JP2007260743A - レーザ溶接方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融部の断面形状を所望の断面形状に形成可能なレーザ溶接方法を提供する。
【解決手段】レーザ溶接方法では、重ね合わされた複数の被溶接部材1,3からなるワーク5に対してレーザビームLを相対的に走査すると共に、レーザビームLの照射位置Pへアシストガスを供給しながら、ワーク5に溶融部7を形成することで被溶接部材1,3同士を接合する。そして、レーザ溶接方法では、形成される溶融部7の断面形状が所望の断面形状になるように、ワーク5へのレーザビームLによる入熱量Qinを、ワーク5のワーク情報、溶融部7の設計用断面情報及び所望の断面形状に対応して予め設定されている形状パラメータαを利用して算出し、算出された入熱量Qinに応じてレーザビームLの出力E及び走査速度Vの少なくとも一方を決定する。また、上記形状パラメータαに基づいてアシストガスGのガス供給条件も決定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、重ね合わされた複数の被溶接部材をレーザビームを利用して溶接するレーザ溶接方法に関するものである。
レーザ溶接は、レーザビームを集光して溶接箇所に照射するため、いわば高エネルギー密度の熱源によって溶接することになる。そのため、高速で溶融幅の狭い溶接が可能となっており、2枚の金属板(被溶接部材)の接合などに利用されている。このようなレーザ溶接では、所定の溶接計画ライン(走査ライン)に沿ってレーザビームを走査することによって複数の被溶接部材を接合するが、レーザビームが照射されることで溶融・凝固した溶融部における走査ラインに略直交する断面の形状(以下、「溶融部の断面形状」という)が、被溶接部材が接合されてなる接合体の強度に影響する。そのため、所望の断面形状が得られる最適な溶接条件で溶接することが求められている。例えば、特許文献1に記載のレーザ溶接方法では、ワークとしての2枚のブランク材の突き合わせ部分をレーザ溶接する工程で、レーザビームが通過した直後の溶接部(溶融部)の凹凸を評価することで、溶融部の断面形状の評価としている。そして、その計測された溶融部の断面形状に基づいて溶接条件をフィードバック制御することでより最適な溶接条件で溶接を実施している。
特開2000−16768号公報
しかしながら、重ね合わされた複数の被溶接部材をレーザ溶接によって接合する場合、特許文献1のように溶融部表面の凹凸を評価しても、溶融部の断面形状の評価は困難である。また、特許文献1に記載の方法では、レーザビームが通過した後の溶融部の凹凸を計測して評価しているため、例えば、被溶接部材の材質や板厚が異なると、所望の断面形状を得ることができない場合がある。
そこで、本発明は、溶融部の断面形状を所望の断面形状に形成可能なレーザ溶接方法を提供することを目的とする。
本発明に係るレーザ溶接方法は、重ね合わされた複数の被溶接部材からなるワークに対してレーザビームを相対的に走査すると共に、レーザビームの照射位置へアシストガスを供給しながら、ワークに溶融部を形成することで被溶接部材同士を接合するレーザ溶接方法において、形成される溶融部の断面形状が所望の断面形状になるように、ワークへのレーザビームによる入熱量(Qin)を、ワークのワーク情報、溶融部の設計用断面情報及び所望の断面形状に対応して予め設定されている形状パラメータ(α)を利用して算出する熱量算出工程と、熱量算出工程で算出された入熱量(Qin)に応じてレーザビームの出力及び走査速度の少なくとも一方を決定するビーム照射条件決定工程と、形状パラメータ(α)に基づいてアシストガスのガス供給条件を決定するガス供給条件設定工程と、を備えることを特徴とする。
この方法では、形成する溶融部の断面形状を所望の断面形状とするための入熱量を算出し、算出された入熱量に基づいてレーザビームの走査速度及びレーザビームの出力の少なくとも一方を決定する。入熱量は、レーザビームの出力をレーザビームの走査速度で除したものに対応するため、レーザビームの走査速度及びレーザビームの出力の少なくとも一方を決定することでレーザビームの出力及び走査速度を設定できることになる。また、上記方法では、入熱量を算出する際に利用する形状パラメータ(α)に応じてアシストガスの供給条件を設定する。その結果、断面形状が所望の断面形状である溶融部を形成するために適したレーザビームの出力及び走査速度でワークにレーザビームを照射しながら形状パラメータ(α)に応じたガス供給条件でアシストガスをレーザビームの照射位置に供給してレーザ溶接を実施できることから、より確実に所望の断面形状の溶融部を形成することが可能である。
また、本発明に係るレーザ溶接方法が備える熱量算出工程は、ワークを構成する被溶接部材を溶融させて溶融部を形成するために要する溶融用熱量(Qmelt)を、ワーク情報及び設計用断面情報を利用して算出する溶融用熱量算出工程と、所望の断面形状に対応して予め設定されている形状パラメータ(α)としたとき、入熱量(Qin)を、
Figure 2007260743

