JP2015024440A - 補修用レーザ溶接装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接姿勢が例え下向きであったとしても、溶け落ちを生じさせることなく簡単且つ確実に亀裂を消去することが可能な補修用レーザ溶接装置を提供する。【解決手段】レーザ発振器2と、レーザ発振器2からのレーザ光Lを集光して補修箇所に照射するレーザヘッド4と、レーザヘッド4の駆動部6と、制御部7と、形状指標を有するデータベース8を備え、データベース8には、形状指標に基づいて良好と判定される場合の補修条件に対応する溶接施工条件としての溶接速度,レーザ出力,スポット径及びシールドガスの影響がデータとして蓄積され、鋼材Wの亀裂Waを補修するにあたって補修条件が入力されることで、データベース8に蓄積した溶接施工条件の中から、補修条件に対応する最適な溶接施工条件としての溶接速度,レーザ出力及びスポット径をシールドガスの影響を加味したうえで選定して制御部7に出力する。【選択図】図1

Description

本発明は、橋梁や建築物等の既設構造物の構造部材に生じた亀裂の補修に用いるのに好適な補修用レーザ溶接装置に関するものである。
従来、橋梁や建築物等の既設構造物の鋼材(構造部材)に、経年劣化や金属疲労によって亀裂が発生した場合には、例えば、レーザ光を用いた溶接補修装置を採用して、亀裂が生じている溶接補修箇所にレーザ光を照射することで、この溶接補修箇所を溶融させて亀裂を消去するようにしていた(特許文献1参照)。
特開平03−169494号公報
上記した構造部材に生じた亀裂の補修には、まず第1に亀裂を残さないことが要求される。したがって、上記した溶接補修装置によって亀裂をなくす場合には、溶接補修箇所への入熱量を多目に設定した溶接が行われるが、レーザ光を下方に向けて照射する、いわゆる下向き姿勢での溶接では、溶接補修箇所への入熱量が多すぎると溶け落ちが生じてしまう。
つまり、上記した従来のレーザ光を用いた溶接補修装置では、下向き姿勢での溶接の場合において、亀裂を残さず且つ溶け落ちを生じさせずに溶接を行うことが容易ではないという問題があり、この問題を解決することが従来の課題となっている。
本発明は、上記したような従来の課題を解決するためになされたもので、溶接姿勢が例え下向きであったとしても、溶け落ちを生じさせることなく簡単且つ確実に亀裂を消去することが可能な補修用レーザ溶接装置を提供することを目的としている。
上記した目的を達成するために成された本発明の請求項1に係る発明は、既設構造物の構造部材に生じた亀裂を溶接により溶融させて消去する補修用レーザ溶接装置であって、レーザ発振器と、前記レーザ発振器から供給されるレーザ光を集光して前記亀裂が生じている補修箇所に照射するレーザヘッドと、前記レーザヘッドを前記補修箇所に沿って移動させる駆動部と、溶接速度,レーザ出力及びスポット径をコントロールする制御部と、溶接施工後の好ましい断面形状における溶け込み深さを前記構造部材の厚みで除して表される形状指標を有するデータベースを備え、前記データベースには、前記形状指標に基づいて良好と判定される場合の補修条件である下向き姿勢や横向き姿勢等の溶接の姿勢,前記構造部材の厚み及び前記構造部材の材質と、この補修条件に対応する溶接施工条件としての溶接速度,レーザ出力,スポット径及びシールドガスの影響がデータとして蓄積され、前記データベースは、前記構造部材に生じている亀裂を補修するにあたって前記補修条件が入力されることで、該データベースに蓄積した前記溶接施工条件の中から、入力された前記補修条件に対応する最適な溶接施工条件としての溶接速度,レーザ出力及びスポット径を前記シールドガスの影響を加味したうえで選定して前記制御部に出力する構成としたことを特徴としており、この構成の補修用レーザ溶接装置を前述の課題を解決するための手段としている。
ここで、溶接施工後の好ましい断面形状における溶け込み深さHWLを構造部材の厚みtで除して表される形状指標HWL/tは、1.0となることが最も望ましいが、図2(a)に示すような亀裂残りの要因となる溶け込み不足を回避するためには、図2(b)に示すように、形状指標HWL/tを1.0以上に設定することが望ましく、溶け落ちのことを考慮して、形状指標HWL/tを1.1程度とすることが望ましい。
