JP2007266198A - 希土類磁石の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特性低下のおそれがなく、余分な設備投資が不要で、効果的に成形体の発火の危険性を回避することが可能な希土類磁石の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】 希土類合金粉末の成形体を成形機より取り出した後、成形体に不活性ガス(例えば窒素ガス)を吹き付ける。この場合、例えば成形時に成形体に不活性ガスを吹き付ける。あるいは、搬送トレーに設置された前記成形体に対して不活性ガスを吹き付ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、希土類磁石を粉末冶金法により製造するための希土類磁石の製造方法及び製造装置に関するものであり、特に、希土類合金粉末の成形体の発火を防止するための技術に関する。
各種電気部品の小型化の要求、及びこれに対応した磁石の特性向上の要求に伴い、高性能小型磁石の開発が求められている。このような中、例えばNd−Fe−B磁石等のR−T−B系(Rは、希土類元素の1種以上である。Tは、Feを必須とし、その他金属元素を含む。)磁石(希土類磁石)は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であること等の利点を有することから、近年、その需要が益々拡大する傾向にある。
希土類磁石の製造方法としては、粉末冶金法が知られており、低コストでの製造が可能なことから広く用いられている。粉末冶金法により希土類磁石を製造するには、先ず、原料合金インゴットを粗粉砕及び微粉砕し、粒径が数μm程度の原料合金粉を得る。このようにして得られた原料合金粉を磁場中で配向させ、磁場中成形を行う。磁場中成形後、成形体を真空中、または不活性ガス雰囲気中で焼結及び時効を行う。さらに、機械加工や表面処理等の工程を行う。
粉末冶金法による希土類磁石の製造においては、前記の通り、希土類合金粉末の成形が必要であり、希土類合金粉末の成形体を取り扱うことが必須となる。例えば、成形機から取り出した希土類合金粉末の成形体を搬送し、次の工程(焼結工程)を行うための焼結炉に移行したり、あるいは成形機から取り出した成形体を密閉された保管庫に一時保管した後、焼結炉に移行することが必要である。
このとき、成形機から取り出した成形体は、大気に晒されることになり、酸化に伴う発熱により成形体が発火する危険性がある。希土類合金粉末は非常に酸化し易く、大気に晒すと急激に酸化されて発熱し、所定の温度を越えると発火の可能性が高くなる。
そこで従来、前記成形体の発火を抑える方法が種々提案されている(例えば特許文献1〜特許文献4等を参照)。特許文献1には、希土類合金粉末を乾式プレス法によって圧縮成形した後、成形体の表面から油剤(有機溶剤)を成形体に含浸させ、焼結する希土類磁石の製造方法が開示されている。特許文献1記載の発明では、成形体に有機溶剤を含浸させることで希土類元素の酸化を抑制し、発火を防止している。
特許文献2記載の発明では、成形雰囲気(温度、湿度)を管理することで、成形体の発火を防止するようにしている。具体的には、温度を30℃以下、相対湿度を65%以下に制御して大気雰囲気中において希土類合金磁性粉末のプレスを行う。プレスにより成形体を作製した後、窒素雰囲気に保たれた焼結ケースに収納する。次に、前記大気雰囲気の温度からの差異が5℃以下に制御された雰囲気の別の室内に成形体を搬送し、そこで焼結工程を実行する。
特許文献3記載の発明では、成形装置を気密化することにより成形体の発火を抑えるようにしている。特許文献3記載の発明では、得られた成形体はシュートを介して搬出器上に搬送され、除粉装置により除粉された後搬出帯と並走する焼結皿の搬入路に向けて配給シリンダにより押し出されて焼結皿上に移送され、焼結皿と共に搬入路上を焼結炉に向けて気密雰囲気中を搬送される。
特許文献4記載の発明は、成形及び搬出の雰囲気制御を行うことで安全性の向上を図るものであり、密閉可能な密閉ドアを有し、所定の酸素雰囲気に雰囲気制御された雰囲気制御下で希土類磁石用合金粉末を成形する雰囲気制御室と、密閉可能な密閉ドアを有し、前記雰囲気制御室で成形された成形体を焼結装置に搬送する搬送室と、前記密閉可能な密閉ドアを介して前記雰囲気制御室と前記搬送室とを対面させるように配置したとき、前記雰囲気制御室と前記搬送室とを気密な状態で接続可能な置換室とを備える希土類焼結磁石用合金粉末の成形装置が開示されている。
特開2002−8935号公報 特開2001−323301号公報 特開平6−346102号公報 特開2005−232475号公報