によって算出する入熱量算出工程と、を備えることが好ましい。
所望の断面形状に対応して予め決定されている形状パラメータ(α)と、被溶接部材を溶融させて溶融部を形成するために要する溶融用熱量(Qmelt)とを利用して式(1)から入熱量(Qin)を算出しているので、所望の断面形状を得るための入熱量(Qin)をより正確に算出できる。そして、算出された入熱量(Qin)によってレーザビームの出力及び走査速度を設定可能であることから、溶融部の断面形状をより確実に所望の断面形状にすることが可能である。
また、本発明に係るレーザ溶接方法では、設計用断面情報は溶融部の断面の面積であり、ワーク情報は、ワークの比熱(S)、密度(M)及びワークの溶融に至るまでの温度に関する温度パラメータ(ΔT)を含んでいることが好適である。設計用断面情報及びワーク情報として、溶融部の断面の面積や、ワークの比熱(S)、密度(M)、温度パラメータ(ΔT)を利用することで入熱量(Qin)を確実に算出できる。
また、本発明に係るレーザ溶接方法では、設計用断面情報は、溶融部の断面での溶融部の目標溶融部幅(W)と、溶融部におけるレーザビームの照射方向の長さである目標溶融部深さ(D)とであり、ワーク情報は、ワークの比熱(S)、密度(M)及びワークの溶融に至るまでの温度に関する温度パラメータ(ΔT)を含んでいることが好ましい。設計用断面情報としての目標溶融部深さ(D)及び目標溶融部幅(W)や、ワーク情報としてのワークの比熱(S)、密度(M)及び温度パラメータ(ΔT)を利用することで入熱量(Qin)を確実に算出できる。
また、本発明に係るレーザ溶接方法では、設計用断面情報は、溶融部の断面での溶融部の目標溶融部幅(W)と、溶融部におけるレーザビームの照射方向の長さである目標溶融部深さ(D)とであり、ワーク情報は、ワークの比熱(S)、密度(M)及びワークの溶融に至るまでの温度に関する温度パラメータ(ΔT)を含んでおり、熱量算出工程では、溶融部の所望の断面形状に対応する形状パラメータをαとし、貫通型の溶融部の入熱量(Qin)をQ1in、目標溶融部深さ(D)をD1及び目標溶融部幅(W)をW1と表したとき、Q1inを、
Figure 2007260743

によって算出し、非貫通型の溶融部の入熱量(Qin)をQ2in、目標溶融部深さ(D)をD2及び目標溶融部幅(W)をW2と表したとき、Q2inを、
Figure 2007260743

によって算出することが好適である。
溶融部としては、例えば、ワークを貫通する貫通型のものと、ワークを貫通しない非貫通型のものが考えられる。上記のように貫通型の溶融部と非貫通型の溶融部に対して異なる式(2)及び式(3)を利用することによって入熱量Q1in及び入熱量Q2inを算出しているので、貫通型及び非貫通型の溶融部に対してより確実に所望の断面形状にすることが可能である。
また、本発明に係るレーザ溶接方法では、設計用断面情報は、溶融部の断面での溶融部の目標溶融部幅(W)と、溶融部におけるレーザビームの照射方向の長さである目標溶融部深さ(D)とであり、ワーク情報は、ワークの比熱(S)、密度(M)及びワークの溶融に至るまでの温度に関する温度パラメータ(ΔT)を含んでおり、溶融用熱量算出工程では、貫通型の溶融部の溶融用熱量(Qmelt)をQ1melt、目標溶融部深さ(D)をD1及び目標溶融部幅(W)をW1と表したとき、Q1meltを、
Figure 2007260743

ただし、
Figure 2007260743

によって算出し、非貫通型の溶融部の溶融用熱量(Qmelt)をQ2melt、目標溶融部深さ(D)をD2及び目標溶融部幅(W)をW2と表したとき、Q2meltを、
Figure 2007260743