また、本発明の請求項2に係る補修用レーザ溶接装置において、前記データベースは、前記補修箇所への入熱量をQ、レーザスポット面積をA、スポット径をφ、構造部材の厚みをtとした場合、適正な溶接施工条件としての溶接速度,レーザ出力及びスポット径を推定する回帰式Q/A=f(φ/t)を有している構成としている。この際、スポット径φは、亀裂の幅よりも大きく設定することが望ましい。
さらに、溶接施工条件によっては、補修箇所の吸収エネルギ(シャルピー衝撃試験における試験片の破壊に要するエネルギ)が低下して、すなわち、補修箇所のじん性が低下して、要求値を満たせない場合がある。
そこで、補修箇所への入熱量が低下すると吸収エネルギが上昇する関係に基づいて、補修箇所の冷却速度が適正となるように溶接施工条件を決定する。具体的には、補修箇所に入熱制限を与えるべく、溶接速度,レーザ出力及びスポット径を決定することが望ましく、本発明の請求項3に係る補修用レーザ溶接装置において、前記データベースは、前記構造部材に生じている亀裂を補修するにあたって前記補修条件である溶接の姿勢,前記構造部材の厚み及び前記構造部材の材質に加えて施工後のじん性が入力されることで、該データベースに蓄積した前記溶接施工条件の中から、入力された前記補修条件の施工後のじん性改善に対応する最適な溶接施工条件として、前記補修箇所に入熱制限を与えるべく、溶接速度,レーザ出力及びスポット径を前記シールドガス及び冷却条件(自然冷却(大気に晒す冷却)や強制冷却(風や水等の流体を当てる冷却))の各影響を加味したうえで選定して前記制御部に出力する構成としている。
さらにまた、本発明の請求項4に係る補修用レーザ溶接装置において、前記データベースには、溶接施工後の施工結果がフィードバックされてデータとして蓄積される構成としている。
さらにまた、本発明の請求項5に係る補修用レーザ溶接装置は、前記補修箇所に減肉による凹み部がある場合において、前記凹み部に肉盛を行う肉盛手段を備えている構成としており、肉盛手段としては、ホットワイヤ溶接やアーク溶接を採用することができる。
本発明に係る補修用レーザ溶接装置において、レーザ発振器には、YAGレーザや半導体レーザの各発振器を用いるのが一般的であるが、これらのものに限定されない。
本発明に係る補修用レーザ溶接装置では、構造部材に生じている亀裂を補修するに際して、制御部に対して補修条件である溶接の姿勢(下向き溶接姿勢),構造部材の厚み及び構造部材の材質を入力すると、この入力した補修条件に対応する最適な溶接施工条件が、データベースに蓄積されている溶接施工条件の中から選りすぐられて、シールドガスの影響も加味されて制御部に出力される。
そして、最適な溶接施工条件の溶接速度,レーザ出力及びスポット径を満たすべく、駆動部,レーザ発振器及びレーザヘッドが制御部によりコントロールされてそれぞれ作動するので、亀裂残りや溶け落ちのない溶接補修が簡単に成されることとなる。
また、本発明の請求項2に係る補修用レーザ溶接装置では、補修箇所への入熱量をQ、レーザスポット面積をA、スポット径をφ、構造部材の厚みをtとした場合において、溶接施工条件としての溶接速度,レーザ出力及びスポット径を推定(補間)する回帰式Q/A=f(φ/t)をデータベースが有しているので、より一層適正な溶接施工条件が提供されることとなる。
具体的には、図4に示すように、補修箇所への入熱量Q(J/mm)は、レーザ出力P(J/s)を溶接速度V(mm/s)で除して表すことができるので、図3に示す回帰式(回帰曲線)Q/A=f(φ/t)に基づいて、レーザ出力P及びスポット径φが決まれば、適正な溶接速度Vが求められることとなる。
さらに、本発明の請求項3に係る補修用レーザ溶接装置では、構造部材に生じている亀裂を補修するに際して、制御部に対して補修条件である溶接の姿勢(下向き溶接姿勢),構造部材の厚み及び構造部材の材質に加えて施工後のじん性を入力すると、この入力した補修条件の施工後のじん性改善に対応する最適な溶接施工条件が、データベースに蓄積されている溶接施工条件の中から選りすぐられて、シールドガスの影響及び自然冷却や強制冷却等の冷却条件の影響も加味されて制御部に出力される。