しかしながら、例えば特許文献1記載の発明のように成形体に油剤(有機溶剤)を含浸させると、焼結時に炭素(カーボン)残量が多くなり易く、製造される希土類磁石の特性低下を引き起こすおそれがある。また、油剤は発火性があり、これを発熱した成形体に含浸させるため、成形体の発熱状態等を厳しく管理する必要がある。特許文献1記載の発明では、成形体の表面温度を常に計測し、温度が高い場合には成形体に油剤を含浸させないようにしているが、前記表面温度の計測は工程負荷を増加する要因となる。さらに、前記計測の結果、規定の温度より表面温度が高い成形体を廃棄するようにしているので、歩留まり低下は避けられない。
一方、特許文献2記載の発明のように、成形時の周囲の温湿度管理、及び焼結工程を実行する室内の温度制御を行う場合、管理は容易であるが、発火の危険性を十分に抑制できるとは言い難い。成形体は種々の要因で発熱するため、大気の温度及び湿度の管理だけでは確実に成形体の発熱を解消することは難しい。また、特許文献2記載の発明では、焼結ケース内を窒素置換した後、搬送するようにしているが、窒素置換のために焼結ケースを収容し得る大きさの密閉空間が必要であり、設備投資を要することになる。
特許文献3や特許文献4記載の発明は、成形体を雰囲気制御された密閉空間内で成形し、気密雰囲気中で搬送されるので、成形体の発火を抑える上では望ましい形態と言える。しかしながら、成形機全体、さらには搬送路までも気密化し、雰囲気制御を行うためには、製造設備を大幅に変更する必要が生じ、装置が大がかりなものとなる等、多大な設備投資を強いる結果となる。前記設備投資は製品(希土類磁石)の製造コストに反映され、希土類磁石のコスト高の要因となる。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、炭素の残存量の増加による特性低下のおそれがなく、余分な設備投資が不要で製造コストを抑えることができ、しかも効果的に成形体の発火の危険性を回避することが可能な希土類磁石の製造方法及び希土類磁石の製造装置を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の希土類磁石の製造方法は、希土類合金粉末を成形機で成形して成形体を形成し、これを焼結することで希土類磁石とする希土類磁石の製造方法であって、希土類合金粉末の成形体に対して不活性ガスを吹き付けることを特徴とする。また、本発明の希土類磁石の製造装置は、希土類合金粉末を成形して成形体を形成する成形機を備えた希土類磁石の製造装置において、前記成形機は、成形された成形体に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス吹き付けノズルを備えることを特徴とする。
本発明者らは、希土類合金粉末の成形体を大気に晒した場合の発熱について検討を重ねてきた。希土類合金粉末の成形体を大気に晒すと、通常は酸化に伴い次第に温度が上昇し、その後、経時とともに温度が低下する。ただし、成形体によっては、経時によって温度が低下せず、そのまま温度の上昇が続いて発火に至るものがある。実際、前記特許文献には、比較例として数分から10分程度で発火に至っていることが記載されている。一方、前記成形体に予め不活性ガス(例えば窒素ガス)を吹き付けておけば、いずれの成形体も発火には至らないことを知見するに至った。その理由について、詳細は不明であるが、成形時及び成形直後の成形体は非常に活性で酸化されやすく、発熱、発火し易い状態にあるものと考えられるが、その活性な状態にある成形体に窒素ガスを吹き付けることにより、活性状態をある程度抑制でき、発火に至ることを抑制できたものと考えられる。
本発明は、前記知見に基づいて完成されたものであり、成形体に不活性ガスを吹き付けることを大きな特徴事項とするものである。それにより、成形体が発火に至る危険性が著しく低減されることを見出し発明を完成するに至った。また、このとき成形体に油剤等を含浸する必要もなく、炭素残留による特性低下も回避される。さらに、厳密な雰囲気制御や密閉構造も不要であり、設備を大がかりにする必要がなく、多大な設備投資も不要である。
本発明によれば、希土類合金粉末を成形した成形体の発火を確実に防止することが可能である。また、このとき油剤等の含浸が必要ないので、炭素の残存量の増加による特性低下のおそれもない。さらに、余分な設備投資が不要で希土類磁石の製造コストを抑えることも可能である。
以下、本発明を適用した希土類磁石の製造方法及び希土類磁石の製造装置について、図面を参照して詳細に説明する。