ただし、
Figure 2007260743

によって算出することが好ましい。
前述したように、溶融部としては、例えば、ワークを貫通する貫通型のものと、ワークを貫通しない非貫通型のものが考えられる。上記のように貫通型の溶融部と非貫通型の溶融部に対して異なる式(4),(5)及び式(6),(7)を利用することによって溶融用熱量Q1melt及び溶融用熱量Q2meltを算出している。そして、算出された溶融用熱量Q1melt及び溶融用熱量Q2meltを利用して、入熱量Q1in及び入熱量Q2inを算出するため、貫通型及び非貫通型の溶融部に対してより確実に所望の断面形状にすることが可能である。
また、本発明に係るレーザ溶接方法では、ワークの比熱(S)は、ワークを構成する各被接合部材の比熱の平均値であり、ワークの密度(M)は、ワークを構成する各被接合部材の密度の平均値であり、ワークの温度パラメータΔTは、ワークを構成する各被接合部材が溶融に至るまでの温度に関する温度パラメータの平均値である、とすることが可能である。
更にまた、本発明に係るレーザ溶接方法におけるアシストガスは、第1のガスに第2のガスをx%(xは、0以上100未満の数)含むものであり、アシストガスの供給条件は、第1及び第2のガスの種類、アシストガスの流量及び上記xを含んでいるとすることが好ましい。
この場合、第1及び第2のガスの種類、アシストガスの流量、及び、第1のガスに対する第2のガスの濃度x(%)によってアシストガスの供給条件が制御されることになるので、溶融部の断面形状をより所望の断面形状にすることが可能である。
本発明に係るレーザ溶接方法では、所望の断面形状を有する溶融部を形成することができる。
以下、図面を参照して本発明に係るレーザ溶接方法の実施形態について説明する。
本実施形態のレーザ溶接方法は、図1に示すように、重ね合わされた2枚の金属板1,3をワーク5とし、金属板1,3同士を溶接する、いわゆる重ね溶接を実施するための方法である。金属板1,3は同種の材料から形成されている。ここで、「同種の材料」とは、例えば、ステンレス鋼におけるオーステナイト系、フェライト系等、また、アルミニウム合金における5000系、6000系、7000系等の各系でくくられる材料である。よって、同種の材料からなる金属板1,3としては、金属板1,3が何れもオーステナイト系ステンレス鋼から形成されている場合や、金属板1,3が何れもフェライト系ステンレス鋼から形成されている場合が例示される。
図1に示したレーザ溶接方法では、ワーク5に設定された仮想的な溶接計画ライン(走査ライン)Aに沿ってレーザビームLを、例えば、図1中の白抜き矢印B方向に走査することによって、ワーク5に溶融部7を形成して金属板1,3を溶接する。このように溶接を実施するときには、レーザビームLの照射位置PにアシストガスGを供給しておく。アシストガスGとしては、不活性ガスとしての第1のガス(例えば、He)G1に、第2のガスG2をx%(xは、0以上100未満の数)混合したものが例示される。第2のガスG2としては、活性ガス(例えば、OやCO)が好ましい。
本実施形態のレーザ溶接方法では、溶融部7の断面形状を所望の断面形状にするために、ワーク5への最適な入熱量Qin(J/m)を算出し、算出された入熱量Qinに応じてレーザビームLの照射条件及びアシストガスGの供給条件を設定することを一つの特徴としている。入熱量Qinに応じて設定されるレーザビームLの照射条件は、レーザビームLの出力E(W:ワット)及び走査速度V(m/min)の少なくとも一方である。また、アシストガスGの供給条件としては、第1及び第2のガスG1,G2の種類、第1のガスG1に対する第2のガスG2の濃度としての上記x及びアシストガスGの流量が例示される。
入熱量Qinの算出方法、並びに、レーザビームLの照射条件及びアシストガスGの供給条件の設定方法について説明する。以下の説明では、形成する溶融部7の目標溶融部幅W(m)及び目標溶融部深さD(m)を、形成する溶融部7の設計用断面情報とも称す。
図2に示すように、ワーク5を貫通する貫通型の溶融部7を形成する場合について説明する。なお、貫通型の溶融部7の場合の入熱量Qinを、後述する非貫通型の溶融部7の場合の入熱量と区別するためにQ1inとも表す。なお、図2は、溶接計画ラインAに略直交するワーク5の断面を示している。
先ず、金属板1,3を溶融させて溶融部7を形成するために要する熱量(以下、「溶融用熱量」と称す)Qmelt(J/m)を算出する。溶融用熱量Qmeltについても後述する非貫通型の溶融部7の場合の溶融用熱量Qmeltと区別するために、貫通型の溶融部7についての溶融用熱量QmeltをQ1meltとも表す。この溶融用熱量Q1meltを次式を利用して算出する。
Figure 2007260743
式(1)において、S(J/(kg・℃))はワーク5の比熱、ΔT(℃)は、金属板1,3から構成されるワーク5が溶融に至るまでの温度パラメータであり、ワーク5が溶融に至るまでの温度上昇分を表している。より具体的には、ワーク5の融点をT(℃)とし、潜熱をq(J/(kg・℃))とし、ワーク5のうち溶融部7を形成する領域において溶接計画ラインAに沿った単位長さ分の領域の質量をM(kg)としたとき、ΔTは、T+q/(S・M)で表され、いわゆる潜熱qを考慮したワーク5の溶融に至るまでの温度を表している。
上記比熱S及び温度パラメータΔTは、ワーク5によって決まるワーク情報である。ところで、ワーク5を構成する金属板1,3は、同種の金属から形成されていることから、金属板1,3の比熱はほぼ等しい。そのため、ワーク5の比熱Sは、例えば、金属板1及び金属板3の比熱の何れか一方としてもよいし、また、金属板1及び金属板3の比熱を平均する等の一定の演算を金属板1,3の比熱に対して実施することで算出したものとすることも可能である。ワーク5の温度パラメータΔTについても同様の考え方で、金属板1,3の温度パラメータΔTを利用して決めればよい。前述したように、ワーク5の温度パラメータΔTは、比熱S、融点T、潜熱q等を利用して算出可能であるため、ワーク情報が、ワーク5の融点T及び潜熱qを含んでいてもよい。
また、式(8)において、M1は式(9)によって算出される。
Figure 2007260743
式(9)におけるM(kg/m)はワーク5の密度であり、ワーク5の比熱Sを決定する場合と同様の考え方で決める。このMもワーク5によって決まるワーク情報の一つである。D1(m)は、貫通型の溶融部7の場合における目標溶融部深さDである。目標溶融部深さDは、レーザビームLの照射方向(図1中のワーク5の表面に略直交する方向)の溶融部7の長さであり、例えば、ワーク情報の一部を構成する金属板1の板厚d1(m)と金属板3の板厚d2(m)の和、すなわち、D1=d1+d2である。また、式(3)におけるW1(m)は形成する貫通型の溶融部7の断面における目標溶融部幅Wであり、例えば、図2に示したように、金属板1,3の境界部の位置での幅とする。
式(9)より、M1の単位はkg/mであり、M1は、いわばワーク5のうち溶融部7を形成する領域における溶接計画ラインAに沿った単位長さ当たりの質量に対応している。なお、式(9)では、溶融用熱量Q1meltを算出するための溶融部7の設計用の断面形状は略長方形と近似している。式(9)で示したM1を利用した場合、温度パラメータΔTを算出する際のMは、溶接計画ラインAに沿った単位長さをtとしてt・M1と表される。
次に、式(9)で算出された溶融用熱量Q1meltから式(10)を利用して入熱量Q1inを算出する。
Figure 2007260743
式(10)に示したαは、形成される溶融部7の断面形状を所望の断面形状にするための形状パラメータである。この形状パラメータαは、種々のガス供給条件及びαの値によって予め実施された実験によって決められており、各実験結果としての溶融部7の断面形状に対応している。よって、式(10)を利用して入熱量Q1inを算出するための形状パラメータαとしては、予め実施された上記各実験結果の中から所望の断面形状の溶融部7が形成されているときのものを選択すればよい。そして、前述したように、形状パラメータαを規定するための各実験ではガス供給条件もパラメータとなっているので、形状パラメータαを選択することによって、所望の断面形状を得るためのガス供給条件が決定されることにもなる。
また、入熱量Q1inは、レーザビームLの出力EをレーザビームLの走査速度Vで除した値に対応していることから、本実施形態のレーザ溶接方法では、算出した入熱量Q1inを利用して、レーザビームLの出力E及びレーザビームLの走査速度Vの少なくとも一方を決定する。決定方法としては、例えば、レーザビームLの出力E及び走査速度Vの何れか一方を予め設定して、入熱量Q1inから他方を決定してもよいし、入熱量Q1inになるように、出力E及び走査速度Vの組み合わせを決定してもよい。
次に、図3に示すように、ワーク5を貫通していない非貫通型の溶融部7を形成する場合について、貫通型の場合との相違点を中心にして説明する。非貫通型の溶融部7を形成する場合の入熱量Qinを、貫通型の場合と区別するためにQ2inとも表す。なお、図3は、溶接計画ラインAに略直交するワーク5の断面を示している。
この場合も、非貫通型の溶融部7を形成する場合の溶融用熱量Qmeltとしての溶融用熱量Q2meltを次式を利用して算出する。
Figure 2007260743