そして、施工後のじん性改善にも対応する最適な溶接施工条件として、補修箇所に入熱制限を与え得る溶接速度,レーザ出力及びスポット径を満たすように駆動部,レーザ発振器及びレーザヘッドが制御部によりコントロールされてそれぞれ作動するので、施工後の金属組織はじん性が良好な金属組織に改善されることとなる。
さらにまた、本発明の請求項4に係る補修用レーザ溶接装置では、溶接施工後の施工結果をデータベースにフィードバックしてデータとして蓄積するようにしているので、より精度の向上した溶接施工条件を提供し得ることとなる。
上記溶接施工後の施工の良否判定には、上記したように、溶接施工後の好ましい断面形状における溶け込み深さHWLを構造部材の厚みtで除して表される形状指標が用いられるが、溶接施工後の補修箇所に必要な疲労強度から決定される補修箇所の裏側における溶接ビードの形状や幅等に基づいて形状指標を管理することができる。
ここで、施工後のじん性改善に係る上記溶接施工の妥当性は、吸収エネルギと硬さとの間に相関関係があることを用いて、補修箇所のビッカース硬さを計測することで評価することができる、すなわち、硬さを指標とした施工管理を行い得ることとなる。
さらにまた、本発明の請求項5に係る補修用レーザ溶接装置では、肉盛を行う肉盛手段を備えているので、補修箇所に凹み部が存在する場合の亀裂補修にも対応し得ることとなる。
本発明に係る補修用レーザ溶接装置によれば、例え下向き姿勢の補修溶接であったとしても、溶け落ちを回避しつつ簡単且つ確実に亀裂を消去することが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
本発明の一実施形態に係る補修用レーザ溶接装置を概略的に説明する模式図である。 図1の補修用レーザ溶接装置におけるデータベースの形状指標を説明する図(a),(b)である。 図1の補修用レーザ溶接装置におけるデータベースの回帰式を説明するグラフである。 図3の回帰式における入熱量とレーザ出力と溶接速度の関係を説明する図である。 図1における補修用レーザ溶接装置のデータベースにおいて最適な溶接施工条件を決定するのに用いられるグラフである。 図1における補修用レーザ溶接装置のデータベースにおいて最適な溶接施工条件を決定する際に構造部材の材質の影響を考慮するのに用いられるグラフである。 図1における補修用レーザ溶接装置のデータベースにおいて最適な溶接施工条件を決定する際にシールドガスの有無の影響を考慮するのに用いられるグラフである。 図1における補修用レーザ溶接装置のデータベースにおいて溶接施工後のじん性改善にも対応する最適な溶接施工条件として補修箇所への入熱量を決定するのに用いられる吸収エネルギと入熱量との関係を示すグラフである。 図1における補修用レーザ溶接装置のデータベースにおいて溶接施工後のじん性改善に係る溶接施工の妥当性を評価するのに用いられる吸収エネルギと硬さとの関係を示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係る補修用レーザ溶接装置を概略的に説明する模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る補修用レーザ溶接装置を示している。
図1に概略的に示すように、この補修用レーザ溶接装置1は、既設構造物の鋼材(構造部材)Wに生じた亀裂Waを溶接により溶融させて消去するものであって、レーザ発振器2と、このレーザ発振器2から供給されるレーザ光Lを内蔵した光学系3により集光して亀裂Waが生じている補修箇所に照射するレーザヘッド4と、レーザ発振器2からのレーザ光Lをレーザヘッド4へ導く光ファイバ5と、レーザヘッド4を補修箇所に沿って移動させると共に補修箇所に接近離間させる駆動部6と、溶接速度,レーザ出力及びスポット径をコントロールする制御部7を備えており、この実施例では、レーザ光Lの焦点LFが鋼材Wの外部に位置するように設定されている。
また、この補修用レーザ溶接装置1において、溶接施工後の好ましい断面形状における溶け込み深さHWLを鋼材Wの厚みtで除して表される形状指標を有するデータベース8を備えており、形状指標HWL/tは、図2(a)に示す亀裂残りの要因となる溶け込み不足を回避するために、図2(b)に示すように、1.0以上に設定することが望ましく、より望ましくは、形状指標HWL/tを1.1程度とする。