希土類磁石は、例えば希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素を主成分とするものであるが、磁石組成は特に限定されず、用途等に応じて任意に選択すればよい。例えば、希土類元素Rとは、具体的にはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのことをいい、これらから1種又は2種以上を用いることができる。中でも、資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。また、遷移金属元素Tは、従来から用いられている遷移金属元素をいずれも用いることができ、例えばFe、Co、Ni等から1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、磁気特性の点からFeを主体とすることが好ましく、特に、キュリー温度の向上、粒界相の耐蝕性向上等に効果があるCoを添加することが好ましい。また、前記希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bのみならず、他の元素の含有を許容する。例えば、Al、Cu、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を7000ppm以下、さらには5000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。なお、希土類磁石としては、前記R−T−B系の希土類磁石に限られるものではなく、例えばSmCo系磁石等であってもよい。
希土類磁石は粉末冶金法によって作製されるが、その製造プロセスは、基本的には、合金化工程、粗粉砕工程、微粉砕工程、成形工程、焼結工程、時効工程により構成される。なお、酸化防止のために、焼結後までの各工程は、ほとんどの工程を真空中、あるいは不活性ガス雰囲気中(窒素ガス雰囲気中、Arガス雰囲気中等)で行う。
合金化工程では、原料となる金属、あるいは合金を所望の希土類合金粉末の組成に応じて配合し、真空あるいは不活性ガス、例えばAr雰囲気中で溶解し、鋳造することにより合金化する。鋳造法としては、任意の方法を採用し得るが、溶融した高温の液体金属を回転ロール上に供給し、合金薄板を連続的に鋳造するストリップキャスト法(連続鋳造法)が生産性等の観点から好適であり、得られる合金の形態の点でも好適である。
前記合金化の際に用いる原料金属(合金)としては、純希土類元素、希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。合金は、ほぼ最終磁石組成である単一の合金を用いても良いし、最終磁石組成になるように、組成の異なる複数種類の合金を混合しても良い。
粗粉砕工程では、先に鋳造した原料合金の薄板、あるいはインゴット等を、粒径数百μm程度になるまで粉砕する。粉砕手段としては、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用いることができる。粗粉砕性を向上させるために、水素を吸蔵させて脆化させた後、粗粉砕を行うことが効果的である。
前述の粗粉砕工程が終了した後、必要に応じて粗粉砕した原料合金粉に潤滑剤を添加する。潤滑剤としては、例えば脂肪酸系化合物等を使用することができるが、特に、融点が60℃〜120℃の脂肪酸や脂肪酸アミドを潤滑剤として用いることで、良好な磁気特性、特に高配向度で高い磁化を有する希土類焼結磁石を得ることができ、その種類や添加量によって、成形体強度を所定の値に調整することができる。
粗粉砕工程の後、微粉砕工程を行うが、この微粉砕工程は、例えば気流式粉砕機等を使用して行われる。微粉砕の際の条件は、用いる気流式粉砕機に応じて適宜設定すればよく、原料合金粉を平均粒径が1〜10μm程度、例えば3〜6μmとなるまで微粉砕する。気流式粉砕機としては、ジェットミル等が好適である。なお、微粉砕粉の酸素含有量は1000ppm以上、7000ppm以下が望ましい。酸素含有量が7000ppmを超えると、希土類焼結磁石に含まれる酸素含有量が多くなりすぎ、磁気特性の低下が著しくなる。また、酸素含有量が1000ppm未満であると、発火の危険性が極めて高くなるおそれがある。より好ましくは1500ppm以上7000ppm以下、更に好ましくは2000ppm以上7000ppm以下である。
微粉砕工程の後、磁場中成形工程において、原料合金粉を磁場中にて成形する。具体的には、微粉砕工程にて得られた原料合金粉を電磁石を配置した金型内に充填し、磁場印加によって結晶軸を配向させた状態で磁場中成形する。磁場中成形は、成形圧力と磁界方向が平行な平行磁界成形、成形圧力と磁界方向が直交する直行磁界成形のいずれであってもよい。さらに、磁界印加手段として、パルス電源と空芯コイルも採用することができる。この磁場中成形は、例えば700〜1600kA/mの磁場中で、30〜300MPa、好ましくは130〜160MPa前後の圧力で行えばよい。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