ただし、
Figure 2007260743

である。なお、式(12)では、溶融用熱量Q2meltを算出するための溶融部7の設計用の断面形状は略三角形と近似している。また、式(12)で示したM2を利用した場合、溶融部7が非貫通型での温度パラメータΔTを算出する際のMは、溶接計画ラインAに沿った単位長さをtとしてt・M2と表される。
式(12)におけるD2(m)は、非貫通型の溶融部7の場合の目標溶融部深さDに対応する。そして、形成する溶融部7のうち金属板3内の長さであり、金属板3における金属板1側の面3aから溶融部7の先端7aまでの長さをd3(m)としたとき、例えば、D2=d1+d3である。また、式(12)におけるW2は非貫通型の溶融部7の場合の目標溶融部幅Wであり、貫通型の場合と同様に、例えば金属板1,3の境界部の位置での幅である。
そして、入熱量Q2inを式(13)によって算出する。
Figure 2007260743

式(13)のαは、貫通型の溶融部7の場合と同様の考え方、すなわち、予め種々のガス供給条件とαとによって実施された各実験結果に対応して決められている形状パラメータである。また、算出した入熱量Q2inからレーザビームLの出力E及び走査速度Vを決定する方法は、貫通型の溶融部7の場合と同様である。更に、形状パラメータαが選択されることで、アシストガスGのガス供給条件が決定されることも貫通型の溶融部7の場合と同様である。
図1に示すレーザ溶接方法では、上記のように、貫通型及び非貫通型の溶融部7に対して設定されるレーザビームLの出力E及び走査速度Vを利用してレーザビームLを溶接線計画ラインAに沿って照射しながら、形状パラメータαを選択することで決定されるガス供給条件によってアシストガスGをレーザビームLの照射位置Pに供給して溶融部7を形成する。この場合、溶融部7の断面形状が、形状パラメータαに対応して決定される断面形状になるように入熱量Qinを算出し、その入熱量Qinに基づいて、レーザビームLの照射条件(出力Eや走査速度V)及びガス供給条件を決定しているので、溶融部7の断面形状をより確実に所望の断面形状にすることができる。
また、入熱量Qin及び溶融用熱量Qmeltを算出する際、形成する溶融部7が貫通型であるか非貫通型であるかに応じて、入熱量Qin及び溶融用熱量Qmelt算出用の式をそれぞれに適したものを利用しているため、より一層所望の断面形状の溶融部7を形成することができるようになっている。例えば、式(9)と式(12)とを比較すると、式(12)では、式(9)と異なり、目標溶融部幅W(W2)と目標溶融部深さD(D2)との積を2で除している。これは、前述したように、貫通型の溶融部7では、設計用の断面形状を長方形と近似し、非貫通型の溶融部7では設計用の断面形状を三角形で近似していることによるものである。このように溶融用熱量Qmeltを算出する段階で、貫通型及び非貫通型の形状を反映させるため、例えば、形状パラメータαのみで溶融部7の断面形状を制御する場合よりも溶融部7の断面形状を所望の断面形状にすることができるようになっている。
また、形状パラメータαの選択によりガス供給条件の変更により入熱量を変えることができるので、レーザビームの走査速度に起因する位置決めなどのプログラミング変更を必要とせずに断面形状を制御できる。
以上説明したレーザ溶接方法は、図4に示したレーザ溶接装置Sで好適に実施される。
レーザ溶接装置Sは、ワーク5としての金属板1,3を載置するための支持台9と、ワーク5に照射するレーザビームLを出力するレーザヘッド11とを備えている。レーザヘッド11は、レーザビームLを連続的に出力可能なレーザ発振部11Aと、レーザ発振部11Aの光軸C上に配置された集光レンズ11Bとを有する。レーザ発振部11Aは、レーザ溶接装置Sが備える制御部17のレーザ発振制御部17Aによって制御されており、レーザ発振制御部17Aからの制御信号によって指定された出力でレーザビームLを連続的に出力する。このレーザ発振部11Aから出力されたレーザビームLは、集光レンズ11Bによって集光されて、光軸C方向をレーザビームLの照射方向としてワーク5に照射されることになる。
レーザヘッド11は、アーム部19を介してマニピュレータ21に接続されている。マニピュレータ21は、制御部17の照射位置制御部17Bによって制御され、レーザヘッド11を金属板1から一定距離離して配置すると共に、アーム部19を駆動してレーザヘッド11をワーク5に対して相対的に移動させる。具体的には、マニピュレータ21は、照射位置制御部17Bからの制御信号に基づいてレーザビームLが溶接計画ラインAに沿って移動するように、図4における白抜き矢印Bで示す方向にレーザヘッド11を移動させる。これにより、レーザビームLが溶接計画ラインAに沿って走査されることになる。なお、図4における白抜き矢印Bで示す方向は、図1における白抜き矢印Bで示す方向に対応している。
また、レーザ溶接装置Sは、レーザビームLの照射位置PにアシストガスGを供給するガス供給手段23を有する。ガス供給手段23は、レーザヘッド11に取り付けられておりアシストガスGをレーザビームLの照射位置Pに噴射するガス供給ノズル23Aと、ガス供給ノズル23Aとガス導入パイプ23Bで接続されており、ガス供給ノズル23AにアシストガスGを供給するガス供給部23Cとを有している。
ガス供給部23Cは、制御部17のガス供給条件制御部17Cによって制御され、ガス供給条件制御部17Cによって指定されるガス供給条件に基づいたアシストガスGをガス供給ノズル23Aに供給する。よって、ガス供給条件制御部17Cから形状パラメータαに対応したガス供給条件でアシストガスGを供給する旨の制御信号をガス供給部23Cに送信することで、溶融部7の断面形状を所望の断面形状に制御するためのアシストガスGがレーザビームLの照射位置Pに供給されることになる。