上記データベース8には、形状指標HWL/tに基づいて良好と判定される場合の補修条件である溶接の姿勢,鋼材Wの厚みt及び鋼材Wの材質と、この補修条件に対応する溶接施工条件としての溶接速度V,レーザ出力P,スポット径φ及びシールドガスの影響がデータとして蓄積されており、このデータベース8は、鋼材Wに生じている亀裂Waを補修するにあたって補修条件が入力されることで、データベース8に蓄積した溶接施工条件の中から、入力された補修条件に対応する最適な溶接施工条件としての溶接速度V,レーザ出力P及びスポット径φをシールドガスの影響を加味したうえで選定して制御部7に出力するようになっている。
この場合、データベース8は、補修箇所への入熱量をQ、レーザスポット面積をA、スポット径をφ、構造部材の厚みをtとした場合、適正な溶接施工条件としての溶接速度,レーザ出力及びスポット径を推定する回帰式Q/A=f(φ/t)を有しており、この回帰式Q/A=f(φ/t)を用いることで、より一層適正な溶接施工条件を出力することができるようになっている。
具体的には、図4に示すように、レーザ出力P(J/s)を溶接速度V(mm/s)で除すことで、補修箇所への入熱量Q(J/mm)を表すことができるので、図3に示す回帰式(回帰曲線)Q/A=f(φ/t)に基づいて、レーザ出力P及びスポット径φを決めることで、適正な溶接速度Vを求めることができるようになっている。なお、図3のグラフから、含まれる炭素が多い構造部材(SM400)及び含まれる炭素が少ない構造部材(SM400)のいずれの場合にもこの回帰式を用い得ることが判る、すなわち、構造部材(SM400)に含まれる炭素量の多少にかかわらず上記回帰式を用い得ることが判る。
ここで、溶接施工条件によっては、補修箇所の吸収エネルギ(シャルピー衝撃試験における試験片の破壊に要するエネルギ)が低下して、すなわち、補修箇所のじん性が低下して、要求値を満たせない場合がある。
そこで、図8のグラフに示すように、補修箇所への入熱量Qが低下すると吸収エネルギが上昇する関係に基づいて、補修箇所の冷却速度が適正となるように溶接施工条件を決定するようにしている。
具体的には、補修箇所に入熱制限を与えるべく、溶接速度V,レーザ出力P及びスポット径φをシールドガスの影響及び自然冷却や強制冷却等の冷却条件の影響を加味したうえで決定して制御部7に出力するようになっている。
さらに、この補修用レーザ溶接装置1では、溶接施工後において形状指標HWL/tに基づいて施工の良否判定を行い、その結果をデータベース8にフィードバックしてデータとして蓄積するようにしている。
このように構成された補修用レーザ溶接装置1を用いて鋼材Wに生じている亀裂Waを補修するに際しては、制御部7に対して補修条件である溶接の姿勢(下向き溶接),鋼材Wの厚みt及び鋼材Wの材質(この場合は炭素鋼(SM400)とこの炭素鋼(SM400)よりも含まれる炭素の量が若干多い炭素鋼(C多SM400))を入力すると、図5のグラフに示すように、この入力した補修条件に対応する最適な溶接施工条件が、データベース8に蓄積されている溶接施工条件の中から形状指標HWL/t(≒1.1)に基づいて選定され、すなわち、X軸の入熱パラメータから最適なレーザ出力P及びスポット径φが決定されるのに続いて、適正な溶接速度Vが決定される。
この際、データベース8には、図6のグラフに示すように、鋼材Wとして、含まれる炭素の量が少ない、例えば、厚みtが9mmの炭素鋼(C少SM400)及び厚みtが12mmの炭素鋼(C少SM400)は、入熱パラメータが100〜150(J/mm・mm)において傾きが少なく、溶接施工性が良好であることがデータとして蓄積されている。つまり、ステンレス鋼(SUS)及び炭素鋼(SM400)のように材質が異なる場合と同様に、同じ炭素鋼でも含まれる炭素の量の違いにより、施工性が異なることが鋼材Wの材質の影響を考慮するデータとして蓄積されている。
また、データベース8には、補修条件であるシールドガスの有無の影響を考慮するデータも蓄積されており、図7のグラフに示すように、含まれる炭素の量が中位、例えば、厚みtが9mmの炭素鋼(C中SM400)の場合には、シールドガスの有無の影響が大であり、含まれる炭素の量が多い、例えば、厚みtが9mmの炭素鋼(C多SM400)の場合には、シールドガスの有無の影響が小さいことがデータとして蓄積されている。