前記成形の際には、例えば金型の臼上面、特にキャビティ上部やその周囲に窒素ガスを吹き付けることが好ましい。詳細は不明であるが、前記窒素ガスを吹き付けておけば、大気に成形体を晒したときに発火の危険性を著しく低減することができる。窒素ガスが表面に吸着、若しくは一部成形体表面と反応し、表面を改質して、酸化を抑制している可能性が考えられる。それによって、大気に晒した後の大気中の酸素による表面酸化及びそれによる発熱を抑制していることが考えられる。
前記成形工程により成形した成形体は、次の焼結工程に移行され、焼結処理が行われるが、成形工程から焼結工程に移行する際に、成形体を成形機から取り出し、搬送ロボット等で搬送する必要がある。この時、成形体は大気に晒されることになり、希土類合金粉末の成形体のように極めて酸化しやすい材料では、酸化に伴って温度が上昇し、成形体によっては発火に至ることが懸念される。しかしながら、本発明のように成形体に不活性ガスを吹きつけておくことにより、このような成形体においても、発火に至ることはなく、効果的に発火の危険性を回避することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、前記の通り、成形の際に金型の臼上面、特にキャビティ上部及びその周囲に不活性ガスを吹き付けること、または、成形体を成形機から取り出し、搬送トレーに載置するに際して、不活性ガスを吹き付けることが好ましい。あるいはその両方を行うと、より好ましい。不活性ガスを吹き付けることにより酸素を遮断することができる。また、前記不活性ガスの吹き付けにより成形体を冷却することができ、温度上昇を抑制してその後の発熱を抑えることができる。成形直後の成形体は表面が非常に活性な状態にあり、極めて酸化しやすく、発火の危険性が高い。その状態にある成形体に酸素遮断や冷却を施すことにより、活性な状態を安定化させる効果があったものと考えられる。更に、不活性ガスが表面に吸着、若しくは一部成形体表面と反応し、表面を改質して、酸化を抑制している可能性も考えられる。それによって、大気に晒した後の大気中の酸素による表面酸化およびそれによる発熱を抑制し、発火の危険性を著しく低下することができたと考えられる。なお、特許文献3、4記載の発明では、不活性雰囲気中で成形を行っているため、本発明と同様に酸素遮断効果は期待できる。しかしながら、本発明の場合、不活性ガスを成形時あるいは成形直後の成形体に直接吹き付けることにより、冷却効果や酸化抑制効果を大なるものとすることができ、発熱抑制と発火の危険性を著しく低下できたものと考えている。
焼結工程において、焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件に応じて調整する必要があるが、例えば1000℃〜1300℃で1〜10時間程度焼結処理を行う。焼結処理時の雰囲気は真空又は不活性ガス雰囲気(アルゴンガス雰囲気等)とすることが好ましい。
前記焼結処理後には、得られた焼結体に時効処理を施すことが好ましい。この時効処理は、得られる希土類磁石の保磁力Hcjを制御する上で重要な工程であり、例えば真空中又は不活性ガス雰囲気中で行う。時効処理としては、2段時効処理が好ましい。2段時効処理は、1段目の時効処理工程においては800℃前後の温度で1時間〜3時間保持し、2段目の時効処理工程においては600℃前後の温度で1時間〜3時間保持して行えばよい。600℃近傍の熱処理で保磁力Hcjが大きく増加するため、時効処理を1段で行う場合には、600℃近傍で時効処理を施すとよい。
以上により、希土類磁石(希土類焼結磁石)が作製されるが、前述の通り、本発明においては、成形中、もしくは成形直後の成形体に不活性ガスを吹き付けるだけで、効果的に成形体の発火を回避することが可能である。
次に、具体的な装置構成に基づいて本発明を説明する。図1(a)〜図1(c)は、成形後成形体を焼結室に収納するまでの概念図である。成形機1で成形された成形体2は搬送ロボット(AGV:Automated Guided Vehicle)3によって焼結室4に搬送される。