なお、形状パラメータαに対応したガス供給条件のうち、アシストガスGの流量は、例えば、ガス供給ノズル23Aによって調整することも可能であるし、ガス導入パイプ23B上にポンプ等の流量調整手段を設け、流量調整手段によって流量を調整してもよい。
また、レーザ溶接装置Sが備える制御部17は、演算部17Dと記憶部17Eとを更に有する。演算部17Dは、式(8)〜式(13)を利用して、溶融用熱量Qmelt及び入熱量Qinを算出する。また、演算部17Dは、算出された入熱量Qinに基づいて、レーザビームLの出力E及び走査速度Vの少なくとも一方を決定する。記憶部17Eは、演算部17Dによって入熱量Qinを算出するための演算を実行するために必要な基本情報(ワーク情報、設計用断面情報)や、形状パラメータαとガス供給条件との対応関係を示すデータベース等を格納する。
レーザ溶接装置Sは、制御部17との間でデータの送受信可能に接続された操作部25を更に有する。操作部25は、例えば、液晶タッチパネルであり、レーザ溶接装置Sを利用して溶接を実施するために必要な上記基本情報等を制御部17に入力する入力部としての機能を有すると共に、制御部17から出力される各種データ(情報)を表示する表示部としての機能を有する。制御部17から出力されるデータとしては、例えば、演算部17Dで算出された入熱量Qinや、溶融用熱量Qmeltなどである。
次に、レーザ溶接装置Sを利用した本実施形態のレーザ溶接方法について図5を利用して詳細に説明する。図5は、レーザ溶接方法を示すフローチャートである。
以下の説明では、金属板1,3は何れもJISで規定されるステンレス鋼板SUS304とする。このように金属板1,3は同じステンレス鋼板SUS304であるため、ワーク情報としての比熱S、温度パラメータΔT及び密度Mは金属板1(又は金属板3)の比熱S、温度パラメータΔT及び密度Mとする。具体的には、ステンレス鋼板SUS304の場合、比熱Sは0.47J/(kg・℃)であり、温度パラメータΔTは2000℃であり、密度は7.93g/cmである。また、溶融部7は図3に示した非貫通型とする。
更に、実現すべき所望の断面形状は、図6に示すように、溶融部深さD〜D及び溶融部幅W〜Wの異なる3つの断面形状のうちの何れかとする。図6(a)〜(c)に示した断面形状は、主に溶融部深さD〜Dの違いに着目したものであり、図6(a)に示した断面形状は、溶融部深さDが、図6(b)及び図6(c)に示す断面形状での溶融部深さD,Dより深い形状である。また、図6(c)に示した断面形状は、溶融部深さDが溶融部深さDより浅い形状である。そして、図6(b)に示した断面形状は、図6(a)及び図6(c)に示した断面形状の中間の形状であって、図6(b)に示した断面形状での溶融部深さDが図6(a)及び図6(c)に示した断面形状の溶融部深さD,Dの中間になっている。
ここでは、図6(a)の断面形状に対応する形状パラメータαは3とし、図6(b)の断面形状に対応する形状パラメータαを4とし、図6(c)の断面形状に対応する形状パラメータαを5とする。
また、形状パラメータαの上記3つの値とガス供給条件との対応関係を表1に示す。ここでは、第1のガスG1は共通として、例えばHeとする。レーザ溶接装置Sによってレーザ溶接を実施する場合には、表1に示した対応関係をデータベースとして記憶部17Eに予め格納しておく。
Figure 2007260743
レーザ溶接装置Sによってレーザ溶接を実施する場合には、図5に示すように、ステップS10において、操作部25を介して制御部17に基本情報を入力する。入力する基本情報としては、例えば、金属板1,3の材質、設計用断面情報としての目標溶融部深さD2及び目標溶融部幅W2、ワーク情報としてのワーク5の比熱S、密度M、温度パラメータΔT、レーザビームLの出力E並びに形状パラメータα(すなわち、3、4、5の何れかの値)である。また、操作部25を介して形成する溶融部7が非貫通型である旨も基本情報として入力する。制御部17は、例えば、入力された上記基本情報を記憶部17Eに格納する。
なお、ワーク情報として目標溶融部深さD2を入力するとしたが、操作者が予め目標溶融部深さD2を決定していれば、目標溶融部深さD2の代わりに、ワーク情報としての金属板1の板厚d1と、D2―d1で決まるd3を入力してもよい。また、温度パラメータΔTを入力する代わりに、融点Tや潜熱q等の温度パラメータΔTを算出するために必要なワーク5の物性値(比熱S、融点T、潜熱q)を入力してもよい。この場合には、演算部17Dが、単位長さtを1として、ΔTをT+q/(S・D2・W2/2)から算出する。
基本情報が入力されると、ステップS11において、演算部17Dは、ステップS10で入力された基本情報と式(12)及び式(13)とを利用して溶融用熱量Q2meltを算出した後、ステップS12において、ステップS10で入力された形状パラメータαと式(13)とを利用して入熱量Q2inを算出する。次に、ステップS13において、演算部17Dは、記憶部17Eに格納されているレーザビームLの出力Eと入熱量Q2inとからレーザビームLの走査速度Vを算出する。また、ステップS14において、ガス供給条件制御部17Cは、記憶部17Eに格納されているデータベースから指定された形状パラメータαに対応するガス供給条件を選択する。