次いで、補修箇所への入熱量をQ、レーザスポット面積をA、スポット径をφ、構造部材の厚みをtとした場合の回帰式Q/A=f(φ/t)を用いることで、より一層適正な溶接施工条件としての溶接速度,レーザ出力及びスポット径が推定(補間)され、シールドガスの影響も加味されて制御部7に出力される。
この実施例では、制御部7に対して溶接の姿勢(下向き溶接),鋼材Wの厚みt及び鋼材Wの材質に加えて施工後のじん性を入力すると、この入力した補修条件の施工後のじん性改善に対応する最適な溶接施工条件が、データベース8に蓄積されている溶接施工条件の中から選りすぐられて、シールドガスの影響及び自然冷却や強制冷却等の冷却条件の影響も加味されて制御部7に出力される。
そして、施工後のじん性改善にも対応する最適な溶接施工条件として、補修箇所に入熱制限を与え得る溶接速度,レーザ出力及びスポット径を満たすべく、駆動部6,レーザ発振器2及びレーザヘッド4の光学系3が制御部7によりコントロールされてそれぞれ作動して溶接施工が成される。
この溶接施工の後に、形状指標HWL/tに基づく溶接施工の良否判定が成され、その結果がデータベース8にフィードバックされてデータとして蓄積される。
また、施工後のじん性改善に係る上記溶接施工の妥当性が、図9に示すように、吸収エネルギと硬さとの間に相関関係があることを用いて、補修箇所のビッカース硬さを計測することで評価される。例えば、補修箇所のビッカース硬さが247(HV)である場合には、補修箇所の吸収エネルギが約27(J)であると評価することができる。
上記したように、この実施形態の補修用レーザ溶接装置1では、鋼材Wの亀裂Waを補修する場合、制御部7に補修条件としての溶接の姿勢(下向き溶接),鋼材Wの厚みt及び鋼材Wを入力すれば、この入力した補修条件に対応する最適な溶接施工条件が、データベース8に蓄積されている溶接施工条件の中から選定されて、シールドガスの影響も加味されて制御部7に出力され、最適な溶接施工条件の溶接速度V,レーザ出力P及びスポット径φを満たすように、駆動部6,レーザ発振器2及びレーザヘッド4が制御部7からの指令を受けて各々作動することから、亀裂残りや溶け落ちのない溶接補修が簡単に成されることとなる。
また、この実施形態の補修用レーザ溶接装置1では、溶接施工条件としての溶接速度V,レーザ出力P及びスポット径φを推定(補間)する回帰式Q/A=f(φ/t)をデータベース8が有しているので、より一層適正な溶接施工条件が提供されることとなる。
さらに、この実施形態の補修用レーザ溶接装置1において、制御部7に対して溶接の姿勢(下向き溶接),鋼材Wの厚みt及び鋼材Wの材質に加えて施工後のじん性を入力すれば、この入力した補修条件の施工後のじん性改善に対応する最適な溶接施工条件が、データベースに蓄積されている溶接施工条件の中から選りすぐられて、シールドガスの影響及び自然冷却や強制冷却等の冷却条件の影響も加味されて制御部7に出力される。
そして、施工後のじん性改善にも対応する最適な溶接施工条件として、補修箇所に入熱制限を与え得る溶接速度,レーザ出力及びスポット径を満たすように、駆動部6,レーザ発振器2及びレーザヘッド4の光学系3が制御部7によりコントロールされてそれぞれ作動するので、施工後の金属組織はじん性が良好な金属組織に改善されることとなる。
さらにまた、この実施形態の補修用レーザ溶接装置1において、補修箇所のビッカース硬さを計測することで、施工後のじん性改善に係る上記溶接施工の妥当性を評価することができるので、硬さを指標とした施工管理を行い得ることとなる。
さらにまた、この実施形態の補修用レーザ溶接装置1において、溶接施工後の施工結果をデータベース8にフィードバックしてデータとして蓄積するようにしているので、亀裂Waの補修溶接施工を繰り返すにしたがって、より高精度の溶接施工条件が提供されることとなる。
図10は、本発明の他の実施形態に係る補修用レーザ溶接装置を示している。
図10に概略的に示すように、この補修用レーザ溶接装置1は、補修箇所に減肉による凹み部Wbがある場合において、この凹み部Wbに肉盛を行う肉盛手段としてのホットワイヤ溶接機構10を備えており、他の構成は、先の実施形態に係る補修用レーザ溶接装置1と同じである。