成形機1は、成形を行う成形部11と、成形された成形体2が並べられた搬送トレー13を搬送ロボット3へと移送する移送部12とから構成されている。本例においては、成形部11において、例えば図2に示すように、成形機1の金型1aの臼上面1bに向けて窒素ガスノズル1cにより窒素ガスを吹き付ける[図1(a)中、Aで示す。]。移送部12では、図1(a)に示すように、例えばベルトコンベア14により成形部11側に搬送トレー13が供給され、供給された搬送トレー13が所定の位置まで移動し、成形体2の搬送トレー13への載置(いわゆるコア積み)が行われる。搬送トレー13には成形体2を1個だけ載置しても良いが、生産効率の点から複数個載置することが好ましい。載置する成形体2の数が増せばそれだけ載置時間が長くなるので、その場合、成形体2の載置が終了した搬送トレー13に対して窒素ガスの吹き付けを行う[図1(a)中、Bで示す。]。図3は、成形体2の搬送トレー13への載置例を示すものであり、直方体形状の成形体2を3×3のマトリクス状に配列した例を示すものである。なお、窒素ガスの吹き付けは、前記図2に示すような成形部11における窒素ガス吹き付けと、図3に示すような搬送トレー13に対する窒素ガス吹き付けの両者を行ってもよいし、いずれか一方のみを行ってもよい。
成形体を搬送トレー13にコア積みした後、図1(b)に示すように、搬送トレー13を移動させ、例えばベルトコンベア14によって搬送ロボット3上へ排出する。なお、前記移送部12は、大気に晒された雰囲気であっても構わないが、酸素量が15体積%、好ましくは10体積%の低酸素濃度に制御された雰囲気中に設置されることにより、成形体の表面酸化による磁気特性の低下や発熱・発火の危険性を更に小さくできる。搬送ロボット3に排出された搬送トレー13上の成形体2は、この後、大気に晒された状態で搬送されても発火することは無い。すなわち、前記窒素ガス吹き付けは、酸化反応を抑制するという効果があり、発熱ピーク時間を遅くでき、これが前記発火の防止に繋がっている。最終的に搬送トレー13は焼結室4に運ばれる[図1(c)]。
また、前記成形体2の搬送に先立って、成形体2に窒素ガスを吹き付けることが好ましく、したがって、成形体2の搬送トレー13へのコア積み時に窒素ガスを吹き付けることが好ましい。成形体に窒素ガスを吹き付けることで、冷却効果を得ることができ、その後の発熱を抑えることが可能である。また、窒素ガスが表面に吸着、若しくは一部成形体表面と反応し、表面を改質して、後に大気に晒されたときの酸化を抑制している可能性も考えられる。更に、搬送トレー13への成形体のコア積みにおいて窒素ガスを吹き付けることで、この間の大気との接触を遮断する効果も有するため、さらに発熱を抑えることができる。
前記窒素ガスを吹き付けるためには、図4に示すように、成形体2がコア積みされる搬送トレー13の近傍に窒素ガスノズル15を設置すればよい。窒素ガスノズル15は、図5に示すように、先端が複数に分岐されていることが好ましく、各ノズル部15a〜15dから窒素ガスを吹き付けるようにすれば、コア積みされた成形体2に窒素ガスを吹き付けることが可能になる。このとき、窒素ガスノズル15をマトリクス状に配列された成形体間の間隙に向けてガスを吹き付けるように配置し、コア積みされた成形体2間、及び両端の成形体2の外側にガスが流れるようにすることにより、効率良く成形体を冷却できるだけではなく、成形体を大気から遮断する効率も良く、より効果的である。
あるいは、図6に示すように、成形部11とともに搬送トレー13へのコア積み部分を密閉空間17内に収容し、当該密閉空間17内を低酸素濃度とすることで、コア積み時に成形体が大気に晒されないようにすることも可能である。この場合、前記密閉空間17内の酸素濃度は15%以下とすればよい。
次に、本発明の具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
実施例1
希土類合金粉末の組成は、Nd30.2質量%、Dy1.4質量%、B1質量%、Cu0.1質量%、Al0.2質量%、Co0.5質量%、残部Feとした。希土類合金粉末の平均粒径は4.0μmである。また、希土類合金粉末の酸素含有量は4000ppm、炭素含有量は1000ppmである。ここで粒径はレーザー回折・散乱法による粒度分布計を用い測定し、また酸素含有量は不活性ガス搬送融解−赤外線吸収法を用いて測定した。この微粉砕粉末を用い、これを成形機で直方体形状35mm×20mm×45mmに成形して成形体を作製した。成形に際しては金型の臼上面、特にキャビティ上部に向かって窒素ガスを吹き付けた。窒素ガス吹き付け用のノズルは臼の斜め上方に配置し、2リットル/分の流量で流した。成形後、この成形体を、搬送トレー上に載置し、成形機から取り出して大気に晒した。成形体の搬送トレー13上への配列順序は図7に示す通りである。