そして、ステップS15において、演算部17Dで算出されたレーザビームLの走査速度V、指定されたレーザビームの出力E及び選択されたガス供給条件に基づいて、レーザ溶接を実施する。すなわち、レーザ発振制御部17Aは、記憶部17Eに格納されている指定されたレーザビーム出力Eでレーザ発振部11AからレーザビームLを連続的に出力せしめる。また、照射位置制御部17Bは、算出された走査速度VでレーザビームLが溶接計画ラインAに沿って移動するようにマニピュレータ21を制御してレーザヘッド11を、所定方向に移動させる。更に、ガス供給条件制御部17Cは、ガス供給部23Cを制御して、選択されたガス供給条件に基づいてガス供給部23Cからガス供給ノズル23AにアシストガスGを所定の流量で供給する。
これにより、選択されたガス供給条件に基づいてアシストガスGがレーザビームLの照射位置Pに供給されながら、レーザビームLが演算部17Dで算出された入熱量Q2inによって決まる走査速度で溶接計画ラインAに沿って走査される。その結果として、所望の断面形状を有する溶融部7が形成される。
例えば、形状パラメータαとして3を指定した場合、図6(a)に示した断面形状を有する溶融部7を形成できる。この場合、溶融部深さ、すなわち、溶け込み量がより深い形状であるので、金属板1,3間に多少のギャップがあっても金属板1,3同士を接合可能である。そのため、例えば、金属板1,3の一方がR曲げされている場合の接合に好ましい形状である。より具体的には、図6(a)に示した断面形状は、金属板1,3の一方を鉄道車両(拡幅車両)のRを有する腰板としたときに、その腰板の部分への補強材としての他の金属板1,3を接合する場合に好適な形状となっている。また、図6(a)に示した断面形状の場合、レーザ溶接におけるエネルギー効率が向上する傾向にあるので、結果として金属板1,3同士を接合してなる接合体の製造コストの低減を図ることが可能となっている。
また、形状パラメータαとして5を指定した場合、図6(c)に示した溶融部7の断面形状を有する溶融部7を形成できる。この形状の場合、支持台9にワーク5が載置された際に、下板となる金属板3への入熱量を少なくできる。また、ひずみ量を図6(a)及び図6(b)に示す断面形状より少なくでき、また、ひずみが生じる場合、そのひずみの形状がR形状になる傾向にある。図6(c)に示した溶融部7の断面形状を有する溶融部7は、金属板1,3の一方を外板(又は骨部材)とし、金属板1,3の他方を、外板(又は骨部材)に取りつける機器のブラケットとしたとき、その外板(又は骨部材)とブラケットとの結合等に好適な形状となっている。
更に、形状パラメータαとして4を指定した場合、図6(b)に示した溶融部7の断面形状を有する溶融部7を形成できる。この形状は、図6(a)と図6(c)に示した断面形状の中間の形状に対応するものであり、エネルギ効率とひずみ量のバランスが良い形状である。そして、この形状は、例えば、金属板1,3の一方を鉄道車両のRのない外板とし、金属板1,3の他方を、そのRのない外板の補強材としたとき、外板と補強材との接合に好適に利用できる形状となっている。
以上説明したように、形状パラメータαを利用して式(13)によって入熱量Q2inを算出して、レーザ照射条件及びガス供給条件を設定することで、前述したように、溶融部7の断面形状をより確実に所望の断面形状にすることができる。その結果、金属板1,3を溶接してなる接合体の適用箇所に応じてより適切な断面形状を有する溶融部7を形成することができる。
なお、レーザ溶接装置Sを利用したレーザ溶接の実施方法の説明では、形成する溶融部7を非貫通型としたが、貫通型に対しても同様の方法で、溶融部7の断面形状を所望の断面形状にすることが可能である。貫通型の場合には、ステップS10において入力する際に、基本情報として貫通型である旨を入力し、上記説明での式(11)〜式(13)の代わりに、式(8)〜式(10)を利用すればよい。
また、アシストガスGに含まれる第1のガスG1は、形状パラメータαに対して共通としたが、形状パラメータα毎に第1及び第2のガスG1,G2の種類を変えてもよい。例えば、形状パラメータαが1の場合に、アシストガスGは、第1のガスG1をHeのみからなるとし、形状パラメータαが5の場合に、第1のガスG1をArとし、第2のガスG2をCOとすることもできる。
以上、本発明のレーザ溶接方法の実施形態について説明したが、本発明のレーザ溶接方法は、上記実施形態に限定されない。形状パラメータαは、図5に示したフローチャートを利用したレーザ溶接方法の説明では、3,4,5の何れかの値としたが、接合すべき被溶接部材1,3に対して種々の形状パラメータα及びガス供給条件によって予め実施した実験結果に対応したものであればよい。また、上記実施形態では、レーザビームLの出力Eを予め制御部17に入力しているが、レーザビームLの走査速度Vを予め入力しておいてもよい。この場合には、算出されたQinに基づいてレーザビームLの出力が決定されることになる。更に、図5に示したフローチャートでは、便宜上、ガス供給条件を決定する工程をステップS14とし、ステップS13の後に実行されるように表されているが、形状パラメータαを指定する段階で、ガス供給条件制御部17Cが指定された形状パラメータαに対応するガス供給条件を選択すればよいので、ステップS15の前であれば特に限定されない。
また、被溶接部材1,3は2枚に限定されず3枚以上であってもよい。被溶接部材が3枚以上の場合は、目標溶融部幅Wは、例えば、図4に示した支持台9上に直接接するように置かれた被溶接部材とその被溶接部材に当接するように設けられる被溶接部材との境界部の幅としてもよいし、3枚以上の被溶接部材のうち隣接する被溶接部材の境界部における幅の平均値としてもよい。更に、上記実施形態では、先ず、溶融用熱量Qmeltを算出した後に、入熱量Qinを算出しているが、例えば、式(8),(9)を式(10)に代入することで、貫通型の溶融部7の入熱量Q1inを、
Figure 2007260743