ホットワイヤ溶接機構10は、ワイヤ供給ドラム11と、ワイヤホルダ12と、ワイヤ溶接電源13を備えている。ワイヤ供給ドラム11は、ワイヤホルダ12に対して溶接ワイヤFWを連続して供給する。ワイヤ溶接電源13は、溶接ワイヤFWに通電して溶融させることで、凹み部Wbに肉盛を行うようになっている。
この補修用レーザ溶接装置1では、補修箇所の表面が、例えば錆びている場合において、この錆を除去するべく敢えて形成した凹み部Wbの亀裂補修や、補修箇所の表面が腐食により減肉して凹み部Wbができている状況での亀裂補修にも対応し得ることとなる。
上記した実施形態では、補修用レーザ溶接装置1を下向き姿勢の溶接に用いた場合を示したが、溶接の姿勢は下向き姿勢に限定されるものではなく、補修用レーザ溶接装置1を、例えば横向き姿勢の溶接に用いることが当然可能である。
本発明に係る補修用レーザ溶接装置の構成は、上記した実施形態に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
1 補修用レーザ溶接装置
2 レーザ発振器
4 レーザヘッド
6 駆動部
7 制御部
8 データベース
10 ホットワイヤ溶接機構(肉盛手段)
L レーザ光
W 鋼材(構造部材)
Wa 亀裂
Wb 凹み部

Claims (5)

  1. 既設構造物の構造部材に生じた亀裂を溶接により溶融させて消去する補修用レーザ溶接装置であって、
    レーザ発振器と、
    前記レーザ発振器から供給されるレーザ光を集光して前記亀裂が生じている補修箇所に照射するレーザヘッドと、
    前記レーザヘッドを前記補修箇所に沿って移動させる駆動部と、
    溶接速度,レーザ出力及びスポット径をコントロールする制御部と、
    溶接施工後の好ましい断面形状における溶け込み深さを前記構造部材の厚みで除して表される形状指標を有するデータベースを備え、
    前記データベースには、前記形状指標に基づいて良好と判定される場合の補修条件である溶接の姿勢,前記構造部材の厚み及び前記構造部材の材質と、この補修条件に対応する溶接施工条件としての溶接速度,レーザ出力,スポット径及びシールドガスの影響がデータとして蓄積され、
    前記データベースは、前記構造部材に生じている亀裂を補修するにあたって前記補修条件が入力されることで、該データベースに蓄積した前記溶接施工条件の中から、入力された前記補修条件に対応する最適な溶接施工条件としての溶接速度,レーザ出力及びスポット径を前記シールドガスの影響を加味したうえで選定して前記制御部に出力する
    ことを特徴とする補修用レーザ溶接装置。
  2. 前記データベースは、前記補修箇所への入熱量をQ、レーザスポット面積をA、スポット径をφ、構造部材の厚みをtとした場合、適正な溶接施工条件としての溶接速度,レーザ出力及びスポット径を推定する回帰式Q/A=f(φ/t)を有している請求項1に記載の補修用レーザ溶接装置。
  3. 前記データベースは、前記構造部材に生じている亀裂を補修するにあたって前記補修条件である溶接の姿勢,前記構造部材の厚み及び前記構造部材の材質に加えて施工後のじん性が入力されることで、該データベースに蓄積した前記溶接施工条件の中から、入力された前記補修条件の施工後のじん性改善に対応する最適な溶接施工条件として、前記補修箇所に入熱制限を与えるべく、溶接速度,レーザ出力及びスポット径を前記シールドガス及び冷却条件の各影響を加味したうえで選定して前記制御部に出力する請求項1に記載の補修用レーザ溶接装置。
  4. 前記データベースには、溶接施工後の施工結果がフィードバックされてデータとして蓄積される請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の補修用レーザ溶接装置。
  5. 前記補修箇所に減肉による凹み部がある場合において、前記凹み部に肉盛を行う肉盛手段を備えている請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の補修用レーザ溶接装置。
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