搬送トレー13上に載置した各位置A〜Iの成形体について、表面温度の経時変化を計測した。1分間隔で成形を合計9回行い、成形体を9分かけて搬送トレーに載置した。また、成形体の間隔は10mm及び2mmである。成形体の温度計測検討は合計19回行い、成形体表面温度の経時変化と発火について評価した。結果を図8に示すが、大別して2パターンの温度挙動をとることが判明した。すなわち、発熱による温度上昇を起こすことなく、時間経過とともに単調に温度が低下していく場合と、発熱による温度上昇を起こした後、温度が低下していく場合とである。単調に温度が低下する場合は初期に載置した成形体(例えば成形体A)に見られ、温度上昇を伴う場合は中期から後期に載置した成形体に見られる。また搬送トレー中央部近傍(例えば成形体E)は温度上昇が大きくなっていた。しかし、いずれの場合でも成形体温度が60℃を超えること無く、発火には至らないことが判明した。なお、最初に成形した成形体を搬送トレーに載置した時間を0とした。したがって9個目の成形体が搬送トレーに載置された時間は8分後である。また、成形体の表面温度は光学式の表面温度計を用いて測定した。合計10開測定を行い、いずれの場合も上記とほぼ同様の結果が得られ、発火の危険性はないものと判断できた。
実施例2
成形体を搬送トレーに載置する際に、窒素ガスを吹き付けた以外は実施例1と同様にして成形体の温度の経時変化を測定した。図7のa、b、c、dの位置に図5のノズル15a〜15dが各々対応するように配置し、各ノズルから1リットル/分の流量にて窒素ガスを流した。窒素ガスは最後の成形体Iを載置するまで流し、載置後はガスを止め、大気に晒した。結果として、図9に示すように、実施例1と同様に大別して2つのパターンが得られた。実施例1と比較すると、各成形体の表面温度上昇は更に小さくなっており、発火の危険性はないと考えられる。すなわち、実施例1にて温度上昇が10℃以上と、最も大きな温度上昇を示した成形体Eでも実施例2では、温度上昇が5℃弱と小さくなっていた。なお本実施例も実施例1と同様、最初に成形した成形体を搬送トレーに載置した時間を0とした。また、実施例2も合計10回測定を行ったが、いずれも同様の結果が得られた。
(a)から(c)は本発明を適用した成形装置一例を模式的に示す図である。 成形機における窒素ガス吹き付けの様子を示す模式的な図である。 搬送トレーへの成形体のコア積み状態の一例を示す平面図である。 窒素ガスノズルの設置状態を模式的に示す図である。 窒素ガスノズルの形状例を示す図である。 移送部を備えた成形機の他の例を示す模式的な図である。 コア積みされた成形体の位置を示す図である。 実施例1における各位置の成形体の温度変化を示す特性図である。 実施例2における各位置の成形体の温度変化を示す特性図である。
符号の説明
1 成形機、2 成形体、3 搬送ロボット、4 焼結室、11 成形部、12 移送部、13 搬送トレー、14 ベルトコンベア、15 窒素ガスノズル、16 窒素配管、17 密閉空間

Claims (9)

  1. 希土類合金粉末を成形機で成形して成形体を形成し、これを焼結することで希土類磁石とする希土類磁石の製造方法であって、
    希土類合金粉末の成形体に対して不活性ガスを吹き付けることを特徴とする希土類磁石の製造方法。
  2. 成形時に前記成形体に不活性ガスを吹き付けることを特徴とする請求項1記載の希土類磁石の製造方法。
  3. 搬送トレーに設置された前記成形体に対して前記不活性ガスを吹き付けることを特徴とする請求項1または2記載の希土類磁石の製造方法。
  4. 前記不活性ガスが窒素ガスであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の希土類磁石の製造方法。
  5. 前記不活性ガスを吹き付けた後、成形体を大気中で搬送することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の希土類磁石の製造方法。
  6. 希土類合金粉末を成形して成形体を形成する成形機を備えた希土類磁石の製造装置において、前記成形機は、成形された成形体に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス吹き付けノズルを備えることを特徴とする希土類磁石の製造装置。
  7. 前記成形機は、成形体を並べる搬送トレーを供給し、成形体を並べた搬送トレーを排出する移送部を有し、
    前記移送部は酸素濃度が15体積%以下とされた空間内に設置されていることを特徴とする請求項6記載の希土類磁石の製造装置。
  8. 前記成形体が前記搬送トレー上にマトリクス状に並べられ、前記不活性ガス吹き付けノズルは、前記マトリクス状に配列された成形体間の間隙に向けて不活性ガスを吹き付けるように配置されていることを特徴とする請求項7記載の希土類磁石の製造装置。
  9. 前記不活性ガス吹き付けノズルは、前記成形機に設置された金型の臼上面に向けて不活性ガスが吹き付けられるように配置されていることを特徴とする請求項6または7記載の希土類磁石の製造装置。
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