫外光および青色光の領域に含まれる光を発光するLEDまたはLD等の発光素子2であるのがよい。例えば、サファイア基板上にガリウム(Ga)−窒素(N),Al−Ga−N,インジウム(In)−GaN等から構成されるバッファ層,N型層,発光層,P型層を順次積層した窒化ガリウム系化合物半導体やシリコンカーバイド(SiC)系化合物半導体、酸化亜鉛系化合物半導体やセレン化亜鉛系化合物半導体またはダイヤモンド系化合物半導体や窒化ホウ素系化合物半導体等が用いられる。LD(レーザーダイオード)を用いても、光散乱部材7を用いることによって、照明装置を得ることができる。
なお、発光素子2から発生する光の紫外領域とは、可視光の短波長端360〜400nmを上限とし、下限は1nmくらいまでの波長範囲の電磁波とする(理化学事典第5版/岩波書店)。また、青色領域とは、可視光の短波長端360〜400nmを下限とし、上限は495nmくらいまでの波長範囲とする(JIS Z8701 XYZ表色系の色度座標)。
本発明の照明装置は、上記本発明の発光装置と、発光装置が搭載され、発光装置を駆動する電気配線を有する駆動部と、発光装置から出射される光を反射する光反射手段とを含むことにより、発光装置の輝度が向上し、放射される光の波長等の変動およびそれぞれの発光装置の強度むらが抑制され、それらを集めて照明装置とした本発明の照明装置の強度むらも抑制され、輝度の高いものとなる。
また、本発明の照明装置において、図9,図10,図11,図12に示されるように、一個の発光装置101を所定の配置となるように設置したり、または、複数個を、例えば、格子状や千鳥状、放射状等の所定の配置となるように設置したりしてもよい。あるいは、複数の発光装置101から成る円形状や多角形状の発光装置101群を同心状に複数群形成したもの等を所定の配置となるように設置してもよい。
例えば、図9の平面図およびその断面図を示す図10のように複数個の発光装置101が発光装置101を駆動するための電気配線を有する駆動部102上に複数列に配置され、発光装置101の周囲に任意の形状に光学設計された反射板等の光反射手段103が設置されてなる発光装置の場合、隣り合う発光装置101との間隔が最短にならない配置、例えば一列に配置された複数個の発光装置101の間に隣り合う列の発光装置101が配置された配置、いわゆる千鳥状の配置とすることが好ましい。即ち、発光装置101が格子状に配置される場合には、発光装置101が縦横直線状の格子に配列されることによりグレアが強くなり、このような発光装置101が人の視覚に入ってくることにより、不快感を起こしやすくなるのに対し、千鳥状とすることにより、グレアが抑制され人の眼に対する不快感を低減することができる。さらに、隣り合う発光装置101間の距離が長くなることにより、隣接する発光装置101間の熱的な干渉が有効に抑制され、発光装置101が実装された駆動部102内における熱のこもりが抑制され、発光装置101の外部に効率よく熱が放散される。その結果、人の眼に対して不快感が少なく、長期間にわたって光学特性の安定した長寿命の発光装置を作製することができる。
また、発光装置が、図11の平面図およびその断面図を示す図12のような駆動部102上に複数の発光装置101からなる円形状や多角形状の発光装置101群を、同心状に複数群形成した発光装置の場合、一つの円形状や多角形状の発光装置101群における発光装置101の配置数を発光装置の中央側より外周側ほど多くすることが好ましい。これにより、発光装置101同士の間隔を適度に保ちながら発光装置101をより多く配置することができ、発光装置の照度をより向上させることができる。また、発光装置の中央部の発光装置101の密度を低くして駆動部102の中央部における熱のこもりを抑制することができる。その結果、駆動部102内における温度分布が一様となり、発光装置を設置した外部電気回路基板やヒートシンクに効率よく熱が伝達され、発光装置101の温度上昇を抑制することができ、発光装置101は長期間にわたり安定して動作することができるとともに長寿命の発光装置を作製することができる。
このような発光装置を用いた照明装置としては、例えば、室内や室外で用いられる、一般照明用器具、シャンデリア用照明器具、住宅用照明器具、オフィス用照明器具、店装、展示用照明器具、街路灯用照明器具、誘導灯器具および信号装置、舞台およびスタジオ用の照明器具、広告灯、照明用ポール、水中照明用ライト、ストロボ用ライト、スポットライト、電柱等に埋め込む防犯用照明、非常用照明器具、懐中電灯、電光掲示板等や、調光器、自動点滅器、ディスプレイ等のバックライト、動画装置、装飾品、照光式スイッチ、光センサ、医療用ライト、車載ライト等が挙げられる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行なうことは何等支障ない。例えば、反射部材6の上面に発光素子2や光散乱部材7または波長変換部材4より放射される、光を所要に集光し拡散させる光学レンズや平板状の透光性の蓋体を半田や樹脂接合剤等で接合することにより、所望する放射角度で光を取り出すことができる発光装置としてもよい。これにより、発光装置内への浸水性が改善され長期信頼性および作動寿命が向上する。
また、上記実施の形態例において、反射部材6の内周面4aが平面視において円形状である例を示して説明したが、円形状に限定されることはなく、四角形状やその他の多角形状、楕円形状、その他星型等の不定形状であってもよい。また、反射部材6および基体1の外周形状も円形状に限定されることはなく、その他の多角形状、四角形状や楕円形状、その他の不定形状であってもよい。また、反射部材6の断面形状が直角三角形状のブロック状に示したが、例えば板材等で錐台状に形成されたものでもよい。
また、上記実施の形態の説明において上下左右という用語は、単に図面上の位置関係を説明するために用いたものであり、実際の使用時における位置関係を意味するものではない。
本発明の発光装置の実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明の発光装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の発光装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の発光装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の発光装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の発光装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の発光装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の発光装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明の照明装置の実施の形態の一例を示す平面図である。 図9の照明装置の断面図である。 本発明の照明装置の実施の形態の他の例を示す平面図である。 図11の照明装置の断面図である。 従来の発光装置の断面図である。
符号の説明
1:基体
1a:搭載部
2:発光素子
3:導電性部材
4:波長変換部材
5b:透光性部材
6:反射部材
6a:内周面
7:光散乱部材

Claims (6)

  1. 上面に発光素子の搭載部を有する基体と、前記搭載部に搭載された発光素子とから成る発光装置において、前記発光素子の上面に光散乱部材が配置されていることを特徴とする発光装置。
  2. 前記発光素子から離間させて前記発光素子を取り囲むように前記発光素子からの光を波長変換する波長変換部材が配置されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
  3. 前記発光素子および前記光散乱部材が、透光性部材によって被覆されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光装置。
  4. 前記基体の上面に、前記発光素子を取り囲むように取着された反射部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発光装置。
  5. 前記反射部材は、その内周面が光拡散性反射面であることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発光装置と、前記発光装置が搭載され、前記発光装置を駆動する電気配線を有する駆動部と、前記発光装置から出射される光を反射する光反射手段とを含む照明装置。
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