によって算出し、式(11),(12)を式(13)に代入することで、非貫通型の溶融部7の入熱量Q2inを、
Figure 2007260743

によって算出してもよい。
また、非貫通型の溶融部7を形成する際に利用する式(12)では、溶融部7の形状を三角形で近似しているが、三角形に限定されず、長方形でもよいし、五角形でもよい。更に、設計用断面情報は、目標溶融部幅W及び目標溶融部深さDとしたが、形成する溶融部7の断面の面積Aとすることもできる。この場合、式(9)及び式(14)では、D1とW1の積を面積Aで置き換えらればよい、また、式(12)及び式(15)では、(D2・W2)/2を面積Aで置き換えればよい。
更にワーク情報として、ワーク5の比熱S、密度M及び温度パラメータΔTとしたが、前述したように、ワーク5の比熱S、密度M及び温度パラメータΔTは、ワーク5を構成する複数の被溶接部材の対応する物性値によって決まるので、ワーク情報としては、ワーク5を構成する複数の被溶接部材の比熱S、密度M及び温度パラメータΔTとすることも可能である。また、ワーク5を構成する被溶接部材1,3の材質は金属に限定されず、ポリプロピレン系等の樹脂材料のものでもよい。
更に、レーザ溶接装置Sを利用してレーザ溶接を実施する方法の説明では、ワーク5に対してレーザヘッド11を移動させたが、レーザビームLがワーク5に対して相対的に走査されていればよいため、例えば、レーザヘッド11(又はレーザビームL)に対して支持台9を移動させることでワーク5を移動させてもよい。
また、形状パラメータαに対応するガス供給条件は、第1及び第2のガスG1,G2の種類、第1のガスG1に対する第2のガスG2の濃度、アシストガスGの流量の組み合わせとしたがこれに限定されず、これらのうちの少なくとも一つの条件を変えるだけでもよいし、他の条件を加えることも可能である。例えば、ガス供給条件として、光軸Cに対するアシストガスGの供給方向、より具体的には、光軸Cとガス供給ノズル23Aの軸線25(図1及び図4参照)との間のなす角度を条件として更に加えることも可能であるし、ガス供給ノズル23Aの軸線25と光軸C(レーザビームLの照射方向)との間のなす角度と、上記第1及び第2のガスG1,G2の種類、第1のガスG1に対する第2のガスG2の濃度、アシストガスGの流量のうち少なくとも一つとを組み合わせることも可能である。その他、ガス供給条件としては、ガス供給ノズル23Aの直径やガス供給ノズル23Aの先端部の形状等が考えられる。
また、アシストガスGは、第1のガスG1に第2のガスG2がx%(xは、0以上100未満の数)含まれているものとしたがこれに限定されない。アシストガスGは、3種類以上のガスが混合されたものとすることも可能である。例えば、アシストガスGは、第1及び第2のガスG1,G2に加えて第3のガスを更に含んだものとすることができる。この場合には、種々の第1〜第3のガスの種類、濃度、アシストガスGの流量等によって予め金属板1,3を溶接する実験を実施し、前述したように、取得された断面形状と形状パラメータαとを対応させておき、形状パラメータαを決定することでガス供給条件を決定する。
更にまた、図4に示したレーザ溶接装置Sを利用してレーザ溶接を実施する場合、レーザヘッド11からレーザビームLを連続的に出力してワーク5に照射するとしたが、本発明に係るレーザ溶接方法は、レーザビームLをパルス的にワーク5に照射する場合にも適用可能である。レーザビームLをパルス的にワーク5に照射する場合には、例えば、レーザヘッド11が有するレーザ発振部11Aとして、レーザビームLをパルス的に出力可能なレーザ発振部を利用すればよい。
また、目標溶融部幅Wとして金属板1,3の境界部の位置での幅を例示したがこれに限定されずに、例えば、目標溶融部幅Wは、形成する溶融部7のうち金属板1のレーザヘッド11側の面の位置での幅とすることも可能である。
本発明に係るレーザ溶接方法の一実施形態の一工程を示す工程図である。 貫通型の溶融部の断面形状の模式図である。 非貫通型の溶融部の断面形状の模式図である。 本発明に係るレーザ溶接方法の一実施形態を実施するためのレーザ溶接装置の構成を概略的に示す構成図である。 本発明に係るレーザ溶接方法の一実施形態のフローチャートである。 形状パラメータに対応する断面形状の模式図である。
符号の説明
1,3…金属板(被溶接部材)、5…ワーク、7…溶融部、C…光軸(レーザビームの照射方向)、D,D1,D2…目標溶融部深さ、W,W1,W2…目標溶融部幅、G…アシストガス、G1…第1のガス、G2…第2のガス、L…レーザビーム、P…照射位置。

Claims (8)

  1. 重ね合わされた複数の被溶接部材からなるワークに対してレーザビームを相対的に走査すると共に、前記レーザビームの照射位置へアシストガスを供給しながら、前記ワークに溶融部を形成することで前記被溶接部材同士を接合するレーザ溶接方法において、
    形成される前記溶融部の断面形状が所望の断面形状になるように、前記ワークへの前記レーザビームによる入熱量(Qin)を、前記ワークのワーク情報、前記溶融部の設計用断面情報及び前記所望の断面形状に対応して予め設定されている形状パラメータ(α)を利用して算出する熱量算出工程と、
    前記熱量算出工程で算出された前記入熱量(Qin)に応じて前記レーザビームの出力及び走査速度の少なくとも一方を決定するビーム照射条件決定工程と、
    前記形状パラメータ(α)に基づいて前記アシストガスのガス供給条件を決定するガス供給条件設定工程と、
    を備えることを特徴とする記載のレーザ溶接方法。
  2. 前記熱量算出工程は、
    前記ワークを構成する前記被溶接部材を溶融させて前記溶融部を形成するために要する溶融用熱量(Qmelt)を、前記ワーク情報及び前記設計用断面情報を利用して算出する溶融用熱量算出工程と、
    前記入熱量(Qin)を、
    Figure 2007260743

    によって算出する入熱量算出工程と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  3. 前記設計用断面情報は前記溶融部の断面の面積であり、
    前記ワーク情報は、前記ワークの比熱(S)、密度(M)及び前記ワークの溶融に至るまでの温度に関する温度パラメータ(ΔT)を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ溶接方法。
  4. 前記設計用断面情報は、前記溶融部の断面での前記溶融部の目標溶融部幅(W)と、前記溶融部における前記レーザビームの照射方向の長さである目標溶融部深さ(D)とであり、
    前記ワーク情報は、前記ワークの比熱(S)、密度(M)及び前記ワークの溶融に至るまでの温度に関する温度パラメータ(ΔT)を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ溶接方法。
  5. 前記設計用断面情報は、前記溶融部の断面での前記溶融部の目標溶融部幅(W)と、前記溶融部における前記レーザビームの照射方向の長さである目標溶融部深さ(D)とであり、
    前記ワーク情報は、前記ワークの比熱(S)、密度(M)及び前記ワークの溶融に至るまでの温度に関する温度パラメータ(ΔT)を含んでおり、
    前記熱量算出工程では、
    貫通型の前記溶融部の前記入熱量(Qin)をQ1in、前記目標溶融部深さ(D)をD1及び前記目標溶融部幅(W)をW1と表したとき、Q1inを、
    Figure 2007260743

    によって算出し、
    非貫通型の前記溶融部の前記入熱量(Qin)をQ2in、前記目標溶融部深さ(D)をD2及び前記目標溶融部幅(W)をW2と表したとき、Q2inを、
    Figure 2007260743

    によって算出することを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  6. 前記設計用断面情報は、前記溶融部の断面での前記溶融部の目標溶融部幅(W)と、前記溶融部における前記レーザビームの照射方向の長さである目標溶融部深さ(D)とであり、
    前記ワーク情報は、前記ワークの比熱(S)、密度(M)及び前記ワークの溶融に至るまでの温度に関する温度パラメータ(ΔT)を含んでおり、
    前記溶融用熱量算出工程では、
    貫通型の前記溶融部の前記溶融用熱量(Qmelt)をQ1melt、前記目標溶融部深さ(D)をD1及び前記目標溶融部幅(W)をW1と表したとき、Q1meltを、
    Figure 2007260743

    ただし、
    Figure 2007260743

    によって算出し、
    非貫通型の前記溶融部の前記溶融用熱量(Qmelt)をQ2melt、前記目標溶融部深さ(D)をD2及び前記目標溶融部幅(W)をW2と表したとき、Q2meltを、
    Figure 2007260743

    ただし、
    Figure 2007260743

    によって算出することを特徴とする請求項2に記載のレーザ溶接方法。
  7. 前記ワークの比熱(S)は、前記ワークを構成する前記各被接合部材の比熱の平均値であり、前記ワークの密度(M)は、前記ワークを構成する前記各被接合部材の密度の平均値であり、前記ワークの前記温度パラメータΔTは、前記ワークを構成する前記各被接合部材が溶融に至るまでの温度に関する温度パラメータの平均値であることを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載のレーザ溶接方法。
  8. 前記アシストガスは、第1のガスに第2のガスをx%(xは、0以上100未満の数)含むものであり、
    前記アシストガスの供給条件は、前記第1及び第2のガスの種類、前記アシストガスの流量及び前記xを含んでいることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のレーザ溶接方法。

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